植物性染料によつて染色された糸の強伸度について
(第一報〉強度について
山崎光子
県立新潟女子短期大学衣服研究室
Studies on the Tensile Strength of the Yarns dyed
with the Vegetable Colors. (Part 1)
Mitsuko Yamazaki
The Clothing Institute, Niigata Women s Co11ege
合成染料の拾頭によってほとんど影をひそめていた天然染料(主として植物性染料)も,近年
の,機械化した,うるおいのない時代への反動としてか,世界の各地で順次脚光をあび,美しい工 芸品となって,店頭のあちこちにその製品を見せはじめている。実際において,天然染料の落着いた色相の美しさは高く評価されているが,正倉院御物,ニジプ トのコプト織など,極めて古い時代の染色品が,今尚,新鮮な美し一さで人々の心を惹くのは,その 染色堅牢度のいかに大きいものが在るかを示レているもap.である。即ち天然染料は,色の美.Lさの 点で合成染料を遠くひきはなしていると共に,堅牢度につい, Cも,それに劣らないもののあること を明らかに物語っていることになろう。
この意味で,その染色堅牢度,ならびに染められた布地の堅牢度を調べることは,これからの工 芸的染色のために必要なことに思い,それ等の実験を企ててみた。まず本実験においては,その一 部として,植物性染料による染色で,木綿糸,絹糸の強度が如何なる影響を受けるか,について実 験を行ワた。
実 験
方 法 1.実験時期及び場所
昭和38年9月中旬〜11月下旬
室掘16°C〜21°C
ミ昆 度 62タ6〜88%
新潟女子短期大学染色実験室
2.実験材料
a.試 験 糸
染色工芸用として一般に使われている裂の材料は
選んだ。
木綿糸 40s/3
絹 糸 21d/3
,木綿か絹が主であるので,次の二つのものを
一36
b.染 料
前同様,染色工芸用として一般に使われている次のものを選んだ。
榛………樹皮 榛…・・…………実 揚梅…・……・樹皮 浜蕪薇…………根 亜仙・・………・Extract Log wood……木材
椎・・…一…一樹、皮 蘇芳…一…一… む・材
棚留…………実の皮 黄藥………樹皮
櫟・……・一…実 黄蓮…一一一根
媒染剤も同じく,染色工芸別として一般に使われている次のものを選んだ。
生 石 灰 硫酸第一鉄 重クP一ム酸カリ
剛碁(硫酸アルミニウムカリウム)
3.染 色 方 法
使用する糸の量は,木綿の場合は.2g,絹の場合はlgとした。
まず,被染物の目方と同量の染料を,被染物の5G胤の水に入紅,撫熱し灘簸1購憾
li・gをっづけて施染液をaeca・lt・伽に酌と咄す・
その中に,あらかじめ湯洗いした被染物を入れ,更に再び沸騰,後憩嚢be…重する。そ{霧鑑i駿蟄 物を染液から3回引きあげてしぼる。
媒染を必要としない場合,例へば黄藥,黄蓮はこれで染色を終駕ホ洗難無雪る毒森執二毒
スを使用する場合は被染物の暮方のlf尋を用いた。また更に,媒染を必要とする電のは次のようにするe被染麹の嚢毒Φ1霧髭}婁蟄叢奪蒙象糞毒灘
倍量ゐ水に入れ加熱し溶解して,60℃〜8びCで沁鈴潤越理す観こ謝懸こさ麺,藪塾ち裂き毒
げてしぼる。媒染後,水洗し,乾燥する。4. 強度試験方法
上記の方法によって染色した糸を,Tep−$ile艶st塩彗Machine輪漆襲聾鶏襲壁S蓑難禮羅
て,試験長10eE1の状態で測定する。蓋遵の糸について沁翻づ・う潔簸して零そ穆寧舞麩妻と論 備 考今回は,染色による謬響の比絞試験が蟹 的である磯で,強疫毒総蓑慧彗〜圭}で箋無さず匙婁繋 り荷重のまxを示すことにした。室実験に翔い丸糸憩デ邑−哩レ数籔,換算すると獣毒よ穣こ藪観 木 綿 糸 39SD 1 覇 糸 ・3琶}
な詣,実験結果の蓑中の略語は款ξ)慧味を嚢す。
木綿糸イ・一・染亀縫斗e− 5日で引i遙試験を行』摯尭*隷乗
絹 糸イ……同上の維糸 , \ 木綿糸v…・・藻色媛3週藺を経てオも尋1尋長試験を費・う糞舅磁茎景
絹 糸ローf・1司上の絹糸
元 糸・…一全く処理しない髭の貞糸
、白染鰹糸i−i襲齢同粂{較・認靱義は雫て縷里L額妻牽
Ca,i,…・一・…籏灰重某築 ;
F酔i・……・・…鎮蝶桑(磁酸第一鉄)
題………・…・・朗馨嬢築(蕪酸テ歩ミ島歩ム糞蓼喜ム)
奪r… ・・一一・fi耳一ム蝶桑(重タ戸i1M ・ム酸糞妻)
≠薯an
T………楓 度 RH…………湿 度
実験結果と考察 Lr,t
1. 予 備 実 疹灸 ・・ 一一
a.本実験に使用するために用意した綿,絹糸を用い,本試験機でblank testを行つた結果は次 の通りである。但し,各ユO回の平均値の最大,・最小およびその平均値をあげた。
No. 1
No, 2
N⑪, 3
尋︑葦
綿
列ミ1
堰商1司最低仙}平ゴ句値1。E1翌
721 721
807
:ig
614 1
687 687 688
14 88 14 88 14 88
鵠や肋拡 ︑︑イ垣
最高値1最低値
239
251240
205 220 219
}平卵
226 233 233
で%
1要
14 88 14 88 14 88
4の結果からみる時,糸に妙の不∫匂雌のあることは明がのよう燃そρ平均働ほ呈一定 なので,このよう蝋験によって,染色による瀦酬定するζaま可能であると叛ら婦・..
b.一般に糸は染色の如何にかかオっらず,単P L水中で加熱するだけでゴある程度の強康を増すこ とがある。このことを考慮して,その水による煮沸の影響を念のために予め試験した。結果は次の
通りである。
元
糸
最耐卵鮨値国均値
唱
イ
ド︑フ
︷η 糸調
イ
︑︑航町口
糸
木木絹絹
694
665 238 239
562 606 209
1211631
690 224 226
・E1.要
23 65 21 63 20 75 14 77
一白 染 色 ︷η蒐
肺紳購副平均イ直1・8 i要
751 751
219 225
604 619 237 237
665 6B2
251 25123 65 21 63 20 75 14 77
2. 本 実 験
試験結果は次の通りである。
染料\造劉最高値
\1 木
元
糸
榛 皮
揚 権
亜
aeCF割
:L
仙図
︐噌︷¶月 鳶イ司
1最低イ直1平均f直
17511
一〇∩70ノ!07イhノ 60n68
7﹂7
604 665
椎
析 榴
4+5
門d︹7げD5 ピ00∪!D4
6/b18 I I
ドDうム
2/Q
/Q/9 照%イ
TCト?3・・68−i
654 20 62 699 20 62
−Q/
3ーフ7.1器
罫邑1%1 lll;・ll9
aeCF ︵∪07︵フ4.けノワ6 Ol肖口五﹂ドQド0 ツOQりロリツィノQ
1811
量1−18
塁128
lll8
木
綿
糸最.剖直1最低値1平均値1・8
剛
3FD71
僧ノ8 qり2 4ーユ
88 ハ0ドD40﹂
0りΩり−∩Q
ハソ3ワ﹂ロ∪ゴilll
6191
iR穿
・82 P2163
650 701 6go 754
i
P,ll
O11﹂ノQワ﹂ノ0 匡3
7二U 5/0
151﹂
5611−1 77
ワワィOh︶
Q/4ワワ揚、
lll
21 U3
21 63
』ll 器
2163
21 63・
3}ll 塁lll
_・
R8−。_・榛実
櫟 突
浜蒲薇
l Ca
Fe
l
嘲CFCF aeae
Log
wood
蘇 芳
・−
r
AC IfAC
黄
藁
忙ξ雪←
蓮
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33ロUワ﹂ hO−占﹂b4.ノ0/0;1訓 ワィノQ
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ワ゜︻ノ ハソユ一〇2
ワ﹂ワ﹂∩W8 0Ωリ
ワイドD2Qノ
ワィー主一〇ノD1
ハU1 7°rO
一〇只︶741
689
636
5412自D qUR︺ 7︷ロ
ハソ.QピノD∩ソ附1プQ7R︺ ︷U2
nO724 60 24 60 24 60 24 60 22 66 22 66 648
.745
1
〜QO︹ソR冒
ノ041
684 656
23 63 23 63 23 63 23 63 22 66 22 66
4Q♂費り38野〆 ノQΩ9ワ〜!P6一〇
巳。21
785 696
650
﹂ 3王18
87︷
13一〇︹777﹂
︷
3一〇 7ハソ
ワ︷4.706
1
686
Rり︹ソ0一4.
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432
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649 592
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4昌且・1Ωリ
ワィノQ R︶0︺O8
盈り五り 6∩︸08
Oロリ671
ト
638
2 P 63
21 63
2.1 63
21 63 21 63 21 63 2工 63
2玉 63
2工 63 21 63 2玉 63 21 63
絹
糸イ 1
最高値 最低値 平均値 O TC
RHI
%}
趨出恥 糸
口
最高値
最低.値
平均値 O TC 要兀
糸
榛壁
揚 梅
1
亜 仙 a¢
CF aeCF1
椎
柘榴
a巴
CF aeCF榛実
P髭
櫟実
浜薔薇
Log wood
259 219
QノΩ9
Bqり
22 994.4︐22回わ1 0049
︹∠う自5/Q 2う凸
22 五.4噌2ハU
22 Q/0ノ∩V2
22 ﹁Oくり王 i22 ρO∩Ψ︹U∩︸う凸︻∠237
8Q/
4.ウ白22 OQ2322う自
4.ハソリQ︵一︾22 4凸7凸︷∠222 只V五骨 2228
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2i239
215・
20 75
声Q4△0り722
19 80 19 80 16 88 19 80
260
8一〇 4噛2
221
::16 88 16 88 16 88 16 88 19 80 16 88
五.3 ∩冒3
22aeCF
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CF ー二 rAC蘇 芳
周α
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ttt:
P↓ 蓮
矧 14・ ーハU22 −∩Ψ−匿﹂22 ∩︸ノQ2222
30一〇冠︷22 1
劃 ︵U8 式一222
e I6 88 19 80 16 88 19 80 19 80 16 87
243 255
・10
4.一〇2︻∠
・上アb2︐︻∠ハ∠2
d△直︐63︹∠2
4︐自Q
4昏︾
223ご0 34凸
22 O∩冒0ノー
12 14直弓冒hソー
12 ノQ﹁Qうρ真ソ︼22 戸0b︹07 ︹∠2
司 4.1⊥
34.
229・上 34白
2215 87 {
15 B7
219 15 87228
P1587i264 2S9
ハソノQ一〇幽4
2つム
225
雪⊥=﹂−l
n∠2
五4・−占2
22−︹U
1122 41!艦﹂ム22・19
29︹∠− OqV︹︺322 アQ一〇う凸1
22237
230:
218
Ωロ5 う心3 ワ臼2
228
23170/
−¶1■22 ︵U4.4¶ーム22 Q/4亀−凸五・22d
−隔︹02hO22
4.1 1 1
2210β0
222214 77 16 88 16 88
.王6 88
1
U 8S
16 88
・16 s8・
16.8B
l6 88
16 88 16 se 16 s8 16 8B Z6 68 16 88
241
240
2it 1
225
15 77 15 77
199
1
222
itg6 219
15 S7 15 87
2ハ6 54一 2つ佃
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つ一q32︻∠︹∠
15 77 15 77 15 77
11577
﹇
2・81
十
296
1224 15 77
273 2i6
卜250 15 77L39 L
︐
3。 結 果 の 考 察
a.木 綿 糸
(1)木綿糸イ:この結果をみると,蘇芳のCr媒染の場合は著しく強度を減じ,その他榛皮の
Ca媒染,椎のFe媒染,及びLog weodのA1媒染が,や玉強度を減じているように見える。し
かしその他は総1て強度を増しており,殊に浜薔薇の根のCa媒染と櫟の実,亜{]llのCa媒染等の増加は大きい。なお,榛皮を除くとCa媒染は一般にFe媒染より強度の増加が大である。
(2)本綿糸ロ:この結果も蘇芳のCr媒染の揚合は著しく強度を減じ,又榛の実のFe媒染,
梼樫の実の皮のFe媒染,蘇芳のAI媒染がや工強度を減じているが,その他はすべて,強度を増 しており,殊にヨE仙のC・媒染,揚梅のC・,Fe媒染,櫟実のCゴ媒染,榛の実のC。媒染,榛
皮のFe媒染などの増糠は大きい。なお, Ca媒染は前1司様いずれも強度を増しており,榛皮を除 いてはFe媒染より強獲の増加が大である。(3) 結局(1),(2)を通じて蘇芳のCr媒染は強度を減じていることが明らかで,その他,黄 蘂,黄莚にもその傾向がある。榛実のFe媒染も同じ。しかし全体としては染色により強度は増加
し,殊にCa媒染の場合は著しく,中でも亜仙,櫟実などが著しく強くなっている。但し,榛皮の
楊合のみは例磐で,獺ちF¢媒染の方がCa媒染より強くなっている。
b、絹 糸
(1)縞糸イニこの結果をみると,榛の実のFe媒染が強度を増加しているが,他は大体強度を 減じている。殊に榛実,椎のCa媒染,椎,梼榴のFe媒染,蘇芳のAl媒染,黄蓮などが著し
いo −
(Z)絹糸P;この一k−1−1 L。gw。。dのA玉, C・媒染,榛実のF・媒臨およびca榴のC・媒染,
麺などは強度を増しているが,それ以外は天体強痩を減じている。殊に弱いものは椎のc。,F。
媒染,標の皮のFe媒染,糖榴のFe媒染,榛実のCa媒染などである。
〈3)結局(玉),②を逓じて,撚の実のFe媒染など強度が増してはいるが,全体としては弱 くなっている。Ca媒染とFe媒染を比較してみると,1 墲クかながらFe媒染が強くなっており,
これらは繍糸の場合と丁虹反対の結果である。鰍は木綿糸はc・鰍力玉弱くF・媒染力験く
なウたが.絹糸についてはその反対で,結局,綿糸と絹糸とでは結果は正反対である。凝総二勤際蜘御懇勢なる鋤旨導識らびに御樹馳賜bgLた上村六鱒援に厚く衛Lを・}・し上げます。
rr 4暴卍