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太陽フレア発生に伴う黒点と活動領域の変化

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Academic year: 2021

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太陽フレア発生に伴う

黒点と活動領域の変化

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● 要旨

太陽は、われわれ生物にとって必要不可欠な存在であるとともに、もっとも身近な恒 星である。 黒点とは太陽表面に現れる、周囲より温度の低い暗い領域のことである。黒点はほぼ 11 年を周期として増減を繰り返しており、太陽活動が活発になると黒点が多く見える。 できれば、本研究の期間中に継続的に太陽の様子を黒点の数と X 線の変化から観測 したかったが、2017 年 10 - 12 月は黒点の数がかなり少なく、まったく見られない日 も多々あった。そのため、2017 年 9 月 6 日に発生した大規模フレアに注目して黒点の 動きや X 線の変化を調査し、日々輝き続ける太陽の活動を観察することを目的として いる。

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目 次

1.太陽とは

1-1.太陽---4 1-2.黒点---5 1-3.活動領域---6 1-4.フレア---6

2.

9 月の大規模フレア

2-1.概要

---7

2-2.X 線の様子

---8

3.黒点と活動領域

3-1.フレアが起こった領域の様子(8 月 31~9 月 9 日)---9 3-2.フレアが起こった付近の領域の様子(8 月 31~9 月 9 日)---13

4.議論

---18

5.参考文献

---23

6.謝辞

---24

(4)

[4]

1.太陽とは

1-1.太陽

太陽系の中心に位置する、地球から最も近い恒星が太陽である。地球からの距離は 1.496×10![𝑘𝑚]で、およそ 46 億年前に水素燃焼段階に到達したと考えられている。表面温 度は約6000 度、中心部の温度は約 1500 万度である。中心で起こる水素の核融合反応で、 3.84×10!"[𝑊]の明るさで輝いている。半径は6.960×10![𝑘𝑚] (地球の約 109 倍)、質量は 1.989×10!"[𝑘𝑔](地球の約 33 万倍)である。磁場を持っており、磁場の変動により黒点や活 動領域の出現、フレアの発生などといった活動を示すが、活動のレベルには強弱があり 11 年(または22 年)の周期性がある。 ▲太陽の構造 ▲太陽の諸定数 ▲太陽白色光像 撮影:2017/11/23 明星天文台

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1-2.黒点

太陽表面に見られる暗い領域のことである。典型的な大きさは数万km。表面の温度が約 6000 度であるのに対し、黒点は約 4000 度と低温であるため黒く見える。中心部の特に暗 い暗部と、その周囲の比較的明るく筋状の構造を示す半暗部と呼ばれる領域とに分かれる。 黒点にはいろいろな形状があり、α 型(単極型)、β 型(双極型)、δ 型(両方の極性が複雑 に入り乱れ、特に同じ半暗部の中に逆の特性を持つ暗部がある)などに分けられている。δ 型の黒点が現れるとフレアが発生することが多い。黒点の寿命は約 2 週間と言われている が、数日で消えてしまうものや1 ヶ月にわたって存在するものもある。 黒点はペアを成して現れることが多く、磁場のS 極と N 極に対応している。自転の向き に対して前に位置している黒点を先行黒点、後ろに位置している黒点を後続黒点という。 典型的には光球面で数千ガウスの磁場となり、この強い磁場が下層部の対流運動を抑えて エネルギー輸送を妨げるために、低温になると考えられている。 ▲α 型黒点 ▲β 型黒点 ▲δ 型黒点 ▲黒点発生の様子

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1-3.活動領域

太陽表面には、大きなエネルギーを放出するフレアやプロミネンスが発生する特別に活 動的な領域がある。Hα 線画像や X 線画像等の中で特に明るく見えるのがそれらであって、 このような領域を活動領域と呼ぶ。活動領域では磁場が強く、その部分では黒点が多く見 られたり、大きい黒点が存在することが多い。 ▲X 線太陽全体像

1-4.フレア

太陽外層大気において発生する爆発現象のことである。太陽面爆発ともいわれる。フレ アは黒点付近で現れることが多く、このことからフレアのエネルギー源は黒点近傍の太陽 大気中に蓄えられた磁気エネルギーであることがわかる。大きいものになると、10 万 km 四方もの巨大な空間で発生し、数時間~10 時間も続く。また、大型のフレアは、地球近傍 の宇宙環境(宇宙天気)に大きな環境変動を起こし、その結果、電波障害の原因となるデ リンジャー現象や磁気嵐が起きたり、オーロラが激しく発生するなどの影響がある。黒点 周辺の磁力線のねじれや変化によって発生すると考えられている。 フレアは、GOES 衛星の X 線観測におけるフレアの最大強度をもとに、小規模な方から 等級A、B、C、M、X とクラス分けされている。 10 倍ごとに1つ上の等級になり、各等級ごとに 1~10 未満の数字で区分。 A クラスは10!! 𝑊 𝑚! ~10!! 𝑊 𝑚! 例:3.7×10!! 𝑊 𝑚! C3.7 クラス

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2.

9 月の大規模フレア

2-1.概要

2017 年 9 月 6 日 18 時頃(日本時間)、太陽表面の南西の活動領域で大規模な太陽フレ アが発生した。上で述べたように、太陽フレアの強度はピーク時のX 線強度によって分類 されているが、今回のフレアの強度はX2.2 で、2015 年 5 月 5 日以来 2 年 4 ヶ月ぶりの X クラスのフレアだった。 また、同じく9 月 6 日の 21 時頃、同じ領域でより激しい X9.3 クラスのフレアが発生し た。最強であるX クラスのフレア強度が 9 以上に達したのは、2006 年 12 月 5 日以来 11 年ぶりのことである。 図2.1-(1):9 月 6 日太陽フレア像、NASA 撮影 図2.1-(2):9 月 6 日の可視光(左)と X 線(右)の太陽像

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2-2.X 線の様子

下のグラフは、大規模フレアが発生した2017 年 9 月のX線の様子(上)と、太陽活動が 比較的静穏だった2017 年 12 月のX線の様子(下)である。これを見ると、9 月のもの、 特にフレアが発生した9 月 6 日辺りのX線は激しく変動しているが、12 月のものはほとん ど目立った変化が見られていないのが分かる。このことから、今回のフレアがどれほど大 規模なものだったかが分かる。

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3.黒点と活動領域

本研究では、実際にフレアが起こった領域(図2.1-(2)の矢印で示した部分)と、そのす ぐ上(北側)の活動領域の前後の様子を見ていくことにする。

3-1.フレアが起こった領域の様子(8 月 31 日~9 月 9 日)

図3.1 に、8 月 31 日から 9 月 9 日までのほぼ 1 日ごとの可視光と X 線の画像を示す。 図3.1-(1):8 月 31 日の可視光像(左)と X 線像(右) 図3.1-(2):同じく、9 月 1 日の画像

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[10] 図3.1-(3):9 月 2 日の画像

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[11] 図3.1-(5):9 月 5 日の画像

(12)

[12] 図3.1-(7);9 月 7 日の画像

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[13] 図3.1-(9):9 月 9 日の画像

3-2.フレアが起こった付近の領域の様子(8 月 31 日~9 月 9 日)

9 月 6 日にフレアを起こした右下の活動領域のすぐ上(北側)に見られる二つの黒点の周 りの活動領域についても、8 月 31 日から 9 月 9 日までの活動の変化を追った。図 3.2 に、 その期間のほぼ1 日ごとの可視光(左)と X 線(右)の画像を示す。 図3.2-(1):9 月 6 日にフレアを起こした活動領域のすぐ上(北側)に見られる 2 つの 黒点付近の8 月 31 日の可視光像(左)と X 線像(右)

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[14] 図3.2-(2):同じ領域の 9 月 1 日の画像

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[15] 図3.2-(4):9 月 4 日の画像

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[16] 図3.2-(6):9 月 6 日の画像

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[17] 図3.2-(8):9 月 8 日の画像

図3.2-(9):9 月 9 日の画像

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4.議論

3-1.の一連の画像について検証する。始め(図3.1-(1)において)は α 型黒点であり、 大きさも小さいものだったが、次第に大きくなり、図3.1-(4)では δ 型黒点へと変化してい るのが見られる。それとともに、X 線画像で見える活動領域も活発化し、磁力線のアーチも 大きくなり、最終的には大規模フレアが起こった。このことから、1-3.や1-4.で 述べたように黒点とフレアと活動領域には互いに関わりがあることが推察できる。また、 今回のようにフレア発生前に黒点が成長していくのが分かれば、大規模なフレアの発生を ある程度予測することも可能かもしれない。 下の図は、太陽活動が静穏(11 月 16 日)な時の黒点画像と、太陽活動が活発(9 月 4 日) な時の黒点画像である。二つを比較すると、太陽活動活発時には黒点も大きく複雑な形状 になっており、このことから、太陽活動が活発な時には δ 型黒点が現れやすいと考えられ る。 しかし、フレアが発生した活動領域でも、8 月 31 日から 9 月 2 日の間は α 型黒点に分類 される単一の黒点が見られ、また、図3.2-(3)の可視光増をよく見ると、はっきり見える黒 点の下(南側)に複数の小さな黒点が現れている。これらの小さな黒点が成長し、複雑なδ 型黒点群になっており、このことから、α 型に見える黒点にも実は明確には見えないペアを 成している黒点があり、活動が活発になるとそのペアの黒点も明確に見えてくると考えら れる。 図4.1:活動が静穏な領域の黒点像(左)と活発な領域の黒点像(右)

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[19] 1-2.で述べたように、β 型黒点は双極性で、二つの黒点は互いにペアをなしている。 黒点とは磁力線の切り口として見えているものであり、二つの黒点からはアーチ状に磁力 線が出ていることが多い。 図 3.2-(6)において X 線画像(右)を見てみると、青い矢印で示した箇所に磁力線がア ーチ状に存在しているのが分かる。このアーチ状の磁力線の切り口が、画像(左)のよう に光球面でβ 型黒点として見えていると考えられる。 しかし、X 線画像(右)のアーチ状の磁力線をよく見ると、可視光像(左)の β 型黒点に 見える黒点のうち左側の黒点から出ているアーチの先は、左側の黒点位置よりも少し右下 になっているように見える(X 線画像の緑の矢印で示したのが黒点位置)。また、右側に見 えている黒点についても、右側から出ているアーチの先は右側の黒点位置よりも少し左上 (小さな黒い点の辺り)になっている。つまり、はっきり見えるペアの黒点のほんの少し 内側の地点からアーチ状の磁力線が出ているのではないかと思われる。

(20)

[20] 図3.1-(6)と図 3.1-(7)を見てみると、δ 型黒点が存在しているのが分かる。1-4.で 述べたように、δ 型黒点は二つの極性が入り混じったもので、それにより磁力線にねじれが 生じる。フレアの発生の原因はこの磁力線のねじれではないかと言われている。本来は、 上の画像の磁力線のように、白くなっている活動領域の両端でアーチ状の磁力線が見える。 しかし、下の X 線画像の方を見てみると、磁力線の複雑なねじれが存在しており、これが 今回のフレアの原因となったのではないかと考えられる。また、先ほど磁力線が両端では なく少し内側、活動領域内で存在していることから、δ 型黒点では二つの極性が入り混じり、 これが原因で磁力線のねじれが生じるのではないかと推定される。

(21)

[21] この2017 年 9 月 6 日の大規模フレア以降、太陽活動はほとんど見られることがなく、黒 点が一つも見えないような日も多々あった。次の図は、明星大学天文台で、実際に可視光 で撮影した太陽の画像と、NICT で提示されている 2017 年 12 月の X 線の変化を表したグ ラフである。これらを見ると黒点が一つも見えず、目立った X 線の変化もないため、太陽 活動が静穏であることが分かる。太陽活動周期は約11 年であると考えられており、その周 期の中では、現在の太陽活動は極小期である。その中で今回のような大規模な太陽活動が 起こったことは非常に珍しく、多くの天文学者たちが注目している。太陽活動に関しては 未だ謎が多く、今回取り上げた太陽フレアに関しても未解明なため、私自身も今後も注目 していきたいと思う。 図4.2:2017 年 12 月 5 日に明星天文台で観測した可視光太陽像と、その時期の X 線強度の 様子

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[22] 大規模フレアが起こった2017 年 9 月 6 日の前後 1 週間に注目し、黒点の変化を観察した が、その後、画像(左)のようにすぐに裏側へまわってしまったため、9 月 10 日以降の観 察が不可能になった。その後、この領域は、太陽が地球から見て半周した約2 週間後の 9 月25 日に再び見られるようになったが、図 4.3 のように、その活動はほとんど見られなく なっていた。このことから、9 月 6 日の大規模フレアを起こした地点の黒点は、裏側にまわ った後消えてしまったのではないかと考えられる。太陽黒点の寿命は、平均的には約2 週 間、長くても1 ヶ月程度のため、地球から見て裏側にいる間に消失したことは、あってよ いと考えられる。 図4.3:9 月 6 日にフレアを起こした活動領域の 9 月 10 日の可視光像(左)と、そ の領域が太陽の裏側に回った後、再び現れた9 月 25 日の可視光像(右)

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5. 参考文献

l 「最新画像で見る太陽」(著=柴田一成・大山真満・浅井歩・磯部洋明) l 「天文学大辞典」(版=地人書館) l 宇宙天気情報センター http://swc.nict.go.jp/contents/

l SPACE WEATHER PREDICTION CENTER http://www.swpc.noaa.gov/products/goex-x-ray-flux l 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト 三鷹太陽地上観測 http://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/solarobs.html l www.SolarMonitar.org https://m.solarmonitor.org/ l NOAA https://www.ngdc.noaa.gov/stp/satellite/goes/dataaccess.html l NASA http://www.nasa.gov

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6. 謝辞

本研究を行うにあたり、井上先生、小野寺先生、日比野さんから多くのご指導、アド バイスをいただきました。また、院生の先輩方をはじめ、天文研究室やほかの研究室の 同期や先輩からもいろいろな面で支えてくださり、励みになりました。本当に感謝して います。1 年間、本当にありがとうございました。

参照

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