研削盤砥石カバーの衝突安全性に関する研究 —Solid to SPHを用いた砥石破壊解析手法の提案—
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(2) 砥粒加工学会誌. WA46O8V とした.表 1 に WA46O8V の機械的性質の仕様お よびスプリットホプキンソン棒法により取得した動的強度を示 す. 4). WA46O8V 砥石の機械的性質 4). 表1. 形状および荷重-変位関係を取得する.供試研削砥石は 密度. ヤング率. 降伏応力. ρ kg/m. E GPa. σe MPa. 2400. 58. 165. 3. .なお,WA46O8V の密度は研削盤の安全規格である. ISO 16089 において想定されている砥石と同等である 9).. 625. 圧縮強度 破断ひずみ εb σm MPa 171. 0.004. 図 1 に試験片の外観を示す.脆性材料である研削砥石は, 円柱形試験片の場合は圧縮強度で急激に破壊が進展し,破 る試験片は直径 28mm,高さ 28mm の円柱形上部を先端角 90°に加工し円錐形状とした.円錐部先端から破壊を徐々に 進展させることで,解析手法の検討に必要な破壊過程の荷重. 14mm. 28mm. 壊開始後の荷重を正確に記録できないため,本研究で用い. ⌀28mm. -変位関係を取得する.圧縮速度は 5, 50, 500mm/min の 3 通 りとした.. 図 1 圧縮試験片の外観(WA46O8V). 2.2 試験結果 図 2 に圧縮後の砥石試験片を示す.試験片の亀裂進展に. 砥粒・結合剤の堆. はランダム性があるものの,図 2(a)のように円錐形先端部にク. 亀裂. 亀裂. レータ状の損傷が生じ,細粉した砥粒および結合剤がクレー タ内に押し固められたように堆積している点は一致していた.. 砥粒・結合剤の堆. クレータ損 亀裂. この特徴的なクレータ損傷は,元の砥石に比べ細粉した WA. 亀裂. 砥粒の圧縮強度がより高いために生じたものと考えられる.ま. 1 における動的圧縮強度 σm の積 F を次式で定義する. � � �� � � �� �� �. (1). 圧縮荷重の増加傾向は圧縮速度によらず概ね一定であり, 参考値として示した動的圧縮強度に基づく(1)式とほぼ一致し た.これは,最も面積が小さい圧縮面に応力が集中すること で局所的なひずみ速度が高くなり,破壊箇所は圧縮速度によ. (a) 破断面 (b) 外 観 (圧縮速度 50mm/min) (圧縮速度 500mm/min) 図 2 圧縮試験後の破断形状 20. 5mm/min 50mm/min 500mm/min (1)式. 15. 圧縮荷重 kN. 図 3 に圧縮荷重-圧縮変位関係を示す.なお,圧縮耐荷重 の参考値として,圧縮変位 z から推定される圧縮面積 A と,表. 10mm. 10mm. た,亀裂は図 2(b)のようにクレータ損傷を横断し進展した.. 10 5. らず動的圧縮に近い状態となったためと考えられる. 0. 0. 3.提案する砥石破壊解析手法. 1. 3.1 解析モデル. 2 3 4 圧縮変位 mm. 5. 6. 図 3 圧縮試験片の荷重-変位関係. Solid to SPH を用いた砥石破壊解析には Radioss(Altair)を 用いる. 図 4 に圧縮試験の解析モデルを示す.解析モデル の寸法は 2 章で行った実際の圧縮試験に準拠し,有限要素. 圧 縮. モデルは 4 接点テトラソリッド要素により作成する.なお,ソリッ. ソリッド要素 SPH 粒子. ド要素の要素長 l は 1.0mm とした.ソリッド要素が材料構成則 の破断条件を満たした際,Solid to SPH により,砥粒と結合剤. 剛体板. に見立てた粒子法の SPH 粒子へ置き換えを行う.. 1.0mm. 砥石試験片モデルの上下には剛体板を配置し,上側の剛 体板を試験片モデルに一定速度で押し付けることで圧縮試 験を再現する.この際,剛体板にかかる z 軸方向の荷重を出 力し,実際の圧縮試験結果と比較する.なお,Solid to SPH による解析は陽解法であり,準静的条件では時間的な解析コ ストが高くなってしまうことから,圧縮速度は先行研究における 衝突実験を参考に 10m/s とした.. z y. 砥石試験片 x. 図 4 Solid to SPH による圧縮試験解析モデル. Journal of the Japan Society for Abrasive Technology Vol.64 No.12 2020 DEC. 624-629. 25.
(3) 626. 砥粒加工学会誌. 3.2 材料構成則 砥石の材料構成則には砂やコンクリートなどの解析に用い. SPH 粒子. ソリッド要素. σ. られるDrucker-Prager構成則を適用した.Drucker-Pragerの降 伏条件は次式により定義される10). (2). ���� , �� � = ��� + ��� − �. 0 -σm/6. ここで,I1は応力の1次不変量,J2は偏差応力の2次不変量で 求められる.. �=. E. 引張. ある.係数αおよびkは,内部摩擦角φと粘着力cにより次式で. �=. Eg. σm σ. εb. 圧縮. 図 5 砥石モデルの公称応力-公称ひずみ関係(単軸換算). 2 sin �. (3). √3�3 − sin ��. ここで,aは次元を表す係数である. SPH粒子は砂のような物理的な粒子とは異なり,あくまで評. 6� cos �. (4). √3�3 − sin ��. 価点としての役割を有するものである.また,スムージング長h は通常SPH粒子の影響半径,すなわちSPH粒子の物理量が 重ね合わされる範囲を定義するのみで物理的意味をもたず,. また,粘着力cは1軸圧縮強度σmより次式で導出できる11).. 初期の粒子間距離の1.2~2倍程度が一般的とされる 16) .一 例として,図6(a)にスムージング長hを粒子間距離の1.2倍とし,. 1 − sin � � = �� 2 cos �. (5). mi/ρi・f(xi)=1とした場合の各粒子の物理量分布と,(6)式により 重ね合わされた物理量を示す.影響範囲内の粒子数が不足. なお,WA砥石の内部摩擦角は長尾ら12)によるWA60K8V砥 石の3軸圧縮試験によりφ=28.5°とされており,本研究ではこ の値を用いる.. する端部を除き,重ね合わされた物理量f(x)が一様になって いることが確認できる. 本研究ではあえてスムージング長を粒子間距離より短くす ることで重ね合わされた物理量が一様にならないようにし,研. 図5に単軸換算した砥石モデルの公称応力-公称ひずみ関 係を示す.圧縮側はWA46O8V砥石の圧縮強度σm まで至っ たあと,Solid to SPHによりソリッド要素をSPH粒子に変換し, アルミナの圧縮強度σg=2160MPaまで硬化係数Eg=360GPaで 硬化するものとする13).また,引張側については本間ら14)によ りWA砥石の引張・圧縮強度比は1/5~1/6程度とされているこ とから,本研究では圧縮強度の1/6で破断するものとした. 3.3 研削砥石のモデル化と粒子法パラメータ Solid to SPHにより有限要素法のソリッド要素から粒子法の SPH粒子へ置き換えを行う際,SPH粒子を砥粒および結合剤 に見立てるためには,その粒径や気孔率の影響を考慮する 必要がある.粒子法はSPH粒子が持つ物理量を重ね合わせ 平滑化することで解析を行う手法であり,重ね合わされた物 理量f(x)はカーネル関数Wにより次の近似式で表される15). �. �� ���� = � �(�� )�(� − �� , ℎ) ��. (6). ���. 削砥石内の砥粒および結合剤の不均一性,すなわち粒度や 気孔の影響を再現する.一例として,図6(b)にスムージング長 を粒子間距離の0.5倍とした場合の各粒子の物理量分布と, 重ね合わされた物理量を示す.スムージング長が粒子間距 離より短い場合,重ね合わされた物理量f(x)はいずれの領域 でも一様にならないことが確認できる.この場合,スムージン グ長は通常有しない物理的意味を有することになるため,研 削砥石の特徴を粒子法のパラメータに落とし込む必要がある. また,研削砥石中の砥粒の寸法は一様ではないことから,粒 子法による解析において基準となる砥粒および結合剤,特に その分布量を定義する必要がある. 研削砥石中の砥粒は,JIS R 6001に基づき5段階のふるい により粒径が選定されており,その粒度分布は一般に正規分 布に近いとされる17) 18).JIS R 6001における各ふるいの目と通 過砥粒割合から,本研究で用いたWA46O8V砥石は平均粒 径�̅ g=355μm,標準偏差s=67.52と概算した.この時,砥粒径. の確率密度関数p(rg)は次の式で表される.. ここで,xは評価点座標,miは粒子の質量,ρiは粒子の密度, f(xi)は粒子1個の物理量,xiは粒子点座標,hはスムージング 長である.RadiossはSPH粒子の物理量分布を表すカーネル 関数Wに3次スプライン関数を用いており,次式で表される. 3 � � 3 � � �1 − � � + � � 2 ℎ 4 ℎ � �(�, ℎ) = � 1 � � � �2 − � ℎ �4 �0. 26. �(�� ) =. 1. √2�� �. �. �. � ���� ���� � �� �. (8). ここで,rgは砥粒の半径である. 図7に砥粒・結合剤形状の簡略化モデルを示す.簡略化モ. ��ℎ. ℎ � � � 2ℎ. 2ℎ � �. デルにおける砥粒は真球形とし,結合剤はその表面を均一な (7). 厚さで覆っているものとする.この時,砥粒半径を1とすれば, 結合剤厚さbは次式で表される.. Journal of the Japan Society for Abrasive Technology Vol.64 No.12 2020 DEC. 624-629.
(4) 砥粒加工学会誌. 1.4. � 𝜇𝜇𝜇𝜇b� � = � +1−1 𝑏𝑏𝑏𝑏 �g� 𝜇𝜇𝜇𝜇 � 3. (9). 1. ここで,μbは結合剤率(vol%),μgは砥粒率(vol%)である.簡略 化モデル内において,砥粒の中心から任意の距離xにおける 断面積は次式で表される. |𝑥𝑥𝑥𝑥| � �g� (𝑥𝑥𝑥𝑥, (�, �𝑟𝑟𝑟𝑟g� ) = 𝜋𝜋𝜋𝜋�𝑟𝑟𝑟𝑟 ���g��2 − � ��g� � 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝑥𝑥𝑥𝑥 2� � |�| ≤ �𝑟𝑟𝑟𝑟. (10). |�| ≤ |𝑥𝑥𝑥𝑥| � �𝑟𝑟𝑟𝑟 ��g� �. (11). �b� (𝑥𝑥𝑥𝑥, (�, 𝑟𝑟𝑟𝑟�g� ) 𝑆𝑆𝑆𝑆 𝜋𝜋𝜋𝜋𝑟𝑟𝑟𝑟 �(� + 2) ��g�2� 𝑏𝑏𝑏𝑏(𝑏𝑏𝑏𝑏 = � 2� (� + 1)2� − 𝑥𝑥𝑥𝑥 ��g� (𝑏𝑏𝑏𝑏 𝜋𝜋𝜋𝜋𝑟𝑟𝑟𝑟 � 2�. |�| ≤ ��g� � ≤ � |𝑥𝑥𝑥𝑥| � �𝑟𝑟𝑟𝑟 ��g� (𝑏𝑏𝑏𝑏 (� + 1)� �𝑟𝑟𝑟𝑟. 1.4. (6)式 SPH 粒子. 1.2. 1.2 1. 0.8. 0.8. 0.6. 0.6. 0.4. 0.4. 0.2. 0.2. 0. -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 x mm. 0. -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 x mm. (a) h=1.2. (b) h=0.5. 図 6 スムージング長 h と物理量 f(x)の例 (粒子間距離 1mm) rg. ここで,Sgは砥粒の断面積,Sbは結合剤の断面積である.また,. brg Sb. この断面が有する微小質量��g+bは次式で表される. この断面が有する微小質量∆𝑚𝑚𝑚𝑚 ��, 𝑟𝑟𝑟𝑟�g� � = 𝜌𝜌𝜌𝜌 �g� 𝑆𝑆𝑆𝑆 �g� �𝑥𝑥𝑥𝑥, ��, �𝑟𝑟𝑟𝑟g� � + 𝜌𝜌𝜌𝜌 �b� 𝑆𝑆𝑆𝑆 �b� �𝑥𝑥𝑥𝑥, ��, 𝑟𝑟𝑟𝑟�g� � ∆𝑚𝑚𝑚𝑚 ��g+b ��� �𝑥𝑥𝑥𝑥,. 砥 粒. (12). 3. Sg. x. 結合剤. ここで,ρgは砥粒の密度,ρbは結合剤の密度であり,本研究で 3. 627. 12). はρg=3950kg/m ,ρb=2450kg/m とする .したがって,簡略化 モデル1個あたりの質量�g+bは次式で表される. モデル1個あたりの質量𝑚𝑚𝑚𝑚 �g� (𝑏𝑏𝑏𝑏+1) (���) 𝑟𝑟𝑟𝑟. ��g� � = � �g+b 𝑚𝑚𝑚𝑚 ��� �𝑟𝑟𝑟𝑟. (���) −𝑟𝑟𝑟𝑟g� (𝑏𝑏𝑏𝑏+1) ��. ��g+b ��, �𝑟𝑟𝑟𝑟g� �𝑑𝑑𝑑𝑑𝑥𝑥𝑥𝑥 ��� ∆𝑚𝑚𝑚𝑚 ��� �𝑥𝑥𝑥𝑥,. (13). (a) 砥粒径と結合剤厚さ (b) 砥粒・結合剤の断面積 図 7 砥粒・結合剤形状の簡略化モデル 混合密度ρg+bを次式で求める.. (12)式および(13)式により,簡略化モデルの個々の粒径に おける物理量(質量)については記述ができた.しかし,実際 の砥石は前述の通り粒径にばらつきがあるため,1種類の SPH粒子により砥粒および結合剤を表現するためには,平均. �g+b 𝜌𝜌𝜌𝜌 ��� =. �g� 𝜇𝜇𝜇𝜇 �g� + 𝜌𝜌𝜌𝜌 �b� 𝜇𝜇𝜇𝜇 �b� 𝜌𝜌𝜌𝜌 �g� + 𝜇𝜇𝜇𝜇 �b� 𝜇𝜇𝜇𝜇. (16). 粒径を用いるだけでは不正確である.そこで,簡略化モデル. また,簡略化モデルを基礎とした基準砥粒・結合剤の基準体. を基礎とし,粒径のばらつきを考慮した基準砥粒・結合剤を. 積Vg+b,sは次式で表される.. 定義する.基準砥粒・結合剤の任意断面における微小質量 (�)は,砥粒径の確率密度関数�(�g� )を乗じ,砥粒半 ∆𝑚𝑚𝑚𝑚g+b,s �� ���,� (𝑥𝑥𝑥𝑥)は,砥粒径の確率密度関数𝑝𝑝𝑝𝑝(𝑟𝑟𝑟𝑟. 径rgで積分した次式で定義する. ∞ �. (�) = � 𝑝𝑝𝑝𝑝(𝑟𝑟𝑟𝑟 ��g+b,s �(�g� )∆𝑚𝑚𝑚𝑚 )��g+b ��, �𝑟𝑟𝑟𝑟g� �𝑑𝑑𝑑𝑑𝑟𝑟𝑟𝑟 ���g� ∆𝑚𝑚𝑚𝑚 ���,� (𝑥𝑥𝑥𝑥) ��� �𝑥𝑥𝑥𝑥, 0 �. (14). また,基準砥粒・結合剤の質量は(14)式を距離xで積分するこ とで求められる. � ∞. � ∞. � �(�g� )∆𝑚𝑚𝑚𝑚 )��g+b ��, �𝑟𝑟𝑟𝑟g� �𝑑𝑑𝑑𝑑𝑟𝑟𝑟𝑟 ���g� 𝑑𝑑𝑑𝑑𝑥𝑥𝑥𝑥 �� 𝑚𝑚𝑚𝑚g+b,s ���,� = � � 𝑝𝑝𝑝𝑝(𝑟𝑟𝑟𝑟 ��� �𝑥𝑥𝑥𝑥, −∞ �� 0 �. (15). (14)式および(15)式により,研削砥石中の砥粒がその中心か. ∞ �. �g+b,s 𝑉𝑉𝑉𝑉 ���,� = �. 0 �. � 3 4 �����g� �𝑟𝑟𝑟𝑟 ��g� (𝑏𝑏𝑏𝑏 (� + 1)� 𝑑𝑑𝑑𝑑𝑟𝑟𝑟𝑟 ��g� 𝜋𝜋𝜋𝜋�𝑝𝑝𝑝𝑝�𝑟𝑟𝑟𝑟 3. (17). (16)式,(17)式およびカーネル関数Wより,基準砥粒・結合 剤を表す基準SPH粒子がその中心から距離xに有する微小 (�, ℎs� )は次式で求められる. 質量∆𝑚𝑚𝑚𝑚 質量��sph,s ���,� (𝑥𝑥𝑥𝑥, (�, ℎs� ) = 𝜌𝜌𝜌𝜌 �g+b �g+b,s �(�, ℎs� ) ��sph,s ∆𝑚𝑚𝑚𝑚 ���,� (𝑥𝑥𝑥𝑥, ��� 𝑉𝑉𝑉𝑉 ���,� 𝑊𝑊𝑊𝑊(𝑥𝑥𝑥𝑥,. (18). ここで,hsは基準SPH粒子に対応する基準スムージング長で ある.なお,基準砥粒・結合剤に基づき(18)式を導出したため 自明ではあるが,基準SPH粒子1個あたりの質量� 自明ではあるが,基準SPH粒子1個あたりの質量𝑚𝑚𝑚𝑚sph ��� は次式 で表される.. らある距離にもちうる平均的な物理量(質量)を,粒度分布を 考慮して表すことができた. 次に,粒度分布が考慮された基準砥粒・結合剤のSPH粒 子的表現を考える.1個のSPH粒子内では図7の簡略化モデ ルのような材質の違いを表現できないため,砥粒と結合剤の. � ∞. (�, ℎs� )𝑑𝑑𝑑𝑑𝑥𝑥𝑥𝑥 )�� = 𝑚𝑚𝑚𝑚 � �g+b,s ∆𝑚𝑚𝑚𝑚sph,s 𝑚𝑚𝑚𝑚sph,s ���,� = � �� ���,� (𝑥𝑥𝑥𝑥, ���,� −∞ ��. (19). 図8に,(14)式の基準砥粒・結合剤と,(18)式の基準SPH粒. Journal of the Japan Society for Abrasive Technology Vol.64 No.12 2020 DEC. 624-629. 27.
(5) 628. 砥粒加工学会誌. 子の物理量(質量)分布の比較を示す.なお,(18)式の変数で. 2(a)に示した実際の圧縮試験で得られたクレータ損傷と砥粒・. ある基準スムージング長hsは,x=0における微小質量が(14)式. 結合剤の堆積,および亀裂発生の再現が確認できた.一方,. と(18)式で一致する値を導出し,hs=0.186mmとした.本研究. 条件2の図10(b)では,破断条件に至った要素が削除されるた. で 定 義 し た (14) 式 の 基 準 砥 粒 ・ 結 合 剤 の 微 小 質 量 関 数. めクレータ損傷は生じず,圧縮面は平坦になった.粒子法解. �����,� (�)は中央にピークを持つ末広がりな形をしており,. 析の結果を示す図10(c)および(d)は破壊・変形の可視化のた. (18)式におけるカーネル関数に基づく基準SPH粒子の分布. め0.3mm以上の圧縮方向変位が生じた領域をコンターで示し. 形状と非常に近いことが確認できる.Radiossではカーネル関. ているが,実際のクレータ損傷よりも広範囲に変形が生じ,破. 数に3次スプライン関数が用いられているため,影響範囲は. 壊箇所の境界が曖昧になっていることが確認できる. 図11に条件1において破壊に至った圧縮試験片モデルの. 7の簡略化モデルのような真球形ではなく不規則な形をして. 外観を示す.条件1ではクレータ損傷だけでなく,破壊時の亀 7 基準砥粒・結合剤((14)式) 6 基準SPH粒子((18)式) 5. おり,通過したふるいの目よりも長い辺を有する場合もあるた め,(14)式と(18)式の誤差はある程度許容されるものと考えら れる.なお,砥粒径のばらつきがより大きく標準偏差sも大きい 場合,この誤差はより小さくなる.したがって,砥粒のように寸 法のばらつきがある物体において,本研究の手法は効果的 であるといえる. 3.4 スケーリング 第3.3項において導出したWA46O8V砥石の基準スムージ. 質量分布 ×10-10 kg/mm2. 若干SPH粒子の方が広くなっているものの,実際の砥粒は図. 4 3 2 1 0. ング長hs は基準砥粒・結合剤の寸法に対応したものであり, 解析時にはソリッド要素の大きさに合わせてスケーリングを行 1個のSPH粒子に置き換える場合,矛盾が生じないようその質 量は保存されるべきである.したがって,任意のソリッド要素 長lに対してSPH粒子が持つべき質量msphは次式で表される. ���� = �. � � √2 � � = ����,� � � 12 ��. (20). ここで,lsは基準SPH粒子に対応する基準ソリッド要素長であ り , WA46O8V に お い て 質 量 の 保 存 を 考 慮 し た 場 合 , ls=0.782mmである.したがって,ソリッド要素長lを1mmとした 本研究の解析で用いるスムージング長hは次式で求められる.. 図 8 基準砥粒・結合剤と基準 SPH 粒子の物理量(質量)分布 20. Solid to SPH(条件1) 有限要素法(条件2) 粒子法(条件3) 粒子法(条件4) (1)式. 15. 圧縮荷重 kN. う必要がある.Solid to SPHによって1個のテトラソリッド要素を. -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 距離 x μm. 10 5 0. 0. 1. 2. 3 4 圧縮変位 mm. 5. 6. 図 9 圧縮解析の荷重-変位関係. � ℎ = ℎ� = 0.238 mm ��. (21). 4.解析結果. 4.1 有限要素法および粒子法との比較 解析手法毎の砥石破壊形状の再現性を評価するため,第 3章で述べたSolid to SPH解析と,有限要素法および粒子法 の解析結果を比較する.図9に解析結果における荷重-変位 関係の比較を示す.なお,材料構成則,ソリッド要素長,初期. (a) 条件 1: Solid to SPH (h=0.238mm). (b)条件 2: 有限要素法. 粒子間距離は同一とし,条件1は本研究の提案手法である第 3章のSolid to SPH,条件2は有限要素法,条件3は(21)式の スムージング長を用いた粒子法,条件4は一般的な長さのス ムージング長(粒子間距離の1.5倍)を用いた粒子法とした.比 較の結果,条件1のみが圧縮試験同様に(1)式に沿った荷重 増加傾向を示し,圧縮変位5mm付近での荷重低下も再現した. 図10に圧縮変位6mmにおける試験片モデルの断面を示 す.条件1の図10(a)は砥石を表すソリッド要素部分の圧縮方 向変位が0.1mm未満と未破壊箇所の形状は維持され,図. 28. (c) 条件 3: 粒子法 (d) 条件 4: 粒子法 (h=0.238mm) (h=0.612mm) 図 10 解析手法毎の試験片モデル断面の破壊・変形形状. Journal of the Japan Society for Abrasive Technology Vol.64 No.12 2020 DEC. 624-629.
(6) 砥粒加工学会誌. 629. 裂発生においても図2(b)の圧縮試験結果に概ね一致する.し たがって,Solid to SPH解析は砥石の破壊を再現し得る解析 手法であることを明らかにした. 4.2 スムージング長の影響 第3.3項で述べた研削砥石をSolid to SPHで再現するスム ージング長の計算方法の妥当性について検討するため,スム z. ージング長が異なる条件での解析を行い,クレータ損傷の大 きさを比較する.各比較条件におけるスムージング長につい て,一般的な粒子間距離以上の値を条件5および条件6,粒 子間距離未満かつ(21)式よりも大きい値を条件7,粒子間距. y x. 図 11 試験片モデルの外観と亀裂進展. 離未満かつ(21)式よりも小さい値を条件8とした.また,クレー タ損傷以外の破壊を抑制して比較を行うため,本解析では引 張破断による亀裂が生じないものとした. 図12に圧縮変位6mmにおける圧縮試験片モデルの断面 を示す.形成されたクレータ損傷の大きさは,条件5および6 ではほぼ同等であった.これは図6(a)に示したように,スムー ジング長が粒子間距離以上の場合は物理量が一様になり, 周囲の粒子数が十分な箇所では物理的な差が生じないため. (a) 条件 5: h=0.612mm. と考えられる.スムージング長を粒子間距離未満とした条件7. (b) 条件 6: h=0.816mm. および条件8ではクレータ損傷の大きさに差が生じ,スムージ ング長が粒子間距離に比べてより短い場合,クレータ損傷も より小さくなった.これは,粒子間距離より短いスムージング長 が物理的意味をもったことを示している. 図2(a)に示す実際の圧縮試験におけるクレータ損傷量と比 較すると,条件5~7は損傷が過剰,条件8は過少であり,第 3.3項の計算に基づいたスムージング長を用いた条件1の解 析結果である図10(a)が最も実際に近くなった.従って,第3.3 項で提案したスムージング長計算方法は,研削砥石における. (c) 条件 7: h=0.306mm (d) 条件 8: h=0.102mm 図 12 Solid to SPH におけるスムージング長とクレータ損傷. 砥粒の粒度分布や気孔の影響を考慮する上で一定の妥当 性を有していたと考えられる.. 6). 5.結 言. 7) 8). Solid to SPH を用いた砥石破壊解析手法について,砥石 圧縮試験の解析から検討を行い,以下の結論を得た. (1) ソリッド要素を砥石,SPH 粒子を砥粒・結合剤と捉え,粒 度,粒径および気孔の影響を考慮した解析を行うための スムージング長導出手法を提案した. (2) Solid to SPH を用いた砥石圧縮解析は荷重-変位関係お よび破壊形態について実際の圧縮試験結果と概ね一致 し,提案手法の妥当性を示した.. 9) 10) 11). 12). 6.参考文献 1). 2). 3). 4). 5). M. Büyük, A. Atahan and K. Kurucuoğlu: Impact Performance Evaluation of a Crash Cushion Design Using Finite Element Simulation and Full-Scale Crash Testing: Safety, 4, 48(2018). Y. Sonoda and K. Goto: A fundamental study on the impact penetration failure of a concrete slab using SPH method, Journal of structural engineering, 63A, (2017), 1141(in Japanese). R. Hedayati and S. Ziaei-Rad: A new bird model and the effect of bird geometry in impacts from various orientations, Aerospace Science and Technology, 28, (2013), 9. T. Fukui, A. Yui and T. Kitajima: Study on wheel cover safety of grinding machines –Effect of abrasive projectile compressive strength-, Journal of the Japan Society for Abrasive Technology,63, 3 (2019), 128(in Japanese). T. Fukui, A. Yui and T. Kitajima: Study on wheel cover safety of grinding. 13) 14). 15) 16). 17) 18). machines –Effect of projectile tip shape-, Proceedings of 31st Abrasive Technology Conference, Kanazawa, (2018), A24(in Japanese). T. Fukui, A. Yui and T. Kitajima: Study on wheel cover safety of grinding machines –Effect of abrasive projectile compressive strength-, Journal of the Japan Society for Abrasive Technology,63, 3 (2019), 128(in Japanese). Altair: Radioss User Guide, (2017). L. M. Bresciani, A. Manes, T. A. Romano, P. Iavarone and M. Giglio: Numerical modelling to reproduce fragmentation of a tungsten heavy alloy projectile impacting a ceramic tile: Adaptive solid mesh to the SPH technique and the cohesive law, International Journal of Impact Engineering, 87, (2016), 3. ISO 16089:Machine tools-Safety-Stationary grinding machine,(2015). D. C. Drucker and W. Prager: Soil mechanics and plastic analysis or limit design, Quarterly of Applied Mathematics, 10, 2(1952), 157. 吉田幸夫, 水野英二, 畑中重光: 異なる形状比を有する円柱コンクリート の三次元 FEM 一軸圧縮解析, コンクリート工学年次論文集, 26, 2(2004), 19. T. Nagao, N. Nakajima, N. Takenaka, S. Okada, I, Toyoshima and T. Kameyama: The mechanical properties of grinding wheel materials with vitrified bonds (3rd Report) - Strengths and elastic moduli of WA and GC materials -, Journal of the Japan Society of Precision Engineering, 48, 8(1982), 985(in Japanese). KYOCERA: Characteristics of KYOCERA fine ceramics, (2020), (in Japanese). K. Honma: Studies on fracture of grinding wheels (1st Report) – Effects of pores on strength -, Journal of the Japan Society of Precision Engineering, 46, 11(1980), 1344(in Japanese). J. J. Monaghan: Smoothed particle hydrodynamics, Annual review of astronomy and astrophysics, 30, (1992), 543. O. Nakagome: Mass and heat flows in a lagrangian manner -Based on the SPH (Smoothed Particle Hydrodynamics) method-, Journal of the Geothermal Research Society of Japan, 34, 3(2012), 139(in Japanese). JIS R 6001-1: Bonded abrasives-Determination and designation of grain size distribution-Part 1- Macrogrits F4 to F220, (2017). 橋本謙一: 砥粒の粒度に就いて, 大日本窯業協會雑誌, 51, 607(1943), 435.. Journal of the Japan Society for Abrasive Technology Vol.64 No.12 2020 DEC. 624-629. 29.
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