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学 位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士 ( 農 学 ) 佐 久 間 学 位 論 文 題 名

ポ プラ懸濁培養系におけるサイトカイニン処理に      応答する遺伝子の単離と 解析

学位論文内容の要旨

  本 論 文は 、図33、 表7、引 用文 献82を 含む 総頁 数105の 和文 論 文で ある 。別 に 参考 論文4編 が添 えら れ て い る 。

  木材に対する膨大な 需要を満たしつつ、森林を保 全していくためには生産性 の高い品種を作出することが 必要である。しかしな がら、精英樹の選抜を主とし た従来の育種方法では、樹 木特有の長い世代交代時間が 問題となり効率が低い 。この点を改善するため、マ イク口プ口パゲーションに 期待がかけられている。しか しながら、マイクロプ ロバゲーションが不可能な樹 種も多く存在する。

  本研究では、ポプラ のカルスよルサイトカイニン 処理により不定芽が誘導さ れることに注目し、不定芽分 化の分子メカニズムを 明らかにすることを目的とし て、ポプラ懸濁培養細胞に おけるサイトカイニン処理に 応答する遺伝子の単離 と解析を行った。

本研究では以下の成果が得られている。

  [1]

  ポ プラ 剥 皮枝 条を2,4‑D lppmを含 むMS培 地で2ケ 月間 静置 培養 し 、そ の後 同条 件の 培地で振とう培 養 を行 うこ と で良 好な 増殖 を示 す 懸濁 培養を作出 することが出来た。懸濁培 養細胞は、ゼアチンlppmの添 加 によ り増 殖 率が 低下 し、 ゼア チ ンに 対し感受性 を有することが確認された 。増殖率の低下は、処理開始24 時間 で現 れ てお りcDNAラ イブ ラ リー 作成 には 、ゼ ア チン 処理24時 間 の細 胞を 試料 に用 いることとレた 。   [2]

  最 初 に 、RNAの 抽 出 方 法 を 検 討 し た 。SDS‑Phenol法 とAGPC法 を 検 討 し た 。AGPC法 で は 、RNAが 得 ら れ な か っ た 。SDS‑Phenol法 で は 、RNAは 得 ら れ た も の のA230が 高く 、mRNA単離 の時 点 で多 糖類 と思 われ る寒 天 状の 物質 がoligo(dT) celluloseカラ ム上 に残 り 、得られたmRNAからはcDNAが合成されなか っ た 。 さ ら にRNA精 製 条 件 を 検 討 し た 結 果 、SDS‑Phenol法 とQIAGENカラ ム を組 み合 わせ る こと で純 度の 高いRNAが得 られ 、mRNA単離 が可 能と な った 。

  cDNAラ イ プ ラ ル ー の 作 製 に は2,4‑D lppm十 ゼ ア チ ンlppmで24時間 培 養を 行っ たポ プ ラ懸 濁培 養細 胞 を 用 い た 。14ロgのmRNAよ り 、oligoくdT) primerを用 いてcDNAを合 成 し、Xgtl0のEcoRIサ イト に挿 入し た。 ラ イブ ラリ ーは2.3x l06個 のク ロー ンを 含 んで いた 。挿入されたcDNAの平均鎖長は1060 bpで あ った 。

‑ 780

(2)

  [3]

  ゼアチン1 ppm24時 間処理と無処理のRNA間でデ ィファレンシャルスクリーニングを行った。1次ス クリーニング、2次スクリーニングを行い108ク口ーンを単離した。ノーザンおよびク口スハイブリダイゼ ーションの結果、ゼアチン処理に特異的なグループが5グループ、無処理に特異的なグループが1グループ、

双方において同等に発現しているグループが1グループ、に分類された。

  [4]

  Zeatin処理1、2、4、6、12、24時 間及 び 、無 処理 の細 胞よ り得 たRNAに対してノーザンハイブ ルダイゼーションを行ったところ、クローン2‑6および3‑15においてゼアチン処理における顕著な発現量の 増加が認められた。ク口一ン2‑6は、ゼアチン処理4時間で発現量が最大となり、無処理の細胞に対し3倍 の発現量があった。3‑15は、ゼアチン処理1時間で発現量が最大となり、無処理の細胞に対し4倍の発現量 であった。それぞれのクローンをPCY2‑6、PCY3. 15と名づけた。

  [5]

  PCY2‑6は1160 bpのcDNAで あっ た。343ア ミノ酸残基をコードする1035 bpのORFを持っと推定さ れた。Populus kitakamiensisのperoxidase mRNAと塩基配列で95.8%、アミノ酸配列で94.4%の相同性 が見られ、酸性ベルオキシダーゼをコードしているものと思われる。推定されるアミノ酸配列と、他のべル オキシダーゼの比較の結果、シグナルペプチド24アミノ酸残基を含む全長のORFがコードされていると 予想された。

  PCY3‑15は680 bpのcDNAであった。141アミ ノ酸残基をコードする423 bpのORFを持っと推定され た。 ロイ シン とプ 口リンに富み、Pro‑Lysの繰り返し配列を含んでいた。pIは9.19と計算された。

C|atharanthus roseusの14 kDa polypeptideのmRNAと塩基配列で66.6%、Daucus carotaの14 kD Protein と62.3%、Brassica napusのproline‑rich mRNAと60.5%の相同性が見られた。Pro‑Lysの繰り返し配列は これら全てのタンパク質に含まれていた。この配列は、Gly又はProに富む多くの細胞壁夕ンパク質に見ら れ、エクステンシン様夕ンパク質のモチーフとされている。しかしながらこれらのタンパク質は、一般的に エクステンシンとされるタンパク質とはかなり構造が異なっており、新しいエクステンシン様夕ンパク質と して分類されている。D. carotaの14 kD Proteinは不定胚形成時に発現する遺伝子として単離されている。

相同性の高い配列が、同様の条件で発現していることから、これらの配列が植物体再生の初期段階で重要な 役割を果たしていることが示唆される。

  [6]

  PCY3‑15に つ いて は、cDNAの上 流1013 bp、下流1117 bpを含む2791bpのゲノムDNAの塩基配列を 決定した。PCY3‑15にはイントロンが含まれていなかった。PCY3‑15の転写開始点は、開始コドンの45 bp 上流であった。転写開始点の21bp、72bp、125bp上流にTATA boxと思われる配列が存在した。光誘導性 のシスエレメントである、boxIとGT‑Iboxに相当する配列が存在した。また: ATTTT および TAAAA 配列が、5 、3 非転写領域に頻繁に存在していた。

  PCY2‑6につ いて 、cDNAの上流62 bp、下流199 bpを含む1863 bpのゲノムDNAの塩基配列の決定を 行なった。8.1xl06クローン(1.62x10s Mbp)のゲノムライプラリーに対してスクルーニングを行なった が、さらに上流域を含む断片は得られなかった。塩基配列を決定した結果、このゲノム断片とcDNAの塩基 配列は27塩基で異なっており、ベルオキシダーゼジーンファミリーに属する異なった遺伝子と思われる。

ゲノミックサザン解析の結果もこのべルオキシダーゼがサプフんミリーを構成していることを示唆した。

cDNAとゲノムクローンに見られる構造は、3 末端非コード領域に至るまで非常によく保存されており興 味深いところである。cDNAとの比較により予想さ れる、転写領域は4つのイント口ンを含んでいた。

(3)

  以上、本研究は、ポプラ懸濁培養細胞におけるゼアチン処理に応答する遺伝子を単離、解析し、これらが べルオキシダーゼをコードする遺伝子、およびェクステンシン様夕ンパク質をコードする遺伝子であること を 明 ら か に し 、 木 本 性 植 物 を 用 い た 分 子 生 物 学 的 基 礎 研究 に お い て新 知 見 をも た ら した 。   よって、審査員一同は、最終試験の結果と合わせ、本論文の提出者佐久間洋は、博士(農学)の学位 を受けるのに十分な資格があるものと認定した。

‑ 782

(4)

学 位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ポプ ラ懸濁培 養系におけるサイトカイニン処理に      応答する 遺伝子の 単離と 解析

:本尋紋にL図33、表7、弓舮胃づ獄82を耄藷b素ぷ頁数105ロjRE之素龕文rである。別に‑嚢き考i侖文4繍鵞忝 えられている。

木 隙 鮒 る 膨 如 矯 髄 褻 織 し つ つ 丶 森H ` を 保 全 して い く た めに は 生 産 隆翁 凱 ゝ 品 腫斟 倒 ゴ す る こ とb1V要 蹴る。し かしな カゞら 、糶9謎 帥の選 拔を主 とした 従来の嚆勳法でtま樹オヰ亭百の長Iゝ世 代 交fW聞が 躪 と な り製 蘚 功 輒 丶こ の 点 を 改善 す る た め、 マ イ ク ロプ ロ ノ ℃ ′Lショ ン に 期待が か け られて いる。 しかし ながら 、マイ ク口プ [リゼ宀 ーショ ンガ滸ー、ロ強ぼ封朔重も多く存在する。

本 既 倉 な ま、 ポプ ラのカ ルスよ ルサイ トカイニ ン処理 により 不定瀞 鳩秀導 される ことに 注目し 丶不 定 芽分rlの 分子ヌ カニズ ムを明 らかに するこ とを目 的とし て、ポプラ懸濁培養細蝕こおけるサイトカ イ ニン処 圏こ応 答する 遺医子‑囃と解F蔚予っ た

本 弼榔ま ピ灯矼 臧勵潟 られて いる。

[1]ポフpラ懸瀏鬱艶絹お

  ポプラ季 岨謎ま 条を2,4‑D lppmを含むMS謬甜巓 勢町c2ケ月購瀞 置培養 し、そ ワ)同 条件の堆甜Eで 振とう培養を行うことで癈輯擁護を作出することカ鎧甥モた。懸濁培養細胞は、セフチンにヌナする感受 性と、器3J鴎旨を有してしソヒ

[2]cDNAラ イ ブ ラ リ ー の 旧 戎

  RNAの 拑 廿 グ 一7法 を 検 討 し た 繰SDS‑Pkmd法 とQぬGENカ ラム を 細 み 合え 越 . . るこ と でd)NA 合 成 可 台 魄RNAが 得 ら れ た 。2 41D1ppm十 ゼ ア チ ン1ppmで24時 間 培 養 を 行 っ た ポ プ ラ 懸 濁 培 養 紐 胞 よ り 、 こ の 方 泣 叉 葡 瓏 聾 し たRNAを 用 い て d)NAラ イ ブ ラ リ ー を 作 製 し た 。

[3] サ イト カ イ 二 滅蟶 に 応 答 する 遺 缶 子PCY)の 輔

  ゼ ア チ ンlppm 24時僭斑 哩と無 処理のRNA間でう ーrイフ ァレン シャノ レスク リーこ ングを行 った。

め ア チ ニ / 処 理Iこ 襁 轍 勿 ド ブ を5勿 レ ー プ 、 鰍 哩Iこlt恥 助 ド フ を1カ レ ー プ 、 双 ガ こ お

実 夫

   

   

澤 上

寺 三

授 授

   

   

教 教

査 査

主 副

(5)

いCT司 等lrこ 発 現 し て い る 勿 レ ー フを1勿 ド礎 鶴也

[4] PCYmRNA量嚠 邸寺 変ft鯏幵

  ノ ーザ ンハ イブ リ ダイ ゼニ ショ ンを 行 い、 各ク ロー ン|こ相当するmRNA量の 經騎変化を明らかに し た ク ロ ー ン 2‑6は め ケ 堋 4晞 弼 觀 動 濁 大 め り 、 鰍 衄 嘛 胞 謝 し 3倍 ザ 〕 発 現 量 が あっ た。 &15は 、セ アチ ン処理1時讃K顛芻蕎勃 |はとなり、`無処理の細 胞に対し4倍の発現量 で あ った 。そ 期そ 期 のク 口ー ンをPCy2・6丶PCY315と 名づ けた 。

[5] PCYcDNA嚠歡胡晰

  PCY2‑6とPCY3‑15の挿ス断片 仍蛙睦晒莎憾謝淀した。

  PCY2‑6 cDNAはPopulus kitakaauenszsのpennadasem恥 鹸 掛 目 剛 生 が 貝1ら れqレ オ キ シ ダ ー ゼをコードしているものと 試わゎた。他のぺ7レオキシ ダーゼとの比較の結悪シグナ ツレ弋ブチドを 含 む全長のORFがコードされて いると予謎れた

  PCY315d:)NAは口イシンと プ口リンに富:狄PrD.16§aつ繰り返し翫列を含劣rで丶ゝた。また塩飆 歹 咀 ア ミ ノ 琵 抵 冽 の 双 方 で 、C痴 あaranめusm鰍 虧 の14kDa舛 岨pep丗eのmRNA等 と の 間 に 高 い 相 同性が兄られた。これらの タンバク質は、一般離ぬエク ステンシンとはかなり構造謎賊£っており、

新 しいエクステンシン様夕ン バク質として分類されている 。

[6]PCYゲノム簡部:解沂

  ゲ ノ ム ラ イ ブ ラ リ ー をf/fi戒 し 、PCY2‑6、3‑151才 目 当 す る ゲ ノ ムDNAの 藍 捌 を 決 定 し た PCY3‑15に つ い て は 、cDNAの 上 流1013 bp、 下 流1117 bpを 含 む2791bpの ゲ ノ ムDNAの 塩 墓 範 歹 |Jを涛 ミ したPCY3‑15には イン トロ ヵ ケ冶 まオ ′Lていtぅ ゝっ たPCY3‑15嚠 舜弼 敦F tri開 始 コ ド ン の45 bpー 崎 で あ っ たj耶 ―21 bp、72bp、125bp上 流 にTATA boxと 尉 如 る 酉 ご 歹 曲 糀 し た 。 ま た 、 ATI'TI' お よ 乙 ドTAAAA 酉 莎 歩 減5 、3 非轟 謁 繊こ 爛コ 字左 し て いた。

  PCY2‑6に つ い て は 、cDNAの 上 流62 bpを 含 む1863 bpの ゲ ノ ムDNAの 塩 基 配 列 の 決 定 を 行 っ た 。こ のゲ ノム 閤井 とcDNAに雌 藷齠 鳴 ま27t睦釘 西 醪汪 っており、ぺルオキシ タし1杢メーンファ ミ1」ー―にJ罵する異なった遺紆と思わゎる。ゲノミックサザニ/鰯新の結果もジーンファミリーを構成 し て いる こと を示 した 。cDNAとの 肚撒 こ より 予想 され る、 転汚領嚇ま4つのイン トロンを含ム′Cゝ た 。

  以 上丶 本研 究 はポ プラ 懸濁 培 養細 撒こ おけ るゼ ア チン 処哩に応答する遺云子を 単離、解断し、こ れら がべ ルオ キ シダ ーゼ をコ ー ドす る遺 伝tおよ 乙J江ク ステンシン様夕ンパク質 をコードずる遺伝 子であることを明らかに し、木本闇瑚勿を用いた分 子生物学塊蜜驚形魯こおいて新知見をもたらした。

  よ って 、審査員一同は、 昂離孟驪ヤ唏轟果と合わせ 、本論[如の提出者佐久問澣 ま、博士(農学)

の学虚を受けるのに十分 な資格め韆うるものと認定 した。

参照

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