愛 総 研 ・ 研 究 報 告 第 7号 2005年 17
ポ リ ピ ニ ル ア ル コ ー ル の ア ン モ ニ ア 水 港 液 を 用 い た
光 触 媒 酸 化 チ タ ン の カ ー ボ ン 被 覆
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稲 垣 道 夫 ヘ 高 田 健 司 汽 松 永 費 文 ヘ 豊 田 昌 宏 料
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帥 Abst:rad Carbon coating of photocata1yst TiU} p征ticleswere per白宜nedthrough sol-gelprocess in the aqueous solution ofpo1y(viny1 alcohol) (PVA) with or without ammonia and following heat tr巳atmentat high temperatures, 700ヲ800組 d900 oC. 百leirphotoactivitywas
己valuatedfrom由巳rateconstant k for photodecomposition of methylene blue (MB) and pheno1
(Ph) in water, and仕leiradsorptivity forJ¥,侶andPh was a1so determined. Suppression of phase
transformation IIom anatase to rutile phase of TiU} by carbon coatingwas observed Photoactivity of carboIトcoatedTiU} heat-treated at 700 oC forJ¥,佃組dPh was improved by using ammonia solution ofPVA. 1.はじめに 光 触 媒 は 水 , 空 気 を 浄 化 す る た め の 有 効 な 手 段 と して註目され2 多くの研究がなされてきた.我々は, 光触媒である酸イ七チタン Ti02をはじめとするセラミ ックス粒子をカーボン層で被覆する簡単なプロセス を開発した [1].こうして被覆されたカーボン層は多 孔 質 で あ り , 光 触 媒 に 大 き な 吸 着 能 を 賦 与 す る こ と ができた [2-6]. さ ら に , カ ー ボ ン 被 覆 に よ っ て ア ナ タ ー ゼ 相 か ら ル チ ル 相 へ の 転 移 を 抑 制 す る こ と が で き,高い結品性を持つアナターゼ相を得ることがで き る . 水 中 の 汚 染 物 質 の 分 解 ・ 除 去 に 対 し て は , ア ナターゼ相の結晶性が高いことがより効果的である ことを実験的に示し [7,8], 5 mass%以上のカーボン 被 覆 が 相 転 移 抑 制 に 効 果 的 で あ る こ と を 明 ら か に し た [9].ル チ ル 相 へ 転 移 直 前 の ア ナ タ ー ゼ 相 が 最 も 高 い 光 触 媒 能 を 持 つ こ と を 実 験 的 に 証 明 し た [10]
.一
方 , 紫 外 光 は カ ー ボ ン 層 を 通 し て 酸 化 チ タ ン 表 面 に 到 達 す る こ と と な り , 紫 外 光 を 弱 め る 働 き を す る こ ととなる.また,分解されるべき汚染物質もカーボ ン 層 に 吸 着 さ れ , そ の 中 を 拡 散 し て 酸 化 チ タ ン 表 面 に到達しなければならない.このことは,カーボン 層 が 厚 い こ と は 触 媒 能 を 低 下 さ せ る こ と に つ な が る [11]. し た が っ て , カ ー ボ ン 層 は 背 反 す る い く つ か の効果を光触媒に与え,酸イじチタン粒上での厚さの みでなく 3 吸 着 能 を 支 配 す る 細 孔 構 造 お よ び 表 面 性 状 の 制 御 が 求 め ら れ る . こ の こ と は , カ ー ボ ン 層 を 被 覆 す る た め の 前 駆 体 , そ し て 被 覆 手 法 を 十 分 検 討 する必要があることを示している. 我 々 は , ポ リ ビ ニ ル ア ル コ ー ル (pγA) ,ヒドロ キ シ ル プ ロ ピ ル セ ル ロ ー ズ (HPC)およびポリエチ レ ン テ レ フ タ レ ー ト (PET) を前駆体として選び, その粉末と酸佑チタン粉末との機械的混合物を *愛知工業大学工学部応用他学科(豊田市) 科大分大学工学部応用イ七学科(大分市) 1000 oC付 近 の 温 度 に 不 活 性 雰 囲 気 中 で 加 熱 す る こ とによって,炭素イじを行ってきた [3-8].また, PVA 水 溶 液 中 で , チ タ ン ア ル コ キ シ ド を 加 水 分 解 し , そ れを加熱処理することによって,微粒子のカーボン 被覆アナターゼが作製できることを示した [9]. 本研究では,アンモニア水溶液中に PVAが容易に 溶解することを用いて,その中でチタンアルコキシ ドの加水分解を行い,カーボン被覆酸イじチタン微粒 子 を 調 製 し た . そ し て , そ の メ チ レ ン ブ ル ー お よ び フェノールの吸着能および、光分解能を評価しB アン モニア水溶液を用いる効果について検討した.2
.
実 験 2.1カーボン被覆酸佑チタンの作製 Lプロパノールを溶媒として作製した, 2 mo1% チ タ ニ ウ ム テ ト ラ イ ソ プ ロ ポ キ シ ド ( titanium tetraisopropoxid巴ョ百1P, Ti[∞ 珂CH3)2]4)溶液を PVA水 溶液中に滴下することによって加水分解させ,酸イじ チタンを沈殿として作製した。 TτEの加水分解によ って生成する Ti02と混合する PVAとの重量比を 70: 30とした.沈殿生成後も揖持を 24時間続けた後, 漉過し,乾燥した. PVAはアンモニア水溶液により 容易に溶解するので,アンモニア(濃度 3mo1%) を 用いた場合と用いない場合の2
つを行った. このようにして作製した粉末を,アルミナボート に入れ, 700,800および、 9000Cの温度に 1時間加熱 することによって PVAを炭素佑し3カーボン被覆酸 佑チタンとした. このようにして作製したカーボン被覆酸佑チタン を空気中で 8000Cまで加熱した場合の重量減少量か らカーボン被覆量を決定した.また,透過電子顕微 鏡によって粒子の大きさおよび外形を観察した園 2.2吸着能および光触媒能の評価して, 8000C処理後もアナターゼ相が残存しており, ルチル相の成長が遅くなっていると云える.
PVA
水溶液にアンモニアを加えたか否かも相転移 速度に影響を与えており,アンモニア共存下でPVA
被覆を行い,炭素イじした場合(Fig. 1 b )の方が,ア ン モ ニ ア を 共 存 さ せ な い 場 合 (Fig. lc )に比べて, 転移が若干早いと思われた.このような3 アンモニ ア共存の影響は,PVA
と酸イじチタンの割合を変えた 場合にも認められた. 被 覆 し た カ ー ボ ン に よ る , ア ナ タ ー ゼ @ ル チ ル 相 転移の抑制効果が2 カーボン被覆量が約 5mass%を 越 え た と こ ろ で 顕 著 に な る こ と を 前 報 [9]で 示 し た が3 本研究で作製した試料ではカーボン被覆量は, Table 1に示したように,ほぼ 10mass%前後であり 9 抑制効果が認められたと考えられる. ここで作製された試料の透過電子顕微鏡像を Fig. 2に示した。試料は,
TiO
z
IPVAの比を 70130 とし, アンモニア水溶液中で作製し, 700 oC処 理 し た ア ナターゼ単一相のものおよび 9000C処理によってほ とんどがルチル相となったものでるロ 写真の倍率を勘案すれば, 9000C処理後の酸佑チ タ ン 粒 子 (Fig.2b )が, 7000C処 理 後 の そ れ (Fig. 2a)の 2倍以上に成長していることが分かる.また, 各粒子の表面には,コントラストの薄い層が認めら れ,それがカーボン層であると推定できる. メチレンブルー水溶液 100mL中に3調 製 し た 光 触 媒 粉 末 0.01gを加え,暗所でマグネチックスターラ ーを用いて懸濁させた. 24時間後に,メチレンブル ーの濃度を測定し,その減少量から吸着量を求めた. こ の よ う に し て 吸 着 を 飽 和 さ せ た 触 媒 粒 子 を 新 し い メ チ レ ン ブ ル ー 溶 液 に 移 し , ブ ラ ッ ク ラ イ ト ヲ 用 い て紫外光を照射した. 1時間毎に溶液中のメチレン ブルー濃度を測定し,その相対濃度 c/coを求めた. メチレンブルーの初期濃度は 2.91xlO-5mol/Lとしたー ま た , フ ェ ノ ー ル に 対 す る 吸 着 能 お よ び 光 触 媒 能 の 測定を, lxlO-4mol!Lの濃度のフェノール溶液を用 いて,同様に行った.3.
結 果 と 考 察 各試料のX線回折図形を Fig.lに示した.比較に3PVA
を用いないで作製した試料(カーボンを被覆し て い な い 酸 佑 チ タ ン ) に つ い て の 回 折 線 図 形 も 示 し た. カ ー ボ ン 被 覆 を し て い な い 酸 化 チ タ ン (Fig. 1 a ) は, 7000Cでの加熱処理によって,ルチル相が生成 し, 8000C以上ではルチル単一相となっている.こ れに対して,PVA
水 溶 液 を 用 い て カ ー ボ ン 被 覆 を 行 っ た 酸 佑 チ タ ン (Fig. lbおよび c)では3 アナター ゼ相からルチル相への転移が抑制され, 7000C処 理 後 で も ト レ ー ス 程 度 の ル チ ル 相 し か 生 成 し な い . そ1
8
a) Ti02 with NH3 A:anatase R:rutile N E'
"
900'C -2・ 4 同 ¥ b -m H M G H 2 900'C 。 同 阿 ・ 司 司 ¥ K C 窃 E 百 ロ 900'C 。 同 門 凶 N A 出凶 。 NNM 両 i= N
凶 21hh 。 同 NM=
同
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/
P
V
A=70/30 in ammonia solution andheat-treated at 700 and 900 oC for 1 h.
2
19 す る こ と に よ っ て , メ チ レ ン ブ ル ー お よ び フ ェ ノ ー ル を 吸 着 す る 能 力 は 格 段 に 向 上 す る . メ チ レ ン ブ ル ー に 対 す る カ ー ボ ン 被 覆 酸 佑 チ タ ン の 吸 着 能 は , ア ン モ ニ ア 存 在 下 で 作 製 し た 試 料 の 方 が 高 い の に 対 し て,フェノールに対しては低い値を示す.しかし, 吸 着 量 の 絶 対 値 は フ ェ ノ ー ル の 方 が ほ ぼ2桁大きい. メ チ レ ン ブ ル ー お よ び フ ェ ノ ー ル の 光 分 解 反 応 の 速 度 定 数
k
は9 ア ン モ ニ ア 存 在 下 で 作 製 し た カ ー ボ ン被覆酸イ七チタンの方がより大きい値を示しており, 両 汚 染 物 質 の 分 解 が 早 く 進 ん で い る こ と を 示 し て い る . な お , メ チ レ ン ブ ル ー と フ ェ ノ ー ル に 対 し て 用 い た 濃 度 が 異 な っ て お り , 速 度 定 数 を 絶 対 値 と し て 比較することはできない. ア ン モ ニ ア を ボ リ ビ ニ ル ア ル コ ー ル 溶 液 中 に 共 存 さ せ る こ と は , そ の 溶 解 を 容 易 に す る 上 で 効 果 が あ り,その PVA溶 液 を 用 い て 作 製 し た カ ー ボ ン 被 覆 ア ナ タ ー ゼ の 光 触 媒 能 も 大 き い 傾 向 が 認 め ら れ た . 一 方 , ポ ー ラ ス カ ー ボ ン を ア ン モ ニ ア 蒸 気 で 前 処 理 す る こ と に よ っ て , フ ェ ノ ー ル の 吸 着 能 を 向 上 さ せ る こ と が 可 能 で あ る と の 報 告 が あ る . し か し , 本 研 究 では, PVAの ア ン モ ニ ア 溶 液 を 用 い て 作 製 し た カ ー ボ ン 被 覆 ア ナ タ ー ゼ が , メ チ レ ン ブ ル ー に 対 し て は よ り 大 き な 吸 着 能 を 示 す の に 対 し て , フ ェ ノ ー ル に 対 し て は よ り 小 さ な 吸 着 能 を 示 し た . 今 後 さ ら に 詳 細な検討が必要である.5.
結 論 メ チ レ ン ブ ル ー お よ び フ ェ ノ ー ル に 対 す る 吸 着 能 お よ び そ れ ぞ れ の 光 分 解 反 応 に 対 す る 速 度 定 数 kの 値を, PVA溶 液 に ア ン モ ニ ア を 添 加 し た 場 合 と し な い場合について,カーボン被覆量とともに, Table 1 にまとめた. Ti<
h
IPVAの比は 70130であり, 7000C に 1時間の加熱処理をしており, Fig. lb)お よ び け か ら 酸 化 チ タ ン は ア ナ タ ー ゼ 単 一 相 で あ る こ と が 分 かる. Fig.3には,フェノールの分解挙動を, lN照射を 始 め た 時 を 零 時 間 と し て , 溶 液 中 に 残 っ て い る フ ェ ノ ー ル の 濃 度 を 初 期 濃 度 に 対 す る 相 対 値 c/coとし, そ れ を 対 数 軸 上 に プ ロ ッ ト し て い るB カ ー ボ ン 被 覆 酸イじチタン粉末はあらかじめフェノールの吸着を飽 和させた後, lN光照射を行っている.しかし,試 料 粉 末 を 新 し い 溶 液 中 に 移 し た 後 , 若 干 フ ェ ノ ー ル の 吸 着 が 進 み 溶 液 中 の 濃 度 が わ ず か に 減 少 す る 。 そ の濃度が時間零の位置に示しである.その溶液にlN 光 を 照 射 す る と , ご く 初 期 に 溶 液 中 の フ ェ ノ ー ル 濃 度 が 上 昇 す る 現 象 が 認 め ら れ た . こ れ は , 吸 着 さ れ た フ ェ ノ ー ル が 脱 着 さ れ た た め と 考 え ら れ , そ の 原 因 と し て は l N 光 照 射 に よ っ て わ ず か に 温 度 が 上 昇 し た こ と が 考 え ら れ る . し た が っ て , フ ェ ノ ー ル の 光 分 解 反 応 に 対 す る 速 度 定 数 は , 照 射 時 聞 が1
時 間 以 降 の 測 定 点 を 用 い て 計 算 し た . 相 対 濃 度 の 対 数 値 ln(clι0)と照射時間 tとは良い直線関係を示している. メ チ レ ン ブ ル ー の 場 合 は , フ ェ ノ ー ル の 場 合 の よ う な顕著な脱着は認められなかった.そして, 1時間 以 降 の 実 験 点 は 良 い 直 線 性 を 示 し た . 謝 辞 Table 1 Carbon contentラadsorptivityand rate constant forphotodecomposition ofmethylene blue and phenol in water for carbon-coated Ti02 prepared from the Ti白IPVAmixture
with70/30ratio at 700 oC with and without ammonia. 本研究は,平成 15年 度 環 境 省e環 境 技 術 開 発 等 推
進事業「環境水浄イじのための光触媒能と吸着能のハ イブリッドイじーカーボン被覆酸イ七チタンの調製と評 価 一 」 の 一 環 と し て 行 わ れ た @
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