1 3
次方程式
1.1 3
次方程式の解の公式
xの3次式P(x) =x3−s1x2+s2x−s3 に対し, y=x−s1
3, t2=s2−s21
3, t3=2s31 27 −s1s2
3 +s3, Q(y) =y3+t2y−t3
とおくと,Q(y) =P(y+s31)だからP(x) = 0の解を求めるには,Q(y) = 0の解を求めればよい. ω= −1+2√3i と おけば,
y3−3uvy−u3−v3= (y−u−v)(y−uω−vω2)(y−uω2−vω)
だから,u3+v3=t3とuv=−t32 が成り立つような(u, v)の組を1組見つければ,u+v,uω+vω2,uω2+vωが Q(y) = 0の3つの解になる. u3,v3 は2次方程式X2−t3X−27t32 = 0の2つの解だから,D=t23+4t2732 とおけば,
u3=1
2(t3+√
D), v3=1
2(t3−√
D), D= 1
27(4s31s3−s21s22−18s1s2s3+ 4s32+ 27s23) である. このD を3次式P(x)の判別式という. そこで 12(t3+√
D), 12(t3−√
D)の3乗根の1つをそれぞれη, ζ0 とする. (ηζ0)3=−27t32 だからωeηζ0=−t32 となるe∈ {0,1,2} が選べて, ζ=ωeζ0 とおくとQ(y) = 0 の3つ の解は,η+ζ,ηω+ζω2,ηω2+ζωで与えられる. 従って,P(x) = 0の3つの解α,β,γ は
α=η+ζ+s1
3, β=ηω+ζω2+s1
3 , γ=ηω2+ζω+s1
3
で与えられる. さらに,このとき解と係数の関係から(α−β)2(β−γ)2(α−γ)2=−27Dだから,P(x) = 0が重解 をもつための必要十分条件はD= 0 が成り立つことである.
1.2
重解をもつ
3次方程式
t2 6= 0ならば Q³
−3tt23
´
=−27tt323D, Q³
3t3
2t2
´
= 27t8t33 2
D,Q0³
3t3
2t2
´
= 4t272 2
D が成り立つことは容易に確かめられ る. 従って,
P
µ−s31+ 4s1s2−9s3
3s2−s21
¶
= −27(2s3−9s1s2+ 27s3) (3s2−s21)3 D P
µ9s3−s1s2 2(3s2−s21)
¶
= 27(2s3−9s1s2+ 27s3) 8(3s2−s21)3 D P0
µ9s3+s1s2
2(3s2−s21)
¶
= − 36
4(3s2−s21)3D が成り立つことに注意する.
D = 0の場合,t2 6= 0すなわちs21 6= 3s2 ならば上の等式から P(x) = 0 は重解 2(3s9s3−s1s2
2−s21) と解 −s31+4s3s1s2−9s3
2−s21
をもつ. D=t2 = 0の場合, この条件は t2=t3 = 0と同値であり,さらにこれは s2= s321 かつs3 = s2731 と同値 である. このときx=s31 がP(x) = 0の三重解であり,逆にP(x) = 0が三重解αをもてば解と係数の関係から s1= 3α,s2= 3α2,s3=α3 が成り立つため, s2= s321 かつs3=27s31 である. 以上をまとめると,
定理 1.1 3次方程式x3−s1x2+s2x−s3= 0 が重解をもつためには4s31s3−s21s22−18s1s2s3+ 4s32+ 27s23= 0 が成り立つことが必要十分であり,s21 6= 3s2 ならば 2(3s9s3−s1s2
2−s21) が重解, −s31+4s3s 1s2−9s3
2−s21 がもう一つの解である. ま た,三重解をもつためにはs2=s321 かつs3= s2731 が成り立つことが必要十分であり, s31 が三重解である.
1.3
実係数
3次方程式
s1,s2, s3がすべて実数の場合にP(x) = 0の実数解について調べる.
D=0の場合,η,ζ をそれぞれ 12(t3+√
D), 12(t3−√
D)の実数の3乗根とすると ηζ と −t32 はともに実数だ からηζ=−t32 が成り立つ. このときαはP(x) = 0の実数解で,γ= ¯β であり,β−γ= (η−ζ)√
3iだからβ と γ も実数になるのは D= 0の場合に限る. 従ってD >0 ならば,P(x) = 0 は1つの実数解と2つの虚数解をも ち,実数解の符号はs3の符号と一致する.
D= 0の場合の解の様子は前節で述べたとおりであるが,解はいずれも係数の分数式で表されるため,すべて実 数である.
D <0の場合, 12(t3+√
D)と 12(t3−√
D) は互いに共役な虚数だからη を 12(t3+√
D)の3乗根の1つとす れば, 12(t3−√
D)の3乗根の1つはη¯で与えられ,ηη¯は実数の−t2732 の3乗根だからηη¯=−t32 である. 従って ζ= ¯η と選べるため,P(x) = 0 の3つの解はすべて実数になる.
次にD <0の場合にP(x) = 0の解の符号を調べる. s3= 0ならば, D= 271s22(−s21+ 4s2)<0 だからs26= 0 かつs21−4s2>0 である. 0とx2−s1x+s2= 0の解がP(x) = 0の解になるため,s2<0ならばP(x) = 0は0 の他に正の解と負の解をもち, s1>0 かつs2>0ならば P(x) = 0は0 の他に2つの正の解をもち,s1<0 かつ s2>0 ならばP(x) = 0は0 の他に2つの負の解をもつ.
s36= 0とする. P0(x) = 3x2−2s1x+s2 だから µ= 13(s1−√
−3t2),ν = 13(s1+√
−3t2)とおけば, P(x) = 0 の解は区間(−∞, µ), (µ, ν), (ν,+∞)にそれぞれ1つずつ実数解をもつ. 従ってs250ならばP(x) = 0は正の解 と負の解をもち,s1<0かつs2>0 ならばP(x) = 0の2つの解は負で,s1>0かつs2>0 ならばP(x) = 0の 2つの解は正である. さらにs3 の符号を考えると,P(x) = 0の解の符号は以下の様になる. (D <0ならばs1= 0 かつs2>0という場合はありえないことに注意する.)
s1,s2 の条件 s3の符号 正の解の個数 負の解の個数 s1>0 かつs2>0 s3>0 3 0 s1>0またはs250 s3<0 2 1 s1<0またはs250 s3>0 1 2 s1<0 かつs2>0 s3<0 0 3
2 4
次方程式
2.1 4
次方程式の解の公式
xの4次式P(x) =x4−σ1x3+σ2x2−σ3x+σ4に対し, y=x−σ1
4 , τ2=σ2−3σ21
8 , τ3=σ3+σ31 8 −σ1σ2
2 , τ4=σ4−3σ41 256+σ21σ2
16 −σ1σ3
4 , Q(y) =y4+τ2y2−τ3y+τ4
とおくと,Q(y) =P(y+σ41)だからP(x) = 0の解を求めるには, Q(y) = 0の解を求めればよい.
(y−u−v−w)(y−u+v+w)(y+u−v+w)(y+u+v−w)
=y4−2(u2+v2+w2)y2−8uvwy+ (u2+v2+w2)2−4(u2v2+v2w2+u2w2)
だからu2+v2+w2=−τ22,uvw= τ83,u2v2+v2w2+u2w2=τ1622 −τ44 が成り立つような(u, v, w)の組を1組見 つければ,u+v+w,u−v−w,−u+v−w,−u−v+wがQ(y) = 0の4つの解になる.
s1=−τ2
2 , s2= τ22 16−τ4
4, s3=τ32
64, R(X) =X3−s1X2+s2X−s3
とおくと,u2, v2,w2 は3次方程式R(X) = 0の3つの解である.
t2=s2−s21
3, t3=2s31 27 −s1s2
3 +s3, D=t23+4t32 27 とおき, 12(t3+√
D), 12(t3−√
D)の3乗根η,ζでηζ=−t32 を満たすものをとれば,前節の結果からu2=η+ζ+s31, v2=ηω+ζω2+s31,w2=ηω2+ζω+s31 である. そこで,η+ζ+s31,ηω+ζω2+s31,ηω2+ζω+s31 の平方根κ,λ, ξをκλξ= τ83 が成り立つようにとれば,P(x) = 0の4つの解α,β γ,δはα=κ+λ+ξ+σ41,β=κ−λ−ξ+σ41, γ=−κ+λ−ξ+σ41,δ=−κ−λ+ξ+σ41 で与えられる.
解と係数の関係より, (α−β)2(α−γ)2(α−δ)2(β−γ)2(β−δ)2(δ−γ)2=−110592Dが成り立つため,P(x) = 0 が重解をもつための必要十分条件は D= 0 である.
s1,s2, s3を σ1,σ2,σ3,σ4 を用いて表せば, s1= 1
16(3σ21−8σ2), s2= 1
256(3σ41−16σ21σ2+ 16σ1σ3+ 16σ22−64σ4), s3= 1
4096(σ16−8σ41σ2+ 16σ13σ3+ 16σ12σ22−64σ1σ2σ3+ 64σ23) となる. またt2,t3, Dを τ2,τ3,τ4 およびσ1,σ2, σ3,σ4 を用いて表せば以下の様になる.
t2= 481(−τ22−12τ4) = 481(3σ1σ3−σ22−12σ4)
t3= 17281 (2τ23−72τ2τ4+ 27τ32) = 17281 (27σ21σ4−9σ1σ2σ3+ 2σ23−72σ2σ4+ 27σ23) D=1105921 (−16τ24τ4+ 4τ23τ32+ 128τ22τ42−144τ2τ32τ4+ 27τ34−256τ43)
=1105921 (27σ14σ42−18σ13σ2σ3σ4+ 4σ13σ33+ 4σ21σ23σ4−σ21σ22σ32−144σ21σ2σ24+ 6σ12σ32σ4+ 80σ1σ22σ3σ4
−18σ1σ2σ33+ 192σ1σ3σ42−16σ24σ4+ 4σ32σ23+ 128σ22σ24−144σ2σ23σ4+ 27σ43−256σ43)
2.2
重解をもつ
4次方程式
D = 0 の場合のP(x) = 0 は重解をもつが, この重解を係数の有理式で表すことを考える. このときP(x)と
P(x)の微分P0(x) = 4x3−3σ1x2+ 2σ2x+σ3の最大次数の共通の因数をd(x)とすればd(x)の次数は1以上で ある. P(x) = (14x−σ161)P0(x) +r1(x),r1(x) = (−163σ12+12σ2)x2+ (18σ1σ2−34σ3)x−161σ1σ3+σ4 であり,r1(x) は d(x)で割りきれる.
(1)r1(x) = 0すなわちσ2=38σ12,σ3=161σ13,σ4=2561 σ14が成り立つ場合P(x) = (x−σ41)4となるためP(x) = 0 は四重解σ41 をもつ.
(2) r1(x)6= 0 の場合,σ26= 38σ12または「σ2= 38σ12かつσ36= 161σ13」が成り立つ.
(2–1)σ26= 38σ12の場合, P0(x) =³
−64
−8σ2+3σ21x+16(−32σ( 1σ2+9σ31+48σ3)
−8σ2+3σ12)2
´r1(x) +r2(x)
r2(x) = 32(4σ23−σ21σ22−16σ2σ4(−14σ3σ1σ2+6σ12σ4+3σ3σ13+18σ32)
−8σ2+3σ21)2 x−16(−3σ1σ23+4σ22σ3+9σ(−4σ8σ31−2+3σσ21σ132)σ22−32σ4σ1σ2+48σ4σ3)
であり,r2(x) = 0ならばxの2次式r1(x)がP(x)とP0(x)の最大公約数である. この場合は4次式P(x) は4次式r1(x)2 で割りきれるため
P(x) = µ
x2+2σ1σ2−12σ3
−3σ12+ 8σ2
x+−σ1σ3+ 16σ4
−3σ12+ 8σ2
¶2
という形になる.
r2(x)6= 0の場合,r2(x)は1次以上の多項式d(x)で割り切れることからxの1次式r2(x)がP(x)とP0(x)