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バルビツール酸誘導体を用いた耐変色性歯科用常温重合レジンの研究

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Academic year: 2021

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Title

バルビツール酸誘導体を用いた耐変色性歯科用常温重合レ

ジンの研究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

長谷川, 明

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第121号

Issue Date

2000-03-24

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1842

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名 (本籍) 学 位 の 学位記 号番 号 学位授与年月 日 専 攻 学位論 文題 目 長谷川 明(愛知県) 博 士(工学) 甲第121号 平成12 年 3 月 24 日 物質工学専攻 パルピッール酸誘導体を用いた耐変色性歯科用常温重合レジンの研究 (Study on Color Stability of Autopolymerizing Acrylic Resins

with Barbituric Acid Derivatives)

学位論文審査委員 (主査) 教 授 三 輪 賓 (副査) 教 授 大久保 恒 夫 教 授 炉 知 之 教 授 元 島 栖 二 助教授 武 野 明 義

論文内容の要旨

歯科用常温重合レジンは,テンポラリークラウンや破折義歯床の修理用として,その操 作性の簡便さから,一般の臨床で広く用いられている。その常温重合レジンのほとんどは 粉液タイプで,粉剤中に過酸化ベンゾイル(BPO)を用いた硬化物は,口腔内で経時的に黄変 する。近年の歯科医療では,単に機能の回復にとどまらず,審美的にも優れた材料の開発 が望まれ,特に,顎関節の治療に用いられるスプリントや歯科矯正に用いられるレジンは 顔料を含ま寧いので,この硬化物の黄変は敦命的な欠点である。 この欠点を解決するために,本研究では,従来の2元系触媒に代わる新しい触媒として, バルビツール酸誘導体,第4級アンモニウム塩それに有機金属化合物からなる3元系触媒 の最適組成を検討し,その有効性を確認した。さらに,半透明である歯質の色調と透明性 の評価方法を確立し,天然歯の色調と透明性の基礎資料もあわせて得ることができた。 本論文は,8章からなっており,第1章において,本研究の背景および目的について述 べた後,第2章以下に開発の過程,経緯とそれらの結果をまとめた。その概要は,以下の 通りである。 天然歯の色調は,加齢とともに明度が減少し,赤みと黄みが増加し,切端部から歯頸部 にかけても赤みと黄みが増加し,透明性が低下した。また,中切歯,側切歯,犬歯の色調 を比較した結果,犬歯が濃くみえるのは,明度が低く,赤みが強いことが原因であった。 これらの天然歯の基礎データは,将来審美的に満足の得られる常温重合レジンの色調と透

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多く臨床で用いられているシェードガイドであるLu皿inVicuumの色調は,日本人の天然 歯に比べて,歯頸部ほど赤みが少なく透明性が高いことが分かった。これらのシェードガ イドの測色結果は,我々の目視での感覚とほぼ一致した。本実験で用いた非接触の分光放 射型測色装置による方法は,天然歯やシェードガイドなど,曲面を有する対象物の色調や 透明性を計測する方法として妥当なものであることが確認された。 天然歯冠色を再現するための補綴物として,耐変色性歯科用常温重合レジンの最適配合 を,硬化時間,透明性(濁度),残留モノマー,分子量等により検討し,各種パルピッール 酸誘導体,第4級アンモニウム塩,有機金属化合物の3元系触媒から最適条件を見いだす ことを試みた。その結果,1-シクロヘキシルー5-エチルバルビツール酸(1.Opbr),ジラクリ ルジメチルアンモニウムクロライド(1.Ophr),アセチルアセトン銅(10ppm)を得た。 最適配合の3元系触媒からなる耐変色性歯科用常温重合レジンの変色を,従来の2元系 触媒からなる,過酸化ベンゾイルー芳香族第3級アミン(BPO-DMPT)を用いた常温重 合レジンと比較した。BPO.系は著しく黄変したが,本研究で決定した最適配合の耐変色性 歯科角常温重合レジンは,口腔内を想定した環境下(37℃,水中浸漬)でも,初期との色差 が,長期に渡り1以下で,色調変化が目視ではほとんど観察できず,耐変色性歯科用常温 重合レジンであることが確認できた。 本研究で開発した耐変色性歯科用常温重合レジンが,臨床での使用に耐えられるかを検 証するために,曲げ強度,硬度,義歯床との接着性などの力学的性質とテンポラリークラ ウンを考慮した支台歯との適合性について評価した。開発した歯科用常温重合レジンは, 従来から用いられている市販の常温重合レジンより優れ,口腔内での攻合や岨囁による攻 矧こ十分耐えうる優れた硬度を有していた。さらに,線収縮率は,従来のものより小さく, 辺縁からの2次鮪蝕を防ぐために重要な支台歯と極めて優れた適合性があった。 一般に,合成樹脂の変色は化学的劣イヒの一つとして考えられており,熱や光により発生 するフリーラジカルが起因していると言われている。そこで,本研究で得られたパルピッ ール酸誘導体を用いた歯科用常温重合レジン中のMMA生長ラジカル濃度を,ESR(電子 スピン共鳴法)により測定し,変色との相関を調べた。バルビツール酸誘導体を用いた歯 科用常温重合レジンのラジカル濃度は,BPO-DMPTを用いたレジンに比べて著しく低い ことが分かった。また,MMA生長ラジカル濃度と常温重合レジンの変色には高い相関が認 められた。特に,触媒系のみの変色とMMA生長ラジカル濃度との相関が高いことから, 変色は触媒系によるものと推察された。さらに,この相関が高いことから仁将来の変色を 短時間で予測することが可能となった。 21世紀を目前にした,高齢化社会への対応,快適さ,歯科医療の高度化,高品質化へ の対応を考えると,単に機能の回復ではなく,本研究で得られた変色のない歯科材料の開 発は,審美的な要求を満足させるために,大変大きな成果であろう。

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論文審査結果の要旨

本論文は,天然歯の色調と透明性の基礎資料を得ることに始まり,この色調を目標とし た,耐変色性歯科用常温重合レジンの新しい重合触媒の最適配合の決定と,その有効性を 検討し,その結果をまとめたものである。研究の成果は以下のように要約される。 ①天然歯の色調は,加齢とともに明度が減少し,赤みと黄みが増加し,切端部から歯頸 部にかけても赤みと黄みが増加し,透明性が低下した。また,犬歯が中切歯や側切歯より 濃くみえるのは,明度が低く,赤みが強いことが原因であった。これらの天然歯の基礎デ ータは,将来審美的に満足の得られる常温重合レジンの色調と透明性を,天然歯と合致さ せるための基礎資料となる。 ②臨床で視感比色に用いられる市販のシェードガイドの色調を,天然歯と同様な方法で 測色し,天然歯と比較した結果,現在最も多く臨床で用いられているシェードガイドであ る Lumin Vacuumの色調は,日本人の天然歯に比べて,歯頸部ほど赤みが少なく透明性 が高いことが分かった。これらのシェードガイドの測色結果は,我々の目視での感覚とほ ぼ一致した。 本実験で用いた非接触の分光放射型測色装置による方法は,天然歯やシェードガイドな ど,曲面を有する対象物の色調や透明性を計測する方法として妥当なものであることが確 認された。 ③天然歯冠色を再現するための補綴物として,耐変色性歯科用常温重合レジンの最適配 合を,硬化時間,透明性(濁度),残留モノマー,分子量等により検討し,各種バルビツ ール酸誘導体,第4級アンモニウム塩,有機金属化合物の3元系触媒から最適条件を見い だすことを試み,1-シクロへキシル・5エチルパルピッール酸(1.Oph),ジラウリルジメ チルアンモニウムクロライド(1.Ophr),アセチルアセトン銅(10ppm)を得た。 ④従来の2元系触媒からなる,過酸化ベンゾイルー芳香族第3級アミン(BPO-DMPT) を用いた常温重今レジンは著しく黄変したが,本研究で決定した最適配合の3元系触媒か らなる耐変色性歯科用常温重合レジンは,口腔内を想定した環境下(37℃,水中浸潰)でも, 初期との色差が,長期に渡り1以下で,色調変化が目視ではほとんど観察できず,耐変色 性歯科用常温重合レジンであることが確認できた。 ⑤本研究で開発した耐変色性歯科用常温重合レジンの曲げ強度,硬度,義歯床との接着 性などの力学的性質は,従来から用いられている市販の常温重合レジンより優れ,口腔内 での嘆合や岨囁による嘆耗に十分耐えうる優れた硬度を有していた。さらに,線収縮率は, 従来のものより小さく,辺縁からの2次離蝕を防ぐために重要な支台歯と極めて優れた適 合性があり,臨床での使用に充分耐えられことを確かめた。 ⑥一般に合成樹脂の変色は化学的劣化の一つとして考えられており,熱や光により発生

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重合レジンのラジカ/レ濃度は,BPO-DMPTを用いたレジンに比べて著しく低かった。ま た,MMA生長ラジカル濃度と常温重合レジンの変色には高い相関があり、特に,触媒系 のみの変色とMMA生長ラジカル濃度との相関が高いことから,変色は触媒系によるもの と推察された。さらに,この相関が高いことから,将来の変色を短時間で予測することが 可能となった。 以上,本論文は,将来の高齢化社会への対応,歯科医療の高度化を考慮した,耐変色性 の歯科用常温重合レジンの触媒を開発したもので,学術上,また実際の歯科医療への応用 上寄与するところが多い。よって本論文は博士(工学)の学術論文として価値あるものと 認める。

最終試験結果の要旨

平成12年1月 28日に学位論文の内容および関連した事項について試問を行った結 果,合格と判定した。

参照

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