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る日を境に通貨価値が大きく下落して、固定相場制度を維持 できなくなる状況を指す。
外国為替市場での投機アタックで自国通貨の売りが進み、当 局が固定相場制度を維持することが出来なくなった結果、変 動相場制度に移行するケースである。
たとえば、アジア通貨危機の発端となったタイでは、1997 年 7 月 2 日に、それまで 1 ドル= 25 バーツという為替レートを 放棄し、変動相場制度に移行した。
通貨危機の発生原因を説明するモデルとして、大きく3つの モデルがある。
第1 世代モデル:マクロ経済状況の悪化が原因 第2 世代モデル:投資家の自己実現的な期待
第3 世代モデル:国内銀行部門の脆弱性と通貨危機がセット になって発生する
第1世代モデルで考えている状況は、マクロ経済状況の良く ない国である。
ここでは、財政赤字分を貨幣発行によって補うケースを考 える。
小国開放経済を考える。
失業が発生しておらず、GDPは一定と仮定する。 外国為替市場では購買力平価(PPP) が成立している。 外国と自国との間で資本取引が自由に行われるため、カバー なし金利平価が成立している。
Md = P + Y − αi (1)
Ms = d + R (2)
d˙ = µ > 0 (3)
P = e (4)
i = i∗+ ˙e (5)
固定相場制度が維持されるという前提の下では、
˙e = 0, e= ¯e
でなければならない。 その結果、
R˙ = −µ
となり、外貨準備は、µの割合で減りつづけることになる。
国内信用(貨幣発行量)の膨張は、インフレ期待を引き起 こす。
インフレ期待は、自国の為替レートに減価圧力を与える。 購買力平価が成立している状況では、自国の物価上昇によっ て外国の物価に比べて割高となるため、為替レートが減価し て割高感を調整する働きが出てくるためである。
当局は固定相場制度を維持するために、外国為替市場におい て減価圧力のかかっている自国通貨を買い、外国通貨を売る 介入を行う。
これを自国通貨の買い支えという。
自国通貨を買うことによって、自国通貨の価値を上げる、つ まり為替増加圧力を生み出す。
このような介入によって為替レートは維持されるが、外国通 貨売りによって、当局の持っている外貨準備が減少する。 これが、財政赤字を貨幣発行で補填することによって、外貨 準備を減少させるメカニズムである。
もし、外貨準備が減るに任せるだけであれば、図6-1の時点 tnで外貨準備が底をつき、固定相場制度が放棄される。
しかし、固定相場制度が近いうちに崩壊すると予想する投資 家は、自国通貨売りのアタックを始める。
たとえば、バーツ売り・ドル買いの投機を行い、固定相場制 度が崩壊してバーツが下落した後にバーツを買い戻すと、為 替差益を得ることができる。
したがって、変動相場制度であったと仮定した場合の為替 レートが現行の固定為替レートにほぼ近くなってくると、投 資家は投機を始める。
この仮の変動レートを、シャドー・レートと呼ぶ。
多くの投資家がいっせいに大量の投機アタックを行うと、当 局の買い支えも増大し、外貨準備の減り方はさらに速くなる。 すると、外貨準備はtnまでもたずに、もっと早いtcで枯渇 する。
このように、最終的な固定相場制度崩壊のタイミングは、µ の大きさ、すなわち国内信用の膨張速度と当初の外貨準備の 大きさに依存する。
第2世代モデルでは、投資家の為替相場制度に関する期待、 すなわち固定相場制度が維持可能か、破棄されるかに関する 期待に依存して、実際に起こる場合と、起こらない場合が発 生する状況を説明する。
経済学の用語では、「複数均衡が存在する」という。
危機が発生する場合は、投資家による巨額の投機が同時期に 行われ、当局が外貨準備を失う。
危機とならない場合は、投資家が、投機を仕掛けても当局が 防衛可能だと判断し投機を行わないために、危機にならない。 このように、危機が発生するか否かは、マクロ経済状況を必 ずしも反映していない。
アジア通貨危機の特徴としてあげられるのは、通貨危機と金 融危機の併発である。
アジアでは企業の銀行依存度が高いうえ、銀行の外貨建て借 入れ比率も高いため、バランスシート悪化と資本逃避によっ て通貨危機と金融危機の同時発生が特徴である。
通貨危機と金融危機の同時発生としては、次のような2つの チャンネルが考えられる。
通貨危機が金融危機を引き起こすチャンネルとしては、 何らかの理由で資本流入減または資本逃避が起こり、為替下 落(減価)圧力となる。
すると、外貨建て債務の多い銀行や企業のバランスシートが 悪化するため、金融システムへの不安と金融危機が広がる。 これがさらに為替下落を招く。
金融危機が通貨危機を引き起こすチャンネルとしては、 外貨建て借入れを行う銀行や企業のバランスシートの悪化が 金融システムへの不安となり、資本流入減または資本逃避を