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多田干代・小野日出子・平沢和子       県立新潟女子短.期大学被服研究室

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(1)

ボタン付けに関する実験的考察(第一報)

多田干代・小野日出子・平沢和子

      県立新潟女子短.期大学被服研究室

An Experimental Study of Buttoning (Par 1)

Chiyo Tada, Hideko Ono and Kazuko Hirasawa

 The Clothing Institute, Niigata Women s College

 過去から現代へと受け継がれてきた被服製作の技術は,被服という財貨の性質上,単に自然科学 的応用にとどまらず,美と実用の両面から長年月検討されみがきあげられたものであることが多 い。このように美と用の兼ねあいの上に決定される性格の技術は,時代の推移に伴つて素材が変わ り,社会感覚が変化すれば,それ自身もまた少しつつ変わるものである。たとえば,絹や純綿の和 服地の場合に合理的であつた縫合の技術を,これらとは物理的性質も,化学的性質も,また素材美

も異なる合成繊維の洋服地に,そのまま適用すれば合理的な結果は得られず,美もそこなわれる。

したがつて被服製作に関する従来の技術を正しく伝達して新しい生活へ適合させるためには,まず その技術を分析的に理解する過程を経なければならない。

 このような観点から,現在学校教育で行なわれている被服製作指導の実態を検討してみると,縫 製に関しては,布と布の謎合部の破壊強度を決定する縫製条件の問題は学術的に相当研究が進んで いるが,一般の教育現場では必ずしもその成果が充分根をおろしてはいないように見受けられる。

 −X−−1 7)は,すべての人に必要な初歩的技術として小学校時代から指導されているボタソの付け 方が,小学校教科書や洋裁指導書ではどのように説明されているかをまとめたものである。最も詳 細に説明してあるのは,「文部省編 少学校家庭科指導資料1」である。これには「じようぶにす るためには糸は太いものを用いる」7)と説明してある。被服の種類やボタソの付けてある部位によ つては,引つ張りに対するじようぶさが要求される場合と,摩擦に対するじようぶさが必要な場合 があるはずであるが,そのような分析的説明はない。指導事例の中には「摩擦によつて切れやす いので,撚りの強いじようぶな糸を用いる」7)という表現があるが,実験的根拠は示されていな い。その他,いずれもボタンの付け方に関しての具体的な説明に終始し,著書間には共通性が乏し

く,特にそれらが美と実用のいずれの立場に立つての説明か,明確でないものが多い。学術的なも のとしてはボタソホールの強度の測定法8)にふれているものがあるが,ボタソ付けの強度について は見当らない。

 そこで筆者らは・当学家政科被服専攻学生40名と共に,被服教育の科学化を目標とし,先ずこ のボタソ付けの問題の科学的裏付けに酋手した。本報では表一1に示された項目のうち,使用糸の 太さと本数,力布の有無,糸足を巻くか巻かないかの4項目をとりあげて,これらが「ボタソ付 け」の引つ張り強度にいかなる影響を及ぼすかを実験的に検討し,応用的考察を試み,実用上興味 ある結果を得たので報告する。

一43一

(2)

表一1洋裁振導善や小学校家庭科教科苫等に記載されている       「ボタンの付け方」の説朋一覧表

小学校家庭科教藩}殖}等

K−K,IK、!K、IK、IK、IK7 洋裁指導忠

Y、IY,IY,IY、

籍\

 \目\項 ○○

ワイシヤツ地

ブラウス地 そ の 他

1.布の鍾類

○○

0

○○

穴穴つつ

2 46

  ボタンの

2.  種  類

○○

00

○○

糸糸他んン  のめタ

もカそ

3,糸の種類

}○

0 0

○ ○

番番他

  の20 R0

4.糸の太さ   (番手)

0

1 本  糸 2本引きそろえ

5醸用懐

○○

布ン タ

 ボカカ

6.力  布

   もかξ1

}○

}○

回回回

2 3 4

  ボタン穴 7。 にかける   糸の回数

OIOIOIO;OlOlO

Olol 10iO

・・鵜舘1少

 布とポタ

9.  ンの間隔 布の厚 さ

マツチ棒の太さ

1

 糸足に糸10. を巻く

固く巻く 根元から巻く 巻つ ツりォか ッしトめ

オる

巻く

5か̀り6巻回くら 固く巻く 上く 福ュフ巻ゥら固

上がよ1上〜く

k之1か3

コら巻へなく

?「

ら回コ固へく2巻 上らり 福トくフべ巻 ゥし轤ツ ネか

実験方法と材料

  1 試 料 布

 現在・中学校や高等学校で制服用ブラウス生地として多く用いられている綿35%,テ5Pソ65 混紡の40番ブロードである。試料布の諸元は表一2に示した。

       表一2試料布の諸元

切断仲度 切断強度

織糸密度

経糸i緯糸

d

4.07%

13.3kg 54〜56 本/cm 26〜28 コ本/em

0。25血 40番白ブロード

綿  35%

 テトロン65%

(3)

  2 ボタンおよびボタン付けに使用する糸

 直径11mm,厚さ1.5mmの市販されているプラスチツクス製二つ穴シヤツ用ボタソ160個を用 いた。ボタン付けに使用する糸(以後ζれを使用糸と呼ぶこととする)は,帝国製糸K.K・製品,

綿100%のカタソ糸で表一3にそめ諸元を示した。

       表一3 使用糸の諸元

カタソ糸

 30  40  50  60

番番番番

lg/1呵嫡搬刷蜥讐1

6.14 4.51 3.66 2.91

 x

1.67 1。25 0.83 0.78

σ

O.12 0。06 0.12 0.12

8.1 8.7 8.8 8.6

上撚り670t/mZ(3本)中撚り553t/mS(2本)

上撚り723. t/mZ(3本)中撚り585t/mS(2本)

上撚り782t/mZ(3本)地撚り22.2t/イソチS(1本)

上撚り825t/mZ(3本)地撚り24.4t/イソチS(1本)

      X:10回の乎均値            σ:標準偏差   3 ボンタホール.

 160個のボタソホールはすべてブラザー精密工業K.K.製の穴かがり機を用い,50番カタソ糸で かがつた。ボタソホールの長さは13mmである。

  4力   布

 1c甲×1cmの上記試料布を1枚用いた。

  5 ボタンの付け方

      図一1 ポタソ付けの糟造説明図

(イ〉糸足を巻かない場合

ー2髄

一一nnNN︾︐

コロコリ   ヱ合合一一場退nnののべ鴫糸糸FFホ本〜し   ヘヨ﹁︷︹鴎本 N取﹃鍛度.ホ 強

この糸1藤タン宗を通らずに糸止めさtzている

 、 ct.e、b)の紐めノ

       ト糸足の問隔→1

:ボタン穴の問隔12閑:と等しくなるよう1:しtt二の中に入った蔽角方向の織糸が使矯蟻と引張ηあう〕

   (ハ)1本糸の場合      (二)2本引きそろえ糸の場合      。=4ホ      ・=4*

     N=n_t=3*       N=n−−2=2:−k

eL

(4)

  図一2 突験布の整え方と引つ張り試験説明図 嘘塑甥 ㈲引つ張り試験機にカ、1.) た状態

er lli 1

引つ璽ξり試 験機の上部 つかみ

試長20開

下部つかみ

図一3糸引っ掛け試験のしかた

縁糸跳* ↓布

 イ)ボタソ穴に渡る糸数(n)はすべて4 本となるようにした。 したがつて針がボタソ 穴を通る回数は1本糸の場合は4回,2本引 きそろえた場合(以後これを2本糸とよぶ)

は2回である。

 口)試験布の引つ張り方向に対するボタソ 穴の位億と方向の関係は図一2の通りである。

ボタソ穴の間隔に等しくなるよう糸足の闘隔 をきめた。図一1で明らかなように,この問 に入つた直角方向の織糸本数をmとすれば,

これがボタソによつて引つ張られることにな るのであるから,このmを一定にすること は実験上重要である。しかし今回用いた試料 布40番ブロードは織糸が細くて一定本数を 正確にすくうことがやや困難であり,かつ,

実際的でもないので2±O.5mmになるよう技 術的に努力した。

 ハ)布とボタソの間隔すなわち糸を浮かせ る分品:はほぼ1.5mmとした。

 二)糸足を巻く回数は,1本糸の場合は4回,2本糸の場合は2回とした。したがつて糸足に巻い てある糸の本数は常に4本である。糸足の巻きかたは,いろいろな方法で行われているが,実験の 都合上,今回はすべて図一1の(ロ)のようにした。巻いた糸はボタソ穴を通らずに布の裏側で糸 止めされている。したがつて,ボタソが引つ張られることによつて,織糸と直接に引き合う使用糸 の本i数をNとすれば,1本糸の場合はN=n−1,2本糸の場合はN=n−−2となつている (図_1

(ハ)(二)参照)。

 ホ)糸止めは2回巻きの玉止めとした。

 へ)ボタンつけは10名で行なつた。ぽじめに全員が共通条件を確認しあい,それぞれの条件の 付け方の練習を充分行なつてから実験布の作製にとりかかつた。実験布160枚の作製順序はランダ

ムに行つてある。

  6 引つ張り試験

 測定には織布抗張力試験機(シヨツパー式,上島製作所)を用い,JISに規定する方法に従つて.

切断時の張力(kg)を記録し,同時に切断時の状態を観察した。測定順序はすべて無作意化してあ

 ヴ      ら

Qo

  7 引つ掛け試験

 柴田9)の方法にならい・試料布の緯糸を引き抜いて,図一一3に示したように,実験に用いた各番 手のカタソ糸1本と引つ掛けて,手で引つ張り切断する。繊糸の本数を1本,2本と増していくと.

本数の少ないうちは織糸の方が切れるが,本数が多くなると使用糸が切れるようになる。このよう にして・はじめて縫い糸が切れた時の繊糸の本数を記録した。図一2で明らかなように,経糸は,

(5)

今回の実験では引つ張りに直接聞与しない。しかし,緯糸 と比較のため同様にして測定した。

実 験 成 績

  1 試験布の引つ張り試験

 イ)結果の原表は表一4に示した。試験布のボタソ付けは10人の訓練された学生によつて注意深 く行われた。しかし,人手であるから,なおも糸の引き締め度合い,糸足の間隔,糸止めのしかた などにバラツキの生ずることは避けられないと考えられる。そこで,引つ張り試験の結果得られた 切断強度を各条件ごとに一組としてR管理図を作成した。図一斗がそれである。多くの点が中心線 の近くにあるから,今回の試験布のポタソつけ工程は管理状態とみなせる。しかし,点のならび方 には特異性があり,30番の太い糸を用いた場合に大ぎなバラツキがみられ,8点中の2点が,わず かながら限界を越えた。また細い糸の50番,60番は,すべて限界内ではあるが30番の次にバラツ

表一4ボタンつけ切断強度原表 (切断強度た9)

lA

D糸の番手

D:

糸躰数1 Aエ 1本糸

B糸即状態IB・糸足蜷く極懇を巻か

   力布の…

R 撫lc1有

繰り返し

         

C,無1C、有IC,無

   l i

30

12345

14・4・

1d 4

    阜  一

4.0 ×

1:ll

均 }4.1    t

1:llに:;

,.,.1,.、×

3.4×!4.2×

・.8・1・.・・

}3.4 ×

}3.2 2.3 3.9 × 3.1

… 13・9}…

・・1

12345

i3・6刈・.7・k.… 3.5・

lii:li i陶ili:1

A2  2本引.きそろえ B1糸足を巻く

Cl有

3.3 × 3.8 4.0 × 3.9 × 2.6 × 13・・

1l

C2無

3.ユ ×

4.0×

2.3 × 3.5 × 4.5 × i・・5

  糸足を巻か

l B2   ない・

40

1・.・

i3・5

1::x

3.4

C1有

4.5 × 4.0 2.8 2.8 3.4 ×.

C2無

3.0 3.5 × 3.0 × 3.4 2.8 ×

13・5}・・1

2.7 x l2.5    ニ3.4   3.2 3.2 ×  3.1 3.6 ×  3.5 2.8 ×  3.0

D,i i

5・}

番!

 2

均i…1・21…}・」1…13・1i・・1 1234.5 i2.9t

13.22.81:1

均1・・9 D4

60

1

つ一34・一〇

i2・7 i2・o l2.7

2.3 i2・2

2.7 3.6 2.9 2.6 2.8 i・・9

!.8

1.8 3.1 2.6 2.4

2.8 i2.8 3.2 i2.2    12.8  12.8    …2.4・  !2.2

   i1・9 12・2

1・・61・・4

2.2 2.1

….6

2.6.

2.3

1.8 2、2 2.2 2.2

.2.7.

2.3 3。0 2。3 2.8 2.3

2.3 11.9    t2.2  l2.6    l2・1 い・8

… i・…4

   fi 2・ 8 2.3

i・・s 1…

1⁝

   じ2.4 12.0

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i2.7 12.o

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2.3 × 2.9

    f

1・・6

2.O

L7

2.4 1.5 1⁝ 2.4

1.4 2.O l.7 2.2・

2.0

均1…i・・3・・1・・21…1・・…1・・1・1・・11i・9・

t ゼ布切断ゼあることを示す。

一47一

(6)

図一4 引つ張り試験のR管理図

2.0

1.o

U。C⊥

C,L(1

 okC.」

30箒 40嶺 50醤 60{孟

L.(O)

〔カタン糸の猛手♪

キが大きく,40番のバラツキが最も少なかつた。実験布にボタソを付ける過程でも40番が最も付 けやすかつた。

 ロ)実用上の目的で衣服にボタソを付ける場合は,引つ張りに対して強いだけでなく,切れる際 には衣服地が破損しないことが特に要求される。そこで使用糸が切れたためにボタソはとれたが,

試験布の経糸,緯糸には損傷が見られない場合を糸切断,経糸あるいは緯糸のいずれか一方,また は両方が切断された場合を布切断として表一4,図一5に示した。×印の付してあるものが布切断 である。布切断は,太くてじようぶな30番,40番の糸を用いた場合に頻発していて,細番手の50 番,60番の場合には全く出現していない。各条件ごとに織糸と直接引つ掛かり,引つ張りあつてい るとみなせる使用糸N本の強力FNを表一一一3より求めて図一5に記入しておいたが,1本糸の場合に は,30番,40番ではFNが,実験布の切断強力より強いから,布切断の頻発したのは当然である と理解できる。しかし2本糸の場合には図一一5で明らかなように,30番,40番でFNが実験布の切 断強力より低いにもかかわらず布が切れている。これはFN=F(n−2)とみたことに問題がある

と考えられる。おそらく,はじめとおわりの糸止め部分の効果αが加算されFN=F .(n−2)+α となつているものであろう。

 ハ)30番,40番で布切断が現われた頻度をボタソ付け条件ごとにまとめれば,表一5のとおりで

ある。

      表一一5 ボタソの付け方の差異と布切断の出現率%

       (30番糸,40番糸の場合)

要 因

ABCD

水準問の出現率の比較

(出現数)  (出現率) (出現数)  (出現率)

   枚Al (29)

Bユ (29)

Cユ (20)

D1 (29)

 %

(72)  〉

(72)  〉

(50)  <

(72)  〉

   枚A2 (20)

Be (20)

C2 (29)

D2 (20)

 %

(50)

(50)

(72)

(50)

 =)布切断が全く現われず,かつ,図一4のR管理図に見られるように等分散の50番,60番糸 の場合について分散分析を行い,結果をまとめると表一6となる。要因A,B, Dの各水準間には 危険率1%で有意差があり,2本糸より1本糸の方が,糸足を巻かない場合より巻いた場合の方が.

また糸は最も細い60番より50の太い方が抗張力は大であることがわかる。Cには有意性が見られ ない。すなわち力布をつけることの効果はないらしい。交互作用はいずれも認められなかつた。

(7)

冬Q嶺澄Q週羅露梶思螺網e執魯9QL祇嬰 嶋1

      一墨凶

蓬奪奪一tbl]

    ㌦?.∵蒙1

      °輩1

−1

      )

         0800

      く        。 &P

         8000        く        ooo  go

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        oeep  o

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     σ80 0

    嵐遁po    <1   ・

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ぐ       O       N       −

               畢蜜謹拠曾       )

  ・謡ξ暇迦瀞桑縛二嚢く匝

↑細鱒〉鰹ぐ゜ ↑.,

簾搾  侭゜雌縛麟褥 藤梓糠褥 諜搾 藤搾 壁搾

く 瞳g

一49一

(8)

表一6分敬分析表(5b番糸,60番糸)

1本糸と2本糸

糸足を巻く,巻かない 力 布   有 カタン糸50番,60番

A

BCDCDD

AxB×C

A×B×D A×C×D B×C×D

1平刷自剛分散1分欝ヒ1半Sl定傑馴判定

192・2・1 11}:;:}

231.・・1

O.20 12.80 26.45 2.45 12.80 3.20

0.80 2.45 0.45 6,90

IA・BxC・D−u,・25 1

(E)

(0)

(E

67!。95 846.oo 1511.95 909.75

1111轟

 11  }!92.20

コ1爵:藷 11231.・・

14.65 1!.52 2.38 17.61

※剰15.84

叢儒i

・…

ll:ll li

i;:ll

3・20  交互作用なし

0.80 2.45 0.45 6.90

111・25 15   1 劉1:ll:1

楽※※※

※※

F;、(α。5)4.00(O.01)7.08

 2 試料布の織糸と使用糸との引つ掛け試験

結果職一7に示した・なおこの勲孝 では・引つ張りにあずかつているのは緯糸であるので表

;象謄の本数灘布の切断搬との相購を調べた・散布図は省略したカ:極めて高い相関

表一7綱つ掛け試験にお・・て・はじめてEliM糸が切れ塒の織糸の本数        (15回の平均値)

\項・管壁・・番

40 番 50 番 60 番

緯   糸    髭

@  σ

ヘ   囲

     本   7.4

@  1.05

U 〜 o     

     本   6.3

@  1.22 T 〜 9

     本   4.9

@  1.39 R 〜 8

     本   3.8

@ 0.91 R 〜 5

経   糸

   弐

@  σ ヘ   囲

   6.4

@ 0.93 T 〜 9

   5.3

@ 0.89 S 〜 7

   4.1

@ 0.92 R 〜 6

   3.1

@ 0.72 Q 〜  4

  1・ボンタ付けの構造と糸切断布切断および引つ張りの強さの関係

衣服地のミシソ縫い肋嫡搬および,その嚇のしかたが,糊断か糸嫡力㍉いずれの破 断のしかたをとるかは魏と糸徽とStHの大きさ,縫い糸の搬,さらに上糸と下糸の引つ掛け

(9)

強度と織糸の強度等の相互関係によつて定まることは実験的にもすでに明らかにされている1)6)8)

9)。ボタソつけの場合においても布地に対して直角方向にボタソを引き離す張力が働いた場合,い わゆる引つ掛け,引つ張りの作用が生ずるのは,糸足の間にはさまれた織糸m本と使用糸N本と の間であり,両者の強度の相互関係によつて次式のごとく,糸が切れるか布が切れるかが決まると 推測されるo

   F・N>f ・ m・a  ならば布切断……①    F・N < f・m・a  ならば糸切断……②  ただし

   F:使用糸1本の強度(9)

    f:織糸1本の強度(g)

   N:織糸と引つ掛かりあう使用糸の本数(本)

    n:ボタン穴に渡つている使用糸の本数(本)

   m:使用糸と引つ掛かる布地1枚の織糸の本数(本)

   a:ボタンの付けられる布地の枚数

そして

ホ講繍総(mm)}と禰

      m−d×あ(本)  し

  2・使用糸の強度の影響

 今回行つた実験の結果,表一4,図一5から明らかなように,要因A,B, Cおよび布地,ボタソ 穴の方向・ボタソ穴に渡る糸本数,糸足の聞隔,すなわち上式におけるN,f, mもすべて一定な

らば・使用糸の強度Fを小さいものから大きいものへと変えてボタン付けをすると,ボタソ付けの 強度は次第に増す。そしてはじめは糸切断であるが,Fの増加に伴つて切断強度は増加し,同時に 布切断がおこり・Fを増すほど布切断の出現率は高まつて実用に適さなくなることが明瞭となつ

た。

  3..使用糸の本数の影響

 表一4・表一6,図一一5に示したように,ボタソ穴に渡る糸数nを一定にし,糸止めのしかたを 図一1のようにした場合は,1本糸でボタソ付けをした方が,2本引きそろえ糸でするよりじよぶで あつた。その理由は・図一一1の(ハ)と(二)の比較でわかるように,織糸と引つ張りあう有効な 糸数Nが・1本糸ではN=n−−1,2本糸ではN=n−2となり,F・(n−1)>F・(n−2)となる からであると理解される。

  4.糸止めのしかたの影響

 図一1の(ハ)と(二)において,はじめの糸止めとおわりの糸止めとを結び合わせたとすれば.

1本糸でも2本糸でもN・=nとなる。したがつて,1本糸と2本糸のじようぶさはほぼ同等となり.

かつ・切断強度は増加するであろう。表一1では,この点にふれているものが全く見当らない。

  5.糸足を巻くことの効果

 表一4・表一6・図一5で明らかなように,糸足を巻くと,巻かない場合よりも抗張力はおよそ10

%増加した。図一1に示したように,nを増さないような巻き方であつたにかかわらず,このよう に強度は増加した。やはり間接的に引つ張りに関与していると考えなければならない。 したがつ て・巻いてもなお・②式の関係内にある場合はよいが,巻くことによつて①式の関係ともなり得る から注意を要する。今回の実験においても表「5に示したように,30悉糸,40番糸の場合に,糸足 を巻くことによつて布切断の出現率が増加した。表一1で明らかなように,従来の教科書,指導書 ではこの点にまで注意を及ぼしていないのである。

一51一

(10)

    6.糸足の距離,方向,面積

  今回の実験では,ボタソ穴の向きを図一一2のように定め,糸足は,2個のポタソ穴のそれぞれ真 下の2点に針穴が集まるよう配慮した。もし,この距離が大となればmが増加するからf。mが 大となり,ボタソ付けのじようぶさは増すであろう。また,ボタソ付けに際して,針穴が2点仁そ れそそれ集中せず,分散して,ある面積を占めるようになれば,mは一方向の織糸だけではなく て,それと直角方向の織糸も引つ張りに加わることになり,やはり強度の増加することが考えられ る。また今回の試料布の場合,ボタソ穴の方向が90°向きを変えたとすれば,引つ張りにあずかる 織糸は経糸となる・経糸は緯糸よりも密度大で,糸引つ掛け強度も大であることは表一一2,表_7 に示したとおりである。従つてf・mは今回の強度よりはるかに大となつて,よりじようぶなボタ ン付けが得られるはずである。

  7.力布の効果

 力布の繊糸は1cmという短かさである。したがつて引つ張り強度には関与しないと考えられる。

実験の結果・これが予測通りであつたことは表一4,表一6,図一5において明らかである。しか し・表一5に示したように・布切断の場合には,力布をつけることによつてその出現率が減ずると いう興味ある結果を得た。

  8・Nとmを見出す簡単な方法

 先に述ぺた②式において,F・Nとf・maの大小関係は, F, fを機械を用いて実測しなくとも,

織糸と使用糸の引つ掛け,引つ張り試験を手で実施することによつて近似的に求められるはずであ

る。

 その手順は・布地やボタソ,用途などを総合的に考慮して,糸足の方向と間隔を定め,その間隔 にはさまれる織糸の本数をmとする。この方向の織糸を抜きとり,先に述べた引つ掛け試験によつ て・はじめて使用糸が切れた時の織糸の本数をしらべ,5回以上の平均値をとつてこれをmノとする。

次にボ の付けられる雛の布地の枚数を・とす」}・・et a 宴aーN,す勅ちこのN徽糸と大

きな張力で引つ張りあつて,しかも布切断のおこらない最大の縫糸の本数である。本実験では

       m−d×尭一2Z5本x≒1「≒5.5本

       a=2(表布と身返し布)

         ∴ am≒11本となる。

 そこで表一7の測定値の平均値Xを仮にm としてN≒聖一を計算し,実際のボタソ付けに採        m

用したN=3と比較してみると

       ::1慧 }∴2−一

50番糸:

60番糸:

ま≒≒1・8<2<3 偽一≒2・2く3

 11   ≒3。0窄3

3.8

∴ 3本なら布切断

∴ 3本なら糸切断

 すなわち,この簡便法に従つたとすれば,今回の実験布は30番糸,40番糸では,織糸をすくう 縫付け糸が2本および3本では布切断となりやすいから,それ以下の本数でなければならないとい

う情報を伝えたわけで・本実験の結果とかなり一致するものである。50番糸ではややはずれるが,

安全側の本数が示されるわけであるから実用上はさしつかえないものと思われる6

(11)

  9.美を考慮した応用的考察

 美的要求の強い衣服にボタソを付ける場合には,布地とポタソとがきまつており,さらに糸は太 すぎず,糸足の間隔もなるべぐ狭く仕上げたいという条件が伴うことが多い。このような場合に は,まず条件に適う糸を決め,上記の引つ掛け試験を行つて織糸の本数mを見出す。mから糸足 の間隔がおのずと決まるわけであるが,これがもしもまだ大き過ぎて,美の立場から,さらに小さ

くしたいという場合は,裏にカボタソをつけることによつてのみ,引つ張り強度を大にすることが できる。力布では,今回の実験結果が示すように効果がうすい。

 ボタソ付けの引つ張り強度,およびそれが破断する場合,縫いっけている糸が切れるか,生地の 織糸が切れるかは,使用糸の強度(F)と織糸の強度(f)および直接引つ掛かり,引つ張りあう使 用糸の本数(N)と織糸の本数(ma)などの相互関係によつて定まり,布地の糸密度,力布やカボ

タソの有無,糸止めのしかた,糸足の間隔と方向,糸足の占める面積,使用糸を2本引きそろえる か否かなどによつて影響されることが確かめられた。

 また,先に,ミシソ縫いにおいて,針目の大きさを選定する簡単な方法として,柴田9)が提案し たところの,縫糸と織糸の引つ掛け試験の方法を検討した結果,ボタソ付けの際にも,基本的な引 つ張り構造の場合にはよくあてはまることを実験的に確かめ得た。

参 考 文 献

1)前川喜重子:縫い目に関する突験的考察。家政学雑誌,1(4),34〜35,1952.

2)大森正子,木下陸肥路: ミシソ縫いにおける縫い糸強力と縫い目の安定性について。家政学雑誌,11

 (3), 49〜54, 1960.

3)大森正子,木下陸肥路:縫い糸の伸びと撚りについて。家政学雑誌,】2(5),23〜25,1961.

4)樋口ゆき子,三平和雄,斎藤正枝:縫製に関する研究(第1報)。家政学雑誌,13(5),37〜46;1962.

 樋口ゆき子,三平和雄:(第2報)。同誌,14(4),24〜30,1963.

5)石原ミキ:ミシン縫目の強さに関する研究(第1報)。家政学雑誌,14(2),21〜24,1963.

 (第2i報)。同誌,17(4),35〜38,1966.

6)矢崎浄子,玉置光:接ぎ方の種類とその適性の研究。家政学雑誌,14(2),25〜35,1963.

7)Y1村田八千代他12名:ワイシヤツのボタンつ ff。 Sewing B。ok,132,1964.

 Y2東京家政学院短大洋裁研究室:ボタンのつけ方。洋裁の実按指導,93〜94,1964.

 Y3成田順,石毛フミ子:ボタンのつけ方。新時代の被服工作洋服篇,340〜341,1965.

 Y4 ALLYNE BANE:How to sew on buttons・Creative Sewing,240〜242,1936.

 K1松平友子他8名:ボタン付げ。小学校の家庭科,30,1965.

 K2石山脩平,有本邦太郎:ボタン付け。たのしい家庭,30〜3!,1960.

 Ks山本キク他14名:ボタン付け。小学校家庭5年,32,1965.

 K4稲垣長典:ボタン付け。家庭5年,31〜32,王96!.

 K5武田一郎他7名:ボタン付け。小学校家庭科,18,1965.

 K6氏家寿子,松元文子:ボタン付け。新しい家庭科5年,12〜13,1961.

 K7文部省:ボタソ付け。小学校家庭科指導資料一1,第5学年の学習指導,58〜59,1962.

   同上:指尋事例,140〜148.

8)真島正市:ボタンホールゐ強度。家政学実験講座4,被服材料学機構学,228〜232,1956.

9)柴田豊子:縫目の強さに関する研究(第1報)。家政学雑誌,7(2),79〜84,1956.

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参照

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