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博 士 ( 医 学 ) 西 川 学 位 論 文 題 名 Optimal Oxygen Tension Conditions for Functioning Cultured Hepatocytes in Vitro

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 医 学 ) 西 川 学 位 論 文 題 名

Optimal Oxygen Tension Conditions for Functioning       Cultured Hepatocytes in Vitro

( 初代 培養肝 細胞の機 能発現に 対する酸 素環境の 影響に関す る研究)

学位論文内容の要旨

    |,目  的

  急性 肝不全に対 する血漿 交換・吸 着療法等は、治療成績向上に寄与している。しかし、

これ らの方法は 多岐にわ たる肝臓 機能をす べて代償するものではなく、満足できるもので はな いぃ唯ー肝 移植に確 実な効果 を期待で きるが、社会的背景の整わない本邦では脳死肝 移植 は不可能な 現状であ り、また 欧米でも ドナ一不足が深刻な問題となっている。そこで 近年 培養肝細胞 を用いた ハイブリ ッド型人 工肝の開発が進んでいる。人工肝が臨床応用さ れる ためにはシ ステムの 機能向上 が最重要 課題である。従来より肝細胞は酸素依存性と言 われているが、初代培養肝細胞を用いる際の至適酸素環境についての言羊細な検討はない。

より機能的なハイブ・リッド型人工肝の完成を目指し、酸素環境が培養肝細胞機能に与える 影響について検討した。

    II.方  法

1.ラット肝細胞の分離・精製

  6〜8週 齢 のWistar系雄 性 ラ ット よ ルコ ラ ゲ ナー ゼ 潅流 法 に より 肝 細胞 を 分 離、10% ウシ 胎 児 血清 を含むWiIIiams E培地に分散 し、コラ ーゲンコ ―トした35mmプラステ ィツ ク デ ィ ッ シ ュ に2x10   cells/0.2ml/cm の細 胞 密度 で 播 種し た 。37℃ ,20%02, 5%C02の条件 下に2時間 培養し、 肝細胞が ディッシ ュに接着後 、7  n呂/mlヒ1上皮性増殖 因子を含む無血清培地に交換し、以下の実験群を設定した。

2.実験群

  |群:5%02群(n 8)、|1群: 10%02群(n 8)、川群:20%02群(対照群、n 12)、IV 群:50%02群(n=8)、V群:90%02群(n=8)。

各酸素相は02―C02マルチインキユペーターにて制御し、他の条件は37℃、5ft6CO;で同一とし た 。1日 目 、3日 目 に 上記 の 無血 清Williams E培 地を 交 換し 、5日 間 培養 を 継続 し た 。 3.検討項目

  1) 位 相 差顕 徹 鏡下 に 経 時的 に 形 態学 的検討 を行った 。2)接着 細胞数の 指標とし て肝 細胞内DNA量 をジアミ ノインド ールを用 いた螢光 法により測 定した。3)肝細胞代謝能とし て糖新生 能および 尿素合成 能はグル コ―スオ キシダーゼ ・パーオ キシダ―ゼ法、ジアセチ

一 ―257 ‑

(2)

ルモ ノオ キシム 法で 測定 した 。4)エネルギーレベルの指標としての肝細胞内ATP量はパイ オル ミネ ッセン スア ッセ イで 測定 した 。5) 酸素 障害 の指 標としての肝細胞過酸化脂質は TBA(thiobarbituric acid)法で測定した。6)細胞障害の指標としてLDH逸脱量をジホルマ ザン比色定量法により測定した。

    川.  結果

1) 位 相 差 顕 微 鏡 像II〜IV群で は、 肝細 胞は 培養 開始 後24時間 以内 に飽和 密度 の単 層を 形成 し5日 問維 持し たが 、I群 では多くの細胞が死滅・脱落し、遺残した肝細胞は伸展せず 細胞 形態 は不明 瞭で あっ た。V群 では 細胞の 空胞 状変 性が 著明 であ った 。2) 肝細 胞内DN A量DNA量 はすべ ての 群で 経過 とと もに 減少 した が、 特に |群は培養1日目から有意に低値 であ った 。3) 糖新 生能 ・尿 素合 成能 糖新生 能はII〜IV群 では差異はみられなかったが、

V群で は低 下し てお り、1群で は培 養期 間を 通じ ほと んど 認め られ なかっ た。 尿素 合成 能 はII〜IV群では2日目にヒークを持ち、同様の傾向を示したが、V群、1群はともに有意に低 下し てお り、特 にV群で は2日 目よ り急 激に 低下 した 。4) 肝細胞内ATP量ATP量は低酸素群

(I、II)においては低値であったが、高酸素群(IV、V)では終始高値にはならず、むしろV 群に おい ては2日目 以降 急激 に低 下し た。5)肝 細胞 過酸 化脂 質脂 質過酸 化は 酸素 濃度 に 比例 し高 度とな り、 特にV、 |群 では それぞ れ有 意に 高値 、低値を示した。6)LDH逸脱量 培 養 開始 後2時 間 で はII群 で有 意に 抑制 され たが 、24時間 後で は川 群が最 も低 く、 低酸 素 、 高 酸 素 に な る に 従 い 上 昇 し 、 I群 、 V群 で は 有 意 に 高 値 で あ っ た 。

    IV.考  察

  哺乳 動物 にと って 酸素 は細 胞の 活動 性を維 持す るた めには必須のエネルギ―源である。

― 方、 近年 活性 酸素 種に よる 細胞 障害 が明ら かに され 、酸素毒性が注目されている。今回 の研究では5〜90%の酸素濃度下での培養肝細胞機能を評価した。

5%の 低酸 素相下 では 、培 養初 期よ り細 胞形 態が 維持 でき ず、 肝細 胞独自 の代 謝能 が発現 さ れな かっ た。 これ は、 低いATPレベルに起因すると考えられた。特に肝細胞の分離段階で 加 わっ た物 理的 ・化 学的 障害 から 回復 するに 足る エネ ルギ一供給の不足が肝細胞の機能の 発 現 ・ 維 持 を 不 可 な ら しめ た主 因と 思わ れた 。ま た90%酸 素相 下で は、 過多な 酸素 がエ ネルギーレベルの向上には寄与せず、過酸化脂質量に示される酸素障害が細胞に蓄積され、

培養半ばより急激な機能低下を来すと考えられた。

以 上 の 結 果 か ら 、10〜50% の 酸 素 濃 度 が 培 養 肝 細胞 機 能 を 発 現 す る う え で 適 切 な 酸素 環 境と いえ る。 なか でも20% の通 常の 空気相 に近 い酸 素濃 度が 酸素 のmeritを 生か し、de meritを 抑 制 し 、 最 も 機 能 を 良 好 に 発 現 で き る 至 適 環 境 と 判 断 さ れ た 。   in vivoで 肝 臓 は 肝動 脈 と門 脈か らの 血液 供給を 受け る。 肝動 脈の 酸素 分圧 が約95mmH g、 門 脈 の そ れ が 約50 mmHgであ り、 その 血流 比か ら肝 内の 酸素 分圧 は約60mmHgであ る。

―方、in vitroでの至適酸素環境を理論上計算すると、培地中の分圧値は約150mmHgとなる。

こ の差 異の 理由 は、 血液 中に は溶 存酸 素以外 にへ モグ ロビンと結合した形態で酸素が含ま れており、実際には分圧値以上の供給能が潜在していること、静置培養では培地表面での接 触 によ り酸 素が とり こま れ、 培地 中に 酸素の 濃度 勾配 が生じ、実際に肝細胞と接する培地 中 の分 圧は 理論 値よ りも 低い 可能 性が あるこ とで 説明 されうる。このことより、酸素供給 法、培養方法により至適酸素環境は異なることが予想される。

V. 結   

(3)

  酸素環境が初代培養肝細胞の機能発現に与える影響について検討し、以下の結諭を得た。

1.通常の空気相に近い20%の酸素濃度が、培養肝細胞機能を最も効率的に発現する至 適酸素環境であると考えられた。

2.人工肝装置としての潅流培養システムを開発する場合の酸素供給法は、細胞密度・潅 流 量 ・ 潅 流 速 度 な ど を 考 慮 に 入 れ て 決 定 す る こ と が 肝 要 と 考 え ら れ た 。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Optimal Oxygen Tension Conditions for Functioning       Cultured Hepatocytes in Vitro

( 初 代培 養 肝細 胞の機能 発現に対 する酸素 環境の影響 に関する 研究)

  従来よ り肝細胞 は酸素依 存性とい われている が、ハイ プリッド 型人工肝 のパイオ リアク ターと して培養 肝細胞を 用いる際 の酸素環境 について の詳細な 検討はな い。より 機能的な ハイプリ ッド型人 工肝の完 成を目指し、酸素環境が培養肝細胞機能、に与える影響について 検討した 論文であ った。

  研 究 方法 は まず コ ラ ゲナ ー ゼ灌 流法により 分離した ラット肝 細胞を用 い、5%、10%、

20% 、50% 、90% の 各 酸 素 相 下 に5日 間 培 養 し 、 以 下 の 項 目 に っ き 検 討 し た 。 @ 位 相 差 顕 徽 鏡 像 、 @ 肝 細 胞 内DNA量 、 ◎ 糖 新 生 能 、 @ 尿 素 合 成 能 、 ◎ATPレ ペ ル 、 ◎ 脂 質遇酸化 、◎LDH逸脱 量。

  10〜50% 酸 素 下 に 培 養 す る こ と で 肝 細 胞 は 良 好 に 機 能 し 、 な か で も20% の 通 常 の 空気 相 に 近い 酸 素濃 度 は 細胞 障 害を最も抑 制した至 適酸素環 境である ことが判 明した。5

%の 低 酸 素濃 度 では エ ネ ルギ ― レペ ル の 低下 に よ り、 ま た90% の高酸素 濃度では 酸素障 害が高度 で、培養 肝細胞機 能は不良 であった。

  Hjyazakiら は10% 酸素 濃 度 下で 培 養肝 細 胞 の生 存 率 が最 も良好 であると 報告した 。ま たHillerらは ハイブリ ド―マ細 胞は低酸 素下で最も 増殖能を 示したが 、抗体産 生に関し て はより高 い酸素濃 度下で良 好であったと報告した。Hochaそhkaは低酸素は細胞の活動性を低 下させ ることで 生存を維 持すると した。これ らの報告 から肝細 胞の維持 には低酸 素が適し て い る が 、 効 率 的 に 機 能 す る に は 通 常 の 空 気 相 が 至 適 で あ る と 推 察 さ れ た 。   in vivoで は肝 内 の酸 素 分 圧は 約60mHgに対し 、今回のin vitroで の至適酸 素環境下 の 培地 中 の 酸素 分 圧は 約150 mmHgで あっ た 。こ の 差 異の 原 因と して、生 体中では 溶存した 酸素以 外にヘモ グロビン と結合し た形態で酸 素がふく まれてお り実瞭に は分圧値 以上の酸 素供給 能が潜在 している こと、さ らに酸素化 された血 液が循環 している こと、ま た静置培 養では 培地表面 から酸素 が取り込 まれ、培地 中に酸素 勾配が生 じ、実際 に肝細胞 と接する 培 地 の 酸 素 分 圧 は 理 論 値 よ り も 低 い 可 能 性 が あ る こ と な ど が あ げ ら れ る 。   以上よ り、酸素 環境が培 養肝細胞 機能に与え る影響に ついて検 討し、静 置培養に おいて は通 常 の 空気 相 に近 い20% の 酸 素濃 度 が培 養 肝 細胞 が 最も 効率 的に機能 する至適 酸素環 境であ ることが 判明した 。しかし ながら、人 工肝装置 としての 潅流シス テムにお いては、

260 ‑

彦 康

秀 一

邦 富

慶 純

林 山

田 野

小 小

安 内

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

(5)

細胞密 度・灌流量・灌流速度などを考慮に入れて酸素環境を設定することが肝要であると

が異なるかとの質問があったが、申請者は心筋細胞やfibroblast。maは低酸素下で増殖能が 高 く 、 一 方 あ る 種 の神 経細 胞は 高酸素 下で 増殖 が盛 んで ある と解 答し た。 また 、90%の 高 酸 素 下 で 肝 細 胞 機能 が急 激に 低下し た原 因に つい ての 質問 には 、高 酸素 に48時間 暴露 さ れる こと によ り過 酸化脂 質が 蓄積 され 、急 激な機能低下をきたしたものと推察されると 解 答さ れた 。副 査の 小山教 授よ り肝 細胞 の脂 肪酸構成についての質問があった。申請者は 心 筋等 に比 ぺ肝 は飽 和脂肪 酸の 割合 が高 く、 高酸素環境には比較的耐性をもっものと推察 さ れる と解 答し た。またsca'venger等の効果についての質問に対し、申請者はa−tOCOPher 01を培 地中 に加 えた実験結果から、a−tocopherolは酸素障害を軽減し肝細胞機能を高めた が 、a−tocopherolを 添加 して も20%の 酸素 濃度 が最良 であ った と解 答し た。申請者の解 答は明瞭でおおむね妥当なものであった。

  申請者の研究 データであり、

  審査員一同は 請者が博士(医

‑ 261− ・

                             

   0    9                         尿    H    D    L      

                        80    49      

5 4     2

     

     

     

           

参照

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