システム研究について
その他のタイトル System Study
著者 中辻 卯一
雑誌名 關西大學商學論集
巻 7
号 5
ページ 399‑420
発行年 1962‑12‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021656
シス
テム
研究
につ
いて
︵中
辻︶
n e t i
c s )
という思想を発表した︒これは機械の自動制御の原理と動物の神経活動の原理とに共通した制御と通信にa 関する理論である︒彼は企業組織との関連については述べておらないが︑最近この点について注目を行う人々もあ
図らはれてきた︒それは企業組織の活動にも非常に共通した原理を見出すことができ︑しかも従来の経営学であまり
取り上げられなかった面を明瞭になし得る点が多々存在すると考えられるからである︒例えば︑岸本英八郎教授は︑
経営を有機体として考察すると︑
営むものは︑筋肉組織であり︑生産および販売の活動はこれに属するものである︒経営組織を確立するものは骨格
であり︑経営の職能はこれに属するものである︒これらの諸機関に血液を注ぎ込み︑活動の原動力を与えるものは
循環系統であり︑経理活動がこれにあたるものである︒さらにこれら全体を統制する役割りを果すものが神経系統
であり︑これが経営管理活動であり︑その作業が事務と一般に称せられるものである︒神経組織は︑他のあらゆる つぎのようにいうことができるであろうといわれる︒ 米国の天才的数学者ノバート・ウィーナー
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博士
が︑
システム研究について
一九
四七
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中
﹁まづ経営の主要な活動を
サイバネティックス
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辻
卯
400
バック・コントロール 間接統制として予算統制などの経理統制を遂行する︒直接統制であると間接統制であるとを問わず︑経営管理活動
岡︱つの有機体である経営を統制してゆくのである︒﹂と︒このように経営体を生物組織に比較
してみる時︑従来神経系統に属する事務組織の研究が軽視されていたといえる︒このことをサイバネティックス的
に表
現す
ると
︑
コントロールとコミュニケーションの研究が不充分であったということになる︒従来もコントロー
ルについては︑経営管理活動が︑計画︑統制及び批判の三要素が円環的な過程︑すなわち循環過程を示して相互に
関連するものであり︑その行動はまさにフィードバック・コントロールであると考えられて来たが︑実際の場合そ
のフィードバッグの程度が理論通り行われている場合が少なかったと考えられる︒
﹁われわれが︑与えられた︱つの型通りに或るものに︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑運動を行わせようとするとき︑その運動の原型と︑実際に行われた運動との差を︑また新たな入力として使い︑こ
④ のような制御によってその運動を原型にさらに近づけるということである︵傍点引用者︶︒﹂フィードバックというこ︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑とは︑予定の行動によって制御するというのではなく︑実際の動きの変化に甚いて制御することである︒経営管理
活動の今まで考えられてきた計画ーー統制ーー班笛りの循環過程においても︑批判は単純に計画へと接続するのでは
なく︑そこに生じた差異にもとづいて計画自体の適否を批判し︑その適正化に大いに役立てるべきであると論じら
れてきたのであるが︑その計画の修正が次の活動の場合にはじめてやっと採用されるのが最良の場合︵図山︶
り︑直ちに現在の活動の統制に反影されるべく︑すなわち現在の実際の行動にもとづいて統制するというフィード ウィーナーは︑
︵図②︶までは行われていなかったといえるのである︒この点︑経営組織体におけるフィー フィードバックを次の如く説明している︒ は事務を手段として︑ 機関の中に分布し︑筋肉組織に対しては直接統制として販売管理あるいは生産管理を遂行し︑循環組織に対しては
シス
テム
研究
につ
いて
︵中
辻︶
ニ四
であ
きた
︒
システム研究について
sy
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(1)
︵中
辻︶
二五
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ma
ti
on
ドバック・コントロールは︑生物体と比較して︑
まだ低度のものしかほとんど実現
幸にも最近特に科学の発逹は︑情報処理のための電子計算装置(Electronic
Da
ta
Pr
oc
es
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ng
System)の発展︑伝達技術としての各種通信方法の発達をみるに至り︑
利用できる技術は充分豊富となって来たが︑高度の経営管理に充分に利用し︑役立 たせうるようにするには︑外部環境の変化に対応した適切なインホメーションを供 給し︑要請されたサービスを提供し︑企業の主要な機能の履行を支援する組織︑
(s
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)︑
体系
分析
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し
かもそれらを妥当な期間と妥当な努力︑そして妥当な費用の支出で完遂するための新しい情報組織
固
を持たなければならない︒しかしそれには従来の組織論的思考だけでは充分ではなく︑システム工学
という新しいアプローチが有近注目されるようになって
従来のorganizationという言葉で示されるものと異り︑systemという言葉が使用される場合どのような相違
このようにフィードバック・コントロールの実現を阻止していた要因は何か
Uそ
︑
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︑
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︑
︑
︑
︑
︑ れは計画と実際の活動との差異を判定し︑かつそれをただちに統制機能に連絡する
︑
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︑
︑
︑
︑
︑
︑ 方法が欠除していたからである︒すなわち︑神経系統である有効な情報処理機関と
情報伝達組織が未発達の状態におかれていたからである︒ ︑ ︑ されていなかったと考えられる︒
402
︵共に日本訳では組織とも訳せるが︑後者は体糸とか︑或はシステムと訳される場合が多い︒︶
スクフォード・ビアー
システムという場合︑それは連結
(c
on
ne
ct
iv
en
es
s)
に対する名称として使用される︒すなわち一緒に連絡され
た諸部分から構成されているものはシステムと呼びうるだろう︒しかしそれは各部分間の連絡︑全組織の動的な相
互作用が研究の対象となる時にのみシステムとして理解されるのである︒統一的集団の速動的構造の意味をもち︑
︱つのメカーーズム的なとらえ方である︒
むと
共に
︑
︵例
えば
︑
玉突きゲームはシステムであるが︑玉突きの玉︱つではシステ
しかもわれわれが定義するために選んだシステムは︑互に関係のある多数のシステムの部分をふく
また一連の大きなシステムの部分システムでもある︒全体は部分と︑
成体系としての論理構成をなす全体と部分である︒ また部分はそれぞれ相互に目的達
これだけでもシステムの研究が決して容易でないことがわかるが︑なおそれを理解するためにわれわれが取扱お
うと思うシステムを孤立させ記述することに成功したと仮定しょう︒
いま一枚の紙の上に書かれた一連の点でこのシステムを作る﹁少片.︵
b i t s
an
d p
i e c e
s ) ﹂をあらわす︒システム
の連結は点と点とを結ぶ線を引くことによってこの図にあらわすことができる︒ある点はあらゆる他の点とよく連
結されるが︑ある場合には︱つの点はその仲間の一っとのみ連結されるということもあるだろう︒
このように書きあらわしてみると︑われわれはシステムを一種の網目として見なすようになる︒われわれが関心
をもつこのネットワークの特質は線によってあらわされた︒ハクーンである︒そしてこのパクーンは︑この特定のシ
ステムが活動を行うにつれて︑ ム
では
ない
︒︶
があるのか︒
システムそれ自体に於て相互に作用するごとに︑瞬間瞬間に多分変化するだろう︒
( S t a
f f o r
d B
ee
r)
システム研究について︵中辻︶
は以下のように述べている︒
二六
シス
テム
研究
につ
いて
︵中
辻︶
たびそれがシステムであるということが明らかにされたならば︑
各要素間の
n ( n
ー1)個の関係も調査されねばならない︒その関係数は
2n S̲ 1)
ということになる︒
この数がシステムの精密なそして徹底的な調査がいかに困難であり︑
二七
第
システムがあらわすコントロールの性格と程度は︑このネットワークの︒ハクーンの動きによってあらわされる︒
いま
n個の要素から構成されているある︱つのシステムがあるとしょう︒若しこれがシステムであるという以前
かわ
り︑
nという数字に
より具体的に7個の要素のみをもったシステムを考えてあてはめてみよう︒このシステム自身の内に
4 2 の
関係をもつ︒これらの関係の夫々が存在するか︑或は存在しない時︑ネットワークであらはされるパクーンとして
このシステムの状態を定義するならば︑その場合242個のシステムの異った状態が存在するだろうと考えられる︒
また異常であるかを示す根本的な理由であ
る︒換言すれば︑動態的な状態において活動を行いつつあるシステムが︑ある期間に︱つの状態から他の状態に非
常に急速に移るとすると︑この動作を説明するのに明らかに莫大な調査を必要とするだろうと言える︒しかしながm らある与えられたシステムでコントロールの問題を理解しようとするにはこの方法による以外にはないのである︒
システムには簡単なものから複雑なものまで非常に多様な種々のクイプのものが存在する︒ビアーは︑二つの異
った基準︑すなわち︱つはシステムの複雑さの程度に関して︑最も複雑さの少いものsimple
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簡単
なものではないが︑しかしなおかなり精巧なそして充分に相互連結の示しうるものcomplex
bu
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これは異様に大きな数である︒すなわち4兆以上である︒ n個の要素それ自身だけが調査されるだけでなく︑ でも︑この組はどんなものであるかを見出すためにほ︑n回の調査を予定する必要があるだろう︒しかしながら
404
研究が行わなければならない︒すなわち︑ 三に︑なお設計されるだろうが正確にそして詳細に記述することができない程複雑なものに︑もう︱つは︑完全に予言しうる方法で各部分が相互に作用するような決定的要素をもったシステムと︑正確で
⑪ 詳細な予言を与えることのできない確率的要素をふくんだシステムとに分類した例を表の如く示しているJ企業の
システムはその中でも一番複雑なクイプに属するものであり︑この複雑なシステムを対象とする研究は非常に困難
ところでシステムのネットワークを示す線は︑実際はそのコミュニケーションであり︑ある与えられた瞬間に於
ける線の状態はシステムにおけるインホメーションの量を反映するから︑企業システムの理解のために︑特に管理
活動の裏づけとなるインホメーション・システム︑インホメーションの処理︑伝達システムである事務システムの
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 構 造 と シ ス テ ム の 各 要 素 に 向 っ て
それらを通って
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な問題をかかえている︒ システム研究について
︵中
辻︶
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om
pl
ex
ニ八
システムの調査︑分析︑設計の作業には︑例えば監査人が利用するために確立された如き︑
例或は標準として固定されたものはまだ存在しない︒その理由は︑
(8) (7) (6) (5) (4) (3)
システム研究について︵中辻︶ 注山
② ン・システムの分析︑調査を行わねばならない︒ 流れるインホメーションの性格を明確にし︑
二九
コントロールメカニズムの問題を把握するには︑まづインホメーショ
Z . W ie ne r, Cy b e rn e t ic s 1 9 , 4 8 .
池原他共訳﹁サイバネティックス﹂︵岩波書店昭
3 6 ) S . B ee r , C yb er ne ti cs n a d M an ag em en t, 9 5 1 9 .
岸本英八郎著﹁現代経営管理論﹂︵中央経済社昭
3 6 ) 後尾哲也著.﹁管理者のためのO.R入門﹂︵近代セルース社昭
3 6 )
涌田宏昭稿﹁経営組織と事務組織﹂︵コウナソケイエイケンキュウ一巻四号︶
岸 本 英 八 郎 著 前 掲 書 八 九 ー 九
0頁
ウ イ ー ナ ー 著 訳 書 八 頁
拙稿﹁経営事務論に関する一考察山﹂︵商学論集六巻一号︶
H•H•Goode
&
R . E . M ac ho l, Sy st em En g i ne e r in g 1 9 , 5 7 .
森口繁一他訳﹁システム工学﹂︵日本科学技術連盟昭
3 5 ) S . L . Optn
er , S ys te m A na ly si s f o r B us in es s Ma na ge me nt , 1 9 60
.植木繁訳・﹁経営のためのシステム分析入門﹂︵日
本 能 率 協 会 昭 3 6 )
C•D•Flagle,
W.H•Huggins
&
R•H.
Ro y, 0p er at io ns e R se ar ch an d S ys te ms En g i ne e r in g 1 9 , 6 0 .
﹁O Rとシステムズ・ニソジシアリソグ﹂︵日本能率協会昭
3 6 ) S . B ee r
̀ ib i d . pp .9
1 1 .
S . B ee r i b , i d . pp .1 21 8.
国沢清典他訳
一般に認められた慣
システム調査︑分析︑設計という仕事が比較
406
システム研究について
山的最近に出現したものであり︑そして多分システムに関する考えは︑経営機械の今後の新しい革新︑進歩によって
なお更に変動する状態にあり︑
それ
故︑
一般化︑標準化されるまでにはまだ時日を要するからである︒
さしあたり現在利用できると考えられる若干の一般的な問題について︑二三の文献に依りながら取上げ
てみようと考える︒
新しいシステムを設計する場合にしても︑或は従来のシステムを検討し改良する場合にしても︑
する
こと
︑
つまり目標を明確にしておくことが重要である︒それ故︑
たって考慮すべき一般的な共通的な重要問題を最初に考えてみよう︒そしてその次にその望ましい結果を達成する
こととするJ 一般法則を検討し︑更にその採用或は改訂のために普通とられる段階的方法について考察する
ー
よいインホメーション・システムとは適切なインホメーションを能率的に提供できるシステムであり︑それには
まづどのようなインホメーションをいつどこで必要とするかということを知らなければならない︒
E.
A.
ジョ
ンソ
ンは
︑
システム・デザイナーがインホメーション図築する場合に類推して次のように考察している︒ まづ問題を確認
インホメーション・システムを設計するにあ
建築家が四階建の建物を設計する時に︑彼は一階からはじめるだろうか︑或は最上層の四階からはじめるだろう
か︒多分普通の印象からすればへ建物の基礎︵土台︶からはじめて上の階に進んで行くと考えられるかもしれない︒
しかし建築家はこの方法では進めない︒彼はまづ最初一番上の階の設計を行い︑その階の設計を完成した後に︑そ 望ましいリポート 方法と手段の原則︑
︵中
辻︶
システムを設計する場合を︑建築家が建物を建
1 0
システム研究について︵中辻︶
なら
ない
︒
の下の階からその上の階をささえるに必要な支柱の数と場所を計算する︒このようにして最上層の階から順々にそ
れをささえる下の階へ移って最後に基礎構造の土台に達するのであり︑建物は普通士台の便利なように建築されな
経営者が企業を運営する指針とする︑
当するものと考えられる︒それ故︑ また債権者︑出資者︑政府その他の外部関係者に情報を提供する財務︑営
業︑統計の各報告書が︑丁度建物の最上階に相当し︑原始書類︑仕訳帳︑元帳がすべてそれをささえる下部構造に該
システム設計を研究する専門家は︑まづ貸借対照表︑損益計算書をはじめ経営
油゜
者に必要な種々の報告書から検討をはじめなければならなしその場合︑現状に対する適合性のみからだけでなく︑
今から五年或は十年成長する企業の変化する状態︑環境に対応した必要性を出来るだけ正しく見積り︑計算に入れ
て︑報告書の妥当性︑過去には見落された︑或は必要性を考慮されなかった他の望ましい点も研究せねばならない︒
例えば︑成長を強調する企業では︑他の問題よりも新しい生産ラインを導入し︑不能率なラインを除去し︑生産管
理を改善し︑現在の︑或は潜在的な顧客に対する新しい阪売経路を開拓するためのインホメーション・システムに
伺対する関心が強められるかもしれないCシステム設計の専門家は種々の点を考慮し︑経営者とも協議し︑さらに彼
自身の専門的経験を引き出して︑経営活動に必要な報告書や計算書や統計的記録の目的︑性格︑数等を決定せねば
ところでさきに建物から類推したときに一番上の階が唯一の最も重要な階であるということを示そうとしたので
はなく︑建物を設計するにあたって一番最初に考慮すべきであると言ったのである︒事実建築家は全体の建物を心
の内にえがくことができなければならない︒彼は建物の残余の部分を設計する場合に基礎や土台を考慮に入れなけ い︒土台は建物をささえるために建設されるのである︒
408
② 正 確 性
ればならないし︑その設計に必要な確かな土台の必要を常に記憶せねばならない︒同様にシステム・デザイナーは︑
すべての必要な最終の報告書を作成するために要するインホメーションを獲得するための実用性についても考慮す
囮
ることを忘れてはならない︒すなわち費用︑速度︑正確性等の実際的な考慮に対する注意である︒かかる必要条件 の維持を確保することは︑進行中のインホメーション・︒フロセスをコントロールする方式としても重要である︒
また建築家は建物の下の階は上の階をささえるだけに建築されるのではなく︑それらの階にも居住するのである
システム・デザイナーは経営者に対する財務︑営業︑統計報告書がシス テムで考慮される唯一の特色ではないということを忘れてはならない︒売上送り状には一年間の純益を計算するた めに使われるほかに︑販売商品の発送量を顧客に通知する手段としても利用されるのである︒購入指図書は原材料 或は用役の供給を要求するのに使用され︑債務として記入する取引の記録としても使用される︒その上それは企業 内を流れるインホメーションや経営者に対する計算書や報告書に集約される永久的な記録の流れの一部ともなるの である︒建物の階下の部分にも居住するように︑企業の添えものの副次的な記録も年度末の報告書の準備のため以
m 外に一定の自己的をももつものである︒
要するにシステム設計にあたって最初に検討されるべきものは︑建物の最上階に比較される営業に必要な報告書 は何であるかということである︒しかし建物の下の階がその上の階に必要なささえを与えた後になお十分住むスペ ースを持つかどうかについての考慮や︑また下の階で考慮される支柱のすべてが上の階をささえるに事実十分必要
なものであるかどうかの考慮も重要な問題として忘れられてはならない︒ ということを忘れてはならないと同様に︑
システム研究について︵中辻︶
シス
テム
研究
につ
いて
④ 経 済 性
︵中
辻︶
処理し計算する装置の導入の問題が関連してくる︒ システム・デザイナーは誤りの生ずる恐れのある個所︑領域を常に注意深くみつめてその発生を防止する方法を
考えねばならない︒判読しにくい文字︑誤った計算︑数量や記号の誤った複写等の誤りのほとんどが例外なく︑不澳注意か︑時には不正の意図をもって︑人間によっておかされることに注目する必要がある
フィードバック・コントロールの成否の鍵はこの敏速性にあるといっても過言ではないだろう︒敏速なインホメ
ーションによる機敏な矯正は無駄と不能率の充満を防止する︒前項の正確性の向上と共に︑技術的には︑高速度で
新しいシステムを採用するかどうかを決定する前に︑経営者或はシステム担当者は︑古いシステムと新しいシス
テムとの費用の比較分析は必ず行わねばならない︒この場合︑費用の要素としては︑二つの点︑すなわち山直接の
期待ーー'費用節約、②間接の期待1新しいッステムがより有用に働いて利益を増加させるー~から見なければな
らないと共に︑費用以外の他の要素として企業規模︑財政状態を考慮しなければならない︒新しい支出が企業の運
転資本状態に及ぽす影響を考え︑システムの採用を是認しうるものかどうかを検討する必要がある︒特に金額のは
る大規模の装置を全ンステムに置きかえるような場合には非常に複雑なものとなる︒例えば全国にその支店が存在
し︑在庫品の管理システムをもつ企業が二百万ドルの電子計算機を購入し︑各支店がその資料を処理するために中
央の計算処理部へ送る電信線を借りるような決定を行う場合である︒このような場合︑新しいシステムが現実に活
動をはじめるまで企業活動の主要な再組織をふくむので数ヶ月を要し︑新旧両システム両方に費用がかかることを︑
③ 敏 速 性
410
慮せねばならぬ︱つの原則とも考えられる問題がある︒ ともあるので注意しなければならない︒ また単に新しい方法で今までと同じことを行う費用が幾許であるかを計算するのではなく︑新しい方法で新しいこ
d5
とを行うには幾許の費用がかかるかを計算に入れなければならない︒
適当な均衡の確保
各企業のシステムの費用︵限度ある制御的要素︶の他の望ましい推進的諸要素に対する均衡点︑或は最適率が存在す るものであるから︑満足すべき費用に対する望ましい状態の適当な結合を見出す必要がある︒また費用すなわち経 済性と他の要素との均衡を保持する必要だけでなく︑敏速性と正確性との均衡︑
衡も必要である︒例えば︑早く処理する方法は正確性と対立することもあるし︑
また︱つの要素内の他の面との均
システムのある部分の手続の速度
をあげる結果︑そのスピードアップした部分のインプット︒アウト︒フットが他の部分の陰路となる如く作用するこ 全体のシステムの研究は︑装置︑手続︑その他望ましい結果をもたらす手段に照らしてすべてのこれらの問題の
n
最適の結合が得られるように決定しなければならない︒
以上
︑ システム・デザイナーが手続を作成し︑採用すべき装置を検討し︑
をえがくとき︑ システム内のインホメーションの流れ
まづ心にいだかねばならぬ一般的な重要な問題を列挙してみた°以下の項では︑望ましい結果を達 成するための方法と手段を検討することが主題となるが︑更にその前に諸目標の均衡ある達成のために必然的に考
それは﹁綜合的システム
In
te
gr
at
ed
Sy
st
em ﹂というこ
d "
〜 h"5
とをシステムの専門家は考慮しなければならないということである︒
システムの専門家は︑
しばしば給料支払手続や在庫管理方法の如きかなりの手数の存在する特定の局面の問題の
(5)
シス
テム
研究
につ
いて
︵中
辻︶
四
注山
③
システム研究について
︵中
辻︶
する必要が生ずることになるものである︒
五
フィード・バックの質を向 みについて︑或は二つの同類部門間の通信ラインの溢路について︑或はある種の機械的装置を採用する可能性を検討する問題について等システム内の一つの困難な領域に限定される任務を委任されることがある︒このような一っの問題領域の部分的調整も異常な状態に於てはたしかに役立つ正しい一処理であるが︑しかし前述した如く︑
シス
テムは孤立した要素ではなく︑相互作用する諸要素の統一的集合であるという特性から考えて︑全体的な立場から
︱つの完全な調和のとれた全体としてシステム設計を考えるということが常に考慮される必要があると思う︒事実︑
単独の溢路の調査を委託された場合でも︑必ずそれには関連ある手続がある範囲までふくまれるものであり︑最初
の仕事における作業が進むにつれて関連部分の調査分析も必要となり︑少くともある範囲はそれらを綜合的に検討
企業全体の立場から検討して︑重複を排除し︑正確性を期し︑
上させるシステムを設計するということが︑ かつ迅速性を達成し︑
システム専門家に与えられる最大の使命であると考えねばならない︒
合理的な綜合的インホメーション・システムを作り出すためには︑組織のあらゆる水準の必要とする情報を検討す
ることが絶対必要であり︑それを達成する︱つの技術的手段として最近注目をあびているのがIDP
方式
であ
る︒
⑫ IDP方式についてはここでは詳細に取り上げないが︑今後のインホメーション・システムの設計にあたって︑
挙にその方式を採用する方法をとるか︑或は段階的にその方向に進むかの差異はあるにせよ︑
としての重要な影響を与えるものとなることは疑う余地がないようである︒
今村茂雄稿「システニムズ・ニンジニアリングの動向」(I•E第四巻第九号)八ニ―I八二四頁
E .A . J o h n so n , A cc ou nt in g S ys te ms n i Mo de rn Bu s i ne s s ,
19
59
.
︱つの決定的な指針
412
o.s•Nelson
an d R . S . W oo ds , A cc ou nt in g S ys te ms n a d D at a P r oc e s si n g , 1器 1 . M•K.
Ev an s a nd
L.R•Hague,
Ma st er Pl an fo r In fo rm at io n Sys te ms . ( H . B . R . J a n .
‑ F e b . 1 9 6 2 ) p p . 92 1 03 .
③囚
E .A . J oh n s on , b i i d . p p . 9 49 6.
固M•K.
Ev an s a nd L. R . Ha gu e, b i i d . p p . 9 39 4.
⑥m
E. A. Jo h n so n i b , i d .
⑧
E .A . Jo h n so n i b , i d . p p . 9 69 8.
⑲
E .A . Jo . h n s o n , i b i d . pp .1 01
︑l ̀
1 0 4 .
皿
KA .J o h ns o n , i b i d . pp. 10 41 05 .
皿
E .A . J oh n s on , b i i d . pp .1 06 1 09 . なお︑ジaンソソはシステム確立のための方法と手段を決定するにあたってとられるべき諸原則ないし一般的基準とし
て﹁システムの綜合化
( i n t e g r a t i n g t he sys te m)
﹂の他に﹁ワンライテソグの原則
( t h e w r i t e , i t
‑ o n c e p r i n c i p l e )
﹂
﹁機械式作業利用の原則
( t h e p r i n c i p l o f e ma ch in e o p e r a t i o n s )
﹂﹁システムにおける内部統制の重要性
( s p e c i a l i n t e r n a l c o n t r o l f e a t u r e s i n t h e s ys te m)
﹂を4
之け
てい
る︒
拙稿﹁オフィスマネジメントの新しい傾向﹂︵商学論集第六巻第二号︶参照
システム研究の仕事は大きくは三つの主要な面に分けられる︒
su rv ey
)︑新しい計画︑設計の作成︑勧告︵
pl an ni ng ph as e)
︑
ph as e)
という三つの段階である︒
山
山現行システムの調査︑分析
システム研究には︑新しい企業の情報の流れや経営報告書作成のための予期される作業や必要事項を決定する研
u2)
ッステム研究について
︵中
辻︶
勧告された新しいシステムの導入
( in s t al l a ti o n
すなわち現存するシステムの調査
,
.
,
,ヽ (s
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シス
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研究
につ
いて
︵中
辻︶
一 七
究もあるが︑多くの場合は現存するシステムの刷新に関するものであり︑またその場合の方が新設企業のシステム
の導入研究の場合よりも困難であるので︑現存するシステムの調査に関するものを中心として論議を進めよう︒
システム研究ほ︑まづゆるされる範囲で現行システムの調査を徹底的に行い︑その状態に通暁し︑すべての手続
はじめに原始記録から最終報告書に至るまでの各種のデークの流に沿って︑何が︑どのように︑いつ︑どこで行
われるかについて︑量的にも質的にも調査される︒例えば︑各職能を遂行するために各従業員の取扱う日々の︑週
間の︑月間の仕事の量︑書類の数が調査され︑他の人との仕事の関係も検査される︒
一覧表にして月々の費用がたしかめられる︒それらの稼動率も調査される︒使用
される各種帳票や報告書も調査され︑それぞれの数量︑形式︑記録される内容︑作成方法︑複写枚数︑送附部門等
の問題点が検討される︒オフィス・レイアウトの調査も必要事項の一っとして行われる︒これらの調査結果は︑組
織内を流れるインホメーションの流れとして︑手順書及びフローチャートとして書き上げられる︒それには各段階
の記録の頻度︑数量︑作成︑転送の時間︑費用︑各部門や課間の距離等が書き加えられる︒また企業全体の必要な
インホメーションのアウトプットに対し︑インプットを最小にし︑重複を少くして処理出来るようにするために︑
源泉別︑用途別︑使用者別等に整理されたインホメーションのインプット・アウトプットの関連分析表や︑各種帳
票の相互関係︑重複の有無を調査するための帳票の複写数や各コピーの配分先を示す帳票配付表を作成することも
行われる︒これらのシステム調査表は︑監査人のそれの如く順序正しく完全なものとして作成されるべきである︒
これは各種のデークの作成が経営の目的を満すために充分な準備と妥当な望ましい速度をたもって遂行されている 装置︑機械︑その他の設備は︑ を把握し︑諸条件を理解するように努力しなければならない︒
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(2) なおこの調査を実施する場合に注意せねばならぬ重要な事項がある︒それは調査の段階に於て調査する企業の従
業員の信頼と協力を如何に得るかということである︒従業員は現存行われている方法になれており︑自分等の気に
入ったと考えているシステムがかき乱されるのではないかという変化に対する不安︑懸念︑誤解︑或は提案される
新しい変ったものに対する不信︑反抗が起るものであるが︑新しいシステムを動かすのほ彼等であり︑その成功の
度合を大きく決定するのも彼等であるということを考え︑ッステム分析者ほ︑数多くそして熱心に彼等と相談する
ことによって︑彼等の意見を良心的に懇請し︑そしてそれらを考慮し取り入れることによって敬意と信用を得るこ
とができるのである︒態度にごくわずかでも権力的なことがあってはならない︒
図計画段階
調査と精密分析によって︑経営の必要とするインホメーツョソや現行のシステムの状態を認識し︑更に問題領域
が確定されれば︑その素地をもととして︑システム作業の次の段階︑すなわち修正された︑或は全く新しい改良計
画を作成し︑それを勧告する段階にはいって行く︒これは創造的な過程であり︑信頼できる経験の外に︑機略に富
んだ︑創作力のある発明のオが必要とされ︑それだけ調査の段階よりも困難である︒
この段階の初めには経営者との若干の重要な﹁実のある﹂会議を行う必要がある︒特に専門家の判定が従来の手
続や帳票に主要な大変動を必要とすると指摘される場合︑或ほ若し主要な装置の採用が期待されるような場合には︑
トップ・マネジメントと相談すべきである︒
さてシステム計画者は如何に着手して行くか︒まず計画者は︑前述したシステムの目的や諸条件を心にとめて︑ かどうかを示す材料となる︒ システム研究について
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しかしこの問題に関してかなりはっきりと言えることがある︒すなわち若し新しいシステムを結局採用するので
らわす新しい方法の利点もある︒ 及び個々のサブ・システムが相互に統一性をもって有効に働くか否かを検討するとか︑施し︑企業の関係者︑要
であ
る︒
一段前の段階に戻し︑再検討を加えることは可能であり︑
九
時間と費用予算のゆるす限り出来るだけ多くの方法を探究し︑その中からよりよきものを選択し︑最終的な勧告と してより優れたものを作るように結合さして行く︒そして最終的な勧告に値するものに達したならば︑更に提案さ れたシステムのあらゆる面を徹底的に研究するために︑部分的により詳細な調査を行うとか︑また全体のシステム
またある程度のテストを実
システムの変動により影響をうける各部門の責任者の批判︑意見を聴取する必要がある︒勿
またそうすることが必
探究的計画段階においてシステム計画者が常に出合う︱つの問題がある︒すなわち旧いッステムを修繕するよう に試みるか︑或は新しいッステムを初めから設計して行くかという問題である︒この問題ほ︑それまで手作業で遂 行していた活動を引継ぐために機械を採用しようと試みるか︑或は軍動式の機械によって取扱われていた手続を行 うために電子計算機を尊入しようと試みるかというような事態の場合に意味をもつ︒
この問題に対する敏速な解答はない︒可能性ある代替的な方法の各々の場合の優劣を種々の角度から比較して決 定する必要がある︒例えば旧い手続と各代替する新しい手続による費用の増減が︑利益の増減と比較して計算され ねばならない︒従業員は旧い手続になれておるという一定の有利さがあり︑新しい方法への転換に要する時間︑費
用︑種々の手数等の問題がある︒しかし旧い部門のラインを切断し︑新しい装置の速度と正確性の充な有利さをあ 論なお弱点が発見されたならば︑
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る ︒ ︶ は二つの前後の部分ーー準備と導入ーにわかれる︒ というのが最善の賢明な方法ではないだろか︒
矧導入段階
(3)
して
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あれば︑部分的な修理を行うよりもはっきりと変える方がよいということである︒このことはシステム計画におけ
る︱つの方向を明瞭に示すものであると考えてよいだろう︒高速度のコミュニケーションと質の高いフィードバッ
クを目指すシステムの達成には︑新しい技術的方法とシステムの根本的な改革を必要とすると考えられることから
システムの広範囲の改訂︑全体的な新しいシステム設計に最初から踏切る必要性の認められる場合が多い︒
勿論︑費用︑財政面の問題等他の条件が加算され︑最初から全面的改訂に着手することは︑ほとんどの企業に於て
問題は残されると思うが︑その場合︑部分的改正として出発するとしても︑あくまで長期計画としては︑全体的改
訂︑しかも﹁綜合システム﹂という勧点にたった︑大きな枠があらかじめはめられた上での部分的着手として行う
勧告されたシステムが企業の責任ある幹部によって採用することに決定されると導入段階がはじまる︒この段階
システムが実際に採用される前に行わねばならない基本的な準備は︑新しいシステムを動かす人々の教育である︒
若し例えば大型の電子計算機が導入されるのであれば︑プログラマーやオペレクーを訓練する必要がある︒︵それ以
外にも︑必要とするすべてのプログラムを準備し︑会社自身の機械が到着する前に他の機械を借りてテストすると
か︑関連する附属装置︑設備やニア・コンディションの準備︑レィアウトの検討等種々の準備が必要であり︑
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の導入の場合はそれだけに関係のある問題だけでも重要な研究対象となるが︑これについては他の機会にゆづS
また新しいッステムによって影響をうけるすべての従業員に今度の変化について説明を行わねばならないし︑
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