平成27年9月
犯罪収益移転危険度調査書
凡 例
法令の略称は、次のとおり用いる。
[略称] [法律名]
外為法 外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)
資金決済法 資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)
銃刀法 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)
出資法 出 資 の 受入 れ 、 預 り 金及 び 金 利 等 の取 締 り に 関 する 法 律 ( 昭
和29年法律第195号)
組織的犯罪処罰法 組 織 的 な犯 罪 の 処 罰 及び 犯 罪 収 益 の規 制 等 に 関 する 法 律 ( 平
成11年法律第136号)
犯罪収益移転防止法 犯 罪に よ る 収 益 の移 転 防 止 に関 す る法 律( 平成 19年 法 律第 22
号)
施行令 犯 罪に よ る 収 益 の移 転 防 止 に 関す る 法 律 施 行令 ( 平成 20年 政
令第20号)
規則 犯 罪に よ る 収 益 の移 転 防 止 に 関す る 法 律 施 行規 則 (平 成2 0年
内閣府、総務省、法務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、
経済産業省、国土交通省令第1号)
風適法 風 俗営 業 等 の 規 制及 び 業 務 の 適正 化 等 に 関 する 法律 ( 昭和 23
年法律第122号)
暴力団対策法 暴 力 団 員に よ る 不 当 な行 為 の 防 止 等に 関 す る 法 律( 平 成 3 年
法律第77号)
麻薬特例法 国 際 的 な協 力 の 下 に 規制 薬 物 に 係 る不 正 行 為 を 助長 す る 行 為
等 の 防 止 を 図 る た め の麻 薬 及 び 向 精神 薬 取 締 法 等の 特 例 等 に
関する法律(平成3年法律第94号)
労働者派遣法 労 働 者 派遣 事 業 の 適 正な 運 営 の 確 保及 び 派 遣 労 働者 の 保 護 等
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第1 危険度調査の目的 1
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1 背景 1
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2 目的 1
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第2 危険度調査の方法 3
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1 危険度調査の方法 3
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2 マネー・ローンダリング事犯検挙事例の分析 3
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(1) 主体 3
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(2) 手口 4
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第3 商品・サービスの危険度 7
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1 危険性の認められる主な商品・サービス 7
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(1) 預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービス 7
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(2) 保険会社等が取り扱う保険 14
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(3) 金融商品取引業者、商品先物取引業者等が取り扱う投資 16
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(4) 信託会社等が取り扱う信託 19
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(5) 貸金業者等が取り扱う金銭貸付け 21
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(6) 資金移動業者が取り扱う資金移動サービス 22
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(7) 両替業者が取り扱う外貨両替 25
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(8) ファイナンスリース事業者が取り扱うファイナンスリース 28
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(9) クレジットカード事業者が取り扱うクレジットカード 30
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(10) 宅地建物取引業者が取り扱う不動産 32
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(11) 宝石・貴金属等取扱事業者が取り扱う宝石・貴金属 34
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(12) 郵便物受取サービス業者が取り扱う郵便物受取サービス 36
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(13) 電話受付代行業者が取り扱う電話受付代行 38
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(14) 電話転送サービス事業者が取り扱う電話転送サービス 39
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(15) 法律・会計専門家が取り扱う法律・会計関係サービス 40
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2 引き続き利用実態等を注視すべき新たな技術を活用した商品・サービス 43
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(1) 電子マネー 43
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(2) ビットコイン等 44
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第4 危険度の高い取引 45
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1 取引形態と危険度 45
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(1) 非対面取引 45
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(2) 現金取引 47
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(3) 外国との取引 49
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2 国・地域と危険度 51
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3 顧客の属性と危険度 52
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(1) 反社会的勢力(暴力団等) 52
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(2) 非居住者 54
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(3) 外国の重要な公的地位を有する者 55
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(4) 実質的支配者が不透明な法人 56
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(5) 写真付きでない身分証明書を用いる顧客 58
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第5 危険度の低い取引 59
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1 危険度を低下させる要因 59
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2 危険度の低い取引 59
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(1) 金銭信託における特定の取引(規則第4条第1項第1号) 60
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(2) 保険契約の締結等(規則第4条第1項第2号) 60
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(4) 有価証券市場(取引所)等において行われる取引(規則第4条第1項第4号) 60
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(5) 日本銀行において振替決済される国債取引等(規則第4条第1項第5号) 60
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(6) 金銭貸付け等における特定の取引(規則第4条第1項第6号) 61
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(7) 現金取引等における特定の取引(規則第4条第1項第7号) 61
(8) 社債、株式等の振替に関する法律に基づく特定の口座開設(規則第4条
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第1項第8号) 62
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(9) スイフト(SWIFT)を通して行われる取引(規則第4条第1項第9号) 62
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(10) ファイナンスリース契約における特定の取引(規則第4条第1項第10号) 62
‥
(11) 現金以外の支払方法による貴金属等の売買(規則第4条第1項第11号) 62
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(12) 電話受付代行業者との特定の契約(規則第4条第1項第12号) 62
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(13) 国等を顧客とする取引等(規則第4条第1項第13号) 62
‥
*1 マネー・ローンダリ ングとは、一般に、犯罪によって得 た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、 捜 査 機 関に よ る 収益 の 発 見や 検 挙 を 逃れ よ う とす る 行 為で あ る 。 我が 国 で は、 組 織 的 犯罪 処 罰 法及 び麻 薬特 例法 に おいてマネー・ローンダリングが罪として規定されている。
*2 The Financial Action Task Forceの略。マネー・ローンダリング等への対策に関する国際協力を推進するため設置さ れている政府間会合。
*3 FATF は 、マネ ー・ローン ダリング等への対策として、各国が 法執行、刑事司法及び金融規制の各 分野において講 ずるべき措置を、「FATF勧告」として示している。
*4 テ ロ 資金 供 与 自 体が 犯 罪 とさ れ 、 テ ロ資 金 そ のも の が 犯罪 に よ る 収益 に 該 当す る こと か ら、 他の 犯罪 によ る収 益
と 同 様 、テ ロ 資 金の 供 与 を行 お う と する 者 は 、そ の 移 動に 際 し て 様々 な 取 引や 商 品 ・ サー ビ ス を悪 用す るこ とに よ り そ の 発見 を 免 れよ う と する も の と 考え ら れ る。 し た がっ て 、 本 調査 書 に 記載 す る 危 険度 に は 、テ ロ資 金供 与に 利 用される危険度も含まれる。
第1 危険度調査の目的
1 背景
IT 技術の進歩や経済・金融サービスのグローバル化が進む現代社会において、マ
ネー・ローンダリング(Money Laundering: 資金洗浄)
*1
及びテロ資金の供与(以下
「マネー・ローンダリング等」という。)に関する情勢は絶えず変化しており、その
対 策を 強力に 推進 してい くため には 、各国 の協調 による グロー バルな 対応 が求め ら
れる。
金 融活 動作 業 部会 (FATF)
*2
は、 平成 24年 (2 012年)2 月に改 訂し た新「 40の 勧
告 」
*3
に おいて 、各 国に対 し、「 自国に おける 資金洗 浄及 びテロ 資金供 与のリ スクを
特定、評価」すること等を要請している。
また、 25年(2013年) 6月の ロッ ク・ア ーン・サミットにお いては、所有 ・支配
構 造が 不透明 な法 人等が マネー ・ロ ーンダ リング や租税 回避の ために 利用 されて い
る 現状 を踏ま え、 各国が 「リス ク評 価を実 施し、 自国の 資金洗 浄・テ ロ資 金対策 を
取 り巻 くリス クに 見合っ た措置 を講 じる」 こと等 が盛り 込まれ たG8 行動 計画原 則
の合意がなされた。
我が国 では 、同月 、新「 40の勧告 」及び G8行 動計画 原則 を踏ま え、警察 庁を中
心 に金 融庁等 の関 係省庁 を加え た作 業チー ムを設 けて取 引にお ける犯 罪に よる収 益
の移転の危険性の程度(以下「危険度」という。)の評価を行い、26年(2014年)12
月、警察庁が「犯罪による収益の移転の危険性の程度に関する評価書」を公表した。
2 目的
本調査 書は 、平成 26年12月に公 表した 「犯 罪によ る収益の移 転の危険性の 程度に
関 する評 価書 」の内 容も踏 まえ、 26年の犯 罪収益 移転防 止法 の改正 により新 設され
た 同法 第3条 第3 項の規 定に基 づき 、事業 者が行 う取引 の種別 ごとに 、危 険度等 を
記載したものである。
*4
特定 事業者 にお いては 、本調 査書 の内容 を勘案 し、危 険度の 高い取 引に はより 注
意 を払 うなど して 、顧客 管理を 適切 に実施 し、取 引が犯 罪によ る収益 の移 転に悪 用
されることを効果的に防止することが求められる。
参考:犯罪収益移転防止法(抜粋)
(国家公安委員会の責務等)
第3条
3 国家公安委員会は、毎年、犯罪による収益の移転に係る手口その他の犯罪による
収益の移転の状況に関する調査及び分析を行った上で、特定事業者その他の事業者
が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪による収益の移転の危険性の程度そ
の他の当該調査及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成し、こ
れを公表するものとする。
※ 施行期日は、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律(平
(疑わしい取引の届出等)
第8条
2 前項の規定による判断は、同項の取引に係る取引時確認の結果、当該取引の態様
その他の事情及び第3条第3項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案
し、かつ、主務省令で定める項目に従って当該取引に疑わしい点があるかどうかを
確認する方法その他の主務省令で定める方法により行わなければならない。
*1 こ れ らの ほ か 、 危険 度 を 高め る 要 因 とし て 、 事業 者 の 規模 が 挙 げ られ る 。 取引 量 や取 引 件数 が多 いほ ど、 その 中
に 紛 れ た犯 罪 収 益を 特 定 し、 追 跡 す るこ と が 困難 と な るこ と な ど から 、 一 般に 事 業 者 の規 模 が 大き くな るほ ど危 険 度 が 上 昇す る と いえ る 。 これ に 対 し て、 犯 罪 収益 移 転 防止 法 で は 、事 業 者 に取 引 時 確 認等 を 的 確に 行う ため の措 置 を 義 務 付け 、 使 用人 に 対 する 教 育 訓 練の 実 施 その 他 の 必要 な 体 制 の整 備 に 努め な け れ ばな ら な いこ とと し、 規模 に 応じた体制整備を通じて、危険度の低下を図っている。
第2 危険度調査の方法
1 危険度調査の方法
危険度の調査に当たっては、FATF の新「40の勧告」等を参照し、「商品・サービ
ス 」、「 取引形態 」、「 国・地域 」及 び「顧 客」の 観点から、危険 度に影響を与 える要
因
*1
を特定し、当該要因ごとに
○ 犯罪による収益の移転に悪用される固有の危険性
○ 危 険度を 低下 させる ために 取ら れてい る措置 (事業 者に対 する法 令上 の義務 、
所 管行 政 庁に よ る事業 者に対 する 指導・ 監督、 業界団 体又は 事業者 によ る自主 的
な取組等)に関する状況
を分析した上で、
○ 疑わしい取引の届出状況
○ マネー・ローンダリング事犯の検挙事例(下記2参照)
を分析し、多角的・総合的に危険度の評価を行った。
調査 におい ては 、関係 省庁が 保有 する統 計、事 例等を 利用し たほか 、関 係省庁 を
通 じて 業界団 体や 事業者 に対し 、マ ネー・ ローン ダリン グ等へ の対策 の状 況や、 行
っ てい る取引 、取 り扱っ ている 商品 ・サー ビスの 脆弱性 の認識 等につ いて 調査を 行
っ た。 また、 疑わ しい取 引の届 出状 況及び マネー ・ロー ンダリ ング事 犯の 検挙事 例
については、主に過去3年間(平成24年から26年まで)を対象として分析を行った。
2 マネー・ローンダリング事犯検挙事例の分析
(1) 主体
マネー・ローンダリングを行う主体は様々であるが、主なものとして、暴力団、
来日外国人、特殊詐欺の犯行グループ等がある。
ア 暴力団
我 が国 にお いて は 、暴 力団 に よるマ ネー・ ローン ダリン グがと りわ け大き な
脅 威 とし て存 在し てい る。平 成26年中 のマネ ー・ロ ーンダ リング 事犯 の検挙 事
例のうち、暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」
という。)によるものは60件で、全体の20.0%を占めている(図表1参照)。
暴 力団 は、 経済 的 利得 を獲 得 するた めに職 業的に 反復し て犯罪 を敢 行して お
り、巧妙にマネー・ローンダリングを行っている。
暴 力団 によ るマ ネ ー・ ロー ン ダリン グは、 国際的 に敢行 されて いる 状況も う
か がわれ 、米国 は、 23年 (2011年) 7月、「国 際組織犯罪対 策戦略」を公 表する
と と もに 大統 領令 を 制定 し、 そ の中で 、我が 国の暴 力団を 「重大 な国 際犯罪 組
織 」 の一 つに 指定 し 、暴 力団 の 資産で あって 、米国 内にあ るもの 又は 米国人 が
所 有 ・管 理す るも の を凍 結し 、 米国人 が暴力 団と取 引を行 うこと を禁 止した 。
図表1 【暴力 団構成 員等に よる 組織的 犯罪処 罰法 及び麻 薬特例法に 係るマネー・ ローン
ダリング事犯の検挙事件数(平成24~26年)】
年 24 25 26
区分
マネー・ローンダリング事犯検挙事件 249 282 300
暴力団構成員等による事件 59 85 60
*1 特 殊 詐欺 と は 、 面識 の な い不 特 定 の 者に 対 し 、電 話 そ の他 の 通 信 手段 を 用 いて 、 預貯 金 口座 への 振込 みそ の他 の
方 法 に より 、 現 金等 を だ まし 取 る 詐 欺を い い 、オ レ オ レ詐 欺 、 架 空請 求 詐 欺、 融 資 保 証金 詐 欺 、還 付金 等詐 欺、 金 融 商 品 等取 引 名 目の 特 殊 詐欺 、 ギ ャ ンブ ル 必 勝情 報 提 供名 目 の 特 殊詐 欺 、 異性 の 交 際 あっ せ ん 名目 の特 殊詐 欺及 び その他の特殊詐欺を総称したものをいう。
イ 来日外国人
26年 中の マ ネー・ ローン ダリ ング事 犯の検 挙事例 のうち 、来日 外国 人によ る
ものは36件で、全体の12.0%を占めている(図表2参照)。
来 日外 国人 によ る マネ ー・ ロ ーンダ リング には、 日本国 内で得 た犯 罪によ る
収 益 を外 国に 送金 し てい たも の 、現金 により 母国に 密輸し ていた もの 等、法 制
度や取引システムの異なる他国への資金移動が多く認められる。
図表2 【来日 外国人 による 組織 的犯罪 処罰法 及び 麻薬特 例法に係る マネー・ロー ンダリ
ング事犯の検挙事件数(平成24~26年)】
年 24 25 26
区分
マネー・ローンダリング事犯検挙事件 249 282 300
来日外国人による事件 17 21 36
比率(%) 6.8% 7.4% 12.0%
ウ 特殊詐欺の犯行グループ等
近 年、 我が 国に お いて は、 電 話をか けるな どして 対面す ること なく 、不特 定
多数の者から現金等をだまし取る特殊詐欺 *1
が多発している。特殊詐欺の犯行グ
ル ー プは 、首 謀者 を 中心 に、 だ まし役 、詐取 金引出 役、犯 行ツー ル調 達役等 に
そ れ ぞれ 役割 分担 し た上 で、 組 織的に 詐欺を 敢行す るとと もに、 詐取 金の振 込
先 と して 架空 ・他 人 名義 の口 座 を利用 するな どし、 マネー ・ロー ンダ リング を
敢行している(図表3参照)。
ま た、 自己 名義 の 口座 や偽 造 した身 分証明 書を悪 用する などし て開 設した 架
空 ・ 他人 名義 の口 座 を遊 興費 や 生活費 欲しさ から安 易に譲 り渡す 者等 がおり 、
マネー・ローンダリングの敢行をより一層容易にしている。
図表3【特殊詐欺の認知件数・被害総額(平成22~26年)】
22 23 24 25 26
認知件数 6,888 7,216 8,693 11,998 13,392
被害総額(円)
11,247,278,665 20,404,305,829 36,436,112,888 48,949,490,349 56,550,685,877 (実質的な被害総額)
注1:警察庁の資料による。
2:実質的な被害総額とは、キャッシュカードを直接受け取る手口の特殊詐欺における ATM からの引出 (窃取)額(実務統計による集計値)を被害総額に加えた額である。
(2) 手口
ア 前提犯罪
組 織的 犯罪 処罰 法 及び 麻薬 特 例法に 規定さ れてい るマネ ー・ロ ーン ダリン グ
の 罪 は、 一定 の前 提 犯罪 から 得 られた 収益の 隠匿及 び収受 並びに これ を用い た
法 人 等の 事業 経営 の 支配 を目 的 として 行う一 定の行 為であ る。前 提犯 罪には 、
不 法 な収 益を 生み 出 す犯 罪で あ って、 組織的 犯罪処 罰法の 別表に 掲げ るもの 及
*1 平 成 24年か ら 26年 まで の 間 に おけ る 組 織的 犯 罪 処罰 法 及 び 麻薬 特例 法に 係る マネ ー・ ロ ーン ダリ ング 事犯 の検 挙
事件数は831件である が、前提犯罪別の検挙事件数の合計 は840件である(図表4参照)。これは、複数の前提犯罪に またがるマネー・ローンダリング事犯が存在するためである。
強盗、窃盗、詐欺、背任等の刑法犯と出資法、売春防止法(昭和31年法律第118
号)、著 作権法 (昭和 45年 法律第48号)、商標法(昭 和34年法律第 127号)、銃刀
法等の特別法犯を合わせて200を超える犯罪が掲げられている。
平成 24年 から26年 までの 間に おける マネー ・ロー ンダリ ング事 犯の 前提犯 罪
別の検挙事件数 *1
は、窃盗が232件と最も多く27.6%を占め 、次いで、詐欺(20
9件、24.9%)、出資法・貸金業法違反(74件、8.8%)、売春防止法違反(48件、
5.7%)、わいせつ物頒布等(46件、5.5%)となっている(図表4参照)。
図表4 【組織 的犯罪 処罰法 及び 麻薬特 例法に 係る マネー ・ローンダ リング事犯の 前提犯
罪別の検挙事件数・割合(平成24~26年)】
イ マネー・ローンダリングに悪用された取引等
マネ ー・ロ ーン ダリン グ事犯 の検挙 事例( 24年から 26年 までの 3年 間)を 分
析 し 、捜 査の 過程 に おい て判 明 した範 囲内で 、犯罪 収益等 の隠匿 ・収 受のた め
の 手 段と して 悪用 さ れた もの の ほか、 犯罪収 益がそ の形態 を変え たも のをマ ネ
ー・ローンダリングに悪用された取引等として集計した。
内国為 替が412件、 次い で現金 取引が 289件 で、両 者が マネー ・ローン ダリン
グに悪用された取引等の大半を占めている(図表5参照)。
検 挙さ れた マネ ー ・ロ ーン ダ リング 事犯、 さらに は、疑 わしい 取引 として 届
出 が あっ た取 引の 分 析の 結果 を 踏まえ ると、 我が国 におい ては、 犯罪 による 収
27.6% 24.9% 8.8% 5.7% 5.5% 3.2% 3.0% 3.0% 2.7% 2.6% 2.0% 1.4% 1.4% 1.2% 6.9%
窃盗
詐欺
出資法・貸金業法違反
売春防止法違反
わいせつ物頒布等
電子計算機使用詐欺
覚醒剤取締法違反
風適法違反
商標法違反
銀行法違反
常習賭博及び賭博開帳等図利
恐喝
著作権法違反
業務上横領
その他
前 提 犯 罪
窃 盗
詐 欺
出 資 法 ・ 貸 金 業 法 違 反
売 春 防 止 法 違 反
わ い せ つ 物 頒 布 等
電 子 計 算 機 使 用 詐 欺
覚 醒 剤 取 締 法 違 反
風 適 法 違 反
商 標 法 違 反
銀 行 法 違 反
常 習 賭 博 及 び 賭 博 開 帳 等 図 利
恐 喝
著 作 権 法 違 反
業 務 上 横 領
そ の 他
合 計
合計 2 3 2 2 0 9 7 4 4 8 4 6 2 7 2 5 2 5 2 3 2 2 1 7 1 2 1 2 1 0 5 8 8 4 0
益の移転を企図する者が、迅速かつ確実な資金移動が可能な内国為替を通じて、
架空・他人名義の口座に犯罪による収益を振り込ませる事例が多く認められる。
そし て、最終的には、当 該収益は ATM に おいて現金で出金され、その後の資
金の追跡が非常に困難になることが多い。
こ のよ うに 、我 が 国に おい て は、内 国為替 及び現 金取引 が犯罪 によ る収益 の
移転の多くに悪用され、大きな脅威となっている。
図表5【マネー・ローンダリングに悪用された取引等(平成24~26年)】
悪 内 現 預 外
(
投 手 不 法 郵 宝 法 保 資 外 貸 電 物 物 合
用 国 金 金 国 外 資 形 動 人 便 石 律 険 金 貨 金 子 品 理 計
さ 為 取 取 と 国 ・ 産 格 物 ・ ・ 移 両 庫 マ 譲 的
れ 替 引 引 の 為 小 受 貴 会 動 替 ネ 受 隠
た 取 替 切 取 金 計 サ
ー
匿
取 引 等 手 サ 属 専
ー
引
) ー
門 ビ
等 ビ 家 ス
ス
*1 本 調 査書 で は 事 業者 ご と にそ の 取 り 扱う 商 品 ・サ ー ビ スを 記 載 し てい る が 、事 業 者が 取 り扱 う商 品・ サー ビス の
範 囲 は 一様 で は ない 。 事 業者 は 、 取 り扱 う 商 品・ サ ー ビス に 応 じ て、 本 調 査書 に お け る関 連 す る記 載を 勘案 する こ とが求められる。
*2 犯罪収益移転防止法第2条第2項第1号から第16号まで及び第35号に掲げられた者(銀行、信用金庫等)をいう。
*3 機 関 数は 、 主 な もの と し て、 銀 行 ( 141行 。外 国銀 行支 店を 除 く)、 協同 組織 金融 機関 (信 用金 庫 (267金 庫)、 信
用組合(154組合)、労働金庫(13金庫)、農業協同組合及び漁業協同組合(782組合))を合計した。
*4 全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」(対象は116行のみ)を参照。
*5 銀行法第10条第1項各号に定める業務をいう。
*6 所 管 行政 庁 は 、 疑わ し い 取引 に 該 当 する 可 能 性の あ る 取引 と し て 特に 注 意 を払 う べき も のの 類型 を例 示し た「 疑
わ し い 取引 の 参 考事 例 」 を特 定 事 業 者に 対 し て示 し て いる 。 そ し て、 特 定 事業 者 が 疑 わし い 取 引の 届出 を行 う際 に は、当該参考事例のうち主にいずれに該当するかを記載することとなっている。
第3 商品・サービスの危険度
1 危険性の認められる主な商品・サービス
*1
(1) 預金取扱金融機関
*2
が取り扱う商品・サービス
ア 預金取扱金融機関の概要
平成27年3月末現在、銀行等の預金取扱金融機関は1,357機関
*3
存在している。
そのうち銀行の預金残高 *4
は、26年9月末現在で670兆8,769億円となっている。
預金取扱金融機関は、その固有業務
*5
である預金等の受入れ、資金の貸付け、
手 形 の割 引及 び為 替 取引 (内 国 為替・ 外国為 替)の ほか、 これに 付随 する業 務
と し て、 例え ば、 資 産運 用に 係 る相談 、保険 商品の 販売、 クレジ ット カード 業
務 、 事業 継承 に係 る 提案 、海 外 展開支 援、ビ ジネス マッチ ング等 幅広 い業務 を
取り扱っている。
こ のほ か、 信託 業 務を 兼営 す る銀行 におい ては、 上記の 銀行業 務( 付随業 務
を含む。)に加え、信託業務として、金銭、有価証券、金銭債権、動産、不動産
等 の 信託 の引 受に 係 る業 務を 、 信託併 営業務 として 、不動 産関連 業務 (売買 仲
介 、 鑑定 等)、証券代 行業 務(株 主名簿 管理 等)、 相続関連 業務( 遺言 執行、 遺
産整理等)等の業務を取り扱っている。
我 が国 の預 金取 扱 金融 機関 の 規模や 活動範 囲は千 差万別 であり 、監 督官庁 で
あ る 金融 庁等 にお い ては 、預 金 取扱金 融機関 を主要 行等( メガバ ンク 等)と 中
小 ・ 地域 金融 機関 ( 地方 銀行 、 第二地 方銀行 及び協 同組織 金融機 関) に区分 し
て 監 督を 行っ てい る 。3 メガ バ ンクグ ループ はいず れも、 日本全 国に 支店を 有
す る と と も に 、 シ ス テ ム 上 重 要 な 金 融 機 関 (Global Systemically Important
Financial Institutions:G-SIFIs) に選定され、国際展開も推し進めている。地方
銀 行 及び 第二 地方 銀 行は 、そ れ ぞれ一 定の地 域を営 業の中 心とし てい るが、 一
部 に は多 地域 展開 を 図っ てい る ものも 存在す る。協 同組織 金融機 関は 、特定 の
地区内においてのみ営業活動を行っている。
イ 疑わしい取引の届出
24年から26年までの間の預金取扱金融機関による疑わしい取引の届出件数は1
02万7,126件で、全届出件数の94.1%を占めている。
「疑わしい取引の参考事例」
*6
に例示された類型のうち届出件数が多かったも
のと類型ごとの届出件数等は、以下のとおりである。
○ 職員 の知 識、 経 験等 から 見 て、不 自然な 態様の 取引又 は不自 然な 態度、 動
向等が認められる顧客に係る取引(17万2,149件、16.8%)
○ 多数 の者 から 頻 繁に 送金 を 受ける 口座に 係る取 引。特 に、送 金を 受けた 直
後に当該口座から多額の送金又は出金を行う場合(14万5,333件、14.1%)
○ 暴力団員、暴力団関係者等に係る取引(12万4,959件、12.2%)
○ 多数 の者 に頻 繁 に送 金を 行 う口座 に係る 取引。 特に、 送金を 行う 直前に 多
○ 多額 の現 金又 は 小切 手に よ り、入 出金( 有価証 券の売 買、送 金及 び両替 を
含む。以下同じ。)を行う取引。特に、顧客の収入、資産等に見合わない高額
な 取引 及 び送 金 や自 己宛 小切 手 によ るの が 相当に もかか わらず 、あ えて現 金
による入出金を行う取引(5万3,741件、5.2%)
○ 多額の入出金が頻繁に行われる口座に係る取引(5万1,972件、5.1%)
○ 経済的合理性のない目的のために他国へ多額の送金を行う取引(5万267件、
4.9%)
○ 経済的合理性のない多額の送金を他国から受ける取引(4万81件、3.9%)
○ 通常 は資 金の 動 きが ない に もかか わらず 、突如 多額の 入出金 が行 われる 口
座に係る取引(3万1,282件、3.0%)
○ 架空 名義 口座 又 は借 名口 座 である との疑 いが生 じた口 座を使 用し た入出 金
(2万7,626件、2.7%)
○ 他国 への 送金 に 当た り、 虚 偽の疑 いがあ る情報 又は不 明瞭な 情報 を提供 す
る 顧客 に 係る 取 引。 特に 送金 先 、送 金目 的 、送金 原資等 につい て合 理的な 理
由 がある と認め られな い情 報を提 供する 顧客 に係る 取引( 1万8,168件、 1.8
%)
ウ 預貯金口座
(ア) 現状
預貯 金 口座 は 、預 金取 扱金 融 機関 への 信 頼や預 金保険 制度に 基づ く預金 者
保 護制 度 の充 実 等に より 、手 持 ち資 金を 安 全かつ 確実に 管理す るた めの手 段
と して 広 く一 般 に普 及し てい る 。ま た、 昨 今は、 店頭に 赴くこ とな く、イ ン
タ ーネ ッ トを 通 じて 、口 座を 開 設し たり 、 取引を したり するこ とが 可能と な
っており、その利便性はますます高まっている。
一方 で 、こ の よう な特 性に よ り、 預貯 金 口座は 、犯罪 による 収益 の移転 を
企 図す る 者に と って は、 犯罪 に よる 収益 の 収受や 隠匿の 有効な 手段 として 悪
用され得る。
犯罪 収 益移 転 防止 法は 、預 金 取扱 金融 機 関に対 して、 顧客等 との 預貯金 契
約 (預 金 又は 貯 金の 受入 れを 内 容と する 契 約)の 締結に 際して の取 引時確 認
の 義務 及 び確 認 記録 ・取 引記 録 等の 作成 ・ 保存義 務を課 してい る。 また、 取
引 時確 認 の結 果 その 他の 事情 を 勘案 して 、 収受し た財産 が犯罪 によ る収益 で
あ る疑 い 又は 顧 客等 が犯 罪収 益 等隠 匿罪 に 該当す る行為 を行っ てい る疑い が
あると認められる場合における疑わしい取引の届出義務を課している。
また 、 犯罪 利 用預 金口 座等 に 係る 資金 に よる被 害回復 分配金 の支 払等に 関
する法律(平成19年法律第133号)は、預金取扱金融機関に対して、預金口座
等 につ い て、 捜 査機 関等 から 当 該預 金口 座 等の不 正な利 用に関 する 情報の 提
供 があ る こと そ の他 の事 情を 勘 案し て、 振 り込め 詐欺等 の一定 の犯 罪に利 用
さ れて い る預 金 口座 等で ある 疑 いが ある と 認める 場合に 、当該 預金 口座等 に
係る取引の停止等の措置を適切に講ずることを義務付けている。
(イ) 関連犯罪の検挙状況
売買 等 によ り 不正 に入 手さ れ た架 空・ 他 人名義 の口座 は、振 り込 め詐欺 等
の特殊詐欺やヤミ金融等において、犯罪による収益の受け皿として悪用され、
これにより、収益の移転が行われている。
警察 で は、 預 貯金 通帳 ・キ ャ ッシ ュカ ー ド等の 不正譲 渡等に 係る 犯罪収 益
移転防止法違反事件の捜査を強化している。
また 、 他人 に 譲渡 する 目的 を 秘し て預 金 取扱金 融機関 から預 貯金 通帳等 を
だ まし 取 る詐 欺 (口 座詐 欺) や だま し取 っ た預貯 金通帳 等であ るこ とを知 り
図表6【口座詐欺等の検挙事件数(平成17~26年)】
年 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
区分
口 座 詐 欺 1,222 1,558 1,602 2,849 3,778 2,288 2,097 2,049 2,016 1,928
盗品譲受け 148 108 48 81 83 40 41 21 15 7
合 計 1,370 1,666 1,650 2,930 3,861 2,328 2,138 2,070 2,031 1,935
注 :都道府県警察から警察庁に報告が あったものを計上した。
(ウ) 事例
預貯 金 口座 が マネ ー・ ロー ン ダリ ング に 悪用さ れた事 例とし ては 、架空 名
義 で開 設 した 口 座、 不正 に開 設 され た営 業 実態の ない会 社名義 の口 座や不 法
な 譲渡 行 為に よ り取 得し た他 人 名義 の口 座 等を利 用し、 詐欺、 窃盗 、ヤミ 金
融 事犯 、 風俗 事 犯、 薬物 事犯 、 偽ブ ラン ド 品販売 事犯等 の様々 な犯 罪によ る
収益を収受又は隠匿したものがある。
特に 、 ヤミ 金 融事 犯、 わい せ つD VD 販 売事犯 等にお いては 、顧 客から 違
法 に買 い 取る な どし て準 備し た 複数 の口 座 を犯罪 による 収益の 受け 皿とし て
悪 用し て いた 実 態や 利用 状況 に 不審 な点 が ある口 座(個 人名義 の口 座にそ ぐ
わ ない 多 数の 者 との 頻繁 な取 引 がな され て いたり 、長期 間利用 され ていな か
っ たに も かか わ らず 、突 然頻 繁 な取 引が 開 始され たりす る口座 等) が、口 座
凍 結等 の 利用 停 止措 置が 採ら れ るこ とな く 、長期 間にわ たり悪 用さ れてい た
実態がうかがわれる。
エ 預金取引
(ア) 現状
終日 営 業の コ ンビ ニエ ンス ス トア 等と の 連携を 始めと したA TM の普及 等
により、預金取扱金融機関は、預貯金の預入れ又は払戻し(以下「預金取引」
という。)を行う預貯金口座の保有者に対して、時間・場所を選ばず、迅速か
つ容易に資金を準備又は保管できる高い利便性を提供している。
一方 で 、犯 罪 によ る収 益の 移 転を 企図 す る者は 、口座 に係る 安全 ・確実 な
資 金管 理 及び 預 金取 引の 高い 利 便性 に着 目 して、 口座に 送金さ れた 収益の 払
出 しや 取 得し た 収益 の預 入れ を 通じ て、 犯 罪によ る収益 の移転 を敢 行する お
それがある。
犯罪収益移転防止法は、預金取扱金融機関に対して、顧客等と200万円(為
替 取引 又 は自 己 宛小 切手 の振 出し を伴う もの にあっ ては、 10万 円) を超え る
現 金の 受 払い を する 取引 に際 し ての 取引 時 確認の 義務及 び確認 記録 ・取引 記
録 等の 作 成・ 保 存義 務を 課し て いる 。ま た 、取引 時確認 の結果 その 他の事 情
を 勘案 し て、 収 受し た財 産が 犯 罪に よる 収 益であ る疑い 又は顧 客等 が犯罪 収
益 等隠 匿 罪に 該 当す る行 為を 行 って いる 疑 いがあ ると認 められ る場 合にお け
る疑わしい取引の届出義務を課している。
(イ) 事例
預金 取 引が マ ネー ・ロ ーン ダ リン グに 悪 用され た事例 として は、 破産法 違
反 によ る 収益 を 口座 から 分割 し て払 い戻 し 、親族 名義の 口座に 入金 するな ど
し て隠 匿 して い た事 例、 外国 で 発生 した 詐 欺事件 の収益 が国内 の口 座に送 金
さ れた 際 に、 正 当な 事業 収益 で ある よう に 装い、 払戻し を受け た事 例、窃 盗
や 詐欺 、 薬物 犯 罪等 の収 益を 他 人名 義の 口 座に預 け入れ て隠匿 して いた事 例
等がある。
(ア) 現状
内国 為 替取 引 は、 給与 、年 金 、配 当金 等 の振込 金の受 入れや 公共 料金、 ク
レ ジッ ト カー ド 等の 支払 に係 る 口座 振替 等 、現金 の移動 を伴わ ない 安全か つ
迅 速な 決 済が 可 能で 、隔 地者 間 の取 引に 便 利であ るほか 、AT Mや インタ ー
ネ ット バ ンキ ン グの 普及 等か ら 、身 近な 決 済サー ビスと して広 く国 民一般 に
利用されている。
一方 で 、こ の よう な特 性や 他 人名 義の 口 座を利 用すれ ば匿名 性の 確保も 可
能 とな る こと に より 、内 国為 替 取引 は犯 罪 による 収益の 移転に も有 効な手 段
となり得る。
犯罪 収 益移 転 防止 法は 、預 金取 扱金融 機関 に対し て、金 額が 10万 円を超 え
る 現金 の 受払 い をす る取 引で 為 替取 引を 伴 うもの に際し ての取 引時 確認の 義
務 及び 確 認記 録 ・取 引記 録等 の 作成 ・保 存 義務を 課して いる。 また 、取引 時
確 認の 結 果そ の 他の 事情 を勘 案 して 、収 受 した財 産が犯 罪によ る収 益であ る
疑 い又 は 顧客 等 が犯 罪収 益等 隠 匿罪 に該 当 する行 為を行 ってい る疑 いがあ る
と認められる場合における疑わしい取引の届出義務を課している。
(イ) 事例
内国 為 替取 引 がマ ネー ・ロ ー ンダ リン グ に悪用 された 事例と して は、暴 力
団 幹部 が 、配 下 の組 員が 関わ っ た売 春の 売 上げを 当該組 員に自 己の 名義の 口
座 に振 り 込ま せ て収 受し た事 例 、会 社の 経 営者が 、地下 銀行の 運営 による 収
益 をそ の 運営 者 に同 社の 口座 に 振り 込ま せ て収受 した事 例等が ある 。また 、
顧 客に 指 示を し て、 覚醒 剤の 代 金、 ヤミ 金 融の返 済金や 無許可 営業 の風俗 店
の利用料金を他人名義の口座に振り込ませていた事例等もある。
カ 貸金庫
(ア) 現状
貸金 庫 とは 、 保管 場所 の賃 貸 借で あり 、 何人で も貸金 庫業を 営む ことは 可
能 であ る が、 銀 行等 の預 金取 扱 金融 機関 が 店舗内 の保管 場所を 有償 で貸与 す
るサービスが一般に知られている。
預金 取 扱金 融 機関 の貸 金庫 は 、主 に有 価 証券、 通帳、 証書、 権利 書等の 重
要 書類 や 貴金 属 等の 財産 の保 管 に利 用さ れ るもの である が、実 際に は、預 金
取 扱金 融 機関 は 保管 され る物 件 その もの の 確認は しない ため、 保管 物の秘 匿
性は非常に高い。
一方 で 、こ の よう な特 性に よ り、 貸金 庫 は犯罪 による 収益を 物理 的に隠 匿
する有効な手段となり得る。
犯罪 収 益移 転 防止 法は 、預 金 取扱 金融 機 関に対 して、 顧客等 と貸 金庫の 貸
与 を行 う こと を 内容 とす る契 約 を締 結す る に際し ての取 引時確 認の 義務及 び
確 認記 録 ・取 引 記録 等の 作成 ・ 保存 義務 を 課して いる。 また、 取引 時確認 の
結 果そ の 他の 事 情を 勘案 して 、 収受 した 財 産が犯 罪によ る収益 であ る疑い 又
は 顧客 等 が犯 罪 収益 等隠 匿罪 に 該当 する 行 為を行 ってい る疑い があ ると認 め
られる場合における疑わしい取引の届出義務を課している。
(イ) 事例
貸金 庫 がマ ネ ー・ ロー ンダ リ ング に悪 用 された 事例と しては 、外 国では 、
犯 罪の 発 覚を 回 避す るた めに 犯 罪に よる 収 益であ る現金 等を銀 行の 貸金庫 に
保 管し て いた 事 例、 偽名 を使 い 多数 の銀 行 と貸金 庫の貸 与契約 を締 結して 犯
罪による収益を隠匿していた事例等がある。
我が 国 でも 、 だま し取 った 約 束手 形を 換 金し、 その現 金の一 部を 親族が 契
約 した 銀 行の 貸 金庫 に保 管し て いた 事例 等 があり 、犯罪 による 収益 の移転 を
*1 小 切 手法 第 5 条 第1 項 第 3号 に 掲 げ る持 参 人 払式 と し て振 り 出 さ れた 小 切 手又 は 同条 第 2項 若し くは 第3 項の 規
定により持参人払式小切手とみなされる小切手をいい、同法37条第1項に規定する線引がないものをいう。
*2 小 切 手法 第 6 条 第3 項 の 規定 に よ り 自己 宛 に 振り 出 さ れた 小 切 手 をい い 、同 法第 37条 第 1項 に規 定す る線 引が な
いものをいう。
し つつ 、 当該 収 益の 物理 的な 保 管手 段と し て貸金 庫を悪 用して いる 実態が う
かがわれる。
キ 手形・小切手
(ア) 現状
手形 及 び小 切 手は 、信 用性 の 高い 手形 交 換制度 や預金 取扱金 融機 関によ る
決 済等 に より 、 現金 に代 わる 支 払手 段と し て有用 であり 、我が 国の 経済社 会
に おい て 幅広 く 利用 され てい る 。手 形及 び 小切手 は、等 価の現 金よ り物理 的
に 軽量 で 運搬 性 が高 く、 預金 取 扱金 融機 関 を通じ て現金 化も簡 便で ある。 ま
た 、裏 書 等の 方 法に より 容易 に 譲渡 する こ とがで き、流 通性が 高い ことも 特
徴である。
一方 で 、こ の よう な特 性に よ り、 手形 ・ 小切手 は犯罪 による 収益 の収受 ・
隠匿に有効な手段として悪用され得る。
犯罪 収 益移 転 防止 法は 、預 金 取扱 金融 機 関に対 して、 顧客等 との 手形の 割
引を内容とする契約の締結、取引の金額が200万円を超える線引きのない持参
人 払式 小 切手
*1
や 自 己宛 小切 手
*2
の受 払 いを する取 引(現 金の受 払い をする 取
引 で為 替 取引 又 は自 己宛 小切 手の 振出し を伴 うもの にあっ ては 、10万円を 超
えるもの)等に際しての取引時確認の義務及び確認記録・取引記録等の作成・
保 存義 務 を課 し てい る。 また 、 取引 時確 認 の結果 その他 の事情 を勘 案して 、
収 受し た 財産 が 犯罪 によ る収 益 であ る疑 い 又は顧 客等が 犯罪収 益等 隠匿罪 に
該 当す る 行為 を 行っ てい る疑 い があ ると 認 められ る場合 におけ る疑 わしい 取
引の届出義務を課している。
加え て 、手 形 ・小 切手 を振 り 出す ため に は、原 則とし て当座 預金 口座を 保
有 して い る必 要 があ るが 、犯 罪 収益 移転 防 止法は 、預金 取扱金 融機 関に対 し
て、口座開設時の取引時確認等の義務を課している。
(イ) 事例
手形 又 は小 切 手が マネ ー・ ロ ーン ダリ ン グに悪 用され た事例 とし ては、 外
国 では 、 運搬 が 容易 なた め高 額 な資 金を 外 国に密 輸する 手段と して 悪用さ れ
た 事例 、 薬物 密 売組 織に より 高 額な 資金 を 分割し て移転 する手 段と して悪 用
された事例等がある。
我が 国 では 、 ヤミ 金融 業者 が 、多 数の 借 受人に 対して 元利金 とし て小切 手
等 を振 り 出し 郵 送さ せ、 預金 取 扱金 融機 関 の取り 立てに より他 人名 義の口 座
に 入金 さ せて い た事 例等 があ り 、犯 罪に よ る収益 の移転 を企図 する 者が、 当
該 収益 を 容易 に 運搬 する 手段 又 は当 該収 益 を正当 な資金 と仮装 する 手段と し
て、手形又は小切手を悪用している実態がうかがわれる。
ク 預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービスの危険度
預 金取 扱金 融機 関 は、 安全 か つ確実 な資金 管理が 可能な 口座を 始め 、時間 ・
場 所 を問 わず 、容 易 に資 金の 準 備又は 保管が できる 預金取 引、迅 速か つ確実 に
遠 隔 地間 や多 数の 者 との 間で 資 金を移 動する ことが できる 為替取 引、 秘匿性 を
維 持 した 上で 資産 の 安全 な保 管 を可能 とする 貸金庫 、換金 性及び 運搬 容易性 に
優れた手形・小切手等、様々な商品・サービスを提供している。
一 方で 、こ れら の 商品 ・サ ー ビスは 、それ ぞれが 有する 特性か ら、 犯罪に よ
*1 犯 罪 収益 移 転 防 止法 第 2 条第 2 項 第 34号 は 、 特 定事 業 者 とし て 、 電子 債 権記 録機 関を 規 定し てい る。 電子 記録 債
権 は 、 磁気 デ ィ スク 等 を もっ て 電 子 債権 記 録 機関 が 作 成す る 記 録 原簿 へ の 電子 記 録 を する こ と によ って 発生 、譲 渡 等 が 行 われ る も ので 、 債 権譲 渡 の 円 滑性 等 に 関し て 手 形と 類 似 の 機能 を 有 して い る こ とか ら 、 犯罪 によ る収 益の 移 転に悪用される危険性があると認められる。
*2 犯 罪 収益 移 転 防 止法 第 2 条第 2 項 第 27号 は 、 特 定事 業 者 とし て 、 無尽 会 社を 規定 して い る。 一定 の口 数及 び給 付
金 額 を 定め 、 定 期に 掛 金 を払 い 込 ま せて 、 一 口ご と に 抽選 、 入 札 等の 方 法 によ り 、 掛 金者 に 対 し金 銭以 外の 財産 の 給 付 を 行う 無 尽 は、 掛 金 ・給 付 の 仕 組み が 預 金に 類 似 する 部 分 も ある こ と から 、 犯 罪 によ る 収 益の 移転 に悪 用さ れ る危険性があると認められる。
顧 客 も個 人か ら大 企 業に 至る ま で様々 であり 、また 、取引 件数も 膨大 である た
め 、 それ らの 取引 中 から マネ ー ・ロー ンダリ ング等 に関連 する顧 客や 取引を 見
極め、排除していくことは容易ではない。
実 際に も、 口座 、 預金 取引 、 為替取 引、貸 金庫並 びに手 形及び 小切 手を悪 用
す る こと によ り、 犯 罪に よる 収 益の収 受又は 隠匿が なされ た事例 があ ること 等
か ら 、預 金取 扱金 融 機関 が取 り 扱うこ れらの 商品・ サービ スは、 犯罪 による 収
益の移転に悪用される危険性があると認められる。
*1 *2
さ らに 、疑 わし い 取引 の届 出 の状況 やマネ ー・ロ ーンダ リング に悪 用され た
事 例 等を 踏ま える と 、取 引時 の 状況や 顧客の 属性等 に関し て、次 のよ うな要 素
が伴う取引(「取引形態と危険度」、「国・地域と危険度」及び「顧客の属性と危
険度」で取り上げる取引は除いている。以下同じ。)は、危険度がより一層高ま
ると認められる。
○ 多額 の現 金又 は 小切 手に よ り、入 出金を 行う取 引(顧 客の収 入、 資産等 に
見 合わ な い高 額 な取 引及 び送 金 や通 常自 己 宛小切 手によ り行う 取引 である に
も かか わ らず 、 現金 の入 出金 に より 行う 取 引は、 危険度 が特に 高ま ると認 め
られる。)
○ 短期 間の うち に 頻繁 に行 わ れる取 引で、 現金又 は小切 手によ る入 出金の 総
額が多額であるもの
○ 口座 名義 人や 貸 金庫 の利 用 者名義 が架空 又は他 人のも のであ ると の疑い や
口 座名 義 人や 貸 金庫 利用 者で あ る法 人の 実 体がな いとの 疑いが 生じ た口座 や
貸金庫を使用した入出金や貸金庫取引
○ 匿名又は架空名義と思われる名義での送金を受ける口座に係る取引
○ 多数 の口 座を 保 有し てい る 顧客( 屋号付 名義等 を利用 して異 なる 名義で 保
有している顧客を含む。)の口座を使用した入出金
○ 口座 開設 後、 短 期間 に多 額 の又は 頻繁な 入出金 が行わ れ、そ の後 、解約 さ
れ、又は取引が休止した口座に係る取引
○ 通常 は資 金の 動 きが ない に もかか わらず 、突如 多額の 入出金 が行 われる 口
座に係る取引
○ 口座 から 現金 で 払い 戻し 、 直後に その現 金(伝 票の処 理上現 金扱 いとす る
場合も含む。)を送金する取引(送金依頼人の名義を払い戻した口座の名義別
のものにして送金を行う場合には、危険度が特に高まると認められる。)
○ 多数 の者 に頻 繁 に送 金を 行 う口座 に係る 取引( 送金を 行う直 前に 多額の 送
金を受ける場合には、危険度が特に高まると認められる。)
○ 多数 の者 から 頻 繁に 送金 を 受ける 口座に 係る取 引(送 金を受 けた 直後に 当
該 口座 か ら多 額 の送 金又 は出 金 を行 う場 合 には、 危険度 が特に 高ま ると認 め
られる。)
な お、 預金 取扱 金 融機 関が 取 り扱う 商品・ サービ スの危 険度の 低減 を図る た
め 、 犯罪 収益 移転 防 止法 は、 預 金取扱 金融機 関が取 り扱う 特定の 商品 ・サー ビ
*1 金 融 庁は 、 監 督 対象 で あ る金 融 機 関 等の 監 督 に関 す る 事務 に つ い て、 監 督 の考 え 方 、監 督 上 の着 眼点 と留 意点、
具体的監督手法等を示した監督指針等を策定している。
*2 取 引 時確 認 を 的 確に 実 施 する た め の 態勢 、 疑 わし い 取 引の 届 出 を 的確 に 実 施す る ため の 態勢 、取 引時 確認 と疑 わ
し い 取 引の 届 出 を一 体 的 ・一 元 的 に 管理 す る ため の 態 勢、 海 外 営 業拠 点 の マネ ー ・ ロ ーン ダ リ ング 等対 策を 的確 に 実施するための態勢等の内部管理態勢の構築を求めている。
いる監督指針
*1
は、預金取扱金融機関に対してこのような義務を履行するに当た
っての態勢の整備を求めている
*2 。
ま た、 各業 界団 体 も、 事例 集 や各種 参考例 の提示 、研修 の実施 等に より、 各
事 業 者に よる マネ ー ・ロ ーン ダ リング 等対策 を支援 してい る。さ らに 、一般 社
団 法 人 全 国 銀行 協 会 は 、FATF の マ ネ ー ・ロ ー ン ダ リ ング 等 対 策 の 検討 状 況 を
常 時 フォ ロー し、 海 外の 銀行 協 会等と の情報 交換・ 共有を 継続的 に行 うとと も
に 、FATF 相 互 審 査 へ の 対 応を 行 う な ど 、国 内 外 の マ ネー ・ ロ ー ン ダリ ン グ 等
に つ いて 組織 的な 対 策を 進め て いる。 各事業 者にお いても 、マネ ー・ ローン ダ
リ ン グ等 対策 の実 施 に当 たり 、 対応部 署の設 置や規 程・マ ニュア ルの 整備、 定
期 的 な研 修の 実施 等 を行 って い るほか 、内部 監査の 実施、 危険度 が高 いと考 え
ら れ る取 引の 洗い 出 し、 危険 度 が高い 取引の モニタ リング の厳格 化等 に取り 組
*1 犯罪収益移転防止法第2条第2項第17号に掲げられた者(保険会社)、第18号に掲げられた者(外国保険会社等)、
第19号に掲げられた者(少額短期保険業者)及び第20号に掲げられた者(共済水産業協同組合連合会)をいう。
(2)保険会社等
*1
が取り扱う保険
ア 現状
保 険契 約は 、原 則 とし て、 人 の生死 に関し 一定額 の保険 金を支 払う ことを 約
す も の又 は一 定の 偶 然の 事故 に よって 生ずる ことの ある損 害をて ん補 するこ と
を 約 すも ので ある 。 ただ し、 資 金の給 付が行 われる のはこ れらの 確率 的な要 件
が 満 たさ れた 場合 に 限ら れる た め、こ の点は 、保険 の危険 度を大 幅に 低減す る
要因といえる。
し かし 、一 口に 保 険商 品と い っても 、その 内容は 多様で あり、 保険 会社等 は
蓄 財 性を 有す る商 品 も提 供し て いる。 蓄財性 を有す る商品 は、将 来の 偶発的 な
事故に対する給付のみを対象とする商品と異なり、より確実な要件に係る給付、
例 え ば満 期に 係る 給 付を 伴う も の等が ある。 このよ うな商 品は、 契約 満了前 に
中途解約を行った場合にも高い解約返戻金が支払われる場合が多い。
犯罪収益移転防止法は、保険会社等に対して、蓄財性が高い保険契約の締結、
契約者の変更及び満期保険金・解約返戻金等の支払又は現金等による200万円を
超 え る受 払い をす る 取引 に際 し ての取 引時確 認の義 務及び 確認記 録・ 取引記 録
等 の 作成 ・保 存義 務 を課 して い る。ま た、取 引時確 認の結 果その 他の 事情を 勘
案 し て、 収受 した 財 産が 犯罪 に よる収 益であ る疑い 又は顧 客等が 犯罪 収益等 隠
匿 罪 に該 当す る行 為 を行 って い る疑い がある と認め られる 場合に おけ る疑わ し
い取引の届出義務を課している。
また、保険業を行うためには、保険業法(平成7年法律第105号)に基づき、
内 閣 総理 大臣 の免 許 を受 けな け ればな らず、 同法に おいて は、必 要に 応じ当 局
が 保 険会 社に 対し て 報告 命令 、 立入検 査、業 務改善 命令等 を行う こと ができ る
こ と が規 定さ れて い る。 そし て 、保険 会社向 けの総 合的な 監督指 針等 におい て
は 、 犯罪 収益 移転 防 止法 に基 づ く取引 時確認 の義務 及び疑 わしい 取引 の届出 義
務の履行のための内部管理体制の構築に係る留意点も示されている。
業 界と して も、 一 般社 団法 人 生命保 険協会 及び一 般社団 法人日 本損 害保険 協
会 に おい て、 保険 が 不当 な利 益 の追求 に悪用 される ことを 防ぐた め、 契約内 容
登 録 ・照 会制 度等 を 導入 して 会 員会社 におけ る情報 共有を 図り、 会員 会社が 契
約 の 申込 みや 保険 金 等の 請求 を 受けた 際に、 同一の 被保険 者を対 象と する同 一
種 類 の保 険契 約が 複 数な いか な ど疑わ しい点 の有無 を確認 し、契 約の 締結や 保
険 金 等の 支払 を判 断 する に当 た っての 参考に できる ように してい るほ か、マ ネ
ー・ローンダリング等に関する解説資料や質疑応答等の各種資料を作成して会員
会社のマネー・ローンダリング等対策を支援している。
さ らに 、各 事業 者 にお いて も 、マネ ー・ロ ーンダ リング 等対策 の実 施に当 た
り 、 対応 部署 の設 置 や規 程・ マ ニュア ルの整 備、定 期的な 研修の 実施 等を行 っ
て い るほ か、 内部 監 査の 実施 、 危険度 が高い と考え られる 取引の 洗い 出し、 危
険 度 が高 い場 合の モ ニタ リン グ の厳格 化等の 取組を 行うな ど、内 部管 理体制 の
確立・強化を図っている。
イ 疑わしい取引の届出
平 成 2 4 年 か ら 2 6 年 ま で の 間 の 保 険 会 社 等 に よ る 疑 わ し い 取 引 の 届 出 件 数 は
8,692件(生命 保険6,737件、損害 保険1,955件)であり 、「疑わしい取引 の参考
事 例 」に 例示 され た 類型 のう ち 届出件 数が多 かった ものと 類型ご との 届出件 数
は、生命保険では、
となり、損害保険では、
○ 職員 の知 識、 経 験等 から 見 て、不 自然な 態様の 取引又 は不自 然な 態度、 動
向等が認められる契約者に係る取引(992件、50.7%)
○ 暴力団員、暴力団関係者等に係る取引(696件、35.6%)
となっている。
ま た、 生命 保険 で は、 多額 の 現金に よる保 険料の 支払に 着目し た届 出も一 定
数存在しており(58件、0.9%)、約1,700万円の保険料の現金による一時払いに
つ い て、 顧客 の職 業 等に 照ら し 合理性 が認め られな いもの として 届け 出られ た
もの等がある。
ウ 事例
保 険が マネ ー・ ロ ーン ダリ ン グに悪 用され た事例 として は、外 国で は、麻 薬
密 売 組織 が麻 薬密 売 によ り得 た 収益を 生命保 険の保 険料に 充当し 、ほ どなく 同
保険契約を解約して払戻しを受けた事例等がある。
我 が国 では 、前 提 犯罪 で得 た 収益が その形 態を変 えた事 例とし て、 売春に よ
り 得 た収 益を 自己 及 び家 族の 積 立式の 生命保 険の保 険料に 充当し てい た事例 等
がある。
エ 危険度
資 金の 給付 ・払 戻 しが 行わ れ る蓄財 性の高 い保険 商品は 、犯罪 によ る収益 を
即 時 又は 繰延 の資 産 とす るこ と を可能 とする ことか ら、犯 罪によ る収 益の移 転
の有効な手段となり得る。
実 際に も、 売春 防 止法 違反 に 係る違 法な収 益を蓄 財性の 高い保 険商 品に充 当
し て いた 事例 があ る こと 等か ら 、蓄財 性の高 い保険 商品は 、犯罪 によ る収益 の
移転に悪用される危険性があると認められる。
さ らに 、疑 わし い 取引 の届 出 の状況 や前提 犯罪で 得た収 益がそ の形 態を変 え
た 事 例等 を踏 まえ る と、 取引 時 の状況 や顧客 の属性 等に関 して、 次の ような 要
素が伴う取引は、危険度がより一層高まるものと認められる。
○ 多額の現金等により保険料を支払う契約者に係る取引
保 険の 危険 度の 低 減を 図る た め、犯 罪収益 移転防 止法が 事業者 に対 して取 引
時 確 認や 疑わ しい 取 引の 届出 等 の義務 を課し ている ほか、 免許制 に基 づく当 局
*1 犯罪収益移転防止法第2条第 2項第21号に掲げ られた者(金融商品取引業者)、第22号に掲げられた者(証券金融
会社)、第23号に掲げられた者(特例業務届出者)及び第31号に掲げられた者(商品先物取引業者)をいう。
*2 「枚」とは、取引所における取引の基本となる取引数量又は受渡数量を表す最小取引単位の呼称のこと。
*3 日 本 証券 業 協 会 は、 金 融 商品 取 引 法 上の 認 可 を受 け た 自主 規 制 機 関で あ り 、自 主 規制 規 則の 制定 など 業界 の健 全
な発展及び 投資者の保護に取り組んでいる。な お、同協会には、全ての証券会社(平成26年3月末現在で255社)が 加盟しているところ、各証券会社は同協会の規則を遵守する義務を負う。
*4 日 本 商品 先 物 取 引協 会 は 、商 品 先 物 取引 法 上 の認 可 を 受け た 自 主 規制 機 関 であ り 、商 品 デリ バテ ィブ 取引 等を 公
正 か つ 円滑 な ら しめ 、 か つ、 委 託 者 等の 保 護 を図 る た め、 商 品 先 物取 引 業 務に 関 し て 種々 の 自 主規 制事 業を 行っ て い る 。 なお 、 同 協会 に は 、全 て の 商 品先 物 取 引業 者 ( 平成 27年 3 月 末現 在 で49社) が加 入 し、 各商 品先 物取 引業 者 は同協会の規則を遵守する義務を負う。
(3) 金融商品取引業者、商品先物取引業者等
*1
が取り扱う投資
ア 現状
資 金の 運用 方法 に は、 預金 取 扱金融 機関へ の預貯 金のほ か、株 式や 債券等 の
投 資 商品 に投 資す る 方法 があ る 。投資 対象と しては 、株式 や債券 、投 資信託 等
の金融商品だけでなく、鉱物や農産物等に係る商品先物取引がある。
我 が国 にお ける 投資対 象の取 引状況 を概 観する と、株 式に 関して は、平 成26
年 中 に東 京証 券取 引 所で 行わ れ た上場 株式( 市場第 一部及 び市場 第二 部)の 売
買金額は、約584兆2,649億円となっている(図表7参照)。
ま た、 商品 先物 取引 に関し ては、 25年中に 国内商 品市場 (東京 商品 取引所 及
び 大阪堂 島商品 取引 所)で 行われ た取 引の出 来高は 約2,721万 枚 *2
で、取 引金額
は 約86兆2,510億円、 12月末の証拠金 残高は約1,507億円と なっている( 図表8
参照)。
投 資は 、預 貯金 と 異な り、 投 資対象 の価額 の変動 により 元本割 れす るおそ れ
が あ る反 面、 運用 に 成功 すれ ば 預貯金 よりも 多くの 利益を 得るこ とが 可能で あ
る。
犯 罪に よる 収益 の 移転 に悪 用 される 危険性 の観点 からみ ると、 投資 を行う こ
と に よっ て、 多額 の 資金 を様 々 な商品 に転換 できる ほか、 投資対 象の 中には 複
雑 な 仕組 みの もの も あり 、そ の 資金の 出所を 不透明 にして 犯罪に よる 収益の 追
跡を困難にすることができる。
犯 罪収 益移 転防 止 法は 、投 資 対象と なる商 品を取 り扱う 金融商 品取 引業者 、
商 品 先物 取引 業者 等 に対 して 、 口座開 設、金 融商品 の取引 、商品 市場 におけ る
取 引 等に 際し ての 取 引時 確認 の 義務及 び確認 記録・ 取引記 録等の 作成 ・保存 義
務 を 課し てい る。 ま た、 取引 時 確認の 結果そ の他の 事情を 勘案し て、 収受し た
財 産 が犯 罪に よる 収 益で ある 疑 い又は 顧客等 が犯罪 収益等 隠匿罪 に該 当する 行
為 を 行っ てい る疑 い があ ると 認 められ る場合 におけ る疑わ しい取 引の 届出義 務
を課している。
また、金融商品取引業を行うためには金融商品取引法(昭和23年法律第25号)
に 基 づき 内閣 総理 大 臣の 登録 を 、商品 先物取 引業を 行うた めには 商品 先物取 引
法(昭和25年法律第239号)に基づき主務大臣(農林水産大臣及び経済産業大臣)
の 許 可を 、そ れぞ れ 受け る必 要 がある 。さら に、金 融商品 取引法 及び 商品先 物
取 引 法に おい ては 、 必要 に応 じ て、そ れぞれ の取引 業者に 対して 当局 が立入 検
査、報告命令、業務改善命令等を行うことができることが規定されている。
そして、金融商品取引業者、商品先物取引業者等向けの監督指針においては、
犯 罪 収益 移転 防止 法 に基 づく 取 引時確 認の義 務及び 疑わし い取引 の届 出義務 の
履行に関する内部管理態勢の構築に係る留意点も示されている。
な お、 日本 証券 業 協会
*3
及 び日 本商品 先物取 引協 会
*4
では 、犯罪 収益 移転防 止
法 等 に関 する 質疑 応 答等 を作 成 し、会 員会社 のマネ ー・ロ ーンダ リン グ等対 策
に 関 する 考え 方」 を 作成 する こ とによ り、会 員会社 の疑わ しい取 引の 届出に 対
する理解を深め、届出が適切に行われるよう努めている。
また、各事業者においても、マネー・ローンダリング等対策の実施に当たり、
対 応 部署 の設 置、 規 程・ マニ ュ アルの 整備、 定期的 な研修 の実施 等を 行って い
る ほ か、 内部 監査 の 実施 、マ ネ ー・ロ ーンダ リング 等に係 る危険 性の ある取 引
形 態 の特 定、 危険 度 に応 じた 顧 客管理 の厳格 化等に 取り組 むなど 、内 部管理 体
制の確立・強化を図っている。
図表7【株式売買代金の状況(平成24~26年)】
(単位:億円)
24 25 26 東証市場第一部 3,067,023 6,401,938 5,765,250 東証市場第二部 9,102 35,762 77,399 合計 3,076,125 6,437,700 5,842,649
注:東京証券取引所 の資料による。
図表8【商品先物取引(国内商品市場)の状況(平成24~26年)】
24 25 26
出来高 農産物等 1,812,841 907,341 901,415 (枚) 鉱物等 25,479,111 26,307,061 21,264,522 取引金額(億円) 785,554 862,510 656,401 証拠金残高(12月末)(億円) 1,598 1,507 1,455
注1:株式会社日本商品清算機構の資料による。
2 : 出 来 高 の 「 農 産 物 等 」 欄 は 、 農 産 物 市 場 、 水 産 物 市 場 、 農 産 物 指 数 市 場 及 び 砂 糖 市 場 に お け る 出来高の合計であり、「 鉱物等」欄は、ゴム市場、貴金属市場、石 油市場、中京石油市場及び 日経・ 東工取商品指数市場における出来 高の合計である。
イ 疑わしい取引の届出
24年から 26年まで の間の 金融 商品取 引業者 、商品 先物取 引業者 等に よる疑 わ
しい取引の届出件数は、金融商品取引業者にあっては2万1,103件、商品先物取
引業者にあっては72件であり、「疑わしい取引の参考事例」に例示された類型の
うち届出件数が多かったものと類型ごとの届出件数は、金融商品取引業者では、
○ 職員 の知 識、 経 験等 から 見 て、不 自然な 態様の 取引又 は不自 然な 態度、 動
向等が認められる顧客に係る取引(6,718件、31.8%)
と、商品先物取引業者では、
○ 顧客の取引名義が架空名義又は借名であるとの疑いが生じた取引(43件、5
9.7%)
となっている。
ウ 事例
投 資が マネ ー・ ロ ーン ダリ ン グに悪 用され た事例 として は、詐 欺に より得 た
収 益 を株 式取 引に 投 資し てい た 事例や 業務上 横領に より得 た収益 を商 品先物 取
引に投資していた事例等がある。
エ 危険度
投 資の 対象 とな る 商品 とし て は、様 々なも のが存 在し、 これら を通 じて、 犯
罪 収 益を 様々 な権 利 や商 品に 変 換する ことが できる 。また 、投資 の対 象とな る
商 品 の中 には 、複 雑 なス キー ム を有し 、投資 に係る 原資の 追跡を 著し く困難 と