- 1 -
第1回錦鯉検討委員会議事録
◆ 日 時 平成 29 年1月 18 日(水)午後2時~午後4時 ◆ 場 所 新潟県庁行政庁舎2階 201 会議室 ◆ 出席者 (委 員)菅座長、小黒委員、小野澤委員、鶴巻委員、馬場委員、山口委員 (事務局)笠鳥知事政策局長、岩佐広報広聴課長、藤田水産課長 ほか3名 ◆ 次 第 1 開会 2 あいさつ 3 検討事項 (1) 請願内容の説明(確認) (2) 全国的に見た本県の錦鯉の現況 ○ 錦鯉の歴史 ○ 錦鯉養殖業の状況 (3) 他都道府県の県の魚の指定状況 (4) 錦鯉を県の鑑賞魚(シンボル)に指定することの効果及び妥当性の評価 ○ 県内市町村への意見照会結果 4 意見交換 (1) 錦鯉が県の鑑賞魚(シンボル)に指定された場合の活用方法 5 事務連絡 6 閉会 ◆ 検討委員会での承認事項 ○ 一部の委員から「県の魚」にすべきという意見もあったが、新潟県内に存 在する多様な魚種、各地域の魚文化へ配慮して、今回は「県の鑑賞魚」に限 定して検討することとした。 ○ 今回は、前述のとおり「県の鑑賞魚」に限定して検討することとしたが、 仮に、将来的に他の魚種で「県の魚」「県魚」への指定という議論が動き出し た場合、錦鯉をその中に位置づけ直す、あるいは含み込む制度的な余地は残 しておくべきであることを確認した。 ○ 本県における錦鯉の歴史や錦鯉養殖業の現状、指定後に考えられる効果な どから総合的に判断し、錦鯉を県の鑑賞魚に指定することの妥当性が認めら れた。- 2 - ◆ 検討委員会の概要 ○ 片岡委員の欠席について事務局から報告 ○ 委員の互選により、菅委員を座長に選出 ○ 以下、委員会での主な委員意見(要旨) ≪3 検討事項 (1) 請願内容の説明(確認)≫ 【事務局】 (資料1により、県の鑑賞魚への指定を求めるという請願が9月議会において 全会一致で採択された旨説明) 本来であれば、県の魚というのが一般的な表現だとは思うが、請願内容を鑑賞 魚としていることついて少しご説明すると、新潟県は非常に食が豊かな県でもあ り、食用の魚とは一線を画したほうがいいだろうということと、美術的な価値が あるという意味も含め、観賞ではなく鑑賞という字を使い、あえて県の鑑賞魚と いうことで請願書に明記されている。そのため、県としては、県の鑑賞魚という ネーミングを前提として、シンボル指定の手続きを進めたいと思っている。 (事務局の説明に対し、委員から質問等の発言なし) ≪3 検討事項 (2) 全国的に見た本県の錦鯉の現況 ○錦鯉の歴史≫ 【事務局】 (資料2により、錦鯉の歴史について説明) 【座 長】 ただいまの説明について、質問やご意見等があったらお願いしたい。 【馬場委員】 当時は「変わり鯉」と言われ、一般的に知られるようになったのは東京大正博 覧会に山古志から出展されたのがきっかけといえる。様々な文献を調べると、錦 鯉というのは当時は主として貴族の趣味であり、例えば昭和5年に山古志で開催 された品評会には宮内庁担当の相馬子爵がお見えになり、勉強会などもされてい る。一方、東京でも大隈重信といった超大物等の邸宅の庭池には錦鯉が見られる ことなどからも、錦鯉というのはすごい文化だなということを感じている。また、 日本には錦鯉に関する文献がかなり残っているが、中国や海外では「鯉」として の絵画や彫刻はあるものの、「錦鯉」としての古い文献は見当たらない。写真技 術が発達していないこの時期、錦鯉の記録を「絵形」にして残しているのは新潟 にしかない。 【座 長】 歴史に関しては私も非常に関心があって、起源というのが本当に分からない魚 である。少なくとも近代前、江戸時代にあったということは確実なのだが、正直
- 3 - 申し上げて、近世の江戸時代の文書というのは一つも出ていない。これが出てく ると、間違いなく江戸時代に存在したという錦鯉史上画期的な発見になると思う。 ただし、明治初頭の新聞記事には流行したとの記述があるので、急に出てきて流 行するわけはないため、江戸時代末期にはあったと思うが、その辺の歴史ははっ きりしておらず、錦鯉の記事は伝説化、神話化しているのが現状である。 【馬場委員】 もう一つ言わせていただくと、鯉というのは中国から入ってきたものだと言わ れているが、琵琶湖の湖底などから鯉の化石が出てきていることから、世界中、 どこにでも生息していたのではないかと。では、なぜ新潟の山の中で錦鯉が出た かということだが、幸か不幸か、豪雪に閉ざされる環境の中で娯楽がなかったた め、食用鯉の突然変異で現れた色鯉を娯楽として育ててみようとなったのが錦鯉 の起源であると考えられている。恐らく、広島や九州でも色のついた鯉が出現し ていたが、食用に適さないという理由で全部捨てられたのだろう。現在、錦鯉の 品種は約100 種類あるが、これは全部人間が作り出したものであり、独特の錦鯉 文化と言える。 ≪3 検討事項 (2) 全国的に見た本県の錦鯉の現況 ○錦鯉養殖業の状況≫ 【事務局】 (資料2により、錦鯉養殖業の現状について説明) 【座 長】 10 月末の池揚げのシーズンになると、長岡市、小千谷市のホテルが、ヨーロッ パ系の外国人宿泊客で満室になる。そして、山古志の棚田風景が広がる中で、ヨ ーロッパ系の外国人たちと錦鯉養殖業のじいさんたちが「おおっ」と声をかけな がら片言の英語で交渉していくという、非常に珍しい光景が見られる。 次に、錦鯉の輸出について、小野澤委員からご意見をいただきたい。 【小野澤委員】 新潟県の錦鯉は欧米では有名であるが、アジアの新興国や中東の錦鯉市場では 未知な部分があり、かつ欧米に比べてそれほど飽和、あるいは高度化していない ことから、長岡市錦鯉養殖組合と連携して、2012 年からまずはドバイへの販路 開拓に取り組んだ。実績としては、輸送形態、現地代理店、購買層、購買価格帯 等の調査や現地での売り込みが実を結び、アラブ首長国連邦の中の一つの王族と の商談成立につながった。その後、昨年度は、アジアの中でも特に錦鯉市場が成 長途上にあったベトナムに焦点を当て、現地バイヤーを長岡に招聘し商談をした。 欧米とは着眼点が違う部分があり、より良いものを安価に買いたいといったビジ ネスベースの目線で見ている部分が多かった。錦鯉は独特の商習慣があり、新潟 の錦鯉を世界に広めていくためは、今まで以上に工夫が必要と感じている。そう いう意味でも、錦鯉が県の鑑賞魚として指定され、オール新潟で海外に打って出
- 4 - られる体制に近づけることは、プラスになると考える。 【座 長】 錦鯉は今や世界的な注目を集めているが、小野澤委員の発言のとおり、現状は 新潟県、あるいは日本の業者の審美眼、選択能力など、生産能力が非常に高く、 世界との力量の差がある。ただし今後、中国などの生産者が成長してくるのは間 違いなく、例えば、柔道やさまざまな日本文化と同様に、グローバリゼーション の中に入っていったときに、世界のスタンダードの中に位置づけられることは必 然である。 ≪3 検討事項 (3) 他都道府県の県の魚の指定状況≫ 【事務局】 (資料3により、他都道府県の県の魚の指定状況について説明) 【座 長】 シンボルを指定することについて、法的根拠というのはあるのか。 【事務局】 法的根拠はなく、単に宣言するということである。条例で制定している県など はなく、基本は県報に登載して公告するという行為で終わる。 【座 長】 県の魚の指定ということを考えたときに、新潟県であれば佐渡の寒ぶりや村上 のさけというように他にも候補はあると思うが、県の鑑賞魚という形に落ち着か せているというのは一工夫あると思う。 【事務局】 生産者団体も含めた業界の方々の中で検討・調整した結果、食用とは区別する ということ、美術的価値があるということも踏まえ、県の鑑賞魚への指定という 請願が提出されたということである。 【馬場委員】 単に県の魚ではなく、鑑賞という言葉がついたほうがよろしいのか。 【座 長】 県の魚を指定する場合、一つの魚に納まらないときの議論としては、複数を指 定するというやり方もあるし、全市町村に候補を募る、あるいは、県民に対する パブリックコメントを求めるというプロセスが必要になってくる。今回提出され た請願は、そのあたりを調整したものだと思われる。県の魚という言葉で表現し ないということは、確認事項としてあるということ。
- 5 - ≪3 検討事項 (4) 錦鯉を県の鑑賞魚に指定することの効果及び妥当性の評価≫ 【事務局】 (資料4により、県内市町村への意見照会結果について説明) 錦鯉を県の鑑賞魚に指定することについて、参考として各市町村から意見を聞 いたものである。その結果、指定に好意的な意見が多い一方で、そもそも県の魚 の前に県の鑑賞魚を指定すべきなのかという意見もあった。先ほどの「請願の内 容」でもご説明したとおり、請願書の願意が県の鑑賞魚への指定ということであ り、県としては、この段階で県の鑑賞魚という名前についての是非を問うもので はないという理解でいる。 【座 長】 確認しておかなければいけないのは、錦鯉は新潟県が原産地であるという優越 性はもちろんあるが、仮にそうでなくても、なるものはなってしまう。例えば、 青森県が指定しているヒラメは青森県原産でも何でもない。要するに県民がどう 思うかである。新潟県にどんなに文献があっても、多くの県民がそう思わなけれ ば、錦鯉は県の魚にはなれないということ。現状では、残念なことに錦鯉という 新潟の文化を知らない新潟県民が多い。県の鑑賞魚への指定を契機に、日本国民 に分かってほしいというのは当然だが、その前に新潟県民にも分かってほしいと いう段階である。 【小黒委員】 県の鑑賞魚に指定するかどうかについて、牛を例にしてみると、松阪牛は少し 前までは単一のブランドだったが、今や神戸牛や佐賀牛など、あらゆる地域の名 前でプロモーションされている。だから錦鯉も早く指定すべきと、メディアに携 わる者としては考える。錦鯉を県の鑑賞魚に指定するときに、何か新潟スタンダ ードというものを発表すればいいのではないか。 【鶴巻委員】 新潟日報では、これまでに錦鯉に関する記事が 2,000 件弱くらいあった。大半 が生産に関する記事で、特に多いのが品評会である。その他では、コイヘルペス、 新潟県中越大震災での被害、更には海外展開の記事が多い。 懸念されるのは、生産に関する記事が多いこと。例えば、学校で錦鯉の行事が 行われたとか、地域や家庭、自治体などで錦鯉と交流できるものがけっこうある が、そういう生産以外の記事が少なかったというのが非常に気になるところであ る。今回の県の鑑賞魚指定の議論を通して、次の購買者を育てたり、市場や産業 を支える裾野を形成していくという意味で、一般向けの情報発信なり話題づくり の必要性を感じた。 また、中越大震災からの復興というストーリーが、日本国民の心を捉えて関心 を一挙に集めたという部分も大事にしていくべきと考える。
- 6 - 【座 長】 中越大震災からの復興のシンボルの一つとして、隠れた錦鯉の文化が見えるよ うになったという側面もあるが、今回、シンボル化することで被災地域の人たち にとって何か効果は考えられるか。 【山口委員】 中越大震災で壊滅的な被害を受けた山古志の人たちが全員山から下ろされる 中で、錦鯉を守ろうと鯉師たちは山に向かって上がっていった。これは単に養鯉 業が生業だからということだけではなく、地域の宝、守るべき文化なのだという ことを認識しているからである。東日本大震災の被災地岩手県や熊本地震の被災 地熊本県の方々が視察に来られるが、錦鯉を守るために地域の人たちは一生懸命 山に戻ろうとしたのだと話すと感動を呼ぶ。県の鑑賞魚への指定を、そういった 物語やメッセージを発信する機会だと捉えるなら、早く指定した方がいい。 【座 長】 ここで、本日の議論の一番大事な錦鯉を県の鑑賞魚に指定することの妥当性に ついて確認したい。今ほど、山口委員からは妥当であるとの見解だったが、他の 委員はいかがか。 【小野澤委員】 輸出の観点で申し上げると、“新潟”と“錦鯉”のイメージが直結することに とても意味、効果があると思う。これまでのドバイやベトナムでの商談では、長 岡市、山古志、小千谷市などが取り組んでいるが、これら地名は必ずしもいつも 知られている訳ではない。これは錦鯉に限った話ではないが、オール新潟の傘が あって、その中にたくさんの産地があるという理解を浸透させることは、販促や 文化面での理解にも効果的と思われる。農林水産省は今、オールジャパンで展開 しようとしている。同時に、オール新潟で“新潟”ブランドを売り込むという構 造に近づけるためにも、錦鯉が県のシンボルに指定することは効果はあるし、妥 当でもあると考える。 【小黒委員】 先ほどの発言どおり、早く指定すべきと考える。 【鶴巻委員】 早急に指定すべきと考える。この機会に錦鯉の歴史や、震災から復活を遂げた という物語を改めて感じることができると思われる。 【馬場委員】 新潟に次ぐ錦鯉の生産地として中国地区や九州地区があり、海外との交流も盛
- 7 - んであるが歴史的な要素は浅い。ただ、広島に代表される「カ-プ」として市民 に親しまれている言葉が、いつしか錦鯉に変わり県民の魚になりうる事態は捨て がたいが、歴史的、学術的な文献等からいっても新潟の他にはありえない。した がって県の鑑賞魚への指定は妥当といえる。 【座 長】 それでは、今日の検討委員会で最も重要なところ、各委員からのご意見の中で、 錦鯉を県の鑑賞魚、シンボルに指定することの効果と妥当性が認められたことを 確認した。 ≪4 意見交換 (1) 錦鯉が県の鑑賞魚に指定された場合の活用方法≫ 【座 長】 最後に、シンボル指定後の活用方法等について意見交換したい。 【小黒委員】 錦鯉の遺伝子の研究者は、いるのか。 【座 長】 いるが、ものすごく数が少ない。 日本にいる大半の食用鯉、佐久鯉のほとんどは遺伝的には大陸起源であるとい うのは有名な話である。確かに生物学的に遺伝をたどれば大陸起源だが、錦鯉と いうものは生物学的存在ではなく、新潟で生み出された文化的存在だということ。 県として、現段階での活用方法についての考えはあるか。 【事務局】 県としては、観光資源としての活用や、品評会、輸出などのイメージ戦略とし ての活用を考えたい。 【座 長】 活用という意味と、発信していくという意味において、やはり報道関係は重要 な役割を果たしていただけると思うが、県民の関心や知名度を高めるにはどうし たらいいか。 【鶴巻委員】 最近、燕三条で取り組んでいる工場の祭典というイベントを通じて、消費者と の交流や職人(人材)の確保につながっているとのことである。これと同様に、 錦鯉関係者も一般県民等が参加できるイベントを開催するなどオープンにする 努力をしていただきたい。県の鑑賞魚に指定した時点はいいが、その後効果が下 がる傾向にあることを考えると、いろいろと手を打って盛り上げを図らなければ ならないと考える。
- 8 - 【座 長】 鶴巻委員の言われるとおり、一般県民等に対して錦鯉関係者が自分たちの文化 を広げていくということをやっていかないと、シンボル化した意味はない、是非 とも錦鯉関係者には、そのことを受け止めていただきたいと思う。 首都圏、あるいは世界に向けたPRについて、どう考えるか。 【小黒委員】 錦鯉は高額で取引されているということなのであれば、ネット系や海外のメデ ィアに働きかければ盛んに報道される可能性は高いと思われる。 【座 長】 ほかにご意見等がなければ、以上をもって本日の検討会を終了する。本日の検 討委員会では、錦鯉を県の鑑賞魚に指定することについて、各委員から高い効果 と妥当性が認められたということを議事録に記載をしていただきたい。 ≪5 事務連絡≫ 【事務局】 最後に、事前に委員各位への日程調整をした結果、第2回検討委員会を2月16 日(木)午後2時より開催させていただきたい。改めて、ご案内の文書を送りす るので、次回もよろしくお願いしたい。