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鉛合金アノード上の二酸化鉛の量 に関する考察
野坂 肇
OntheAmountofPbO2onLeadAlloyAnode HajimeNozAKA
AnodicbehaviorofPb‑CaandPb‑Ag‑Caalloysinsulfuricacidsolutionhasbeen
investigatedbymeansofpotentialmeasurementandquantitativeanalysisofPbO2onthe
anode・
TheaimofthisreportistoclarifytherateofformationofPbO2ontheanode,and
tofindoutaneffectivemethodetoestimatethevalueofPballoysfortheanode・
Theresultsobtainedaresummerizedasfollows:
(1) TherateofformationofPbO2ontheanode isnotconstantwithtimeeveninthe
rangeofO−2 (day)。
(2) Evs.logblplotmaybeeffectivetoclassifythecorrosionbehaviorofPballoys,but Evs。 logb2plotisnoteffectivesomuch,where
E; anodepotential
bl; rateofformationofPbO2inthetimerangeofO‑1 (day) b2; rateofformationofPbO2inthetimerangeofl‑2(day)
1. 緒言 表1 試料合金の組成
亜鉛の電解採取においては, 。Taintonらの報告
1)以来, アノード材として純鉛に代わり鉛一銀合金が 使用されてきている。著者らは鉛一銀合金をさらに
改良するためには銀の役割を明確にする準がある
と考え,研究を行なってきた。そして前報において,
鉛一銀合金アノード上の二酸化鉛の量について検討 を加えた。
また鉛蓄電池のアノード基板の開発や改良を目的 とした研究の中で鉛一銀一カルシウム合金が注目さ
3)
れ,最近栗原らによって亜鉛電解採取用アノードヘ の使用が検討された。
そこで著者は鉛一カルシウム合金および鉛一銀一 カルシウム合金アノードについて生成する二酸化鉛 を定量し,純鉛および鉛一銀合金アノードについて の結果と比較した。そして鉛合金アノード上の二酸 化鉛の生成速度を明らかにし,それとアノード電位 との関係によってアノードとしての鉛合金を評価す る方法について検討してみたので,その結果を報告 する。
秋田高専研熱畷第21号
−−−−画§仏
星一.‐ ‐ ゞニ 雲 一 . ゞ ".一一.‐−.‐−,− 一ワー
試料記号 含有量(wt%)
銀 カルシウム
13681379135135 ●●●●●●●●●●●﹃■Ⅱ︽●●︒﹃ⅡⅡユ 00000000000000 一一一一一一一一一一一一一一一一
a
aaa 22225555 ●●●●●●●●勺Ⅱ■︽勺Ⅱ0−勺Ⅱ■︽令日Ⅱ一 CCCCO0000000 一一一一
21 23 21
18 49 48 47 48 92 94 91 92
●●●●●●●●●●●● 000000000000
09 32 63 79 13 32 70 91 08 29 54 96 10 29 46 93
●●●●●●●●●●●●●●●● 0000000000000000
ー−−−一一
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鉛合金アノード上の二酸化鉛の量に関する考察
酸化鉛の定量方法は前壼)と同様である。
2. 試料および実験方法
3. 結果および考察
鉛一カルシウムあるいは鉛一銀一カルシウム合金 は,鉛あるいはあらかじめ鋳造した鉛一銀合金と過 量の金属カルシウムとを鉄製ルツボに入れ,表面を カルシウムカーバイドで覆い約1000℃で溶融・撹 伴し金型に鋳込んで作ったものである。試料合金の 銀およびカルシウム含有量の分析結果を表1に示す。
これらの分析に際してまず試料合金を硝酸で溶解し カルシウムについてはキレート滴定法により,銀に ついてはP−ジメチルアミノベンジリデンローダニ
ンを用いた吸光光度法によって定量した。
4)著者らが既に報諄)した様に,鉛一銀合金では金型
鋳造した試料(急冷凝固試料, C)と徐冷凝固試料 (SC)とでは明らかに挙動が異なる。そこで鉛一 銀一カルシウム合金についても急冷凝固試料と徐冷 凝固試料とを作製した。鉛一カルシウム合金では徐 冷処理によって鉛とカルシウムとが分離してしまい 目的とする徐冷凝固試料は得られなかった。鉛一銀 一カルシウム合金についてもカルシウムが分離する 恐れがあったが,徐冷処理した合金のカルシウム含
有量は処理前のそれと変らなかった。
試料アノード表面の処理方法,電解条件および二
各試料アノードについて二酸化鉛を定量した結果 を図1〜4に示す。これらの結果から最小二乗法を 用いてそれぞれの回帰直線を求めると,鉛一銀合金 の場合と同じように,必ずしも原点を通らないこと がわかる。著者らは以前表面をエッチング処理しな いアノードについて二酸化鉛の量を測定した際,そ の生成速度が一定でないことを見い出し,二酸化鉛
の生成過程に原因があると考えた鬼しかし前報およ
2)び今回の実験結果をそれによって説明できないこと は明らかである。また実際に電解時間0において二 酸化鉛を定量しても実験誤差の範囲で0であった。
この矛盾を解決するために図1〜4における電解 時間。〜1日の傾きをb,(mol/cf・day),1〜2日 のそれをb2(mol/cf・day)と表わすことにする。
そしてb, ,b2についてそれぞれ次のように考える。
bl :合金上に酸化物膜がない状態での二酸化鉛の
生成速度。
b2:酸化物膜が存在する状態での二酸化鉛生成速
度。
○急冷凝固試料 ●徐冷凝固試料
5 5
CaO.32%
CaO.09%
OR︶◎0◎04勺1
6○
0 2
0 1 2
10
壱︒二9歩1日×︶葛占皇公
童 百歩三×︶劇己宝 CaO.63% 〕̲79% @
OQU
J、7(】吻
5
00
0 1 2
時間(日)
図1 Pb‑Ca合金アノード上のPbO2量
(日)0
1 2,図2R‑Ag(0.2%)‑Ca合金アノード上の師2量 昭和61年2月
一二一
可
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野坂 肇
bl ,b2の大きさによって実験結果を分類すると,bl
>b2,bl=b2,bl<b2の3つの場合カヌある。
bl≧b2の場合は,酸化物膜による内部保護作用があ るかあるいはその作用がないと考えることができる。
しかしbl<b2の場合は酸化物膜が生成すると腐食が 進行しやすくなるという結果となり,前述した様に 合理的な説明とはならない。これを完全に説明する ためには,合金組織と関連した腐食機構の解明が必 要であると思われる。各試料のbl, b2の値を標準偏 差S,測定回数、とともに表2に示す。表2には以 前に報告した鉛一銀合金についての結果も示す。こ こで前報におけるαはbl‑b2, βはb2にそれぞれ
等しい。
工業的にアノードを考える場合,腐食とともに大 きな問題の1つとして電解電位が挙げられる。概略 的に言えば アノードの腐食状態によって電位が決 まり,電位によって腐食速度が決まる というよう に腐食速度と電位とは表裏一体の関係にある。亜鉛 の電解採取の場合, アノードでの主反応は酸素発生 反応であり,電位は二次的に決まると考えた方が妥 当であるかも知れない。 しかしいずれが主要素かは 別としても互いに関係していることは明らかであり,
以前二酸化鉛の生成速度と電解電位とがターフェル
の式に類似した関係にあることを示した6{そこで表
2のbl, b2の対数と電解2日後のアノード電位Eと の関係をそれぞれ図5, 6に示す。
図5の実線は鉛一銀合金の徐冷凝固試料について 最小二乗法によって計算した直線(E=2218+158 logb,)である。急冷凝固試料について同様に計算す るとE=2153+1501ogb,となるが, ここでは徐冷 凝固試料の傾きと同じと見なして,急冷凝固試料の 平均値を通るように引いたものが破線(E=2194
+1581ogb,)である。図5を見ると,鉛一カルシウ ム合金は他の合金と異なり二酸化鉛の生成速度が大 きいものほど電位が低くなっていることがわかる。
これは二酸化鉛の量の増加によって真の電流密度が 低下し,それによって電位力;低くなったものと考え られる。鉛一銀合金と鉛一銀一カルシウム合金は次 の3つの集合に分類できる。
i)実線と破線とにはさまれて直線をなす集合 ii)実線の左上方に位置する集合
通)破線の右下方に位置する集合
この中のii)とⅢ)の集合の分布を見ると,鉛一カ ルシウム系とほぼ等しい傾きを持っており1つの集 合と見なせるかも知れない。 しかしii)には1つを 除いて急冷凝固試料が存在しない事と, iii)には徐 冷凝固試料が存在しない事から2つの集合と考える ことにする。 このように鉛一銀合金と鉛一銀一カル シウム合金とは類似した挙動を示すものとそうでな いものが存在するが,その境界は必ずしも明瞭でな
○急冷凝l古1試料 ●徐冷凝問,試料
||
○急冷凝固試料 ●徐冷凝固試料
5 5
08呪 J,29%
5 5
0 1 2 0 1 2 】‐Z9f
015
︵セミ一○︹ず−つ﹇×︶一一剰○竺巳
10
Ca0.54%
J,96%︵壱二○E@三×︶封占宝
0 1 2
0 1 2
5 5 5
oRU●●
O︵■●
0 1
22 0 1 2
時間(日)
図3酌‑Ag(0.5%)‑Ca合金アノード上のP㈹2量
0
00 1 2 0 1 2
時間(日)
図4勵戸Ag(1%)‑Ca合金アノード上の剛2量 秋田高専研究紀要第21号
I
=ここ
一
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鉛合金アノード上の二酸化鉛の量に関する考察 表2 試料アノードの各持性値
bl, b2 : (mol/cm2. day)
1500 1500
0041
︵掛剛瞳制顎骨l聡掘進・ンE︶ 0000431
1
︵掛糊騨切璃暑1嫉翻鱈・ン巳︶国道籾1−︑ト
戸二﹄戸0031
画垣制1−︑ト
1200 1200
−7 −6 −5 -
logb'
E‑logblプロット
7 −6 −5
logb2
E−lOgb2プロット
−4 −4
図5 図6
昭和61年2月 試料記号
b
xlO 1
−6 b
x1O 2
−6 S
x1O −6
、
試料記号
b
xlO 1
−6 b
xlO 2
−6 S
xlO −6
、
一
Pb C
CCCCC 12680 00001 一一一一 9gggg AAAAA 6.25
7.13 6. 18 4.53 3.17 2.56
4.02 5.29 3.62 2.30 1. 16 2. 11
2.84 1.55 3.01 1.09 0.69 0.51
333742111111
Pb SC
CCCCCSSSSS 12680 00001 一一一 9gggg AAAAA 6.08
4.81 3.41 1.93 1.53 1.45
4.28 6.53 5.40 2.63 1.54 1.48
1.67 2.43 1.89 1.67 1.01 0.83
16 17 20 19 18 24
CCCCCCCCCCCCCCCC 13681379135135 ●●●●︒●●●●●● 0000000000010001 一一一一一一一一一一一一一一一一 aaaa2222555511l1 CCCCQQQQQQQQ
4.61 11.5 20.9 36.3 3.79 1.97 3.17 3.33 0.98 1.60 1.70 2.63 2. 19 0.97 1.81 1.96
6.71 25.5 58.3 56.8 6.71 5.01 6.73 4.13 0.37 0.36 1.31 4.95 1.65 0.28 0.40 0.85
3. 10 4. 11 3.92 3.95 2.89 0.67 1.22 1.01 0.37 0.32 0.48 0.94 0. 18 0.32 0. 15 1.00
5665874576675667
0. 1SC 0.3SC 0.7SC O、9SC
C
0. 1SC 0.3SC 0.5SC 1 SC 0. 1SC 0.3SC O、5SC
1 SC
一一一一一一一一一一一 222255551111 ●●●●●O●● 00000000
5.86 2.42 4.88 4.16 1.45 1.18 0.83 1.29 0.89 0.84 0.88 1.05
一
3.19 5.60 5.01 4.64 1.53 0.70 1.47 1.96 0. 16 0.80 0.41 0.55
3.34 1.04 1.68 1.82 0.74 0.60 0.87 1.31 0.20 0.35 0.36 0.26
56668999岨695
−一一=−一ー=一一一 マーーー一一一 一一一一 一‑−−−一P一一 一 ロ酉■■