H. テンドリーとE. グセルの資本調達論についての一考察
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(2) 第 45 巻. 第 2号. のものは問題にはならず, 資金計画 (Finanzplan) と同様に, 常に再検討され, 新しい状 況に即応して,変更されるべきであるため,継続して新しい資本調達の問題が生ずる6) 。 彼 らは, このような資本調達の問題を具体的に検討するために, 資本調達を, これをもたら す状況により,以下の四種類に区分する。すなわち, a)本来の設立に先立って, 行なわれ る, 「設立資本調達」 (Grtindungsfinanzierung), b) 企業が発展し, 事業が拡張される 場合に行なわれる, 「拡張資本調達」 (Erweiterungsfinanzierung), c) 資本調達方策 (FinanzierungsmaBnahme) が企業の従来存在した資本構造 (Kapitalstruktur) を根本. 的に変更する, 「変更資本調達」 (Umfinanzierung) と, d) 企業の健全な発展ではなく て, 企業の資本状態 (Kapita! verhaltnis) での病的な発現の結果, 特に, 損失により自己 資本の減少が実際に現れる場合に,再び健全な資本構造を獲得する,「清算」 (Sanierung) である7) 。 この点,通常, 資本調達としては設立資本調達が考えられていることや 8)' 資本 調達の本質が資本形成 (Kapita! beschaffung) にあるとみなす立場からは, このような資 本調達に対する彼らの区分は, 設立・拡張・変更• 清算という企業のライフ. ・. サイクルを. 踏まえたものではあるが, 賛同できないものである。 しかしながら, H テンドリ. ー. と E. グセルは, 資本の循環 (Kreislauf des Kapitals). も重視し, この資本の循環を以下の四局面に区分する。すなわち, a) 資本部分が,これに より支弁されるべき, 特定の資本需要が発生したために, 徴収される, 「資本額の徴収 (Einberufung) 」' b) 徴収された資本部分が,計画に従って経営内で使用される,つまり,. これらのために決められた,資産価値 (Vermogenswert) に転換される,「資本の使用(投 資)」, c) 特定時点で満期になる金額が返済のために考慮された形式で実際に存在するよ うに配慮する,「資本部分の返還 (ROckleitung) に対する配慮」と, d) 資本部分を実際に 返済する,「資本部分の返済 (ROckzahlung) 」である9) 。 この点, 彼らは,「資本調達によ り資本形成は実際に保証されるが, 資本提供者との契約上の協定の実施と, 経営内での資 本部分の使用に役立つ, あらゆる方策は, 資本処置 (Kapitaldisposition) と呼ばれる」10) と述べ,この資本処置の最終局面として資本部分の返済をあげ,「それはほとんど常に貨幣 で行なわれるが, 資本調達により生じた権利 (Recht) と義務の実行 (Erfullung) を意味 する」II ) と主張しているが, 彼らのこのような主張に従えば, 当然, 上記のような設立資 6) 7) 8). 9). 10) 11). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.91. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.91-93. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.91. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.93-94. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.93. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.94.. -124 (344)一.
(3) Hテンドリ. ー. とEグセルの資本調達論についての一 考察(牧浦). 本調達や資本形成を過大視することは許されない12\ ここで, 本稿の概要について述べれば, まず, 続く第 2 章で, 資本需要と資本種類を区 分した後に, 両者を対比することにより, 資本調達様式の基本的なパタ. ー. ンが明らかにさ. れる。 その際, 資本需要の補償 (Deckung) と保証の要求の充足 (Befriedigung der Garantiebedilrfnis) が重視されるが, こ れ らを確保す る手 段 と し て 資 本計画の作成 (Kapitalsplanung) が説明される。次に,第 3 章では, H テンドリ. ー. と E. グセルの上記. の資本調達の区分を踏まえて, まず, 設立資本調達に関連した問題として, 資本需要額の 算定と資本市場の利用の困難さと, 召集される人間の利害関係の調整を検討する。 次に, 拡張資本調達を, 連続的なものと飛躍的なものに分けた上で, 自己資本と他人資本により 対処する場合の問題点について言及する。 更に, 資本構造の特殊な問題として変更資本調 達を取りあげるが, その際, 企業形態の変更の問題が改組CUmgrundung) とフ ジオ ー ン のケ ー スを例にして検討される。 そして, 清算では, 清算の原因と方策について, 株式会 社を中心にして,新規の資本の導入のないケ ー スと導入されるケ ー スに分けて,論述する。 また, 第4章では, H. テンドリ. ー. とE. グセルの上記の資本の循環の区分を踏まえて,. 「資本処置」を構成する4つの局面を検討するため,まず,自己資本に関連した社員に対す る支払請求 (Zahlungsaufforderung an die Gesellschafter) を中心にして, 資本部分の 徴収を説明する。 次に, 資本部分の使用(投資)について, 使用に対する恒常的なコン トロ ー ルを中心にして, 言及するが, その際, 経営の長期存続という見地から, 安定性 (Stabilitat) と継続安定性 (Stetigkeit) が強調される。 更に, つなぎ (Konversion) と. 最終的な返済 (entgilltige Rilckzahlung) に区分して,資本部分の返還に対する配慮につ いて論述し, 最後に, 資本部分の返済について資本種類毎に考察する。. 2. 資本計画に基づいた資本調連様式. さて. 資本需要は経営に必要な資産手段 (Vermogensmittel) から生ずるが. その際 資産手段は. 経営内にさまざまな期間で, しかも予想可能な期間で, 拘束される。 このた め. 経営に提供される資本もこの期間中は使用できなければならず. このような関係を無 視すれば.経営活動の部分的もしくは完全な中断が生じうる 13) 。つまり,経営には,給付す Vgl. Sandig, C. u. Kohler, R.: (Finanzen) Finanzen und Finanzierung der Unternehmung. 3. Aufl., Stuttgart 1979. S.4. ; 参照。 拙稿 ザンディヒ)「C. ザンディヒ の他人資本調達論についての一 考察」近畿大学商経学叢 第44巻 第 l 号 1997年 12 頁 注64 13) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.7. ; 参照。拙著(経営財務概論)「経営/. 12). cc.. -125 (345)-.
(4) 第45巻. 第2号. る限り, 資本拘束と価値の維持の機能を有する, 資産手段が充分に供給されるべきであ る 14) 。 この点,まず,資産手段は,その拘束期間から,永久拘束資産,長期拘束資産と短期 拘束資産に区分できるが, 資産手段が経営内で果たす課題についても同時に考慮して, 固 定資産 (Anlagevermogen), 資本参加資産 (Beteiligungsvermogen) と流動資産 (Um laufsvermogen) に区分される。 また, 価値の維持の観点から, 価値上で安定した資産と. 不安定な資産に分けられうるが, 不必要な煩雑さを回避するために, 上記の三区分された 資産に含まれる価値上で不安定な部分を第四番目の資産種類として,保証資産 (Garantie vermogen) (準備資産 (Reservevermogen)) にまとめることが実践上では有意義であ. る 15) 16)。反面,資本でも, 決定的な分類基準は利用可能期間と価値の維持であり 17)' まず, 利用可能期間から, 永久利用可能資本, 長期利用可能資本と短期利用可能資本に, また, 価値の維持に対する要求から, 責任のない資本と責任のある保証資本 (Grantiekapital) に分けられるが 1s>, H. テンドリーと E グセルによれば,実際には永久利用可能資本は見 られず,責任のある資本,つまり,自己資本が概ねこれに該当し 19)' 通常,長期と短期の利 用可能資本は,他人資本,つまり,返済すべき資本である20) 。 そこでは,永久利用可能資本 が貢任のある資本から概ね構成されるため, これら資本は 2 つの課題を充たしうる。 つま り, これら資本は, 一方で, 通常の長期に準備されるべき資本需要の補償に, 他方で, 責 任の引受けにより, 保証の要求の充足に用いられうる21) 。 この点, 保証の要求の充足のた めに用いられる保証資本は,価値の維持の義務に無関係な,責任のある資本 (Mittei) であ るべきであり22 ), このような保証資本は—損失の補償 (Deckung) のために向けられる 財務上の支払手段 (finanzielles Mittei) として―正しい時期に適切な具体的形態で存 在すべきである。 その際, 前者の正しい時期は, 以前に発生した損失もしく は将来に発生 /財務概論』中央経済社. 14) 15) 16). 1990年 196 頁 Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.11-13. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.16-18 u. S.47-48. この点, H. テンドリー と E. グセルは,「保証資産が準備金 と混同されえない点に注目すべ きである。 本来の準備金 とは異なり, 保証資産は, 実態の保全 (Substanzsicherung) を行. なうために. 既に拘束されている。 それは. 準備金のように, 他のために使用されえない」 (Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.13. FuBnote 33.) と述べている。. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.24. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.19-22 u. S.25. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.26 u. S.39.; Sandig, C.: (Finan zierung) Finanzierung mit Fremdkapital. 2. Aufl.. Stuttgart 1973. S.16.; Sandig, C.: (Fremdkapital) Fremdkapital, Finanzierung mit., in: Biischgen, H. E. (Hrsg.) ザンディ Handworterbuch der Finanzwirtschaft. Stuttgart 1976. S.650. ; 参照。 拙稿 ヒ) 3 頁 注11 20) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.29 u. S.31-32. 21) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.27. 22) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.32 u. S.321.. 17) 18) 19). cc.. -126 (346)-.
(5) H. テンドリ. ー とE. グセルの資本調達論についての一考察(牧浦). するであろう損失に対して継続して対処できるために,保証資本の期限付け (Befristung) が充分に長期間であることを後者の適切な具体的形態は, 保証資本部分が, 損失の発生 後にこれらが使用されるべき形式で, 存在すべきことを, それぞれ意味している 23) 24) 。 と りわけ, 保証資本は, 経営に必要な資産手段の保全 (Sicherung) に用いられうるために は,流動的な形式で存在すべきであり,他人資本の返済を可能にするか, そうでなければ, 新しい資産価値の導入により, 損失によって喪失した古い資産価値に代り, 経営活動の本 来の領域 (Umfang) を再形成し,同時にまた,他人資本を価値上で完全に補償すべきであ る25) 26)゜ ここで, 更に, 資本調達の立場からみて妥当な基本原則が明らかになるように, 資本需 要と資本種類を相互に対比すれば27), まず,資産手段の拘束期間,つまり,個々の資本需要 の期間と, 資本需要の補償のために用いられる資本の利用可能期間の間において, 一致が 存在すべきである。 そして, この基本原則は, 資産手段が使用されるよりもより短期間に は,資本が期限付けられるべきではないという意味で,最低条件として,呈示される28) 。反 面この資本調達原則を損なうことなしに,資本のより長期的な期限付けは可能であるが, たとえば,永久利用可能資本のみでの資本供給はさまざまな面で不都合である29) 。 この点, まず, 中途での解約が不可能であるために生ずる, 資本の長期拘束から, 拘束期間中に生 ずる資本コスト (Kapitalkosten) を削減できる機会を利用できない30) 。 また, 危険が含ま. 23) 24). 25) 26). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.32.. この点, H. テンドリ ー とE. グセルは,「経営に投入されるある種の資産構成対象に対して保 証資本部分が追加投資されれば, この追加部分の流動化 (Liquidierung) が正常な経営過程 (Betriebsablauf) を阻害するため, これにより危険 (Gafahr) が生じうる」 (Tondury, H. u. Gsell,E. : Finanzierungen. S.32-33.) ことを考えており, 具体例として, 本来の経営目的に役 立つ在庫が阻害されることなしには, 追加的な商品在庫が簡単には売却されえないことをあげて いる (Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.33. FuBnote 76.) 。 Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.33. これに関連して, より厳密には, 個々の資産価値 (Vermogenswert) が補償されないとき. に, 保証資産に投人されていた責任のある資本が, 新しい資産手段の準備もしくは古い資産手段 の再準備や補完について配慮して,正常な経営過程, つまり, 経営に必要な実態の維持を保証す る場合, 保証資本 (Grantiekapita!) と呼ばれるのに対して, 損失が発生したときに, 残存価値 により責任のない資本の権利を補償するために, 責任のない資本の保全 (Sicherung) が検討 される場合, 保全資本 (Sicherungskapital) と呼ばれる (Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.22-23.) 。. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.36. Vgl. Tondury, H. u. Gsell,E.: Finanzierungen. S.37.; Gutenberg,E. (Finanzen): Grund lagen der Betriebswirtschaftslehre. Band 3.: Die Finanzen, 3. Aufl., Berlin-Heidelberg New York 1969. S.278-280. 参照。 溝ロ 一 雄• 森 昭夫· 小野二郎訳『経営経済学原理 第 3 巻 財務論』千倉書房 1977年 304-307 頁; Sandig, C.: Finanzierung. S.41. ; 参照。 拙著 (ドイツ資金計画論)『ドイツ資金計画論J 森 山書店 1997年 382-383 頁; 参照。 拙稿(C. ザン ディヒ) 12 頁 29) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.37. 30) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.38. 27) 28). -127 (347)-.
(6) 第45巻. 第2号. れない資産構成部分 (Vermogensgegenstand) も 自 己資本で供給されることになり, こ れに対して不必要な過剰補償 ロ ス (Entschadigung) が支払われるが3 1 ) 32), 長期利用可能 資本 (たとえば, 社債や動産抵当信用) に頼れば, コス ト 上ではより好都合な結果を確認 できる33 ) 。 しかしながら, たとい, 正常な貨幣化 (Geldwerdung) を無視しても, 契約さ れた期限後の資本は流動的な形式で返済されるべきである。 つまり, この要求に応える, 唯一の可能性は, 資産構成部分の換金化 (VerauBerung) にある34) 。 また, 外部金融によ る新しい資本調達か, 長期的な資本部分のつな ぎ (Konversion) か, 自 己金融 (Selbst finanzierung) による本来の新規調達 (Neuaufnahme) かにより,常に修復できる状態に. ある経営が, 良好な状態にある経営とみなされうる35\ ところで, 図 l で示されるように, 基本的には, 資産手段の危険 (Gefahrdung) の程度 図l. 資本調連の図式表示36). 白 * 需 妻. I. 2. 自 c!l!f本 による 還綸上で の 贔大 蠣違. 曙蝙 ヒでの 正当な 駁遍1!1本翼遺. I!!*. ” . . •. ― ” • 在 内 順 危. 定 安 値 緬. 財. m. 2 '1 ヽ. 財 財) 定 珊 聾安 循 纏. 在 内. a. 定 安. b. ー. ―. 一 a. C 、. a. . B. 9翡叡翌f. b b c A ,. 33) 34) 35) 36). 財 整 漏. 定 安. b. 万 一 の,II加. 32). bb ヽ. 心 雹『. a. 匹 b C •111. ..,暴務の .,_. 31). L纂での最大の 賣任のある費本で. 在 内 g. ”:. 保証費侵需饗. 斬. 諄 印� 常 さ滅 ⑮ c. 固定費餐需餐. 彼. 財 珊 爾. 豊 i. 、[[. D. 断 更 に. 四. b. ぶ さ流. c. �践で通常行 な わ れ て い る 11本漏違. 財 聾 翼. ) 饗定 ば. 極“ ( a. B II本蓼加需餐. bb“ bb& ” 9 ン ヽ ‘. / A 楯珊需餐. 3. I. 長期利用可舵費本 (長期他人1!1本. 苗. 永久利用可能費本 (Iム込済み自己口本). Vgl. Ti.indury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.39.. �. (木1/1� 梵口本. この点• H. テ ン ドリ ー とE. グセルは, 「永久利用 可能資本を利用すれば, より高い コ ス ト が 生ずる。 危険に対して利用 できる他人資本を実際に用いなければ, このような資本部分で コ ス ト と 成果の間で不利な差額がもた ら される。 これにより, 実際に保証資本部分 と して投入される資 本 (Mittel) の収益性が削減され, このため, ある状況下では, 追加の責任のある資本の調達の 可能性も し くは回収された (zuriickziehen) 資本の補充 (Ersetzung) が困難になったり, 完 全に阻害される」 (Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.39 u. Vgl.S.69.) と 考えてい ) る。 ) Vgl. Ti.indury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. Vgl. Ti.indury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.40. S.40 u. S.349. S.40. S.40. u. Vgl. S.84.. -128 (348)-.
(7) H. テ ンドリ. ー. と E グセルの資本調達論につい ての一考察(牧浦). に対応して, 二種類の資本調達方式 (Finanzierungsweg) が採用されうる。つまり, 特殊 な保 証資産が, 完全に形成され, 損失が生ずれば, 喪失した資産部分と取り替えられる準 備がなされて おり, 正常な活動の維持を経営が常に期待できる場合と, 追加的に準備され る保 証資産は完全には設定されないが, 価値上で危険な程度には責任のある資本が用いら れる場合である。 この点, 前者の 「理論上での資本調達方式」とは異なり, 後者の 「実践 で通常行なわれている資本調達方式」 では, 喪失した資産部分は取り替えられないため, 損失は, 経営活動を阻害するが, 責任のない資本部分に対する経営上の支払義務を害する ことはないものと H. テンドリ. ー. とE. グセルはみなしている37) 。 また, 他人資本に対す. る保全 (Sicherung filr das Fremdkapital) と経営の正常な継続のための保 証 (Grantie filr den normalen Weiterbestand des Betriebs) という観点からみれば, 後者の 「理論. 上での資本調達方式」は 2 つの様式に区分できる38) 。つまり, 「自己資本による最大資本調 達」と 「理論上正当な最適資本調達」 である。 この点, 彼らは, 前者の 「自己資本による 最大資本調達」について, 「短期利用可能資本は, 実際に短期間存在し, かつ, 価値上で安 定した, 転換需要 (Umlaufsbedilrfnis) の補償のためにのみ利用されうる。 これは, 一時 的な極大需要 (Spitzenbedilrfnis) と, 不規則に更新される流動資産に該当する。そして, このような資本調達様式 (Finanzierungsart) は循環思考 (Kreislaufbetrachtung) にお , 長期利用可能資本は価値が安定 いて重視されている要求に完全に一致している。(他方) している資産構成部分の資本供給に対してのみ用いられうる。 従って, たとえば, 流動資 産の恒常的な部分のように, 長期的な資本需要が問題にされるとこ ろ でも, 資本参加資産 と固定資産の非償却部分でもそうであるが, これらは長期利用可能資本により供給され る。 実践でも, このような処置は全く 正 当である。反面, 大きな永久利用可能資本と保証 資本は, とりわけ, 長期他人資本の予定外の回収 (Rilckzug) による, 経営過程 (Betriebs ablauf) の混乱を防止する。 永久利用可能資本はすべての危険を含んだ資産構成部分の領. 域に対して支払われる。 これにより, 他人資本の権利 (Anspruch) の保全 (Sicherheit) が完全に与えられる。 追加的に準備される, 本来の保 証資本は充分に存在すべきである。 価値上で危険な資産部分の領域に対して更に責任のある資本が準備されるべきである。 損 失が現われた場合, 直ちに新規の資本の入手 (Anschaffung) が行なわれるが, それは責 任のある資本によって供給される」39) と述べている。 ここでは, 責任のない資本の権利の. 37) 38) 39). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.13. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.41. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.67--68. - 129 (34 9 )-.
(8) 第45巻. 第2号. 保全に従 っ て, 責任のある資本のみが価値上で危険な資産構成部分に 投入されうることが 重視されて い る。 これに対して, 価値上で危険な資産部分も長期利用可能資本で供給され るが, 正常な経営活動に基づ い た経営の維持と い う要求が充たされるように, その不足で は取り替え (Ersatz) が行なわれるように配慮される場合は 「理論上正当な最適資本調達」 と呼ばれる40) 。 この点, H. テンドリ ーとE. グ セ ルは, 後者の 「理論上正 当な最適資本調 達」に関して, 「先に述べた資本調達様式(自己資本による最大資本調達)との唯一の差異 は, 価値上で危険な資産部分の範囲に対応した保証資本が用 い られるが, 価値上で危険な 資産手段自体は長期使用可能資本で供給されることにある。 責任のある資本による二重の 装備 (Ausrilstung) がここでも当てはまる。 他人資本の保全の観点からは,この処置に対 して全く異議は存在しな い。 つまり, 危険を含んだ部分が喪失されるとき, 保証資本が取 り替えにつ いて配慮する。 この点, 責任のある資本に対するより高 い コ ス トを節約できる ため, 長所が生ずる。 期限付けに関しては, 先に述べた資本調達様式と同様の配慮が成立 するが, しかしながらより強力にである。 少なくとも, 予め最低限, 危険を含んだ部分は (解約して) 回収できな い (nicht rilckziehbar) 資本で供給されるため, すべての資産部 分が長期的な資本で供給される。 しかしながら, 他人資本の保全が損なわれな い ため, 通 常, 回収される資本に対して取り替えを経営は見付けうる」41) と述べて い る。 また, すべての経済行為は計画的な活動であり, 目的 (Ziel) , 手段 (Mittel) と方式 (Weg) について予め考慮されて い る。 これはとりわけ資本計画の作成 (Kapitalplanung). に当てはまり, H . テンドリ ーと E. グ セ ルによれば, 「資本計画 (Kapitalplan) は, 必要 な資本部分の金額と構成 (Zusammensetzung) 並びにその導人時点と使用の様式 (Art) 42 につい ての予 測 (Voraussicht) である」 ) 。 特に, 資本計画では, まず, 必要な資本額が. 決定され, 次に, 資本構造につい て必要な注意が払われる。 つまり, 各経営に対して, 特 定の状況下では, 個 々 の資本種類間での一定の割合 (Verha! tnis) が最適なものとみなさ れうるため, 資本計画は, 経営活動に対して指針として役立ちうる, 資本のもっとも好都 合な構成を見つけるべきである43) 。 とこ ろ で, 必要な資本額の決定では, 経営の様式によ り, 目指される利益, 可能な売上高もしくは必要な固定資産が開始点として採用されう る44) 。 この点, 所有者のための身分相応な所得が経営の目的である, 農業と小売業の中規 40) 41) 42) 43) 44). Vgl. Ti:indury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.41-42. Ti:indury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.68--69. Ti:indury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.49. Vgl. Ti:indury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.49-50. Vgl. Ti:indury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.50. ; Gutenberg. E.: Finanzen. S.315316 u. S.15 u. S.97. 参照。 溝 ロ 一雄 • 森 昭夫 ・ 小野二郎訳. 356頁 16頁 108頁 ; 参照。 /' -130 ( 350 )-.
(9) H. テンド リ. ーと. E. グセルの資本調達論についての 一考察(牧浦). 模経営では, 利益 (Gewinn) と呼ばれる, 所有者が獲得すべき, 成果から開始される45) 。 反面, 大規模経営では. たいてい, 市場での販売可能性. つまり. 可能な売上高から開始 されるべきであり. 資本額は, 技術上と経済上の経験に基づいて. 販売すべき製品の製造 も し くは準備に必要な, 固定資産と流動資産によっ て決定される46) 47)。 また, 資本額の内 訳. つまり. 資本構造について言及すれば, H. テ ン ド リ. ー. とE. グセルは. 「他人資本に対. する 自 己資本の割合が, 企業家 (Unternehmer) からは主に 自 己資本の収益性 (Renta bilitat) の観点から, 企業外部者. とりわけ, 債権者からは他人資本の保全 (Sicherheit). の観点から. 考察される」48) という立場を採っ ている。 この点, 前者の 「 自 己資本の収益 性」 の観点からみれば. 経営の総成果は, 一方で賃金と報酬と し て. 経営内で協働 し てい る人々に, 他方で利子と純利益 (配当) と し て,資本提供者に与えられる49 )。 そこでは. リ スク. ・. プ レ ミ ア ム (Risikopramie) を無視すれば. 貨幣 ・ 資本市場の状況により ほ ぼ決定. される利子を上回る. 総資本の余剰が 自 己資本のために用いられ. この金額が大きい程, 他人資本に対する利子は小さくなる。 ここから, 自 己資本をできる限り少なく し ようとす る企業家の努力が生ずる50) 。 加えて. 企業家が最終的には事業危険 (Geschaftsrisiko) を 負担するため,責任 (Haftung) を制限するという努力からも,より少ない 自 己資本という 傾向が生ずる。 自 己資本の危険負担に対するその他の結果は. 企業家が し ば し ば独 占的な 決定権限を残 し たいという要求から,生ずる。 つまり,企業家が責任を負担 し ておるため. 他の人々が事業政策の決定に対する権限を有することは. 企業家には不都合である。 こ こ から同様に, 企業家がより大きな他人資本を優先するということが生ずる51) 52) 。 その際. 他人資本の利子が固定されたコスト であり, 不都合な市場状況も し くは他の理由 でわずか. /'生駒道弘稿 ( グ ー テンベル ク 財務論)「グ ー テンベル ク 財務論とその若干問題」 和歌山大学経済 学会 「経済理論」 1970年 53-57 頁; 吉田和夫著 (経営学大綱)『経営学大綱』 同文舘 1985年 97-98 頁; 拙著 ( ドイツ資金計画論) 391 頁. 45) 46) 47). 48) 49) 50) 51) 52). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.50. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.52-53.. この点, また, 「大規模な製造業と他の強い設備集約的な経営. とりわ け . 小売業. 運輸業や 電気事業などの 大規模経営では, 特に, 競争企業の技術と装置 の水準に従って要求される. 固定 資産が必要な資本額にとっては決定的である」 (Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S. 56.) 。. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.59. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.59. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.60 u. S.99. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.60. この点, H. テンドリ ー と E. グセルは. 零細な製造業を例にして, 「大きな資本需要は追加の 貨幣提供者の動員 (Heranziehen) を必要とするが, しかしなが ら事業管理 (Geschaftsfilhrung). に対するその影響力はできる限り小さく維持されるべきである。 … … (反面) 事業管理に対する 充分な影響力なしに, 資本を使用 させる気持 ち は多くの貨幣提供者には存在しない」 (Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.75-76.) と述べている。 -131 (351)-.
(10) 第45巻. 第2号. な成果のみが獲得されれば, 大きな金額を確定利子として支払うことが経営を非常に難し くすることについても配慮すべきである53) 。他方,後者の 「他人資本の保全」の観点からみ れば, 法律上, 破産の場合, 自 己資本の全額で弁済した後に初 めて, 債権者は損失を負担 するため, 他人資本に対する自 己資本の割合が大きくなる程, 債権者の安全性 (Sicher heit) はより高まる団) 。また,経営からみれば,他人資本に対する自 己資本の割合が大きい. ことは, 他の状況が同じであれば, 他人資本に対する利子で考慮されるべき リ スク ・ プ レ ミ ア ム がより小さいという長所をもたらす55) 。 なお , このような自 己資本と他人資本の金 額と割合を決定するさまざまな観点について, H. テ ンドリ. ー. とE. グセルは, 「1 . 他人資. 本に対する自己資本の割合が他人資本のための過大な利子コス トをもたらさない限り, 自 己資本の高い収益性のために, 企業家はできる限り少ない自 己資本を目指す。 2 . 確定利 付きの他人資本は固定したコス トをもたらすた め,経営全体の観点からは,いずれにせよ, 充分な事業成果 (Geschaftsergebnis) のない場合には, 少ない他人資本が望ましい。 3. 自 己資本が他人資本に対する保証として役立っ た め , 外部から企業を判定する者と同様 に, 債権者は, 他人資本に比べて, より大きな自 己資本をより好都合なものと判定する。 経営経済学の観点に従 っ た, 資本調達の正 当な様式, とりわけ, たとえば, 払い込まれて おらない株式資本 (nicht einbezahltes Aktienkapital) の形式のような,好都合な保証資 本の形成から, 自 己資本と他人資本の正しい割合の発見は簡単になる。 というのは, 他人 資本に対する保全を希薄にすることなしには, 払い込まれておらない充分に大きな保証資 本でも, 自 己資本は少なくできないからである」56) と纏めている。. 3 a). 経営状況に基づいた資本調連. 設立資本調連. さて, H. テ ンドリ. ーと. E グセルによれば, 「設立資本調達は, 経営の設立のための最. 初の方策を意味しており, 本来の設立に先立 っ て, 行なわれる。 資本調達について一般に 語られるときには,この設立資本調達が考えられている。信頼できる基盤 (Unterlage) に は頼れないた め, たいていのケ ー スでは単純な評価で甘んじなければならないが, この中 にその他の資本調達様式に対する特殊性がある。 そこでは, 資本構造, とりわけ, ある状 53) 54) 55) 56). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.60. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.62. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.62. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.62-63. -132 (352 )-.
(11) H. テンドリーとEグセルの資本調達論についての一考察(牧浦) 況下では経営政策に対して影響力を及ぼす,召集される人員層 (Personenkreis) が非常に 重要であり, 企業の全活動期間に対して重要な意義を与えうる」57) 。 この点, 設立資本調達では, 資本計画が, 特に慎重に, 経営の観点から, 経営目的が最 適に達成され, すべての人の予想でも, 経営が長期間存続しうるように, 作成される。 そ こでは, とりわけ, L 可能な売上高, 2 . 技術の水準, 3 . 競争状況, 4 . 利用可能な労働 力を考慮しながら, 経営に必要な資産を見積もることにより, 資本需要が確定される。 そ の際 固定資産額の決定はも っ とも困難が少ない。 参加資本の需要は, 設立資本調達に お いてできる限り考慮することが望ましいし, カ ル テル化されておれば, 最初から生ずる。 商品取扱者の組織 (流通チ ャ ネ ル)への資本供給も, 販売の確保のために, 設立で既に必 要となりうる。 これに対して, 必要な流動資産のための需要額は, たとえば, 販売可能性 や売掛債権の支払期限が容易に変化するため, 同様な正確性では予め評価できないが, 正 確な資本調達では, 恒常的な有高, 不規則に更新される流動資産と, 極大需要に分けるべ きである。 そして, 計画のも っ とも困難な部分として, 保証資産の需要の見積りがある58) 。 とこ ろ で, このような資本需要の見積りは, 客観的なもので, 大きな意義を有するが, 企業家の主観的な立場や債権者の地位 (Einstellung) についても配慮すべきである59) 。 こ の点, 経営の観点からみれば, その他が同一の状態にあるならば, 経営がより大きな長期 資本を有する程, その存在はより保証される60) 。 しかしながら, 企業家の観点では, 資本の 投入に際して, とにかく , 彼らは大きな利回り (Rendite) を経営が獲得することを考え る。 明らかに, 彼らは永続的な高い成果を期待するが, 資本の 投入の観点からみれば, 経 営の維持 (Erhaltung) にも関心はあるが,経営の安全性 (Sicherheit) は彼らの考えでは 甫要視されない61) 。 反面,「長期と短期の資本を使用させる, 債権者は, とにかく , 貸付け (Anlage). の保全に, それから, より高い成果に関心がある」62) 。 そこでは, 通常, 「債権の. 保全は, 健全な財政状態 (Finanzlage) と, 技術的な観点と人間的な観点に おいて異論の ない給付によ っ て, も っ ともうまく 保証される。 資本構造に関しては, 債権者は, 他人資 本に比べて, できる限り大きな, 返済できない, 自己資本を目指す。 というのは, これに より, 危険が, 広範囲に制限されたり, 実践上では完全に排除されうるからである。 この. 57) 58) 59) 60) 61) 62). Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.91-92. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.97-98. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.98. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.98. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.98-99. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.99.. - 1 33 ( 353)-.
(12) 第45巻. 第2号. ため, そこでは, 企業家と債権者の利害関係 (Interessen) は完全に対立して いる」63 ) 。 同 時にまた, このような企業家と債権者の利害の対立とともに, 「所有と経営の分離」と呼ば ;、1る利害の不一致も見られるが, H. テンドリ に広範囲な人間層の資本参加を可能にし,. ー. と E グセルは, 「小さな額面金額は非常. 資本的な貢献 (Kapitalhingabe) と企業管理. (Unternehmungsftihrung) の乖離を促進する。 個 々 の資本提供者の影響力は最小に制限. され, 企業管理は少数の大株主に任せられるか, 特定の状況では企業に対して本質的な財 務上の参加 (finanzielle Beteiligung) を自身では全く示さな い で,事業管理 (Geschafts ftihrung) を委託された人間が決定的な立場を獲得する。 このような場合には, 貨幣提供. 者と管理者 (Leitung) の利害の不一致と差異は非常にしばしばあらわれる」64) と述べて いる。 そして, このような利害の不一致がもっとも顕著に見られるケ ー スが 「 投機家と プ ロ モータ. ー. の利害」と いわれるものである。この点, H. テンドリ. ー. とE. グセルは, 「取引. 所に上場された無記名形式の株式は, それらが 投機家の目標になりうると いう短所を有す る。 ここで考察される 投機家は, ほとんどの場合, 企業とは関係の希薄な人 々 で, 専ら短 期的な資本上の利害関係を有し, 主に相場の差異に利害関係があるのに対して, 配 当は, もっとも良くても, 目的に対する手段として考えられる。 そこでは, まず第一に長期的な 維持に向けられた, 企業の利害関係は全く考慮されな い。 しかも, 企業内で活動する人 々 に 投機への剌激をもたらし, 事業政策, とりわけ, 配 当政策と留保政策によって, 相場の 展開に影響力を及 ぼそうとする危険 (Gafahr) がある。これによって, 余りにもしばしば, 企業の健全な存続に必要な根拠が巻き添えにされる。 すべてのケ ー スに お いて, かなりの 相場の変動が, 実際の給付生産と いう課題から離れ, 投機的な要素が非常に容易に全体の 経営活動に広がることにより, 経営管理 ( Betriebsftihrung) の混乱をもたらす」65) と述べ たり, プロ モ ー タ. ー. と い われる, 「このような創業者 (Grunder) は, 長期的な資本参加に. は全く関心がなくて, 主に, 設立に お いて株式に対して支払われる価格と, 企業の設立後 に獲得できる転売価格との間での差異に関心がある。 このため, 企業の長期的な利害関係 を無視して, この差異を拡大しようとする危険が存在する」66) と説明して い る。 また, 設立資本調達の特異性として資本市場の機能を利用できな い こともあげられう る。 この点, H. テンドリ. ー. と E グセルは, 「広範囲に人 々 を参加に誘導するために, 創業. 者は, このために必要な勧誘方策を採るか, 公開された資本市場に依存する。 とにかく新 63) 64) 65) 66). Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.100. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.114 u. Vgl.S.1 12. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.1 15-116. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.125. -134 (354 )-.
(13) H テ ンドリ ー と E グセルの資本調達論につ い ての一考察(牧浦) 規設立 (Neugrilndung) では. 公募に必要な信頼 (Vertrauen) と信用 (Kredit) の基礎 も , 資本を早急に募集する技術的な手段 も 彼は利用できない。 このため. 実際には. 本来 の発起人 (lnitiant) の支払義務, 唯一の少ない, 特殊な資本力 (Kapitalkraftigkeit) に 基づいて. しか も , 他の方法ではできないが. 企業に関心のある人々 を参加に勧誘する, 可能性のみがある。 そこでは.創業者の信用と力量 (Tilchtigkeit) が結果に対して決定的 な影響力を有する」67) と述べている68)69) 。反面.長期他人資本の利用 も .たとえば.社債の 形式では. まだ充分には認知されて おらない企業では稀である。 将来の収益性状況と安全 性状況の判定が不充分であるか も しれないことが, 長期他人資本の早期での導入に対して 否定的に作用する。 また同様に. 資本を必要とする企業の側で も , 状況により. 創業期に 負担すべき, 他人資本の コ ス トが重視される。 とりわけ, 長期他人資本の利用で重要であ るが,特に安全な設備が検討されたり,借入金に対して特殊な担保 (Hypothek) が与えら れうるならば, 早期での他人資本の譲渡の可能性はかなり高い。 しかしながら, 創業期で も 短期的な資本需要は他人資本により補償されうる。 自己資本が充分あれば. 経営材料. 商品.しか も また,循環 (Umlauf) に必要な現金の需要のかなりの部分が.資材提供者と, 創設資本調達 (Erstfinanzierung) に参加する銀行によ っ て. 補償されうる70)。. b). 拡張資本調連. たいてい, 企業は発展し,事業は拡張され,経営の設備 (Betriebsanlage) は増大する。 また, このような拡張は非常に多く の資本需要を必要とする。 しかしながら, 通常, 資本 形成は, 特に注目されること も なしに, 連続して行なわれる。 実際には, このような場合, 資本調達ではなく て, 拡張とか, 強化 (Ausbau) といわれる。 しかしながら, 明らかに, 連続的に (allrnahlich) 強化が行なわれるのではなく て, 一度に大きな新設備が据え付け られるときのように, 飛躍的に (sprunghaft) 行なわれるときには, 資本調達となる。 こ れにより, 通常, 大きな事業では, たとえば, 株式資本の増大 も しく は社債の発行を も た らすような,新しい資本のかなりの金額が突然必要になる71 ) 。 この点,たとえば,連続的な 67) 68) 69). 70) 71). Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.127. ザ ンディヒ) 21 頁 Vgl. Sandig, C. Finanzierung. S.72. ; 参照。拙稿 この点, H. テンドリ ー と E. グセルは, ま た, 「取引所での有価証券の上場は, 広範囲でかつ. cc.. 規則的な市場が存在する 点で, 重要な簡素化を 意味す る 。 し か しなが ら,ある 状況下では発行者 が充分に は認知されて お ら ず, 新規設立では これか ら 良 い 名 声 (Ruf) を 創造すべ きである た め, 取 引 所 を 仲 介に し た発 行 は, 既に 株式 を 発行 し た者で, 増 資の時にのみ, 考 え ら れる 」 (Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.137 u. Vgl.S.251.) と 述べて い る 。 Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.141. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.92 u. S.159. - 135 (355)-.
(14) 第45巻. 第2号. 拡張資本調達が小売業や保険 サ ー ビ ス業で, 飛躍的な拡張資本調達が製造業や運輸業で重 要であ る ように,拡張資本調達が行なわれ る 方法は,産業部門と経営規模か ら 推論され る , 資本需要の種類だけではなく て, むし ろ また, 企業形態によっても規定されて い る 72) 0 とこ ろ で, 前者の連続的な拡張では, 自己資本と他人資本を利用でき る が, 何よりもま ず, 追加的な自己資本の導入が注目され る 。 と い うのは, これにより初めて, 他人資本の 拡大された参加のための基礎 (Grundlage) が形成されう る か ら であ る 。 反面, 自己の保 全にとって必要なもの以上に多く の自己資本を既に経営が所有して い る か, 追加の他人資 本が特別に保全されう る ときにのみ, 自己資本が増加され る 前に, 他人資本は導入されう る 73) 。しかしなが ら ,実践では,自己資本の継続的な (kontinuierlich) 増加は,通常,充分 には注目されてお ら な い 。他人資本が,非常に弾力的に,一時的には確実な根拠 (Grund) がなく ても非常に容易に調達されう る ため, とりあえず導入され る 。 そこでは, これによ り自己資本と他人資本の間での健全な割合が ズ レ る ため, 正しい比率 (Proportion) を短 期間に再形成されう る のか否かと いう問題が直ちに現われ る 。 このため, すべての産業部 門と企業形態にお いて自己資本の連続的な増加がとりわけ注目され る べきであ る 74) 。 しか しなが ら , H テンドリ. ーと. E. グセルは,「確定された基本資本 (Grundkapital) を示し,. 個人の責任が 彼 ら の持ち分に制限されて い る , すべての企業では, 新し い自己資本の召集 (Hinzuziehen) によ る , 連続的な拡張資本調達はほとんど不可能であ る 。手続きの回り <. どさとコス ト, 並びに, 企業に対す る 個 々 の資本提供者の小さな影響力 がこのような企業 形態を連続的な拡張には不向きなものにして い る 。 これはとりわけ株式会社に当てはま る 」75) と述べて い る 。 この点, 経営が資本を調達でき る 方法は, 基本的には, 以下の 2 つであ る 。 つまり, 一 方では, 責任のあ る 自己資本か, 危険を負担せず, このため, 確定された利子が支払われ る 他人資本を 経営に譲渡でき る , 外部者に経営は要求でき る 。 経営か ら みれば, 一—そ して, この観点が主に経営経済学では注目され る が—両ケ ー スに お い て外部資本調達 (Fremdfinanzierung) が問題にされ る 。 他方では, 経営は, 価値の転換 (Wertumsatz). により自身で, 利 益として生ず る , 新し い 価値を形成でき る 。 経 営 が このような資本 (Mittel) を自己の新し い資本調達に使用すれば, 自己金融 (Selbstfinanzierung) と い わ. 72) 73) 74) 75). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.159 u. S.161-164. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.161. Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.161. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.163. -136 (356 )-.
(15) H テンド リ. ーと. E グセルの資本調達論についての一考察 ( 牧浦). れる76) 77) 。 しかしながら, 自 己金融は, 経営の連続的な強化 (Ausbau) に用いられ, 一般 には. 突然の大きな資本需要を充足する能力 を経営には与えない。 また, 営業利益余剰 (Betrie bsii bersch uB) が全く常に規則的には発生しないこ と に も 注 目 すべきである。 損失. が生ずれば. 以前に積み立てられた利益が経営から引 き出される78) 。 このため, 営業利益 余剰が継続して留保される と きにのみ.. 自 己金融について語れる79) 。 更に. 自 身で形成し. た資本 (Mittel) の経済上での使用可能性から その他の制約は生ずる。 自 己金融によっ て 増大した資本により増加した利回り (Rendite) る状態に経営がない限り,. も しくは最低で も 平均利回りを獲得でき. 自 己金融は中止されるべきである80) 。 反面,. 本が準備金 と して留保されれば.. 自 己金融による資. 2 つの概念上の特徴, つまり, 対象の保全のための分離. と , 推定上の. 将来の. 童要な需要を補償する と いう 目 的規定を有するBl ) 。 その際, 推定上 の. 将来の需要は, 保証資本に関連して, いわゆる 「保証準備金」 (Garantiereserve) へ の組入れについての問題を も たらす82) 。 この点, 経営経済的意味での真の準備金の特徴は, 一般 も しくは特別な 目 的に対する追加資本のあら ゆる時点での使用可能性にあるため83) , できる限り普遍的 (abstrakte) で, あらゆる資本需要に対して迅速にかつ確実に補償しう る資産手段が準備されるべきである84) 。 従っ て. 準備金を保証のために分離させるだ け で はなくて, むし ろ また, できる限り流動的でかつ適切な, 補償手段 (Denkungsmittel) が 形成されるべきである。 実践では, これには, と にかく, 現金手段 (bare Mittel), しか も また, 価値が維持される限り, 有価証券. そして同様な も のが考えられるが85) , 真に流動的 な補償手段に対して時々呈示される欠点は. そのような補償手段の少ない 収 益 獲 得 力. 76). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.164-165.; Prion, W.: (Selbstfinanzierung) Selbstfinanzierung der Unternehmung. Berlin 1931. S.2.; Uhlig, B. u. Verhillsdonk, R. : (Theorie) Zur Theorie der Bewegungsbilanz――Zwei Diskussionsbeitrage― Der Betrieb 7. Jg., No.15, 1954. S.310.; 参照。 拙著 ( ドイツ資金計画論) 68 頁 注 8 77) この点, H. テンド リ ー と E. グセルは, 「外部資本調達 (Fremdfinanzierung) は外部か ら. 78) 79) 80) 81) 82) 83) 84). 85). 資本を調達し, このため, 資本が主で, 資産部分でのその使用は従であるのに対して, 自己金融 では, まず資産が形成されるが. この資産は目的規定上では同時に資本を意味する。 従って. こ こでは資産が主で, これに対して資本は従である」 (Tondury, H. u. Gsell, E.: Finan zierungen. S.172.) と考えている。 Vgl. Tondury, Vgl. Tondury, Vgl. Tondury, Vgl. Tondury, Vgl. Tondury, Vgl. Tondury,. H. u. Gsell, H. u. Gsell, H. u. Gsell, H. u. Gsell, H. u. Gsell, H. u. Gsell, 引 当 金 (Rilcklage). E.: E.: E.: E.: E. : E.:. Finanzierungen. Finanzierungen. Finanzierungen. Finanzierungen. Finanzierungen. Finanzierungen.. S.166. S.167. S.167. S.176. S.177. S.181 u. S.184 u. S.186.. なお, も, 緊急の経営の資本需要 に 用 い ら れない限り, 経営経済的な意 味では真の準備金になりうる。 これに対して, 積立金 (Rilckstellung) は決して経営経済的な 意味では真の準備金 にはなりえない (Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S. 182.) 。 Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.184. - 137 (357)-.
(16) 第45巻 第 2 号 86 87. (Ertragsfahigkeit) である. ). )0. また, 通常 の他人資本による連続的な拡張資本調達では, 以前に選択され, 正当なもの と認められた資本構造の維持について経営管理者は配慮する。 徐々に (langsam) 増大す る資本需要 の 補償のために, 他人資本が利用され, しかも, たいてい, 追加的な銀行信用 の形式でである。 しかしながら, こ の 信用はある金額に到達すると, 自 己資本の増額が企 てられ, その結果, 自 己資本と他人資本の間で本来の割合が再 び形成される88) 。 実践では, とりわけ, イ レ ギ ュ ラ. ー. な (irrrgular) 資本調達において安易に過剰な他人資本が導入さ. れることが, 重要な問題である。 不都合な経済状況において, これは, ある状況では, 他 人資本にも共通 の 苦悩をもたらす, 清算を呼び起こすような, 大きな負担を意味する。 加 えて, 長期間に亙る他人資本 の 強 力な召 集は必然的に こ の ような貨 幣 の 危険 (Gefahr dung) を暗示していること, こ のため, また債権者に支払うべき過剰補償 ロ スが増加させ. られることに注 目 すべきである。 更に, 万 ー企業が長期間に亙って その返済をもはや企て られないような, 高額の他人資本は経営の独立性に対して疑問を投 げかけることが, 重要 である89) 。 こ の 点, H. テンド リ. ー. と E グセルは, 「経営管理は常に資本の構造維持に対. して配慮すべきである。 他人資本は, そ の 弾力性のために, 利用されうるが, その利用は, 期限通りの 返済が確保されるようにして, 行なわれる。 こ の ため, たいてい, このような 資本は流動資産の 需要のためにのみ導入されうる。 これに対して, 初めから固定資産 の需 要が充足されるべきであるならば, 期限付けと過剰補償 ロ スが最重要点を意味するため, 他人資本の返済条件がこれに一致して確定されうるのか, 他人資本が使用される期間に追 加 の 自 己資本が調達されることに対して確実性 (Sicherheit) が存在するのかについて正 確に調べられるべきである。 どちら の ケ ー スに対しても否定的に回答されるならば, 経営 の 保全 の観点から, 他人資本の 召 集は中止されるべきである」90)と述べている。. 86) 87). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.187.. この点, H. テンドリ ー とE. グセルは, 「 こ こでは, 2 つ の関心が対立している。 収益性の関 心は, このような (準備金での補償に役立つ ) 支払手段の大きな成果を要求し, これに対して, 安全性への関心 (それは 真の準備金の本質に照応しているが,) は 準備 支 払 手段 (Reserve mittel) の 継 続 的 な 準 備 (Bereitschaft) に 向 け ら れ て お り, こ の た め, 不 確 実 な 投 資 (Anlage) に投入されえない。 銀行預金では通常全く危険 (Gefahrdung) が存在せず, せいぜ い支払能力 (Liquiditat) の単純な悪化が現れるのに対して, 有価証券への投資は, 予想がしば しば反するため, 実際に後退した支払能力を示し, 価値総額の保証では, 明 ら かに危険な支払能 カである。 こ こでは, 通常, 最終的な解決策は与え られず, 個別事例において現れる状況に従う べきである」 (Tondury, H. u. GselJ, E. : Finanzierungen. S.187-188.) と述べている。 88) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.193. 89). Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.194-195. ; Sandig, C.: Finanzierung. S.31. ; 参照。 拙稿 (C. ザンデ ィ ヒ ) 7 頁 注29 90) Tondury, H. u. GselJ, E.: Finanzierungen. S.195.. - 138 (358 )-.
(17) H. テ ンドリ. ー. とEグセルの資本調達論につ い ての一考察(牧浦). 反面, 後者の飛躍的な拡張資本調達では, た と えば, 設備集約的な経営 に おいて, 増加 する製品が永続的 に 販売されるべきである と いうような, より大きな販売危険を内包する ような, 制約が存在する9 1 ) 。 また, このような拡張が企 てられるべきか と いう問題 に つ い て調べる と き には, 資本調達が重要である92) 。 この点, H. テンドリ. ー. と E. グセルは, 飛. 躍的な 「拡張資本調達では, 資本準備 (Kapitalbereitstell ung) から増大するコス トの確 定 と と も に , また, 責任のある資本 (Mittel) と 責任のない資本の間での割合 と , 調達され るべき資本の正しい期限付けに つ いて 配慮されるべきである。 この問題はたいてい設立資 本調達では充分に 注目されるの に対して, 拡張資本調達では, 以前の良かった成果 に より さまざま に 幻惑され, 財務上の困難の原因 になりうる, 不都合な割合に到達する。 このた め, さまざまな資本調達方式 と 調達される資本の検討が大きな意義を獲得する」93) と 述べ て いる94) 0 と こ ろ で, 飛躍的な拡張では. 他人資本の要求を保全するために , 責任のある資本の追 加的な導入が何よりも注目されるべきであるため. 株式会社が考察の中心 に 据えられてき た95) 。 そこでは. 創立資本調達 (Erstfinanzierung) と は異なり, 追加の株式資本がたい てい非常 に 容 易 に 譲渡されうる。 企業は, 以前の事業結果 と 市場での立場 (Lage) が充分 な信頼 (Vertrauen) を形成しているかぎり, 既 に 認知されて おり, 大きな貨幣提供者層を 期待できる反面96) , 創立資本調達 と は異なり, 新株の発行価格を確定するこ と は, と りわ け難しい97\ また, 基本的 には. 自己資本 には責任引受け と いう特殊な性格が添えられうるが. その 他では, 自己資本 と 同様 に , 資本需要の補償 に 使用できるため, 他人資本に よる飛躍的な 拡張資本調達は, 常 に , 非常に重要である。 その際. と に かく, 自己資本が実践ではたい てい非常 に長期間 に 亙っ て利用でき. その返還 (Riickziehung) はおそらく会社の解消 (Auflosung). と いう結果を伴なうの に対して. 他人資本は. 通常, 同様に長期でかつ強固. な条件を経営 に対して呈示できないため. 諸困難が生ずる98) 。 この点, H. テンドリ. ー. と. E. グセルは. 「要約すれば. 短期 と 中期の他人資本 による飛躍的な資本調達の判定では, 91) Vgl. Tondury, H . u . Gsell, E.: Finanzierungen. S.197-198. 92) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.198-199. 93) Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.199. 94) こ の点, H. テ ンドリーと E. グセルは, 「結局, すべての拡張方策では, 資本部分の目的に 一 致 し た期限付け という共通 し た資本調達原則に注目されるべきである」 (Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.200.) と述べてい る。 95) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.199. 96) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.20か201. 97) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.20 1. 98) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.209. - 1 39 ( 359 )-.
(18) 第45巻 第 2 号 これらが常に変動する流動資産の資本需要に対してのみ利用できることが確認されるべき である。 これら資本は非常に弾力的であり. このため, このような資本需要に対する適応 が認められる。 しかしながら, 長期の設備により特徴付けられる. 飛躍的な拡張のための 資本調達では. これら資本はほとんど問題にはならない。 設備への 投資では, 単に異常に 長い期限もしく は契約上不可能な使用が考察されるが, イ レ ギ ュ ラ ー な資本調達方策が検 討されるならば, 経営を危険にする」99) と述ぺている。 その際. 彼らは,「長期他人資本の 導入でも. 常に.自己資本の充分な装備 (Ausstattung) がなければ. このような資本が 投 入されないことに. 注目すべきである。 自己資本と他人資本の間で. 流動性 (Liquiditat) と収益性にと っ て正しい割合を常に維持するだけで, 他人資本はまた危険の多い資産部分 にも 投入されうる。 しかしながら. たいてい. 機械への 投入では, かなりの危険が発生す るため, 自己資本が準備金で充分に蓄えられない限り, もしく は. 確実に期待できる経済 上の成果を引 当金 (Rilcklage) の形成により新設備のために装備しない限り, この機械の 価値のすべてを他人資本で供給することは許されない」100) と考えている 10 1 ) 0. c). 変更資本鯛連. 資本調達方策が企業の従来存在した資本構造を根本的に変更するときには, 変更資本調 達といわれる 102) 。 この点, H. テンドリ ー とE. グセルは, 変更資本調達の特徴について, 「拡張資本調達とは対照的に, 全く 異常な状況が経営活動の強制的な縮小 (Reduktion) を 惹起しない限り, 変更資本調達は基本的には経営規模の変化を全く もたらさないため, 変 更資本調達は, 従来の経営規模の維持下で変更が資本調達に お いて行なわれることによ り, 特徴付けられる。反面, すべての経営に お いて, 財務構造で常に小さな変更は現われ るが, 基本的には, 新しい方式 (Weg) が始められ, 新しい資本が利用されるように, 財 務上の基礎が全く 新しい構造を採るときにのみ, 変更資本調達といわれる」1 03) と述べて 99) 100) 101). 102) 103). Tondury, H. u. Gsell. E.: Finanzierungen. S.211. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.212.. この点• H. テ ン ドリ ー と E. グセルは. 社債を取りあげ.「通常の社債による借入れは. 私企 業に対 し てたいていほ ぼ10年か ら 15年間に亙 っ て確定的に導入される が. 貸付金とその他の信用 により不利な影響力 が企業に対 し て行使されるよ う な個 人的な影響力 が. こ こでは欠落 し ている ため, 好都合な資本調達手段 (Finanzierungsmittel) を意味する。 資本市場で支配 し ている客 観的な利子率の利用により, 企業は し ば し ば安い資本を長期間に亙 っ て確定的に調達で きる。 社 会 (Offentlichkeit) に対する企業の立場 が悪化 しない限り, 貸付期間の経過後に. ま た. 新 し い借入れの採用 (つな ぎ) によりその財務上の基礎を維持で き る. 状態に企業はある。 このよう な 処 置 は とり わ け 公 益 的 な 法 人で は 通 常 行 な わ れて い る」 (Tondury, H. u. Gsell. E. : Finanzierungen. S.214.) と述べている。 Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.92. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.221. -1 4 0 (36 0 )一.
(19) H. テ ンドリ ー とEグセルの 資本調達論につ い て の 一考察(牧浦) いる。 このため, 設備の資本需要が非常 に強く増大するとき に, 拡張資本調達ととも に, 変更資本調達が必要 になる ケ ー スを除けば 104), まず, 単なる資本での変更として, 資本需 要とその補償の間での正し い 割合の再形成と, 良好な資本調達の可能性の利用が目指され る 1 05) 。 また, 変更資本調達は, 他の企業形態が選択されるとき に, 該当する。 とりわけ, 個人企業もしくは人的会社の株式会社への変換は, これにより企業の個人的な貢任 ( Haf tung) が廃止されるため, 資本需要と多様な資本種類 による補償の可能性で徹底した変化. をもた ら す。 複数の企業の合同, フ ジオ ー ンは, フ ジオ ー ンされる経営 にとって常に 変更 資本調達を意味するの に対して, 新た に形成される企業の観点か ら みれば, 創立資本調達 を意味する 1 06) 。 この点, 彼 ら は, 「実践では, と にかく株式会社 に お いて, もっともわずか にしか特殊な企業目的 に 拘束されてお ら な い ため, 企業形態の変更は見 ら れな い 。 これ に 対して, 変更資本調達 に より, … …特殊な状況, たとえば, 事業目的の変更や 個人的な資 本参加の交代, が内部で生ずれば, これ ら は企業の法律形態 に対して影響力を及ぼしうる。 そこで生ずる問題は, 改組 ( Umgrtidung) やフ ジオ ー ンなどとして検討する, 特殊な取り 扱 いを正 当化する」1 07) と述べて い る。 とこ ろ で, 前者の改組につい て, H. テンドリ ー とE. グセルは, 「包括的な変更資本調 達が企て ら れる, 多数の ケ ー スは改組である。 これ により企業の法律形態が変え ら れ, 同 時 に また, 完全 に新しい観点が注目され, しばしばまた資本形成 (Kapita! beschaffung) の全く新し い 方法が採用されるべきである程 に, 資本調達の基礎が変化する。 法律上の 組織. しかもと に かく,. 責任関係 (Haftungsverhalt) と,. これ に 基づく客観的な信用. (Kredit) は, 改組のた い て い の ケ ー ス に お い て, 徹底した変更をもた ら す。 これにより,. また改組は一般の変更資本調達とは区分される」 1 08) と述べて い る。 その際, 改組がもた ら される根拠は, とりわけ, 企業の正常な成長 に よる資本需要であるが, 異常なものとして は, 経営活動の廃合 (Zusammenschrumpfung) と いう物理的な状況や, 相続の調整など と い う人為的な理 由が考え ら れる 1 09) 。 しかもまた, 個人企業と人的会社では, 増大した資 本需要がこれ ら 企業形態での調達可能な資本の範囲を越えるか, 経営管理 に対して本質的 な影響力を及ぼす, 追加の人員採用を回避すると いう動機や, 株式会社の有限責任が, こ. 1 04) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.222. 1 05) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.222. 1 06) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.92 u. S.248. 1 07) Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.227. 1 08) Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.245. 109) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.245-247. - 1 4 1 ( 36 1 )-.
(20) 第45巻 第 2 号 の法律形態への改組の動機を形成している 1 10) 0 他方, 後者の 「 フ ジ オ ー ンは, 全く共通して, 2 社もしくはそれ以上の企業が 1 つの経 済単位に合併すること (Verschmelzung) と解される」 1 1 1 ) が112> , 実践上では,最低でもあ る企業の資本の 50% が他の企業の それと合 ー されるときに, 初めて, フ ジ オ. ー. ンと呼. べ1 1 3), 独 自 の事業能力と決定能力の放棄, 他の企業に対する, 全般的, 永続的でかつ明白 な依存関係のみが, フ ジ オ ー ンという合併の特徴とみなされうる 1 14) 。 この点, H. テンド リ. ー. と E. グセルは,「多数の移転 (Transaktion) —設備や経営手段などの売却—は,. 企業の資産側にのみ関係するのに対して, フ ジ オ ー ンは, フ ジ オ ー ンされる企業の資産側 とともに, 資本側にも関係する。 これにより, 個々の資産手段が他のもの (すなわち, 代 償 (Entgelt)) と取り替えられるだけではなくて, むしろ, 同時に資本部分も委譲される ため, 企業は完全に消滅する。 その事業活動は結果として後退し, 最終的には他の企業で の完全な編入 (Aufgehen) をもたらしうる。 全く資本調達の観点からすれば, 真の フ ジ オ ー ンのこのような特徴が特に重要である」 1 1 5) と述べている。 また, フ ジ オ ー ンでは, 合 併されるべき企業の法律形態が重要である。. 一. 般には, フ ジ オ ー ンは, 同 一の法律形態の. 企業間で実施される。 し かしながらまた, たとえば, 株式会社の株式合資会社との フ ジ オ ー ンのように, 企業の他の法律形態への移行も可能であり, そこでは, 合ー (Vereini gung) とともに, 改組が行なわれる。 例外を除けば, 解散 (Liquidation) を伴わない フ. ジ オ ー ンという簡略化された規定は, 債権者の保護にとっ て, 問題はない。 解散について の規定のみが注 目 されるべきである 1 1 6)。 この点,H. テンド リ ー と E. グセルは,解散を伴 う フ ジ オ ー ンについて,「この手続きは企業の早急な合ーには少ししか適当ではない。. 一. 般. の民法の規定に従っ た, 資産構成対象の移転は, 全く回りくどく, しかもしばしば割高で ある。 連続的な解散はたいてい長期間かかり, 一般的には全体の解散期間中は全くもしく. l lO) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.248 u. S.251. 1 1 1) Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.262. l l2) この点. 改組と フ ジ オ ー ンの差異につ いて' H. テンドリ ー とE グセ ルは, 「 改組は. フ ジ ォ ー ンとは. 全 く 追加の企業が分析 (Auseinandersetzung) において関係 さ せ られないことに より, 区別 さ れる。 拡張と関連した 改組では. 他の人員が資本参加できるのに対して, 他の経済 単位は概念上参加より除外 さ れている。 これが妥当 しなければ. 経済上では既に少な く とも部分 的には フ ジ オ ーンといえる」 (Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.245. FuBnote L) とか, 「改組の帳簿上での描写は. フ ジ オ ー ンとある種の類似性を示すが. 改組 では既に存在 する企業との合併が全 く 行なわれないことが常に注目さ れる」 (Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.252.) と述べている。 1 13) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.263. l l4) VgL Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S .264. l l5) Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.265. l l6) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E.: Finanzierungen. S.268. - 1 42 (362)-.
(21) H. テン ド リ ー と E. グセルの 資本調達論についての 一 考察 (牧浦) は少ししか成果がもたらされな い ため, 大き な 損失をもたらす。 と い うのは, このための 適 当 な 資産部分の移転により, 全く 正常な 事業活動が中断されるからである。 しかも, 解 散を伴わな い フ ジ オ ー ンと い う特殊規定が適用され な い 限り, 他の方法は全く な い 」 1 17) と述べて いる。 とこ ろ で, フ ジ オ ー ン契約では,引き継がれる資産状態と負債状態が重要である 1 18) 。 こ の点, H. テンドリ. ー. とE. グセルは, 「そこでは, 引取価格と代償の種類の問題が検討さ. れる。 これが, た だ委譲される事業の価値が検討されるのみでは な く て, むしろ また, 委 譲を受ける事業の価値についても考慮されるべきであるため, フ ジ オ ー ン契約のも っ とも 困難 な 問題である」1 1 9) と述べている。 そこでは, 常に, 企業の将来の運命に従 っ て企業の 全体価値を見つけることが問題にされるが, H テンドリ. ー. とE. グセルは, 「将来が決定. 的 な 評価の観点を意味することは明らかである。 過去と現在は, これらがも ち ろん将来に 対する不回避的な根拠を意味する点で, 重要である。 しかしな がら, 売却値の最終決定に と っ ては, 企業の唯一 でかつ評価されるべき将来値が決定的である。 このため, 過去値と 現在値に依存するすべての計算は, その展開に関して条件付きで調べられ, 適当に修正さ れるべきである。 変更資本調達から生ずる考察様式にと っ ては, このような確認が, ここ では全く 財務上の方策により分析 (Auseinandersetzung) が行な われるため,特に大切で あるが, この分析は, 時間上 2 つの段階, つまり, 過去と将来を明確に区分する。 この意 味で, 現在は, 分析の動機 (Moment) であり, 区分時点として 2 つの段階を相互に分け る」120) と述べて い る。 この点, 彼らは, 「一般には, 統合された, 有機的 な 活動 (organi sierende Tatigkeit) により,企業は,個 々 の孤立した資産部分で具体化されるよりも,よ り高 い価値を呈示する。 企業観 (Unternehmungsidee) それ自体,諸活動が行な われる特 殊 な 領域,(調達と販売の領域での)市場との諸関係,並びに, … … 内部経営での組織上と 技術上の特性が, 各企業に, たと い 唯一では な く ても, ある種の独自性を与える, 要素で ある。 このような価値は非常に高 い 成果 (Ertrag) に現れる。 全体としての企業の価値に と っ て,これら成果,つまり, 利益 (Gewinn) のみが決定的である。 その他のあげられた 価値の構成部分のすべてとその合計は, 成果値の意義を削減できな い 。 企業がその所有者 にもたらす,所得 (Einkommen) , その金額と永続性 (Dauerhaftigkeit) は,経済的 な観 1 17) Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.267. 1 18) Vgl. Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.272. 1 19) Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.273. 120) Tondury, H. u. Gsell, E. : Finanzierungen. S.229. ; Vgl. Schmalenbach, E. : (Finan zierungen) Finanzierung. 4.Aufl., Leipzig 1 928. S.2. (参照。 鍋島達訳 『会社金融論J 同文舘 1932年 3 頁) - 1 43 ( 363 )-.
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また自分で育てようとした母親達にとっても、女性が働く職場が限られていた当時の
○福安政策調整担当課長
基準の電力は,原則として次のいずれかを基準として決定するも
いてもらう権利﹂に関するものである︒また︑多数意見は本件の争点を歪曲した︒というのは︑第一に︑多数意見は
それゆえ︑規則制定手続を継続するためには︑委員会は︑今
夫婦間のこれらの関係の破綻状態とに比例したかたちで分担額
にちなんでいる。夢の中で考えたことが続いていて、眠気がいつまでも続く。早朝に出かけ
都調査において、稲わら等のバイオ燃焼については、検出された元素数が少なか