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家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の 変動に関する研究(?)

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家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の 変動に関する研究(?)

著者 中牟田 正幸

雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

16

2

ページ 95‑116

発行年 1968‑02‑29

その他のタイトル Studies on the variation of various blood components during pregnancy, parturition and development of foetus and infant in domestic rabbits

URL http://hdl.handle.net/10105/3218

(2)

"sil水音‑<c r.1ォ" $16聾 で2ri 、II*、昭和43If Bull. Nara U.Educ, Vol.16, No.2, (Nat.), 1968

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における 血液成分の変動に関する研究(Ⅱ)

中 牟 田  正  幸 (奈良教育大学生理学及び衛生学教室)

(昭和42年9月30日受理)

Studies on the variation of various blood components during pregnancy, parturition and development

of foetus and infant in domestic rabbits

Masayuki NAKAMUTA

(Laboratory of physiology and hygiene , Nara University of Education , Nara, Japan) (Received Sept. 30, 1967)

ォ   n 第1章 実験方法

第2章 妊娠,分娩及び泌乳時における血液成分の変動 第1節 実験材料

第2節 結果及び考察 第1項 水分量の変動

第2項 給血菜蛋白濃度及び血菜蛋白分屑の相対比と濃度の変動 第3項 脂肪量及び類脂質量の変動

第4項 血糖量の変動

第5項 各種非蛋白窒素量の変動 第6項 各種無機物量の変動

第7項 アルカリ性フオスファクーゼ量の変動 第3節 摘  要

第3章 胎児及び幼児の発育過程における血液成分の変動 第1節 実験材料

1)胎児血液

実験に使用した動物は体重2.5‑3.OK?の成熟雌兎(日本白色種) 75頭を種付け後一定の時期に 屠殺開腹して得た胎児521匹である.血液は主として25口令及び30口令の胎児について心臓から

95

(3)

採取したが, 220令及び28U令の胎児についても同様に行なった.胎児血液は同腹のすべての胎 児から採取しプールして用いた.なお胎児血液を採取するに際し,その母体を屠殺する前にあら かじめ耳介静脈から母体血液を採取して,胎児とその母の問に存する血液成分量の差異を比較で きるようにした.

2)幼児血液

実験に使用した動物は第2葺における研究で用いた揖体から産まれた幼児248頭である.血液 は生後直後の新生児, 5日令, 10日令, 20日令, lヵ月令, 2カ月令及び3カ月令の幼児につい て心臓から採取した.

以上の倶試血液は各L]令とも3‑4匹から採取しプールした後,実験の目的にしたがって血渠 または血清として用いた.

第2節 結果及び考察

血液中の諸成分が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動するか,また胎母問におけるそ れぞれの成分にどのような差異があるかについて以下Mを追って記載したが,同一時期における 結果が3‑4例のため統計処理を行なわなかった.

第1項 水分量の変動

血清中の水分量が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動するかについて追究した結果は 第10表及び第11図に,また胎母問におけるそれぞれの成分の差異について追究した結果は第11表

に示すとおりである.

Table 10. Changes of serum moisture concentration during the development of the foetus

and infant.

Serum moisture

Foetal age in days 25 30 New born Infant age in days

5 10 20 30 60 90

表及び図に示すように,若い胎児の永分室は著しく高いが,胎児及び幼児の成長に伴って減少 し,生後2カ月令で成兎の水準に達する.また胎母間における血清中の水分量を比較すると,胎 児の方が母体より著しく低い.胎児及び幼児血液中の水分量がadultのものに比較して高いこと は一般に知られていることであり,いいかえれば,血液中の有機成分呈及び無機成分量が少ない

ことを意味する.

(4)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動に関する研究cm      97

Table ll. Relative concentration of moisture between the maternal and foetal sera.

Maternal serum

Days of pregnancy 25         30

Moisture (g/dl)   94.24     95.40

Foetal serum Foetal age in days

25         30

r

96.25

算2項 総血菜蛋白濃度及び血菜蛋白分層の相対比と濃度の変動 1)給血菜蛋白濃度

給血粟蛋白濃度が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動するかについて追究した結果は 算12表及び第12図に,また胎母問におけるそれぞれの成分の差異について追究した結果は第13表 のとおりである.

表及び図に示すように,総血菜蛋白濃度は若い胎児ほど低いが,胎児及び幼児の成長に伴って 著しく増加し,生後3カ月令で成兎の水準に達する.また胎母間における総血菜蛋白濃度を比較 すると,胎児の方が母体より著しく低い.

2)泳 動 像

胎児及び幼児における血菜蛋白分属の代表的泳動像を示すと,第13図のとおりである.図に示 すように,胎児及び幼児の泳動像は成兎のものとは著しく異なり, 22日令胎児では成兎の第2及 び第6峰に相当する分層を欠いて4個の分属に,また25日令胎児から生後2カ月令までの幼児で は成兎の第2峰に相当する分屑を欠いて5個の分屑に分離される.

Table 12. Changes of total plasma protein concentration during development of foetus and infant.

yJと

>Fi 9¢

95 94 93 92

20 30  10 20 30    60    90 Poet'a.land infant age ¥れdays

F旭. ll Changes of serum moisture concentration during

development of foetus and infant.

(5)

20 30 10 20 30   60   90 Foetafi. and lnナan‑t伍ge in days

Fig.12 Changes of total plasma protein concentration during development of foetus and infant.

Table 13. Relative concentration of total protein between the maternal and foetal plasmas.

̲」 New‑born」℡

一.仁:=斗」

3rd month o¥

mj‑a‑nt age

Fig.13 Electrophoresis patterns of plasma protein during development of foetus and infant

(l:albumin ,2:α1‑globulin ,3:α2‑globulin ,4:β一globulin , 5: fibrinogen and 6:r‑globulin).

(6)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動に関する研究en)      99

3)血渠蛋自分層の相対

血梁蛋自分層相対比が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動するかについて追究した結 果は第14表及び第14図に,また胎母間におけるそれぞれの成分の差異について追究した結果は第 15表に示すとおりである.

Table 14. Changes of relative concentration in various protein fractions during development of foetus and infant.

Daysalbumin

(%)a‑giobulinl/3‑glolbuin (%)I(%)皆obulinfibrinogen

Foetal age in days 22 25 30 New born Infant age in days

5 10 20 30 60 90

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7 9 1

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1

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  C O   C O   C O   O   M S   I f l   i n   S   N   N

麦及び図に示すように,胎児及び幼児の成長に伴って, albuminは著しく増加し, α‑globulin は生後に著しく増加し, 5‑10日令で最高となった後減少し, β‑globulin及びfibrinogenは著 しく減少し, γ‑globulinは25日令胎児においてはじめて放出され,生後直後の新生児で最高とな った後減少する.そして上記各分屑のいづれもが生後2‑3カ月で成兎の水準に達する.また胎 母問における血梁蛋自分屑相対比を比較すると.albuminは胎児の方が母体より低く,α‑globulin は両者の問にほとんど差異がなく, β‑globulin及びfibrinogenは胎児の方が母体より著しく高

く, γ‑globulinは若い胎児では母体より高いが,出生近くの胎児では母体の方が高くなる.

4)血梁蛋自分屑の濃度

血菜蛋自分層濃度が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動するかについて追究した結果 は第16表及び第15区=こ,また胎母問におけるそれぞれの成分量の差異について追究した結果は罪 17表に示すとおりである.

表及び図に示すように,総血菜蛋白濃度が胎児及び幼児の成長に伴って著しく増加するため, 各分屑濃度の変動は相対比の示すものとかならずLも一致しないようである.まづ胎児及び幼児 の成長に伴って, albuminは著しく増加し, a一及び針globulinは増加するが,生後10日令で最 高になった後減少し, γ‑globulinは増加し,生後直後の新生児で最高になった後減少し,授乳 中はかなり低いが,以後は増加し, fibrinogenはほとんど変動しない.そして上記客分屑のいづ れもが生後2‑3カ月令で成兎の水準に達する.また胎母問における各分層濃度を比較すると, albumin, α‑及びβ‑globulinは胎児の方が母体より低く, fibrinogenは両者の問にほとんど差

(7)

20 30  10 20 30    60    90

D久YS O∫ Foetai and l小Tit Agf

Fig.14 The variation of relative concentration in each plasma protein fractions during development of the foetus and infant.

Table 15. Relative concentration of various protein fractions between the maternal and foetal plasmas.

Maternal plasma

Days of pregnancy 22    25    30

Foetal plasma Foetal age in days

22    25    30

輿がなく, γ‑globulinは若い胎児では母体の方が低いが,出生近くの胎児では体母より高くな

る.

(8)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動に関する研究cm 101

Table 16. Changes of absolute concentration in various plasma protein fractions during development of foetus and infant.

al bumin (g/dl)

N N (Ti in

n   e n   n   o O O f‑1 CM O i* CO <M CM CM h

  w   m   t

*   i n   o c N   W   r o   m   c o   M

三豊塞空宣フbulin7"

dl)!霊フbulinjfibrinogen dl)[(g/dl)

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CO t‑( OI O I‑H CO Tf LO

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o   o   o   o

0.33 0.25 0.29 0.37 0.44 0.43

20 30  10 20 30    60    90

Foet止叫infant叩in days

Fig.15 Changes of absolute concentration in various plasma protein fractions during development of foetus and infant.

(9)

Table 17. Relative concentration of various protein fractions between the maternal and foetal plasmas.

Maternal plasma I Foetal plasma

胎児の総血菜蛋白濃度に関しては,人及び家畜においても比較的に多数の報告があり, Mc‑

Carthy (1938)が馬及び緬羊, Clark and Holling (1931)が犬, Barboriak (1958)が山羊及び 緬羊について測定している.それらの結果はいづれもが胎児の紐血菜蛋白濃度は母体のそれより も低いと述べている.著者の家兎における実験でも上記研究者の結果とよく一致した.また生後 においても給血梁蛋白濃度は幼児の成長に伴って増加し. 2  カ月令で成兎の水準に達する が,人(Metcoff, 1947 and Ewerbeck, 1951)では,局(Poison, 1943)では2才でadultの水 準に達することに比較すると,生後の成長が著しいだけに非常に早いことが分った.

以上の結果から,総血菜蛋白濃度が胎児及び幼児の成長に伴って著しく増加することを知った が,胎児血菜蛋白の分析は胎児における蛋白代謝,あるいは台盤の透過性を究明する上に重要な 意義を有することからして,各分属がどのように変動するかについて追究した.胎児の血粟蛋自 分層に関しては,人において比較的に多数の研究があるが,家畜についての報告は非常に少な く, Moore et al (1945)が豚, Barboriak (1958)が山羊及び緬羊について報告しているにすぎ ない.上記の豚及び緬芋における実験はいづれも牛, McCarthy (1948)及びCharwood et al

(1943)が仔羊, House (1961)がハムスク‑の幼児について報告している.前述したように, 血菜蛋自分屑を構成している蛋白質及び組成量が動物の種類によって著しく異なる(Deutch, 1945)ため,家兎と他の動物をあわせて比較することはむつかしい.家兎胎児の血梁蛋自分屑に おいて,他の動物と著しく異なる点は胎生期間中にすでにγ globulinが出現することであって 人及び喫歯動物以外のものにおいては存在しない.この分層は妊娠後期から母体の血流中の γ‑globulinが免疫体として直接胎盤を通過し胎児血行中に移行するものである.他の動物におい ては,この免疫globulinは生後直後に母体から初乳をとることによってはじめて血流中に多量 出現するものである.家兎では胎児の成長と共に増加し,生後直後の新生児において最高とな り,出生近くの胎児では母体より高かった.

第3項 脂肪量及び類脂質室の変動

血清中の脂肪量,総コレステロール呈及びレシチン室が胎児及び幼児の成長に伴ってどのよう に変動するかについて追究した結果は第18表及び第16図に,また胎母間におけるそれぞれの成分 量の差異について追究した結果は第17表に示すとおりである.

表及び図に示すように,脂肪量,総コレステロール量及びレシチン量は胎児及び幼児の成長に 伴って著しく減少するが,総コレステロール呈及びレシチン呈は生後10日令で最低となった後い

(10)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動甘こ関する研究cm     103

くらか増加し, 3カ月令で成兎の水準に達する.また台母問における上記各成分はいづれもが胎 児の方が母体より著しく高い.

Table 18. Changes of fat, total cholesterol and lecithin concentration in the serum during development of foetus and infant.

Days Fat fmg/dl) Foetal age in days

25 m New born

Infant age in days 5 10 20 30 60 90

霊霊︒o霊︒︒︒︒ォol︒

o   o   o   o   o o   o   o   o

A T   3   ウ l   1

Total chole‑

sterol( mg/dl)

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̲一蝣・

Lecl蝣thm

・‑‑.‑‑.‑●、、一一一一一●一一一一‑#‑‑‑‑‑‑一‑蝣一・‑‑蝣蝣*"一一●

Tota且cho旦cs‑teroL

20 30  10  00 30     60    90

Foe†止and叫叫t呼h da^s

Fig.16 Changes of fat,total cholesterol and lecithin concentration in the serum during development of foetus and infant.

(11)

Table 19. Relative concentration fo fat, total cholesterol and lecithin between the maternal and foetal sera.

Maternal plasma Days of pregnancy

Foetal plasma Foetal age in days

30      25       30

foetus and infant.

脂肪畳,総コレステロール呈及びレシチン量が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動す るかについての研究はほとんどないようである.ところが胎母問における上記各成分の差異隼 関しては, Barcroft and Popjak (1944)が緬羊について研究を行ない,その結果,胎児の方が母 体より著しく低いと報告している.また Kreidle and Donath (1912)はモルモットの胎母問に おける血清中のリポイド燐を比較し,胎児の方が母体より高いと述べている.以上の緬羊におけ る結果と本実験で得られた結果をあわせて考えると,家兎と緬羊ではまったく逆の現象を示して いることが分った.これは家畜の種類によって胎盤の組織学構造が異なるため,上記成分の胎盤 における透過性がおのづから異なることによるものと考えられる.

第4項 血糖呈の変動

血清中の血糖量が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動するかについて追究した結果は 算20表及び第17図に,また胎母におけるそれぞれの成分墓の差異について追究した結果は第21表 に示すとおりである.

Table 20. Changes of blood sugar concentration  表及び図に示すように,血糖量は胎児及び in the s竺um during development of 幼児の成長に伴っていくらか減少し,生後10

目令で最低となった後増加し,生後3カ月令

Days Blood Sugar (mg/dl) で成兎の水準に達する.また胎母間における

Foetal age in days 25 30 New born

Infant age in days 5 10 20 30 60 90

113.8 104.4 104.2

101.2 98.2 126.3 135.2 168.4 191.4

血糖量は胎児の方が母体よりいくらか低いよ うである.

血糖量が胎児及び幼児の成長に伴ってどの ように変動するかについての研究はほとんど ないようである.ところが胎母間における血 糖量の差異に関しては, Aron (1924)が牛, 豚,家兎,犬及びモルモット, Morriss (19 17)が犬, Brandstrup (1929)が兎, Kito

(1919)がモルモット, Corey (1928, 1930) がラットについて報告している.以上の結果 から,胎母問における血糖量は牛を除くすべての動物において胎児の方が母体より低かった.

Needham (1931)は反範動物とその他の動物の胎母問における血糖量の差異について,始盤の

(12)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動に関する研究(Ⅱ)

20 30 10 20 30  60  90

Foetoi ‑d in‑fant呼Jtv days

Fig.17 Changes of blood sugar concentration in the serum during development of foetus and infant.

Table 21. Relative concentration of blood sugar in the serum between the maternal and foetal sera.

113.8    104.4

105

組織学的構造の相違によるのでないかと説明している.

第5項 各種非蛋白窒素量の変動

血清中の残余窒素量,尿素窒素量,尿酸量及びアミノ酸窒素墨が胎児及び幼児の成長に伴って どのように変動するかについて追究した結果は第22表及び第18図に,また胎母問におけるそれぞ れの成分量の差異について追究した結果は第23表に示すとおりである.

Table 22. Changes of non‑protein nitrogen , urea nitrogen, ammo‑acid nitrogen and uric acid concentration in the serum during development of、 foetus arld infant.

DaysNon‑proteinNjAmino‑acid (mK/dl)(mg/dl)蛸l

Foetal age in days

* 25 30 New born

Infant age in days 5 10 20 30 60 90

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(mg/dl) (mg/dl)

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1

(13)

20  30  10 20 30    60    90

Foe*止‑d I,tやn‑t age‑ I¶ d叫5

Fig.18 Changes of non‑protein nitrogen, urea nitrogen, amino‑acid nitrogen and uric acid concentration in the serum during development of foetus and infant.

Table 23. Relative concentration of non‑protein nitrogeヱi, urea

nitrogen , amino‑acid nitrogen and uric acid concentration between the maternal and foetel sera.

Maternal serum Days of pregnancy

Foetal serum Foetal age in days

22    25    30    22    25    30 Non‑protein N(mg/dl)

Urea N   (ma/dl) Uric acid  (mg/dl) Amino‑acid N (mg/dl)

L O   0 0   C O   N

5   っ ュ   ハ U   っ

l                     1

9

4

4

7

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HU

10.7  12.7

表及び図に示すように,残余窒素量,尿素窒素量及びアミノ酸窒素量は胎児及び幼児の成長に 伴って増加するが,アミノ酸窒素畳のみは生後5日令で最高になった後減少し,また尿酸量は胎 児において検出されず,生後5日令の幼児においてはじめて少量検出されるが,以後はしだいに 増加し上記成分のいづれもが3カ月令で成兎の水準に達する.また胎母問におけるアミノ酸窒素 量は胎児の方が母体より高いが残余窒素量及び尿酸童は若い胎児では母体より低く,出生近くの 胎児では母体より高くなる.

(14)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動に関する研究cm    107

残余窒素量,尿素窒素鼠尿酸呈及びアミノ酸窒素量が胎児及び幼児の成長に伴ってどのよう に変動するかについての研究はほとんどないようである.ところが胎母問における上記成分の差 異に関しては, Collip (1927)が牛において胎児の残余窒素量は母体のそれより高く, Slemons and Morriss (1916, 1917)が犬において胎児と母体の残余窒素量はほとんど差異がなく・また Snyder and Hoskins (1929)が家兎において胎児の残余窒素呈及び尿素窒素量は母体のそれよ り低いが,胎児のアミノ酸窒素量は母体のそれよりいくらか高いように報告している.以上の結 果から,それぞれの家畜の胎母間における残余窒素量はその種類によって異なっていることが分

った.著者の家兎における実験では上記研究者の家兎の結果と大体一致しているようであるが, 出生近くの胎児では反対に胎児の方が母体より高くなることを知った.とくに胎児のアミノ酸窒 素量が母体のそれより高いということは,胎盤が胎児の発育に必要なアミノ酸を母体から多量に 吸収し,体蛋白の合成に資するためでないかと考えられる.

第6項 各種無機物量の変動

血清中のクロール量,ナトリウム呈,カリウム量,カルシウム量,マグネシウム童及び無機燐量が 胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変動するかについて追究した結果は第24表及び第19図に, また胎母問におけるそれぞれの成分量の差異について追究した結果は第25表に示すとおりである.

Table 24. Changes of chlorine, sodium, potassium, magnesium and inorganic phosphorus concentration in the serum during development of foetus and infant.

Calcium

(mg/dl) phosphoruslMagnesium (mg/dl)¥(mg/dl) 琵IorineSodium

g/dl)(mg/dl)

Foetal age in days 25

30 New born Infant age in days

5 10

20         337.0

219.2 I 22.7

232.0 229.8 232.2 338.0 ! 237.4 348.4   243.4 90         343.2   239.5

ID W ro Tf to C)

cO 00 O <M OO OO

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t f

*

*

*

*

*

表及び図に示すように,クロール呈,ナトリウム量,カリウム量,カルシウム量,マグネシ ウム量及び無機燐量は胎児及び幼児の成長に伴っていくらか増加するか,あるいはほぼ同一水 準を維持するが,カリウム呈及び無機燐量は授乳中の幼児ではいくらか高くなるようである.ま

た胎母間における上記成分の中でクロール量,ナトリウム量及びマグネシウム量は両者の間にほ

とんど差異がないが,カルシウム量及び無機燐量は胎児の方が母体より著しく高い.クロール

義,ナトリウム量,カリウム量,lカルシウム量,マグネシウム呈及び無機燐量が胎児及び幼児の

成長に伴ってどのように変動するかについての研究はほとんどないようである.ところが胎母問

における上記の成分量の差異に関しては, Needham (1931)が人においてクロール量,ナトリウ

ム量及びカリウム量は両者の問にほとんど差異がなく,カルシウム量及び無根燐量は胎児の方が

(15)

lq&

350 340 SE

320 3J0 250 240

mz

220 210 40 30 20 10 0

●‑      r¥ ‑・‑.‑・‑.‑‑‑‑‑

C&

pl‑‑‑‑.一一一●一一一

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・‑一・..サ・蝣‑.一・....̲・...・..一一     一蝣・   .一一....a

20 30  10 10 30    60    90

Foet止肌d叫ant age it days

Fig.19 Changes of sodium, chlorine, potassium, calcium, magnesium and inorganic phosphorus concentration in the serum during development of foetus and infant.

Table 25. Relative concentration of chlorine, sodium, potassium, magnesium and inorganic phosphorus concentration between the maternal and foetal sera.

Maternal serum

Days of pregnancy 25       30

Foetal serum Foetal age in days

25      30

母体より高いが,鉄量は胎児の方が母体より低く,牛においてクロール量は両者の問にほとんど 差異がないが,カルシウム量及び無機燐量は胎児の方が母体より高く,また犬においてカカルシ

ウム量は胎児の方が母体より高いと報告している.

(16)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動に関する研究en)     109

以上の結果と本実験で得られた結果をあわせて考えると,いづれの動物においても,胎母問で はクロール量,ナトリウム呈,カリウム量及びマグネシウム量は両者の問にほとんど差異がない が,カルシウム量及び無機燐量は胎児の方が母体より高いことを確認した.とくに胎児のカルシ ウム呈及び無機燐量が母体のそれより高いことは,胎盤が胎児の骨格形成に必要なカルシウム及 び無機燐を母体から多量に吸収するためでないかと考えられる.

第7項 アルカリ性フォスファクーゼ量の変動

アルカリ性フォスファクーゼ(以下血フと略す)量が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように 変動するかについて追究した結果は第26表及び第20図に,また拾母問におけるそれぞれの成分量 の差異について追究した結果は第27表に示すとおりである.

Table 26. Changes of alkaline phosphatase concentration in the serum during development of foetus and infant.

Alk. phosphatase (S‑J‑R unit)

poetaAれJ叫ant呼.¥n叫s

Fig.20 Changes of alkaline phosphatase concentration in the serum during development of foetus and infant.

表及び図に示すように,血フ量は胎児及び幼児の成長に伴って著しく増加し,生後5日令で故

(17)

高になった後減少し, 3カ月令で成兎の水準に達する.また胎母問における血フ室は胎児の方が 母母より高い.

Table 27. Re一ative concentration of alkaline phosphatase concentration

between the maternal and foetal sera.

Maternal serum Foetal serum

Days of pregnancy

25      30

Foetal age in days

25      30 Alk. phosphatase

(S‑トR unit〕

3.40     4.87     4.86     8.03

血フ量が胎児及び幼児の成長に伴うてどのように変動するか,また胎‑母:間における血フ量がど のような差異を示すかについての研究があまりないようである.人において胎児血液ではない が,播帯血フと母体血フを比較した場合, Speert (1950)によると前者は後者より17%少ない が,それでも非妊婦のiLI常範囲よりは高い値を示すと報告し,このことは胎児内部で進行してい る著しい骨増生を考えると予期に反することだといっているが,重政及び竹村(1956)の結果は 勝帯血の方が母体血より20%だけ高く,かかる考え方によく一致した.胎児の血フ量が著しく母 体のそれより高いことは,胎盤が胎児の発育に必要な血フを母体から多量に吸収して骨増生に, あるいは生体の生理作用に重要な役割を果すためでないかと考えられる.

以上,第1項から第7項までの結果を綜合すると,胎児及び幼児の成長に伴って,総血菜蛋白 濃度,残余窒素,尿素窒素.尿酸,アミノ酸窒素及びアルカリ性フォスファクーゼは増加する が,アミノ酸窒素及びアルカリ性フォスファタ‑ゼは共に生後5日令で最高となった後減少し,

これに反して水分,脂肪,総コレステ一口ル,レシチン及び血糖は減少するが,総コレステロー ル,レシチン及び血糖は生後10口令で最低となった後増加し,またクロール,ナトリウム,カリ

ウム,マグネシウム及び無機燐はいくらか増加するか,あるいはほぼ同一水準を維持し,そして 上記成分のいづれもが生後2‑3カ月令で成兎の水準に達した.また胎母問において水分,脂 防,コレステロール,レシチン,アミノ酸窒素,カルシウム,無機燐及びアルカリ性フォスファ

クーゼは胎児の方が母体より高いが,これに反して総血菜蛋白濃度は胎児の方が母体より低く, 残余窒素及び尿素窒素は若い胎児では母体より低いが,出生近くの胎児では母体より高くなり,

さらにナトリウム,クロール,カリウム及びマグネシウムは両者の問にはほとんど差異がない が,血糖は胎児の方が母体よりいくらか低かった.とくに尿酸は胎児において検出されず,また γ‑globulinは若い胎児において存在しなかった.

これらの結果から,胎児血液中の脂肪,総コレステロ‑ル,レシチン,アミノ酸窒素,カルシ

ウム,無機燐及びアルカリ性フォスファタ‑ゼが母体のそれより高いということは,胎盤が胎児

の発育にとくに必要な成分として母体から多量に吸収するためでないかと考えられる.血液栄養

は胎盤循環によって母体血液から械毛を介して渉透圧ないし交流作用によって胎児血行に供給さ

れ,これら栄養分の摂取は主として胎盤繊毛上皮細胞の機能によるものである.無機塩類及び水

分はたんなる渉透庄ないし交流作用により,また蛋白質,脂肪及び含水炭素などは血液中では一

般にコロイド状を呈するので,そのままでは渉透ないし交流作用による抜毛の通過は困難または

不可能のため,それらは上皮細胞に存するそれぞれの分解酵素の作用によって交流しやすい状態

(18)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程における血液成分の変動に関する研究(n)    ill

に分解され,紡毛上皮を通過し,ついで胎児に適した蛋白質,脂肪及び含水炭素に集成され,胎 児血中に移行するものと考えられる.しかし胎児の栄養採取の方法は,胎生の時期あるいは動物 の種類により胎盤の組織構造が異なるため,非常に異なるものと推察される.

第3節 摘    要

家兎を用いて血液中の諸成分が胎児及び幼児の成長に伴ってどのように変化するか,また胎児 とその母の問にどのような差異を示すかを追究し,次の結果を得た.

1)血清中の水分量は胎児及び幼児の成長に伴って減少し,生後2カ月令で成兎の水準に達し た.また胎母問における血清中の水分量は胎児の方か母体より高かった.

2)総血菜蛋白濃度は胎児及び幼児の成長に伴って著しく増加し,生後2カ月令で成兎の水準 に達した.

まづ血菜蛋自分屑相対比において, albumin, α‑及びγ瑠Iobulinは胎児の成長に伴って増 加し,これに反してβ‑globulin及びfibrinogenは減少するが,生後は日数の経過と共に, al‑

buminはしだいに増加し, α‑g】obulinは著しく増加した後減少し, β‑globulinはしだいに減少 し, γ‑globulinは著しく減少した後増加し,またfibrinogenはほぼ同一水準を維持した.

他方,濃度において,上記分屑の大部分は相対比の示す変動とほぼ類似するが, β‑globulinと fibrinogenはいづれもその変動が異なり,前者は胎児及び幼児の成長に伴って増加するが,生後 20日令で最高になった後減少し,後者は胎児及び幼児のいづれにおいてもほぼ同一水準を紅持し m

また胎母問における総血菜蛋白濃度は胎児の方が母体より著しく低かった.血菜蛋自分層相対 比において, albumin及びα‑globulinは胎児の方が母体より低く,これに反してβ‑とγ‑glo‑

bulin及びfibrinogenは胎児の方が母体より高かった.他方,濃度において, albumin α‑及 びβ‑g】obulinは胎児の方が母体より低く, γ‑globulinは若い胎児では母体より低いが,出生近

くの胎児では母体より高くなり,またfibrinogenは胎母問にほとんど差異を認めなかった.

3)血清中の脂肪量,総コレステロール呈及びレシチン量は胎児及び幼児の成長に伴って著し く減少するが,生後20日令で巌低となった後やや増加し, 3カ月令で成兎の水準に達した.また 始母間における血清中の上記成分は胎児の方が母体より著しく高かった.

4)血清中の血糖墨は胎児及び幼児の成長に伴っていくらか減少するが,生後10日令で最低と なった後増加し, 3カ月令で成兎の水準に達した.また胎母問における血清中の血糖量は胎児の 方が母体よりいくらか低かった.

5)血清中の残余窒素呈,尿素窒素呈及びアミノ酸窒素量は胎児及び幼児の成長に伴って増 加するが,アミノ酸窒素量のみは生後5日令で最高となった後減少し,また尿酸は5日令幼児に おいてはじめて少量が検出され,以後はしだいに増加した.そして上記成分のいづれもが3カ月 令で成兎の水準に達した.また胎母問における血清中のアミノ酸窒素量は胎児の方が母体より高

く,そして残余窒素量及び尿素窒素量は若い胎児では母体より低いが,出生近くの胎児では母体 より高くなった.

6)血清中のクロール量,ナトリウム鼠 カリウム鼠 カルシウム畳,マグネシウム量及び無

機燐量は胎児及び幼児の成長に伴っていくらか増加するかL あるいはほぼ同一水準を維持する

が,その中でカリウム量及び無機燐量は授乳中の幼児ではいくらか高かった.また胎母問におけ

(19)

る血清中のクロール豪,ナトリウム鼠 カリウム呈及びマグネシウム量はほぼ等しかったが,カ ルシウム呈及び無機燐量は胎児の方が母体より著しく高かった.

7)血清中のアルカリ性フォスファクーゼ量は胎児及び幼児の成長に伴って著しく増加する が,生後5日令で最高となった後減少し, 3カ月令で成兎の水準に達した.また胎母間における 血清中のアルカリ性フォスファクーゼ量は胎児の方が母体より高かった.

総     括

血液中の諸成分が妊娠,分娩及泌乳に伴い,また胎児,幼児の発育過程においてどのように変 動するか,さらに胎児とその母の間に存する血液成分にどのような差異があるかについて,血液 生理学的見地から綜合的に研究した例が家畜においてはほとんどないことに着目し,著者は家兎 を材料としてその問題の解決を企てた.

ところで著者(1959)はかつて上記研究の目的にしたがい,物質代謝には直接の関係は少ない としても生理的に重要な意義を有する血液細胞について詳細に報告した.本研究では血液細胞以 外の主成分である1)水分室. 2)総血梁蛋白濃度及び血菜蛋自分層の相対比と濃度. 3)脂肪,総 コレステロール呈及びレスチン室. 4)血糖量. 5)残余窒素室,尿素窒素呈,尿酸呈及びアミノ酸 窒素呈, 6)クロール鼠ナトリウム量,カリウム量,カルシウム呈,マグネシウム量及び無機病 室. 7)アルカリ性フォスファクーゼ呈などについて分析した.

まづ第1に上記の血液成分が妊娠,分娩及び泌乳に伴ってどのように変動するかについて調べ た.その結果は次のとおりである.

1)血清中の水分量は妊娠中期から増加しはじめ,分娩時に最高となるが,以後はしだいに減 少した. 2)総血梁蛋白濃度は妊娠中期から減少し,分娩時に最低となるが,以後は増加した.

まづ血菜蛋自分屑相対比において, albuminは妊娠後期から減少し,分娩時に最低となるが.以 後は増加し, α‑globulinは分娩直前からやや増加し,分娩後しばらくして最高となった後減少 し, β‑globulinは妊娠中期から著しく増加し,分娩時に最高となるが,以後は減少し, γ‑globu‑

linは妊娠中期から減少し,分娩後も授乳中は低く,またfibrinogenは分娩前後にいくらか増加 した.他方,濃度において, albuminは妊娠中期から減少し,分娩時に最低となるが,以後は 増加し, α‑globulinは妊娠中いくらか減少するが,分娩後しばらくして最高となった後減少し.

β‑globulinは妊娠中期から著しく増加し,分娩後しばらくして最高となった後減少し, γ‑globu‑

linは妊娠中期から減少し,分娩時に最低となるが,以後は増加し,またfibrinogenは妊娠,分 娩及び泌乳時を通じて同一水準を維持した.そして総蛋白濃度の減少はalbuminによるもので globulinは関係しなかった. 3)血清中の脂肪呈・総コレステロール呈及びレシチン量は妊娠中 期から著しく減少し,分娩時に最低となるが,以後は増加した. 4)血清中の血糖量は妊娠中期 から著しく減少し,分娩時に最低となるが,以後は増加した. 5)血清中のアミノ酸窒素量は妊 娠中期から増加し,分娩時に最高となるが,以後は減少し,これに反して尿素窒素呈,残余窒素 量及び尿酸量は妊娠中期から減少し.分娩時に最低となるが,以後は増加した.

6)血清中のクロ「ル呈,ナトリウム量,カリウム量,カルシウム呈・マグネシウム呈及び無 機燐量は妊娠中期から減少し,分娩時に最低となるが,以後は増加した. 7)血清中のアルカリ

(20)

家兎の妊娠、分娩及び発育過程i′こおける血液成分の変動に関する研究cm      113

性フォスファタ‑ゼ量は妊娠中期から増加し,分娩時に最高となるが,以後は減少した.そして 上記血液成分のいづれもが分娩後30‑40日で非妊時の水準に回復した.

第2に上記の血液成分が胎児及び幼児の発育過程においてどのように変動し,そして成兎の水 準に達するのは生後何時ごろであるかについて調べた.その結果は,次のとおりである. 1)血 清中の水分量は胎児及び幼児の成長に伴って減少した. 2)総血梁蛋白濃度は胎児及び幼児の成 長に伴って著しく増加した.まづ血梁蛋自分層相対比において,胎児の成長に伴って, albumin.

a一及びγ‑globulinは増加し,これに反してβ瑠Iobulin及びfibrinogenは減少するが,生後日数 の経過と共に, albuminはしだいに増加し, α‑globulinは著しく増加した後減少し, β‑globulin はしだいに減少し, γ‑globulinは著しく減少した後増加し,またfibrinogenはしだいにいくらか 減小した.他方,濃度において,上記分屑の大部分は相対比の示す変動とほぼ類似するが, β‑globulinとfibrinogenはいづれもその変動が異なり,前者は胎児及び幼児の成長に伴って増 加するが,生後20日令で最高になった後減少し,後者は胎児及び幼児の成長に伴って増加する が,生後20日令で最高になった後減少し,後者は胎児及び幼児の成長に伴ってほぼ同一水準を維 持した. 3)血清中の脂肪量,総コレステロール呈及びレシチン量は胎児及び幼児の成長に伴っ て著しく減少するが,生後20日令で最低となった後やや増加した. 4)血清中の血糖量は胎児及 び幼児の成長に伴っていくらか減少するが,生後10日令で最低となった後増加した. 5)血清中 の残余窒素量,尿素窒素呈及びアミノ酸窒素量は胎児及び幼児の成長に伴って増加するが,アミ ノ酸窒素畳のみは生後5日令で最高となった後減少し,また尿酸は生後5日令の幼児においては じめて少量検出されるが,以後はしだいに増加した. 6)血清中のクロール量,ナトリウム量,カ ルシウム量,カリウム呈,マグネシウム量及び無機燐量は胎児及び幼児の成長に伴っていくらか 増加するか,あるいはほぼ同一水準を維持するが,その中でカリウム量及び無機燐量は授乳中の 幼児ではいくらか高かった. 7)血清中のアルカリ性フォスファクーゼ量は胎児及び幼児の成長 に伴って著しく増加するが,生後5日令で最高となった後減少した.そして上記血液成分のいづ れもが生後2‑3カ月令で成兎の水準に達した.

第3に胎児とその母の問に存する上記の血液成分にどのような差異があるかにそいて調べた.

その結果は次のとおりである. 1)血清中の水分量は胎児の方が母体より高かった. 2)総血 渠蛋白濃度は胎児の方が母体より著しく低かった.まづ血菜蛋自分屑相対比において, albumin 及びa;‑globulinは胎児の方が母体より低く,これに反してβ‑及びγ‑globulinとfibrinogen は胎児の方が母体より高かった.他方,濃度において, albumin, α‑及びβ‑globulinは胎児の 方が母体より低く, γ‑globulinは若い胎児では母体より低いが,出生近くの胎児では母体より高

くなり,またfibrinogenは胎母問にその差異をほとんど認めなかった. 3)血清中の脂肪量, 総コレステロール量及びレシチン量は胎児の方が母体より著しく高かった. 4)血清中の血糖量 は胎児の方が母体よりいくらか低かった. 5)血清中のアミノ酸窒素量は胎児の方が母体より 高いが,残余墾素量及び尿素窒素量は若い胎児では母体より低く,出生近くの胎児では母体より 高くなった. 6)血清中のクロール鼠 ナトリウム量,カリウム童及びマグネシウム量は胎母間 にその差異をほとんど認めなかったが,カルシウム量及び無機燐量は胎児の方が母体より著し

く高かった. 7)血清中のアルカリ性フォスファクーゼ量は胎児の方が母体より高かった.

以上の事実から,まづ,妊娠,分娩及び泌乳に伴う血液成分の変動について考えると,これら

(21)

の変動は相対量であって絶対量のそれを示したものではない.妊娠時は総循環血菜量が著しく増 加するから,上記血液成分の大部分のものが相対量において減少しても,総血液中の総量ではか ならずLも減少しているとはいえず,むしろ非妊時に比較して同量か,あるいはむしろ増加して いるとも考えられる.妊娠時における血液成分の減少は,主として水分量の増加によってそれぞ れの成分が希釈されるためであり,また胎児‑の移行によるものと考えられる.このように大部 分の血液成分が水分量の増加により減少するにもかかわらずアミノ酸窒素量とアルカリ性フォス

ファクーゼ量が著しく増加するのは,妊娠時における物質代謝の冗進に基づく生理的現象のあら われであって,胎児の発育にとくに必要な成分として母体に多量のものが蓄積されるためでない かと考えられる.

つぎに胎母間における血液成分の量的差異から考えると,胎児血液中の脂肪量,総コレステロ ール量,レシチン量,ア主ノ酸窒素量,カルシウム量,無機燐量及びアルカリ性フォスファタ‑

ゼ量が母体のそれより高いのは,胎盤が胎児の発育にとくに必要な成分として母体から多量に吸 収するためでないかと考えられる.これらの血液成分は胎盤循環によって母体血液から繊毛を介 して渉透圧ないし交流作用によって胎児血行に移行するが,胎生の時期あるいは動物の種類によ って胎盤の組織構造が異なるため,胎児の栄養採取の方法が非常に異なることが分った.母体血 液中の無機塩類及び水分はたんなる渉透ないし交流作用によって胎児血行車に移行するが,蛋白 質,脂肪及び含水炭素などは一般にコロイド状を呈するので,それらは上皮細胞に存するそれぞ れの分解酵素の作用によって交流しやすい状態に分解され,紙毛上皮を通過し,ついで胎児に通

した蛋白質,脂肪及び含水炭素に集成されて胎児血中に移行するものと考えられる.

稿を終るに当り,終始和懇篤なる鋸旨導と伽校閲の労を賜わった九州大学教授岡本正斡博士に 深く謝意を表する.また有益なる卸助言を与えられた奈良教育大学教授津田昇兵衛博士並びに九 州大学農学部助教授古賀惰博士に深く感謝する.

文     献

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Table 17. Relative concentration of various protein fractions between the maternal and foetal plasmas
Table 19. Relative concentration fo fat, total cholesterol and lecithin between the maternal and foetal sera

参照

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