第 34 号(1)
平成28年1月12日発行
事務局 静岡県立吉原工業高等学校 (住所 静岡県富士市比奈 2300 電話 0545-34-1045)
第4 8 回東海工業化学教育研究会総会ならびに研究大会
期 日 平成27年6月26日(金)
会 場 パレスホテル掛川(静岡県掛川市) 日 程
・総会
・研究発表①
岐阜工業高校 野澤 美幸 先生 ・研究発表②
名南工業高校 伊藤 啓介 先生 ・施設見学
中部電力(株) 浜岡原子力発電所
会 長 挨 拶
東海工業化学教育研究会会長 塩﨑 克幸 本会会員の皆様には、工業化学教育の充実・発展のために御尽力頂き、厚く感謝申し上 げます。さて、本年度も終盤に差し掛かり、本会の主要行事も会員の皆様の御理解と御協力により 滞りなく実施することができました。昨年 6 月に開催された総会・研究大会では、「化学系 学科の取り組み」について、愛知県および岐阜県の先生方から御発表頂き、具体的で示唆に 富んだ取り組み事例について伺うことができました。化学系学科は、ものづくり産業を素材 の開発、品質管理など多方面から支える基幹学科として歩んできましたが、就職面では学科 指定求人が減少する傾向が続いており、生徒募集の面でも一層の PR が必要となってきて います。このような機会が、各県・各校間の情報共有の場として機能し、化学系学科の活性 化に向けた新たな取り組みの端緒になればと期待しています。また、昨年8月に三重県立四 日市中央工業高校で実施された、高校生ものづくりコンテスト東海大会化学分析競技は、三 重県の先生方を中心に関係の皆様の御尽力で円滑に実施することができました。この競技 については、内在する様々な課題の解決を図るため、日本工業化学教育研究会が設置した
「高校生ものづくりコンテスト化学分析部門研究委員会」の精力的な検討・研究によって、 ブロック大会標準テキストが完成したことを受け、東海4県の代表者からなる実行委員会 を設け、この標準テキストに準拠した大会として実施したという点でも極めて意義深い大 会でありました。
今、工業化学教育はさらなる発展のため、重要な時期に差し掛かっています。今後も、この 研究会が、全国に先駆けた重要な研究協議の場として機能し、ものづくり日本を支える人材 を育てる実践的な教育を提案できるよう、皆様の御協力をお願いする次第です。
東海工業化学教育研究会 会報
第 34 号(2)
岐阜県における化学系学科の取り組み
~なくてはならない学科として存在するために~
岐阜県立岐阜工業高等学校 化学技術科 教諭 野澤 美幸 1,はじめに
本校は、本年度創立90周年を迎える岐阜県の工業教育のフラッグシップを執る学校と して工業教育を推進しているが、生徒数の減少と受験生の普通化志向により、募集定員や学 科改編等について検討がなされている。化学系学科がなくてはならない学科として存在す るために、本校および県内化学系学科3校が連携して取り組んでいる内容を中心に、化学系 学科が担うべき役割を探りたい。
2.研究の概要
(1)学科の現状
学科の存続が検討されるとき、志願倍率と生徒の進路先がその根拠とされることがある。 特に学科指定の求人数については、昨今機械・電気電子系学科指定の求人数に比べ、化学関 連企業については学科不問の求人の傾向があり、化学系学科にとっては厳しい状況にある。 その一因として、化学系学科の生徒が高校で何を学び、何ができる生徒なのかが企業に伝わ っていないことが考えられる。また、受験生が化学系学科を志望する動機の弱さも、志願者 倍率を考えるうえでの要因である。
(2)取り組み
岐阜県工業教育推進特別委員会が毎年新入生に対して行っているアンケート結果からも、 高校を選ぶときに重視するのは、進路状況(進学状況や就職内定率)や施設設備や教育内 容(資格取得等)であり、高校を選ぶうえで役だった情報は、夏の見学会・一日入学・ホー ムページであると分析されている。
これらのことを踏まえたうえで、各校での取り組みに加え、県下化学系学科3校が連携し た取り組みにより、より大きな効果を目指したいと考えた。以下はその概要である。
・県外企業や国公立大学に関し、受験報告書の様式を統一・PDF 化により受験情報の共有化
・公害防止管理者(水質関係)取得のための3校合同の専門家による講義の実施
・化学研究部を中心とした、積極的な地域交流(出前講義、公開講座、地域イベント)と様々 な機関との連携やイベントへの参加(ユネスコ、CIESF、ESD ユース、大学、経済産業省等)
・ホームページ、ポスター、リーフレットの充実 3.成果と課題
さまざまな取り組みにより、公害防止管理者などの高度な資格取得者の増加や、それが進 路決定につながるなど、一定の成果を見ることができる。また、明確で積極的な理由で化学 系学科を選択して入学してくる生徒が増加していることが、学科で実施した新入生アンケ ートの結果からも確認することができる。
なくてはならない学科として存在するためには、継続的な取り組みが不可欠であり課題 は多い。産業界に求められる人材育成を担っているという自負をもち、手を携えて努力を重 ねたい。
第 34 号(3)
愛知県における化学系学科の取り組み
~魅力ある化学系学科づくり推進委員会の 20 年間のまとめ~
愛知県立名南工業高等学校 化学工業科 伊藤 啓介 1 はじめに
愛知県の中学生や周辺から聞こえてくる化学系学科の印象は第一に“わかりくにい”と いうことです。毎年のように定員割れや学科の存続が危ぶまれる中で、化学系学科そのもの を PR すること、化学系学科の活性化をすることが“魅力ある化学系学科づくり推進委員 会”の目的であり、その活動のまとめを発表させていただきました。
2 これまでの活動内容(抜粋) (1) 生徒が行なう酸性雨調査
(2) 化学部会ホームページの開設・運営
(3) 企業アンケート・入学生アンケートの実施 (4) 堀川エコロボットコンテストへの参加 (5) 堀川エコロボットコンテストでの演示実験 (6) リーフレットの製作
(7) 個人研究活動
3 さいごに
これまでに多くの計画を立てて、様々な活動を行なってきましたが、失敗に終わったもの も多く、顕著な結果を残せていないものがほとんどです。愛知県の化学系学科では、各委員 会が積極的に活動を行うことで、以下のような利点が生まれていると考えています。
学校・教員の枠を越えた連携 他の部会にはないスピード感 県内全体での教員・生徒の育成 今後も推進委員会をはじめとする愛知県の化学系学科が積極的に活動することによって、 化学系学科の素晴らしい魅力を、これからの日本の未来を担う生徒に、小・中学生に、社会 にと幅広く PR していきたいです。
図1 H5 ~ 26 酸性雨調査結果
図2 化学部会ホームページのトップページ 図3 堀川エコロボットコンテスト NHKの取材の様子
第 34 号(4)
各 県 化 学 部 会 便 り
静岡県 科学技術高校 佐藤富美
本年度の研究テーマは「化学系学科における質の保障について ~企業と教員との認識の差~ 」としまし た。企業の求める能力と教員が必要と考える能力の差を明確にすることで、企業は教員が考えている以上 に労働安全や品質管理に関する知識を求めていることが浮かび上がりました。これらの分野の学習に力を 入れることは工業科の特色を前面に出し、また、MOS検定、QC検定といった、情報や品質管理に関する 資格に取り組むことで、他の専門高校との差別化を図ることができるのではないかと考えられます。8 月の 研究協議会では県内の次世代エネルギーパークとして認定されたバイオマス発電所、嫌気性排水処理設 備等を訪問して話を伺う事で見聞を広めました。
愛知県 岡崎工業高校 林 雅彦
本年度の研究テーマは、昨年度に引き続き「化学工業教育におけるコミュニケーション能力の育 成―化学工業教育における言語活動の研究―」とし、言語活動の実践について工夫や問題点などを 話し合いました。また、東海、全国大会では、魅力ある化学系学科づくり推進委員会の 20 年間のまと めを発表することができました。化学系学科の存続が危ぶまれる中、PR、活性化することを目的と して地道に活動してきたことが、成果として表れていると思います。更に 10 年先の化学工業教育を 見据え、充実し活性化する取り組みに繋げていきたいと考えています。なお、本年度から本格的に生 徒への指導を始めた「技能検定3級化学分析(化学分析作業)」については、25名の合格者をだす ことができました。
岐阜県 可児工業高校 髙橋 学
本年度の研究テーマは昨年度に引き続き「確かな学力の育成と多様なニーズに対応した化学技術 教育の推進」です。 岐阜県第2次教育ビジョンで目指している、心豊かなコミュニケーション能力 や円滑な人間関係を築く力を育てるため、積極的に地域イベントへ参加したり、幼・小・中学校への 出前授業、特別支援学校との共同学習を進めてきました。今後も確かな学力と技術、魅力ある化学技 術科の情報を発信し、学科が発展するよう努めていきます。最後になりますが、日本工業化学教育研 究会第64回全国大会(岐阜大会)につきまして、各県からの御参加と御協力をお願い申し上げます。
三重県 四日市工業高校 上原 寛
本年度は、研究テーマを「生きる力」を育み、これからの産業を支えていく人材の育成とさせて いただきました。数年は、企業からの求人数が増え、就職状況は、良好ではありますが、選考試験で不 合格になる生徒が若干名でています。指摘されるのは、コミュニケーション能力の不足です。社会人 になるにあたって、必要な能力「生きる力」をつけさせたいと考えています。5月に行われた三重県 工業教育研究会総会分科会においては、三重県は遅れている技能検定の取り組みについて、情報交 換等を行いました。又、引き続きインターンシップ、大学との連携による出前講座等を実施していく 予定です。中学生の「化学離れ」が進む中、今後もオープンスクール、高校生活入門講座を実施したり、 三重県産業教育フェア等へ参加することで小・中学生への工業高校、工業化学系学科のPRに努め ていきたいと思います。