植物性染料によつて染色された糸の強伸度について
(第二報)伸度について 山崎光子
県立新潟女子短期大牽衣服研究室
Load‑Elongation of Yarns Treated with Dyeing Agent Derived from Vegetable Sources
Part 2. Obsertiatibns on the Elongation
Mitsuko Yamazaki
The Clothing Institute, Niigat4 Women,s Coll ege
植雛染料は,第一報で述べた如く,これからの工芸的艶のため口ま欠かせない存在であるが・
本鰍では・その堅犠試験の一一 1}t5として・脚性染榊礎で・木郵線絹糸嘩が姻
なる影響を受けるか,について実験を行つた。 r
実験方法と材料 : ._
全て第一報と同様であるが,念のためその要点を再録する。
1.実験時期及び場所 昭和38年9月中旬A・11 n下旬
室温16°G−21°C.
湿度 62%〜88%
新潟女子短期大学染色実験室 ・
2.実験材料
a.試験 糸
木綿糸4es/3絹 糸21d/3
b.染 料楓揚梅,亜仙,樵柘楓櫟,榛実,灘薇,L。9w。・d議蔽芳・黄兆黄蓮 媒染 剤
生石lil( s硫酸第一銑踵如一ム酸カリ,明馨
3.染色方法
使用する糸は木綿糸29,絹糸19とした。
まず,被染物の肪と曜の染料を識染月勿の5・龍の水に入派加熱し・灘後1°分b°iling
をつづけてからi染液をdecantationによりとり出す。
そめ中に,あらかじめ湯洗いした被染物を入れ,更に再翻騰卿。分間b。11する・その間
被染物を染液から3回引きあげてしぼる。
−t
}染を必要としない場合,例えば黄葉,黄蓮はこれで染色を終り・水洗・乾燥する。
また更に,媒染を必要とするものは,次のようにする。被染物のiヨ方の10%の媒染剤を被染物
の50倍撮:の水に入れ,加熱し,溶解して,60ec・−se°Cで10分間処理する。この間に3回,液か ら引きあげてしぼる。媒染後,水洗し,乾燥する。
4.イ中度試験方法
上記の方法によつて染色した糸をTensile Testing Machine(SH f2kg)にて,試験長10cmの 状態で測定する。各々の糸について10回ずつ測定して,その平均値をとる。
なお,伸度の数値は,次式のようにして測定値から換算したもので単位は%である。
伸びの長さ
. x100元の長さ
備 考
実験結果表中の略語は次の意味を表す。
木綿糸イ……染色後4〜5日で引張試験を行つた木綿糸
絹糸イ……同上の絹糸木綿糸ロ……染色後3週間を経てから引張試験を行つた木綿糸 絹糸P・一…同上の絹糸
元,糸………全く処理しない元の白糸
白,染,色,糸……染色と同条件で水のみによつて処理した白糸
Ca…………石灰媒染Fe…………鉄媒染(硫酸第一鉄)
Al…………明懸媒染(硫酸アルミニウムカリウム)
Cr…………ク・一ム媒翼匙(重クローム酸力の T………温度
RH…………湿度
実験成績と考察 1.予備実験
a,本実験に使用するために用意した綿,絹糸を用い,本試験機でblank testを行つた結果は 次の通りである。但し,各10回の平均値の最大,最小およびその平均値をあげた。
結果 染料
No. 主
No. 2 No. 3
木
尋閉ゆ膏 糸最龍1鵬値1平劇(慰1湯
325
9Q/80 ︷U︹ソ 孟ロワィノD
ー・670リワィワ 14i 88 14{ 88 ユ4i 88
絹 糸
騙倒最醐1鞠倒(娠1揚
18.0 16、0 16.9
ユ2、0
13,5 14.515.4 14.9 15.4
14i 8B
ユ4i 88 14≡ 88
この結果からみる蒔,糸に多少の不均一性のあることは明かのようだが,その平均値の差はO.5 以内で,ほぼ一定なので,このような試験によつて染色による影響を測定することは大体可能であ
り得ると考 えられる。
b.一般に糸は染色の如何にかカ・わらず,単に水中で加熱するだけで,ある程度の強度を増すこ とがある。このことを考慮して,その水による煮沸の影響を念のために予め試験した。結果は次の 通りである。
一一
hB一申
染料 結果
腫謙イ1
㌔
木辛1}錺室ロ
絹糸イ 縞糸ロ
元 糸 1 白 染 色 糸
最高値
9.1
10.8]9.0
18β
最低値
7.4 9.0 16.Q 16.O
平均値
8.2 9.6
ユ6、9
17.51(T°C)i(墾1最高値1最低f直h殉値t(る)i(謝 23i
2】i …
20i I
14iFO3一〇7 bbツワ・
11.4 11.2 18.0 20.18.8
8.3
15.5 16.59,5 9.7
17.0 1B.2231 21i
2。i 14i …
F 65i
63 75 772.本実験
試験結果は次の通りである。
元
糸1
榛 皮
揚
梅亜 仙
椎
柘 榴
榛 実
櫟 望
オζ
浜薔薇
Log wood
蘇 芳
Ca
F・1
ae
CF
aeCF a e CF
aeCF
aeCF
aeCF
aeCF
−←rAC −r AC
黄
黄
蓮木 綿 糸 イ
最高値
11A
0ノー
AソQ♂
i1.0 9,e
ll.5 9.5
8β 10.4
9.0 10.9
10.2 9.4
10.2 9.8
9.8
.915
】o.8
10.0ノQn7コ ヤ∩γ8
Io.o
i最低値
8β
1・8 ワ47﹂ 08 7戸0 01 98
平均値
9.5
尼Q一〇ハQΩ︾ −占0/Qノワ﹂
︹7一1 9R︸
彊り67 戸Q7 2︷U 7イQノ
︹︺17四ノ 8∩︾
7ワ6
7,2
7.9、
20 7己ノ0
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8.9T iRH
(OC)i(%)
l
23 堰@68 1
2。i 62
20i 62i
20i 62 20i 62:24i 60
…
24i 60
木 綿 糸
口
繍直1鯛直
lIL・i9.9 10.5
10.0
1!.王
王oβ 8β ■
24i 60 24i 60
…
24i 60
…24i 60
24i 6。
.i
.24i 60
24i 60…24i 60
22i 66 22i 66 23i 63 23i 63
重
23i 63 23i 63
芽 :221 66
…
・・
奄U6 i6.2 10。O
0!2
ヲ0ノ10.1
9.710.2
9.呂
9.e le.5
平均値
(OC)i(%)
T iRH一 8』3 1 9・7 1 21 i 63
8888 50
7488.!
10.2
1三2 7.5
23
9ハソ2】i 63 2】i 63
8.8 21 i 63 9.7 21i 63
一〇3サ コ0ノ凸ソ 3∩り
89
玉五︐ 77 04^ 8R︸
− ー
ロ ロQ/75︵∠︷ソ
リワ﹂710.2 8.5
RH5Ωサ8
7.2
8.1
2う臼
8Q〜
211 63
…
21i 63
21i・ 63
21i 63 21i 63 21i 63
…
21i 63 21i 63
;
21}63
21i 63 21i 63 21i 63
:
.9.2
9.9
Gノ一〇
る
戸Qワ
8.5 21i 63
9.1 2王i・ 63
qU6
︹ソ再ノ
−O ロ月ノFう a2 2!i 636.5 21 i 63
11… 17・・ 8.3
レ1α・
9.321i 63 旦・E21i 63
{元
︐︷−苺︐−晶i
絹
{最高値駆値
糸 イ
糸ll・18・1
皮
l
i慰・擁
}董
軸
ae
CF 症e CF
aaC君
Ca
{ Fe
盛︷
﹂b︑b︑︑°bL﹂i・・
Ca lFg
i
藤
﹂τ一︷﹂L﹂.﹂﹂︷﹂
実
琴 ︑三︑CF CF a量
aε1淡蓄薇 CF
a臼2三、9
212
21.1
23.2
20.2
19.s王9.s
20.3
E 23.6 20.4
i平均値1(もi(i揚 瓢・「 即
王ア、5
13.1
IZ5
1s.o
16.1 16、O
17.o l7.2
16.5 17.3
20.3 22.6
20β
2玉β
2}.e 20.9
lAIl.王%
1塊聯δ o窃12軌。
14.5
三6.工・
16.工 15.ユ
・17.8
19.oE3.5
!4.5
19.4 18.9
z9.1
20.4
ls.E,
18.o
18.6 18.5
19、5 19.1
17.6 19.3
18.o
l8.419.4
20.2
王7.2
18.3_1海1 玖o ]3.5 1・7.o 万i£歪1三9・e.i2・o. 1至a1
絹 糸
冒
1最高値
2。 堰@7s 1!20・1
19i 80
…
19i 80
ミ16i 88
19i 80 161 88
…
16i 88 161 88 1
16i 88i
191 80…
16荘 88 i
!61 e8
19i BO161 8B 191 80
§
三91 80 三6i 68 15i 87 isi 87 i 15i 87 玉5i 97
黄
葉 三葺.タi脚1三6司 董5187
19.I l8.5
20.0 21.5
20.0 22.5
19.5 22.1
2α0
20、o
19.9
120・6
20.5
21.9
19.9
21.3.
三9.5
1a5・
三8.正
19.o一
i19・・
斐
一﹂︑昌
{最低値i平均値
1 ・6・・118・・,玉4.o
!6.o
17.O
l 7,3
16.5
工6.2
Iao
18,2
17.o
ユ4.5
142
1S.5
5G
/Qny▼巳凸 −■6
i7.0
17P
14.O
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正4.5 11,6・
15P
工6β 17.9
1(T℃)i(甥
卜・i・・
16i SB 16i 88
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19」
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王9、6
18.7三7.2
19.719.1
20.2
]8.8 1 9.3
16.7 17.1
1生9 16.i
16.6
16i 83
}
16i 88 16i 83 16i 88
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ぼ16i 88
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16i 88 16i 8B 15i 77
…
15i 77
…
15i 77 1si 77 15i 77 15i 77
… :
15i 77
難 韮 三s.s−{ 玉3尋2,i 玉6L81 15 i 87 1E 18・61 15・ol l7・3 { 15 i 77
…3.考 察
a本.舞慈
{毒本懇毒イ;gq>舞髪をみると全体醗鑑紳慶の減少してY,iること.がわかる。特に椎のCa媒
窺蕪勧象諜桑珍糞霧の鎮勢灘しく・鎌あ飛媒染,・柘榴のc・媒染,榛実のF・.媒染毫}ζ轟茎こ『)づ奉て嚢㌔㌔
鋳簾勧建こ麟蝿鍍縫揮鰹減少しておウ・醸のc・撒のイ申度縮し卿ま,
一翁羅舞趨1ヌ曇静鰯iく 灘i芳の舞謀染鐘甚だしく弾度が誠少してし・る。
毒萎騒{警,{2}を蓋毒て,染{互した塞綿糸の偉度は,元の糸より全体的にみてかなり減少す るζ乏輩三素一晃.警郵蘇芳4}{k擦桑4)舞籠の鎮少嬢署しいo
轟鍔を嬢契覇払く2}の筋;〈三)酌も,舛鍍力二増加して㌔・るも・のが伽。即
」ち≠;勇藝ii菱男舞蓼窄髪…邊誓鑑雪i崇難むた木鎭糸の擦度は、いくらか増すという傾向にあるように
霧一迄る夢
む労建・毒1.羨i象韓,《彗誰う垂・〈2>砺擁産ゆ方疾少く,¢∫媒染嬉ついてもその傾向力彗i著しい。
ラζ葵難繧甕妻二i踵乏む拳参テ葦彗i錘夢一錦産鐘{重)よう毒¢)の方が非常に増加している。
_−2費tidi一
b.絹 糸 一 t I
①絹糸イ:伸度は全体的に増加している。伸度の特に商いものには,揚梅,浜薔薇のFe媒 染,柘榴のCa媒染等があり,榛皮,浜薔薇のCa媒染,榛実,棚榴のFe媒染,揚梅のCa媒
染がこれにつづいており,仲度の特に低いものは皆無である。
(2)絹糸Pt:この場合についても伸度は大体に於て増加しているが,蘇芳, Log woodのAl,
Cr媒染,黄葉,潰蓮の染色,並に榛皮,榛実のCa媒染が伸度を減少し,特に著しいのは蘇芳の Al媒染であるo
伸度大のものは椎,櫟実のFe媒染,柘榴のCa媒染,亜仙,浜薔薇のFe媒染などである。
(3)結局(1),(2)を通じて,染色した絹糸は元の糸に比べて伸度が全体的にみて増加している ことが云えるo
ただし無媒染の黄棄,黄蓮はいつれも伸度が但…〈,蘇芳などもややその傾向がある。
(1),(2)を比較してみると,わずかではあるが,(2>より(1)の方の伸度が大である。即ち日 を経ることによつて,絹糸の伸魔は減少の傾向にあるようにみうけられる。
Log wood,蘇芳のA1, Cr媒染については,それがかなり明瞭である。
本実験に当り,終始,御懇切なる御指導,ならびに御校閲を賜りました上村六郎教授に厚く御礼を申し上 げます。、
_21_