2015年10月9日 担当:佐藤 ほ 看護過程と看護方法論 第3回:情報 デ 収集の実際
ヘンダーソン理論に基づくアセスメントの枠組み
※年齢、性別に応じて、成長・発達理論による一般的な発達段階・発達課題の特徴を踏まえて身体的側面や 心理・社会的側面の特徴を整理すると常在条件についての情報を整理しやすいと思います。
基本的欲求に影響を及ぼす常在条件 情報収集の視点 1.性別、年齢
2.性格、気質、感情の状態、一過性の 気分
3.社会的ないし文化的状態
4.身体的能力
5.知的能力
① ふつう あるいは?(落ち着かない気分など)
②多幸的で活動過多
③不安、恐怖、動揺あるいはヒステリーあるいは?
④ゆううつで活動低下
⑤物事に対してまじめに対処するタイプ
①家族背景や友人
・家族や友人の面会者の有無
・住環境(1 人暮らし、家族と同居、寮で共同生活など)
②経済面
③職業を持っているか、学生か など
①体重(標準、低、過)
②身体機能
・聴覚(補聴器使用の有無など)
・視覚(視力、コンタクトレンズ、眼鏡、義眼)
・平衡感覚(正常、異常)
・触覚(正常、異常)
・特定の感覚の喪失(色盲など)
・運動能力(正常、低下、喪失) 義足、義手、杖、歩行器、車椅子
・アレルギーの有無
・その他(義歯、かつら、人工肛門、ペースメーカーなど)
①ふつうの知力
②ふつう以下の知力
③天才的 基本的欲求に影響を及ぼす病理的状態 情報収集の視点 1.現病歴
2.治療方針・治療内容
・発症から現在までの経緯
・症状 ・健康障害の特徴
・各種検査データ
・バイタルサイン
・治療の方向性
・治療の内容(使用する薬剤、薬剤の投与方法など)
・治療計画
・安静度
・生活上の制限 など
2015年10月9日 担当:佐藤 ほ
基本的欲求 情報収集の視点
1.正常に呼吸をする。 ①呼吸状態(呼吸音、呼吸数、呼吸困難感など)
②分泌物
③循環動態(動悸、息切れなど)
④検査データ
⑤皮膚の色や表情
⑥姿勢・体位
⑦胸部の拡張や呼吸筋の動き
⑧物理的環境 2.適切に飲食をする。 など ①摂取量や内容
②食事や飲み物の嗜好、希望
③時間帯、回数、間隔
④医師による食事の処方(水分や塩分の制限の必要 性など)
⑤飲食の摂取方法
⑥飲食時の姿勢
⑦食事の場所
⑧食事の場所への移動手段
⑨咀嚼・嚥下機能、消化機能
⑩口腔内の状況
⑪身長、体重
⑫検査データ
3.あらゆる排泄経路から排泄する。 など ①排便・排尿の回数、間隔、排泄量
②排泄物の性状
③排尿機能
④排便機能
⑤便通維持のための習慣、常用薬使用の有無
⑥排泄時の動作や姿勢、体位
⑦排泄場所、使用器具・物品
⑧身体面の障害の有無
⑨発汗 ⑩浮腫
⑪検査データ 4.身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する。 ①関節可動域 など
②姿勢・体位保持の状況
③補助装具、補助具
④筋力 ⑤疾患や障害の状態
⑥医師の指示
⑦体位変換の時間
⑧褥瘡の有無 5.睡眠し休息をとる。 など ①一日の過ごし方
②困難な日常生活動作の有無と介助の必要性
③入眠中の状態
④休息の習慣
⑤睡眠時間
⑥睡眠の時間帯
⑦睡眠薬使用の有無
⑧寝具の適切性
⑨睡眠環境(物理的、化学的)
⑩1 日の活動量
⑪運動週間、運動時の注意
⑫活動による呼吸や循環への影響
⑬疾患に伴う苦痛の有無
⑭興奮させるような出来事の有無 など
2015年10月9日 担当:佐藤 ほ
基本的欲求 情報収集の視点
6.適切な衣類を選び、着脱する。 ①気温や天候に対する知覚
②清潔さ
③衣類の適切性
④治療上の適切性
⑤着脱行為の自立度
⑥きちんと着ているか
⑦衣類の好み 7.衣類の調節と環境の調整により、体温を生理 など
的範囲内に維持する。 ①湿温度に対する知覚
②体温、脈拍
③寝具や衣類の選択
④活動の程度
⑤活動量
⑥環境条件(温湿度)
⑦温熱刺激の適用 8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚 など
を保護する。 ①身体の清潔状態(皮膚、毛髪、爪、鼻、口、歯など)
②清潔習慣
③清潔行動(方法、頻度)
④整容行動
⑤身だしなみの美しさや清潔さ 9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他人 など
を傷害しないようにする。 ①環境調整の自由度 ②同室者
③感染からの安全
④感染予防行動
⑤危険行動と回避行動
⑥物理的環境
⑦アレルギーの有無、アレルゲンの種類 10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは 気分 を表 など
現して他者とコミュニケーションをもつ。 ①コミュニケーション手段
②感情、欲求、恐怖、気分の表現、表出
③身体面の変化の有無(呼吸状態、顔色の変化、姿勢、 表情、動作など)
④人間関係
⑤面会者の有無
⑥家族や面会者との会話 11.自分の信仰に従って礼拝する。 など ①宗教
②宗教習慣(礼拝、ある種の食物の禁止など)
③価値、信念
④医療従事者の倫理綱領の遵守
⑤医療従事者の法的義務の遵守
⑥医療従事者による思想の強要の有無 12.達成感をもたらすような仕事をする。 など ①家庭における役割遂行
②職業上の役割・仕事への興味、関心
③地域社会における役割遂行
④社会復帰への意欲
⑤療養による役割中断の期間、役割変更の必要性の理解 と対処 ⑥リハビリテーション活動の有無
⑦知識・経験・技術 など
2015年10月9日 担当:佐藤 ほ
基本的欲求 情報収集の視点
13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエー
ションに参加する。 ①遊び、レクリエーション活動、その他の気分転換活動 のための環境
②遊び、レクリエーション活動、その他の気分転換活動 への参加
③遊び、レクリエーション活動、その他の気分転換活動 への興味・関心
④疾病の重症度、障害の程度 14. 正常 な発達および健康を導くような学習を など
し、発見をし、あるいは好奇心を満足させる。 ①健康に関する学習、理解度
②健康管理、維持のための行動
③医師の養生法の守り方 など
参考文献
ジニ ヘ ソ 著, 湯槙 す 小玉香津子訳. (2014). 看護の基本となるもの 新装版, 日本看護協会出版会.
茂野香おる他 著. (2015). 基礎看護技術Ⅰ基礎看護学②, 医学書院, pp.71〜74, pp.227〜228.