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技術調査報告 下田

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Academic year: 2021

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(1)

― 技術調査報告 ―

群馬県における地下水窒素汚染に対する大気沈着の寄与の推計

下田 美里

1*

,田子 博

2

,熊谷 貴美代

1

,齊藤 由倫

1

,小澤 邦壽

1

,飯島 明宏

3

Estimation of the effects of atmospheric nitrogen deposition on groundwater contamination in Gunma Prefecture

Misato Shimoda

1

, Hiroshi Tago

2

, Kimiyo Kumagai

1

, Yoshinori Saitoh

1

, Kunihisa Kozawa

1

, Akihiro Iijima

3

1 Gunma Prefectural Institute of Public Health and Environmental Sciences, 378 Kamioki, Maebashi, Gunma 371-0052, Japan 2 Environmental Protection Division, Gunma Prefectural Government, 1-1-1 Otemachi, Maebashi, Gunma 371-0026, Japan

3 Department of Regional Development, Faculty of Regional Policy, Takasaki City University of Economics, 1300 Kaminamie, Takasaki, Gunma 370-0801, Japan

*Corresponding author: (E-mail) shimoda-mi@pref.gunma.jp

Groundwater contamination by nitrate-nitrogen has become one of the most serious environmental problems in the Gunma Prefecture of Japan. This study examined the effects of atmospheric nitrogen deposition on groundwater contamination. To estimate the amount of dry deposition of nitrogen compounds, we determined the concentrations of atmospheric nitrogen compounds at four sites in areas of different land use. By using the inferential method, we estimated the amount of dry deposition of nitrogen compounds to be 0.46 t-N/km2/yr, with nitric acid (HNO3-N) and ammonia (NH3-N) accounting for 47% and 21%, respectively. We previously estimated the amount of wet deposition of nitrogen compounds to be 1.68 t-N/km2/yr. Consequently, the total amount of atmospheric nitrogen deposition was estimated to be 2.14 t-N/km2/yr. This accounts for 24% of the total nitrogen load (including agriculture, livestock, industry sewage, and domestic sewage) in the groundwater.

Key words : Dry deposition, Nitrogen compounds, Inferential method

1.はじめに 平成12 年度に環境省地下水概況調査が開始されて以来、 群馬県では硝酸性窒素の環境基準超過率が13.6~29.8%の間 を推移し、全国平均4.1~6.5%を大きく上回り硝酸性窒素に よる地下水汚染が深刻な問題となっている(Horikoshi et al., 2007;環境省、2001~2009)。地下水硝酸性窒素汚染は農業(施 肥)、家畜ふん尿、生活排水、大気沈着など発生源が多岐にわ たる複合的な汚染であるため、効果的な環境改善対策を講じ るには各発生源からの負荷量を定量的に把握することが重要 である。我々はこれまでに、群馬県全域を対象に農業、畜産(過 剰施肥)、生活排水、工場排水、大気沈着(湿性沈着のみ)の各 発生源から地下水に負荷される窒素量を推計してきた (Kumagai et al., 2009)。その結果、群馬県全体では 7,600 t-N/yr の窒素が地下水に負荷されていると見積もられ、寄与率は農 業が43%と最も高く、次いで畜産(過剰施肥)が 30%と高かっ た。大気沈着(湿性沈着のみ)の寄与率は 20%と見積もられ、 これは生活排水(6%)や工場排水(1%)よりも大きな負荷であり、 地域によっては農業に匹敵する発生源となっている地点も存 在した。このことから、大気沈着の寄与は無視できないと結 論づけている。ただし、ここで対象としている大気沈着は湿 性沈着のみで、乾性沈着を考慮していないため、推計された 大気沈着の寄与は過小評価している可能性にも言及している。 より正確な大気沈着量を把握するためには、湿性沈着に加 えて乾性沈着の寄与についても考慮する必要がある。乾性沈 着量の推計において特に考慮すべきガス成分は、アンモニア ガス(NH3)および硝酸ガス(HNO3)である。特に、群馬県は NH3 濃度が高いことが知られており、全国環境研協議会(以下、全 環研)が実施した全国調査において、前橋における平成 15~ 17 年度の平均値(526 nmol/m3)は全国調査地点(37 地点)で最大 であった(全国環境研協議会、2007)。さらに、群馬県内でも 特に畜産業の盛んな南東部では、前橋より高濃度のNH3が観 測されており(Shimoda et al., 2009)、土地利用形態に応じた乾 性沈着量の推計が重要である。 本研究では群馬県の産業形態や地理的特性を考慮して土 地利用形態の異なる4 地点において大気中窒素化合物濃度を 測定し、これを基に群馬県における乾性沈着量を推計した。 さらに、この推計値とこれまでの研究で推計した湿性沈着量 (Kumagai et al., 2009) を基に、地下水への窒素負荷に対する大 気沈着の寄与を試算した。 2.方 法 2.1 調査地点および期間 群馬県は関東平野の内陸に位置し、南東部は平野部に、北 西部は山間部になっている。主に平野部に市街地、工業地域 が集中している。群馬県の産業形態や地理的特性から、NH3 濃度影響因子を畜産業、HNO3濃度影響因子を人口や工場の 集中と仮定し、群馬県の各市町村を平野部と山間部に二分し、

(2)

それぞれについて畜産業の多・少を基準に4 区分に分類した。 以下に述べる市町村単位はこれまでの研究(Kumagai et al., 2009)と整合を図るため、2000 年時点での行政区分とした。 平野部と山間部の区別は標高200 m(各市町村役場の標高)を 基準にし、200 m 以下の市町村を「平野部」、200 m を超える 市町村を「山間部」と定義した。また、畜産の多・少の区別 は、平野部および山間部ごとに各市町村の単位面積当たり家 畜頭数を調べ、これが中央値よりも多い市町村を「畜産地域」、 少ない市町村を「その他地域」とした。ここで中央値を基準 にしたのは、平野部および山間部における市町村別単位面積 当たり家畜頭数が正規分布に従っていなかったためである。 なお、家畜頭数は窒素排出係数(Sutton et al.,1995)を基に豚、 鶏を牛頭数に換算して計算した。以上の基準により群馬県全 域(69 市町村: 6360 km2)を畜産の盛んな平野部(以下、平野部 (畜産地域))、その他の平野部(以下、平野部(その他地域))、畜 産の盛んな山間部(以下、山間部(畜産地域))、その他の山間部 (以下、山間部(その他地域))の 4 地域に区分した。 大気中窒素化合物濃度の調査は、それぞれの地域区分を代 表する4 地点(前橋市(平野部(畜産地域))、富岡市(平野部(その 他地域))、東吾妻町(山間部(畜産地域))、みなかみ町(山間部(そ の他地域)))で行った。各代表地点は、4 つの地域区分それぞ れにおいて、単位面積当たり家畜頭数が中央値に近い市町村 とした。これは、先行研究(Shimoda et al., 2009)において、NH3 は家畜密度に強く影響されることが確認されているためであ る。調査は2008~2009 年度の春・夏・秋・冬季の各 1 ヶ月間 (2 週間連続観測を 2 回)行った。調査地点および地域区分を Fig. 1 に示す。 2.2 試料採取および分析方法 大気エアロゾル成分(NH4+、NO3-)およびガス成分(NH3、 HNO3)の捕集はフィルターパック法(以下、FP 法)(Matsumoto et al., 1998)で行った。吸引量は、調査実績のある前橋では 2 L/min、他の 3 地点では低濃度であることを懸念して 4 L/min とした。FP 法は捕集機材の構成上、前段のろ紙上に捕集され た粒子状成分が揮散し、後段のろ紙上に捕集されるアーティ ファクトの影響を受けるが、FP 法は全環研が実施する酸性雨 全国調査や東アジア酸性雨モニタリングネットワークでも採 用され多くの実績があることから本研究では本法を使用した。 FP 法では、F0: テフロンろ紙(T080A047A、 47 mmφ、 ADVANTEC)、F1: ポリアミドろ紙(ULTIPOR N66、 47 mmφ、 PALL)、F2: 炭酸カリウム含浸セルロースろ紙(No.51A、 47 mmφ、 ADVANTEC)、F3: リン酸含浸セルロースろ紙 (No.51A、 47 mmφ、 ADVANTEC)を用いた。F0 はエアロゾ ル成分、F1 は HNO3およびNH3F3 は NH3を捕集する。な お、F2 は SO2およびHCl 捕集用ろ紙のため本研究の解析に は用いなかった。回収したろ紙は容量50 ml の蓋付きポリエ チレン容器に移し、超純水をそれぞれ20 ml 加え、振とう器 で20 分、続いて超音波洗浄機で 15 分抽出を行った。抽出液 は孔径0.45 μmシリンジフィルター(Millex-LH、 MILLIPORE) でろ過後、イオンクロマトグラフ(DX500、 DIONEX)で各イ オン成分を分析した。エアロゾル成分濃度はF0 の測定値か ら、NH3濃度はF1 および F3 の測定値の合計から、HNO3濃 度はF1 の測定値から求めた。NO2NO 濃度はそれぞれの調 査地点あるいは近傍の大気汚染常時監視測定局におけるデー タを用いた。 2.3 乾性沈着フラックスおよび乾性沈着量の算出 各地域区分の乾性沈着フラックスは、測定された大気中窒 素化合物濃度を基に (1)式から求めた。 F = Vd・C (1) F :乾性沈着フラックス(nmol/m2/day) Vd :乾性沈着速度(m/day) C :大気中濃度(nmol/m3) ここで、乾性沈着速度はインファレンシャル法により乾性 沈着推計ファイル(Ver. 4–0) (野口ら、2003; 全国環境研協議会、 2010)を用いて季節毎に求めた。乾性沈着速度の決定に必要な 風速(m/sec)、気温(℃)、湿度(%)、日射量(MJ/m2)および雲量(10 分比)は前橋地方気象台のデータを用いた。乾性沈着速度は、

Fig. 1. Observation sites of atmospheric nitrogen compounds and area classification. Plain(livestock): Plain region with high-density livestock. Plain(other): Plain region with low-density livestock. Mountainous(livestock): Mountainous region with high-density livestock. Mountainous(other): Mountainous region with low-density livestock.

Mountainous(other) (16 municipalities(2808 km2)) Mountainous(livestock) (17 municipalities(1726 km2)) Plain(other) (18 municipalities(1030 km2)) Plain(livestock) (18 municipalities(796 km2)) Maebashi Higashiagatuma Tomioka Minakami GUNMA TOKYO 20 km 0 Mountainous(other) (16 municipalities(2808 km2)) Mountainous(livestock) (17 municipalities(1726 km2)) Plain(other) (18 municipalities(1030 km2)) Plain(livestock) (18 municipalities(796 km2)) Maebashi Higashiagatuma Tomioka Minakami GUNMA TOKYO 20 km 0

(3)

土地利用形態によって異なる。今回用いた乾性沈着推計ファ イルでは、土地利用形態を市街地、森林地域、農地、草地お よび水面の5 形態に分類する必要がある。そこで国土交通省 国土数値情報(国土交通省、1997)による土地利用の形態を以 下のように読み替えた。 ① 建物用地・幹線交通用地・その他 → 市街地 ② 森林 → 森林地域 ③ 田・その他農用地 → 農地 ④ ゴルフ場・荒地 → 草地 ⑤ 河川および湖沼 → 水面 これにより、平野部(畜産地域)、平野部(その他地域)、山間 部(畜産地域)、山間部(その他地域)の各地域における土地利用 形態別面積は、Fig. 2 のようになる。土地利用形態別に(1)式 から乾性沈着フラックスを求め、これに面積を乗じ乾性沈着 量を算出した。 2.4 地下水窒素負荷量の推計方法 地層には複数の帯水層が存在するが、地表面からの負荷に よる地下水汚染は、一般に第一帯水層に顕著に表れる。汚染 物質の輸送を含めた動態解明には、地表面から帯水層に到達 するまでの鉛直方向の移動と、地下水を介し面的に広がる水 平方向の移動を考慮した地下水流動解析が必要となる。その 第一段階として、本研究では窒素原単位法(環境省水環境部地 下水・地盤環境室、2002)を用いて地表面に負荷された窒素化 合物が溶脱、浸透することで地下水層に負荷される窒素量を 見積もった。 窒素発生源は農業、畜産、生活排水、工場排水、大気沈着 (湿性沈着、乾性沈着)とし、乾性沈着以外の窒素負荷量は Kumagai et al. (2009)の推計方法を引用した。その概要を以下 に要約する。用いたデータは、世界農業センサス(農林水産省 大臣官房統計情報部、2001)、群馬県工業統計(群馬県統計課、 2000)、群馬県汚水処理状況(群馬県生活環境課、2001)、土地 利用3 次メッシュデータ(国土交通省、1997)、メッシュ気候(気象庁、2002)などである。窒素発生量は原単位法により 算出し、それに溶脱率または地下浸透率を乗じることで地下 水への負荷量を求めた。農業からの窒素負荷は農作物ごとに 定められている群馬県施肥基準を基に施肥量(化学肥料・堆肥 併用)を算出し、これに肥料中窒素含有率および作物別作付面 積を乗じて窒素発生量とした。溶脱率は水稲 5%、牧草地 15%(環境省水環境部地下水・地盤環境室、2002)、それ以外の 作物については窒素施肥量と溶脱量の関係式(久馬ら、1995) を用いて算出した(34~65%)。また、畜産から発生するふん尿 のうち堆肥として使用される分は農業負荷とし、施肥基準量 に対して過剰に農地に投与される分のみを畜産(過剰施肥)負 荷と定義した。畜産排泄物として発生する窒素量の算出は、 家畜種ごとに家畜頭数から求めた発生ふん尿量にふん尿中の 窒素含有率を乗じて求めた。溶脱率は、市町村ごとに作物別 作付面積に応じて設定した(田:5~20%、畑:27~42%)。生 活排水からの窒素負荷は合併浄化槽、単独浄化槽、雑排水の うち地下浸透処理しているものである。各処理別人口に各処 理別窒素発生源単位および地下浸透処理人口割合を乗じて生 活排水からの窒素負荷とした。地下浸透処理人口割合は、県 南東部の市町村における実際の浄化槽設置状況を参考に合併 浄化槽5%、単独浄化槽(非水洗化世帯を含む)20%と設定した。 工場排水からの窒素負荷は、産業中分類製造品出荷額(百万)と排水量原単位(m3/day/百万円)および排水中の窒素濃度 から窒素排出量を求めた。浄化槽地下浸透率を参考に、公共 下水道が整備されてない地域で工場排水の10%が地下浸透 しているとした。生活排水および工場排水の溶脱率は90%(環 境省水環境部地下水・地盤環境室、2002)とした。大気沈着の うち湿性沈着による窒素負荷量は、群馬県酸性雨調査(NH4+: 50~106 μmol/L、NO3-:40~74 μmol/L)を基に算出した単位面 積当たり年間湿性沈着量に土地利用形態別面積と地下浸透率 を乗じて求めた。地下浸透率は、建設省河川砂防基準(日本河 川協会、1997)を参考に田・その他農用地、荒地は 55%、建物 用地、その他は20%、幹線交通用地は 15%、河川用地および 湖沼は0%とした。 乾性沈着に由来する地下水への窒素負荷は、地表面に沈着 した窒素化合物が雨水を介して地下に浸透すると仮定し、2.3 の方法で求めた乾性沈着フラックスに土地利用形態別面積と 地下浸透率(湿性沈着に由来する負荷量を求めた際のパラメ ーターと同じ)を乗じて算出した。 ここで、森林およびゴルフ場(以下、森林地域等)において は、大気から供給される窒素の一部が植物によって吸収され ることを考慮し、赤城山中腹のバックグラウンド地点におけ る地下水濃度に涵養水量を乗じることで森林地域等から負荷 される大気沈着由来の地下水窒素負荷量を求めた。涵養水量 は降水量からThornthwaite法(Thornthwaite, 1948)により算出し た蒸発散量を差し引き、これに森林地域等面積および地下浸 透率0.2% (日本河川協会、1997)を乗じ求めた。 3.結果および考察 3.1 大気中窒素化合物濃度 各調査地点における大気中窒素化合物濃度の測定結果の 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 A re a [k m 2 ] Water surface Urban area Grassland Farmland Forest

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 A re a [k m 2 ] Water surface Urban area Grassland Farmland Forest

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

(4)

うち、主な成分の年平均値をFig. 3 に示す。全アンモニウム (NH3+NH4+)濃度は畜産の盛んな前橋市および東吾妻町で高 く、それぞれ530、260 nmol/m3で、特に前橋市の濃度は、こ れまでの全環研の調査と同様に、全国各地のデータと比べて 著しく高い値であった。全硝酸(HNO3+NO3-)濃度は、産業活 動の盛んな平野部に位置する前橋市および富岡市で高く、そ れぞれ76、46 nmol/m3であった。HNO3濃度は人口の集中す る前橋市より富岡市で高く、一方で前橋市のNO3-濃度は富岡 市の約2.6 倍という高濃度であった。これは、前橋において 高濃度で存在するNH3によってHNO3が中和され、粒子態 (NH4NO3)への移行が促進されたためと考えられた。このこと はKumagai et al. (2010)によっても報告されている。畜産業が ほとんど行われておらず、人口の少ない山間地域に位置する みなかみ町の大気中窒素化合物濃度はすべての成分において 最も低かった。畜産業の盛んな前橋市および東吾妻町で全ア ンモニウム濃度が高く、産業活動の盛んな平野部(前橋市、富 岡市)で全硝酸濃度が高かったことから、地域の土地利用や地 理的要件による違いが大気中窒素化合物濃度の違いに示され た。 3.2 地域別乾性沈着フラックス 乾性沈着フラックスを求める際に用いられる乾性沈着速 度は気象条件の影響を受ける。調査期間中の気象データの季 節別平均値をTable 1 に示す。調査期間中の気象状況は過去 10 年間の同時期に比べて特異的な事象はなかった。 地域別乾性沈着フラックスおよびその成分割合をFig. 4 に 示す。乾性沈着フラックスは、平野部(畜産地域)で 0.77 t-N/km2/yr と最も高く、平野部(その他地域) 0.59 t-N/km2/yr、 山間部(畜産地域) 0.48 t-N/km2/yr、山間部(その他地域) 0.31 t-N/km2/yr の順であった。乾性沈着フラックスの最も高かっ た平野部(畜産地域)は、最も値の低かった山間部(その他地域) の約2.5 倍であった。全アンモニウムの乾性沈着フラックス は、畜産地域で0.21~0.31 t-N/km2/yr とその他地域の 0.09~ 0.12 t-N/km2/yr に比べ約 3 倍程度高かった。乾性沈着フラック スは土地利用形態別に求めた乾性沈着速度と大気中濃度の積 で求められる。NH3-N の乾性沈着速度年平均値は市街地、森 林地域、農地、草地および水面でそれぞれ38、137、140、105、 200 m/day と水面で最も大きくなり、次いで森林地域および農 地であった。畜産地域およびその他地域の両地域区分内の水 面面積割合はそれぞれ2%と等しく(Fig. 2 参照)、森林地域お よび農地を合わせた面積割合は畜産地域で82%、その他地域 で86%と大きな差はない。これに対し、大気中 NH3濃度は、 畜産地域の方がその他地域よりも顕著に高かった(Fig. 3 参)。これが、畜産地域でアンモニア由来の乾性沈着フラック スが高くなった原因である。一方、全硝酸の乾性沈着フラッ クスは、平野部で0.36~0.38 t-N/km2/yr と山間部の 0.17~0.22

Fig. 4. Dry deposition flux of atmospheric nitrogen compounds in different areas. (a) Calculated flux. (b) Relative ratio. 0 100 200 300 400 500 600 Maebash i 1) Tom ioka 2) Higash iagat uma 3 ) Minaka mi 4) C once nt rat ion [ nm ol /m 3 ]

NH4+

NH3

0 20 40 60 80 Maebash i 1) Tom ioka 2) Higash iagat uma 3 ) Minaka mi 4)

22

11

NH4+ NH3 NO3 -HNO3

1) Plain (livestock) 2) Plain (other) 3) Mountainous (livestock) 4) Mountainous (other)

0 100 200 300 400 500 600 Maebash i 1) Tom ioka 2) Higash iagat uma 3 ) Minaka mi 4) C once nt rat ion [ nm ol /m 3 ]

NH4+

NH3

0 20 40 60 80 Maebash i 1) Tom ioka 2) Higash iagat uma 3 ) Minaka mi 4)

22

11

NH4+ NH3 NO3 -HNO3

1) Plain (livestock) 2) Plain (other) 3) Mountainous (livestock) 4) Mountainous (other)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1 2 3 4 [t-N /km 2 /yr ]

NOx-N

HNO3-N

NH3-N

NO3--N

NH4+-N

Plain Plain Mountainous Mountainous

(livestock) (other) (livestock) (other)

D ry depos iti on f lux NOX-N HNO3-N NH3-N NO3--N NH4+-N (a) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 2 3 4 (b) R el at iv e r at io [%] 100 80 60 40 20 0

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1 2 3 4 [t-N /km 2 /yr ]

NOx-N

HNO3-N

NH3-N

NO3--N

NH4+-N

Plain Plain Mountainous Mountainous

(livestock) (other) (livestock) (other)

D ry depos iti on f lux NOX-N HNO3-N NH3-N NO3--N NH4+-N (a) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 2 3 4 (b) R el at iv e r at io [%] 100 80 60 40 20 0

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

Fig. 3. Concentrations of atmospheric nitrogen compounds. (annual average)

Table 1. Meteorological data.

Wind speed Temperature Humidity Amount of global

solar radiation Cloudiness

(m/s) (℃) (%) (MJ/㎡)

Spring 2.7 18.6 52 19.0 6.5

Summer 2.0 25.0 72 13.3 8.7

Autuamn 2.6 15.2 61 11.8 5.2

(5)

t-N/km2/yr に比べ約 2 倍程度高かった。HNO 3の乾性沈着速度 年平均値は市街地、森林地域、農地、草地および水面でそれ ぞれ8366、2697、888、888 、185 m/day で特に市街地で大き かった。市街地の面積割合は平野部(25%)の方が山間部(3%) よりも高く、HNO3濃度も平野部の方が高かった(Fig. 3 参照)。 これが、平野部で硝酸由来の乾性沈着フラックスが高くなっ た原因である。土地利用形態別に求めた乾性沈着速度の違い は、全国環境研協議会(2010)で報告されている全国調査の傾 向と同様であった。 乾性沈着フラックスの77~88%をガス状成分が占め、その 主要成分は、畜産地域でNH3-N および HNO3-N がそれぞれ約 30~40%と同等の寄与であったのに対し、その他地域では、 HNO3-N が 50~60%と全体の半分以上を占めた。我々は、群 馬県の畜産の盛んな地域ではNH3による乾性沈着の影響が大 きいことを報告(Shimoda et al., 2009) しているが、今回の調査 でも同様の傾向が示された。 3.3 群馬県における大気沈着フラックス Fig. 5 に群馬県全域における大気沈着フラックスの季節変 動および年間大気沈着フラックスを示す。全窒素の湿性沈着 フラックスは、降雨の最も多い夏に高い値を示し、各季節と もNH4+-N の割合が 54~59%と高かった。群馬県における年 間降水量は約1300 mm でその約半分が夏季に降る。降水中 NH4+、NO3-成分濃度は、春季および冬季に高く夏季は低くな るが、湿性沈着フラックスは、季節単位で比較すると降水量 の影響を大きく受けていた。一方、乾性沈着フラックスは、 春および夏に高くなる傾向が見られた。成分の内訳を見ると NH3-N 由来の乾性沈着フラックスは夏に、HNO3-N 由来の乾 性沈着フラックスは春および夏に高くなる傾向にあり、この ことが春および夏における全窒素の乾性沈着フラックスの値 を高くしていた。大気中HNO3濃度は春(20~30 nmol/m3)に比 べ夏(20~40 nmol/m3)にやや高くなる傾向があるが、春は比較 的風の強い日が多くHNO3-N の沈着速度が大きくなるため、 春の乾性沈着フラックスも高くなったものと考えられた。ま た夏のNH3-N の乾性沈着フラックスが高い要因は、夏に NH3 濃度が高くなることと夏の高湿度により乾性沈着速度が大き くなったためと考えられた。 群馬県における全窒素の大気沈着フラックスは 2.14 t-N/km2/yr で、湿性沈着フラックスおよび乾性沈着フラック スはそれぞれ1.68、0.46 t-N/km2/yr であった。全環研が実施し た第4次酸性雨全国調査報告書(平成20年度)(全国環境研協議 会、2010)によると、大気中窒素化合物の乾性沈着量データ全 てが揃う地点における大気沈着フラックスは 0.57~2.15 t-N/km2/yr であり、本研究で推計した値は全国と比較して高 い値であった。群馬県における大気沈着フラックスに対する 乾性沈着フラックスの割合は21%で、全国の 8~68%(平均値 44%)に比べやや低い割合であったが、これは群馬県の湿性沈 着フラックスが全国平均に比べ約2 倍高かったことから、相 対的に低くなったものである。年間成分割合は、湿性沈着フ ラックスではNH4+-N が 57%と高い割合を占めた。一方乾性 沈着フラックスでは、HNO3-N が 47%、NH3-N が 21%、エア ロゾル成分(NH4+-N + NO3--N)が 19%、NOX-N が 13%であった。 大気中濃度レベルは、NH3 (2~560 nmol/m3) やNOX (290~670 nmol/m3) が HNO 3 (2~45 nmol/m3) よりも高いが、沈着速度 の大きいHNO3の方が乾性沈着により大きく寄与しているこ とが示された。 3.4 地下水への窒素負荷に対する各種発生源寄与 これまでの調査結果を基に、乾性沈着も加え地下水への窒 素負荷に対する各発生源寄与を求めた。群馬県における乾性 沈着に由来する地下水への窒素負荷量は470 t-N/yr で、これ に農業、畜産、生活排水、工場排水および湿性沈着からの負 荷(Kumagai et al., 2009)を加えた地下水窒素負荷量は 7900 t-N/yr と見積もられた。まず、この負荷量推計値の妥当性を 検証するため、負荷量と涵養水量(地下浸透水量)から浸透水 中窒素濃度を推定した。その結果、群馬県全体における年間 涵養水量は245 千万 m3/yr で、浸透水中窒素濃度(以下、推計 濃度)は 3.2 mg/L と算出された。平成 20 年度地下水概況調査 によると、151 箇所の調査井戸の硝酸性窒素および亜硝酸性 窒素の検出濃度範囲は0.06~64 mg/L で、中央値は 4.4 mg/L であった。推定濃度3.2 mg/L は実測値の中央値 4.4 mg/ L より も僅かに低かった。地下水概況調査は既設井戸を対象として Fig. 5. Atmospheric nitrogen deposition flux in Gunma

Prefecture. (a) Seasonal variations of dry and wet deposition flux. (b) Annual values of dry and wet deposition flux.

0 2 4 6 8 10 Sprin g Autum n [kg /km 2 /day ]

Spring Summer Autumn Winter

D epos iti on f lux (a) 0 0.5 1 1.5 2 1 2 [t/k m 2 /y r] NO3--N(湿性) NH4+-N(湿性) NOx-N(乾性) HNO3-N(乾性) NH3-N(乾性) NO3--N(乾性) NH4+-N(乾性) D epos iti on f lux NO3 --N (wet) NH4+-N (wet) NOX-N (dry) HNO3-N (dry) NH3-N (dry) NO3--N (dry) NH4+-N (dry) Dry Wet deposition deposition (b) Dry Wet 0 2 4 6 8 10 Sprin g Autum n [kg /km 2 /day ]

Spring Summer Autumn Winter

D epos iti on f lux (a) 0 0.5 1 1.5 2 1 2 [t/k m 2 /y r] NO3--N(湿性) NH4+-N(湿性) NOx-N(乾性) HNO3-N(乾性) NH3-N(乾性) NO3--N(乾性) NH4+-N(乾性) D epos iti on f lux NO3 --N (wet) NH4+-N (wet) NOX-N (dry) HNO3-N (dry) NH3-N (dry) NO3--N (dry) NH4+-N (dry) Dry Wet deposition deposition (b) Dry Wet

(6)

実施されるため、調査対象地域が人間活動の行われている地 域に限定される。これに対し、推定濃度は森林地域を含めた 群馬県全体の平均値であることから、実測値に比べやや低濃 度となったことはむしろ妥当であろう。ただし、本研究にお ける地下水濃度の試算では地下水流動を考慮していないため、 窒素化合物が地表面に負荷されてから第一帯水層に達し、流 下する間の時間的誤差を含んでいる。今後、このような水理 的動態を考慮することにより、推計濃度の再現性は向上する と期待される。 Fig. 6(a)に各地域区分における発生源別地下水窒素負荷量 を、(b)にその発生源寄与率を示す。平野部(畜産地域)におけ る地下水窒素負荷量は4.4 t-N/km2/yr で最も高く、これは次に 高い平野部(その他地域) 1.6 t-N/km2/yr の約 3 倍であった。最 も地下水窒素負荷量が少なかったのは山間部(その他地域)の 0.4 t-N/km2/yr であった。地下水窒素負荷量に対する発生源寄 与率を見ると、平野部(畜産地域)では畜産の寄与率が最も高(45%)、大気沈着の寄与率は16%であった。また、山間部(畜 産地域)では畜産の寄与率(31%)よりも農業の寄与率(42%)の 方が高く、大気沈着の寄与率は24%であった。一方、平野部 (その他地域)では農業の寄与率が最も高く(50%)、大気沈着の 寄与率は30%であった。山間部(その他地域)においては、大 気沈着の寄与率が41%と高く、農業と共にこの地域での地下 水窒素負荷の主要因になっていた。このように、地下水への 窒素負荷量および発生源寄与率は地域の土地利用などの形態 に応じて大きく異なっているため、その内訳を明らかにする ことは各種地下水対策を講じる上で不可欠といえる。 Fig. 7 に群馬県における発生源別地下水窒素負荷割合を示 す。最も寄与率の高かった発生源は農業40% (3200 t-N/yr)で、 次いで畜産の寄与率29% (2300 t-N/yr)が高かった。湿性沈着 と乾性沈着を併せた大気沈着の負荷量は1900 t-N/yr で、寄与 率は24%と見積もられた。これは、農業、畜産に次いで高い 寄与率である。また、乾性沈着(470 t-N/yr)の寄与率は 6%で、 これは生活排水の寄与率に匹敵していることも特筆すべき事 項である。これらのことから地下水への窒素負荷を論じる際、 乾性沈着を含めた大気沈着量の正確な把握が重要であるとい えよう。

Fig. 7. Source contribution to the nitrogen loading to the groundwater in Gunma Prefecture.

4.まとめ 群馬県における地下水への窒素負荷に対する大気沈着の 寄与を見積もった。大気沈着量を定量的に把握するため、土 地利用状況の異なる県内4地点で大気中窒素化合物濃度を測 定し、インファレンシャル法から乾性沈着量を推計した。 平野部(畜産地域)、平野部(その他地域)、山間部(畜産地域)、 山間部(その他地域)における全窒素化合物の乾性沈着フラッ クスは、それぞれ0.77、0.59、0.48、0.31 t-N/km2/yrであった。 その主な成分は畜産地域でHNO3-NおよびNH3-N、その他地域HNO3-Nであった。 群馬県全域における乾性沈着フラックスは0.46 t-N/km2/yr で、主要成分はHNO3-N(47%)、NH3-N(21%)であった。また、 大気沈着に占める乾性沈着の割合は21%であった。 地下水への窒素負荷に対する大気沈着の寄与率は、平野部 (畜産地域)で16%、山間部(その他地域)で41%と地域ごとに大 きく異なっていた。群馬県全域では総窒素負荷量の6%が乾性

Fig. 6. Contribution of various sources to nitrogen loading to the groundwater in different areas. (a) Calculated nitrogen loading. (b) Source contribution.

Agriculture 40% Livestock 29% Industry sewage 1% Domestic sewage 6% Dry deposition 6% Wet deposition 18% Atmospheric nitrogen deposition 24% Nitrogen load on groundwater 7900 t-N/yr (6360 km2) 0 1 2 3 4 5 1 2 3 4 Nitr og en l oa d [t-N/km

2 /yr] Dry deposition

Wet deposition Industry sewage Domestic sewage Livestock Agriculture

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

(a) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 2 3 4 [%] 100 80 60 40 20 0 S ou rc e co nt rib ut io n

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

(b) 0 1 2 3 4 5 1 2 3 4 Nitr og en l oa d [t-N/km

2 /yr] Dry deposition

Wet deposition Industry sewage Domestic sewage Livestock Agriculture

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

(a) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 2 3 4 [%] 100 80 60 40 20 0 S ou rc e co nt rib ut io n

Plain Plain Mountainous Mountainous (livestock) (other) (livestock) (other)

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沈着からの負荷で、これは生活排水の寄与率に匹敵していた。 大気沈着全体では総負荷量の24%を占め、農業、畜産に次い で高い寄与率であった。 地下水窒素汚染の主たる要因としては農畜産業によると ころが大きいが、どのような土地利用形態であっても大気沈 着による地下水への窒素負荷は、地下水窒素汚染に対して無 視できない寄与を示すことが分かった。乾性沈着を含めた大 気沈着を正確に見積もることは、大気-陸水間の窒素循環を 論じる上でも重要なことである。 (受稿日 2011.3.8)(掲載決定日 2011.5.6) 参考文献

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全国環境研協議会: 第 4 次酸性雨全国調査報告書(平成 20 年

(8)

群馬県における地下水窒素汚染に対する大気沈着の寄与の推計

下田 美里

1*

,田子 博

2

,熊谷 貴美代

1

,齊藤 由倫

1

,小澤 邦壽

1

,飯島 明宏

3 1 群馬県衛生環境研究所 371-0052 群馬県前橋市上沖町 378 2 群馬県環境保全課 371-8570 群馬県前橋市大手町 1-1-1 3 高崎経済大学地域政策学部地域づくり学科 370-0801 群馬県高崎市上並榎町 1300 群馬県では硝酸性窒素による地下水汚染が深刻な状況にあり、その改善のためには各種発生源からの窒素負荷量を定量的に 把握する必要がある。本研究では、地下水窒素汚染に対する大気からの窒素沈着の寄与を推計した。窒素化合物の乾性沈着量 を定量的に見積もるため、土地利用形態の異なる県内の4 地点において大気中窒素化合物濃度を測定し、インファレンシャル 法から乾性沈着量を求めた。群馬県全体における乾性沈着量は0.46 t-N/km2/yr と見積もられ、硝酸ガス(HNO3-N: 47%)およびア ンモニアガス(NH3-N: 21%)からの寄与が大きかった。これまでの研究で求めた湿性沈着量 1.68 t-N/Km2/yr と合計すると、大気 沈着量は2.14 t-N/km2/yr であった。群馬県における地下水への全窒素負荷量(農業、畜産、工場排水、生活排水からの負荷量を 含む)に対する大気沈着の寄与率は 24%と推計された。

Fig. 1. Observation sites of atmospheric nitrogen compounds  and area classification.  Plain(livestock): Plain region with  high-density livestock
Fig. 2. Distribution of land use in different areas.
Table 1. Meteorological data.
Fig.  7.  Source  contribution  to  the  nitrogen  loading  to  the  groundwater in Gunma Prefecture

参照

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