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……△ 口冊
説
イ ギ リ ス に お け る 面 接 交 渉 権 の 新 た な 展 開
川 田 昇
目次
一二
三
四 はじめに
面接交渉に関する判例法の軌跡
家庭内暴力を伴う面接交渉事件の処理のあり方の検討
面接交渉の容易化と強制の検討
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はじめに
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イギリスにおいて︑二〇〇六年六月二一日に︑児童および養子法(↓げΦOげ 臼8きα﹀αo窟一8>臼b︒OO⑨と呼ばれ
る全一七条からなる小さな法律が︑女王の裁可を受けた︒
これは︑実質的には二つの部分から構成される法律で︑第一部は︑﹁家族事件手続きにおける子どもに関する諸命
令(○幻∪国菊ωぐくH目出菊国ω℃国0臼目○○︼悶HUU菊国ZHZ司﹀]≦Hい網勺閑00国国UHZΩQつ)﹂に関連する全八条の規定︑第二部
は︑﹁渉外養子縁組(﹀∪○団↓HQZωぐくH↓国﹀国O殉国HQZ国い国同≦国Z↓)﹂に関する全六条の規定からなっている︒
本稿が注目するのは︑もちろん第一部であるが︑ここにおける規定は︑一九八九年児童法({Qげ口餌﹃Φ口>o骨].⑩Q◎⑩)の
いわゆる八条命令の中に含まれる面接交渉命令(OO]P什曽OけO﹃αΦ﹃)を促進するばかりでなく︑むしろ最終的にはこれを
強制することを目的として︑裁判所に新たな諸権限を付与するためのものであった︒
この改正は︑直接的には︑二〇〇四年七月に︑政府が公刊した﹁親の離別子どものニーズと親の責任(勺霞Φ三巴
ωΦb胃銭o員Oげま器コ一ω乞Φ㊦αω磐αり震Φ三ω一国oωbo⇒匹琶三ΦρO日①b︒認)﹂と題する意見聴取文書(緑書)に対する反響
として︑国民の側から寄せられた諸意見に対する政府の回答として翌年の一月に公刊された白書(ZΦ聾ω審戸Oヨ
Oら認)による提言を具体化するための立法であった︒
後述のように︑イギリスにおいて︑親の離別後に子が非監護親とのあいだでもつ面接交渉は︑判例上では︑一九七
〇年代にすでに子どもの権利として承認されていたとされるが︑さらに︑前述のように八九年児童法が子どもに関す
る諸命令の一つとして面接交渉命令を導入して以降︑同じく判例において﹁面接交渉は反証なき限りすべての状況で
子の利益となる﹂という﹁面接交渉の推定(胃Φ誓日旨80h︒〇三霧O﹂と呼ばれるドグマが形成され︑九〇年代の中葉
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イ ギ リス にお け る 面 接 交 渉 権 の新 た な展 開 49
には︑面接交渉は︑両親の離別後の﹁子の福祉の最大限の実現﹂を図る具体的な措置の一つとする観念がほぼ形成さ
れていたとみてまず間違いのない法状況にまでなっていた︒
しかしながら︑面接交渉の促進とその強制を目的とする今回の法改正について︑右の法状況に直結させることは大
きな誤りというべきである︒
というのは︑世紀末までに確立された面接交渉権に好意的なそのような法状況において︑逆にその行きすぎもまた
目立ちはじめ︑これに対する反省の⁝機運も起こりつつあったからであった︒
たとえば︑八九年児童法の成立を促した発端が︑ある児童虐待事件の生起にあったように︑当時において︑家庭内
暴力に対する関心が非常に高まってきていたにもかかわらず︑ある判決が︑裁判所は︑面接交渉の当否の判断におい
ては︑請求者の行為︑家庭内暴力の子・監護親への影響︑面接交渉の動機等をすべて考慮すべきであるとしつつも︑
(1)家庭内暴力の存在の証明が直ちに面接交渉の否定にはならないと明言する等︑前述の面接交渉の推定のドグマが︑家
庭内の虐待や暴力に対する寛容さを生みだしており︑そのあり方に関し疑問の声が出はじめていたのである︒
折しも︑一九九六年に︑当事者に何らの離婚原因も求めることなく︑一ニカ月の待機期間後に離婚請求を認める改
正家族法(男po円巨目図い◎ぐく>Oけ一りり①)が成立し︑同法の施行準備のために組織された家族法諮問委員会(﹀住≦ωo曙
ゆo母α8国偉︒巨牙い価≦)が組織されていたが︑後述するように︑その作業部会としての児童法小委員会(O巨費8
>臼ωロ700日8葺ΦΦ)が︑家庭内暴力を伴う面接交渉事件に対する法的な対処の仕方についての検討を開始し︑九九
年の六月には︑この問題に関する意見聴取文書を公刊するまでにいたっていた︒そして︑これを皮切りに︑面接交渉
権を真に促進するためのそのあり方についての検討が重ねられることになり︑今日の立法の契機となった前述の白書
は︑まさにその成果にほかならなかったのである︒
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本稿は︑このような面接交渉権のあり方について︑近年のイギリスにおいてなされた検討過程を資料的にたどるこ
とによって︑イギリスの面接交渉権の今後の展開を展望しようとするものであり︑これを通じて︑わが国における面
接交渉権のあり方をもあわせて探ることを目的とするものである︒
(1)幻①炉幻Φ<噂幻Φζ︒︒巳幻㊦国[b︒80這閏ピ菊︒︒︒︒吟
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二 面 接 交 渉 に 関 す る 判 例 法 の 軌 跡
1一九八九年児童法施行後の家事事件の処理
児童法施行前には︑家族に関する事件は︑単独の裁判所において︑関連した問題につき一括した審理がなされるこ
となく︑治安判事裁判所(5P餌oq一ω什H四け①の,OO口同什ω)︑県裁判所(oo琶蔓ooo詳ω)︑及び高等法院(出碍げOo霞け)という
三つの別々のレベルの裁判所によって扱われ︑手続きも︑命令の効果も︑時には基準さえも異なって︑きわめて複雑
な判例法が生み出されていた︒また︑たとえば子どもに関してみれば︑地方自治体が子どもを保護する責任を行使す
ることに関連する﹁公法﹂ケースと︑家族メンバーが子どもの監護について争う﹁私法﹂ケースにおいて︑なすべき
権限も命令の効果も一致しなかった︒そして︑これらの問題点は広く認識され︑家族問題に関する管轄権を持った統
合された家庭裁判所の創設の必要性が主張され︑あるいは紛争の防止やコスト削減の観点からの手続きの簡易化の提
(1)案もなされていた︒
一九八九年児童法((︼p口α同Φ口諺o什一㊤Q◎り)は︑そのような事情をふまえつつ︑統合的な家庭裁判所の設置までには
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イ ギ リス にお け る面 接 交 渉 権 の 新 た な展 開 51
踏み込まなかったものの︑治安判事裁判所を改革し︑これに対して︑子どもの養育に関するすべての民事事項の﹁家
(2)族手続裁判所(け邑牙胃08Φ臼poqω︒o信昌)﹂としての管轄権を与えることを規定していた(9露)︒また︑ケースに
応じて︑裁判所の問で事件の移送を可能とするシステムを採用し︑より複雑な紛争をより上級の裁判所に扱わせ︑子
どもに関してのすべての手続きを一括して審理することを可能にしたのであった︒さらに児童法は︑面接交渉命令
(oo口$90a葭)をはじめとして︑禁止命令(只o巨ぼ9αo﹃αΦ﹃)︑居所命令(器ω冠窪80a興)︑そして特定事項命
令(超Φo庄2ωωgoa2)という一般に八条命令として知られている四つの命令を規定し(ψ︒︒(一)‑(拶)︑この﹁家族手
続(貯自貯胃ooΦΦα冒oqω)﹂において扱われるものとしたのであった(ψ○︒(ωY(ε)︒
こうして︑これらの命令を出す権限は︑家族手続裁判所︑県裁判所︑または高等法院において︑家庭内暴力︑離婚
手続きといった他の問題に関連してでも︑あるいは単独であっても︑行使されうることになった︒そして︑これらの
裁判所がする家庭裁判所としての仕事は︑当初︑児童法諮問委員会(0匿臼8︾︒け﹀傷三ωo昌Oo日巨幕ゆ)によって監
(3)視されるというかたちをとりながらも︑家族司法システム(国蝉巳牙冒ω什8Φω団ω9ヨ)として︑次第に円滑な運用を定
(4)着させていくことになったのである︒
なお︑一九九六年に︑一ニカ月の待機期間後に離婚命令(9<霞80aΦ同)の取得を認める離婚法の導入を中核と
する改正家族法(句鋤b鼠一くい四ぐ﹃L♪Oけ]﹁ゆりO)が成立したことは周知の通りであるが︑これを契機に︑児童法諮問委員会は︑
翌九七年に︑同法の施行への学際的なアプローチを促進することを主な任務とする家族法諮問委員会(︾α≦のo麸
切o鷲α8国四日ξピ餌≦)に組織換えされた︒ところが︑改正家族法は施行されないことが決定され︑同委員会は休業
状態となり︑家族司法システムの構造について学際的な議論をする場も失われてしまうことになった︒
そこで︑二〇〇一年四月に︑私法手続きの保護観察サービス︑公法手続きのための訴訟後見人パネル(oq舞﹁鼠き巴
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毎Φ日冨器芭︑およびオフィシャル・ソリシター局(○塗︒一巴Q︒畠︒ぎ﹃.ω∪8母§Φ彗)の児童部の各スタッフと各責任
が一緒になって︑家族手続きに対する福祉報告その他のサポートサービスを提供するための組織として︑児童・家庭
裁判所諮問・支援サービス(昏ΦO窪母Φ口山民勾鋤巳貯08簿﹀傷くδO曼⇔巳ω唇ロO﹃叶ω興註8(闘CAFCASS))が︑
(5)改めて結成されることになった︒そして︑この組織が︑後の面接交渉に関する改革において主要な役割を担うことに
なるのであり︑そのことを予めここで注目しておくことにしよう︒
2﹁面接交渉の推定﹂ドグマの形成.
イギリスにおいて・すでに充世紀以来承認されてきた面接交渉確明確に﹁子どもの基本権(げ聾邑二量Φ
(7)oゴま)﹂として宣言されたのは︑一九七三年の一判決においてであったとされる︒
(8)同判決は︑その権利たるゆえんを次のように述べる︒
﹁親たちが離別して︑その一人が子どもの監護権を持つ場合に︑他方による面接交渉はしばしば子どもに何らかの
混乱をもたらす︒しかし︑その混乱は通常は小さく︑表面的である︒子に関心を持つ親との接触を保っておくことの
子にとっての長期的な利益︑すなわち︑親が赤の他人になってしまわないようにし︑後の人生で子が置かれた境遇に
腹を立て良かれ悪しかれ自分を棄てたと考える親にそむかないようにし︑そして︑離れた親が子への興味を失い子へ
の物心両面の貢献をやめないようにすることは︑それにはるかに勝るものである﹂と︒
しかし︑この判決による権利宣言は︑父母が離婚または別居をした不幸な子どもたちにとってその福祉向上の出発
点になったとはいえ︑他方で︑面接交渉をめぐる父母問の争いの解決における裁判所の姿勢から徐々に柔軟性を奪う
(9)遠因を作ったことがしばしば指摘される︒そして︑後の裁判所の姿勢にみられるそのような傾向の直接の原動力とな
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ったのが︑一九八九年児童法成立後の一連の判決による﹁面接交渉の推定(真Φωロ菖旨80ho8δ9﹀﹂と呼ばれる
ドグマの形成であった︒
九八年児童法以前においては︑﹁例外的な状況を措けば︑非監護親との面接交渉は︑子どもの情緒的な健康という
利益において︑真の重要性をもつ﹂とか︑﹁子どもは︑法と自然の原理によって︑法律的あるいは生物学的な親との
(10)面接交渉から利益を得る権利を持っている﹂といったとらえ方が一般的であり︑一九八六年のロー・コミッションの
ワーキング・レポートにおいても︑当時の裁判所の態度について︑﹁親との継続的な面接交渉は︑大いに子の利益に
(11)なり︑可能なかぎり確保・保持さるべきであるとの見解が通常はとられる﹂と述べられているに過ぎなかった︒
しかし︑たとえば︑一九九二年の判決において︑﹁面接交渉の推定によってどんな肯定的な利益が得られることに
なるかを詮索する代わりに︑なぜ子どもが生来の父への面接交渉の機会を拒まれるべきかについての説得力ある理由
(12)の存在についてのテストが用いられるべきである﹂と述べられるまでに至っていたし︑さらに一九九五年の判決では︑
(13)﹁非同居親との面接交渉を持つことは﹃ほとんど常に﹄子どもの利益になる﹂ことが断言されてさえいたのであった︒
そのため︑薬物とアルコールの乱用で︑気性の統制力を失い︑安定したライフスタイルも欠いていて︑子どもへの潜
在的危険さえも認められる父につき︑面接交渉のもつ子どもにとっての利益を強調しつつ︑実施中の監視された面接
(14)交渉の継続を命じるというケースさえ登場することになるのである︒
しかも︑面接交渉についてのそうしたとらえ方は︑本来︑九八年児童法第一条㈲が︑﹁裁判所が︑子に関して︑本
法にもとつく一つまたは複数の命令を出すべきかどうかを考慮している場合には︑裁判所は︑そうすることが︑まつ
たく何らの命令も下さないことよりも子にとってより良好であると考えるときを除いて︑いかなる命令も下してはな
らない﹂とする規定によって宣言した﹁無命令の原理(8自◎興只5蝕b一Φ)﹂にも反することであった︒それにもかか
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わらず︑当時の裁判所は︑面接交渉が争われるケースに関しては︑命令を出すことが通常期待されているものと解す
るかのようにふるまい︑九四年の上訴裁判所判決では︑面接交渉の命令を下さなかった下級審裁判所を︑﹁責任放棄
(16)(きぎ島︒巴80=畠﹃Φωb8臨亀ξ)﹂となじることさえしたのであった︒
このような流れのなかにおいて︑裁判所は︑親子が対面することになる﹁直接的面接交渉(α一同①OけOO]P什poO什)﹂が不可
能ないしは不適切なケースについてすら︑父が子どもの福祉にとってあくまで重要であるという建前のもとに︑その
問題性の原因の如何にかかわらず︑何らかの監視下で実施される面接交渉(ω⊆b興≦ωΦα︒8富9︑あるいは手紙や電
話を通じてなす﹁間接的面接交渉(一]Pα一﹃ΦOけOObh⇔O什)﹂をしばしば命令するという実務を︑同時に確立していったの
(17)であった︒
3﹁なだめ難く敵対的﹂な母親像の形成
夫婦の離婚または別居後に︑子と生活をともにしてその監護にあたる親は母である場合がほとんどであり︑前述し
た﹁面接交渉の推定﹂が判例上形成されるにつれて︑他方で︑面接交渉の実施に強く反対する母親の態度について︑
﹁なだめ難く敵対的(巨b冨o弾三団げoω艶Φ)﹂とする形容の仕方が判例の上で定着し︑これが文字通り面接交渉そのもの
に敵対的な母親像の形成につながっていくことになった︒
この﹁なだめ難く敵対的﹂という形容語は︑当初は︑ある判決が︑﹁面接交渉に対する母のなだめ難い敵対性
(一bど)一§DO餌ぴ囲団げOω江一一叶唄)は︑各ケースの状況によっては︑子が両親の知覚の中で成長すべきだという前提から離れう
ることに対する説得力ある理由を提供する要因となる︒もし母の意思に反して=疋の面接交渉の受入れを強いると︑
母の態度が子どもを深刻な情緒的被害の危険にさらすことになる[からである]し︑この見方は福祉オフィサーから
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(18)も支持されている﹂としていたように︑面接交渉権に対しては中立的であって︑あくまで母親のとる強行的な態度そ
のものの表現として使われていたにすぎなかったのである︒
しかし︑この判決から数年後には︑はやくも︑﹁非妥協的︑不合理︑頑固︑非協力的であればあるほど︑わがまま
(19)を通せるはずだという考えが︑親に対して奨励され︑許容されることなどは以っての外﹂とさえ述べられていたし︑
同時に︑子と同居する父が母の子との面接交渉の主張に反対したケースにおいては︑﹁母たちは裁判所により面接交
(20)渉を拒否され︑父たちは﹃なだめ難く敵対的﹄であるとは言われなかった﹂とされるように︑母に特有の問題とされ
ていったのであった︒
とはいえ︑母親の面接交渉に対する反対の理由として︑父側の暴力が挙げられることが少なくなく︑これが︑説得
力ある理由になるかどうかが︑当時においてあわせて問題にされていた︒しかし︑判例は︑﹁なだめ難く敵対的﹂な
母親像の形成に取り込まれるかのように︑この問題の深刻さをほとんど無視するかのような動きを見せていた︒すな
わち︑たとえば︑婚姻中に妻に対する暴行で有罪判決を受けた夫による離婚後の子との面接交渉の請求について︑こ
れを拒否する母のした健康への危険の主張は︑﹁子どもにその父を決して会わせないことを事実上意味する厳罰主義
(21)的な命令を出すべきであるということを裁判所に信じさせるのに十分な説得力がない﹂とするもの︑あるいは︑アル
コールや薬物を濫用し︑暴力事件で投獄された後に母親との関係を絶った未婚の父に︑市裁判官(同ΦOO﹃αO同)から毎
月一時間だけ認められていた監視つきの面接交渉に関し︑これまでの経緯から生ずる母の恐怖心にもとつく中止請求
さえも︑﹁なだめ難い敵対性﹂の問題としてカテゴライズされ︑面接交渉自体が監視つきであること︑子どもが面接
交渉を楽しんでいて︑それが不利に影響しているという証拠のないことから︑﹁母の父への憎しみと面接交渉への彼
(22)女の非妥協的な(一鵠け村降oコω一ぴqΦ Pけ)反対は︑面接交渉の中止を正当化できない﹂とするものなどの判決が相次いで出さ
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(23)れたのであった︒
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4命令違反者に対する法廷侮辱罪の適用
(24)八九年児童法施行前のある判決が︑﹁通常︑監護親が裁判所による面接交渉の命令を守ることを断固として拒否し
た場合に︑裁判所はその命令を強制するために効果的なサンクションを持っていなかった︒必要ならば︑最後の手段
として︑法廷侮辱での刑罰の予告と刑務所への収容をもって強制することができたが︑監護親が他の親に面接交渉を
認めることを拒否するからといって︑その親に刑務所へ行くことを要求することは︑子の福祉からいって稀であった﹂
と述べるように︑児童法以前でも︑面接交渉命令は出されていたし︑これに従わない者を法廷侮辱罪で処罰すること
はできたものの︑子どもの利益の観点からして望ましくないと考える傾向が強かったことは確かであった︒現に︑一
九八四年に出された二件の判決は︑﹁母を刑務所に入れた人というレッテルが自分の父に貼られることになれば︑子
(25)どもたちが傷つくし︑明らかに無益なことである﹂︑あるいは﹁命令違反による侮辱罪の手続きを開始する前に︑他
(26)のすべてのコースが考えられあるいは試みられるべきである﹂と︑それぞれ述べていたのである︒
なお︑右に引用の九〇年判決は︑当該受理事件について︑もし母が頑固なままならば︑父への監護の移譲を考える
べきだとも述べており︑監護者から非監護者への監護権の移譲というサンクションも考えられていたことを示すもの
でもあるが︑それ以前において実際にこれを命じた判決例は見当たらない︒
ところで︑裁判所の命令に従わない場合に科しうるとされる法廷侮辱とは︑通常は︑廷吏や福祉オフィサーに暴行
を加え︑あるいは手続きの進行を妨害または阻止するなど︑﹁裁判官の面前における侮辱(oo再Φ日宮ぎ些Φ富80﹄
昌Φoo霞什)﹂と呼ばれる場合を指すが︑特定の行為をするかあるいはそれを禁止する裁判所の命令に違反する場合も
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含まれている︒そして八九年児童法八条が︑いわゆる八条命令の一つとして面接交渉命令を規定したことから︑面接
(27)交渉命令の違反者も︑法廷侮辱罪の対象となることが明確化されることになった︒
前述のように︑母が面接交渉に反対することを不合理とする受けとめ方が広がるにつれて︑次第にこの反対に対す
る現実の制裁という方向への動きが顕著となっていき︑母は︑子どもの福祉に対する脅威を生み出す﹁悪い﹂存在と
なり︑裁判所が下した面接交渉命令に従わない母が然るべき制裁を課されることを正当とみるという考えが強くなっ
ていっていったのであった︒そして︑一九九五年の判決では︑児童法の規定は﹁そうすることが子どもの福祉を促進
すると判断される場合に︑子どもと非監護親との間の面接交渉を確実にする効果のある命令をする広範かつ包括的な
権限を付与している﹂としたうえで︑裁判所は﹁面接交渉の命令を強制する権限をもっているのであり︑そうするこ
とが︑総じて子どもの福祉を促進すると判断する場合には︑この権限を行使することをためらうべきでない﹂ことが
(28)強調されていたのであった︒そして︑﹁子どもとの面接交渉を要求する裁判所命令の悪質な違反のために母を牢獄に
入れるかどうかを考える時に︑子どもの福祉は不可欠な考慮事項ではあるが︑至上の考慮事項ではない﹂として狂暴
(29)な父との監視された面接交渉命令の違反による彼女の投獄命令に対する母の上訴を棄却する判決︑﹁親が別れた場合
に︑他の親との面接交渉を持つことはほとんど常に子どもの利益であって︑非妥協的な母にもこれを拒否する権利は
なく﹂︑﹁面接交渉の実現を助け︑裁判所の命令に従う明確な義務がある﹂からとして︑﹁子どもたちにその考えに反
することを効果的に教え込むことによる面接交渉の妨害﹂を認定して︑投獄命令を不服とする母の上訴を棄却する判
(30)決が︑これに続くことになったのであった︒
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5家庭内暴力のからむ面接交渉事件に対する裁判所の姿勢の変化
白人の母が婚姻外の子と家庭内暴力から関係破綻した黒人父との面接交渉を拒否したために父からされた面接交渉
および親責任命令の申請につき︑県裁判所が︑﹁母が自分と子への暴力を真に恐れている﹂ことを認定し︑申請の時
期尚早を暗示しつつ却下した事件について︑父からの上訴を受けた上訴裁判所は︑人種的偏見を強調する父の主張を
否認しつつ︑父の暴力に対して母のいだく真の恐れを認定し︑面接交渉が現在子の最良の利益ではないと断定する十
(31)分な証拠が存在するものとして上訴を棄却する判決が︑一九九七年に公表されたのである︒そして︑この判決は︑
﹁﹃なだめ難い敵対性(巨bド8三団ゲoω岳謬団)﹄の用語は︑面接交渉の反対に正当な理由を識別できない﹂ケースで用
いられるべきで︑そこでは︑裁判所は︑﹁面接交渉を命令することに深刻な危険が存在すると確信できた場合にのみ﹂
面接交渉を否定するが︑その他のケースでは︑﹁親は︑純粋かつ合理的に︑子または親自身にとっての不安を有して
いる可能性があり﹂︑それを認定すべきことを指摘したのであった︒
この判決を契機に︑事態に微妙な変化が見られるようになった︒すなわち︑翌年に出された判決では︑父が殺人に
ょる終身刑での投獄当初から始められた二人の子の二ヶ月ごとの面接交渉につき︑別の男性との婚姻を控える状況下
の母から︑父の影響が子を不安定にするだけとの強い反対があるため︑学校の成績表と写真のコピーの提供と︑毎月
のそしてクリスマスと誕生日のカードの送付という間接的面接交渉を許す治安判事により改めてなされた命令につい
て︑これを不服とする父の上訴に対して︑﹁母の敵対性に合理的な理由がない場合でさえ︑母の敵意に照らして︑そ
れが子どもに深刻な感情的な害の危険を生むと考えられるならば︑面接交渉は拒否されてもよいし︑敵対性が合理的
であれば︑敵対性自体が拒否するための重要な要素となり︑決定的な理由ともなりうる﹂旨が述べられ︑母への害を
(32)通して父が子どもに危害をもたらすという理由でも面接交渉の否定がありうることを認めるのであった︒
(21.6)
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さらにその翌年の判決は︑離婚後︑父が︑母と生活する二歳になるわが子を誘拐して投獄され︑出所後に面接交渉
を求めたところ︑専門家の報告をもとに年三回各二時間の監視された面接交渉セッションをもつという同意命令
(OO]PωΦ]口けO同αΦ同)が出されたため︑母が︑ニセッションだけで面接交渉を終らせる命令への変更を求めたのに対し︑
上訴裁判所は︑﹁母の敵対性は︑誘拐だけでなく︑関係破綻の間の父の彼女への暴力によって浸み込んだ︑正当な恐
れと心配であって︑母は︑面接交渉に︑非常に大きなストレス︑理解不能︑制御不能な感覚をもつのは明らかであり︑
子ども自身にとっても面接交渉を楽しむことに罪を感じるのは明白であって︑もし直接的接触が継続すると︑子ども
は深刻な情緒的被害を生ずるレベルのストレスを経験することになり︑そのような面接交渉セッションがうまくいけ
ばいくほど︑逆説的に︑子どもが母の心配に対処するのがより困難になる﹂として︑直接の面接交渉の代わりに間接
(33)(34)的面接交渉を命じ︑必ずしも合理的とはいえないいわば純粋の心配を受け入れているのであった︒
(1)のζbおBΦざ﹂家まpωωo口俸即しd巴塁出賃器㌔鳳目o嘗Φωo臨国p邑ξ冨ヨ澤げΦ倉(Qり≦ΦΦけ律と曳≦9卜︒OOb︒),まP
(2)一九九二年に︑治安判事裁判所は︑内務省(閏o日Φ○庄8)から︑大法官府に管轄が移されている︒
(3)浮かび上がった組織体(些ΦΦ日窪oqΦ耳ω自09霞Φ)とされる﹁家族司法システム﹂については︑ζ興く導竃霞︒げきαUoロαq冨ω
国08Φ①き臼げΦ局曽邑ξ言ωけ言Φω甥宙ヨス国帥蛍ξ8≦一りりN)参照︒
(4)なお︑大法官府児童法小委員会(O匡母魯>Oけω呂‑8ヨ巨けけΦΦ目(CAS))の家庭内暴力の伴う面接交渉命に関する報告書は︑
面接交渉命令のみに関する記述ではあるが︑申請は︑家族司法システムのすべてのレベルで審理され︑家族手続裁判所においては︑
素人裁判官と有給の治安判事によって︑県裁判所においては︑選ばれた巡回裁判所判事(ω①一Φ9巴︒一言二詳言α︒qΦω)︑地方裁判所判
事(亀ω三︒こ巳oqΦω)︑レコーダー(器8﹃αΦ同ω)︑アシスタント・レコーダー(pω︒・一ω富算器ooa霞ω)によって︑そして︑高等法院
の裁判官によって︑それぞれ審理され︑さらに︑ロンドンでは︑その申請は︑主要登録所判事(凸ω鼠9冒αoqΦωoh夢Φ勺ユロ06巴
幻Φα毎幹昌)によっても審理されるとされている(↓げ①︾q≦ωo藁ゆo舞山oコ司9巨ξ冨芝"0ぼ匡話コ>9ω自σ60日ヨ葺Φρ﹀器bo詳8
9ΦいoaO匿口o巴自8叶けΦO器ω訟80h牢Φ口芭Oo口富〇二 O霧Φω≦竃冨窪窪ΦδUo日o︒・曹≦oげ目ρ﹀宕8α粛N冨臣一●一).
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{217)
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(6)川田昇﹁イギリスにおける面接交渉権の歴史的考察(})﹂神奈川法学八巻三号(一九七三年)一頁以下参照︒
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(17)監視下の面接交渉については︑幻Φ℃(﹀竃冒oO(08富oOロリ⑩止悼団U幻ω刈ド閑①勺(Oo口霊oけG︒弓興≦ωδコ)ロ8Ω卜︒﹁い菊舘声な
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(20)バーネットは︑一九八〇年から一九九七年の間に二つのケースが報告されているというものの︑ケースを具体的に特定してはい
ない(﹀時冨目Φゆ母昌Φ拝Oo⇔けpo什きαUo琶Φω什け≦9Φ昌o臼日げΦHαΦ90σq言巴豆≦αρヨ日しd村建αqΦ日ききαU.ζo⇔犀Φ9閏Φ自巳ω叶
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(23)バーネットは︑一九八九年児童法の導入した﹁親責任﹂の概念は︑﹁現行の家族法を下から支え︑すべての親にその子の利益を熱
望させる規範として︑﹁永久の両親による子育て(b霞日彗Φ昌含巴b震⑦曇一口包﹂のイデオロギーを呼びだした︒しかし︑この親責
(218}
イ ギ リ ス に お け る面 接 交 渉権 の 新 た な展 開 61
任の概念が果たしたことは︑親たちにその子に対するより多くの責任を﹃取らせる﹄ことでなく︑非同居の父との面接交渉を許す
母の﹃義務﹄をより熱心に課すことのできるイデオロギーの活動領域を作ったことに尽きる︒親責任を下から支えるのは︑安全で
親しみやすい男性のイメージであり︑それは面接交渉の分野で優位を占め︑母が︑﹃危険な﹄男らしさのイメージを持ち出すことを
非常に困難にした﹂ことを指摘する(bd貧口Φ罫oU・o搾b畳置ρ)︒
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(27)なお︑法廷侮辱罪に対して科しうるペナルティ:には投獄または罰金があり︑その上限は裁判所によって異なる(Oo耳Φ日冥9
02醇︾臼一り︒︒一)︒投獄は︑高等裁判所(霞ゆqけOo霞叶)または巡回裁判所(Ω8鼻O︒霞ひ)では︑最長二年であるが︑治安判事裁判
所(ζ卸ゆq聾冨富帆Oo霞叶)では︑最長一ヶ月までである(いずれも執行猶予はある)︒罰金の場合には︑高等裁判所と県裁判所
(Oo仁 昌Oo目Oは︑無制限の権限を有し︑治安判事裁判所では二︑五〇〇ポンド以下という制約がある(↓冨﹀α≦ωo麸ゆo母住
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(33)幻Φ図(08富oけζo皆亀ω﹀口凶Φ蔓)ロ㊤8︼卜︒勺ヒ幻ざ曽
(34)バーネットは︑それにもかかわらず︑これらのケースから生じている二つのポイントは注意されるべきであるとして︑第一に︑裁
判官たちは面接交渉への敵意につき﹃妥当﹄と﹃不条理﹄の間にはっきりした区別を引いている︒ただし︑母の不安が正当化され
るかどうかを決定する﹃合理性﹄を持っているのは︑いまだ母ではなく︑専門家たちである︒第二に︑司法の姿勢のこれらの変化
にもかかわらず︑ケースは明白に面接交渉の圧倒的な重要性に無条件にお墨付きを与え続けており︑それらが家庭内暴力を伴って
いる場合でさえ︑﹃面接交渉びいき﹄推定はまだ最近の多くのケースで見ることができるとする(ゆp︒ヨΦ#ob・9けも.崔︒︒)︒
神 奈 川 法 学 第39巻 第2・3号2007年 62 {2×9}
三 家 庭 内 暴 力 を 伴 う 面 接 交 渉 事 件 の 処 理 の あ り 方 の 検 討
1家族法諮問委員会児童法小委員会による意見聴取の実施
かつて︑論じたように︑イギリスでは︑一九八〇年代に︑児童虐待が﹁発見(伍一ωOOぐ・Φ同)﹂されるとともに︑この問
(1)題は︑にわかに世間の広い関心の対象となり︑一九八九年児童法成立の原動力ともなった︒そして︑父による子のみ
ならず母自身に対する暴力を理由として父が求める子との面接交渉の承認を母が拒否する事例も︑裁判に登場するこ
とになったものの︑前節で指摘したように︑当時︑面接交渉に関する判例において進みつつあった﹁なだめ難く敵対
的﹂な母親像の形成に取り込まれるかのように︑家庭内暴力の主張自体が︑子の権利として確立しつつあった面接交
(2)渉について︑その拒否を正当化するだけの説得力ある理由として直ちに認められたわけではなかった︒
しかしながら︑前述した一九九七年の一判決を契機に︑家庭内暴力を伴う面接交渉事件に対する従来の裁判所の態
度に対する反省の機運が見られるようになり︑それを歓迎する立場や︑一層の態度変更を求める議論も起こり始めた︒
しかも︑他方で︑大胆な離婚法改正法として一九九六年に成立した前述の改正家族法が︑離婚または別居の命令を
出すに際し︑﹁反対の証拠のない限り特別な尊重をはらうべき一般原理としての子の福祉の最大限の実現﹂を図る具
体的施策の一つとして︑﹁親責任を有する親および他の家族との定期的な面接交渉(おoq三震8彗p︒9)﹂を規定してい
(3)たこともあって︑前述の家族法諮問委員会は︑高等法院家事部(筈Φ守巳ぐ∪三忽80津9目︒qげOo霞什)のウォール
判事(↓プΦ缶8自9︒σ一Φζ﹃冒ω匡o①芝9︒一一)を議長とする児童法小委員会(9Φ0げ一一脅8>9ω⊆σ60ヨ巨#ΦΦ(11CA
SC))を組織し︑家庭内暴力を伴う面接交渉事件についての今後の実務的処理のあり方についての検討作業を開始
した︒
(220)
イ ギ リス に お け る面 接 交 渉 権 の 新 た な 展 開 63
そして︑同小委員会は︑面接交渉の申立てにからむ家庭内暴力の問題は︑現行法の枠組みの立法的変更でなく︑委
員会が提案する実務ガイドラインによる補強で解決するという基本方針を決定し︑検討対象となる問題に関する質問
と︑右の委員会の基本方針の賛否を問うかたちでの意見聴取文書(6けΦOo霧乱富江8勺巷興Oo葺降︒9じdΦ暑Φ魯
Oげ α話⇔きO≦oδ旨勺四同Φ葺ω"月げoρ信Φωま昌oh勺⇔同Φヨ巴Oo 蜜〇二昌○霧Φω≦げ興Φ9Φ器尻Uo日Φωけ8≦9Φ昌oΦ)を九
(4)九年六月二二日に公刊し︑広く各方面からの意見聴取を実施した︒
(5)こうして︑同小委員会は︑同年一一月一日を締め切りとして受理した二二〇件の回答についての検討を経て︑右の
問題に関する報告書案を二〇〇〇年二月末に大法官に提出したうえで︑付属文書を含め九九頁からなる正式の報告書
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を三月二三日付けで公刊した︒
2家庭内暴力がからむ面接交渉事件の処理に関する各界の意見
そこで次に︑右の意見聴取文書による主な質問とこれに対する回答に関する報告書による分析について︑質問ごと
に少しく考察しておくことにしよう︒
冒頭の質問は︑﹁子の福祉は︑反対の証拠がないかぎり︑次のことで維持しうるという一般原理には賛成か﹂とし
て︑﹁(1)親その他の家族のメンバーとの定期的な面接交渉を持つこと﹂および﹁(2)その親と可能なかぎり良好
(6)な継続的関係を維持すること﹂の二項目を挙げる︒
これは︑前述の﹁面接交渉の推定﹂と呼ばれる面接交渉が子の利益であることをドグマのごとく大上段に掲げるも
のとして批判されがちだった判例の態度についての意見を求めるものであると同時に︑前述の一九九六年改正家族法
神 奈 川 法 学 第39巻 第2・3号2007年 64
(221)
一一条の規定の表現をそのまま用いることによって︑それが一旦は立法上の承認をも受けている態度であることをア
ピールする意図をうかがわせる質問であった︒
報告書は︑回答者の圧倒的多数がこの原理に賛成したとするが︑しかし︑質問文中の﹁反対の証拠がない﹂の文言
を︑﹁家庭内暴力の主張(巴帯oq蝉岳o⇔ω)が存在しない﹂と理解(誤解?)したうえで︑という譲歩つきであることを明
(7)言している︒
そして︑女性団体を含む女性の代表的意見として︑﹁もし﹃面接交渉﹄の概念が子の特定の需要とマッチすること︑
特にその面接交渉が安全で︑虐待を経験しあるいは家庭内暴力にさらされた子どものためにも有意義であることを確
(8)実にするという必要を満たすだけの柔軟性があるのならば︑その原理は健全﹂︑あるいは﹁家庭内暴力の子どもに対
(9)する危険の決定的な証拠を挙げることは困難﹂といった回答が紹介されている︒また︑男性からは家庭内暴力の主張
につき︑刑事犯罪に用いるような合理的な標準から出発すべきとする意見の存在も指摘しつつ︑その立場は採りえな
(10)いとする判断を示す︒他方で︑質問にある一般原理は︑﹁面接交渉は必然的に子どもの最良の利益とする証拠のうら
(11)づけのない仮定を公式化した作り物﹂として支持しないという少数の見解も紹介している︒
次に︑もっとも核心の質問として︑﹁裁判所が︑父母の関係崩壊後の親子の面接交渉の重要性に過度の重点を置き
すぎると思うか︒また︑そのことが︑面接交渉の申立てにからむ家庭内暴力問題への裁判所の適正な取組みを阻む結
(12)果となっていると思うか﹂が聞かれている︒
この質問に関して︑報告書は︑﹁意見は分かれたが︑明白だったことは︑答えが﹁はい﹂の回答が各方面︑とくに
(13)多数の専門家組織および児童保護団体からから寄せられた﹂ことを明らかにする︒そして︑﹁安全に世話をされ︑保
護される子の利益より︑むしろ︑動機に疑問もありうる別かれた人の子との面接交渉を維持する﹁権利﹂がしばしば