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5.2 FHN モデルを用いたバースト発振モデルの構築と解析

5.2.4 バースト発振の設計

5.2. FHNモデルを用いたバースト発振モデルの構築と解析 55 ここで,図中のGは接線分岐点,hはHopf分岐点,B0ωB は,それぞれFHNモデルに加 えるバイアス,正弦波の周波数,振幅であり,モデルに加わる総変化量をz=B0+Bsinωtとす る.また,θθ=ωtの関係が成り立ち,t=θ/ωと変形することからθ/ω は,時間の経過量と みなすことができる.まず,正弦波を加えるとバイアスB0は正弦波Bsinωtの作用により増加す る.この増加量が図中の青丸で示す接線分岐点を越えることにより系の状態が発振状態から静止 状態に変化する.このときの時間の経過量をθ1とする.次に,赤丸で示すHopf分岐点まで時間 が経過すると系の状態は静止状態から発振状態に変化する.この接線分岐点からHopf分岐点まで の経過量,すなわち,系の状態が静止状態であるときの時間の量をθ2とする.最後に,Hopf分 岐点から,2π/ω までの経過量をθ3とする.ここで,Hopf分岐点から接線分岐点までの経過量,

すなわち,系の状態が発振状態であるときの時間の量は,θ1+θ3であることが分かる.正弦波の 振幅値B,バイアスB0から接線分岐,Hopf分岐までの距離,(G−B0)(h−B0)は具体的に分 岐図等から求めることができる.逆正弦関数の性質を利用することにより求まる各θを以下の式 に示す.

θ1 = sin1((G−B0)/B)

θ2 =π−sin1((G−B0)/B)sin1((h−B0)/B) θ3 =π+ sin1((h−B0)/B)

(5.2.2)

さらに,t=θ/ω により求まる各時間経過量,t1t2t3 を式(5.2.3) に示す.

t1= sin1((G−B0)/B)/ω

t2= (πsin1((G−B0)/B)sin1((h−B0)/B))/ω t3= (π+ sin1((h−B0)/B))/ω

(5.2.3)

ここで,図5.2.4に示すように静止状態:発振状態 =YXとすると,

t2:t1+t3 =Y :X (5.2.4)

が成り立ち,この式から式(5.2.5)が導出することができる.

sin−1((G−B0)/B) + sin−1((h−B0)/B) =π((X−Y)/(X+Y)) (5.2.5) GhはFHNモデル中のパラメータを決定することで一意に決まり,静止状態と発振状態の比 を決めると,この式からバイアスB0,正弦波の振幅値B を適切に設定することで等式が成り立 つことが分かる.今回は,正弦波の振幅を固定し,等式が成り立つバイアスB0をニュートン法 により導出した.ここで,FHNモデルのパラメータをa= 0.7b= 0.8c= 2.0とし,正弦波 の周波数をω = 0.05,振幅をB= 0.5とした.この結果を図5.2.14に示す.

-2 0 2

100 200 300 400

x

t

1 2

-2 0 2

100 200 300 400

x

t

1 3

(a) : B0 =−0.654 (b) : B0 =−0.754

-2 0 2

100 200 300 400

x

t →

2 3

-2 0 2

100 200 300 400

x

t →

2 1

(c) : B0=0.558 (d) : B0=0.154

5.2.14: バースト発振の例.

図5.2.14–(a)の静止状態と発振状態の割合は1:2とし,(b)(c)(d)は,それぞれ1:32:32:1 としB0を求めた.−xの値が0をこえた時に発火したみなすと,Hopf 分岐が発生してから−x の値が正の値をとるのに時間差が生じていることから厳密に静止状態と発振状態の割合を求めて いるわけではないが各分岐点を通過するタイミング,すなわち系の状態が発振状態から静止状態,

または静止状態から発振状態へと変化する瞬間を各状態の境界線とみているので,その点では設 定した割合をもつバースト発振が求められていることが分かった.