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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title KJ法における作法の研究 Author(s) 三村, 修 Citation Issue Date 2005-03Type Thesis or Dissertation Text version author
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修 士 論 文
KJ 法における作法の研究
北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科知識社会システム学専攻三村 修
2005 年 3 月目 次
第 1 章 はじめに 1-1 研究の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-2 研究の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1-3 研究の方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 1-4 関連研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 第 2 章 KJ 法とは 2-1 KJ 法の創案者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 2-2 KJ 法創案の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 2-3 KJ 法作法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 第 3 章 KJ 法作法との出会い 3-1 オリジナルラベル操作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 3-2 誤ったラベル操作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 第 4 章 大量ラベルシミュレーション 4-1 早稲田 KJ 研究会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 4-2 JAIST インターンシップ研修 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 第 5 章 22 枚シミュレーション 5-1 グループ創造技法体験研修会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 5-2 再挑戦 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 第 6 章 ビジュアル 6-1 ビジュアル条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 6-2 ビジュアル&手作業シミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 6-3 感想まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 第 7 章 リアルタイムシミュレーション 7-1 リアルタイムシミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 7-2 架け橋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 第 8 章 ラベル集め傾向可視化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79 第 9 章 結 論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92図 目次
図1 KJ 法作法と型の位置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 図 2 四国移動大学キャンパス風景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 図 3 筆者のラベル集め ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 図 4 川喜田二郎博士の野外講義風景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 図 5 ラベル集め 黄色同士を近いと感じる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 図 6 入れかえて重ねる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 図 7 黄色を近いと感じる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 図 8 枠外に出す。黄緑を近いと感じる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 図 9 枠外に出す ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 図 10 「現場取材の心得」元ラベル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 図 11 「現場取材の心得」図解オリジナルを電子化したもの ・・・・・・・・・・・・22 図 12 「現場取材の心得」手作業シミュレーション作業中 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 図 13・14 シンボルマークによる空間配置作業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 図 15 図解化ラベル展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 図 16 図解仕上げ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 図 17 ホワイトボードへの点メモ花火 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 図 18 探検ネットおよび多段ピックアップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 図 19 グループ KJ 法土俵 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 図 20 表札作りを点メモ花火で ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 図 21 初めての表札づくりに興奮 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 図 22 多段ピックアップによる25枚の抽出意見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 図 23 やがて送られてきた反省点メモ花火 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 図 24・25・26・27・28・29 「現場取材の心得」図解化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 図 30 手作業 手引書と首っ引きで ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 図 31 シンボルマークによる空間配置の説明をする ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 図 32 右図解の説明風景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 図 33 シンボルマークによる空間配置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 図 34 島ごとの図解化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 図 35 床に空間配置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 図 36 ユニーク階層図解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 図 37 シンボルマーク図解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 図 38 図解制作中 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47図 39 関係がよく練り上げられた図解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 図 40 2 サイクルの討論により、得られた意見数は期せずして108枚 ・・・・・48 図 41 立体表現 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 図 42・43・44・45・46 シンボルマーク空間配置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 図 47 筆者説明風景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 図 48 「死して何を残すのか」手作業紙教材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54 図 49・50 「死して何を残すのか」作業手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 図 51 「死して何を残すのか」図解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 図 52 図解化に取り組み風景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 図 53 川喜田二郎博士夫妻と早稲田 KJ 研究会メンバー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 図 54 マジカルナンバー7 を花火図解で試みた作品 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59 図 55 統合型花火と KJ 法の比較表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60 図 56 探検型花火実習風景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61 図 57・58・59 表札づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 図 60 空間配置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 図 61 図解化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 図 62・63 図解化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 図 64 「死して何を残すのか」手作業シミュレーション図解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 第 65 「伝統文化を生かした商品開発」階層図解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 図 66 「伝統文化を生かした商品開発」手作業シミュレーション・・・・・・・・・・・・・・・・・68 第 67 グループ KJ 法の基本的土俵とラベル配り ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 第 68 三村式グループ KJ 法リアルタイム個人作業シミュレーション方式 ・・・・・70 図 69 三村式グループ KJ 法 早稲田KJ研究会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70 図 70 グループ KJ 法+個人 KJ 法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 図 71 ラベル集め傾向一覧可視化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79 図 72 シミュレーション活用手順例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 図 73 シミュレーション活用例略図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84
第 1 章 はじめに
1.1 研究の背景
本 研 究 の対 象 である KJ 法 は、筆 者 が大 学 の卒 業 研 究 におけるインタビュー デ ー タの 処 理 が で き ず 、 挫 折 し たと き に 読 んだ 『 知 的 生 産 の 技 術 』 [1] で 知 っ た。 ばらばらの素 材 のまとめ方 において、異 質 のデータから発 想 する方 法 として、 理 論 と実 技 を洗 練 された技 法 にまで高 め体 系 化 したのが川 喜 田 二 郎 創 始 の KJ 法 であるという紹 介 に、筆 者 はこれこそ求 めていたものであると直 感 した。 『発 想 法 』[2]であつかう「発 想 法 」は一 般 的 な発 想 法 ではなく、川 喜 田 自 身 が考 え出 した発 想 法 に限 られ、位 置 づけたものであると川 喜 田 は断 っている。 Raymond Scup[3]は、川 喜 田 をエスノロジスト(ethonologist)と紹 介 している が、 地 理 学 から出 発 し民 俗 学 へ 傾 斜 していった川 喜 田 の 関 心 の 中 心 は、 地 理 学 と民 族 学 の接 点 である民 族 地 理 学 (ethnogeography)である。 異 国 の異 民 族 の中 で暮 らしながらフィールドワークで得 た多 種 多 様 なデータ を、同 質 の要 約 ではなく異 質 の統 合 で啓 発 的 にまとめることを強 く志 向 した川 喜 田 は、1951年 に KJ 法 の原 理 を発 見 した。この原 理 を一 般 人 が学 べる体 系 にまで仕 立 てたものが1967年 初 版 の『発 想 法 』である。 『 発 想 法 』 と 同 年 に 出 版 さ れ た グ ラ ウ ン デ ッ ド ・ セ オ リ ー (Glaser, B.G & Strauss, A.L. 1967)[4][5][6][7]も定 性 的 データ処 理 方 法 論 である。KJ 法 と 比 較 すると 、取 材 デ ータをベ ースに しているとはいえ川 喜 田 の目 指 す 異 質 の データの統 合 ではなく、概 念 カテゴリー化 から抜 け出 ていない。 筆 者 は、1971年 に開 催 された四 国 移 動 大 学 [8]で初 めて KJ 法 を体 験 した。 しかし、ほとんど理 解 できないままに終 わった。KJ 法 は難 しいと思 った。幸 いだ ったことは、生 の取 材 の醍 醐 味 を味 わった1泊 2日 のフィールドワーク体 験 であ った。この体 験 がその後 の KJ 法 研 究 を続 けさせる原 動 力 になっている。 移 動 大 学 の生 活 に慣 れたころ、川 喜 田 のテントを覗 いた。そこで見 た創 始 者 のラベル操 作 は、教 わったものとは違 っていた。これが本 研 究 の起 点 となって いる。 多 くの研 修 を受 講 しつつ、KJ 法 を学 びやすくする方 法 はないものかと考 える ようになった。腕 が上 がり、教 えるようになったが、教 えることも難 しい。 こ こ 数 年 は 、 縁 あ っ て 大 小 取 り 混 ぜ て 2 0 件 近 い 研 修 を こ な し た 。 企 業 人 とKJ 法 をめぐる議 論 もした。誤 った KJ 法 ばかりが広 がっているということを知 った。 ラベルを使 えば KJ 法 であるという程 度 の認 識 であった。異 質 の統 合 に至 る作 業 手 続 き、すなわち作 法 がまったく伝 わっていないことを確 認 した。 KJ 法 を研 究 方 法 の柱 としている永 延 [9]は、整 い過 ぎているくらいの体 系 が 逆 にその本 質 的 意 味 を容 易 に伝 えにくくしているのではないかと指 摘 している。 しかし、その体 系 に沿 わなくては KJ 法 としての原 理 である異 質 の統 合 とはなり えない。誤 った KJ 法 と正 則 な KJ 法 は、構 造 的 にも作 業 工 程 においても、まっ たく異 なっているからである。 作 法 がまったく伝 わっていないという確 認 から、KJ 法 学 習 におけるつまづき の大 部 分 がここに端 を発 していると確 信 し、作 法 をシンプルで効 果 的 に伝 える 方 法 を創 案 し、研 修 会 で試 しながら改 良 をつづけた。 つ まづ き の 多 くを解 消 できる 方 法 をつ くりだ すこ とに よって、 初 心 者 にと って KJ 法 が取 り組 みやすいものとすることと、誤 った KJ 法 の誤 解 を速 やかに解 くこ とを目 指 してきた。
1.2 研究の目的
本 論 文 では、以 下 の4つの試 み、1)テキストベースのビジュアル・シミュレー ション、2)手 作 業 のテキストベースのシミュレーション、3)グループ KJ 法 作 業 をリアルタイムになぞる個 人 作 業 シミュレーション、および、4)ラベル集 めの傾 向 が一 覧 できる可 視 化 について提 案 する。 KJ 法 学 習 上 のつまづきには、次 のようなものがある。 ① 元 ラベルの表 現 (訴 え性 のある表 現 )ができない。 ② ラベル集 めに際 して、世 界 内 的 姿 勢 がとれない。 ③ ラベル集 めのときのラベル操 作 がわからない。 ④ 関 係 性 を欠 いた知 識 教 養 のために、ラベル間 の距 離 感 が掴 めない。 ⑤ 表 札 をつ け ても 、 一 枚 の ラベ ルと して扱 うこ と が でき ない。 下 位 ラベ ル を 覗 きながらラベル集 めをしてしまう。表 札 作 りの良 し悪 しと関 係 。 ⑥ 表 札 づくりができない。 ⑦ 図 解 化 の手 順 がわからない。 ⑧ グループ KJ 法 と個 人 KJ 法 との違 い(基 本 的 には同 じ)が分 からない。 ⑨ 同 質 と異 質 のデータの違 いが分 からない。 ⑩ KJ 法 は分 類 や分 析 であるという通 念 が邪 魔 する。⑪ 元 ラベルとなるデータの取 材 (希 薄 な問 題 意 識 と関 係 )ができない。 ⑫ KJ 法 図 解 と、平 面 空 間 配 置 図 解 との区 別 がつかない これらのつまづきの多 くを解 消 できるツールとして、本 論 文 提 案 の4方 法 の有 効 性 を研 修 会 で試 してきた。 1)テキストベースのビジュアル・シミュレーションは、本 を意 識 した紙 ベースの 簡 易 なものにすることを条 件 に、上 記 の 20 枚 のラベルをベースに、パワーポイ ント上 に狭 義 の KJ 法 1ラウンドをすべて再 現 した。川 喜 田 から直 接 学 んだ重 要 な作 法 も組 み入 れられている。 本 シミュレーションは、手 作 業 シミュレーションと組 み合 わせて試 してみた。 2)手 作 業 のテキストベースのシミュレーションの試 みは、2つに分 けられる。 その1つは、73 枚 の大 量 の元 ラベルの手 書 き作 業 によるものである。 大 量 であ る こと が 、 ラベ ル操 作 を 学 ぶ とい う 当 初 の 目 的 以 外 に 何 ら かの 効 果 があるかどうか観 察 した。 もう1つは、1時 間 で KJ 法 作 業 を体 験 できることを条 件 にしたものである。KJ 法 の階 層 性 を損 なうことのないラベル数 は、体 験 上 最 低 限 20 枚 である。少 な い枚 数 は、どこまでどのような効 果 が上 がるか観 察 した。 3)グループ KJ 法 作 業 をリアルタイムになぞる個 人 作 業 シミュレーションは、 初 心 者 の 時 期 に 考 え た 方 法 であ る 。 こ の 方 法 に より、 グ ル ー プ 作 業 に お け る 全 体 感 の欠 落 をなくすことができ、グループ KJ 法 と個 人 KJ 法 は別 物 であると いう誤 解 を解 くことができているかどうか、観 察 した。 4)グループ KJ 法 作 業 をリアルタイムになぞる個 人 作 業 シミュレーションは、グ ループ作 業 から個 人 作 業 に切 り替 えが可 能 である。その結 果 、同 じ条 件 の下 にラベル集 めの傾 向 を把 握 することが可 能 になり、傾 向 の一 覧 可 視 化 ができ るようにした。全 体 感 からくる意 味 の相 対 的 近 さをひとはどのように捉 えるのか を研 究 す る知 識 科 学 的 アプローチと しての 有 効 な方 法 と して寄 与 できるの で はないかと考 える。 本 論 文 で提 案 する4つの試 みは、いずれも初 の試 みとなる。
1.3 研究の方法
本 論 分 で提 案 する4つの試 みは、KJ 法 研 修 という実 践 の中 で生 まれ育 った ものである。 さまざまな工 夫 の実 戦 は、ある意 味 では実 験 と考 えられなくはない。しかし、 評 価 実 験 のように、条 件 を規 定 した実 験 ではなく、参 加 者 との丁 々発 止 のやり 取 りから、筆 者 が感 じ、考 え、考 案 したものである。したがって、考 察 も、筆 者 の 体 験 の部 分 が極 めて大 きい。しかし、実 戦 で培 った実 感 というものはそれなり に鋭 いものがあり、本 研 究 では、その部 分 に大 きく頼 っている。 KJ 法 研 修 は、写 真 と録 音 で記 録 してある。 多 くの 写 真 の 記 録 、 研 修 時 間 をほぼ網 羅 した 録 音 、 千 数 百 通 を 越 える 電 子 メールでのやり取 り、その時 々の取 材 記 録 をもとに、ターニングポイントとなる 研 修 会 を俎 上 に載 せ、参 加 者 とのいかなるやり取 りが、いかなるハプニングが、 いかなる閃 きが、いかなる葛 藤 や喜 びがこれらを生 み出 したのかを考 察 する。 ターニングポイントとなった研 修 会 を以 下 に記 す。 ① 「早 稲 田 KJ 研 究 会 」:2003年 4月 、5月 、6月 、7月 、10月 ② 「JAIST インターンシップ研 修 」:2003年 8月 5日 ∼9日 ③ 「グループ創 造 技 法 体 験 研 修 会 」:2004年 8月 27・28日 ④ 「JAISTオープンセミナー:創 造 的 人 材 を育 成 するグループ創 造 技 法 」: 2004年 11月 28日 これら意 外 にも、ヒントとなる研 修 会 はある。それらについては、随 時 取 り上 げ ることとする。1.4 関連研究
図 1は、本 研 究 の位 置 を示 したものである。 筆 者 が本 研 究 において「作 法 」とした理 由 は、「型 」は、ときとしてこころを伴 わないイメージがあるが、KJ 法 の型 は脳 のあらゆる部 分 を効 率 よく使 うように導 いている感 じがあり、それが茶 道 の流 れるような作 法 を想 いおこさせるからであ る。心 作法 型 狭義のKJ法1ラウンド W型問題解決モデル 6ラウンド累積KJ法 産業 精神 宗教 教育 研究 PC 武道 論 図 1 本 研 究 の位 置 づけ KJ 法 上 達 において、KJ 法 作 業 はスポーツ的 であるとして、武 道 における上 達 法 をベースに永 延 が論 じている[10]。 永 延 は、野 外 科 学 的 方 法 (講 義 の KJ 法 )を学 ぶ決 心 をしたとき、思 想 と技 法 が切 り離 せないものであるが、KJ 法 はよく体 系 づけられていて、自 然 に発 想 しやすい思 考 方 法 や思 想 となっており、技 法 そのものを習 得 することで、発 想 試 行 や思 想 につながると見 抜 き、技 法 の技 化 に専 念 することにした。 川 喜 田 研 究 所 の研 修 を受 講 するだけでなく、南 郷 継 正 の武 道 理 論 に則 っ て「技 を身 につける」視 点 で鍛 える手 順 を構 造 化 した。理 由 は、KJ 法 のような 見 えにくいソフトな方 法 を技 化 する際 に見 落 としがちな意 識 作 業 を重 要 視 した からである。 永 延 は、KJ 法 を見 えにくいソフトな方 法 と指 摘 している。本 を読 んでも分 か らないという訴 えをよく聞 くが、このあたりと関 係 していると思 われる。研 修 にお いて、筆 者 は作 法 の重 要 性 を訴 え、作 法 が導 くさまざまな意 識 の働 きをどのよ うに感 じたかを記 憶 しておくように指 導 している。 永 延 は、KJ 法 は主 観 的 で客 観 性 がないという俗 流 批 判 について、竹 内 均 の KJ 法 評 価 「天 才 の独 創 プロセスを一 般 化 した発 想 方 法 が KJ 法 である。」を取 り上 げている。 天 才 は、無 数 の断 片 (個 別 )からいきなり独 創 的 な仮 説 (普 遍 )を打 ち立 てる。し かしこれには、 天 才 の驚 異 的 な直 感 があってはじめて可 能 である。しかし凡 人
でも KJ 法 の方 法 なら独 創 を生 み出 せる。断 片 データから小 ・中 ・大 グループヘ とまとまるところ(特 殊 )からまとめあげていくプロセスが、KJ 法 では、明 確 に方 法 化 されているからである。さらに KJ 法 でのラベル集 めのキーワード<親 近 感 > と、 デカルト 「 方 法 序 説 」 やポアン カレ「 科 学 と方 法 」 に おける< 審 美 的 感 受 性 > は、非 常 によく似 た判 断 だと、竹 内 氏 は、思 っている。それは、手 持 ちの材 料 を 使 い切 って描 かれるイメージであり世 界 観 である。 <中 略 > 天 才 的 発 想 プロセスと KJ 法 とには、共 通 性 があるという本 質 的 認 識 が、技 の 〈極 意 >レベルを憧 憬 する者 にとり深 い励 みになる。 永 延 は 、KJ 法 技 法 の 有 用 性 を 喝 破 し て い る 。 永 延 に限 らず、KJ 法 の型 の重 要 性 を見 抜 いて、KJ 法 を自 在 に使 いこなして いる人 物 も少 なからずいる。以 下 に、その例 を記 す。 KJ 法 を最 初 期 に認 め、自 社 の活 動 に取 り入 れたのは、元 三 菱 樹 脂 ㈱技 術 本 部 長 青 木 貞 巳 [11]である。 KJ 法 を最 初 に受 け入 れたのは産 業 界 であった。『発 想 法 』の出 版 以 前 のこ とである。当 時 の産 業 界 は、QC サークル活 動 が主 流 であった。 青 木 は、ブレーンストーミングの欠 点 を改 善 し、対 話 発 想 を加 えて三 菱 樹 脂 式 ブレーンストーミング(以 下 MBS)を創 案 した。これは KJ 法 の死 命 を制 する ほどの大 きなつまづきの一 つである元 ラベル表 現 と関 係 する。 青 木 はMBSについて、以 下 のように述 べている。 このMBSの方 式 は、長 い間 の試 行 錯 誤 の結 果 に生 まれたものである。オズボンB Sは参 加 人 数 8名 から12名 が適 当 であり、MBSは17名 前 後 で1人 当 たりのアイデ ア件 数 が最 大 になる。熟 練 するにつれて、人 数 は減 少 してもよいアイデアが出 るよう に な る 。 3 人 で も で き る 。 さ ら に 後 述 の よ う に 一 人 M B S と い う 方 式 も あ る 。 ま た 教 育 講 習 会 では12名 がよい。 MBSによる元 ラベルの質 のレベルが格 段 に高 いのである。このベースがあ ったからこ そ、 紙 切 れ 法 と い う 名 でま だ 研 修 シ ス テム も なか った時 代 に 、 川 喜 田 から KJ 法 の話 を聞 いただけで数 日 で懸 案 事 項 を紙 切 れ法 で作 ることがで きた。当 時 はまだ一 枚 の紙 に意 見 やアイデアを箇 条 書 きにしていたのだが、川 喜 田 の話 から、意 見 やアイデアを単 位 化 することに意 味 があることを瞬 時 に覚 った。良 質 の元 ラベルと単 位 化 が成 功 の決 定 的 要 因 であった。
QC サークル活 動 に使 われる7つの手 法 は、1)特 性 要 因 図 、2)パレート図 、 3)ヒストグラム、4)チェックリスト、5)グラフ、6)管 理 図 、7)散 布 図 をいう。 「 QC サ ー ク ル の 推 進 委 員 は 古 参 の 職 長 に よ っ て 構 成 さ れ て い る。 あ る と き Q C サ ークル手 法 のうちで、特 性 要 因 が単 なる分 類 であることに不 満 を感 じ、是 非 KJ法 を 教 えて欲 しいとの強 い要 望 があった。<中 略 >そこで当 社 流 のホッチキスとコピーを 使 用 する方 法 が生 まれた。」 順 次 指 導 制 を徹 底 し、千 人 に KJ 法 を習 得 させた。講 習 会 に使 用 するテキス トは、KJ 法 図 解 で書 かれたとある。文 献 には図 解 がないが、分 かりやすいテキ ストであったと推 測 できる。 青 木 のQC活 動 活 性 化 成 功 要 因 は、 高 いMB S により質 の 高 い 元 ラベルが 得 られたうえで KJ 法 と組 み合 わせたことと、KJ 法 作 法 を忠 実 に実 行 したことで ある。 精 神 医 療 関 係 で KJ 法 を実 用 化 したのは、森 田 療 法 にKJ法 を応 用 させた精 神 科 医 の丸 山 晋 [12][13]である。 著 書 『精 神 保 健 と KJ 法 』の第 1部 心 の問 題 解 決 で次 のように述 べている。 ここでは「心 の問 題 解 決 」としての KJ 法 を扱 っている。かつて土 居 健 郎 先 生 が 著 者 に「すべてのサイコセラピーは問 題 解 決 だ」とおっしゃったことがある。 森 田 療 法 家 として出 発 した著 者 にとっては、最 初 KJ 法 の森 田 への応 用 が念 頭 にあった。同 時 に KJ 法 独 自 のサイコセラピーとしての価 値 を追 求 したいと思 っ ていた。その両 者 の目 的 はほぼ満 たされたといってよい。この部 分 は本 書 の一 番 重 要 な部 分 と考 えている。 KJ 法 は、狭 義 の KJ 法 1ラウンドとW型 問 題 解 決 モデル6ラウンド累 積 KJ法 と に分 けられる。丸 山 は、W型 問 題 解 決 モデルを治 療 に応 用 させた。6ラウンド を貫 徹 した患 者 は、すべて完 治 している。 筆 者 がKJ法 の型 を作 法 と呼 ぶ理 由 はここにある。KJ 法 の型 は極 めて原 始 的 (川 喜 田 との会 話 で聞 いた)である。複 雑 な型 は、それを覚 えるだけで精 神 疲 労 を起 こす。心 を本 質 に導 く型 は、極 めて単 純 である。KJ 法 の型 は、心 の 全 身 運 動 を引 き起 こす。 KJ 法 を知 らない患 者 にどのようにKJ法 を教 えるのかを聞 いた。簡 単 な事 例 を見 せ て読 ま せ てく るだけ だと いう。 6ラウンド累 積 K J 法 の1ラウン ドは 問 題 提 起 ラウンドである。この初 回 のときに一 緒 に作 業 を進 めながら教 えていく。
KJ法 図 解 の完 成 度 はどの程 度 かという質 問 に、「作 業 をしている間 や、 図 解 を前 にすると、患 者 との対 話 がスムーズに進 むことのほうが重 要 」と答 えた。 図 解 があると、面 と向 かい合 って対 話 をする必 要 がなく、図 解 が仲 立 ちとな るので、対 話 が促 進 されるということであった。丸 山 は、対 話 によって患 者 が多 様 な意 見 を出 しやすくしている。 著 者 は、かつて「森 田 療 法 における KJ 法 の活 用 」と題 する論 文 17)で、KJ 法 の効 用 を 10 項 目 にまとめた。 また、他 の場 所 18)で、KJ 法 が治 療 者 にとりどのような価 値 があるかを論 じ た。その項 目 をあげると、 ① 記 録 が必 ずのこる。 ② 面 接 を再 現 しやすい。 ③ 治 療 の行 程 を確 認 しやすい。 ④ 次 の段 取 りをくみたてやすい。 ⑤ 余 裕 をもって面 接 場 面 に臨 める。 ⑥ 情 緒 的 な問 題 を処 理 しやすい。(転 移 など)。 ⑦ 他 の人 の意 見 も導 入 しやすい。 ⑧ 事 実 と解 釈 をはっきりさせやすい。 ⑨ 緩 急 、濃 淡 を考 慮 しながらやってゆける。 ⑩ 患 者 自 らが作 業 をやることにより、ことがはかどる。 丸 山 が患 者 をリードしているが、患 者 もKJ法 作 法 を共 通 のものとしていること が重 要 な点 である。狭 義 の KJ 法 一 ラウンドも 6 ラウンド KJ 法 も、型 と作 法 が決 められている。その流 れに共 に乗 っていくことで完 治 に至 るのである。 「図 解 は心 のCTスキャンである」は、丸 山 のインタビューで印 象 的 に残 って いることばである。 KJ 法 は仏 教 の技 術 科 であると喝 破 したのは桐 谷 征 一 [14]である。 宮 沢 賢 治 の 法 華 経 世 界 の 研 究 で、 文 献 を 猟 歩 し、 13 00 枚 の 元 ラ ベ ルを 得 た。2cm×6cm のKJ法 ラベルがピタリと入 るファイルを使 って携 帯 できるよう にし、いつでもどこでもラベル集 めができるように工 夫 した。この工 夫 が、コンピ ュータ画 面 の制 約 を打 ち破 った。桐 谷 は、こんなエピソードの持 ち主 でもある。 KJ法 は仏 教 の技 術 化 であると喝 破 した桐 谷 師 は、次 のように述 べている。 告 白 するが、私 はそれまでどこでだれに学 んだよりも、KJ 法 に出 会 ってはじめて、 仏 教 存 在 の本 質 にふれ得 たような気 がする。仏 教 は、どこまでも「人 間 」がテーマ
であるが、「己 をむなしくして、データそれ自 身 をして語 らしめよ」の KJ 法 の精 神 と 実 践 は、それら「縁 起 」の科 学 をささえる原 点 というべきであろう。 桐 谷 は、釈 迦 の悟 りを「神 」の啓 示 によるものではなく、人 間 としての自 分 自 身 の智 慧 によって得 たものであることは確 かであるという。それは、6ラウンド累 積 KJ法 のステップと同 じステップを辿 ったのではないかと推 測 し(信 じ)ている。 もしも、もしも釈 迦 がKJ法 の技 法 を知 っていたならば、釈 迦 のテーマである「人 間 の苦 は、いかに解 決 したらいいのか」について、脳 裏 にはありとあらゆるデー タが広 げられ、禅 定 が進 むにつれてデータの統 合 化 が進 み、12束 になったと きに悟 りが開 けたのではないかという。 とくに注 目 すべきは、KJ 法 では六 ラウンド、仏 教 はこのように四 ラウンドに表 現 するが、 両 者 が問 題 解 決 にあた るその基 本 的 な世 界 観 と、 実 践 の手 順 はまった くオーバーラップして認 められる点 である。 狭 義 の KJ 法 一 ラウンドと6ラウンド累 積 KJ 法 の型 があるからこそ、そしてこの 型 が人 間 の普 遍 的 思 考 方 法 を示 しえているからこそ、このような考 えを導 き出 せるのである。 1300 枚 の元 ラベルを組 み立 てるには、型 に忠 実 に身 をゆだねるしか道 はな い。 教 育 に関 しては、二 人 の実 践 研 究 が挙 げられる。一 人 は渡 辺 仁 三 [15]、もう 一 人 は森 淼 一 (もりひろかず)[16]である。 渡 辺 は、学 校 教 育 に最 初 に KJ 法 を導 入 した小 学 校 の教 員 であった。1968 年 のことであった。あくまでも子 供 の立 場 に立 つことを死 守 した教 員 であった。 当 時 、詰 め込 み教 育 の行 き詰 まりが顕 著 になり、渡 辺 の勤 務 する小 学 校 は 大 阪 市 教 育 委 員 会 の研 究 指 定 校 として「教 育 の近 代 化 をはかるためにどのよ うにすればよいか」という主 題 を追 及 していた。この動 きの中 で、渡 辺 は『発 想 法 』と出 会 った。『発 想 法 』の源 流 は『パーティー学 』にあり、データの啓 発 的 統 合 法 、衆 知 を集 める法 、チームワークのありかたの三 者 を統 合 的 に考 え、その 焦 点 として「人 間 の創 造 性 をいかに育 てるか」という構 想 に大 きな共 感 を覚 え、 人 間 教 育 の復 権 として KJ 法 を学 校 教 育 に全 面 適 用 の運 びとなった。 当 初 は試 行 錯 誤 の連 続 であったという。やがて、 その実 践 の一 つひとつから、KJ 法 が子 供 のもつ能 力 を十 分 に引 き出 すことがで き、それを生 かすことによって子 供 一 人 ひとりの個 性 が顕 現 できる喜 びを見 出 した。
そうした一 方 で「学 び方 を学 ばせる」といった多 面 的 な学 習 法 にも、より効 果 をもたら せるものであると考 え、その指 導 法 の確 立 に向 かって、相 互 研 鑽 を積 み重 ねた。 その後 は共 同 研 究 から個 人 研 究 へ移 行 し、渡 辺 は様 々な試 みを自 分 の教 室 で展 開 した。 渡 辺 の授 業 での展 開 は、KJ 法 の型 を少 しも逸 脱 することがない。最 大 の問 題 は時 間 がかかることであったが、教 科 ごとに教 員 が変 わることのない小 学 校 の利 点 を最 大 限 に活 かしきったことである。 ラベル集 めと表 札 づくりのできばえを作 品 から見 ると、渡 辺 がいかに KJ 法 の 本 質 を見 抜 いていたかがわかる。 当 時 はまだ6ラウンド累 積 KJ 法 の研 修 がなされていないにもかかわらず、的 確 に指 導 している。教 科 と 6 ラウンド累 積 KJ 法 の特 性 を活 かしきった判 断 であ った。 6ラウンド累 積 KJ 法 の第 6ラウンドは、実 施 手 順 のラウンドである。これを学 んだ子 供 たちは、卒 業 式 を子 供 たちの手 で手 順 化 し、全 生 徒 の言 葉 を KJ 法 で組 み立 て、ひとりひとりが読 み上 げていった。 筆 者 は渡 辺 の死 後 、川 喜 田 と共 に当 時 の卒 業 生 のクラス会 に出 席 した。ほ のぼのとした会 であった。 森 は静 岡 県 の山 間 に位 置 する一 等 僻 地 の中 学 校 の校 長 であった。 静 岡 市 の市 域 とは名 のみで、実 際 は市 街 地 から一 時 間 近 くも車 で走 った大 山 奥 の、過 疎 地 域 の谷 間 にある小 さな中 学 校 。それが、この稿 の主 体 となった 大 川 中 学 である。だが、この中 学 における全 校 あげての KJ 法 導 入 の試 みは、 ながく KJ 法 の歴 史 に名 を留 める、ショッキングなほどのできごとであった。 川 喜 田 の驚 きである。 1974年 ごろから、川 喜 田 研 究 所 の費 用 の安 い教 育 者 コースではなく上 級 コースに、同 じ中 学 校 の教 員 が研 修 に来 るようになった。それで尋 ねてみた。 聞 けば一 等 僻 地 で、その欠 点 を利 点 に変 えてしまっているようだ。 新 田 實 [17]は1974年 に赴 任 した。3年 間 勤 務 した当 時 を次 のように回 想 し ている。 毎 日 を KJ 法 とともに暮 らしたといっても過 言 ではない。夏 休 みには全 職 員 で 一 学 期 の教 育 活 動 の評 価 を KJ 法 で行 い、冬 休 みをはさんだ二 学 期 の後 半 か ら 3 学 期 は中 は、その年 度 の教 育 活 動 の評 価 を同 じく全 職 員 で KJ 法 によって
行 った。とくに後 者 の評 価 は、現 状 把 握 ラウンド、本 質 追 及 ラウンド、構 想 計 画 ラウンドを綿 密 に実 施 し、各 ラウンドごとのブレーンストーミング、ラベルのピック アップ、ラベル集 め、表 札 作 り、図 解 化 の作 業 は、延 べ40時 間 あまりにも達 し、 3 ラウンド合 計 すれば述 べ100時 間 を越 える作 業 量 であった。 全 教 員 が校 長 であるという森 校 長 の薫 陶 が行 き届 き、教 員 と生 徒 と、さらに は地 域 住 民 をも巻 き込 んでの学 校 活 動 となった。 校 長 である森 は前 面 に出 ることなく、部 下 である教 職 員 を前 面 に押 し出 して、 黒 子 に徹 していた。富 士 移 動 大 学 でお目 にかかったが、野 武 士 の気 骨 を感 じ た。 学 校 マネジメントにここまで KJ 法 を導 入 した校 長 は森 だけであろう。ここでも 特 筆 すべきことは、KJ 法 の作 法 に忠 実 であったということである。 研 究 者 としての永 延 [10]の真 骨 頂 は、生 活 の全 てを KJ 法 化 していることで ある。学 者 としての研 究 は全 て KJ 法 の作 法 に則 っている。 KJ 法 は、取 材 のノウハウ(花 火 日 報 、点 メモ花 火 、探 検 型 花 火 、統 合 型 花 火 、データカード保 存 ・検 索 )から、異 質 のデータの統 合 作 法 、問 題 解 決 学 と しての 6 ラウンド累 積 KJ 法 と、野 外 科 学 に必 要 なノウハウと思 想 が体 系 化 され て完 結 している。 永 延 は、この体 系 を完 璧 なまでに研 究 に導 入 している。 これまで見 てきたひとたちの共 通 点 は、KJ 法 の技 法 としての型 を徹 底 して追 及 していることである。 筆 者 が監 督 して制 作 した KJ 法 電 子 版 が出 来 上 がったときに感 じたことは、 空 っぽのツールだということであった。KJ 法 はなにも強 制 してはいない。データ をして語 らしめることで、データからおのずと学 んでいる自 分 がある。作 法 を忠 実 に実 行 することだけが、発 想 思 考 や思 想 につながる道 なのである。 永 延 の、「 技 法 を 修 得 し て い く こ と が 、 お の ず と 発 想 思 考 や 思 想 に つ な が る 」 に 尽 き る 。 し か し 、 本 研 究 の よ う な ご く 初 歩 的 な KJ 法 入 門 期 の 人 々 を 対 象 の 作 法 伝 達 研 究 は 見 当 た ら な い 。 本 研 究 に 直 接 関 係 す る の は 、 川 喜 田 の 著 作[18]で あ る 。
第2章 KJ 法とは
2.1 KJ 法の創案者
KJ 法 の創 案 者 は、文 化 人 類 学 者 の川 喜 田 二 郎 博 士 である。 『知 的 生 産 の技 術 』[1]著 者 梅 棹 忠 夫 は著 書 の中 で、梅 棹 や川 喜 田 の仲 間 がカード方 式 の開 発 をしていたが、理 論 においても実 技 においても大 発 展 させて、洗 練 した技 法 にまで作 り上 げたのが川 喜 田 二 郎 で、彼 の頭 文 字 を取 って、KJ 法 と名 づけたということである。 川 喜 田 によると、KJ 法 の命 名 者 は、梅 棹 忠 夫 である。 KJ 法 は商 標 登 録 されている。 KJ 法 と同 じであるにもかかわらず、名 称 を親 和 図 法 と変 えてあるものがある。 日 科 技 連 出 版 [19][20]には、1984年 には親 和 技 法 は KJ 法 に起 源 を持 つと あるが、一 年 後 には、親 和 技 法 の解 説 に KJ 法 の解 説 がなされ、KJ 法 は創 造 工 学 の一 技 法 の扱 いとなっている。 親 和 技 法 は KJ 法 そのものであるとする書 物 もある。[21]2.2 KJ 法創案の背景
川 喜 田 は、19 歳 のときの論 文 「絵 画 におけるリアリズム」[22]世 界 外 的 世 界 から世 界 内 的 世 界 への転 向 を表 明 して、今 日 に至 る。 現 実 世 界 を外 から睥 睨 するのではなく、渾 沌 とした現 実 の世 界 に身 を投 じて、 渾 沌 と共 にのたうちまわるという発 想 である。 KJ 法 創 案 は、学 問 的 動 機 、実 務 的 必 要 、国 際 平 和 の観 点 から、分 類 発 想 である「同 質 の要 約 」ではなく、「異 質 の統 合 」を希 求 し、その熱 意 が1951年 の KJ 法 の原 理 の発 見 となった。2.3 KJ 法作法
本 論 文 自 体 が KJ 法 作 法 にかんするものであるので、付 録 および本 文 に譲 る第 3 章 KJ 法作法との出会い
3-1 オリジナルラベル操作
KJ 法 を技 術 ではなく「作 法 」としてとらえようとする感 覚 がこころに宿 ったのは、 四 国 移 動 大 学 [23]で KJ 法 創 始 者 のテントを覗 いたときであった。 図 2 四 国 移 動 大 学 キャンパス風 景 図 3 筆 者 のラベル集 め 以 下 は、そのときのエピソードである。 移 動 大 学 の雰 囲 気 に慣 れてきたころ、筆 者 は KJ 法 創 始 者 のテントを覗 き に行 った。入 り口 をめくって顔 を突 っ込 んで挨 拶 をした。創 始 者 は KJ 法 作 業 中 だったので、ちょっと迷 惑 そうなそぶり。 筆 者 :「おや、変 だな。ラベルの集 め方 が教 わったのとは違 うぞ」と心 の中 で つぶやきつつ、創 始 者 の作 業 中 のラベル群 に目 が釘 付 けになる。 筆 者 :「ラベルの集 め方 が、教 わったのとちがうんですけど?」 創 始 者 : 「 私 は 最 初 からこ うだ よ。 こ うす れ ば 、 集 ま ったラベ ル もい つ も 均 等 に 読 んでいける。作 業 が進 めばだんだん枠 が小 さくなっていく。場 所 を とらない。」 創 始 者 のラベル集 めのラベル操 作 は、図 4のように、最 初 に並 べたラベルの枠 内 で操 作 され、近 いラベルは、文 字 が見 える範 囲 で上 下 に重 ねてあった。 筆 者 :「重 ねると、下 の一 枚 じゃまになりませんか?」 創 始 者 :「もってきたのと入 れ替 えればいい。」 筆 者 :「それじゃ、せっかく覚 えた場 所 を忘 れちゃいませんか?」 創 始 者 :「なあに、これぐらいのことはええやないか・・・。」 図 4 川 喜 田 二 郎 博 士 の野 外 講 義 風 景 川 喜 田 のラベル操 作 は、図 5 と図 6 のようであった。 黄 色 同 士 が近 いと感 じたら、どちらかの側 に移 動 して、重 ねておく。下 図 の 場 合 、右 上 のラベルを左 下 のラベルの下 に置 きたい。この場 合 、ピンクのラベ ルがあって置 き場 に困 るから、入 れかえる。このとき字 が読 める程 度 に図 6のよ うに重 ねる。 ラベルの 集 合 全 体 は、一 つ の宇 宙 を成 すものと 考 える。 [24]こ の 宇 宙 内 で のラベルの志 のより近 いものを集 める(集 まる)のである。 あくまでも、宇 宙 内 でラベルの志 を聴 く事 が秘 訣 である。 感 性 というものはいい加 減 なものと思 う人 が多 いが、全 体 と部 分 の距 離 感 を 鋭 く感 知 している。だから、ラベルを宇 宙 外 にだしてはならない。
005 開発者が伝統文化の暗黙知 を形成することが必要 006 伝統文化に協力する方々 に、大きな賞をあげる 007 市場のニーズにあった商品を 開発するには、技術の高さを誇る だけでは駄目である 008 伝統文化を生かすことは、伝 統技術を押し売りすることではな い。ハイテク技術を伝統文化に生 かすことも必要 009 開発者は、伝統文化に詳しく ない人と親しくして、伝統文化に初 めて接したときの驚き、喜びを観察 して開発に活かすべき 010 研究開発だけでなく、全社の 知識を総合する技術マネジメント (MOT)が重要である 021 市場を拡大するために、販売 会社は、ネットワーク等を利用して 販売方法を改善するべきである 011 伝統文化を尊重する人が少 なくなっており、愛好運動の展開が 必要 012 伝統文化は、電気などのエネ ルギーをあまり使わず、地球にや さしい産業である 013 伝統文化における特化した材 料の調達方法を確保する 014 あまりに普及しすぎると、あた りまえになってしまい、ありがた み、価値が薄れるので、少し手が 届きにくいほうがよい 015 伝統文化の趣味の会をター ゲットに、特別企画商品を開発販 売する 016 われわれの日常生活に伝統 文化を取り入れるべきである 017 地域活性化のためにも、地域 の伝統文化を活かすべき 018 加賀野菜 調理法が分からず 買う気がしない 019 販売範囲を拡大するため に、伝統文化の海外伝播も重要で ある 020 開発者は、伝統文化と美 容・健康を結びつけた商品開発を 心がけ、マスメディアに登場させよ う! 001 失われた文化を、文献等を解 明することにより、再起する 002 伝統文化では、後継者育成が重要だ 003 伝統文化を、学問における体系化を行う 004 子供に伝統文化を教育すべ きである 図 5 ラベル集 め 黄 色 同 士 を近 いと感 じる 005 開発者が伝統文化の暗黙知 を形成することが必要 007 市場のニーズにあった商品を 開発するには、技術の高さを誇る だけでは駄目である 008 伝統文化を生かすことは、伝 統技術を押し売りすることではな い。ハイテク技術を伝統文化に生 かすことも必要 009 開発者は、伝統文化に詳しく ない人と親しくして、伝統文化に初 めて接したときの驚き、喜びを観察 して開発に活かすべき 010 研究開発だけでなく、全社の 知識を総合する技術マネジメント (MOT)が重要である 021 市場を拡大するために、販売 会社は、ネットワーク等を利用して 販売方法を改善するべきである 011 伝統文化を尊重する人が少 なくなっており、愛好運動の展開が 必要 012 伝統文化は、電気などのエネ ルギーをあまり使わず、地球にや さしい産業である 013 伝統文化における特化した材 料の調達方法を確保する 014 あまりに普及しすぎると、あた りまえになってしまい、ありがた み、価値が薄れるので、少し手が 届きにくいほうがよい 015 伝統文化の趣味の会をター ゲットに、特別企画商品を開発販 売する 016 われわれの日常生活に伝統 文化を取り入れるべきである 017 地域活性化のためにも、地域 の伝統文化を活かすべき 018 加賀野菜 調理法が分からず 買う気がしない 019 販売範囲を拡大するため に、伝統文化の海外伝播も重要で ある 020 開発者は、伝統文化と美 容・健康を結びつけた商品開発を 心がけ、マスメディアに登場させよ う! 001 失われた文化を、文献等を解 明することにより、再起する 002 伝統文化では、後継者育成が重要だ 003 伝統文化を、学問における体系化を行う 004 子供に伝統文化を教育すべ きである 006 伝統文化に協力する方々 に、大きな賞をあげる 図 6 入 れかえて重 ねる
3-2 誤ったラベル操作
筆 者 が最 初 に教 わったのは、集 まったラベルセットは枠 外 (川 喜 田 は、枠 内 を宇 宙 と呼 んでいる)に出 すというものであった。 005 開発者が伝統文化の暗黙知 を形成することが必要 006 伝統文化に協力する方々に、大きな賞をあげる 007 市場のニーズにあった商品を 開発するには、技術の高さを誇る だけでは駄目である 008 伝統文化を生かすことは、伝 統技術を押し売りすることではな い。ハイテク技術を伝統文化に生 かすことも必要 009 開発者は、伝統文化に詳しく ない人と親しくして、伝統文化に初 めて接したときの驚き、喜びを観察 して開発に活かすべき 010 研究開発だけでなく、全社の 知識を総合する技術マネジメント (MOT)が重要である 021 市場を拡大するために、販売 会社は、ネットワーク等を利用して 販売方法を改善するべきである 011 伝統文化を尊重する人が少 なくなっており、愛好運動の展開が 必要 012 伝統文化は、電気などのエネ ルギーをあまり使わず、地球にや さしい産業である 013 伝統文化における特化した材 料の調達方法を確保する 014 あまりに普及しすぎると、あた りまえになってしまい、ありがた み、価値が薄れるので、少し手が 届きにくいほうがよい 015 伝統文化の趣味の会をター ゲットに、特別企画商品を開発販 売する 016 われわれの日常生活に伝統 文化を取り入れるべきである 017 地域活性化のためにも、地域 の伝統文化を活かすべき 018 加賀野菜 調理法が分からず 買う気がしない 019 販売範囲を拡大するため に、伝統文化の海外伝播も重要で ある 020 開発者は、伝統文化と美 容・健康を結びつけた商品開発を 心がけ、マスメディアに登場させよ う! 001 失われた文化を、文献等を解 明することにより、再起する 002 伝統文化では、後継者育成が重要だ 003 伝統文化を、学問における体系化を行う 004 子供に伝統文化を教育すべきである 図 7 黄 色 を近 いと感 じる。 005 開発者が伝統文化の暗黙知 を形成することが必要 006 伝統文化に協力する方々に、大きな賞をあげる 007 市場のニーズにあった商品を 開発するには、技術の高さを誇る だけでは駄目である 008 伝統文化を生かすことは、伝 統技術を押し売りすることではな い。ハイテク技術を伝統文化に生 かすことも必要 009 開発者は、伝統文化に詳しく ない人と親しくして、伝統文化に初 めて接したときの驚き、喜びを観察 して開発に活かすべき 010 研究開発だけでなく、全社の 知識を総合する技術マネジメント (MOT)が重要である 021 市場を拡大するために、販売 会社は、ネットワーク等を利用して 販売方法を改善するべきである 011 伝統文化を尊重する人が少 なくなっており、愛好運動の展開が 必要 012 伝統文化は、電気などのエネ ルギーをあまり使わず、地球にや さしい産業である 013 伝統文化における特化した材 料の調達方法を確保する 014 あまりに普及しすぎると、あた りまえになってしまい、ありがた み、価値が薄れるので、少し手が 届きにくいほうがよい 015 伝統文化の趣味の会をター ゲットに、特別企画商品を開発販 売する 016 われわれの日常生活に伝統 文化を取り入れるべきである 017 地域活性化のためにも、地域 の伝統文化を活かすべき 018 加賀野菜 調理法が分からず 買う気がしない 019 販売範囲を拡大するため に、伝統文化の海外伝播も重要で ある 020 開発者は、伝統文化と美 容・健康を結びつけた商品開発を 心がけ、マスメディアに登場させよ う! 001 失われた文化を、文献等を解 明することにより、再起する 002 伝統文化では、後継者育成が重要だ 003 伝統文化を、学問における体系化を行う 004 子供に伝統文化を教育すべきである 図 8 枠 外 に出 す。 黄 緑 を近 いと感 じる。005 開発者が伝統文化の暗黙知 を形成することが必要 006 伝統文化に協力する方々に、大きな賞をあげる 007 市場のニーズにあった商品を 開発するには、技術の高さを誇る だけでは駄目である 008 伝統文化を生かすことは、伝 統技術を押し売りすることではな い。ハイテク技術を伝統文化に生 かすことも必要 009 開発者は、伝統文化に詳しく ない人と親しくして、伝統文化に初 めて接したときの驚き、喜びを観察 して開発に活かすべき 010 研究開発だけでなく、全社の 知識を総合する技術マネジメント (MOT)が重要である 021 市場を拡大するために、販売 会社は、ネットワーク等を利用して 販売方法を改善するべきである 011 伝統文化を尊重する人が少 なくなっており、愛好運動の展開が 必要 012 伝統文化は、電気などのエネ ルギーをあまり使わず、地球にや さしい産業である 013 伝統文化における特化した材 料の調達方法を確保する 014 あまりに普及しすぎると、あた りまえになってしまい、ありがた み、価値が薄れるので、少し手が 届きにくいほうがよい 015 伝統文化の趣味の会をター ゲットに、特別企画商品を開発販 売する 016 われわれの日常生活に伝統 文化を取り入れるべきである 017 地域活性化のためにも、地域 の伝統文化を活かすべき 018 加賀野菜 調理法が分からず 買う気がしない 019 販売範囲を拡大するため に、伝統文化の海外伝播も重要で ある 020 開発者は、伝統文化と美 容・健康を結びつけた商品開発を 心がけ、マスメディアに登場させよ う! 001 失われた文化を、文献等を解 明することにより、再起する 002 伝統文化では、後継者育成が重要だ 003 伝統文化を、学問における体系化を行う 004 子供に伝統文化を教育すべきである 図 9 枠 外 に出 す。 その後 の研 修 会 でも、インストラクターにはやはり集 まったラベルは枠 の外 に 出 すように教 えられた。だが、創 始 者 のラベル操 作 をこの目 でしかと見 とどけた 筆 者 は、自 分 で作 業 するときはもちろんのこと、教 えるときには創 始 者 の操 作 法 を伝 えた。 集 まったラベルセットを枠 外 に出 したときと、図 のように枠 内 にあるときとでは、 ラベルを読 む感 じが違 ってくる。枠 内 にあるときのような全 体 と部 分 の関 係 を捉 えにくくなる。 集 まったセットを枠 外 に出 すと、なぜかホッとして、外 に出 したラベルセットは 読 まないで、枠 内 だけを読 むことになる。そうするとどうなるか? 川 喜 田 の言 葉 を借 りるならば、ひとつの全 体 をなす宇 宙 内 での相 対 的 近 さ でラベル集 めをするということである。 ところが、集 まったラベルをひとつの全 体 をなす宇 宙 の外 に出 してしまうと、こ の宇 宙 は虫 食 い状 態 になり、別 の一 つの全 体 をなす宇 宙 となってしまうのであ る。集 ま ったラベルを出 すたびに、ま た 別 の 一 つ の 全 体 を な す 宇 宙 を生 み出 すことになる。 筆 者 自 身 の体 験 からも言 えるのだが、集 まったラベルを外 に出 すことで読 ま なくなると、減 った枠 内 、のラベル同 士 の相 対 的 近 さで集 めることになり、結 果 としてズレたラベル集 めとなってしまう。 誤 ったラベル操 作 をすることで、このような事 態 がおこってくるのであるから、 まずラベル操 作 の正 しい作 法 を忠 実 に守 る必 要 性 があると考 えられる。
このような認 識 に 立 ち、 ラベ ル集 め だけ でなく、 ラベル並 べ から図 解 化 ま で の全 工 程 のラベル操 作 を分 かりやすく伝 えるために、ビジュアルなシミュレーシ ョン教 材 と手 作 業 シミュレーション教 材 を作 成 した。 ラベル操 作 が分 かったら、次 に学 ぶべきはラベル集 め感 覚 である。 表 札 づくりが一 番 難 しいと川 喜 田 はいう。だが、表 札 づくりはラベル集 めの 後 に来 る作 業 である。無 理 なラベル集 めをして無 理 に表 札 をつけようとするべ きではない。 川 喜 田 は、ラベル集 めは厳 密 に、表 札 づくりは厳 密 にといっている。 自 然 なラベル集 めができれば、無 理 のない表 札 がつけやすくなる。 ラベル集 めでは、次 のような見 当 違 いのやり方 がよくおこる。筆 者 は、この誤 りの類 型 [25]いて、それを見 ながらインストラクションを行 っている。 ラベルを宇 宙 内 で操 作 するだけでも、こういったことに気 づきやすくなる。 A:分 類 型 B:ストーリー型 C;読 みすぎ型 D:対 立 志 向 型 なぜ創 始 者 と違 ったラベル操 作 が教 えられたのかは不 明 だが、じかに創 始 者 と言 葉 を交 わしてこの目 でしかと見 て違 いを知 ったことにより、KJ 法 のラベル 操 作 になにか KJ 法 上 達 の秘 密 が隠 されていると無 意 識 に感 じたといえる。 集 まったラベルを外 に出 す教 えられ方 は、その後 長 期 にわたってそれがスタ ンダードであるかのようにインストラクターから伝 えられていった。 外 に出 しても全 部 読 めば同 じことだと誰 かに言 われた記 憶 があるが、集 まっ たラベルが枠 内 にあるのと枠 外 にあるのとでは、いいかえれば、図 からも分 かる ように、枠 内 が虫 食 い状 態 にあるのとないのとでは、なにか感 覚 的 に違 う。集 ま ったラベルが枠 内 にあると、枠 の全 体 に包 含 されて、全 体 と部 分 の対 話 をして いる感 じがする。 「扱 うすべ てのラベルの集 合 全 体 は、いわばひとつの世 界 であり、ひとつの 全 体 をなす宇 宙 なのである。その世 界 全 体 の声 を聴 き届 けた上 で、最 も志 の 近 いラベル同 士 を集 めるべき」[26]と川 喜 田 はいっている。 ラベル群 の枠 内 の世 界 内 的 やり取 りから、川 喜 田 の心 に KJ 法 が芽 生 えた のではないかと思 える。枠 内 でラベル操 作 をすることは、ラベル集 め感 覚 の本
質 に導 く作 法 であるといえるのではあるまいか。
作 法 にこそ本 質 に迫 る秘 密 が隠 されているのではないだろうか。 KJ 法 の作 法 は、このような人 間 の感 性 の特 性 をよくとらえている。
第 4 章 大量ラベルシミュレーション
4-1 早稲田 KJ 研究会
初 回 研 修 会 初 回 (2003年 4月 11日 ∼13日 )の研 修 会 への参 加 者 は、4名 であった。 リーダーの M 氏 が仲 間 に声 をかけたそうだが、大 学 で教 わった KJ 法 のイメ ージがあるので、みな敬 遠 したとのこと。KJ 法 を教 えている大 学 は多 いようだが、 正 則 な KJ 法 が教 えられているところは少 ないのではないかと思 われる。 以 下 に、3 日 間 のスケジュールを記 す。 第 一 日 目 :座 談 およびラベル操 作 シミュレーション実 習 「現 場 取 材 の心 得 」 第 二 日 目 :一 日 目 のつづき 第 三 日 目 :「上 達 」をテーマにパルス討 論 、多 段 ピックアップ グループ KJ 法 一 段 目 、表 札 づくり、点 メモ花 火 シミュレーション用 教 材 第 一 号 誕 生 参 加 者 は固 定 ではないということなので、筆 者 が知 っている研 修 プロセスで は実 施 不 可 能 である。 初 回 の参 加 者 にラベル操 作 工 程 だけをまず覚 えてもらうことにし、次 回 から の参 加 者 には、彼 らが核 となって同 じラベル操 作 プロセスを予 め伝 授 しておく という、順 次 指 導 制 をとった。 な ぜ こ の よ う に 考 え た か と い う と 、 以 下 の KJ 法 電 子 版 制 作 に 携 わ っ た 体 験 が 生 き て いる。コンピュータで出 来 ることは、KJ 法 の型 だけを取 り出 して操 作 するだけのことしかできないことと、型 だけを取 り出 して学 ぶことが可 能 であることを同 時 に認 識 したからである。 KJ 法 の型 には KJ 法 作 業 中 のこころの姿 勢 の転 換 点 とも言 うべき節 目 があ る。KJ 法 の型 を、筆 者 が作 法 と呼 びたいのはこの点 にある。 付 録 のシミュレーションを何 の解 説 もなしに見 ても、どこがその節 目 なのか捕 らえられない人 のほうが多 いのではないかと思 われる。 この節 目 は、重 要 な作 法 、儀 式 といってもいいかもしれないが、これをとばしてやってしまう人 のほうが多 いのではないだろうか。 古 くから伝 わる儀 式 というものは、単 なる形 式 主 義 で片 付 けられるものでは ない、こころの本 質 を秘 めたものである。KJ 法 の型 にも儀 式 の比 喩 が当 てはま ると考 える。 ラベル操 作 体 験 教 材 として、「現 場 取 材 の心 得 」を使 った。「現 場 取 材 の心 得 」は、1999年 に開 催 された「月 山 移 動 大 学 」[27]の現 場 で筆 者 が研 修 とイ ンストラクターを担 当 していたときのこと、参 加 者 の2泊 3日 の現 場 取 材 行 出 発 二 日 前 に、創 始 者 から、模 造 紙 一 枚 の手 書 き図 解 をコンピュータに入 力 する よう依 頼 されたものである。これは、川 喜 田 二 郎 著 作 集 3フィールドワーク心 得 帳 [28] に一 致 している。 「現 場 取 材 の心 得 」は、内 容 そのものが KJ 法 にとって重 要 な取 材 のための 教 材 になるものなので、シミュレーションをするならこれ以 外 にはないと判 断 し た。 この図 解 を分 解 して、元 ラベルからボトムアップ式 に手 作 業 でシミュレーショ ンができるように、準 備 をした。 対象にドップリ浸る。 よきエピキュリアンとし て、その土地を味わえ。 なにげないものにも意味 を発見するのが観察・記 録の楽しみ。 テープレコーダーで声を 再生したら、相手が進ん で面接に応じてくれたこ ともある。 相手がつまらぬと思う点 も大マジメで記録してい ると、相手が記録を警戒 しなくなる。 発言の記録では、「…」、 「−」など、その要約か文 言通りかを区別して記 せ。 絵を描いて見せたら、相 手が乗りだしてきた。 見えるものから、ドシド シ聞いてゆけ。 知ったかぶりをせず、ヨ ソ者らしく。 素朴にありのままを語る インフォーマントを見つ けよ。 できるだけ相手の立場に なりきって感じてみよ。 座標軸的教養を持て。 その土地についての座標 軸的知識を持て。 最初はブラリと現地をう ろつけ。 初期の印象はドンドンそ のまま書いておけ。 ノートすることを習慣づ けよ。 気にかかったことはドン ドンメモ化するクセをつ けよ。 人間関係の調査では、固 体識別法を活用する。 村人間の続き柄を調 べ、固体識別に役立てよ。 相手のステータス・役割 を、予め知れ。 チベット村での宴会席次 で、相手のステータスを 知った。 ポラロイド・カメラは、物 や人間の同定に役立つ。 HRAFの人間行動観察 の7着眼点は役立つ。 データは正直に書く勇気 を持て。 一義的にしか取りようの ない文章記録を心がけ よ。 ひとり歩きのできるデー タカードを作れ。 叙述か解釈かを、自他と もに判るように記録せ よ。 観察の信頼度も、「…を見 る」、「…らしい」など、程 度を正直に記せ。 データには、(1)と き、(2)ところ、(3)出 所、(4)製作者を。 場所の記録には、現象の おこった場所と、記録し た場所との2種がある。 なるべく早く、[点メモ→ 清書]を行え。 事実とデータとは違う。 相手と相互に、質問・応答 をするように心がける。 調査は搾取なり。 時には人生相談のヤリト リもせよ。 たとえ相手のつまらぬ質 問にも、まじめに答えよ う。 努めて互恵の調査を行 え。 快いキッカケから始めよ。 相手の好む話題から始め よ。 土地の人自身に、彼らの ヴィジョンを語らせよ。 村にとって真に有効な ヴィジョンなら、村人は 眼を輝かす。 はじめから現地語がペラ ペラの人は、耳からの情 報に甘んじやすい。 カメラで撮ると、モノを よく見ない。 「自分しか記録者がいな い」と覚悟せよ。 数人で面接し尋ね手や記 録役は1人にしぼれ。 現地語がわからない と、眼が鋭くなる。 スケッチをすると、観察 眼が鋭くなる。 固有名詞を聞いた時に は、ハッキリするまで、く どくどと確かめよ。 面接しつつ、記録は点メ モせよ。 その場の点メモさえ適切 ならば、正確に復元でき る。 記録では、どんどん略号 を使え。 記録の略号を使った ら、ずぐその定義を記述 しておけ。 落とした時の備えに、野 帳には住所、氏名を書い ておけ。 ゼロックスの使用を考慮 して記録時の色を選べ。 地図の折り目に字を書く な。 何種もの野帳の使い分け は、結局不便。 現地人の立場からする現 地人の知識体系を掴め。 質問項目を図解化し て、相手にもあげて説明 する方法もよい. イエス・ノー式だけをき くな. 矛盾法で相手ののべる意 見の真偽を確かめよ。 面接と観察とを、相互に チェックせよ。 タテマエか本音かの区別 に注意を払え。 分布調べにはインディ ケーターを活用せよ。 植物種の出現点は掴みや すいが、消滅点はいつの 間にかくる、 静止しているものの分布 は見やすいが、動いてい るものの分布は見落とし やすい。例えば動作。 その場の記録だけで は、とかく平凡なことが ぬける。 測定できるものは、創意 工夫して測定せよ。 精密に測定できずと も、次善の策を工夫せよ。 自分の気に入った意見し か聞こえない傾向があ る。 1度記録したものは、決 して消すな。 記憶は、自分の気に入り の方向へと思い込みに なっていく。 記録よりも記憶とはい え、また記憶よりも記録 だ。 調査項目に露骨に対応し ないことでも、「何だか気 にかかった」ら、データに とれ。 図 10 「現 場 取 材 の心 得 」元 ラベル