回転座標系と慣性力
ちょっとした思考実験
質点が先端につけられている単振り子
振り子をゆらした時、床面に投影された質点の陰の運動は?
振り子の質点の陰: 床が回転していると?
振り子は同じように振動している。
床が振り子の支点を通る鉛直線を軸として回転している場合、 質点の陰はどのような軌跡を描く?
1 振り子の周期と床の回転周期が同じ場合 2 回転周期が振り子の周期の半分の場合
回転版上の振り子の軌跡
原点から距離 角速度 ω1 の単振動で変動
回転版 角速度 ω
2 で回転
x
y =
sin
1t⋅cos
2t
sin
1t⋅sin
2t
1=2 , 2=2 1=2 , 2= 1=2 , 2=2 /3
1=2 , 2=2 /4 1=2 , 2=2 /5 1=2 , 2=2 /6
では、地球上で同じ事を考える: フーコーの振り子
地球は自転軸を中心に自転している。 北極点に振り子を設置する。
空気抵抗が無視できるように、
振り子の糸は十分長く質点は十分重い。
振り子の支点が自転軸を通るように設置。
北極点にいる観測者から、質点の運動は どの様に観察されるか?
地表にいる観察者は地球の自転を感じない。
観察者にとって、この振り子の先端に結びつけられた 質点の力学はどのように理解されるのか?
フーコーの振り子はいろいろな所で展示されている。 近くでは 霞城セントラル。
霞城セントラルの振り子はどんな運動をするのだろうか?
回転座標系
回転している円盤上に座標系をとる
x' y'
x y
回転座標系
x
y
x '
y ' x ' y ' = −sin cos cos sin x y
i = 1
0
j= 0
1
二つの座標系の関係は
単位ベクトルで確認
(x, y) 系 → (x', y') 系
i = 1
0
cos
sin
j= 0
1
sin
cos
等速回転している場合
d
dt =
一定質点が
r= x
y
にある時、その質点の速度は時間微分で 与えられるので、、、
上の式の両辺を時間で微分する。
座標の回転角度も時間に依存する事に注意!
回転座標系での見かけの速度
˙x ' ˙y ' = − ˙ −˙ cos − ˙sin sin ˙cos
x
y
cos sin
−sin cos ˙x ˙y
x ' y ' = −sin cos cos sin x y
d f t g t
dt =
d f t
dt g t f t dg t dt d f g t
dt =
d f t dt
dg t dt
sin /2=cos cos/2=−sin
˙y ' ˙x ' =− −sin cos / / 2 2 cos sin / / 2 2 x y −sin cos cos sin ˙x ˙y
角度 θ 回転させる 角度 (θ + π/2) 回転させる
R = cos sin
− sin cos
˙r' =R −/ 2 rR ˙r =R [ R−/ 2 r ˙r ]
r ' =R r
˙R =−R
/2= R−/2
¨R =
2R
=−2R
R =RR
˙R =−R R/2= RR−/2
方程式の意味する事
˙r' =R [ R−/ 2r ˙r ]
r ' =R [ r ]
x
y
x ' y '
r
(x,y) 座標系での”見え方” (x',y') 座標系での見え方に変換する”演算”
逆の変換=角度を逆に回転 逆の変換=角度を逆に回転
R−[r ']=R −R [r]=r
(x',y') 座標系での速度は、(x,y) 座標系での速度を回転したものとは一致しない。
˙r' ≠R [ ˙r ]
位置ベクトルの見え方は、どちらの系でも同じ。 角度 θ の回転に対応している
余分な項が生じる。
大きさが ωr で、向きを位置ベクトルを -90度 回転させる方向。
回転座標系での質点の運動
(x,y) 系で静止している物体
˙r=0
(x',y') 系では
˙r' =R R −/2r
x
y
x '
y '
r
(x',y') 系での速度の大きさは
v ' =∣ ˙ r '∣=r
等速円運動をしてる物体の速度は?
ある座標系で等速円運動している物体は
等速で回転している座標系からみた「静止している物体」と
区別(できる・できない)
※ 並進する座標系での話と同じ
˙r' =R [ R −/ 2r ˙r ]
等速回転しているものを(同じ速度の)回転座標系でみる
˙r' =R [ R −/ 2r ˙r ]
˙r' =0
同じ角速度で回転している系でみるのだから、位置は一定
R −/ 2r ˙r=0
˙r= R / 2r
位置ベクトルを90°回転した方向に、 大きさ rω の速度を持つ。
(等速)回転座標系での運動方程式
r ' =R r
¨r' =R [ −
2r2 R−/2 ˙r ¨r ]
m ¨ r ' =R [ −m
2r 2 m R −/2 ˙r m ¨r ]
˙R =−R / 2
˙R r=−r
˙R =R −/ 2
x
y
x '
y '
r
−m
2r
“みかけの”向心力 物体が (x, y) 系で
速度を持つ場合
F ' =R F
これは一体なに?
˙r' =R [ R−/ 2r ˙r ]
(等速)回転座標系からみた質点: 質点が等速運動している場合
x
y
x '
y '
r
−m
2r
v
2 mR −/2r
“みかけの”向心力 質点が運動している場合の みかけの力
F ' =R [ −m
2r 2 m R−/2 ˙r F ]
例) 原点がら等速で遠ざかる質点 例) 原点がら等速で遠ざかる質点
v ∝r
速度に対して垂直方向(-90度)に 力が作用しているように見える
(みかけの力)
垂直方向の慣性力が生じる
コリオリの力
見かけの力によって、進行方向に対して
見かけの力によって、進行方向に対して
回転座標系と共に運動する物体
F ' =R [ −m
2r 2 m R−/2 ˙r F ]
見かけの向心力と釣り合う力が(遠心力)が働いている。
F = m
2r
F ' =R [ 2 mR −/2 ˙r ]
F ' =R [ 2 m R−/2 ˙r f ]
他に外力 f が働く場合
みかけの力のみが働く
角速度ベクトルを使う
x
y
r
×r
− ×r
˙r' =R [ R−/ 2r ˙r ]
位置ベクトルを 角速度ベクトルを軸に -90°回転させて、角速度をかける。 位置ベクトルと垂直
角速度ベクトルとも垂直
− ×r
* 角速度ベクトル ω をもつ質点の速度は
静止している質点を角速度 ω で回転する系 から見れば、みかけの速度は
×r
− ×r=r×
R −/ 2 f − × f
外積による表現との対応
˙r' =R [ R−/ 2r ˙r ] ˙r' =R [ − ×r ˙r ]
¨r' =R [ −
2r2 R−/2 ˙r ¨r ]
¨r' =R [ −
2r −2 × ˙r ¨r ]
3次元ベクトルに拡張しても基本的には同じ
r ' =R r r ' =R r
R −/ 2 f − × f
F ' =R [ −m
2r 2 m R−/2 ˙r F ]
F ' =R [ −m
2r −2 m × ˙r F ]
コリオリの力
地表面に固定された座標系
地球の平均半径 R = 6.4 × 106 m 山形市の緯度 北緯 38 度
sin 38° = 0.62 cos 38° = 0.79
山形市の半径 R cos 38° = 5.0×106 m 自転の周期 T = 24 h = 1440 min = 86400 s 自転の角速度 ω = 2π/(86400) = 7.3×10-5 s-1
'
0緯度 θ0 の位置に固定された座標系は 鉛直方向の動きを無視できる場合、 コリオリの力は
角速度 ωsinθ0 の回転座標系での コリオリの力として近似できる
台風はなぜいつも進行方向に対して右に曲がるのか?
地球の外側の系で直進(北上)する「台風」は 地表に固定された座標系(回転座標系)
からは曲がって見える。
= 見かけの力により曲げられたように見える 見かけの力
F ' =R
[
2 m R−/2sin 0 ˙r]
'
フーコーの振り子@霞城セントラル
フーコーの振り子
1851年にフーコーによって製作された振り子
弦の長さ L = 67 m
おもりの質量 m = 28 kg
周期 T = 16.4 s
フーコーの振り子@霞城セントラル
弦の長さ L = 20 m
おもりの質量 m = 32 kg
周期 T = 9.0 s
単振り子の周期
T =2 L
g
重力加速度
g =9.8 m/s
2単振り子の力学
−mg
F ~−mg sin =− mgx
L
L
x
長さ L の単振り子の先に質量 m の質点がある 鉛直方向に対する弦の角度 θ が十分小さい場合 質点の運動は
振動計数 k = mg/L の単振動 と見なせる。
長さ L の単振り子の先に質量 m の質点がある 鉛直方向に対する弦の角度 θ が十分小さい場合 質点の運動は
振動計数 k = mg/L の単振動 と見なせる。
m ¨ r=−k r−2 m × ˙r
を解く問題バネ定数 k の単振動 地球の自転によるコリオリ力
(角速度 ω の回転運動) 北緯 θ0 では、角速度 ωsinθ0 と近似するとすると 振り子は、周期 T = 2π√(L/g) で単振動しながら、 原点周りに 角速度 ωsinθ0 で回転運動する。 地表の設置された振り子の運動は
地球の自転の周期が 24時間 とすると、
北緯 θ0 での振り子のコリオリ力による周期は 24/sinθ0 時間
単振り子の力学つづき
m r× ¨r =−k r×r−2 m r× × ˙r
d
dt r× ˙r =r× ¨r
d
dt r× ˙r = ˙r× ˙rr× ¨r
m ¨ r=−k r−2 m × ˙r
d
dt r× ×r = 2 r × × ˙r
d
dt r× ×r = ˙r× ×r r× ×r ˙ r× × ˙r
˙
=0
˙r× ×r =− × r× ˙r −r× ˙r×
r× ˙r ∝
˙r× ×r =r× × ˙r
d
dt r× ˙r =−
d
dt r× ×r
r× ˙r =− r× ×r
質点 は 角速度 ω で回転運動しているように見える
(結局、回転→コリオリの力 を コリオリの力→回転にしただけ) 角速度成分のみに注目して考えると
フーコーの振り子@霞城セントラル
山形(北緯38°)での地球の自転による コリオリ力
角速度 ω sin 38° 1時間あたりの回転角度
(360°/24)×sin 38° = 9.3° 周期(時間) 24 h /sin38° = 38.8 h
1時間あたりの単振り子の振動数
周期 T = 9.0 s
60×60/9.0 = 400回
一回転するのに必要な振動数 38.8 h × 400 ~ およそ15000回
フーコーの振り子@霞城セントラル
振り子の軌跡を書くの無謀 霞城セントラルのの振り子が、
角速度 0.01 s-1 で回転する星の上に 置かれていた時(重力加速度は同じ)の 軌跡は