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gap junction と抑制性シナプスによって結合される MFHN モデルと分岐

電位の値よりも小さいxsyn =2.5と固定し,シナプス電位の上昇,減衰に関するパラメータを

それぞれα= 1.0,β = 0.05 と固定している.このモデルは,生理学的な意味付けは不十分であ

るが,結合系における幾つかの重要なパラメータによって生じる様々な同期現象および定性的性 質を比較的簡単に解析することができる.つまり,各結合の強度の変化,シナプス伝達の減衰定 数による発火周波数の変化によって生じる現象を分岐理論を用いることにより解析を行うことが できる.

(A) (B)

0 0.03 0.06 0.09 0.12 0.15 0.18

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 ggap

gsyn G1

I1 II

Pf11 Pf Pf

I2 II

I3 II

I4 I G2

G3 G4

2

Pf Pf3 Pf Pf (f)

S

in

S

anti

S

in

/S

anti

0 0.03 0.06 0.09

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

ggap

gsyn

I2 II

Pf3 Pf

Pf I4

S

in (a)

(C) (D)

0 0.03 0.06 0.09 0.12 0.15 0.18

0 0.1 0.2 0.3

ggap

gsyn

G2 Pf1

Pf Pf I1 II

G1 (c) (c)

S

anti (b)

0 0.005 0.01 0.015 0.02

0.25 0.26 0.27 0.28 0.29 0.3 ggap

gsyn

G2 Pf2 Pf Pf

I3 G3 II

(e) (d)

S

anti

6.3.2: (A):gsyn-ggap平面におけるリミットサイクルの分岐図.(B)(C)(D): 分岐図(A)における部分拡大図.

6.3. GAP JUNCTIONと抑制性シナプスによって結合されるMFHNモデルと分岐 93 本論文では,各ニューロンモデルのパラメータを同じ値に設定する.つまり,同じ発火特性をもつ モデル同士を結合した系について考える.そこで,各ニューロンの内部パラメータをa1=a2 = 0.42, b1 =b2 = 1.0c1 =c2 = 3.0d1 =d2 = 1.8と固定し,Class 1の発火特性を示すよう設定して いる.加えて,各ニューロンに対する外部刺激強度をz1 =z2= 0.5としており,両ニューロンと もに発火状態を示す.この時,x≥0以上の値の時,ニューロンが発火した仮定している.これ らパラメータ設定時における各結合係数の変化によって生じる現象を調べるために,gsyn-ggapに おける分岐図を求めた.求めた分岐図を図6.3.2に示す.

図6.3.2中の記号,GiIiPfiは,それぞれ接線分岐,周期倍分岐,ピッチフォーク分岐を表し ており,各記号の右下添え字は同じ分岐現象を示す曲線を区別するための番号である.また,Sin, Santi は,それぞれ安定な同相同期解,逆相同期解が存在する領域を示すものである.

図6.3.2において,x軸とI2で囲まれている領域以外で安定な完全同相同期解が広範囲に観測

される.加えて、安定な逆相同期解は、x軸,Pf1,d G2で囲まれる領域に存在しており,これら 安定な同期解が存在する領域部分では,同相同期解と逆相同期解が共存している.gsyn = 0,つ

まり,gap junction 結合でのみ接続される場合は,互いの電位差をなくす働きにより,安定な同

相解が観測され,非常に狭い領域ではあるが,逆相解も安定に存在する.また,ggap = 0,つま り,抑制性シナプスのみで結合される系では,0< gsyn<0.1の領域で,同相解と逆相解が共存し ているが,0.1< gsyn<0.6の領域では,I2により同相解は不安定となり,0.1< gsyn <0.3の領 域では,逆相解のみが安定に存在している.

図6.3.2-Aにおいて,同相同期解,逆相同期解は,幾つかの分岐曲線によって分岐し,その結果,

様々な解が観測される.まず,図6.3.2-Bにおいて,色付けされた領域では,図6.3.3-(1)に示す 完全同相同期解が観測される.図中のライン(a)に沿って,ggapを減少させることにより,この 同相同期解は,I2により2周期解へと変化する(6.3.3-(2)).さらにggapを減少させると,この2 周期解がPf3により不安定となり,新たに2つの2周期解が現れる(6.3.3-(3)).これら2つの解 は,周期倍分岐連鎖により同時にカオスへと進展する(6.3.3-(4)).そして,さらにggapを減少さ せると,突然,これら2つの解が結合した様な1つのカオス解へと変化する(6.3.3-(5)).一方,図 6.3.2-Cにおいて,色付けされた領域に存在する安定な逆相解(6.3.3-(6))は,ライン(b),(c)に示 すようにパラメータgsyn を減少させPf1を越えさせることにより不安定となり,枝分れし発生し た2つの解が安定な状態として観測される(6.3.3-(7)).ただし,ライン(b)に沿ったパラメータ 変化では,Pf1はsubcriticalであり,逆向きに不安定な1周期解が2つ発生している.また,パ ラメータgsynを増加させると,逆相解はG2により消滅する.ライン(c)においては,Pf1により 新たに発生した2つ1周期解は,I1によって各々2周期解(6.3.3-(8))へと変化し,その後,周期 倍分岐連鎖によりカオスへと進展する(6.3.3-(9)).この2つのカオス解は,先程の同相解の時と 同様に1つのカオス解(6.3.3-(10)) へと変化するが,すぐに不安定となり完全同相同期解へと系 の状態が遷移する.次の図6.3.2-Dにみられる分岐曲線も逆相解に関するものであり,ライン(d) にそってパラメータを変化させると,逆相解はPf2により不安定となり,新たに2つの1周期解 が発生する.また,ライン(e)にそってパラメータを変化させると,周期倍分岐連鎖によりカオ ス解へと変化する.分岐図6.3.2-Dにおいて,これら一連の分岐曲線が存在する領域では,x軸と I2に囲まれる領域であり,安定な同相同期解は存在しない.最後に,図6.3.2-Aにおいて,これ らの解以外に片方のニューロンのみが発火している解6.3.3-11)がG4の曲線よりも右側の領域で 存在し,ライン(f)に示すようにパラメータgsynを減少させるとG4により消滅する.

以上の結果から,gap junctionおよび双方向性抑制性シナプスで結合されたモデルにおいて,安 定な同相同期解,逆相解が存在すること,また,これらの解がそれぞれピッチフォーク分岐,周 期倍分岐により,不安定化し,枝分れし新たに発生した2つの周期解がカオス解へと進展するこ

とを明らかにした.この結合モデルは非常に対称性が強いモデルであり,かつ,個々の単体モデ ルはシンプルであるのにもかかわらず様々な同期・非同期現象を示すことを明らかにした.これ まで,モデル解析においてこのような現象は報告されておらず,これらの結果が示す結合モデル の複雑な振舞いは,動作が異なる結合様式によって接続される大規模結合系において,さらなる 時間的・空間的多様性を生み出すことを示唆しているものと考えられる.

6.3. GAP JUNCTIONと抑制性シナプスによって結合されるMFHNモデルと分岐 95

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(1): gsyn= 0.5,ggap= 0.08

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t →

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(2): gsyn= 0.5,ggap= 0.055

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(3)-1: gsyn= 0.5,ggap= 0.047

6.3.3: 6.3.2の各点において観測される時間波形図.

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(3)-2: gsyn= 0.5,ggap= 0.047

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t →

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(4)-1: gsyn= 0.5,ggap= 0.0445

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(4)-2: gsyn= 0.5,ggap= 0.0445

6.3.3: 6.3.2の各点において観測される時間波形図.

6.3. GAP JUNCTIONと抑制性シナプスによって結合されるMFHNモデルと分岐 97

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(5): gsyn= 0.5,ggap= 0.041

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t →

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(6): gsyn= 0.15,ggap= 0.1

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(7)-1: gsyn= 0.13,ggap= 0.1

6.3.3: 6.3.2の各点において観測される時間波形図.

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(7)-2: gsyn= 0.13,ggap= 0.1

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t →

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(8)-1: gsyn= 0.122,ggap= 0.1

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(8)-2: gsyn= 0.122,ggap= 0.1

6.3.3: 6.3.2の各点において観測される時間波形図.

6.3. GAP JUNCTIONと抑制性シナプスによって結合されるMFHNモデルと分岐 99

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(9)-1: gsyn= 0.12,ggap= 0.1

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x2

t →

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(9)-2: gsyn= 0.12,ggap= 0.1

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x1

t

-2 -1 0 1 2

0 200 400 600 800 1000

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(10): gsyn= 0.119,ggap= 0.1

6.3.3: 6.3.2の各点において観測される時間波形図.

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(11)-1: gsyn= 0.3,ggap= 0.1

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x1

t →

-2 -1 0 1 2

0 100 200 300 400 500

x2

t →

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

x2

x1

(11)-2: gsyn= 0.3,ggap= 0.1

6.3.3: 6.3.2の各点において観測される時間波形図.