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タウリンによるTXNIP 発現亢進を介した細胞機能制御

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Academic year: 2021

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キーワード:Caco-2, TXNIP, AMPK, ATP 1:前橋工科大学工学部生物工学科,2:東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻, 3:前橋工科大学大学院工学研究科生物工学専攻,4:東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 *〒371-0816 群馬県前橋市上佐鳥町 460-1 E-mail:[email protected]

PROCEEDINGS

タウリンによる TXNIP 発現亢進を介した細胞機能制御

薩 秀夫1*、権藤 祐輔2、嶋中 花2、和多利 研二3、福村 みどり3、清水 誠4 要約 タ ウ リ ン は レ ド ッ ク ス 制 御 に 関 与 す る thioredoxin interacting protein(TXNIP)の mRNA 発現を亢進することをこれまでに見出した。本研究 では、タウリンが TXNIP の遺伝子発現亢進を介し てどのような細胞機能に影響を与えるか検討した。 その結果、タウリンは TXNIP 亢進を介してグルコ ース取込活性を抑制すること、またAMP キナーゼ の活性化及び細胞内 ATP 量を増加させることが示 唆された。 はじめに タウリンは生体内で豊富に存在する遊離のβ-アミ ノ酸であり、また硫酸基を有する含硫アミノ酸であ る。食品としてはイカやタコ、魚介類などに多く含 まれている。生体内に取り込まれたタウリンは、各 組織において抗酸化作用・抗炎症作用・浸透圧調節 作用といった様々な生理作用を示すことが報告され ている 1。著者らはこれまでタウリンの腸管吸収に 関わるタウリントランスポーター(TAUT; SLC6A6) に注目し、その発現が細胞外タウリン濃度、高浸透 圧 条 件、 また 炎 症性 サイ ト カイ ンの 一 種で ある TNFなどによって制御されることを報告してきた 1,2。一方で腸管におけるタウリンの生理機能につい ても解析を進め、タウリンがデキストラン硫酸ナト リウム誘導大腸炎モデルマウスにおいて、腸炎症状 を軽減することを見出してきた 3。さらにその作用 機序を分子レベルで明らかにする一端として、DNA マイクロアレイを用いてタウリンが腸管由来 Caco-2 細胞の遺伝子発現に及ぼす影響を網羅的に解析し、 レドックス制御に関与する TXNIP の mRNA 発現 を顕著に亢進することを明らかにした 4。さらにタ ウリンは TXNIP のタンパク質発現を亢進し、また その亢進は転写レベルであることも示してきた。 そこで本研究では、タウリンが TXNIP の発現を 亢進することによって、さらにどのような細胞機能 に影響を与えているのかについて検討を進めること とした。 タウリンがグルコース吸収に及ぼす影響 TXNIP はグルコースの吸収抑制に関与している ことが報告されているため5、タウリンがグルコー ス取込活性に与える影響を検討した。その結果 Caco-2 細胞におけるグルコース取込活性は、タウ リン添加によって有意に抑制がみられた(図1)。 そこで次にタウリンによるグルコース取込活性の抑 制にTXNIP が関与しているか明らかとするため、 TXNIP を RNA 干渉法によってノックダウンした 図1 タウリンによるグルコース取込活性抑制にお けるTXNIP の関与(8より引用)Means±S.E.(n =

3). abcP < 0.05, Tukey’s test.

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際のタウリンがグルコース取込活性の及ぼす影響を 検討した。その結果、TXNIP をノックダウンする ことによって、タウリンによるグルコース取込活性 の抑制は解除され(図1)、タウリンはTXNIP の 発現亢進を介してグルコース取込を抑制することが 示唆された。 タウリンがAMPK 活性および細胞内 ATP 量に 及ぼす影響 AMPK は三量体複合体として存在し、通常エネル ギー不足などによりα サブユニットがリン酸化され ることにより活性化され、ATP を消費するタンパク 質合成、脂質合成、グリコーゲン合成、糖新生関連 分子の活性を抑制し、ATP を合成する解糖、脂肪酸 -酸化関連分子の活性を誘導し、エネルギー不足に 対応するエネルギーセンサーとして作用する 6。ま た TXNIP のノックダウンにより AMPK 活性が抑 制される報告がなされている7。そこでCaco-2 細胞 にタウリンを添加し48 時間後の AMPK 活性を測定 したところ、タウリンの濃度依存的に AMPK の活 性化がみられた(図2)。 図2 タウリンが AMPK の活性に及ぼす影響(8 よ り引用) またAMPK は ATP 消費経路を抑制し、合成経路 を誘導することにより ATP 産生を増加することが 報告されている6。そこで、AMPK を活性化するタ ウリンが ATP 産生を増加しているか検討するため に、タウリン添加72 時間後の細胞内 ATP 量を測定 した。その結果、タウリン添加により有意な細胞内 ATP 量の増加が認められ(図3)、これよりタウリ ンはAMPK 活性化を介して細胞内 ATP 量を増加し ている可能性が考えられた。 図3 タウリンが ATP 産生に及ぼす影響(8 より引

用)Means±S.E.(n = 3). *P < 0.05, Student’s t-test.

まとめ 本研究より、タウリンはTXNIP の発現亢進を介 してグルコース吸収の抑制、さらには AMPK の活 性化及び細胞内 ATP 量の増加を誘導することを見 出した。タウリンによるTXNIP の mRNA 発現亢進 は、腸管由来 Caco-2 細胞だけでなくヒト肝由来 HepG2 細胞やマウスマクロファージモデル J774.1 細胞など他の組織由来細胞株でも確認されている (データ省略)。従って、タウリンは生体内で幅広く TXNIP 発現制御を介してエネルギー代謝を制御・調 節している可能性が示唆され、さらなる今後の研究 が期待される。 文献 1) 薩秀夫. 化学と生物. 2007;45:273-281. 2) Satsu et al. FEBS Lett. 2004;569:123-128. 3) Zhao et al. Amino Acids 2008;35:217-224. 4) Gondo et al. Biochem Biophys Res Commun.

2012;426:433-437.

5) Patwari et al. J Biol Chem. 2009;284:24996-25003. 6) Hardie et al. Nat Rev Mol Cell Biol.

2012;13:251-262.

7) Andres et al. FEBS Lett. 2011;585:1223-1230. 8) Satsu et al. Adv Exp Med Biol. 2019, in press.

参照

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