「音」のデザインの基礎知識
2
0
0
全文
(2) Vol.2017-MUS-115 No.8 2017/6/18. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 製品価値を与えるものとして捉えることを特徴とする[3].. インを行う上で重要な点は,デザインの対象となる空間の. 要するに,単なる騒音制御(静音化)の実現に留まること. 音を「環境音(自然音)」 「情報音(サイン音)」 「演出音(BGM)」. なく,製品音の「快音化」を通して,製品の魅力や付加価. などに分類し,それぞれの音を最適化するとともに,全体. 値を大きく高めることができる.製品の外観や性能だけで. としてバランスのとれた音環境を創造することである.快. なく,音が魅力の製品づくりも可能である.製品から発生. 適な音環境づくりのためのサウンドスケープ・デザインの. する音は,製品の一部であり,デザインの対象となる.. 重要性はますます高まっている.. 3.2 サイン音のデザイン. 3.4 映像コンテンツの音のデザイン. 我々の生活空間の様々な場面において,視覚情報サイン. 通常,テレビや映画などの映像メディアは映像だけでは. (ピクトグラム)だけでなく,電子音などを用いた聴覚情. 成り立たない.必ずといっていいほど,台詞や音楽,効果. 報サインが多用されている.サイン音というのは,危険を. 音などの音を伴っている.これら映像に付加する音は,映. 知らせる警報とか,電話の呼出音とか,洗濯機や電子レン. 像表現を高めるために選択され,秩序を立てて使われてい. ジの終了音のように,メッセージを伝える音のことである. る.一般に,音声は物語の進行を,音楽は場面の雰囲気の. [4].そのうち,家電製品の利便性に関連したサイン音は,. 設定を,効果音は多様な演出を担うものとして用いられて. 「報知音」とも呼ばれている.現在,報知音の設計指針は,. いる[7].. 日本工業規格(JIS S 0013: 2011, JIS S 0014: 2013)と国際標. 映像作品の良し悪しは,音と映像の調和感(心内での視. 準化機構(ISO 24500: 2010, ISO 24501: 2010)において,主. 覚情報と聴覚情報の融合の良さ)と強い相関があり,評価. に周波数や音圧レベルなどの音響パラメータが定められて. の良い映像コンテンツを制作するための定石は,音と映像. いる.. の「①構造的調和」,「②意味的調和」,「③変化パターンの. サイン音は,情報伝達を目的としているため,健聴者だ. 調和」を図ることである.それぞれ①は,音と映像の聴覚. けでなく,視覚障がい者や高齢者にも配慮した「音のユニ. 的アクセントと視覚的アクセントの同期によって形成され. バーサルデザイン」が必要である.つまり,誰もが聞いて. る調和感である.②は,音と映像の視覚的印象と聴覚的印. も分かりやすくて覚えやすいサイン音が求められている.. 象を一致させることによって形成される調和感である.③. 最適なサイン音をデザインするためには,何のメッセージ. は,音と映像の変化パターンを一致させることによって形. を伝えたいか「機能イメージが明確な音」でなければなら. 成される調和感である.大きな感動をもたらす映像作品の. ない.また,音とメッセージの対応を覚える必要があるた. ほとんどの場合,音と映像の間で調和のとれたものが数多. め,/ピッ/や /ピンポン/などのように「擬音語で表現しや. い.. すい音」でなければならない. 3.3 サウンドスケープ・デザイン. 4. おわりに. 我々の身の回りには,多種多様な音があり,様々な形で. 我々の日常生活の中の至るところにデザインされた音. 人間とかかわっている。サウンドスケープというのは,カ. (「製品音」や「サイン音」, 「風景の音」, 「映像の音」など). ナダの作曲家 R. マリー・シェーファーによって提唱され. が存在しているが,普段音そのものは,デザインの対象と. た概念で,sound(音)と~scape(~の眺め)の複合語で,. して認識されることは少ない.本チュートリアルでは,音. 視覚的な景観(landscape)に対して音の風景,聴覚的景観. のデザインの基礎知識について解説してきたが,身の回り. といったことを意味する[5].. にある様々な音をデザインの視点から見つめ直すことによ. サウンドスケープ思想の特徴としては,音環境を従来の. って,新たな付加価値を生み出すことができる.視覚分野. 要素主義の立場から捉えるのではなく,音を環境の中で風. におけるプロダクト・デザイナーなどと同様に,聴覚分野. 景として社会とのかかわりの中で全体的に把握しようとす. における音響デザイナーやサウンド・デザイナーの存在は. る姿勢である.もう 1 つの特徴は,音環境といったときの. 欠かせない.今後,音のデザインの研究や教育を通した専. 環境について, 「①機械論的環境観」から「②意味論的環境. 門デザイナーを養成することが大きな課題であろう.. 観」へと見方を変えていこうという姿勢である.①では,. 参考文献. 環境は,主体(人)とは無関係に存在する,周囲の物理的. [1] [2]. 状況に過ぎない.一方,②では,環境は主体によって意味 や価値づけられ,構成された世界である. 最近,音環境のデザインに対する関心が高まってきてい るが,サウンドスケープ・デザインを行うとき,その音が どのような環境において誰に聞かれるのか,どういった意 味を持ち,実際にどのように聞こえるのかを予め考えるこ とが非常に重要である[6].また,サウンドスケープ・デザ. ⓒ2017 Information Processing Society of Japan. [3] [4] [5] [6] [7]. 高田正幸.音響キーワードブック.コロナ社,2016,58-59p. 岩宮眞一朗.音のデザイン~感性に訴える音をつくる~.九 州大学出版会,2007. 大富浩一,穂坂倫佳,岩田宣之. 製品音のデザイン.東芝レ ビュー, 2007, vol. 62, no. 9, p. 50-54. 岩宮眞一朗.サイン音の科学~メッセージを伝える音のデザ イン論~.コロナ社,2012. 岩宮眞一郎.音の生態学~音と人間のかかわり~.コロナ社, 2000. 船場ひさお.音響キーワードブック.コロナ社,2016, 42-43p. 金基弘.音響キーワードブック.コロナ社,2016,22-23p.. 2.
(3)
関連したドキュメント
C =>/ 法において式 %3;( のように閾値を設定し て原音付加を行ない,雑音抑圧音声を聞いてみたところ あまり音質の改善がなかった.図 ;
いかなる使用の文脈においても「知る」が同じ意味論的値を持つことを認め、(2)によって
うのも、それは現物を直接に示すことによってしか説明できないタイプの概念である上に、その現物というのが、
睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている
停止等の対象となっているが、 「青」区分として、観光目的の新規入国が条件付きで認めら
る、というのが、この時期のアマルフィ交易の基本的な枠組みになっていた(8)。
また適切な音量で音が聞 こえる音響設備を常設設 備として備えている なお、常設設備の効果が適 切に得られない場合、クラ
巣造りから雛が生まれるころの大事な時 期は、深い雪に被われて人が入っていけ