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超音波顕微鏡による皮脂腺の可視化と皮膚粘弾性との関連に関する研究

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Academic year: 2021

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超音波顕微鏡による皮脂腺の可視化と皮膚粘弾性と

の関連に関する研究

著者

熊谷 和敏

63

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

医工博第77号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00126465

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1 氏名 熊谷 く ま が い 和敏 か ず と し 学 位 の 種 類 博 士(医工学) 学 位 記 番 号 医工博 第77号 学位授与年月日 平成31年 3月27日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 、 専 攻 東北大学大学院医工学研究科(博士課程)医工学専攻 学 位 論 文 題 目 超音波顕微鏡による皮脂腺の可視化と皮膚粘弾性との関連に関する研究 論 文 審 査 委 員 (主査)東北大学教 授 西條 芳文 東北大学教 授 永富 良一 東北大学教 授 吉信 達夫

文 内 容 の 要 旨

第1章 序論 すでに65 歳以上の人口割合が 21 %を超え、超高齢社会に突入した本邦では、加齢に対する国民の 関心がますます高まっている。加齢のうち脳とならびヒトの2大加齢変化のひとつであり、外観上の 変化のため自覚しやすいのが皮膚の加齢である。これまで加齢にともない皮膚の内部構造が変化し、 皮膚全体としての粘弾性に変化をもたらすことが報告されている。しかしながら皮膚内部構造と粘弾 性との関連性は、種々の内部組織構成要素の機械特性が複雑に影響しあうことから未解明な点が多い。 第2章 先行研究の分析 皮脂腺は皮膚の真皮層で最も大きな構造物であるが、これまでその構造や物性を in vivo で評価する 方法は確立されておらず、特に構造と粘弾性との関連性についてほとんど報告されていない。そこで 本研究の目的は、皮脂腺構造の定量的な in vivo 評価方法を確立し、皮脂腺構造と皮膚粘弾性との関連 性を示すこととした。先行研究の組織学的な ex vivo 評価において、皮脂腺の構造は、被験部位、被験 者の年齢、被験者の性別の影響をおおいに受けることが報告されていることから、特に上記3点に着 目し、皮膚粘弾性との関連性を示すことを目指した。 第3章 超音波顕微鏡による生体ヒト皮膚の可視化と皮脂腺構造の定量的評価方法の確立 in vivo での皮脂腺構造の可視化に必要な空間分解能と深達度を両立させた中心周波数120 MHz の 超音波顕微鏡を開発した。トランスデューサーは機械的にスキャンされ、X 方向 4.8 mm、Y 方向 4.8 mm、Z 方向 1.5 mm の領域の三次元信号データが取得された。信号処理により X-Z 断面画像に対応 するB モード画像として画像化することに加えて、複数の B モード画像を三次元再構築することで、 任意の断面で可視化可能な多断面再構成(Multi Planar Reconstruction : MPR)画像としても観察し た。本システムを用い、有意な皮膚疾患を認めない男性被験者2名の頬と前腕部の皮膚の計測を実施 し、B モード画像と MPR 画像を示した。これらの結果から、皮膚表面より深部約 1.2 mm までの可 視化が達成され、皮脂腺を含む皮膚内部構造が明瞭に観察されることを述べた。 また、新たに開発した超音波顕微鏡による in vivo 評価においても先行研究と同様に皮膚表面より深 部約900 µm 層において皮脂腺が最も多く観察されることから、皮脂腺構造の可視化を定性的に確認 した。さらに皮脂腺構造の定量評価指標として、皮脂腺密度、皮脂腺断面平均サイズ、皮脂腺占有率

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2 の3指標を提案し、先行研究の ex vivo による組織学的な評価結果と比較することで定量的に妥当性を 確認した。これらにより、超音波顕微鏡による in vivo での皮脂腺構造の定量評価方法を確立した。 第4章 皮脂腺構造と皮膚粘弾性との関連性 ~被験部位の影響~ 第4章から第6章では、有意な皮膚疾患を認めない男女被験者に対して、第3章で確立した超音波 顕微鏡による皮脂腺構造の定量評価と、すでに確立している物理的な変形を光学的に計測する方法を 用いた皮膚粘弾性の評価を実施し、それらの関連性を検討した。第4章では、皮脂腺の構造がおおい に異なる頬と前腕を被験部位とし、被験部位間の違いに着目し関連性を解析した。 皮脂腺断面平均サイズは頬と前腕ともに皮膚粘弾性に対して統計的に有意で、かつ同様の相関が認 められたことから、本指標は被験部位によらず皮膚粘弾性との関連性が高い皮脂腺構造の定量評価指 標である可能性が示された。本結果は、これまで報告されていない皮脂腺構造と皮膚粘弾性との関連 性を直接比較検討したものであり、新たな知見を獲得することができたといえる。 第5章 皮脂腺構造と皮膚粘弾性との関連性 ~年齢の影響~ 20 歳代後半から 30 歳代前半において皮膚内部構造は急激に変化し、この変化は加齢による初期の 変化であるため初期老化と定義されている。第5章では、この初期老化に着目し、有意な皮膚疾患を 認めない20 歳代から 30 歳代の女性被験者の皮脂腺構造を評価し、皮膚粘弾性との関連性を検討した。 皮脂腺断面平均サイズと皮膚粘弾性は、20 歳代グループと 30 歳代グループにおいて逆の相関傾向 がみられた。ここから初期老化が発生すると言われている 30 歳前後の年齢において、皮脂腺構造と 皮膚粘弾性との関連性に急激な変化が発生している可能性が示唆された。これまで初期老化に着目し た皮脂腺構造の報告は少なく、皮膚科学の発展に有益な新たな基礎データを報告することに成功した。 第6章 皮脂腺構造と皮膚粘弾性との関連性 ~性別の影響~ 第6章では、同一年齢層の男性被験者と女性被験者の同一被験部位の評価から、皮脂腺構造と皮膚 粘弾性との関連性への性差による影響について検討した。被験部位は、第4章で皮脂腺密度と占有率 が有意に高いことを示された頬とし、被験者の年齢は、第5章で皮脂腺密度と占有率が有意に高いこ とを示された20 歳代とした。 男性被験者と女性被験者のすべての皮脂腺構造の定量評価指標が皮膚粘弾性との関連性において 同様の相関傾向を示したことから、性差による影響は限定的である可能性が示唆された。 第7章 結論 本研究では、超音波顕微鏡による in vivo での皮脂腺構造の定量評価方法を確立し、皮脂腺構造と皮 膚粘弾性との関連性について統計的に有意な関連性を示すことに成功した。本研究における皮膚の構 造と粘弾性との関連性の解明により、美容・化粧品分野での製品開発や形成外科分野での新規治療法 の開発に寄与することが期待される。

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

皮膚内部構造と粘弾性との関連性は、種々の内部組織構成要素の機械特性が複雑に影響しあうこ とから未解明な点が多い。本論文は、皮脂腺構造のin vivo評価方法を確立し、皮脂腺構造と皮膚 粘弾性との関連性を示す研究の成果をまとめたものであり、全文7 章よりなる。 第1 章は序論であり背景と研究の価値を示し、本論文の全体構成を提示している。 第2 章は先行研究における課題を的確にとらえることで、本論文の目的を、皮脂腺構造のin vivo 評価方法を確立し、皮脂腺構造と皮膚粘弾性との関連性を示すことと明確化している。 第3 章ではin vivoでの皮脂腺構造の可視化に必要な空間分解能と深達度を両立させた中心周波 数120 MHz の超音波顕微鏡を開発し、取得された B モード画像を三次元再構築することで、任 意の断面における皮膚組織の画像化を可能にし、さらに、皮脂腺密度、皮脂腺断面平均サイズ、皮 脂腺占有率の3 つの皮脂腺構造の定量評価指標を定めることで、超音波顕微鏡による皮脂腺構造の 定量評価方法を確立したことを述べている。 第4 章では被験部位間の違いとして、男性被験者の頬と前腕の計測により、皮脂腺断面平均サイ ズが頬、前腕ともに皮膚粘弾性と統計的に有意に相関し、かつ両部位で同様の傾向が認められたこ とから、本指標が皮膚粘弾性との関連性が高い指標であることを示した。 第5 章では皮脂腺断面平均サイズと皮膚粘弾性は 20 歳代後半女性グループと 30 歳代女性グル ープにおいて逆の相関傾向がみられたことから「初期老化」が発生すると言われている30 歳前後 の年齢において、皮脂腺構造と皮膚粘弾性との関連性において急激な変化が発生している可能性が 示された。 第6 章では平均年齢に差が認められない 20 歳代の男性と女性グループにおける計測から、皮脂 腺構造と皮膚粘弾性の関連性について性差による影響は限定的である可能性が示された。 第7 章では結論と今後の展望を述べている。 以上要するに本論文は、超音波顕微鏡による皮膚評価方法を確立させ、皮脂腺構造が皮膚粘弾性 に関連することを示したもので、生体計測工学の発展に寄与するところが少なくない。 よって、本論文は博士(医工学)の学位論文として合格と認める。

参照

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