Title
多点同時計測LDVによる二次元後向きステップ流れの流動
機構の解明( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
古市, 紀之
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第095号
Issue Date
1999-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1816
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氏名 (本籍) 学 位 の 種 類 学位記 号番 号 学位授与年月 日 専 攻 学位論文題 目 古 市 紀 之(愛知県) 博 士(工学) 甲第 95 号 平成11年 3 月 25 日 生産開発システム工学専攻
多点同時計測LDVによる二次元後向きステップ流れの流動機構の解明
(Analysis of the FloY Structure of a TYO-Ditnensi。nal
BackYard-FacingStep FloYbyUsing anAdvancedNulti-Point LDV) 学位論文審査委員 (主査) 教 授 若 井 和 憲 (副査) 教 授 山 下 新 太 郎
論文内容の要旨
はく離再付着流は、はく離、乱流せん断層、渦集中、再付着、再循環と各種の乱流 が共存しており、乱流モデルの多面的な評価ができる流れ場といえるので、この流れ 場において乱流モデルが確立できれば普遍的な乱流モデルの構築が期待されることか ら、各種乱流モデルの検証が行われている。しかし、はく離せん断層における大規模 渦構造や再付着領域における非定常の大規模変動について数多くの研究があるが、定 性的にとどまり、十分な解明が行われていない○ これは、はく離再付着流の非定常・ 三次元性と現象を把握するための有効な計測法の未開発が要因であると考えらる。本 論文は、瞬時の速度分布計池が可能な池定法を開発し、二次元後向きステップ流れに 適用し、再循環領域からはく離せん断層までの瞬時流速分布を時系列で得ることによ り、再付着に伴う流速変動のパターンや、はく離せん断層の挙動についての考察を行 った。また瞬時速度分布をはく離せん断層渦集中の強い領域と再付着領域の二断面に おいて同時計池することにより、特にはく離せん断層渦集中の強さによる再付着領域 の速度場の相隣=こついて考察した○ 本論文は、6章から構成されるものであり、以下、 各章の内容の要旨を述べる。 第1章では、本研究の背景について述べ,二次元後向きステップ流れについての従 来の研究と既存の各種計測法を総括している。シートレーザ光の使用により瞬時の逆 流を伴う流速分布を時系列で取得できる多点同時計汎LDVの開発は画期的で、渦を 伴う速度場の計汎には不可欠で、その成功の意義を強調している。 第2章では、逆流を伴った瞬時速度分布を時系列情報として計測可能な多点同時計 測LDVシステムを開発・構築し、その精度を検証している。システムの特徴は、シ ートレーザ光を使用することにより瞬時の流速分布を時系列で取得することができる こと、光源として半導体レーザ、散乱光の受光部として光ファイバユニットとAPD (アバランシェ・フォトダイオード)の使用により,′ト型かつ安価である。また、デ ータ取得を1ビットにて行うことにより必要なメモリ容量やA/Dコンバートに要す る時間を少なく、計測点数の拡大を計っている。主な仕様は、1チャンネルの測定体積が0・22×1・4×0・24mm3、最大計測可能幅は25mm、最大測定点数は32点、時間分解龍
一14-は最小25.6〟SeCである。開発したシステムの精度はシミュレーションにより8dB以上 の信号を取得条件とすれば、誤差率が 0.1%未満になる。絶対値に関して水素気泡法、 熱線流速計と比較し、±3%程度の誤差であった。 第3章では、本研究における二次元後向きステップ流れの実験装置、実験条件、実 験方法および時間平均的な特性結果について述べている。作動流体は水で、二次元後 向きステップの形状は、拡大率1.5、アスペクト比12である。ステップ直前の流れは、 層流で、中心部平均流速Uc=0.25m/s、乱れ強さTu=0.6%で、ステップ高さによるレイ ノルズ数はReb=5000である。また境界層厚さは∂=4.6mmである。また時間平均再付着 点はⅩR/h=6であった。 第4章では、二次元後向きステップ流れの速度分布を、特にはく離せん断層挙動と 再付着現象に注目して詳細に考察を行っている。再付着現象には、せん断層とせん断 層渦が再付着する二つのパターンがあり、これらによって底面の流動が特徴付けられ るとしている。特にはく離せん断層が再付着する場合には、流路底面近傍の流速が逆 流から急に強い順流にな●る特徴的な流速変動を持つとしている。また、瞬時の再付着 点は、再付着したはく離せん断層とともに流下し、再び上流において再付着するはく 離せん断層により、急速に上流に引き戻されるとしている。更に、分離流線がはく離 せん断層の渦形成と集中に対応して大きく揺動しているとしている。また、再付着点 近傍における分離流線挙動は、その存在位置の頻度に2つのピークを持ち、ある高さ を揺動した後、極めて急速な上下移動をする。この候向は、再付着に伴う流動と一鼓 していることを示し、はく離せん断層が再付着する時は急速に下降し、測定断面がは く離泡内に入る時に急速に上昇する。したがって、再付着位置はランダムに変動する のではなく、ある規則性の存在が示唆されるとしている。 第5章では、はく離せん断層と再付着領域における流動との関連を空間的に調べる ために、本システムを2台配置し、瞬時流速分布の同時計測を行っている。その結果、 長時間の時空間相関にほぼ同じ遅れ時間に異なった高相関領域が2つ確認され、この ことは分離流線の挙動と一鼓するとしている。また、瞬時の構造を明らかにするため に短時間相関を行い,流路底面近傍とそれより上部に高相関領域が現れる時に分け、 条件付きの積分長さスケールを算出し、積分長さスケールが大きいとき、すなわちは く離せん断層渦の成長が強いと考えられる時に、高相関領域が流路底面近傍に現れる 傾向が強いことを明らかにしている。この瞬間は、はく離せん断層が再付着する時で あることから、はく離せん断層渦の成長に伴い再付着距離が短くなることを示した。 第6章では、第2牽から第5章までのはく離再付着流れとその付着挙動についての 結果を総括し、まとめた。
学位論文等審査結果の要旨
本論文は、非定常で三次元性の強い二次元後向きステップ流れを解明するために、 瞬時の速度分布計測が可能な小型で安価な半導体レーザーを用いたLDVシステムを 開発し、再循環領域からはく離せん断層までの瞬時流速分布を時系列で得ることによ り、再付着に伴う流速変動のパターンや、はく離せん断層の挙動についての考察を行 った。この様な複雑乱流場の構造解明には、速度分布計測可能な測定システムの開発 が不可欠であり、このシステムで集積されたデータは、乱流モデルの構築上極めて重 要と言える。 第1章では、本研究の背景について述べ,二次元後向きステップ流れについての従来の研究と既存の各種計測法を総括している。シートレーザ光の使用により瞬時の逆 流を伴う流速分布を時系列で取得できる多点同時計池LDVの開発は画期的で、渦を 伴う速度場の計測には不可欠で、その成功は、この分野の研究を飛躍的に前進させる ものである。 第2章では、逆流を伴った瞬時速度分布を時系列情報として計測可能な多点同時計 測LDVシステムを開発・構築し、その精度を検証している。システムの基本は、シ ートレーザ光を使用することにより瞬時の流速分布を時系列で取得することができる ことで、光源として半導体レーザ、散乱光の受光部として光ファイバユニットとA P D(アバランシェ・フォトダイオード)の使用により,小型かつ安価に構築している。 また、データ取得を1ビットにて行うことにより多点同時計測によるメモリ容量の肥 大化やA/Dコンバートに要する時間を少なくし、計測点数の拡大を計っている。仕 様は、池定体積が小さく、最大計測可能幅は比較的大きく、時間分解能はメモリーの 制約を受けるものの他に類のないものである。開発したシステムの精度はシミュレー ションにより8dB以上の信号を取得条件とすれば、誤差率が0.1%未満と満足できる値 である。 第3章では、本研究における二次元後向きステップ流れの実験装置、実験条件、実 験方法および時間平均的な特性結果について述べている。作動流体は水で、二次元後 向きステップの形状は、拡大率1.5、アスペクト比12と十分である。ステップ直前の 流れは層流で、乱れ強さは0.6%と比較的小さく、信頼できる条件になっている。また 時間平均再付着点や時間平均速度分布は従来の結果と一致している。 第4章では、二次元後向きステップ流れの速度分布を、特にはく離せん断層挙動と 再付着現象に注目して詳細に考察を行っている。再付着現象には、せん断層とせん断 層渦が再付着する二つのパターンがあり、これらによって底面の流動が特徴付けられ るとしている。特にはく離せん断層が再付着する場合には、流路底面近傍の流速が逆 流から急に強い順流になる特徴的な流速変動を持つとしている。これらの結果は、再 付着現象にとって極めて重要なものである。また、瞬時の再付着点は、再付着したは く離せん断層とともに流下し、再び上流において再付着するはく離せん断層により、 急速に上流に引き戻されるとの従来の結果を確認して。更に、分離流線の揺動の詳細 な結果を得ている。再付着点近傍における分離流線挙動は、その存在位置の頻度に2 つのピークを持ち、ある高さを揺動した後、極めて急速な上下移動をする。この傾向 は、再付着に伴う流動と一敦していることを示し、はく離せん断層が再付着する時は 急速に下降し、測定断面がはく離泡内に入る時に急速に上昇するとの知見は新しい。 これは、再付着位置の変動にある規則性が存在するとの従来の結論を、構造的に明ら かにしたものである。 第5章では、はく離せん断層と再付着領域における流動との関連性を調べるために、 本システムを2台配置し、瞬時流速分布の同時計測を行っている。その結果、長時間 の時空間相関にほぼ同じ遅れ時間に異なった高相関領域が2つ確落され、このことは 分離流線の挙動と一致するとしている。また、瞬時の構造を明らかにするために短時 間相関を行い,流路底面近傍とそれより上部に高相関領域が現れる時に分け、条件付 き'の積分長さスケールを算出し、積分長さスケールが大きいとき、すなわちはく離せ ん断層渦の成長が強いと考えられる時に、高相関領域が流路底面近傍に現れる傾向が 強いことを明らかにしている。この瞬間は、はく離せん断層が再付着する時であるこ とから、はく離せん断層渦の成長に伴い再付着距離が短くなることを示した。