Title
子宮内膜癌細胞のホルモン依存性増殖へのPTENの関与( は
しがき )
Author(s)
横山, 康宏
Report No.
平成14年度-平成16年度年度科学研究費補助金 (基盤研究
(C)(2) 課題番号14571552) 研究成果報告書
Issue Date
2004
Type
研究報告書
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/728
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研究成果 子宮内膜癌は近年羅患率が急上昇している癌種の一つであり、この90%以上を占める EndometrioidadenocarCinomaは、エストロゲンがその発生に関与している。局所のエストロゲン過 剰状態が長く続くことによって、持続定な子宮内膜の増殖克進が起こり、過形成を経て癌へと進窄 して行くと考えられている。このエストロゲン作用に括抗しその作用をうち消すプロゲステロンおよて
プロゲステロン製剤は、その治療薬として最も効果が期待でき、かつ副作用が少ない薬剤として辟
床上極めて重要である。しかしこの薬剤効果が期待できるのは、ホルモン依存性を留めているも¢ に限られる。性ステロイドホルモンが細胞増殖機構に及ぼす機序として、性ステワイドホル羊ンの粥細胞への直接作用の他、性ステロイドホルモンによって誘導される様々な増殖因子を介した
autocrine,paraCrine機構がその現象に関与していると考えられる(DicksonRB,Science,232,154 1986)。癌抑制遺伝子PTEN/MMACl/TEP-1(PTEN)は乳癌、子軍内膜、前立腺癌で高頻畢に遺伝二
変化が奉ることが報告されている(LiJ,S?ience,27年,1943,1997)。これらの癌では典通して発生‡
細胞が性ステロイド受容体ファミリーを有し、性ステロイドホルモンがその発癌に関与している。子
宮内膜癌では、PTENの遺伝子異常は子宮内膜癌発癌過程の比較的早期に発生してくることがラ られ、この時相はステロイドホルモン受容体の欠失、ステロイドホルモン非依存性増殖の獲得と相 前後している。このことは、PTENの遺伝子変化が子宮内膜癌のホルモン依存性の欠失に何だカl の影響を及ぼしていることは容易に推察できる。実際、同じエストロゲンが発癌に深く関与してい々 乳癌の培養細胞を用いた実験でPTENがERaの燐酸化に関与していること、これが乳癌細胞のニストロゲン依存性に関連している可能性が報告されている(CampbellRA、JBC,276,9817,2001).
また乳癌細胞では様々な増殖因子がチソリンキナ←ゼ型膜受容体を介してMAPKを活性化し、
ERa蛋白質のSer-118を燐酸化し、エストロゲン不応性を誘発していることが知られている(Kato!
● Science,270,1491,1995)。しかしながら子宮内膜癌申発癌機構におけるエストロゲ㌢の関与は乳 癌とは同一ではなく、また乳癌の治療薬でエストロゲン括抗剤Tamox脆nが子宮内膜癌ではかえ■ て増悪をもたらすなど、エストロゲンめ影響は乳癌と子宮内膜癌では異なっている。 我々はPTENの異常が子宮内膜癌細胞のホルモン依存性増殖にいかに関与しているかを明・かにし、PTEN遺伝子を操作することによってプロゲステロン製剤を含めた抗腫瘍薬剤の子宮内月
癌に対する治療効果を高めることを目的とするム 方法(1)親株、PTEN遺伝子導入株のエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体の状態をエスト
ゲン結合能や親和性をスキヤチャード解析で、発現量を免疫染色で比較検討する。
(2) エストロゲン受容体(ER・,ER・)の燐酸化の状態をメタポリックラベリングして免疫沈降反F 4=エヽ→ljI▼・1ト ▲-アー仏書 J 2ヽノ声ち鹿(3)性ステロイド代謝酵素としてご細胞の性ステロイド反応性への関与が報告されている、アロ マターゼ、1▲7bてヒドロキシステロイドiデヒドロゲナーゼ、エストロン・スルファターゼ、エストロ ゲン・スルフォトランスフエラーゼの活性変化を検討する。 (4) 性ステロイドホルモンは、細胞に対する直接作用の他、セカンドメッセージとして癌細胞か
らまたは問質細胞から増殖因子を産生・分泌させ、これが更にAutocrine/ParaCrineとして
癌細胞の増殖克進に作用している事が知られている(DicksonRB,Science,232, 1540,1986)。これに関わる増殖因子として、上皮成長因子(EGF),TGF・・・FGF,IGF-1, HGF等が知られている。これらの増殖因子のほとんどは膜貫通型チロシンキナーゼ受容体を介して、細胞に影響を与える。その伝達経路としてMAPKinaseを介したシグナル伝
達系の他、PTENが関与するPI3K-Akt/PKBシグナル伝達経路の関与の可能性も考えら れている。我々はこれらの増殖因子が関与する増殖調整機構に、PTENが関与しているか を検討する。 (5)これらの増殖因子が細胞増殖に与える影響を、親細胞、PTEN導入細胞で比較検討すそ
PTEN関与が疑われる増殖因子があった場合、増殖因子添付下でAkt/PKBの発現量、燐酸化Akt/PKBの量的変化、p21,p27の変化を免疫沈降反応・ウエスタンプロットで検討
する。 研究成果 (1)遺伝子組み替えアデノウイルスはまずpcDNA3のPcmvの下流にPTENcDNAをサブク仁一ニングし、発現カセットをpShuttleベクターを経由してpAdenoXベクターにサブクロ」ニ
ングした。HEK293パッケージング細胞に形質転換し、遺伝子組み替えアデノウイルフ DNAを導入し、遺伝子組み替えウイルス粒子を作成した。このウイルスを、PTEN-nullの子 宮内膜癌細胞イシカワ株に感染させ、遺伝子導入した。導入細胞ではウイルス濃度依宥 性にPTEN発現の増強が見られたが、高濃度ではアポトーシスに陥る傾向が強くかった。 (2)遺伝子導入細胞を用いて、増殖因子感受性の変化を検討した。増殖因子のうちEGF IGF-ⅠではPTEN発現細胞で明らかな感受性の増強が見られ、50-100ng/mlの濃度で細 胞増殖を180%増強した。これらの細胞では、PTEN遺伝子導入によって一且燐酸化Ak・ のダウンレギュレーションが観察されたが、EGFの培地添加によって燐酸化Aktの増加カこ観察され、PIP3/Aktのシグナル伝達系がEGFによって活性化された結果と考えられた。
(3)PTEN遺伝子導入によるエストロゲン受容体の変化をウエスタンプロットで検討した。PTEr
遺伝子導入によってERbetaのアップレギュレーションが観察されたが、燐酸化ERbetaO:
発現量には変化がなかった。一方ERalphaはPTEN導入によって総量の変化はないも¢ の、燐酸化ERalphaは減少し、PTENがエストロゲン受容体の機能や発現量に影響を与ヌ析したところestronesulfatase,17beta-hydroxysteroiddehydeogenasetypelの発現量の 増加が見られ、PTENは細胞内でElの合成に関与していることが示唆された。