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exGTTM: GTTM の数学的再定義と自動化

第 3 章 計算論的音楽理論の実装に関する 先行研究先行研究

3.1 exGTTM: GTTM の数学的再定義と自動化

第 3 章 計算論的音楽理論の実装に関する

ルについては扱われていない.また,サブ理論間のフィードバックを必要とするPRや各

種TRもexGTTMの対象外である.

表3.1: exGTTMで再定義されたPR サブ理論 再定義されたルール

グルーピング構造解析

GPR1,GPR2a (Proximity: Slur/Rest),

GPR2b (Proximity: Attack-Point),GPR3a (Change: Register),

GPR3b (Change: Dynamics),GPR3c (Change: Articulation),

GPR3d (Change: Length),GPR4 (Intensification),

GPR5 (Symmetry),GPR6 (Parallelism)

拍節構造解析

MPR1 (Parallelism),MPR2 (Strong beat Early),

MPR3 (Event),MPR4 (Stress),MPR5a (Length: Pitch),

MPR5b (Length: Dynamics),MPR5c (Length: Slur),

MPR5d (Length: Articulation),

MPR5e (Length: Pitch in Time-Span Reduction)

タイムスパン簡約

TSRPR1 (Metrical Position),

TSRPR3a (Registral Extremes: Melody),

TSRPR3b (Registral Extremes: Bass),TSRPR4 (Parallelism),

TSRPR8 (Structural Beginning),TSRPR9

3.1.2 自動解析システムと公開データ

Hamanakaらは[9]においてexGTTMを提案するとともに,これを実装した自動解析シス

テムATTA (Automatic Time-span Tree Analyzer)についても述べている.このATTAにおい て,入力は楽譜を扱うフォーマットであるMusicXML[15]形式で与え,解析の結果得られ たグルーピング構造,拍節構造,タイムスパン木をそれぞれGroupingXML,MetricalXML,

Time-spanXMLという独自の形式で出力する.各解析結果は階層構造であるため,XML

形式による表現が非常に適している.ユーザが楽譜を入力し,各PRの優先度を設定する と,それに従った解析結果を得ることができる.

また,Hamanakaらは[10]において,ATTAをさらに改良した対話的な解析システムを 開発した.このソフトウェアはexGTTMのウェブサイト[17]で公開されている.

対話的解析システムの実行画面のスクリーンショットを図3.1に示す.楽曲は楽譜では なく,横軸を時間,縦軸をピッチとする平面上でピッチイベントを直線で表したピアノ ロールと呼ばれる形式で描画されている.このピアノロールはMIDIシーケンサのGUIに 広く用いられる形式である.解析された各構造はこのピアノロールの画面に重ねて表示さ れる.また,各種XMLファイルの入出力機能を備えており,解析済みのGroupingXML

などのデータをインポートすることもできる.さらに,ユーザは優先度を調節するだけで はなく,自動解析の結果を手動で修正することもできる.

図3.1: 対話的ATTAの実行画面

また,[17]ではこのソフトウェアの他にも,クラシック音楽から切り出した300個のフ レーズに対する解析結果が公開されている.これらのデータはGTTMの有識者が作成し た正解データであり,前述した各種XML形式で作成されている.また,ATTAには実装さ れていないものの,プロロンゲーション木を表すProlongationalXMLや和声の情報を表す

HarmonyXMLも設計されており,これらも正解データに含まれている.ただし,この正

解データにおいても伴奏や和声に関係したPRは解析に用いられておらず,モノフォニー を入力とした,旋律のみに依拠した解析結果となっている.特にTime-spanXMLはその設 計上,TSRWFR3で定義されたヘッドの選択方法のうち,TSRWFR3a (Ordinary Reduction) 以外の方法を用いた木構造を表現する能力がない.したがって,和声の情報を解析結果に 含めるには,それを扱うルールの定式化に加えてXML形式の改良も必要となる.

本研究ではexGTTMで実装されていないルールのうち,最も影響力が大きいと考えら れるTSRPR7 (Cadential Retention)の実装を目的とし,その実装システムの実験にあたっ て[17]の公開データを利用する.