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博 士 ( 歯 学 ) 梶 井 貴 史

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 梶 井 貴 史

     学 位 論 文 題 名

Long‑term effeCtSOfprOStaglandinE20nthemineraliZation     ofac10nalosteoblasticce111ine ( MC3T3 ・ E1 )      ( 骨 芽 細 胞 様 細 胞 株 ( MC3T3 ・ E1 ) の 石 灰化 に 対 す る      プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン E2 長 期 投 与 の 効 果 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

【緒言】

  矯 正カ を歯 牙 に負 荷す ると 、牽 引側で骨添加が 起こり圧迫側で骨吸収が起 こる。この骨の改造様 式をin vitroの実験系にシ ミュレートするために、骨 芽細胞にメカニカルストレス をかける実験が以 前よ り行 われ て いる 。骨 形成 にお け るメ カニ カル スト レ スの 影響 には 、 プ口 スタ グランジン(PG) E2カミ関与していると考え られているが、詳細に関してはいまだ不明である。この解明の一環として、

PGE2、 及 びPG合 成酵 素を 阻害 す るイ ンド メタ シ ンを 骨芽 細胞 様細 胞 株で あるMC3T3−El細 胞に 持 続的 に石 灰化 期 まで それ ぞれ 投与 し 、経 時的 、定 量的 に 評価した。さらにMC3T3−E1細胞における プロ スタ ノイ ド の産 生量 とPGE2受 容 体量 の経 時的 変化 に つい ても 調ぺ 、 この 変化 とPGE2による骨 芽細胞の石灰化への影響と の関連について考察した。

【材料と方法】

  MC 3T3−El細 胞を 通法 に従 いa−MEM十10%F:BSで 培養 し た。 これ を対 照 群と し、 低濃 度PGE2 (lng/ml)、 高 濃 度PGE2(1皿g/ml) 、 及 び イ ン ド メ タ シ ン (1肛g/ml冫 を 培 養 液 に 持 続 的に 投 与 し て 培 養 し た も の を 、 そ れ ぞ れ 低 濃 度PGE2群 、 高 濃 度PGE2群 、 イ ン ド メ タ シ ン 群 と した 。   4群 を 経時 的に 回収 した の ちア ルカ ル性 ホ スフ ァタ ーゼ 仏工め活性測定、 蛋白、コラーゲン、カ ルシ ウム 、無 機 リン の定 量を 行っ た 。心P活 性は パラ ニト 口フェニルリン酸 を基質とし、細胞回収 を行 わず に24ウ ェル のプ レー ト上 で 直接 測定 した 。培 養 液中のAIP活性も測 定した。蛋白質総量は Iowげ 変 法に て測 定し た。 コ ラー ゲン はハ イ ド口 キシ プ口 リンをWoessnerの 方法で定量した。カル シウ ム量 と無 機 リン 量は 、コ ラー ゲ ン定 量時 のサ ンプ ル を750℃で処理後、 それぞれ、原子吸光度 分析法、Chlmetの方法で測 定した。

  対 照群 、イ ン ドメ タシ ン群 での プ口スタノイド 産生量と対照群における受 容体へのPGE2結合量も 経時 的に 調ぺ た 。プ ロス タノ イド 産 生量 は酵 素免 疫測 定 法に て求 めた 。 受容 体へ のPGE2結合量は

[3H]PG瓰を用いて遠心法 により求めた。

【結果】

  対 照 群 の 培養 液を 経時 的に 回 収し てPGE2、PGFぬ、6一ketoPG1 (PG12の 代謝 産物 )、 ト口 ン ポキ サンB2の 産 生量 を測 定し たと ころ、PGE2は培 養期間を通じて最も多く産 生されたプ口スタノイ ドで あり 、そ の 産生 はコ ンフ ルエ ンス時に最大で あった。インドメタシン群 ではその産生は培養期 間を通じてほぽ完全に抑制 された。

  蛋 白質 総量 は4群と も培 養 期間 を通 じて 増 加し た。 イン ドメタシン群及び 高濃度PGE2群では対照 群に比べさらに増加した。

‑ 493

(2)

  細胞と細胞外基質のAIP活性は4群ともコンフルエンス後14日後より急激に上昇した。活性の上昇 は対照群に比べ、インドメタシン群で亢進され、低濃度PGE2群及び高濃度PGE2群で抑制された。

培養液中のALP活性は、細胞と細胞外基買の」6dP活性よりも10日ほど遅れて上昇した。各物質投与 の影響に関しては同様であった。

  ハイドロキシプロルン、カルシウム及び無機リンの蓄積は、コンフルエンス21日後から35日後ま でインドメタシン群で有意に増加した。低濃度PGE2群及び高濃度PGE2群では、カルシウム及び無 機リンの蓄積が対照群に比べやや減少した。

  受容体へのPGE2結合量はコンフルエンス時に最大となり、その後減少し石灰化期に再び上昇した。

【考察】

  PGE2の骨芽細胞への影響について統一した見解は現在のところ得られていない。我々は、この異 なった見解は投与期間の違いと骨芽細胞様細胞の種類の違いによると考えた。過去の報告では、

PGE2投与及びその効果の観察はコンフルェンス前後の何日問のみで行われたものが大多数である。

今回我々は、PGE2を骨芽細胞に石灰化期まで持続的に投与したときの経時的効果を調べた。マウス 頭蓋冠由来であるMC3T3−E1細胞は、コンフルエンス後に高いALP活性を持ち、コラーゲンを分泌 し、石灰化結節を形成する。よって、MC3T3一El細胞はPGE2の石灰化期までの経時的効果を調べ るのに適した細胞である。今回の研究でもこれらの性質が示された。

  本研究では、PGE2は培養期間を通じて最も多く産生されたプロスタノイドであった。PG合成酵 素であるシク口オキシゲナーゼを阻害するインドメタシン投与により、その産生はほぽ完全に抑制 された。これらのことより、今回用いた4群の培養液に含まれるPGE2量は、高濃度PGE2群で最も多 く、以下低濃度PGE2群、対照群、インドメタシン群の順と考えられた。

  インドメタシンを石灰化期まで持続的にMC3T3−.E1細胞に投与すると、尚ぼ活性、及びコラーゲ ン、カルシウム、無機リンの蓄積は促進された。またPGE2投与により、魁P活性及びカルシウム、

無機リンの蓄積はやや抑制される傾向を示した。以上より、長期間の投与により、外因性、内因性 を問わずPGE2は濃度依存的に石灰化を抑制することが示唆された。

  培養液中のmP活性に対するPGE2の影響は、細胞のAIP活性とほぽ同様であったが、活性の上昇 する時期が異なることより、培養液中の」6凹と細胞のALPとはそれぞれ異なる役割をもつことが示 唆された。

  蛋白質総量はインドメタシン群及び高濃度PGE2群で対照群に比べ増加した。これは、インドメタ シン群ではコラーゲンの蓄積が増加したことに起因すると考えられた。高濃度FGE2群では、過去に 報告されているように細胞の増殖能が上昇するためと考えられた。

  MC3T3t:1細胞が石灰化にいたるまでの受容体へのPGE2結合量は、コンフルエンス時に最大と なった。これはPGE2受容体量がコンフルエンス時に最大となることを示唆している。骨芽細胞にお いて、コラーゲンの蓄積はコンフルエンス後約10日より上昇するのに対し、プロコラーゲンの mRNAや架橋結合の前駆体の発現はコンフルェンス前後に最大となるという報告がある。今回の結 果とこれらの報告より、PGE2の石灰化抑制作用はコンフルェンス時にすでに伝達されていることが 示唆された。

  PGE受 容体には4つの サブタイプにP1、EP2、EP3、EP4)があることが薬理学的にすでに知ら れている 。MC3T3一E1細胞にはこのサブタイプのうちEP1、EP4のmRNAがコンフルェンス時に存 在し、コンフルエンス時にサブタイプのアゴニストを投与することにより、EP1はDNA合成を促進 しAIP活性を抑制し、EP4では逆の結果が得られたという報告がある。よって、PGE2の石灰化抑制 作用はEP1を経由して伝達される可能性がある。

以上より、PGE2の長期投与はE1細胞の石灰化を抑制することが示され、この効果はコンフルエン ス時にすでに伝達されていることが示唆された。

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(3)

学位論文審査の要旨

     学位 論文題名

Long‑term effects of prostaglandin E2 0n the mineralization     ofaclonal osteoblastic cell line (MC3T3‑E1)

(骨芽細胞様細胞株(MC3T3‑E1) の石灰化に対する      プ ロ ス タ グラ ン ジン E2 長 期 投与 の効 果 )

  主査、副査全員が一堂に会し、口頭にて論文審査を行った。まず、論文提出者に研究内容の概要の説 明を求めた。提出者は以下の内容を明快に説明した。

  骨形成におけるメカニカルストレスの影響には、プロスタグランジン(PG)E2が関与していると考え られているが、詳細に関してはいまだ不明である。本研究では、この解明の一環として、PGEz、及び PG合成酵素を阻害するインドメタシンを骨芽細胞様細胞株であるMC3T3‑E1細胞に持続的に石灰化期ま でそれそれ投与し、経時的、定量的に評価した。さらにMC3T3‑E1細胞におけるプロスタノイドの産生 量 とPGE2受 容 体 量 の 経 時 的 変 化 に つ い て も 調 ベ 、 石 灰 化 と の 関 連 に つ い て 考 察 し た 。   MC3T3‑E1細胞を通法に従い培養した。これを対照群とし、低濃度PGE2(Ing/ ml)、高濃度PGE2

(1ルg/ ml)、及びインドメタシン(1ルg/ml)を培養液に持続的に投与して培養したものを、それそ れ低濃度PGE2群、高濃度PGE2群、インドメタシン群とした。

  4群の細胞を経時的に回収したのちアルカリ性ホスフアターゼ(´`LP)活性測定、蛋白、コラーゲン、

カルシウム、無機リンの定量を行った。培養液中の」へu活性も測定した。更に、対照群、インドメタシ ン群 で の プ ロス タ 丿 イド 産 生 量と 対 照 群に お ける受 容体へ のPGE2結合 量も経時 的に調べ た。

  その結果、PGE2は培養期間を通じて最も多く産生されたプロスタ丿イドであった。PG合成酵素であ るシクロオキシゲナーゼを阻害するインドメタシン投与により、その産生はほぽ完全に抑制された。こ れらのことより、今回用いた4群の培養液に含まれるPGE2量は、高濃度PGE2群で最も多く、以下低濃度 PGE2群、対照群、インドメタシン群の順と考えられた。  インドメタシンを石灰化期まで持続的に MC3T3―E1細胞に投与すると、´亀LP活性、及びコラーゲン、カルシウム、無機リンの蓄積は促進された。

またPGE2投与により、ALP活性及びカルシウム、無機リンの蓄積はやや抑制される傾向を示した。

  以上より、長期間の投与により、外因性、内因性を間わずPGE2は濃度依存的に石灰化を抑制すること が示唆された。

  培養液中のmJ活性に対するPGE2の影響は、細胞のALP活性とほほ同様であったが、活性の上昇する 時期が異なることより、培養液中のmjと細胞の´气LPとはそれそれ異なる役割をもつことが示唆された。

  蛋白質総量はインドメタシン群及び高濃度PGE2群で対照群に比ベ増加した。これは、インドメタシン 群ではコラーゲンの蓄積が増加したことに起因すると考えられた。高濃度PGE2群では、過去に報告され

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章治 徳       進芳 本村 木       保 松中 久 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(4)

ているように細胞の増殖能が上昇するためと考えられた。

  MC3 T3―E1細胞が石灰化にいたるまでの受容体へのPGE2結合量は、コンフルエンス時に最大となっ た。これはPGE2受容体量カsコンフルエンス時に最大となることを示唆している。骨芽細胞において、コ ラーゲンの蓄積はコンフルエンス後約10目より上昇するのに対し、プロコラーゲンのmRNAや架橋結合 の前駆体の発現はコンフルエンス前後に最大となるという報告がある。今回の結果とこれらの報告より、

PGE2の 石 灰 化 抑 制 作 用 は コ ン フ ル エ ン ス 時 に す で に 伝 達 さ れ て い る こ と が 示 唆さ れ た 。   PGE受容 体には4つのサブタイプ(EP1、EP2、EP3、EP4)があることが薬理学的にすでに知られて い る。MC3T3−E1細胞にはこのサブタイプのうちEP1、EP4のmRNAがコンフルエンス時に存在し、コ ンフルエンス時にサブタイプのアゴニストを投与することにより、EP1はDNA一合成を促進しALP活性を 抑制し、EP4では逆の結果が得られたという報告がある。よって、PGE2の石灰化抑制作用はEP1を経由 して伝達される可能性がある。

  以上より、PGE2の長期投与はE1細胞の石灰化を抑制することが示され、この効果tまコンフルエンス 時にすでに伝達されていることが示唆された。

  このような趣旨の論文に対し、次のような質問がなされた。1)PGE2濃度がng‑弘g/mlで用量に幅 があるが途中の用量ではどうか2)細胞の増殖、分化に対してPGE2はその用量の差異により促進させ たり、抑制させたりすることはあるのか3)メカニカルストレスのかけ方には持続的なものと間歇的 な ものが あるその 意味合い は何か4)骨 芽細胞 にPGE2がどう して作 用するの か5) ペレッ トをは がして得たCell lysateをかき混ぜてAJ̲,Pなどを測定したか6)MC3T3‑E1細胞を播いたあとコンフル エンスになるまでの期間におけるプロスタノイドの合成はどうか7)インドメタシンの用量をあげる と どうな るのか8)受容 体へのPGE2結合量は コント ロールで も測定 したのか9)PGE2の骨吸収作 用 につい て10)PGElには 骨吸収 作用があ るのか 等、これ ら質問 に対し、 申請者は 明快が 回答を 行い、関連分野についても広く詳細な理解があることを認めれた。その後、久保木副査によって口腔生 物学全般にわたる見識を問う論述試験が課せられたが、申請者は概ね的確な解答をすることが出来た。

以上の結果を総合し、合格とした。

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参照

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