平成25年度 特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書
企業等によるデザイン開発・保護等の
活動実態に関する
調査研究報告書
平成26年2月
JFEテクノリサーチ株式会社
要 約
●背景
近年はデザイン開発及びデザイン保護を取り巻く状況が大きく変化しているため、現行の意匠制度及び意 匠審査運用が企業等の活動実態に合致していない可能性がある。
●目的
我 が 国が ハー グ協 定に 加入 し た後 の意 匠審 査の 在り 方 や今 後の 意匠 制度 の在 り 方を 検討 する ため の基 礎 資料を作成する。
●研究項目
①企業におけるデザイン開発・保護等の活動実態
②デザイン事務所におけるデザイン開発・保護等の活動実態
③ハーグ協定加入後の出願行動
●研究方法
● 課題と提言
・現状の審査期間には満足との声が大半であったが、一部、審査の早期化を望む声や審査が早すぎて関連意 匠を出願できないとの声があるため、製品分野や個別案件に応じた適時の審査を目指してはどうか。
・審査判断や意匠権の類似範囲をより明確にするために、先行意匠調査環境の整備や、的確な審査判断、審 査結果のバラツキ防止のための措置を講ずる必要があるのではないか。
・権利化に要する費用負担が大きいと感じている中小企業が多いので、減免制度や助成金制度等について検 討すべきではないか。
・日本発のデザインの外国での保護を支援するために、図面要件等の制度調和や審査運用・審査判断等の共 有、無審査国での実体審査導入等のための協力や働きかけを進めていくべきではないか。
・日本のハーグ協定加入後は、国際出願された又はされる予定の意匠と同一意匠について我が国へ国内出願 された意匠出願については、遅くとも国際公表前に審査結果を通知することを検討してはどうか。
②ヒアリング調査
・ アンケート回答の記載等に基づき、企業28社、 デザイン事務所 2 社に対して、国内外の意匠 制 度に 対す る意見 ・要 望、 我が 国が ハーグ 協 定 に加 入し た場合 の出 願行 動等 につ いての ヒ アリング調査を行った。
③分析
・ アンケート調査及びヒアリング調査の結果を総合的に分析し、課題を整理した。
①アンケート調査
・ 意匠分類各グループ(A~M)の出願上位企業 等270社、デザイン事務所30社に対して、意 匠 出 願 の 目 的 と 効 果 等 に関 す る ア ン ケ ー ト 調 査を実施し、企業等 134社(49.6%)、デザイ ン事務所8社(26.7%)から回答を得た。
Ⅰ . 調査概要
1. 本調査研究の背景・目的
近年、新興国企業の技術力向上、製品アーキテクチャーのモジュール化等を背景に、コ スト競争力や従来の技術優位のみでの競争力維持はきわめて困難な状況になっている。そ のため、消費者の購買意欲に直接的に訴えることのできるデザインが製品の魅力を向上さ せる重要な要素として認識されるようになり、デザインを多様な要素(サービスやパッケ ージ等)と組み合わせた事業展開を行う企業も出現している。
また、我が国企業は、拡大する中国・アジアをはじめとする海外の模倣品被害に対応す るために、限られた知財関連予算を国内への対応から海外への対応にシフトしており、2008 年の経済危機以降は国内向けの知財関連予算の縮小傾向が特に顕著である。加えて、我が 国がハーグ協定に加入した場合、海外への出願が簡便になるため、我が国の企業等の国内 外における意匠保護戦略は今後さらに大きく変化することが予想される。
このように、近年はデザイン開発及びデザイン保護を取り巻く状況が大きく変化してい るため、現行の意匠制度及び意匠審査運用が企業等の活動実態に合致していない可能性が ある。
そこで、我が国がハーグ協定に加入した後の意匠審査の在り方や今後の意匠制度の在り 方 を 検 討 す る た め の 基 礎 資 料 を 作 成 す る こ と を 目 的 と し て 、 我 が 国 企 業 等 の デ ザ イ ン 開 発・保護等に関する最新の活動実態を把握するための調査研究を実施する。
本調査研究では、実態を把握するために、企業やデザイン事務所に対するアンケート調 査及びヒアリング調査に基づく情報収集を行った。
2.本調査研究の実施方法
(1) アンケート調査
日本意匠分類各グループ(A~M)の出願上位企業等270社及びデザイン事務所30社に 対して、デザイン開発・保護等の活動実態に関するアンケート調査を実施し、企業134社
(49.6%)、デザイン事務所8社(26.7%)から回答を得た。
(2) ヒアリング調査
アンケートの回答等に基づき、企業28社、デザイン事務所2社に対して、国内外の意匠 制度に対する意見・要望、我が国がハーグ協定に加入した場合の出願行動等についてのヒ アリング調査を行った。
(3) 分析
アンケート調査及びヒアリング調査の結果を整理し、総合的に分析した。
Ⅱ . 企業におけるデザイン開発・保護等の活動実態
1.企業におけるデザイン開発の実態
デザイン活動の規模は、ここ5年間であまり変化していない企業が多いが、製品デザイ ンの重要度の増大、海外向けのデザイン開発等の必要から規模を拡大している企業も一定 程度あり、規模が変わらない企業においても、内容が変化している企業も多い。
デザイン業務のアウトソーシングは広く活用されている。アウトソーシングに期待する 効果としては、開発期間の短縮、デザインの質の向上、社内とは異なるコンセプトの導入 への期待が大きい。
分野、製品によって異なるが、製品デザインの決定から製品の販売開始までの期間の全 分野の平均は 7.7か月であり、意匠出願のタイミングは、製品発売の平均5.2 か月前、製 品発表の平均 3.1か月前である。現在の審査期間の平均は 6 か月強であるため、審査の遅 延の問題はないと考えられるが、一部企業からは、商品特性から 2~3 か月で審査結果がほ しいという意見もある。
意匠権の保護期間20年を超えて同一デザインで販売されている製品は種々あるが、販売 数量等から、意匠権による保護期間を延長する必要があると考えている企業は少ない。
職務創作については、ほとんどの企業で職務発明に準じて取り扱われており、特段の問 題は生じていない。
2.企業における意匠出願・意匠権管理の実態
2
知財管理体制が大規模な企業であっても意匠担当者は多くないのが現状である。
2012年の意匠出願件数は、国内出願は1 社あたり50件以下が約7割、海外出願は 1社 あたり10件以下の企業が6割を占めるが、それぞれ300件以上出願している企業も複数あ る。海外への出願先は、中国が最も多く、欧州、米国が続く。最近5年間の出願件数変化 については、国内、海外ともに横ばい傾向にあると回答した企業が最も多かったが、減少 傾向と回答した企業よりも増加傾向と回答した企業のほうが多かった。
意匠出願の目的については、国内出願、海外出願とも、模倣品対策が最も多く、続いて 回答の多い順に、ブランド力強化、他社への侵害性回避、特許権の補完であった。実際の 効果についても同様の傾向があり、模倣品対策の効果が最も高く、他社への侵害性回避、 ブランド力強化が続いた。
90%以上の会社が出願前に先行意匠登録の調査を行っているが、海外の登録意匠の調査 については利用しやすいデータベースがなく、国内においては特に特許庁が収集している 公知資料へのアクセスを求める声が強い。
意匠審査の方式については、今後も全件実体審査を継続してほしいという要望が強く、 回答企業の9割を超えた。主な理由としては、権利が安定し、権利の活用や他社権利の調 査がしやすい点、実体審査があるが故に、審査時の類否判断の論理や審査官が掲載した参 考文献を活用できる点等が挙げられた。
部分意匠制度の利用は着実に増加しており、部分意匠を出願する目的は、特徴部分以外 を改変した模倣品・類似品への対策を約9 割の企業が挙げており、次いで、後発の自社類 似デザインも含めた保護が多く、また、出願・権利化コスト削減を挙げている企業もあっ た。部分意匠は権利範囲が広いと考える企業がある一方、部分意匠の意匠権に関する裁判 例が少なくどこまで権利として使えるか不明といった意見や、破線部の認定に関する審査 判断のばらつきに対する指摘、いわゆる「中抜き」の部分意匠における破線部の取扱いに ついて現行の意匠審査基準では類似範囲が狭いといった意見もあった。
関連意匠を出願する目的は、8 割以上の企業が、同一コンセプトのデザイン保護を挙げ 最も多く、また、半数以上の企業が、マイナーチェンジ・モデルチェンジされたデザイン の保護、本意匠の類似範囲の確認、類似範囲の公示による他社への牽制を目的に挙げた。 関連意匠の出願可能時期については、現行維持でよいとする回答が 8 割を超えた。他方、 現行制度(本意匠の意匠公報発行日前まで)では出願可能時期が変動するため、本意匠出 願後一定期間可能とした方が管理や出願戦略の立案がしやすいという意見、関連意匠制度 への時期的制限が、マイナーチェンジの権利化の障害となっているので、出願可能期間の 延長を希望する意見も一定数あった。
新規性喪失の例外規定については、約 8 割の企業が現行の猶予期間(6 月)を妥当とし たのに対し、2割弱は12月が適当と回答した。新規性喪失の例外適用を受けるための証明 書について、約半数の企業が第三者証明を求める現状どおりでよいと回答した一方、約 4
割が自己証明で十分と回答した。また、新規性喪失の例外適用を受けるための申請可能時 期、証明書提出期限については、約 6 割の企業が現状でよいと回答した。他方、申請可能 時期については、出願から一定期間内を希望する企業が 20%、拒絶理由通知に対する反駁 の機会で十分とする企業が 15%あり、証明書提出期限については、約 3 割が現状よりも長 い期間を希望する結果となった。
意匠法の保護対象外のデザイン領域の中では、光、ホログラム、空間デザインに対する 保護ニーズが少ないながらも存在している。
3.意匠権取得・維持に要する費用
日本特許庁への意匠出願等に要する費用については、約半数の企業が負担に感じると回 答しており、その中でも更新料と弁理士費用に負担を感じる企業が多かった。
海外への意匠出願費用は負担に感じると回答した企業の割合が国内出願よりもかなり多 く、地域別では特に米国、中国で負担感が大きいようである。いずれの国も代理人費用の 負担が大きいとの回答が最も多く、米国では、出願料や登録料(一括納付)が、中国では、 保護期間に対して更新料が高いと感じている企業が比較的多かった。米国では具体的に、 図面要件が独特で日本へ出願した際の図面をそのまま流用できないため図面作成費用がか さむ、オフィスアクションが多く中間費用が高額になる等の意見があった。
4.意匠権に基づく権利行使の実態
回答のあった企業の約半数が過去 5 年間で意匠権による権利行使をしたことがあると回 答した。権利行使の発生件数をみると、警告した場合でも8割以上のケースが和解に至っ ており、訴訟に至るケースは少ない。
比較的早期に権利侵害が発生したのは生活用品関連分野の製品であり、この分野の製品 は日本国内での権利侵害発生件数が比較的多く、模倣されやすい傾向がみられる。他方、 海外で権利侵害発生件数が多いのは、車両関係の製品であった。
国内での権利侵害行為は、模倣品等の輸入が模倣品等の製造と並んで多い。海外で模倣 品被害が発生するのは真正品を製造している地域よりも販売している地域である場合が多 く、圧倒的に中国が多い。
国内の場合は、自社製品の販売数・売上額の減少よりも製品イメージの低下を模倣によ る被害として挙げる企業が多かったが、海外の場合はほぼ同数であった。
ると外国での権利行使は難しい等の意見があった。
5.意匠制度、意匠審査・意匠審判への意見・要望
意匠の類似について、審査時の類似範囲が狭くなっているのではないかという意見があ る一方で、現状のままであまり類似範囲を変えてほしくないという意見もある。また、類 似範囲が不明確であるとの指摘も一部からなされており、その対応手段の一例として、登 録理由も登録査定に記載してほしい、拒絶理由で引用される特許庁作成の公知資料を容易 に見られるようにしてほしい等の意見があった。他方、権利範囲を文章で記載するクレー ム制については、かえって権利範囲が狭くなるという見解や、文章だけで形態の権利内容 を理解することは困難なため、権利行使を受ける側の立場になったことを考えると困ると いった意見があった。
審査期間については、現状でよいとする意見が大多数であったが、一部の企業からは、 あまりに早く審査結果が届いて意匠公報が発行されるので、海外市場対応やマイナーチェ ンジ製品の権利化が十分にできないとの意見もあった。一方で、一部の企業からは個別の 商品特性や海外出願のために出願から 2~3月で権利化してほしい場合があるとの意見も あった。
外国の意匠制度に関しては、中国には実体審査や部分意匠制度の導入を、米国には図面 要件の緩和を要望する声が多い。また、図面要件等の調和や日本の類否判断の論理をアジ ア地域に広めてもらいたい等の要望もあった。
Ⅲ . デザイン事務所におけるデザイン開発・保護等の活動実態
デザイン事務所が行うデザイン業務には、クライアントから基本デザインまたは具体的 なコンセプトの提示を受けて行う受注型と、大まかなコンセプトの提示はあるが、基本デ ザインからすべてのデザイン業務を事務所で行う提案型(コンペティションを含む)とが あるが、回答のあったデザイン事務所では受注型業務が主である事務所が多かった。創作 したデザインの製品を自社で企画、販売する事務所もある。
デザイン事務所が開発したデザインについて、ほとんどの事務所は、模倣品・類似品対 策として、意匠権による保護が必要であると認識している。しかし、クライアントの意向 もあって、ほとんどの事務所は、クライアントに、自社で開発したデザインについて意匠 権を受ける権利を有償で譲渡しており、その対価はデザイン料に含まれている。
デザイン開発費用が十分得られなかった場合やコンペティションで権利を取得しておか
ないと流用されるおそれがある場合等には、共同出願やロイヤルティ契約も行われている。
Ⅳ. ハーグ協定加入後の出願行動
ヒアリング対象企業 28 社に対し、我が国がハーグ協定加入した後の出願行動についてヒ アリングを行った。
ハーグルートを利用して国際出願するかどうかは、ハーグ協定加入の時期が差し迫って いないこと、国際出願のメリットとデメリットがまだ分からないことから、まだ検討を行 っていない企業が半数を占め、現時点では利用すると回答した企業は 36%にとどまる。ハ ーグルートで出願した場合にコストメリットが得られるかについて企業の関心が高い。ま た、指定国における権利の有効性が不明確なまま国際出願された意匠が公表される点、特 に指定国で拒絶された場合にその事実が公表される点に懸念を抱いている企業が多い。
日本企業がハーグ協定への加入を望む国としては、現在加入の準備・検討を進めている 米国、韓国、中国、ASEAN諸国以外では、残りのBRICs諸国を挙げる企業が比較 的多かった。
我が国はハーグ協定加入に際し、自己指定を認める方向で検討しているが、多くの企業 は日本に国内出願をした後に優先権主張を伴う国際出願を利用すると回答している。その 理由としては、海外での事業展開先とそれに応じた出願国を決めるための時間の猶予が得 られること、製品発表が差し迫っている場合にいち早く出願日を確保することができるこ とが挙がった。
ロカルノ分類を自社で出願に付与すると回答した企業が 6 割を占め、また、日本国特許 庁等でロカルノ分類に関する相談サービスを提供する場合には、約半数の企業が相談する 可能性があると回答した。
日本国特許庁が仲介官庁となった場合、特許庁を経由して国際出願を行うと回答した企 業は約4 割であった。また、特許庁に提供して欲しいと望む支援サービスとしては、方式 面のチェックやアドバイス、国際出願出願書類作成支援ソフト等、不慣れな国際出願の手 続について日本語で確認し、安心感を得られるサービスが望まれていることが分かった。
Ⅴ. 調査結果の分析・まとめ
現状の審査期間には満足との声が大半であったが、一部、審査の早期化を望む声や審査 が早すぎて関連意匠を出願できないとの声があるため、製品分野や個別案件に応じた適時
審査判断や意匠権の類似範囲をより明確にするために、先行意匠調査環境の整備や、的 確な審査判断、審査結果のバラツキ防止のための措置を講ずる必要があるのではないか。 権利化に要する費用負担が大きいと感じている中小企業が多いので、減免制度や助成金 制度等について検討すべきではないか。
日本発のデザインの外国での保護を支援するために、図面要件等の制度調和や審査運 用・審査判断等の共有、無審査国での実体審査導入等のための協力や働きかけを進めてい くべきではないか。
日本のハーグ協定加入後は、国際出願された又はされる予定の意匠と同一意匠について 我が国へ国内出願された意匠出願については、遅くとも国際公表前に審査結果を通知する ことを検討してはどうか。
目 次
要約
Ⅰ. 調査概要 ··· 1
1. 調査目的 ··· 1
2. 調査方法 ··· 1
(1) デザイン開発・保護等の活動実態に関するアンケート調査 ··· 1
(2) デザイン開発・保護等の活動実態に関するヒアリング調査 ··· 3
Ⅱ. 企業におけるデザイン開発・保護等の活動実態に関するアンケート・ヒアリング 調査結果 ··· 5
1. 企業属性 ··· 5
2. デザイン開発の実態について ··· 7
(1) デザイン開発予算、人員 ··· 7
(2) アウトソーシング ··· 10
(3) デザイン開発等スケジュール ··· 13
(4) ロングライフデザイン ··· 15
(5) 職務創作 ··· 17
3. 意匠の知財管理体制について ··· 22
4. デザインの保護状況について ··· 25
(1) 日本への意匠出願 ··· 25
(2) 海外への意匠出願 ··· 29
(3) 先行意匠調査 ··· 33
(4) 意匠の審査方式 ··· 38
(5) 部分意匠 ··· 40
(6) 関連意匠 ··· 43
(7) 新規性喪失の例外 ··· 47
(8) 意匠法の保護対象 ··· 50
(9) 海外各国への意匠出願 ··· 52
(10)日本及び海外特許庁への意匠出願等にかかる費用、手続 ··· 55
5. 模倣品などの意匠に関する権利侵害について ··· 59
(1) 権利行使状況 ··· 59
(2) 日本における権利侵害事例 ··· 62
(4) 権利侵害発生後の対策 ··· 73
6. デザイン開発・管理・保護全般等についての意見・要望 ··· 75
(1) デザイン開発・管理・保護の考え方 ··· 75
(2) 日本の意匠制度、意匠審査・意匠審判 ··· 76
(3) 海外の意匠制度、意匠審査・意匠審判 ··· 78
Ⅲ. デザイン事務所におけるデザイン開発・保護等の活動実態に関するアンケート・ ヒアリング調査結果 ··· 80
1. デザイン事務所の規模 ··· 80
2. デザイン開発について ··· 80
(1) デザイン開発の形態 ··· 80
(2) デザイン開発の製品分野 ··· 81
(3) 開発スケジュール ··· 82
3. 意匠の知財管理体制について ··· 83
4. デザインの保護状況について ··· 84
(1) 意匠権による保護の必要性 ··· 84
(2) クライアントとの関係における意匠権の扱い ··· 84
(3) 日本への意匠出願 ··· 85
(4) 意匠権以外の産業財産権の利用 ··· 87
(5) 産業財産権以外のデザイン保護 ··· 88
(6) 日本特許庁への意匠出願等にかかる費用、手続 ··· 88
5. 模倣品などの意匠に関する権利侵害について ··· 90
6. デザイン開発・管理・保護全般等についての意見・要望 ··· 91
Ⅳ.ハーグ協定加入後の出願行動に関するヒアリング調査結果 ··· 92
1. ハーグ協定加入による出願件数の変化等 ··· 92
2. 加入の働きかけを望む国名 ··· 94
3. 採用する出願方法 ··· 95
4. ロカルノ分類の付与 ··· 97
5. 間接出願と日本国特許庁によるサポート ··· 99
Ⅴ. 調査結果の分析・まとめ ··· 102
1, 現行意匠制度・意匠審査の課題 ··· 102
2. ハーグ協定加入後の意匠審査の在り方 ··· 104
資料編
資料Ⅰ アンケート調査 ··· 107
資料1 アンケート趣旨書 ··· 109
資料2 アンケート調査票(企業用) ··· 113
資料3 アンケート調査票(デザイン事務所用) ··· 137
資料Ⅱ ヒアリング調査 ··· 149
資料1 ハーグ協定に関するヒアリング調査票 ··· 151
Ⅰ. 調査概要
1. 調査目的
近年、新興国企業の技術力向上、製品アーキテクチャーのモジュール化等を背景に、コ スト競争力や従来の技術優位のみでの競争力維持はきわめて困難な状況になっている。そ のため、消費者の購買意欲に直接的に訴えることのできるデザインが製品の魅力を向上さ せる重要な要素として認識されるようになり、デザインを多様な要素(サービスやパッケ ージ等)と組み合わせた事業展開を行う企業も出現している。
また、我が国企業は、拡大する中国・アジアをはじめとする海外の模倣品被害に対応す るために、限られた知財関連予算を国内への対応から海外への対応にシフトしており、2008 年の経済危機以降は国内向けの知財関連予算の縮小傾向が特に顕著である。加えて、我が 国がハーグ協定に加入した場合、海外への出願が簡便になるため、我が国の企業等の国内 外における意匠保護戦略は今後さらに大きく変化することが予想される。
このように、近年はデザイン開発及びデザイン保護を取り巻く状況が大きく変化してい るため、現行の意匠制度及び意匠審査運用が企業等の活動実態に合致していない可能性が ある。
そこで、我が国がハーグ協定に加入した後の意匠審査の在り方や今後の意匠制度の在り 方 を 検 討 す る た め の 基 礎 資 料 を 作 成 す る こ と を 目 的 と し て 、 我 が 国 企 業 等 の デ ザ イ ン 開 発・保護等に関する最新の活動実態を把握するための調査研究を実施する。
本調査研究では、実態を把握するために、企業やデザイン事務所に対するアンケート調 査及びヒアリング調査に基づく情報収集を行った。
2. 調査方法
(1) デザイン開発・保護等の活動実態に関するアンケート調査
(i) 調査内容
企業及びデザイン事務所を対象としてアンケート調査を行った。企業とデザイン事務所 とではデザイン開発・保護等の活動実態が異なるため、基本的な企業情報以外はそれぞれ に対して異なる調査項目(表 1.2.1)を設定した。なお、本調査研究ではハーグ協定に関 する事項も調査対象ではあるが、同協定に関する事項はやや専門性が高いため、アンケー ト調査項目からは除外し、ヒアリング調査においてのみ説明を加えつつ調査することとし
【表 1.2.1】アンケート調査票の主な質問項目
企業 デザイン事務所
デザイン開発状況 ・ 開発規模(予算、体制)
・ アウトソーシング状況
・ 開発スケジュール
・ ロングライフデザイン
・ 職務創作
・ デザイナー数
・ 開発形態
・ 開発スケジュール
意匠の知財管理体制 ・ 知財管理体制の規模 ・ 知財管理の有無・体制 デザインの保護状況 ・ 国内外の意匠出願状況
・ 先行意匠調査
・ 意匠審査方式
・ 部分意匠
・ 関連意匠
・ 新規性喪失の例外
・ 保護対象
・ 国 内 外 の 意 匠 出 願 費 用 ・ 手続
・ デ ザ イ ン に 関 す る 権 利 の 取 り 扱 い ( ク ラ イ ア ン ト との関係)
・ 国内の意匠出願状況
・ 国 内 の 意 匠 出 願 費 用 ・ 手 続
模 倣 品 な ど の 意 匠 に 関する権利侵害
・ 権利行使状況
・ 権利侵害事例
・ 権利行使状況
・ 権利侵害事例
実際に使用した企業用のアンケート調査票、デザイン事務所用のアンケート調 査票は、それぞれ資料Ⅰの資料2、資料3のとおり。
(ii) 調査対象
調査対象企業は、主に以下の条件に基づいて 270社を選定した。
・ 2012 年の日本意匠分類各グループ(A~M)の出願上位企業(各グループの企業数 はグループ別出願件数比率により決定)。ただし、複数のグループで出願上位とな る企業は重複を排除。
・ 2006 年度に実施した類似の調査
(注)
におけるアンケート回答企業
(注:平成18 年度特許庁「デザインの開発・管理・保護・出願戦略に関する調査」)
調査対象デザイン事務所は、主に以下の条件を考慮して 30 社を選定した。
・ 2011~2012年に意匠出願件数が多いデザイン事務所
・ 日本デザイン事業協同組合等の会員で比較的規模の大きいデザイン事務所
・ 企業の関連事務所(分社化したデザインセンター等)を除外
(iii) 送付・回収方法
送付方法は郵送とした。希望者には後ほど電子データ(Microsoft Word)を電子メール にて送信し、回収は郵送、FAX、電子メールのいずれかで行った。回答期間は 2 週間とした。
郵送日:11月 25日 回答期限:12 月 9日
(iv) 回収率
アンケート発送数300件に対する企業、デザイン事務所からの回収数・率は表 1.2.2の とおり。
表1.2.2 アンケート回収数及び回収率
対象 発送数 回収数 回収率
(注)
企業 270 134 49.6%
デザイン事務所 30 8 26.7% 合計 300 142 47.3%
(注)回収率は、アンケート発送数に占める回答数の比率
(2) デザイン開発・保護等の活動実態に関するヒアリング調査
ヒアリング調査についてもアンケート調査と同様に、企業とデザイン事務所とで異なる 調査項目を設定した。
(i) 企業へのヒアリング調査
企業へのヒアリング調査では、アンケート内容の詳細調査及びハーグ協定に関する調査 を行った。ハーグ協定に関する調査にあたっては、資料Ⅱの説明資料を用いて説明した上 で、具体的な調査項目(表 1.2.3)についてヒアリングを行った。
【表 1.2.3】 ハーグ協定に関する調査項目
No. ヒアリング項目
1 出願増加が見込まれる国及び出願目的 1-1 本協定への加入を望む国
2 自国指定と優先権主張を伴う国際意匠出願の利用可能性(想定) 3-1 出願人によるロカルノ国際意匠分類付与の可能性(想定)
3-2 ロカルノ国際意匠分類についての相談窓口の利用有無(想定) 4-1 仲介官庁(JPO)の活用有無(想定)
4-2 仲介官庁(JPO)に望むサービス(想定)
ヒアリング対象企業は、アンケート回答の記載をもとに、主として以下の要素を総合的 に考慮して、28 社を選定した。なお、ヒアリング対象企業が意匠分類グループで偏りがな いように、グループ別出願件数比率に応じてグループごとに企業数を設定した。
・日本への出願件数、海外への出願件数
・模倣被害事例の記述内容
・先行意匠調査内容
・自由意見の記述内容
(ii) デザイン事務所へのヒアリング調査
デザイン事務所へのヒアリング調査では、アンケート内容の詳細調査のみ行った。
ヒアリング対象デザイン事務所は、アンケート回答の記載をもとに、以下の要素を総合 的に考慮して、2社を選定した。
・事務所の規模
・開発形態
・知財管理の有無
・出願件数
・模倣被害事例や自由意見の内容
Ⅱ. 企業におけるデザイン開発・保護等の活動実態に関するアンケート・
ヒアリング調査結果
企業を対象としたデザイン開発・保護等の活動実態に関するアンケート調査、及びヒア リング調査の結果について、アンケートの調査項目ごとにまとめた結果は以下のとおり。
1. 企業属性
回答企業が属する各業種(複数回答可)を集計したところ、以下のような構成となった
(図 2.1.1)。業種は日本産業分類に準拠している。
図2.1.1 回答企業が属する業種構成(複数回答)【問 1】
1 2
3 1
2 2
1 3 1 3 5
4 6
1 6 5
2 6 5
2 7 7
1 3
2 3 1
2 3 1
0 5 1 0 1 5 20 2 5 3 0 建設業
食料品製造業 繊維工業 家具・ 装備品製造業 パルプ・ 紙・ 紙加工品製造業 印刷・ 同関連業 化学工業 プラスチック製品製造業 ゴム製品製造業 窯業・ 土石製品製造業 非鉄金属製造業 金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業 業務用機械器具製造業 電子部品・ デバイス・ 電子回路製造業 電気機械器具製造業 情報通信機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 その他の製造業 電気・ ガス・ 熱供給・ 水道業 情報通信業 卸売業、小売業 サービス業( 他に分類されないもの)
また、資本金及び従業員数の回答に基づき、全回答企業について大企業、中小企業の特 定を行ったところ、大企業が110 社(82%)、中小企業が 24 社(18%)であった(図 2.1.2)。
図2.1.2 大企業、中小企業別回答企業数 【問2 & 問3】
(参考)中小企業基本法における中小企業の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が 3 億円以下の会社又は常時使用する従業員の数 が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が 1 億円以下の会社又は常時使用する従業員の数 が 100 人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が 5 千万円以下の会社又は常時使用する従業員の 数が 50 人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が 5 千万円以下の会社又は常時使用する従業員の 数が 100 人以下の会社及び個人
1 10 24
0% 2 0% 40 % 60 % 80% 1 00%
大企業 中小企業
2. デザイン開発の実態について
(1) デザイン開発予算、人員
図 2.2.1.1にデザイン開発にかかる年間平均予算額の集計結果を示す。
大企業の集計結果を見てみると、特定の予算規模に偏ることはなく、デザイン開発にか ける予算は企業よってばらつきがあると考えられる。デザイン開発予算額が 1000 万円未満 の企業が 13社ある一方で、10億円以上かけている企業も 14 社あり、規模の大きい会社ほ どデザイン開発を重要視している傾向がみられた。なお、企業秘密等の理由により 29社が 無回答であった。
中小企業では、5,000 万円未満の企業が約7 割を占めた一方、1億円以上をデザイン開 発に費やしている企業が 2 社あった。
図2.2.1.1 デザイン開発の年間平均予算額 【問4-1】
2 2
13
9 2 7
19
8 18
1 3
5 2 4
22
2 1 4
14
0 2 9
2 9
0
0 % 20 % 4 0 % 60 % 80 % 10 0 %
全体
大企業
中小企業
1 0 0 0 万円未満 1 0 0 0 万円以上~5 0 0 0 万円未満 5 0 0 0 万円以上~1 億円未満 1 億円以上~1 0 億円未満
1 0 億円以上 無回答
開発予算の増減傾向(図 2.2.1.2)を見てみると、73 社(回答企業の 69.5%)が「ほぼ 変わらない」としたが、「減少している」又は「大幅に減少している」とした企業が 9社(同 8.6%)であるのに対し、「増加している」とした企業は 23 社(同 21.9%)であった。全体 としては、我が国企業のデザイン開発予算は微増傾向にあると言える。なお、「大幅に増加」 とした企業はなかった。各企業から挙げられた増減理由は、以下のとおりである。
① 「増えている」とした理由
・ 業績・業務量に比例して増加
・ 企業ブランド価値を向上させるため、体制を見直した。
・ デザインの価値、デザインによるブランド戦略などデザインを効果的に活用
・ 外部委託が増加
・ 海外の独自のデザイン開発が増加し、海外のデザイン事務所を利用
・ 製品デザイン、特に画像デザインの重要度が増している。
・ すべての製品について統一化したデザインを開発するため。 等
② 「ほぼ変わらない」とした理由
・ 市場も製品群も急速に拡大している状況にない、予算や人員が変わらない。
・ 既存商品分野は微減だが、新規製品のデザインアプローチにより製品開発が微増
・ 増加する仕事量に応じて、安価な外部委託に切り替えている。 等
③ 「減少している」「大幅に減少している」とした理由
・ 売上減少、経費削減(外部委託費削減)、事業縮小 等
図2.2.1.2 デザイン開発予算の増減傾向 【問4-2】
2 3
1 9
4
73
5 6
17
7
6
1 2
1
1 29
28
1
0% 20 % 40 % 60 % 80 % 1 00 %
全体
大企業
中小企業
増えている ほぼ変わらない 減少している 大幅に減少している 無回答
デザイン開発担当人員数(デザイナー、エンジニア等)別企業数構成は、図 2.2.1.3の とおりであり、大企業・中小企業ともに多く回答があったのは「3 人以上 10 人未満」「10 人以上30 人未満」であった。しかし、30 人以上とした大企業は、33 社(回答企業の33.7%) ある一方、中小企業では 1 社のみであり、デザイン開発担当人員数は企業規模と比例関係 にあるのではないかと思われる。
図2.2.1.3 デザイン開発担当人員数別企業数構成 【問 5】
8
7
1 14
8
6
36
2 7
9 3 0
23
7 10
9
1 6
6
0 1 2
12
0 6
6
0 1 2
12
0
0% 20% 40% 60% 80% 100 %
全体
大企業
中小企業
0 人 3 人未満 3 人以上~1 0 人未満
1 0 人以上~3 0 人未満 3 0 人以上~5 0 人未満 5 0 人以上~1 0 0 人未満 1 0 0 人以上~3 0 0 人未満 3 0 0 人以上 無回答
(2) アウトソーシング
回答企業 134 社のうち、115社(85.8%)が、製品デザインの開発を行っており、パッケ ージデザインや画像デザインについては72社(53.7%)が開発を行っていた。(図 2.2.2.1)
図2.2.2.1 デザイン開発を行っているデザイン領域別回答数(複数回答)【問6】
1 1 5
9 3
2 2
7 2
5 9
1 3
7 2
6 0
1 2
0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 1 2 0 1 4 0
全体
大企業
中小企業
製品デザイン パッ ケージデザイン 画像デザイン
これらのデザイン領域ごとのアウトソーシングの実施状況を図 2.2.2.2に示す。 大企業は、中小企業と比べ、製品デザイン及び画像デザインのアウトソーシングを比較的 よく活用している。パッケージデザインについては、大企業と中小企業とではほとんど差 異が無かった。
図2.2.2.2 アウトソーシング実施状況毎の回答数 【問 6】
全体 32
26
17
58
28
34
30
30
31
0 20 40 60 80 100 120 140
製品デザイン
パッケージデザイン
画像デザイン
よく行って いる 時々行って いる 全く行っていな い
大企業 27
22
15
49
22
29
21
25
23
0 20 40 60 80 100 120
製品デザイン
パッ ケージデザイン
画像デザイン
よく行って いる 時々行っている 全く行って いな い
5
4
2
9
6
5
9
5
8
0 5 10 15 20 25
製品デザイン
パッ ケージデザイン
画像デザイン
企業がアウトソーシングの際に期待する効果について、図 2.2.2.3に示す。すべてのデ ザイン領域において、「開発期間の短縮」、「デザインの質の向上」の効果が高い。製品デザ インでは、「社内とは異なるコンセプトの導入」も同程度に期待されている。一方、パッケ ージデザインや画像デザインでは、「市場の流行を採用」の効果が期待されている。
「その他」の内容は、デザイナーがいないため、過剰な業務量に対応するため、専門性 の活用等である。
なお、企業によっては、販売地域に合わせたデザインをおこなうために、現地デザイナ ーにアウトソーシングする例もあった。
図2.2.2.3 アウトソーシングの際の期待する効果別回答数(複数回答)【問6】
0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0
製品デザイン
パッ ケージデザイン
画像デザイン
開発費抑制 開発期間短縮
デザインの質の向上 新たな コンセプトの導入
市場の流行を採用 社内デザイナーの意識向上
販売地域に合わせたデザイン開発 その他
(3) デザイン開発スケジュール
意匠分類グループ別のデザイン開発等に関するスケジュールについては、回答が 163 件
(複数回答含む)あり、その構成は表 2.2.3.1 のとおりである。
表 2.2.3.1 意匠分類グループ別回答数
図 2.2.3.1 にグループ別のデザイン開発等に関する平均的なスケジュール(単位:月) を示す。
全体では、デザイン開発期間(デザイン開発開始からデザイン決定まで)が平均 4.6か 月であり、その 2.5 か月後に意匠出願、さらに 3.1か月後に製品発表、その 2.1か月後に 製品発売という集計結果となった。
分野別に見てみると、G グループ(運輸又は運搬機械)、J グループ(一般機械器具)は デザイン開発期間が約 6 か月と他の分野と比べて長く、他方、M グループ(A~Lに属さ ないその他の基礎製品)では、3 か月以内と短期間でデザイン開発を行っている。
また、B グループ(衣服及び身の回り品)及び F グループ(事務用品及び販売用品)で は出願から製品発売までの期間が約 3 か月と非常に短く、他方で、E グループ(趣味娯楽 用品及び運動競技用品)、G グループ(運輸又は運搬機械)及びM グループ(基礎製品)に ついては、出願から製品発売までの期間が約 8~9か月と、非常に長い。
なお、A グループ(製造食品及び嗜好品)についての回答は 1 社しかなかったため、製 品分野の傾向分析には適さず、分析の対象外とした。
個別の事例としては、企業や製品によって意匠出願と製品発表がほぼ同時となることが ある。また、デザイン決定から意匠出願までに長期間を要する場合の理由として、デザイ ン変更の可能性があったために出願を待った、部分意匠の出願戦略検討に時間を要した、 といった理由が挙げられた。
A B C D E F G H J K L M N 食品
嗜好 衣服 身回
生活 用品
住宅 設備
趣味 運動
事務 販売
運輸 運搬
電気 通信
一般 機械
産業 機械
土木 建築
基礎 製品
その 他
合計
1 7 11 8 9 29 13 32 17 9 22 5 0 163
図2.2.3.1 グループ別のデザイン開発スケジュールの平均的な期間(単位:月) 【問 7】
4 .6
1 5 .0
4 .2
4 .5
3 .3
3 .9
4 .6
5 .8
4 .7
6 .6
3 .9
3 .5
2 .6
2 .5
1 .0
2 .2
1 .5
1 .6
2 .6
1 .9
4 .0
2 .3
2 .7
3 .7
2 .6
3 .0
3 .1
6 .0
0 .4
2 .8
3 .9
5 .0
2 .1
3 .1
3 .5
2 .6
3 .3
2 .5
6 .8 2 .1
1 .5
2 .6
1 .5
2 .2
2 .8
1 .1
6 .3
1 .1
2 .8
1 .0
2 .1
2 .3
0 .0 5 .0 1 0 .0 1 5 .0 2 0 .0 2 5 .0
全体
A. 食品嗜好
B. 衣服身回
C. 生活用品
D. 住宅設備
E. 趣味運動
F. 事務販売
G . 運輸運搬
H. 電気通信
J. 一般機械
K. 産業機械
L. 土木建築
M. 基礎製品
ヶ月
デザイン開始~決定 デザイン決定~出願 出願~製品発表 製品発表から製品発売
(4) ロングライフデザイン
デザインを変更せずに 20 年以上販売している製品の有無について調査したところ、72 社(53.7%)が「あり」と回答した(図2.2.4.1)。
図2.2.4.1 ロングライフデザイン製品を販売している企業数 【問8】
意匠分類ごとのロングライフデザイン製品数(複数回答可)は図 2.2.4.2のとおりであ り、Fグループ(事務用品及び販売用品)、L グループ(土木建築用品)に特にロングライ フデザイン製品が多いことがわかった。
図2.2.4.2 グループ別のロングライフデザイン製品 【問8】
52
1
1
2
5
10
3
5
7
3
10
5
2 9
4
1
0
2
5
1
2
1
3
9
1
16
2
2
0
0
3
1
2
1
0
3
2
8
2
1
0
0
2
0
1
0
0
2
0
0 2 0 40 60 8 0 1 00 1 20
全体
B. 衣服身回
C. 生活用品
D. 住宅設備
E . 趣味運動
F. 事務販売
G . 運輸運搬
H. 電気通信
J. 一般機械
K. 産業機械
L. 土木建築
M . 基礎製品
20年~30年未満 30年~40年未満 40年~50年未満 50年以上
7 2 6 2
0 % 5 0 % 1 0 0 %
ロン グデザイン製品あり ロングデザイン製品なし
ロングライフデザイン製品を販売している企業からは、現在 20年としている意匠権の存 続期間に対して以下のような意見があった。
・ 長期にわたって同一デザインで製造、販売している製品も多いので、登録後 20 年とい わず、保護期間が長くできるのであれば、それに越したことはない
・ 消耗品については、長期に販売される場合もあるので、できるだけ長期に保護しても らいたい。少なくとも欧州並みの 25 年は欲しい。
・ 意匠の保護期間が長いことについて障害はないので、長いに越したことはない。それ ほど種類としては多くないが、権利期間満了まで権利を維持するものはある。
・ 販売期間の長い製品はそもそも意匠権をとっていない。現実これでそれなりにビジネ スが成り立っている。
・ 権利行使するとしても、費用負担、商標、不競法等の対応も考えるので、20年より長 期の意匠権が欲しいとは思わない。
・ 主たる意匠は業界標準のようになっているので、権利を長期に持つ必要がない。
(5) 職務創作
職務創作の取決め(職務発明の取り決めを適用している場合を含む)の有無について調 査したところ、ほぼすべての大企業(97.2%)は取決めがあると回答したのに対し、約 4 割の中小企業は取決めが無かった。(図 2.2.5.1)
図2.2.5.1 職務創作の取決めの有無 【問 9-1】
他方、職務創作に特化した取決めがある企業は、大企業であっても約 3 割程度であった。 中小企業ではほとんど(84.6%)が職務発明の規定を適用している。(図 2.2.5.2)
図2.2.5.2 職務創作の取決めの種類【問9-3】
図2.2.5.3 職務創作の取決めの無い場合の扱いに関する回答数比率 【問9-3】 38
36
2
82
71
11
1
0
1
0% 20% 40% 60% 80% 100%
全体
大企業
中小企業
職務創作に特化した 取決めがある 職務発明の取決めを適用している 無回答 121
107
14
13
3
10
0% 20% 40% 60% 80% 100%
全体
大企業
中小企業
取決めがある 取決めがない
職務創作の取決め(職務発明の取り決めを適用している場合を含む)を設けていない理 由として、代表者が実施している、業務の規模が小さいため必要性が少ない、等が挙げら れた。
職務創作の取決め(職務発明の取り決めを適用している場合を含む)がない場合の職務 創作の取り扱いについては、13 社のうち 10 社は「慣行として従業者から会社へ承継」し ており、2 社は「特段何もしていない」という回答であった(図 2.2.5.3)。
いずれの企業も、これまでに職務創作に関する問題が起きたことはないとの回答であっ た。
図2.2.5.3 職務創作の取決めが無い場合の職務創作の取り扱い【問9-4】
10
2
8
2
1
1 1
0
1
0% 20% 40% 60% 80% 100% 全体
大企業
中小企業
慣行として従業者から会社へ承継している 特段何もしていない そ の他
各企業が取決めに記載している項目は、図 2.2.5.4のとおりであった。職務創作の取り 決めがあると回答した 116社のうち、ほぼすべての企業が「権利の承継」(115 社)、「報奨 金の算定基準及び/又は支払額」(113 社)の項目を規定している。他方、「報奨金の上限」
(32 社)については規定している企業は少ない。
図2.2.5.4 取決めに記載されている項目別回答数(複数回答) 【問9-2】
9 9
1 1 5
1 0 4
1 1 3
3 2
8 7
5 9
7 3
8 6
6 4
69
2
0 3 0 60 9 0 1 2 0 1 50 職務創作の定義
権利の承継
創作の届け出に関する規定
報奨金の算定基準及び/又は支払い額
報償金の上限
報奨金の支払いタイミング
職務創作以外の創作の取扱いについて
創作の内容の秘密保持について
創作者が退職・ 転職又は死亡時の取扱い
正社員以外のなし た創作について
外国出願の取扱いについて
そ の他
回答数
報奨金支払契機ごとの報奨金金額について調査した結果が、図2.2.5.5 と図 2.2.5.6の とおりである(金額に大きな差があるため、別のグラフとしている)。
報奨金の支払いを規定しているほぼすべての企業(無回答企業を除く)が、意匠出願時 に報奨金を支払うとし、その額は 1万円以下としている。また、そのうちのほとんどの企 業が意匠登録時においても報奨金を支払う規定を設けており、その報奨金額も 1万円以下 としている企業が多い。
他方、登録意匠実施時やその他の契機に支払われる報奨金額は、10万円以下から最高100 万円超まで幅があった。ヒアリングによれば、評価ランクに応じて額が決まる仕組みにな っている企業が多いようである。
図2.2.5.5 意匠出願時、意匠登録時報奨金の報奨金額の回答数 【問9-5】
図2.2.5.6 登録意匠実施時、その他の報奨金の報奨金額の回答数 【問9-5】 2 1
3 8
1 0 5
76
0
1 0 0
0 0
2 8
8
0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 1 20 1 4 0 1 6 0 意匠出願時
意匠登録時
なし 1万円以下 1 万円超~5万円以下 5万円超~10 万円以下 10 万円超 無回答
5 7
8 0
3 9
8 6
2 8
1
3
2
4
4
1 7
37
0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 1 2 0 1 4 0 1 6 0 登録意匠実施時
そ の他
なし 1 0万円以下 1 0 万円超~2 0万円以下
2 0万円超~5 0万円以下 5 0万円超~1 00 万円以下 1 0 0万円超 無回答
また、出願時、登録時、登録意匠実施時以外(「その他」)の報奨金としては、以下のよ うなものが挙げられた。
・ 社外で優秀な評価を得たものについて、特別に追加。日本のグッドデザイン賞や外 国の同等の賞を受賞した場合に、受賞した賞のランクに応じて支給される。
・ 知財大賞、発明賞、社長特別賞
・ アイデア・工夫・改善表彰で、商品に関わるチームへの支払
・ 特に販売に貢献し、かつ優れた意匠と外部から認定を受けたもの
・ 創作が会社に顕著な功績を与えた場合に実施補償金が支給される。
・ 特に実施額が大きいもの。売上に特に顕著な貢献をした場合に支給される。過去に は同一技術について 3回支給された例があるのみ。
・ 意匠実績特別補償金。特許は数年毎に保証金の見直しがあるが、意匠は、登録時以 後は1回のみで不公平である。そこで特に顕著な功績があった場合に、特別に補 償する規定を設けている。
・ 模倣対策で権利を利用した時や侵害品差止時
ヒアリング調査では、企業の報奨金金額に関する実態として、以下の回答があった。
・ 部分意匠や関連意匠があるので、1出願等の単位ではなく、一つのデザインで1件 の発明と同等になるようにしている。
・ 特許はクレーム数だが、意匠は本意匠と関連意匠で異なるようにしている。
・ 海外への出願については、OHIM は1国分ではなく特別基準を設けている。
・ 登録時の報奨金は、デザインの良し悪しによって金額を変えている。基準は、市場、 売上げ、デザイン、メディアへの露出度、エコ等の要素を考慮して判断する。
・ 基本的には報奨金の金額を含めて特許と同一の規程を適用している。
・ 報奨金部分は発明と意匠で異なる。
・ 特許、意匠では出願時の報奨金にあまり差はないが、登録時の報奨金はかなり異な る。
・ 意匠の金額は特許よりも低い。中には、1/2や 1/10という企業がある。
3. 意匠の知財管理体制について
知財管理担当人員数については、大企業と中小企業とでは大きく差がある(図 2.3.1)。 2人未満としている中小企業は 8割以上あるのに対し、大企業では約 1割程度しかなく、 10 人以上としている大企業が約半数であった。大企業の平均的な知財管理担当人員数は 10 人前後であるが、30人以上の体制が整備されている企業も約30社あった。
図2.3.1 知財管理担当人員別回答数比率【問 10-1】
2
2
0 12
3
9 16
5
11 14
12
2 7
5
2 5
5
0 20
20
0 19
19
0 10
10
0 29
29
0
0% 20% 40% 60 % 80 % 10 0%
全体
大企業
中小企業
0 人 1 人未満 1人以上~2 人未満 2人以上~3 人未満
3 人以上~4 人未満 4 人以上~5 人未満 5人以上~1 0 人未満 10 人以上~2 0 人未満 2 0 人以上~3 0 人未満 3 0人以上