第 4 章 孔あき鋼板ジベルの破壊に関する諸検討
4.3 シリーズ II ( 15 体の押抜き試験)
4.3.3 X 線 CT 撮影の結果
4.3.3 X線CT撮影の結果
1) 3次元画像 (y=-4.5~4.5mm) 2) 前面側の断面画像 (y=-4.5mm) 3) 背面側の断面画像 (y=4.5mm)
(a) A-1
試験体1) 3次元画像 (y=-4.5~4.5mm) 2) 前面側の断面画像 (y=-4.5mm) 3) 背面側の断面画像 (y=4.5mm)
(b) A-2
試験体1) 3次元画像 (y=-4.5~4.5mm) 2) 前面側の断面画像 (y=-4.5mm) 3) 背面側の断面画像 (y=4.5mm)
(c) A-3
試験体1) 3次元画像 (y=-4.5~4.5mm) 2) 前面側の断面画像 (y=-4.5mm) 3) 背面側の断面画像 (y=4.5mm)
(d) B-1
試験体1) 3次元画像 (y=-4.5~4.5mm) 2) 前面側の断面画像 (y=-4.5mm) 3) 背面側の断面画像 (y=4.5mm)
(e) B-3
試験体図4.3.7 孔内の粗骨材配置(2次元の断面図はいずれも前面側から観察したもの)
前面側
前面側
前面側
前面側
前面側
(3) 粗骨材の面積率
せん断破壊面を跨る粗骨材面積の影響を評価するため,図4.3.8に示すように粗骨材面積率Rcaを定義する.
まず,ジベル孔断面の画像を二値化処理し,円形換算で直径が
5mm
以上となる粗骨材の面積を計測した.そ して,粗骨材面積の合計をジベル孔の面積で除して粗骨材面積率Rcaを求めた.粗骨材面積率Rcaは,前面側 のせん断破壊面(y=-4.5mm)と背面側(y=4.5mm)で算定した.図4.3.9に最大せん断力Vpsudと粗骨材面積率Rcaの関係を示す.同じような粗骨材面積率を示す試験体であ
っても,最大せん断力が
25%程度異なる場合があり,最大せん断力と粗骨材面積率の間に有意な相関性は確
認できなかった.図4.3.8 粗骨材面積率Rcaの算定方法 図4.3.9 最大せん断力Vpsudと粗骨材面積率Rca
の関係
(4) 粗骨材の最大断面積
次にシリーズ
I
の結果を踏まえ,せん断破壊面を跨る粗骨材のうち,最も断面積の大きいものが最大せん 断力に支配的な影響を与えていると考えた.これを検証するため,図4.3.10に示すように粗骨材の最大面積 を整理した.図4.3.10 (a)は,前面側と背面側毎に最大の粗骨材断面積(Aca1)を算定した結果である.Aca1は最大せん断
力と相関が見られない.そこで図4.3.10 (b)では,前面側や背面側の区別なく,断面積が最大となる
1
つの粗 骨材の断面積(Aca2)に着目して整理した.ここで,粗骨材が孔内を貫通して,前面側と背面側に断面が現れ る場合には,それらの断面積を合計した.サンプル数が少ないため断言はできないが,A-2 は他の試験体に 比べてAca2が大きいという特徴を有している可能性が示された.上術の検討結果を踏まえ,A-2の孔内を詳細に観察した結果を図4.3.11に示す.図4.3.11より,A-2は他 の試験体と比べて大きい粗骨材が
2
つのせん断破壊面を跨っていることが確認された.この影響により,他 の試験体よりも大きい最大せん断力(Vpsud=198.3kN)を示し,ピーク後にせん断力が急激に低下する挙動を
示すのだと考えられる.A-2
に次いで大きい最大せん断力(Vpsud=177.7kN)を示す B-1
は,他よりもAca2が大きいわけではない.こ のことは,B-1のせん断抵抗メカニズムがA-2
とは異なることを意味する.この点は,3Dスキャナの計測結0 50 100 150 200 250
0 10 20 30 40 50 60
最大せん断力, Vpsud( kN )
粗骨材面積率, Rca( % ) 前面側
背面側 平均
(a)
粗骨材の最大断面積Aca1(b)
粗骨材の最大断面積Aca2図4.3.10 粗骨材の最大断面積
図4.3.11 A-2試験体の孔内拡大画像
(5) 粗骨材が最大せん断力時のずれ変位に及ぼす影響
A-1
とB-1
は,最大せん断力時のずれ変位δps0が10mm
を超えている.粗骨材の位置がδps0に影響を与えて いる可能性が考えられたため,ジベル孔の中心を境に上部と下部に分けて粗骨材の面積を算出した.図4.3.12 にその結果を示す.断面積が100mm
2以上の粗骨材に着目し,前面側と背面側の断面積は合計した.中心線 を跨る粗骨材は,断面積を上部と下部に振り分けた.また,下部の合計断面積を上部の合計断面積で除した ものを面積比率と定義した.図4.3.12の結果から,A-1
とB-1
は,他の試験体よりも大きい面積比率を示す ことが分かる.この結果は,孔内上部に比して下部の粗骨材量が多いと,最大せん断力時のずれ変位 δps0が 大きくなる可能性があることを示唆している.この点については,4.3.7
で改めて考察する.図4.3.12 粗骨材の分布 0
50 100 150 200 250
0 50 100 150 200 250 300
最大せん断力, Vpsud( kN )
粗骨材の最大断面積, Aca1( mm2) 前面側
背面側
B-1 A-2
B-3 A-3
A-1
0 50 100 150 200 250
0 100 200 300 400 500
最大せん断力, Vpsud( kN )
粗骨材の最大断面積, Aca2( mm2)
最大 A-2
B-1 B-3
A-1 A-3
・両面の中から最大の断面積を抽出
・ただし,孔内を貫通している粗骨材は,
両側(前面側,背面側)の断面積を合計
0 500 1000 1500
A-3 B-3 A-1 B-1
粗骨材の断面積(mm2)
上部合計 δps0=8.04mm 下部合計
面積比率1.17
δps0=9.02mm 面積比率1.06
δps0=10.09mm 面積比率1.27
δps0=12.32mm 面積比率1.57 面積比率=下部合計面積/上部合計面積
(6) 粗骨材配置がずれ剛性に及ぼす影響
表4.3.6に示したように,X線
CT
撮影を行った5
体のうち,A-3は他よりもずれ剛性が1.74〜2.30
倍大きい.そこで,ずれ剛性と孔内の粗骨材配置の関係を検討した.図4.3.13に
A-3
前面側の粗骨材配置を示す.粗骨材を見やすくするため,3次元画像は
y=0〜-4.5mm
の範囲を描画している.図4.3.13から,A-3の前面 側には,最大径15mm
以上の粗骨材が縦に4
つ並んでいることが分かる.これらの粗骨材が,せん断力に抵 抗することで載荷初期のずれ剛性を高めている可能性が示された.図4.3.13 A-3試験体孔内の粗骨材配置