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病気になったときの対策

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Academic year: 2021

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シックデイルール

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 糖尿病の患者さんが何か不意の病気にか かると、ふだんはしっかり血糖コント ロールできていても、血糖値が乱れやす くなり、急性合併症が起こりやすくなり ます。  そのような状態を「シックデイ」と呼ん で、糖尿病の療養生活上、特別な注意が 必要な日と位置付けています。

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★高血糖になりやすい シックデイに該当する病気として、風邪や下 痢、発熱、腹痛、食欲不振などのほか、外傷 や骨折なども該当します。 このような病気や状態は体にとってストレ スとなるので、ステロイドホルモンなどのス トレスホルモンが分泌されます。 ストレスホルモンは急性期における体の障害 の防御に役立つ面がある一方で、インスリン の働きを弱め高血糖を引き起こします。糖尿 病でなければ血糖上昇に応じてインスリン分 泌が増えるものの、糖尿病の患者さんではそ れが十分にできません。このためシックデイ には血糖値がいつもよりも高くなります。

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★低血糖にもなりやすい  その反対に、シックデイには食欲が低下 していつものように食べられないことが 少なくありません。  薬物療法をしている患者さんの場合、食 べる量が少ないにもかかわらずいつもど おりに薬を飲んだり注射すると、低血糖 が起きてしまいます。  さらに、病気によって生じる脱水が腎臓 の機能を低下させるので、腎臓から排泄 される薬の場合その成分が体内に滞り、 血糖値が余計に下がるという影響もあり ます。 つまり、シックデイにはさまざまな要因 が複雑に絡み合って、血糖値が乱高下し やすいということです。

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 ふだんの糖尿病治療の目的は、長年の高 血糖によってゆっくり進行する「慢性合 併症」(網膜症や腎症、動脈硬化など) を防ぐことです。  しかし合併症には、病状が時々刻々と進 行する「急性合併症」というタイプもあ ります。ふだんはめったに起こりません が、シックデイには次の急性合併症が起 こりやすく、対処が遅れると生命の危険 も生じます。

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ケトアシドーシス 注意が必要な人:1型糖尿病の患者さん、 インスリン治療をしている2型糖尿病の患者さん 予防のポイント:食べられなくてもインスリン注射を中断しない インスリンの作用が足りない時や、食事(炭水化物)の摂取量が 少ない時、体内では脂肪がエネルギー源として使われ、その時に肝 臓でケトン体という物質が作られ血液中に溜まってきます(ケトー シス)。ケトン体は酸性なのでその量が増えると血液が酸性になり ます(アシドーシス)。その状態を「ケトアシドーシス」といい、 吐き気や腹痛が現れ、進行すると意識障害や昏睡に至ることから、 緊急治療が必要です。 ケトアシドーシスになる原因として多いのが、ふだんインスリン 治療をしている患者さんがシックデイで食欲がない時に「何も食べ ないので血糖値は上がらないだろう」と判断してインスリン注射を 自己判断で中断してしまうことです。インスリン注射は絶対中止し てはいけません。食べられなくても、血糖自己測定を参考に単位数 を加減して注射しましょう。

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高血糖高浸透圧症候群 注意が必要な人:高齢の2型糖尿病患者さん 予防のポイント:水分を十分補給する 前に解説したように、シックデイには血糖値が高くなりや すくなります。高血糖状態では尿浸透圧が上昇し体内の水分 が尿中に移動し、体は脱水状態になります。加えて病気によ る下痢や発熱も脱水を強め、また食欲が低下している場合に は、食事からの水分摂取も減り、さらに脱水を強めます。 その上、脱水状態では血液が濃縮されるので血糖値がより 高くなります。このような悪循環の結果、高度の脱水と著し い高血糖を来した状態を「高血糖高浸透圧症候群」といいま す。全身の血液の流れが悪くなってさまざまな臓器の働きが 低下し、緊急治療が必要です。 高齢者は体内の水分量が少ないため少しの変化で脱水状態 になりやすく、また、脱水状態になっても喉の渇きをあまり 感じない傾向があります。熱があるときや食事をとれないと きは、十分に水分を補給しましょう。

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 急性合併症にはならなくても、 高血糖状態では体の抵抗力が 落ちるので、病気が重症にな りがちです。  病気が治り切る前に別の感染 症にかかってしまうこともあ り、そうすると回復により時 間がかかってしまいます。

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 それでは、このような非常事態を上手に

乗り切り、早くいつもの快適な生活に戻 るための適切な方法「シックデイルー ル」を紹介しましょう。

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 症状がごく軽い場合は1日ぐらい様子をみ

ていても構いませんが、次のような場合に は早めに受診して適切な治療を受けてくだ さい。

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★こんな時はすぐに受診 1.強い自覚症状 (嘔吐、激しい下痢・腹痛、 心臓の鼓動が異常に早い、息苦しいなど)が続く 2.高熱(およそ39℃以上) 3.高血糖 血糖値なら350mg/dL以上の時。 尿糖なら強陽性が続く時 4.食事をほとんどとれない 5.尿ケトン体が強陽性 6.上記1~5に該当するほどではないが、 症状が改善する気配が感じられないとき

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 急性の病気の基本的な対応は、体を安静 にし温かくすることです。それによって 体力の消耗を防ぎ、病気に対する抵抗力 を保てます。  さらに、食欲がなくても脱水を防ぐため に水分を十分補給し、ケトーシス予防の ために炭水化物をなるべく口にするよう にしてください。また嘔吐や下痢が続く 場合には塩分などの電解質が失われやす いので、その補給も必要です。

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★シックデイの食事の工夫 消化の良い炭水化物は… 重湯〈おもゆ〉、お粥、おじや、茶碗蒸 し、うどん、など。 水分や電解質の補給に… みそ汁、野菜スープ、果物ジュース(冷 たいものや炭酸飲料以外)。 経口補水液を適宜に… 脱水を改善し、同時に炭水化物と電解質 を補給できる経口補水液(OS-1®など) が市販されています。

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 数時間おきに病状を自分でチェックし、

快方に向かっているのか、それとも悪 化していて受診を急ぐべきなのかの判 断に役立てましょう。

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★シックデイに役立つ検査 体温…感染症などの重症度の推移の目安になります。 血糖…シックデイは血糖値が乱れやすいので、血糖自 己測定は病状把握の強い味方です。 尿糖…血糖自己測定をしていない場合、尿糖測定で高 血糖の程度を推測します。 尿ケトン体…ケトアシドーシスの前兆をつかめます (尿糖測定に用いるのと同じような試験紙が市販さ れています)。 体重…急激な体重減少は、脱水が起きている可能性が 疑われ、要注意です。 *尿糖測定は、SGLT2阻害薬を使用している場合、高血糖状態を正確に評 価できません。

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シックデイルールの4番目は、薬物療法をし ている場合の対処法についてです。 ○1型糖尿病の場合の対処 たとえ食事をとれなくてもインスリン注射を絶対に中止し てはいけません。 そして、不安ならすぐに主治医に連絡をとって相談するこ とです。血糖自己測定を数時間おきに行い、高血糖ならその 程度に応じて作用時間の短いインスリン(超速効型か速効 型)を数単位程度ずつ追加することを繰り返し、血糖コント ロールするという方法が一般的です。

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○2型糖尿病の場合の対処  薬の種類ごとの目安を示します。ただしこれはあくまで目安なので、実際の 対処法は主治医の指示を守ってください。 また、薬を減量・中止することにより血糖値が上昇し、一時的にインスリン 療法が必要になることもあるので、血糖自己測定や尿糖測定をこまめに行い、 高血糖や尿糖の強陽性が持続する場合には早めに受診してください。  スルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬 インスリン分泌を刺激して血糖値を下げるこれらの薬は、食事の 量にあわせて加減します。 シックデイでもいつもどおりか、いつもよりやや少ないくらい食 べられるなら、いつもと同じ量を服用します。半分程度しか食べら れないのなら薬の量も半分にし、半分も食べられないなら薬は中止 (休薬)します。 なお、ふだんこれらの薬を‘食前’に飲んでいても(速効型イン スリン分泌促進薬は食直前の服用が原則)、シックデイには‘食直 後’に、食べられた量にあわせて薬の量を調節して飲むのも構いま せん。

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○2型糖尿病の場合の対処  DPP-4阻害薬… 食事をとれるなら服用しますが、とれないなら服用しても血糖降下作用が 少ないことが予想されます。  ビグアナイド薬… シックデイに伴う脱水により乳酸アシドーシスという副作用が起こりやす くなる可能性があるので休薬します(特に腎障害を合併している人や高齢 者)。  SGLT2阻害薬… シックデイに伴う脱水やケトーシスを強めるように作用するので休薬し、 医師に相談してください。  α-グルコシダーゼ阻害薬… 下痢などのおなかの症状を強める可能性があり、中止しても血糖値が極端 に上がることはないので休薬します。

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○2型糖尿病の場合の対処  チアゾリジン薬… この薬は中止してもしばらく作用が続き血糖値に大きく影響しないので、 休薬しても構いません。  GLP-1受容体作動薬… 吐き気や腹痛など、おなかの症状がある場合は休薬します。そうでなけれ ば継続します。  インスリン製剤… 2型糖尿病でもふだんインスリン療法をしているのであれば、1型糖尿病 と同様に、シックデイで食事がとれなくてもインスリン注射を中断してはい けません。全く食事がとれなくてもふだんの半分程度のインスリンが必要で す。そして、こまめに血糖自己測定を行い測定結果に応じて数単位ずつ増減 し、血糖コントロールする方法が一般的です。具体的には主治医に相談して ください。

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 ここまで、シックデイ・ルールの原則を

4つに分けてお話ししましたが、最後に その他の注意事項をいくつか挙げます。

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 気候の温暖化で近年の夏は異 常な高温になります。シック デイでない状態で屋内にいた としても脱水に注意が必要で す。シックデイの場合は特に 注意して、喉が渇く前にこま めに水分を補給してください。

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 かかりつけ医とは別の医療機関を受診する際 には、次の情報を伝えてください。薬局で市 販薬を購入する際も同様です。 ★医師・薬剤師に伝えてください 1.ご自身が糖尿病であること 2.処方されている薬の名前 (薬の名前がわからなければ実物を持参) 3.ふだんの療養経過の記録を持参 (『糖尿病連携手帳』など)

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 低血糖を経験したことがない 患者さんが、シックデイに初 めて低血糖になることもあり ます。  初めての低血糖では、その症 状が低血糖によるものだと気 付くのに時間がかかります。  低血糖症状がシックデイの病 気自体の症状と似ていて区別 がつきにくいこともあります。

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★低血糖でよくみられる症状 動悸、手足のふるえ、冷や汗、頭痛 、手足に力が入らない、物が二重に見える 、だるい、考えがまとまらない 、意識がもうろうとする 、呂律〈ろれつ〉が回らない、昏睡 など 低血糖は分単位で症状が進み、ご自身で対 処できなくなったり昏睡に至ることもあるの で、すぐにブドウ糖または砂糖(少なくとも 10g)を口にするなどの対処をしてください。

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 高齢の患者さんは、脱水や高血糖高 浸透圧症候群、低血糖になりやすく、 また、それらの初期症状がはっきり 現れず、加えて、認知機能が少し低 下していて的確な判断が難しくなっ ていることがあります。  ご家族の方は気配りをいつもより少 しプラスして、患者さんの安全と少 しでも早い回復をサポートしてくだ さい。

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こまめな水分補給を促す… 喉が渇いてなくても数時間おきに飲むように勧め てください。 薬を加減しているか確認… 食事をあまり食べられないのに薬はいつもどおり きちんと飲んで、低血糖になってしまう高齢患者 さんも少なくありません。 眠っているのか?昏睡か?… 急性合併症や低血糖は、どちらも重度になると昏 睡に至ります。昏睡に陥っている患者さんは一見 ぐっすりとよく眠っているようにも見えますが、 一刻も早い治療が必要です。大声をかけて体をゆ すっても反応しない場合には、直ちに119番!

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参照

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