セタシジミ微小稚貝生殖巣の組織学的研究
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Histological Studies on Gonad of small young Corbicula sandai RE工NHARDT Kazumasa Hayashi This paper deals with the morphological and histo−embryological studies of gonad of small young Corbicula sandai, and the results thus obtained are summarized in the summary of this paper.緒 言
筆者は既にセタシジミの生殖期並びに生殖巣
組織について一文を発表し,生殖の時期と生殖
細胞の形態並びにその体内保有状態等を明らか
にした。琵琶湖におけるセタシジミ採取に関し
て,本貝の増産という見地にたっとき,採取貝
の大きさは本途生産量に重要な関係をもつもの
である。琵琶湖において採捕されているセタシ
ジミの大きさに或制限をもうけてあることは,面面が尺長1cmのもので既に生殖巣の発達せ
るいわゆる成貝であることから,本貝の発生絶
滅防止から適宜の施策といえよう。本研究は弓長1cm以下の微小稚貝の生殖巣
の組織の形態と発生についてである。即ち生殖
巣原基の形態とその発生部位を明らかにするこ
とを目的とするものである。 顕微鏡写真撮影については,学生吉口勝郎,今井恒夫の両君を煩わした。ここにその労に対
して厚く感謝の意を表する次第である。材料と研究方法
材料としては,瀬田川鉄橋附近で採集された
Corbicula sandai REINHARDT(1955年8月上
旬∼10月上旬,1956年7月上旬)で,殻長0.7∼
1.O cmのもの。プレパラートはtotal bodyを
80%Alc.固定,常法によリパラフィン切片(厚
さ8μ),DELAFIELD氏ヘマトキシリン染色と
した。観察とその結果
顕微鏡写真の内,BはAの廓大, CはBの
模式説明図である。以上の観察結果をまとめると,次のようにな
る。1.塾長:0.7∼1。Ocmのセタシジミを7月下旬
から10月上旬の時期に採取し,その生殖巣の組
織の形態と発生の状態を観察した。2.殻長0.7∼1.Ocmのもので散在せる微小生
殖巣を観察することが出来た。3,それら微小生殖巣は限られた部位に偏在し
ないで,櫨々の体内器官の間,主として結締組
織内に少しずつ散在している。4.微小生殖巣は主として結締組織一一消化管
をとりまくもの,体壁外套膜下のもの,Pericar−diumのまわりのもの,その他一内に発生す
る。5.微小精巣の細胞は,小さく密に集合してい
る。6.微小卵巣には数個の未熟幼若卵細胞(核と
仁がはっきり染まっている)がある。7.微小卵巣を微小精巣より多く観察し得た。
即ち微小貝では雌が雄より多いようであった。
* 林一正:セタシジミ生殖巣の組織学的研究滋賀大学学芸学部紀要,第5集(1956)P.41∼45。32 滋 大 紀 要 第 7 号 1 9 5 7
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c 1.殼長9mm,1955年8月下旬採。 Pericardium(P)のまわりの結締組織内の微小卵巣(0)に存 在する幼若卵細胞(YE)を示す。卵巣内にはヘマトキシリンでよく染まる核と仁のある数個の未 熟卵が入っていてうすい表皮で包まれている。論。幽、
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2.殼長9mm,1955年10月上旬採。消化管(1)のまわりの結締組織(CT)にある微小卵巣にある 幼卵細胞(YE)を示す。卵細胞の核のようすは前掲1と同じ。 Fは消化管内の食塊である。璽
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。 3.殻長7mm,1955年8月下旬採。体の背部消化管(1)をとりまく結締組織(CT)内の微小精巣 (T)を示す。精巣は卵巣に比べて細胞が小さく密に集まり,特徴ある卵細胞をもつてはいない。 Fは消化管内食塊。幽
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4.殼長92mm,1955年10月採。体の足部(Ft)消 化管(1)のまわりにある結締組織(CT)内に見 られる精巣(T)を示す。Fは消化管内食塊, G は鯛。 5.薩長8.8mm,1955年10月上旬 採。Mは体壁の外套膜で,消化 管(1)との間の結締組織(CT) のところどころに幼若卵巣(0) が存在する。 窯轡塘・盗難ゑ1轡華 、, ?A・慰
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6.殼長8・8mm,1955年10月上旬採。背部消化管(1)とPercardium(P)との間の結締組織内 (CT)に数個の幼若卵細胞(YE)をもつ微小卵巣がある。 Fは消化管内にある食塊。34 滋 大 紀 要 第 7 号 1 9 5 7