(1) 権利行使状況
過去5 年間で権利行使をしたことがあると回答した企業は 46社あり、そのうち 12社は 中小企業であった(図2.5.1.1)。回答があった中小企業のうち、70.6%の企業が権利行使 をしており、大企業と比べて実際に意匠権を行使している割合が高い。
図2.5.1.1 権利行使の有無の企業数比率(複数回答) 【問22-1】
権利行使のケース別発生件数を図 2.5.1.2 に示す。警告した件数は 197件あり、そのう ち 161件(81.7%)が和解に至っている。「その他」の313件のうち 300件は 1社による「ネ ット販売の削除申請」であり、他は「警告せず提訴」、「工場差押え」、「警告後デザイン変 更」等であった。
図2.5.1.2 権利行使の各ケースについての発生件数(複数回答) 【問22-1】
161
1 4
22
62
313 警告後、 和解
警告後、相手が和解に応じ ず提訴
警告後、 相手が和解に応じ ず提訴もし ない
税関による輸入差し止め
そ の他 4 6
3 4
1 2
4 5
4 0
5
4 3
3 6
7
0 % 2 0 % 4 0 % 6 0 % 8 0 % 1 0 0 %
全体
大企業
中小企業
あり なし 無回答
図 2.5.1.3 に和解内容についての回答結果を示す。最も多い和解内容は、製品の販売中 止であった。
図2.5.1.3 和解の内容の各ケースについての回答件数(複数回答) 【問22-2】
図 2.5.1.4 に権利侵害発生(または発見)時期についての回答結果をまとめた。製品発 売後 12ヶ月以上が圧倒的に多いが、製品発売後 2ヶ月~3 ヶ月以内と製品発売後 6ヶ月~
9 ヶ月以内にもピークがあった。比較的早期に権利侵害が発生したのは生活用品関連の分 野の製品であった。
図2.5.1.4 権利侵害発生(または発見)時期についての回答件数(複数回答) 【問22-3】
1 5 4
6 4
3 9
7
0
6
0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0 1 2 0 1 4 0 1 6 0 1 8 0 権利侵害者の製品の販売中止
権利侵害者の製品の製造中止
和解金の支払い
ライセンシング
意匠権譲渡
そ の他
2 6 6
3 2 2
1 7
35 11
2 68
0 50 100 150 200 250 300
製品発売前 製品発売後1ヶ月以内 製品発売後1~2ヶ月以内 製品発売後2~3ヶ月以内 製品発売後3~4ヶ月以内 製品発売後4~5ヶ月以内 製品発売後5~6ヶ月以内 製品発売後6~9ヶ月以内 製品発売後9~12ヶ月以内 製品発売後12ヶ月以上
アンケート調査とヒアリング調査において、国内外の権利侵害について以下の事例等が 説明された。
・ 日本国内で発生した玩具の事例では、中国から輸入したものが主で、輸入業者に警告 すれば、ほとんど中止してくれた。
・ 衣料品の部品が中国から輸入される衣料品に多数使用されている。
・ 日本でのみ発売している生活用品分野の製品の類似品が、中国や香港、台湾等で販売 され又は日本に輸入されるケースが多い。
・ 電池やアクセサリー(ヘッドホン etc)等のサイズが小さい物、ミニスケール(宝石等 を測る精密スケール)などについては、中国での模倣事例が多い。
・ 筆記具については、アジア・欧州の小売店、また中国やドイツで行われるメッセや交 易会で発見することがある。中国の税関で、欧州向けの模倣品が止まることが多い。
・ 自動車については、ほとんどが中国での販売で、一部は他地域へ輸出されている。
・ 車両の分野で、中国国内において、アフターマーケット関連製品(販売店で直接購入 可能品)の模倣が主に発生している。商標を省いた形状模倣品や製品パッケージの模 倣(中の製品は別物)が発生している。
・ 更正タイヤの事例も中国で多い。
・ アナログミキサー等の模倣品が中国で目立つ。展示会にデッドコピー品の展示、カタ ログ記載等がある。
・ 生活用品では、中国が関係しているものが多く、量販店で発見されるケースがある。
・ コンシューマー製品は、中国南部で発見されるケースがある。
・ 一般機械器具の分野で、意匠権放棄後、模倣品が出たことがあった。
・ 分析機器の分野で、新製品発表後 1年以内に中国で模倣品を発見した。
・ 電気電子器具分野で、模倣品が各国で見つかるが、元をたどると中国メーカーが製造 している。
(2) 日本における権利侵害事例
日本における権利侵害事例は、合計 45件であり、意匠分類別件数は図2.5.2.1 のとおり である。B グループ(衣服及び身の回り品)、及び Eグループ(趣味娯楽用品及び運動競技 用品)ついては、調査対象企業数と比べて権利侵害発生件数が多かった。
図2.5.2.1 意匠分類別権利侵害発生件数 【問25】
0
7
2
1
7
5
5
10
3
2
3
0
0 2 4 6 8 1 0 1 2
A. 食品嗜好
B . 衣服身回
C. 生活用品
D. 住宅設備
E. 趣味運動
F. 事務販売
G. 運輸運搬
H. 電気通信
J. 一般機械
L. 土木建築
M. 基礎製品
N . その他
図 2.5.2.2に権利侵害行為別回答数を示す。模倣品等輸入が模倣品等販売とほぼ同数で 非常に多いことがわかった。
図2.5.2.2 権利侵害行為別回答数(複数回答) 【問 25-1】
8
1
1
1
0
0
2
1
1
1
2 2
4
2
1
3
3
2
4
1
2
2 1
4
0
1
4
2
3
6
1
0 1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0 5 10 1 5 2 0 25
全体 B. 衣服身回 C. 生活用品 D. 住宅設備 E. 趣味運動 F. 事務販売 G. 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 M . 基礎製品
模倣品等製造 模倣品等販売 模倣品等輸入 その他
模倣被害については、製品イメージの低下が販売数・販売額の減少を大きく上回った。
また、企業イメージの低下についても被害と感じている企業が多い。
図2.5.2.3 模倣被害別回答数(複数回答) 【問 25-2】
11
5
3
1
2
1 8
3
1
1
1
2
3
4
3
9
1
1
1
2
3
1
6
1
2
3
0 5 1 0 1 5 2 0
全体 B. 衣服身回 C. 生活用品 D. 住宅設備 E. 趣味運動 F . 事務販売 G. 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 M . 基礎製品
自社製品の販売数・売上額の減少 製品イメージの低下 企業イメージの低下 その他
対処方法については、意匠権に基づく警告が圧倒的に多い(図2.5.2.4)
図2.5.2.4 対処方法別回答数(複数回答) 【問 25-3】
32
4
2
1
6
4
3
6
2
2 3
1
1
1 1
1
1
11
4
1
1
1
3
1
12
2
3
1
2
2
2 2
2 3
0 5 10 15 20 25 30 35
全体 B. 衣服身回 C. 生活用品 D. 住宅設備 E. 趣味運動 F. 事務販売 G. 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 M. 基礎製品
意匠権に基づく警告 訴訟(差し止め請求)
訴訟(損害賠償) 輸入差止め申し立て
和解 未対処
対処方法の効果については、差し止めが最も多かった(図 2.5.2.5)。
図2.5.2.5 対処方法の効果別回答数(複数回答) 【問25-4】
21
4
1
1
3
3
2
1
2
2
9
2
1
4
2
7
1
1
3
1
1 1
1
0 5 10 15 20 25
全体 B. 衣服身回 C. 生活用品 D. 住宅設備 E. 趣味運動 F. 事務販売 G. 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 M. 基礎製品
差し止め デザイン変更 損害賠償獲得 ライセンス契約 侵害者刑事罰
(3) 海外における権利侵害事例
回答のあった海外における権利侵害事例は、合計 54 件である。これらを意匠分類グルー プ毎に図 2.5.3.1 に示す。G グループ(運輸及び運搬機械)の権利侵害発生件数が突出し て多いことが分かる。
図2.5.3.1 意匠分類別権利侵害発生件数 【問26】
6 4
3
5
17 11
4 2
1 1
0 2 4 6 8 10 12 14 1 6 18
A. 製造食品 B. 衣服身回 C . 生活用品 E. 趣味運動 F. 事務販売 G. 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 K. 産業機械 L. 土木建築 M. 基礎製品 N. その他
権 利 侵 害 の 発 生 国 ・ 地 域 に つ い て の 結 果 を 図 2.5.3.2 に 示 す 。 あ わ せ て デ ー タ を 表 2.5.3.1 に示す。中国が圧倒的に多く、ほぼすべての分野で権利侵害が発生している。
図2.5.3.2 権利侵害発生国・地域別発生件数 【問26-1】
表2.5.3.1 権利侵害発生国・地域別発生件数データ 【問26-1】
3
1 1 1
2
1 1
2
1 4
1 7
3
1 1 1 1 1 1
1 8
1 1
1 4
1
1 1
1
0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0 3 5
中国 米国 ドイツ ベルギ ー 韓国 台湾 タ イ トルコ イスラ エル イラン 南ア 欧州 南米 アジア 香港 国名 無記入 B. 衣服身回 C. 生活用品 E . 趣味運動 F. 事務販売 G . 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 K. 産業機械
L. 土木建築 M . 基礎製品
中国 米国 ドイツ ベルギー 韓国 台湾 タイ トルコ イスラエル イラン 南ア 欧州 南米 アジア 香港 国名 無記入
合計
B. 衣服身回 3 1 1 1 6
C. 生活用品 2 1 1 4
E. 趣味運動 2 1 3
F. 事務販売 4 1 5
G. 運輸運搬 7 3 1 1 1 1 1 1 1 17
H. 電気通信 8 1 1 1 11
J. 一般機械 4 4
K. 産業機械 1 1 2
L. 土木建築 1 1
M. 基礎製品 1 1
合計 32 4 2 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 3 54
図 2.5.3.3に権利侵害発生地域別回答数を示す。
権利侵害発生地域については、真正品の販売地域が最も多く、次いで真正品の生産地域 であった。
図2.5.3.3 権利侵害発生地域別回答数(複数回答) 【問26-1】
15
1
3
1
4
3
1
2 6
1
1
3
1
36
5
4
1
4
9
7
3
1
1
1
7
3
4
0 5 1 0 15 2 0 2 5 30 3 5 40 全体
B. 衣服身回 C. 生活用品 E. 趣味運動 F . 事務販売 G. 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 K . 産業機械 L. 土木建築 M. 基礎製品
真正品の生産地域 真正品の流通・加工地域 真正品の販売地域 その他
模倣被害については、自社製品の販売数・売上額の減少が製品イメージの低下とほぼ同 数であり、国内模倣被害(図 2.5.2.3)と異なる意識であることがうかがえた(図2.5.3.4)。
図2.5.3.4 模倣被害別回答数(複数回答) 【問 26-2】
23
5
2
1
5
6
1
2
1
24
4
3
2
7
6
1
1
11
1
3
3
2
1
1
5
4
1
0 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0
全体 B. 衣服身回 C. 生活用品 E. 趣味運動 F . 事務販売 G. 運輸運搬 H. 電気通信 J. 一般機械 K . 産業機械 L. 土木建築
① 自社製品の販売数・売上額の減少 製品イメージの低下
企業イメージの低下 その他
対処方法については、国内権利侵害と同様に意匠権に基づく警告が多いが、未対処とし たケースも比較的多い。
図2.5.3.5 対処方法別回答数(複数回答) 【問 26-3】
15
3
1
2
3
6 3
1
1
1
4
1
1
2 3
1
1
1
4
1
3
7
1
1
2
2
1
0 2 4 6 8 10 12 14 16
全体
B. 衣服身回
C. 生活用品
E. 趣味運動
F. 事務販売
G. 運輸運搬
H. 電気通信
J. 一般機械
M. 基礎製品
意匠権に基づく警告 訴訟(差し止め請求) 訴訟(損害賠償)
輸入差止め 申し立て 和解 未対処
対処方法の効果については、以下のとおりの結果となっている。
図2.5.3.6 対処方法の効果別回答数(複数回答) 【問26-4】
8
3
2
2
1
6
2
1
1
1
1
3
1
2 1
1
2
1
1
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
全体
B. 衣服身回
C. 生活用品
F . 事務販売
G. 運輸運搬
H. 電気通信
J. 一般機械
差し止め デザイン変更 損害賠償獲得 ライセンス契約 侵害者刑事罰
(4) 権利侵害発生後の対策
権利侵害が発生した後、企業内における権利侵害等への対策に変化があったか否かにつ いての回答結果を図 2.5.4.1に示す。
図2.5.4.1 権利侵害後の対策の回答数 【問 27】
権利侵害・模倣品対策について、アンケート調査及びヒアリング調査において以下のよ うな意見があった。
・ 模倣被害に対しては、相手がどこであっても毅然とした態度で臨む。
・ ブランド保護のため、絶対に妥協せずに全力で差し止める。
・ 費用対効果を鑑みて積極的に対応する。
・ 模倣品被害のある現地に知財担当者をおいて連携を強化する。
・ 基本的に現地代理人による鑑定を経た上で警告を行う。
・ 自社製品と誤認混同が生じるかどうかを判断基準として対応している。
29
3 0
1 3
44
4 4
59
6 1
60
6 2
0 % 20 % 4 0 % 6 0% 8 0 % 10 0 % 模倣品などの権利侵害対策
意匠出願件数
社内体制( 知財部門)
変化した 変化しない 無回答