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博 士 ( 獣 医 学 ) 大 塚 沙 織 学 位 論 文 題 名 Studies on developmental dynamics and causing factors of testicular oocyte in MRL7MpJ mice

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 獣 医 学 ) 大 塚 沙 織 学 位 論 文 題 名

Studies on developmental dynamics and causing   factors of testicular oocyte in MRL7MpJ mice

(MRL/MpJ

マ ウ スに お け る精 巣 内卵 細 胞の

  

発 生 動 態 と 責 任 因 子 に 関 す る 解 析 )

学位論文内容の要旨

  

多細胞生物を構成する細胞系列は、大きく体細胞系列と生殖細胞系列とに分 けられる。体細胞系列は、個体の発生と共に様々な組織に分化し、その死と共 に役割を終える。一方、生殖細胞系列は雌雄に分かれ、有性生殖を行うことで、

種 の 存 続 と 遺 伝 的 多 様 性 を 生 み 出 し 、 生 命 の 連 続 性 を 担 う 。

  

哺乳類 の個体の性 は、常に

X

染色体をもつ卵細胞とXあるいはY染色体をも つ精子によって受精時に決まるが、生殖腺、および生殖細胞は本来、雄にも雌 に も な れ る 両 性 性 を 有 す る 。 生 殖 腺 の 性分 化 には

Y

染 色体 上 の

50

Sex determining region on Y)

が重要な役割を有しており、雄では個体発生初期にSry が発現することによって精巣が形成される。一方、始原生殖細胞はそれ自身の 性染色体組成ではぬく、周囲の体細胞の性によって決まる。すなわち、始原生 殖細胞はその染色体組成に関わらず、胎子期に減数分裂に移行して卵細胞とな る資質を有するが、雄では生殖腺内の体細胞が

Y

染色体上の

Sry

を発現し、始 原生殖細胞の減数分裂移行を阻害、精子形成細胞へと分化させる。いずれにし ても、いったん雄として生まれた個体が卵細胞を有することは、人為的操作を 行わたい限り決してあり得ない。

  

しかし 、生後問も ない

MRL/MpJ

マウス精巣にっいて詳細な解析を行った結 果、精細管内に卵細胞が発見された。本マウスの精巣内卵細胞を解析すること によって、卵細胞分化の新たなモデルを提供することが出来る。本研究の目的 は、MRLマウスに出現する精巣内卵細胞の発生動態を形態学的に解析するとと も に そ の 責 任 因 子 の ー っ を 分 子 生 物 学 的に 明 らか に する こ と であ る 。

  

まず、

MRL

マウスにおける精巣内卵細胞を経時的に検出し、その形態的特徴 を観察した。その結果、精巣内卵細胞は精巣網付近の精細管内に存在し、透明 帯や卵胞上皮細胞を有する直径約

50ym

の細胞として観察された。卵胞上皮の軽 度重層化(初期二次卵胞)まで成長しているものが観察されたが、卵胞腔を有

(2)

するものは観察されなかった。電子顕微鏡下では、卵細胞は多数の微絨毛と皮 質顆粒を有し、卵胞上皮細胞から透明帯を貫通して卵細胞に連絡する細胞質突 起が観察された。また、精巣内卵細胞は生後0から30日の間に出現し、1精巣 あたり約1.2個が観察された生後14日を中心に出現頻度のピークが見られ、そ の後徐々に減少した。さらに、MRLマウス.精巣ではをやOmt2aなどの卵細胞 特異的遺伝子の発現が認められた。これらのことから、出生直後のMRLマウス 精巣内には卵細胞が出現することが証明された。

  

次に、精巣内卵細胞の発生動態、およぴその機能にっいて、卵巣内卵細胞の ものと比較検証した。MRIーマウスの胎子精巣では減数分裂特異的マーカーであ る

DMC1

、およ び卵細胞形 成マーカー である

NOBOX

の双方に陽 性反応を示 す 細胞が認められ、これらの細胞は精巣の辺縁あるいは、中腎との結合部に集合 していた。このことから、精巣内卵細胞は胎子期に始原生殖細胞から派生する ことが示唆された。また、精巣内卵細胞は透明帯に透明帯タンパクであるZP3 を含んでいた。しかしながら、精巣内卵細胞の卵胞上皮細胞は、その機能に重 要であるFOXL2を欠いていた。さらに

Sperm‑egg fusion assay

により、精巣内卵 細胞への精子の侵入が観察され、精巣内卵細胞が精子受容能カを有すること が 明らかになった。

  

最後 に 、精巣内卵 細胞出現の 要因を明ら かにするた め、MRL/Mpj‑+/+、

MRL/Mpj‑lpr/lpr

C57BL/6

、BALB/c、C3H/He、

DBA/2

A/J

、AKR/Nの近交系 マ ウ ス と 、

MRL

マ ウ ス と

C57BL/6

の 問 の

Fl

であ る

B6M

RLF1

とMRLB6F1の 精巣を検索した。その結果、精巣内卵細胞は2系統の

MRL

マウスに加えてAKR臘 とB6MRLFlにも検出 された。

F1

での解析から、精巣内卵細胞出現の責任遺伝 子の

1

っが

Y

染色体 上にあることが明らかになった。Y染色体上の性決定因子 であるェSワに注目し、近交系マウス間でその遺伝子配列を比較した結果、MRL マウ スとAKR爪に共通し て恥の

CAG

リピートの 一部欠失が見られた。また、

F1

及び

AKR

におけ る精巣内卵 細胞の出現 頻度は

MRL

のものに比べると低く、

常染色体上にも責任遺伝子の存在が示唆された。

上述の結果は、精巣内卵細胞が卵巣内卵細胞と類似した発生動態、形態ならぴ に機能を有することを示す。また、精巣内卵細胞出現の責任因子のーっとして 恥と強い関連性を有することが示唆された。これらは、マウス精巣において生 殖細胞が潜在的に卵細胞となる能カを有することを証明するもので、新たな生 殖生物学を拓く重要な知見を提供する。

(3)

学 位論文審査の要旨

主 査   教 授   昆   泰 寛

副査 副査 副査

教授 教授 准教授

高橋 橋本 佐々木

学 位 論 文 題 名

芳幸 善春 宣哉

Studies on developmental dynamics and causing   factors of testicular oocyte in MRL7MpJ mice

(MRL/MpJ マウスにおける精巣内卵細胞の    発生動態と責任因子に関する解析)

  哺乳類において、いったん雄として生まれた個体が卵細胞を有することは、人為的操作を行わ ない限りあり得ない。しかし、生後問もないMRIー/MpJ (MRL)マウス精巣精細管内に卵細胞が発 見された。その解析をすることによって、卵細胞分化の新たなモデルを提供することができる。

本研究の目的は、精巣内卵細胞の発生動態を形態学的に解析するとともに、その責任因子のーつ を分子生物学的に明らかにすることである。

  MRLマウスの精巣内卵細胞は精巣網付近の精細管内に存在し、透明帯や卵胞上皮を有する直径

約50Funの細胞として観察された。電子顕微鏡下では、卵細胞は多数の微絨毛と皮質顆粒を有し、

卵胞上皮細胞から透明帯を貫通して卵細胞に連絡する細胞質突起が観察された。また、精巣内卵 細胞 は生 後0から30日の 間に出 現し、1精巣あ たり約1.2個が 観察さ れた生後14日を中 心に出 現頻度のピークが見られ、その後徐々に減少した。さらに、MRLマウス精巣ではZona pellucida glycoprotein(を)やOocyte maturationalpha (Omt2a)などの卵細胞特異的遺伝子の発現が認められ た。

  MRLマ ウスの胎 子精巣では減数分裂特異的マーカーであるDisrupted meiotic cDNAl homolog (DMCl)、及び 卵細胞形成マーカーであるNobox oogenesis homeobox (NOBOX)の双方に陽性反応 を示す細胞が認められた。さらに、Spernトegg fusion assayにより、精巣内卵細胞への精子の侵入 が 観 察 さ れ 、 精 巣 内 卵 細 胞 が 精 子 受 容 能 カ を 有 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。   精 巣 内卵 細 胞 出 現の 要 因 を明 らかに するた め、各種 近交系マ ウスと 、MRLC57BU6JFl マウ ス を 解析 し た 結 果、 精 巣 内卵細 胞はAKR/NとB6MRLFlで検出 された。Flでの解 析から、

精巣内 卵細胞出 現の責任 遺伝子 の1っ がY染 色体上にあることが明らかになった。Y染色体上の 性決定因子であるSex determining region onY(.Sry)に注目し、近交系マウス問でその遺伝子配列を 比較 し た 結果 、MRLマ ウ ス とAKR/Nに 共 通し てSryCAGリ ピ ー トの 一 部 欠失 が 見 られ た。

  上述の結果から、精巣内卵細胞は卵巣内卵細胞と類似した発生動態、形態ならびに機能を有す ることが明らかになった。また、精巣内卵細胞出現の要因はSryと強い関連性を有することが示 唆された。これらは、マウス精巣において生殖細胞が潜在的に卵細胞となる能カを有することを 証明するもので、新たな生殖生物学を拓く重要な知見を提供する。

32 ‑

(4)

  よ っ て 、 審 査 委 員 一 同 は 、上 記博 士論 文 提出 者大 塚沙 織氏 の博 士論 文は 、北 海道 大学 大学院獣医学研究科規 程第6条の規程による本研究科の行う博士論文の審査等に合格と認めた。

33

参照

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