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コロナ禍における制約と心理臨床実践

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Academic year: 2021

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[巻頭言]

コロナ禍における制約と心理臨床実践

       発達心理臨床研究センター長  

遠 藤 裕 乃

 発達心理臨床研究センター・神戸ハーバーランド臨床心理相談室(以下、当施設)では、教職員と大学 院生がチームとなって地域の方々へ心理臨床相談を提供してきた。しかし2020年4月7日に新型コロナ措 置法に基づく緊急事態宣言が兵庫県に発出され、やむを得ず相談活動を中止した。その後、緊急事態宣言 解除にともなった本学の活動制限のレベルダウンを受け、当施設における「新しい生活様式」の実践徹底 および感染防止策の策定を行い、6月22日にマスク着用等の感染予防対策を実施できる相談者に対する言 語面接を再開した。さらに9月7日には、一部制限付きで子どものプレイセラピー・療育ならびに心理検 査を再開し、現在に至っている。  相談者の方々は、平時から学校・家庭・職業生活において様々な困難を抱えておられ、継続的な支援を 必要とされている。しかし、緊急事態宣言下で支援は中断し、相談者の抱える問題が深刻化することが危 ぶまれた。またコロナ禍による新たなメンタルヘルス問題の増加は周知のことである。  さらに教育実習施設として、臨床心理士ならびに公認心理師養成の根幹である臨床心理実践の機会が2 か月半の間、完全に制限されたことは大変な打撃であった。  私たちは今、新たな制約に縛られて心理臨床実践を行わなければならない。  しかしよく考えてみると、心理臨床実践にはそもそも制約がつきものではないだろうか? 決められた 面接時間、面接場所、面接料金。多重関係の禁止。クライエントと交流する場に制約があるからこそ、ク ライエントは心の奥深い葛藤を表出しやすくなり、セラピストの受容や共感が機能する。私たちは制約に 守られていると言える。  コロナ禍における制約は、私たちが選んだ制約ではない。強いられた制約である。望まない制約をどの ように臨床実践に溶かし込み生かしていくのか。私たちの柔軟な発想と試みが問われている。

参照

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