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認識できない外来性の抗原 ( 食物 薬剤 吸入性抗原 ) の体内への持続的侵入によるもの 2 生体内に何らかの異常があるにもかかわらず蕁麻疹との因果関係を認識し得ないもの ( 病巣感染 消化管障害 抗 IgE レセプター抗体の出現など ) 3 全身性疾患の部分症として蕁麻疹が出現している場合 (SL

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Academic year: 2021

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慢性蕁麻疹(100924)

13 歳女児。アレロック服用中。止めると蕁麻疹。生ものを食べても再燃。薬を服用しているうち は全く症状無し。いつ止められるか? 今後の管理のため、慢性蕁麻疹について復習しておく。  発症してからの期間が 1 カ月以内のものを急性蕁麻疹、1 カ月以上経過したものを慢性蕁 麻疹と呼ぶ。背景因子として感染、食物、疲労、特定の薬剤、日内変動などが関与すること が多い。3) (参考文献 3 より引用)  実地医療では原因を明らかにできない症例が多く、目的の不明確な検査や安易な薬物療法 が続けられることが少なくない。3)  慢性蕁麻疹の 75%以上は原因不明とされ、数年にわたって症状を反復することも多い。2)  蕁麻疹は安易に全治1週間などと言ってはいけない(なかには3カ月以上続く方もいる)。1)  (抗ヒスタミン薬が投与された外来患者 172 例の臨床経過を後ろ向きに調査の結果)寛解ま での期間は、発症 3 日以内が 48%、1 週間以内が 69%、2 週間以内が 86%、30 日以内が 92%、 55 日以内が 94%、3 カ月以内が 96%で、4%は 1 年以上遷延していた。1)  慢性化の機序としては、さまざまな原因が考えらえれるが、可能性として、①患者や医師の

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認識できない外来性の抗原(食物、薬剤、吸入性抗原)の体内への持続的侵入によるもの、 ②生体内に何らかの異常があるにもかかわらず蕁麻疹との因果関係を認識し得ないもの (病巣感染、消化管障害、抗 IgE レセプター抗体の出現など)、③全身性疾患の部分症として 蕁麻疹が出現している場合(SLE、悪性腫瘍など)を挙げることが出来る。2)  急性蕁麻疹ではショックに進展する可能性があるが、慢性蕁麻疹ではその可能性は低い。 小児では発症後 1 カ月以内に治癒に至る例が多く、慢性蕁麻疹の症例は少ない。3)  外用薬は蕁麻疹にはあまり効かない。何か塗らないと気が済まないという患者もいるが、実 際、蕁麻疹を発症している皮膚に外用薬を強くすり込むと、蕁麻疹がより広がってしまうこと もある。1)  慢性蕁麻疹に対するヒスタミン H1 受容体拮抗薬の主たる使用目的は、繰り返し出現する症 状の出現を阻止することにある。3)  (慢性蕁麻疹は)一般には抗ヒスタミン薬よりも抗アレルギー薬の方が高い臨床効果が得ら れることが多いが、各薬剤の有効性には個人差がある。また薬剤の効果は内服したその日 のうちに現れることもあるが、3~4 日して現れてくることもあり、さらには週単位で有効性が上 昇することもある。そのため 1 つのヒスタミン H1 受容体拮抗薬の効果は 1~2 週間継続して 内服した後に判断し、その薬剤では十分な効果が得られなかった場合には抗ヒスタミン薬を 含めてもう 1~2 種類の他のヒスタミン H1 受容体拮抗薬を試してみることには価値が認めら れる。3)  症状が毎日出現する場合は、まずいずれかのヒスタミン H1 受容体拮抗薬を数日~2 週間程 度内服し、副作用の出現、および膨疹抑制の程度を踏まえて効果不十分の場合は適宜他剤 への変更または増量を考慮する。2 種類以上のヒスタミン H1 受容体拮抗薬で十分な効果が 得られない場合は図 3 に示す補助的治療薬を試みる。補助的治療薬の併用でも十分な効果 が得られない場合、およびヒスタミン H1 受容体拮抗薬単独では表 3 に示す重症度レベル 4 以下にまで症状が軽減できない場合には少量の副腎皮質ステロイドの内服(プレドニン換算 量 5~15mg/日)を追加する。それでもなお症状の制御ができない場合、および副作用により 副腎皮質ステロイドの使用が困難な場合は、十分な設備と蕁麻疹治療に精通した皮膚科専 門医のもとで免疫学的治療を含む試行的治療法を行うことが望ましい。3)

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(参考文献 3 より引用)

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 寛解したようにみえても、抗ヒスタミン薬をしばらくのみ続け、漸減した方がよいということが、 エビデンスレベル 2c の前向き試験で示された。1) (参考文献 1 より引用)  漸減法は、1~2 日症状がなくても 2 週間はそのまま継続し、さらにその後の 2 週間は 1 日 1 回投与にするという方法。(この方法には明確な根拠はなく、1 週間でいいかもしれないとの コメントもあり。)1)  患者が効いたと思って勝手に止めてしまい、すぐに再発してしまうことがある。患者さんは 1 ~ 2 日間で改善しなければ、「この薬は効かない」と判断して勝手に止めて、そのうえ医者も 変えてしまうということが判明した(最初にきちんと話しておくことが大切)。1)  多くの特発性の慢性蕁麻疹では、短期的な症状抑制のために副腎皮質ステロイドが有効で あることは広く知られている。しかしながら慢性蕁麻疹に対する長期的予後に関して、副腎皮 質ステロイドの有効性に関するクリニカルエビデンスはない。3)  蕁麻疹で色素沈着が残るのは、蕁麻疹よりも炎症が強い蕁麻疹様血管炎。それは単なる蕁 麻疹ではなく、その背景に膠原病などがある可能性もあるため、血液検査や生検をする必要 がある。抗ヒスタミン薬だけでコントロールすることは難しく、ステロイド薬が必要となる。1)  慢性蕁麻疹ではヘリコバクター・ピロリ菌感染などが蕁麻疹の病態に関与し得ることが知ら れているが、それだけでは説明できないことも多い。従って実際の診療に当たっては、症例 毎の病歴と蕁麻疹以外の身体症状などに留意し、もしこれらの因子の関与が疑われる場合 にはその程度についても併せて判断し、適宜必要な検査および対策を講ずることが大切。3)  まれではあるが、隠れたアレルゲンとして酪農製品にペニシリンが含まれていることがある。 2)  ジャガイモ、キュウリ、トマトは天然のサリチル酸を比較的多く含有しており、大量に摂取する ことにより蕁麻疹を誘発する可能性がある。2)  慢性扁桃腺炎、慢性副鼻腔炎、歯槽膿漏、齲歯などの病巣感染、B 型肝炎患者や C 型肝炎

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患者の前駆症状、EB ウイルス、サイトメガロウイルス、パルボ B19 ウイルス感染、寄生虫感 染においても蕁麻疹を生じることがある。2)  ダニなどが抗原になりうる。ダニ抗原は経皮的に吸収され、接触蕁麻疹も惹き起こしうる。2)  蕁麻疹の合併がみられる内科的疾患としては SLE、RA などの自己免疫疾患や甲状腺疾患 などの内分泌異常に伴うものなど多くの疾患が知られている。2)  原則として小児に長期的なステロイド投与は行わない。3) 漫然と投与を続けるのではなく、原因を想定しながら治療を続けていくのがいいと思う。もちろん、 アプローチが難しい疾患や病態もあるが、そこは長く付き合えるプライマリ・ケア医がタイミングを 見ながら介入していけばいいのだと思う。症状に合わせて処方は変えていく必要があるが、蕁麻 疹改善後は薬剤をゆっくり漸減する方がいいようだ。今後はそのように指導してみたいと思う。 参考文献 1. 幸野健.EBM から考える慢性蕁麻疹の患者説明と寛解時抗ヒスタミン薬中止方法:コンプライ アンス向上を目指して.皮膚アレルギーフロンティア, 5(3) : 194-197, 2007. 2. 吉田雄一, 古江増隆.慢性蕁麻疹の診断と治療日本臨床内科医会会誌, 16(2) : 255-262, 2001. 3. 秀道広,古江増隆,池澤善郎,塩原哲夫,古川福実, 松永佳世子,長野拓三,大路昌孝,堀川達弥, 亀好良一,北島康雄,蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン作成委員. 蕁麻疹・血管性浮腫 の治療ガイドライン. 日皮会誌:115(5),703―715,2005.

参照

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