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横幹〈知の統合〉シリーズ  カワイイ文化とテクノロジーの隠れた関係

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Academic year: 2021

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【書評】

横幹〈知のシリーズ〉編集委員会 編

横幹〈知の統合〉シリーズ  カワイイ文化とテクノロジーの隠れた関係

東京電機大学出版局 128頁 2016年 定価1,800円+税 ISBN: 978-4-501-62960-1

本書は,横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連 合)が企画した〈知の統合〉シリーズの一冊である.

「文化とテクノロジー」の「隠れた」関係を論じてお り,しかも対象は「カワイイ」と大変挑戦的な書籍で ある.書名にあるように,本書では一貫して「カワイ イ」を対象とし,歴史学,文化論,技術論,経済学と 多面的に捉えている.

本章は全部で6章から構成されている.なお,章間 の相互関係について「はじめに」にまとめられている ので,各章をお読みいただく前にぜひ関係図をご覧い ただければ全体の構成が把握できると思う.以下で概 要を紹介したい.

第1章では,「カワイイ」の歴史的な価値の変遷に ついてまとめられ,海外での受容のされ方についても 紹介されている.“kawaii”はcuteやcool,beautiful といった同義語と思われる英単語とは微妙に異なる意 味・意義をもっており,この感覚的な違いが今では広 く世界で認識されているということである.第2章は

「カワイイ」を工学的にどのようにアプローチするか についてまとめられている.特に,対象に対する生体 の反応をできる限り客観的に取得しようと,五感が得 るシグナルと評価との関係について論じられている.

第3章では複製を前提とする日本のコンテンツを日常 系と捉え,それが江戸時代以前までさかのぼれると主 張している.「カワイイ」の本質は何であるかという ことに迫る大変積極的な議論である.第4章は,最近 さまざまな地域で企画されているローカル・キャラク ターについてまとめられている.これらのキャラク ターの共通する特徴が「カワイイ」であり,マスコッ トとして活躍することで,地域活性につながることが 期待されている.こうしたローカル・キャラクターの

経済活性化への影響について分析されている.第5章 はアミューズメントセンターなどに設置されている業 務用ゲーム機について,「カワイイ」を扱うインタラ クティブ・メディアについて述べられている.こうし た場所に女性が多く来店するようになった経緯や,今 後の方向性について論じられている.第6章では,特 に歌唱の録音・複製技術が「カワイイ」歌声をどのよ うに生み出してきたかを,特に童謡を事例としながら 考察している.

実際,われわれの周りでも「カワイイ」のような感 性は心理学的な面だけでなく,経済・経営領域とも大 きくかかわっている.写真投稿SNSInstagramで は「#カワイイ」というハッシュタグがあり,ハッ シュタグで検索すると30万件以上の投稿が確認でき る.それらを見てみると日常生活での「カワイイ」も のばかりでなく,今購入したばかりのファッションア イテムや料理といったさまざまなものが発見できる.

ちなみに「#かわいい」というハッシュタグも別にあ り,こちらは500万件がヒットするが,投稿されてい る画像のテイストが「#カワイイ」と多少異なる感じ がある.また,「#kawaii」というハッシュタグなら ば検索結果は1,900万件を超え,その多くが海外から の投稿と思われ,“kawaii”の市民権の大きさがよくわ かる.今後はこうした感性情報をいかに経済活動もし くは企業活動に取り入れていくか,そのためにどう いった分析や評価が必要となるか,こうした問題解決 のためには,感性工学の範疇だけではなく,統計学や ORといった,一見異分野の学問領域の出番なのかも しれない.新たな研究領域としてご興味をもたれた方 はぜひご一読いただきたい.

(生田目 崇)

参照

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