様式8の1の2 別紙2
論
論 文 文 審 審 査 査 の の 結 結 果 果 の の 要 要 旨 旨
専攻名 システム創成工学 氏 名 大塚 崇光
(1,500字程度とし,1行43文字で記入)
本論文は、EUV(極端紫外)光領域の中でも次々世代半導体リソグラフィー用の波長 6.
x nm (ナノメートル) の領域において効率的に光を発生するためガドリニウムプラズ マをレーザーによって生成し、6.x nm 近傍の光の発生及び吸収スペクトルの観測に成 功 し て い る . さ ら に 、 短 波 長 の 水 の 窓 領 域 (2-4 nm) の 光 を 発 生 す る た め に 、 ビ ス マ スをターゲットとして選択し、3-4 nm 近傍の光を観測している.研究では、プラズマ か ら 発 生 し た 光 が プ ラ ズ マ 自 身 に よ っ て 吸 収 さ れ 外 部 に 放 射 さ れ に く い こ と が 予 測 さ れ 、 そ れ を 確 認 す る た め に 、 吸 収 分 光 実 験 を 行 い 、 そ れ を 確 認 し た . さ ら に 、 量 子 力 学 的 見 地 か ら 、 ビ ス マ ス プ ラ ズ マ か ら の 発 光 ラ イ ン を 計 算 し 、 今 後 の ビ ス マ ス プ ラ ズ マの最適化に対しての知見を与えている.
本論文は,八章で構成されており、それぞれに対してその評価を与える.
第一章は序論であり,EUV光源及び軟 X 線光源の研究背景,および現在世界で行わ れ て い るEUVの 発 生 手 法 を 概 観 し , 本 研 究 で 用 い た レ ー ザ ー 生 成 プ ラ ズ マ 法 に つ い て その優位点を考察している.
第 二 章 は , 基 礎 的 な プ ラ ズ マ 物 理 を 述 べ , レ ー ザ ー が タ ー ゲ ッ ト 表 面 に 集 光 し た 場 合 に 生 成 さ れ る 高 温 プ ラ ズ マ 内 で の 物 理 過 程 を 説 明 し , レ ー ザ ー エ ネ ル ギ ー が プ ラ ズ マ に 付 与 さ れ る 過 程 を 導 い て い る . ま た 、 高 温 プ ラ ズ マ か ら 発 生 す る EUV 領 域 の 光 に つ い て 、 古 典 物 理 学 と 量 子 力 学 的 見 地 か ら そ の 物 理 機 構 を 記 述 し 、 第 三 章 以 降 で 述 べられる実験やその結果の解析に用いられる理論について記述している.
第三章は、実験で用いられた実験装置について述べている.
第四章は、ガドリニウム(Gd)の吸収実験について述べている.プラズマから発光した 光 は 、 プ ラ ズ マ 自 身 で 吸 収 さ れ る た め 、 プ ラ ズ マ 外 部 に は 出 て こ な い . こ れ を 再 吸 収 と い う . こ の 現 象 は 、 高 強 度 の 光 を 必 要 と す る 応 用 を 考 え た と き 非 常 に 重 要 に な る . 二つのレーザー生成プラズマを用いる実験手法 (Dual laser plasma: DLP) により,発光 するプラズマと吸収をするプラズマの二つのプラズマを生成し、Gd (ガドリニウム) の 吸 収 ス ペ ク ト ル を 観 測 し そ の 特 性 を 明 ら か に し て い る . 発 光 ス ペ ク ト ル が 有 す る 吸 収 ラ イ ン が 低 価 数 イ オ ン に よ る も の で あ る こ と を 明 ら か に し , 今 後 の 実 用 光 源 開 発 に 必 要となる指針を示していることは高く評価できる.
第 五 章 で は ビ ス マ ス を タ ー ゲ ッ ト と し た と き の プ ラ ズ マ 実 験 に つ い て 述 べ て い る .
実験ではレーザー強度をパラメーターとして、波長 4 nm 周辺の軟 X 線スペクトルを 計 測 し 、 理 論 的 に 予 測 さ れ て い る 波 長 3 nm 近 傍 と 4 nm 近 傍 に お い てUTA (unresolved transition array) の発光を観測した.この 4d-4f 遷移に伴う 4 nm 帯の UTA の観測は世界で初めてであり、高く評価できる.
第六章は、前章で得られたビスマスプラズマからの 3 nm 帯の光に注目している.3 nm 帯の波長は「水の窓」と呼ばれる波長帯域に存在している.この波長帯の光に対し て 数 多 く の 応 用 が 提 案 さ れ て い る . 実 験 で は レ ー ザ ー を 二 度 照 射 す る こ と に よ り プ ラ ズ マ を 追 加 熱 し 、 イ オ ン の 価 数 を コ ン ト ロ ー ル し て い る . こ の よ う に プ ラ ズ マ 温 度 を 積 極 的 に 制 御 す る こ と に よ っ て 3 nm 帯 の 光 が 増 強 さ れ る こ と を 観 測 し た こ と は 、 高 く評価できる.
第 七 章 で は 、 ビ ス マ ス の 吸 収 実 験 に つ い て 述 べ て い る . 実 験 で は 第 四 章 と 同 様 に , 二 つ の プ ラ ズ マ を 生 成 し 、 吸 収 ス ペ ク ト ル を 観 測 し て い る . 実 験 の 結 果 、 光 子 エ ネ ル ギー 150 から 200 eV (エレクトロンボルト.波長 6.2 nm から 8.2 nm に対応) にお
いて 4f 軌道の内殻励起によるビスマスイオンの吸収を明らかにした.また、理論計算
に よ り 実 験 で 観 測 さ れ た ラ イ ン ス ペ ク ト ル の 同 定 を 世 界 で 初 め て 行 っ た こ と は 高 く 評 価できる.さらに、5p 軌道の光吸収によってオージェ効果の一種によって光吸収の広 帯域化が起こることも観測したことは評価に値する.
第 八 章 は 結 論 で あ り , 以 上 七 章 ま で に 述 べ た 研 究 成 果 を 総 括 し , 得 ら れ た 知 見 を ま とめている.
本論文については,平成26年2月14日に本学オプティクス教育研究センター棟4F コ ラ ボ レ ー シ ョ ン ル ー ム に お い て 全 審 査 委 員 の 出 席 の も と 公 聴 会 が 開 催 さ れ , 多 く の 質 疑 応 答 が 行 わ れ た . 公 聴 会 終 了 後 , 直 ち に 学 位 審 査 委 員 会 を 開 催 し , 本 論 文 の 内 容 を 詳 細 に 検 討 し た . そ の 結 果 , 本 研 究 成 果 は 実 用 的 に も 工 学 的 に も 極 め て 大 き な 価 値 が あ り 、 研 究 内 容 の 学 術 的 水 準 の 高 さ と 独 創 性 に お い て 極 め て 優 れ て い る と 判 断 し た . よって,本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める.