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Listen : 兵庫教育大学附属図書館広報誌, Vol.1

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(1)

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Li5ten VOl.01 2006.11 「図書館」を訪れない日はあって も、「図書」を使わない日はないと言 われたりします。まさに、本学学生 や教職員の皆さんにも当てはまるよ うに思います。 30数年前に、私は大先輩から私 限定の‘‘論文を釣り上げる簡単な 方法’’を授けられました。それは、 関連する研究者一覧を随時作成し、 ハガキ一本で彼らと論文交換を繰 返す方法です。確かにこの方法で おおよそのことはチェックできました し、何にもまして、研究室に居なが らにして欲しいものが手元に届くの で、面倒な文献検索から逃れること ができました。以来、文献検索がき わめて容易になった現在でも、怠慢 なこの方法が私の主要手段となっ ています。 いずれにしても、私に限らず、欲 しいものが欲しいときに手に入ること、 これが誰にとっても究極の望みでしょ う。この‘‘望み”をかなえようと図書 館も努力を重ねています。 しかし、努力の限界も明白です。 学生や教職員の皆さんが欲しいも のを取り上げてみましても、例えばミ ニ総合大学と称される教員養成系 大学である本学図書館の場合、欲 しいものは広く・深く、また刻々と変 わります。したがって、皆さんすべ てに満足して頂ける需要と供給の 成立には「大規模百貨店」が必要 になるわけですが、少なくとも限ら れた書架スペースは直ちにそれを 妨げることになりますし、加えて経 費的な面での制約も増えてきてい ます。 このような状況下できわめてタイ ミングよく、誰もが欲しいものを欲し いときに手に入れられるシステムを 作ろうとする具体的な動きが始まっ ています。それは国立情報学研究 所による「次世代学術コンテンツ基 盤共同構築事業」と呼ばれるもの です。この事業は、各大学で創出さ れた論文などの学術研究成果物を 電子的に収集・蓄積・発信するた めのシステムである大学機関リポジ トリの構築を支援するものです。ま た同時に、これら大学毎に蓄積さ れた成果物を、国立情報学研究所 が運営する大学学術情報ポータル サイト「JuNii」から統合的に検索・ 利用できることで、誰に対しても欲 しいものを欲しいときに提供できる システムを整備しようとするものです。 本学図書館も平成18年度からそ の準備を始め、19年度から運用を 開始する予定です。 つまり、本学図書館が特色ある 学術情報の専門店になるとともに、 他大学各種専門店と連携することで、 専門店でありながらも皆さんにとっ ては学術情報の百貨店として機能 できるようになろうとしています。 これを機に学生の皆さんにはより 一層の利用を期待していますし、ま たこのシステム整備に際しましては 教職員の皆さんからのご支援とご 協力が不可欠です。この場を借りて、 改めてお願い申し上げます。

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読書のススメ

﹁良書を読む条件は、悪書を読ま ぬことである。人生は短く、時間 と力には限りがあるからである﹂ 哲 学 者 シ ョ ー ペ ン ハ ウ エ ル は 、 ﹁ 読 書について﹂ という短文のなかで、 こう記しています。 彼が生きた十九世紀とは比較に ならないほどの ﹁出版洪水﹂ のた だなかに生きる今日の私たちにとっ て、何を読み何を読まないかの選 択は決して容易なものではありま せ ん 。 良書悪書の別はさておき、学生 の皆さんにぜひ手にとってもらい たい本、日頃書架の片隅に埋もれ ている隠れた名著などを厳選して 紹 介 す る こ と 。 ﹁活字﹂が敬遠されつつある今 だからこそ、忘れえぬ1冊との出 会いを演出すること。 附属図書館では、このようなコ ンセプトのもと、昨年十二月に ﹁BOOKギャラリー﹂と題した 展示空間を設置しました。 その記念すべき第1回が、﹁梶田 叡 一 の 頭 脳 を 読 む ー T h e h e a d O f t h e “ H e a d ” ﹂ 。 梶田学長の主要著書及び学長の 人生に影響を及ぼした名著の数々 を紹介し、その知の遍歴を辿ると いう企画。遍歴を辿る以上、ただ 本を時系列に並べるだけではつま らない、ということになり、急遽、 その自伝的著作﹃︵お茶︶の学びと 人間教育﹄ を参照しながら、学長 の読書体験を軸とした略年譜を作 ることになりました。この年譜パ ネルの余白を埋めるものとして、 ご多忙のなか学長にご提供いただ いたのが下のお宝写真。 ﹁国際会議でカッコをつけるため に﹂ たくわえたらしいあごひげが、 かなり印象的でした。 第1回を記念して行われた学長 講演会の模様は、次ページでご紹 介 し て い ま す 。 第 2 回 は 、 ﹁ 子 ど も を 視 る ﹂ 。 幼年教育が専門の佐藤哲也先生 にご推薦いただいた古今東西の子 どもに関する図書を中心に、写真 集やDVDなど多様な資料を展示 しました。学部生の利用が少なかっ た第1回の反省から、今回はイン パクトのある写真資料を前面に据 えたので、いくぶんかリラックス した雰囲気になったのではないか と思うのですが、いかがだったで し ょ う か 。 この展示に際して、ご多忙のな か、紹介文まで書いて下さった佐 藤先生、並びに展示パネル作成の ために幼少期の貴重なお写真をご 提供いただいた諸先生方に、この 場を借りてお礼申し上げます。 BOOkギャラリーは、今後年2 回のペースで開催する予定です。 約三〇万冊の蔵書のなかから、 テーマに沿った魅力的な資料を選 定することは容易な作業ではあり ま せ ん 。 ﹁ B O O k ギ ャ ラ リ ー ﹂   に つ いて、ご意見ご提案がありました ら、ぜひ図書館までお知らせくだ さ い 。 私たちは、皆さんとともに魅力 溢れる図書館づくりをめざしてい きたいと考えています。 ご協力よろしくお願いします。 ▲第2回ポスター     ▲学長46歳の頃 Li5ten VOI.01 2006.11■至

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特 別

演 抄

梶田叡一学長

この記事は、梶 田学長の著書等を展示 し た第1 回B oo kギャラリー「梶 田叡一 の頭 脳を読む」にちなみ、H 1 8 年1 月1 8 日に図 書館地階ライブラリーホールにおいて行わ れた講演 内容の抄録です。

小学校時代の良い出会いに

今思うこと

二人の人との良い出会いがありました。 一人は本を読むのが好きだった父親です。 わたしが読みたいとも言わないのに、どん どん本を買ってくる人でした。岩波少年文 庫という子供向け読み物シリーズや全20 巻からなる玉川百科事典などを買ってくれ ました。今では、周りに子供が読みそうな 本を置いておく作戦だったのかなと思った りしています。百科事典のある巻では、土 星の輪や彗星がカラーで措かれていました。 カラーページだけを見ていてもすごいなあ と思ったものです。松・江生まれで米子育ち の田舎者のわたしは、そういう豪華なもの をどこかで見るという機会もなかなかない わけです。父親はいろいろな本を身の回り に置いといてくれました。気が向いたらい つでもベラベラめくって読むことができる環 境が出来ていたわけです。 もう一人は、小学校1、2年の担任の手 島金子先生。年配の肝っ玉母さんみたい な先生でした。手島先生は、ポケットマネー で学級文庫を作られ、子供たちが読みそう な本をいっぱい揃えられました。そして、い くつかの本のお話をなさって「おもしろいよ」 とおっしゃる。ときどきわたしたちに、「読ん だらそれについてクラスで話してごらん」と 言われることもありました。当時は昭和23 年という敗戦後の大混乱の時代です。教 育条件も良くなかった時代に、わたしは本 に没頭すること、全てを忘れて何かに取り 組むことを教えていただいたと思っています。 読書の楽しみは、算数の問題を解く楽し みとどこか似ています。没頭して時間を忘れ、 腹が立ったことも忘れ、うまくいけば腹が空 いたことも忘れます。この没頭するというこ とは、魅き込まれる場を作ってもらってこそ 身につくものです。 わたしが本を好きになったのは、そういう ことで父親と手島先生のおかげであったと 思います。

マイペースで本にのめりこむ

ことができて生き延びた高校、

大学時代

そういうことが土台になって、少しずつ 本を読むようになりました。高校のときには 新聞部に所属していて、周りの同級生た ちは割と本を読んだり、文章を書いたりす るのが好きでしたので、いろいろ刺激を受 けました。その中で小学校1年生からずっ といっしょだった女の子がいました。その 子は、よくわたしに小説を薦めてくれました。 例えば三島由紀夫の『潮騒』、石原慎太 郎の『太陽の季節』などです。いろんな本 を「これ読んでみたら。面白いよ」って貸し てくれました。ずいぶん借りて読んだことを 覚えています。 大学は、京都大学文学部に入学しました。 そして、今でも何故かわかりませんが、変な 人が集まる4組に入れられました。40人の 同級生のうちいっしょに卒業したのが十数 人。7、8人が中退して行方不明。後に有 名な詩人になった人もいました。入学して 間もない頃、同級生の1人から「君はサル トルとカミュの論争についてどう考えていま

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本なんて背表紙を見て面白いなと思ったときに

パラパラとめくってみる。これが一番いいんです。

この本をきちっと最初から最後まで読むぞと思うとしんどくなる。

パラパラでいいんです…出会いとしては・・・

すか」と声を掛けられました。「サルトル? 聞いたことはあるんですけど。カミュ、へえ、 で、どういう論争をやってるんですか」と聞 いたら、何も言わずすっと離れていってね、 卒業まで1回も話しかけてもらえませんでし た。そういう時代だったわけです。 ですからサルトルも読みました。カミュも。 カミュの訳文はしゃれた文体ですね。その 辺からはじまっていろんなものを読みました。 ほとんどわからなかったですが読んでみれ ば面白かったですよ。しかし、わたしはどう しても大学の雰囲気に慣れることができず、 しかも話が合わない。結局半年ぐらいで学 校に行くことをやめました。1回生の後半 はほとんど行っていない。2回生のときは文 学部自治会の役員をして、60年安保の後 遺症の残るキャンパスで、学生運動をして いましたね。3回生のとき、わたしはクリスチャ ンなんですが、クリスチャンの学生を集め て全国大会を行いました。いろんな講義や セミナーを作ってね。4回生のときはそうい うことから一切手を引き、セミプロのバンド でピアノとボーカルをやっていました。これ は楽しかったですね。卒論を書きながら12 月だけで10回ぐらいのステージがありました。 ただ、本を読むのは好きでしたから、い ろんなことをやりながらも、合間に本を読ん でいました。そして、心理学講座の先輩に も先生にも関係なく、わたしは自分で自分 の勉強をしていました。これが自己意識や アイデンティティの研究で今でもやっている ものです。今では大流行のテーマですが、 当時は心理学ではないとされていました。 でも、大学はおおらかなところだったので 卒業はさせてくれましたし、大学院マスター コースに行きたいと言ったら、無審査で上 げてくれました。アルバイトをしては本を買っ て読んだり、マイペースで自分なりの勉強 をしてきたわけですが、それが後になって 自分が食べていく道につながるとは全然思っ ていませんでした。

吸収したことを自分なりに

まとめ、本を通して知り合いに

なる気持ち

マスターコースが終わりドクターコースへと いうときに結婚し、東京の国立教育研究所に 行くことになりました。朝早くアパートを出て帰っ てくるのが夜の9時10時。家庭では子供の 夜泣き当番を一晩おきにしまして、夜起きては あやしたり、ミルクを飲ませたりしていました。 その間に『心理学研究』に2本、『ジャパニーズ・ サイコロジー・リサーチ』に1本論文を書きまし た。その後博士論文を書きました。少しずつ わたしは好きなことを自分で吸収するだけで なく、自分なりにまとめたいという気持ちが強く なったんですね。 わたしの最初の著書である『児童・生徒理 解と教育の過程』というのがあります。31歳 のときです。当時としては斬新で誰もやったこ とのない手法で分析した研究が評判になり、 いろんな新開などで取り上げてくれ、それを 本にしたのです。二作目の本は、『自己意識 の心理学』という本です。これもわたしなりに 言うと斬新だったと思います。 30歳になったとき、6週間の国際セミナーに 行かされました。そのときに勉強したことを基 に手掛けたのが、ブルーム先生たちの『教育 評価ハンドブック』『学習評価ハンドブック』の 翻訳。その頃はじめて教育のこととか、評価 のことを勉強したんですけど、それを全部復 習を兼ねて翻訳したわけです。 今も毎年本を出しています。本を書くことが 面白いのは、読者の中で一人か二人、「梶田 というやつは、わたしが今考えていることをす でに考えていたのか。なかなかやるじゃないか」 という人が出てくるかもしれないことです。い わば同じ思想、同じ探求、同じ洞察にたどり 着くような人が出てくるんじゃないか、と願って やっています。ですから、考えたこと、こだわっ たことを形にしておかないと出会いがないこと になります。どうか皆さん、そうたくさん書く必 要はないけれど、1冊本を書いておくといいと 思います。どこかで出会いが出来ます。 読むっていうことも簡単ではありません。本と いうのは誰かの考えが書いてあるけれども、 それを自分の本当の実感、納得、本音の深い ところで受け止めるのでないと、本当に読ん だことにならないのです。そうすると筆者との 間に非常に深いコミュニケーション、相互理 解ができることになります。読書を通じてお互 いが知り合いになるということは、非常に大切 なことではないかと思っています。 これまでたくさん書いてきたということは、わた しに不完全燃焼感があるからなんですね。自 分の持っているものを出し切っていない。ある いはなかなか受け止めてもらっていない。そ れを次の仕事のバネにしてやってきているん ですね。あと数年はやれるだろうと思っています。 もし関心があれば、わたしが60才のときに まとめた『<お茶>の学びと人間教育』という 本を見ていただくとありがたい。この中にわた しはどういうプリンシプルでやってきたかを語っ ています。本を読むのも、ものを書くのもわた し自身のためなんです。他に誰もいないかの ようなつもりでやるということです。それから、 私の心理学の方ではアイデンティティ論の『意 識としての自己』。これにはわたしって何だろ うとか、本当のわたしとは、ということを書いて います。一番新しい本には『教師・学校・実 践研究』というのがあります。ぜひご覧になっ ていただければと思います。

読書の原体験

小さいときに面白い本に出会った。そういう 本を読んでいるとお腹が空いているのも、暑い ことも寒いことも、そして弟や妹がギヤーギヤー 泣いているのも、そんなこと全部忘れて没頭で きた。これがわたしの読書体験の元々の姿です。 今でもそれを求めて本を読むんですよね。そう いうふうにならないと何も身につかないし、そこ から出発しないと、どこかで聞いた話を小器用 にまとめるだけで終わってしまうだろうという気 がします。自分自身のものを最後に何とか出さ ないと、意味がないのではないか、とも思ってお ります。皆さんの何かの参考にしてください。 LiSten VOl.01 2,006.11g至

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l 岳・記

10年後の図書館

国ったい私は何にこだわってい

るのか? すでに試みられつつある「電子 図書館化」は、10年後さらに加速 度的に進んでいることだろう。電 子書籍・電子雑誌の増加、既存の 図書資料のデジタル化、それらの 情報資源を登録・保存するデジタル・ アーカイブの構築・整備。概ね歓 迎すべき事態に違いない。私の専 門分野から言えば、既存資料のな かでも、写本・版本の貴重書や絵 巻等の画像資料がデジタル化され、 ネットでの公開利用が図られるのは、 この上なく有り難い。最終的には 原本調査が不可欠だが、さしあたっ ての閲覧の利便性は、従前のマイ LiSten VOl.01 2006.11 クロフイルムなどとは比較になら ない。また、近代の書物でも、も はや入手・閲覧が困難な明治期の ものなどは、国会図書館の「近代 デジタルライブラリー」のように、 簡単にパソコン画面で見ることが でき、印刷やダウンロードも可能 になりつつある。絶版書の復刊に 相当するデジタル化は、大方の支 持を集めることだろう。そこへ、 今後あらたに出される電子書籍の 類を加えていけば、紙に印刷され た「本」を凌ぐ図書資源になるこ とは疑いない。やがてデジタル書 籍が「本」を駆逐してしまう日も、 そう遠くないのではないか。

田呈、ッ

日、米国の某レコード会社が、トによる音楽配信のあ おりを食って、経営破綻に追い込 まれた。もともとジャケットなど への関心が薄かった国柄、CDパッ ケージに執着する向きも少ないよ うだが、その傾向は最近の日本に も当てはまるらしい。携帯やパソ コンに直接ダウンロードして楽曲 を楽しむ人が急増しているとか。 同じパッケージ・メディアによる 電子書籍も、いつしか姿を消すよ うに思われる。生き残るのは、そ のままネット上を自在に流通する デジタル情報としての書籍だけで はないのか。情報の消失防止、長 期保存、完全性・互換性の確保と いった喫緊の課題を抱えてはいる ものの、早晩それらも克服される ことだろう。いよいよ「本」のな い図書館の出現だ。いや、それな らオフィスや自宅のパソコンで事 足りる、もう図書館は要らないの ではないか、ということにもなり かねない。図書館の命運は、未来 にむけ「本」の延命を図るのか否 かにかかっていそうだ。

上、ことさら「10年後の図書館」の悪夢を措くことで、何とか それに待ったをかけたいと企んだ 自分が、今いかに形あるモノにこだ わっているかがわかる。フェティシ ズムの一語では片づけられないそ れは、これまで「本」の形態よりはる かに内容を重視してきた私自身、 驚くほど新鮮な感覚だ。「本」が絶対・ 不動のモノであることを、自明の前 提にしてきたせいだろう。そうでな くなる危機に瀕して、「本」は初めて のように自己主張する。モノである ことが内容価値を支えてきたのだ、と。 はたして、モノならざる本に同じよ うな力が期待できるのか、心もとない。 そもそも、モノであるとは歴史的存 在であること。その意味で対等と言っ てよい人と「本」は、時に歴史的事 件のごとき出逢いを実現する。その 健伴の根っこに、堅固なモノの世界 が広がっていることを忘れてはな るまい。

臼ういうかけがえのない構造を

壊して、あとは野となれ山と なれ、では困るのだ!

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インターネット時代に生きる私たちにとって、図書館はなくてはならないものなのでしょうか。 ボーンデジタルの急増、Googleに代表される検索エンジンの革新的進化、Web情報を文化資産として保存 蓄積するインターネットアーカイブの試みなど、従来の図書館機能がWebの世界に移行しているなかで、今 図書館の存在意義が厳しく問われています。 今回研究分野の異なるふたりの教員に10年後の図書館の姿を占っていただきました。

知りたいとき、まず、そのになる事柄や現象について 事柄や現象を表す言葉を辞書や事 典で調べます。しかし、言葉の意 味でなく、事柄や現象そのものに ついて知りたいとき、辞書や事典 の解説では不十分です。また、あ る言い回しやフレーズが頭から離 れなくて落ち着かない気分を味わ うこともあります。「ほら、あの 小説家の書いた何とかいう題の小 説で」と、もどかしい限りです。 こんな時には、世界中のあらゆる 著作物を網羅した索引があると、 きっと便利です。

献を検索するオンラインサービスは以前からあります。 記憶装置のビット単価がとても高 い頃に始まったサービスのため、 基本的な書誌データとキーワード しか電子化されていませんでした。 知りたい事柄を扱っている文献に、 それを表す言葉が登録されている とは限らないので、文献検索サー ビスで目指す文献に行き当たるの は至難の業でした。頼りになる図 書館の司書に相談しながら、シソー ラスや索引集のような2次資料を 取りそろえて調べるか、博識な大 先生に教えを請うのが常でした。 近、記憶装置のコストが非常に 安くなり、全文を電子化して蓄え ておけるようになりました。例えば、「青 空文庫」という団体が文学作品の電 子化を推進しています。 (http://www.aozora.gr.jp/#main) 学術雑誌は、大半が電子化されて います。本学でも、図書館のウェブ サイトを通して多くの学術雑誌(電 子ジャーナル)にアクセスすることが できます。アメリカでは、大学や公立 図書館の全蔵書を電子化する計画 (http://hotwired.ne.jp/news/cult ure/story/20041215204.html)すら あります。

文が電子化されると本文も検索の対象になりますが、サービ スを提供する出版社や電子図書館 の専用システムを通して使うようになっ ています。これでは不便です。注目 している事柄や事象に言及している 文献を網羅的に探し出したい時には、 Google Scholarや、複数の検索サ イトを自動的に検索するサービス を利用するなど工夫が要ります。 全文が電子化されていると、見つ けた文献を即座に閲覧できます。 これはとても便利です。重い思い をする必要もありません。本を手 に取ることがなくなると、図書館 の業務も様変わりするでしょう。 購入した書籍の登録や書架への配 置、開架書庫の整理といった雑務 から解放されます。

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情報の蓄積と提供(閲というサービスは図書 館の根幹としてますます重要にな るでしょう。特に、情報の提供に は適切な検索サービスの提供が不 可欠になります。インターネット の検索サービスよりも充実したサー ビスが求められるでしょう。専門 家は、専門分野での検索の訓練を 受けていますが、一般の利用者は 情報の検索に関して素人です。こ のような利用者に適切な検索方法 を紹介したり指導することが図書 館の重要な業務になるでしょう。 さらに、有能なスタッフをそろえ た図書館では、検索業務の代行サー ビスを有料で請け負うようになる かもしれません。 LiSten VOl.01 2006.11g至

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『小 学生 に教 える「地 理」: j;;:…Ii;;ij了 .浬愚 先 生のための最低 限ガイド』 荒木 一視 〔他〕著 (ナカニシャ出版) 社 会 ・言 語 教 育 学 系 ▲ 遠巌∵ ▼ 南 埜  猛 助教授 疎1:j 本書は、将来小学校で教鞭を執る夢を持っている学生のための教科書として作られたものです。また 現役の学校の先生や小学校の子どもを持つ保護者のみ なさんにもぜひ読んでいただきたいと、著者らは「はじめに」 で述べています。つまり本書は本学の学部生と大学院 生のみなさんを読者に想定した書であります。 タイトルを見てみましょう。あれ小学校に「地理」はあっ たかな、と思われる方も多いかと思います。もちろん「地理」 は小学校の教科には組み込まれていません。しかし、学 習指導要領や教科書を見ていただければわかるように、 生活科や社会科の内容は「地理」とかかわりのあるもの、 というか「地理」の内容そのものが大部分を占めています。 みなさんの中には、「地理」なんて中学校での授業以来 疎遠だとか、いまさら「地理」と言われてもと思われる方も おられるでしょう。そのような方は、是非、本書を手にとっ ていただきたい。本書では、「地理ってなに?」、「なにを 伝える?」、「どう伝える?」の3部構成で、表現もやさしく、 具体的な例を示しながら説明がなされています。またお 勧めの絵本の紹介などもあり、気軽に読めるのではない でしょうか? 3人の著者は、いずれも学生時代は地理学を学んだ方々 です。地理学を専門としながら、教員養成に深くかかわっ ている方々です。本学では本書で述べられている内容 の授業は、(教科)教育学を専門とする先生方が担当さ れています。本書とその授業の内容とを比較するとおも しろいかもしれませんね。 戦争末期、九州の病院で行われたアメリカ人捕虜の生体解剖をみなさんはご存知だろうか。遠藤周作の『海と毒 薬』はその生体解剖を取り上げた作品である。この作品から、 私は「人とは何か」「戦争とは」という疑問を突きつけられたよう な気がした。 物語は肺結核を患う主人公がある町医者に出会う場面から 始まる。家族に逃げられ寂れた医院を営みつつも、一流の腕を 持つその勝呂(すぐろ)医師に主人公は興味を抱く。そして、あ るきっかけから勝呂が生体解剖に関わった事実を知る。話は過 去へと遡るのだが、この作品のすばらしさは、ごく普通の医者(他 の医者、看護士)がそのような忌まわしい出来事に巻き込まれ ていく様を丁寧に表しているところにあると思う。若かりし頃の 勝呂は、周りの医者が権力や地位に迎合する中、一人その枠 から外れ患者への敬意や情を忘れない医者であった。その勝 呂も大きな流れに逆らうことができず、心では抗いながらも第三 助手としてその場に加わることになる。人の命を救う存在であ るはずの医者でさえ、生きている人間の体を実験台として冷酷 に切り刻む。戦争は、人々の価値や尊厳をいとも簡単に砕いて しまうものなのだ。戦争という大義の前に、人(敵側)はただの モノとして扱われ、人(日本人)は人としての感覚を失ってしまう。 しかし、私は戦争を以てしても説明できない、人間の奥深くに 眠る残虐さを想像せずにいられない。彼等だけが異常な精神 の持ち主だったと言い切れるのだろうか。人間の持つ「海」と「毒 薬」、それぞれの面。「海」は希望でもあるが、暗くうねる様子は 闇を象徴している。「毒薬」については説明するまでもないだろ う。この二面性は誰しもが持っているものなのかしれない。 勝呂は若い時思い巡らせた未来に立つことができただろうか。 医者としての名声よりも平凡な人生を望んだ勝呂。その将来は 淋しいものであった。彼の心に残ったものとは、果たして「海」だっ たのか、「毒薬」だったのか。 Li5ten VOl.01 2.006.11

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OPACって

何だろか?

図書館のカウンターで「OPAC はもう調べられましたか?」なんて いう言葉をかけられた経験はあり ませんか?OPEC?それは石油輸 出国機構。Online Public Ac− cess Catalogの頭文字を取って OPAC(オーバック)。コンピュータ を使って検索できるように構成した 資料の所蔵目録のこと。インターネッ トを通じて全世界に公開しています。 先日ははるばるドイツから本学の 資料を見に来たかたがおられました。 OPACでは、書名や著者、単語な どキーワードから検索し、探してい る資料が図書館や研究室にある かどうか、どこに置いているか、貸 出中かどうかがわかります。直接 棚に向かうよりは効率が良くデジタ ル的な探し方と言えますね。

電子ジャーナルっ

て電気の雑誌?

えっ、痺れますがな‥・。別名「オ ンライン・ジャーナル」とも言う通り、 学術雑誌が電子データ化され、イ ンターネットを通じてパソコンから読 むことができるものです。ウェブコミッ クの学術雑誌版ですね。本学では, EIsevier社のScienceDirectをは じめ、Wiley、Springer社などの5 つのコレクションを購読しており、 4,000誌以上の外国雑誌の記事 全文を読むことができます(必ずし も全ての雑誌について創刊号から 全部読めるという訳ではありませ んが)。学内のパソコンなら、図書 館のホームページから利用できます。 速報性に優れ、論文を検索するこ ともでき、いながらにして必要な論 文をgetできる優れモノです。

文献複写サービスって

どんなサービス?

文献複写。早い話がコピーのこ と。図書館でも館内の資料のコピー ができますね(著作権を守ってね)。 それとは別に、皆さんにぜひ知っ ておいてほしいのが、本学に所蔵 されていない雑誌の論文や本の 一部分のコピーを送ってもらうとい うサービスです。大学図書館の所 蔵情報を検索できるWebcatPlus (http://webcatplus.nii.ac.jp/)や、 国立国会図書館のNDL−OPAC (http://opac.ndl.go.jp/index.htm l)などを使って学外の所蔵を調査。 所蔵先がわかったら、お申し込み方 法などはカウンターでお尋ねください。 コピー代や郵送料が必要で、すぐに 入手という訳にはいきませんが、行く ことを思えば…ね。

三題噺:お題「OPACJ「電子ジャーナル」「文献複写サービス」

’’pain”という雑誌の論文を読みたいAさん。まずはOPACで図書館の所蔵を探してみたけどありません。そ こで、電子ジャーナルに無いか探してみたところ、つい先月発表された論文は載っていたのでプリントできま した。ところが、10年前の論文はアブストラクト(抄録)だけだったので、カウンターで文献複写サービスを申 し込みました。何日かして図書館に届いたので、料金を払って受け取り、無事読むことができました。めでた し。めでたし。と、こんな感じでしょうか。       (F) LiSten VOl.01 2006.11

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金 目

lnformation

本学の教育研究成果発信の場

「兵庫教育大学学術情報リポジトリ(仮称)」を構築中

学術情報リポジトリとは、本学で生産 された論文などの研究成果物を電子的に 蓄積・発信するインターネット上の電子 書庫のこと。 研究成果物を効率的・効果的に発信し、 大学の活動を周知するための有効なツー ルとなるなど、リポジトリは多くの利点 をもつ新しい学術情報発信システムとし て世界中の大学で普及が進んでいます。 本学でも、平成18年8月より国立情報

原稿募集

附属図書館へのご意見、本館所蔵図書 の書評、図書館にまつわるエッセイを募 集しています。 いずれも800字程度。メールに所属と氏 名を記載の上、メール本文に貼り付けて いただくか、添付ファイルでお送り下さい。 学研究所の助成を受け、現在公開に向け た準備作業を進めているところです。 今後、教員・大学院生・修了生の方に、 それぞれ学術論文、学位論文、教育現場 で作成された研究報告書などのご提供を お願いすることになりますが、ご協力の ほどよろしくお願いいたします。 リポジトリについて関心をもたれた方は、 学術情報課学術情報チーム(0795−4412061) までお問い合わせ下さい。 採用された原稿は、本誌及び図書館ホー ムページに掲載いたします。 ぜひご応募下さい。 宛先:学術情報課広報担当 E−maiI:Office−gakujutu−t@hyogo−U.aC.jp

平成18年11月発行

学附属図書館

編集協力:高橋総合印刷株式会社 LiSten VOl.01 2006.11

表 紙 人 金 目 lnformation本学の教育研究成果発信の場 「兵庫教育大学学術情報リポジトリ(仮称)」を構築中学術情報リポジトリとは、本学で生産された論文などの研究成果物を電子的に蓄積・発信するインターネット上の電子書庫のこと。研究成果物を効率的・効果的に発信し、大学の活動を周知するための有効なツールとなるなど、リポジトリは多くの利点をもつ新しい学術情報発信システムとして世界中の大学で普及が進んでいます。本学でも、平成18年8月より国立情報原稿募集附属図書館へのご意見、本館所蔵図書の書評、図書館に

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