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第 2 章    合成床版の非線形有限要素解析に関する技術課題の抽出

2.2  合成床版の載荷試験

2.2.3   試験結果および評価

(3)   試験体の切断

載荷試験が終了した後,図2.2.9に示す位置でC-1 およびC-3試験体を切断し,内部のひび割れ状況を観 察した.試験体の切断状況を写真2.2.5に示す.

図2.2.9  試験体の切断位置 

写真2.2.5  試験体の切断状況 

表2.2.11  強度試験結果

養生方法 材齢 圧縮強度 (N/mm2)

静弾性係数 (kN/mm2)

割裂引張強度 (N/mm2)

現場養生

材齢7日 30.4 --- ---

材齢28日 42.4 26.5 2.62

水中養生

材齢7日 31.6 --- ---

材齢28日 45.3 32.1 ---

(2)   静的載荷試験

  荷重−支間中央たわみ関係 a)

C-1,C-2試験体の荷重と支間中央たわみの関係を図2.2.10 (a) に示す.C-1試験体は最大荷重1223.3kN,

C-2試験体は1114.9kNに達した後に破壊に至った.400kNに達した後は,除荷後に変形が残留した.

図2.2.10 (b) および (c) で,荷重−支間中央たわみ関係とベルヌーイ・オイラーの梁理論から求めた理論

値(全断面有効とした場合とコンクリートの引張抵抗を無視した場合の曲げ剛性)を比較する.いずれの試 験体も,約200kNで全断面有効の理論値から,約400kNでコンクリートの引張抵抗を無視した理論値から乖 離することが確認された.試験結果の詳細は,巻末の付録1に示す.

(a) C-1試験体とC-2試験体の比較

(b) 理論値との比較(C-1試験体) (c) 理論値との比較(C-2試験体)

図2.2.10  荷重−支間中央たわみ関係(C-1, C-2 試験体)

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0 10 20 30

( kN )

支間中央たわみ(mm)

C-1 C-2 1223.3 kN (C-1)

1114.9 kN (C-2)

0 100 200 300 400 500 600

0 1 2 3 4 5

( kN )

支間中央たわみ(mm) C-1

理論値(引張抵抗無視)

理論値(全断面有効)

0 100 200 300 400 500 600

0 1 2 3 4 5

( kN )

支間中央たわみ(mm) C-2

理論値(引張抵抗無視)

理論値(全断面有効)

  試験体のひび割れ状況 b)

図2.2.11および図2.2.12に,C-1とC-2試験体のひび割れ状況を示す.代表例として,片側の側面(背面

側)のひび割れ状況を示した.ひび割れ観察結果の詳細は,巻末の付録1 に示す.いずれのケースも,最大

荷重を200kNから400kNに漸増する段階で支間中央付近に曲げひび割れが生じ始め,荷重が増えるにつれて

ひび割れの本数が増加し,また成長していく傾向を示した.これらのことから,図2.2.10 (b)および(c)に示し た荷重−支間中央たわみ関係が曲げ剛性の理論値から乖離する現象は,曲げひび割れの発生が関係している と推察される.破壊に至る直前には,載荷点と支点の間に斜めひび割れ(せん断ひび割れ)の発生が確認さ れた.

図2.2.13には,C-1試験体の切断面のひび割れ状況を示す(切断位置の定義は図2.2.9を参照のこと).切

断面を観察した結果,溝形鋼の頂部同士を結ぶ水平ひび割れが形成され,床版が部分的に二層化していた.

また,底鋼板の剥離が散見された.

(a) 400kN載荷後

(b) 600kN載荷後

(c) 800kN載荷後

(d) 試験終了後

図2.2.11  ひび割れ状況(C-1 試験体背面側) 

(a) 400kN載荷後

(b) 600kN載荷後

(c) 800kN載荷後

(d) 試験終了後

図2.2.12  ひび割れ状況(C-2試験体背面側)

(a) ライン1(ブロック1, 2, 3側)

(b) ライン3

図2.2.13  切断後のひび割れ状況(C-1試験体)

  鉄筋および底鋼板のひずみ c)

荷重と鉄筋ひずみ(Sd0)の関係を図2.2.14に,荷重と底鋼板ひずみ(Sb1)の関係を図2.2.15に示す.

主鉄筋のひずみは,いずれのケースもミルシートの降伏点から求めた降伏ひずみの値には達しなかった(ヤ ング係数を206,000N/mm2として算定).底鋼板のひずみは,C-1試験体が約900kN,C-2試験体が約800kN の荷重に達した時点で,ミルシート上の降伏ひずみに至った.

図2.2.14  荷重−鉄筋ひずみ関係(Sd0) 図2.2.15  荷重−底鋼板ひずみ関係(Sb1)   破壊形態

d)

本試験では,いずれのケースでも主鉄筋は降伏せず(図2.2.14),底鋼板は800kNから900kNの範囲で降 伏に至る結果を示した(図2.2.15).また,破壊に至る直前に,図2.2.11および図2.2.12示す斜めひび割れ が発生して耐力を失った.よって,C-1およびC-2試験体は,せん断破壊(斜め引張破壊)を呈したと判断 される.

  荷重−相対ずれ変位関係 e)

図 2.2.16 には,試験体の端部で計測した荷重と相対ずれ変位(底鋼板とコンクリート間)の関係を示す.

載荷初期はずれが見られないが,C-1 試験体では約590kN,C-2 試験体では約470kN で相対ずれ変位が生じ 始めた.その最大値は約0.7mmであった.

図2.2.16  荷重−相対ずれ変位関係(C-1, C-2試験体)

  断面のひずみ分布 f)

C-1,C-2試験体の高さ方向のひずみ分布を図2.2.17および図2.2.18に示す.支間中央から175mm位置に おけるコンクリート表面のひずみは,Sc0とSc1のひずみ計測値から直線補間で求めた.C-1試験体は,断面 の位置によらず400kNから鋼とコンクリートの一体性が失われて平面保持の仮定が成立しなくなり,補剛材

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

-2000 -1000 0

Load( kN )

Strain (μ) C-1 mean(Sd0) C-2 mean(Sd0) ミルシート上の 降伏ひずみ

1898μ (E=206000N/mm2)

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

0 1000 2000 3000 4000 5000

Load( kN )

Strain (μ) C-1(Sb1) C-2(Sb1)

ミルシート上の 降伏ひずみ

1330μ (E=206000N/mm2)

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

-0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

( kN )

相対ずれ変位(mm)

C-1 (Rs平均) C-2 (Rs平均)

を平鋼としたC-2試験体は,C-1試験体よりも小さい300kNから一体性が失われることが分かった.

(a) 支間中央 (b) 支間中央から175mm

(c) 支間中央から525mm (d) 支間中央から875mm 図2.2.17  断面のひずみ分布(C-1試験体)

(a) 支間中央 (b) 支間中央から175mm 0

50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

底鋼板下面か距離 ( mm )

ひずみ(μ) C-1

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc0 Sd0 Sfu0

Sc4

Sb0 0

50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

底鋼板下面か距離 ( mm )

ひずみ(μ) C-1

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc1 Sd1 Sfu1

Sc5 Sb1

0 50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

底鋼板下面か距離 ( mm )

ひずみ(μ) C-1

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc2 Sd2 Sfu2

Sc6

Sb2 0

50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

底鋼板下面か距離 ( mm )

ひずみ(μ) C-1

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc3 Sd3 Sfu3

Sc7

Sb3

0 50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

底鋼板下面か距離 ( mm )

ひずみ(μ) C-2

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc1 Sd1 Sfu1

Sc5

Sb1 0

50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

底鋼板下面か距離 ( mm )

ひずみ(μ) C-2

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc1 Sd1 Sfu1

Sc5

Sb1

0 50 100 150 200 250 300

底鋼板下面か距離 ( mm )

C-2

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc2 Sd2 Sfu2

Sc6

Sb2 0

50 100 150 200 250 300

底鋼板下面か距離 ( mm )

C-2

200kN 300kN 400kN 500kN

Sc3 Sd3

Sfu3

Sc7

Sb3

(3)   疲労載荷試験

  荷重−支間中央たわみ関係 a)

C-3試験体の荷重と支間中央たわみの関係を図2.2.19に示す.規定回数で繰返し載荷を中断し,静的載荷 試験を行うことでデータを取得した.N=1の荷重−支間中央たわみ関係は,剛性の変化も含めてC-1試験体 の包絡線と一致した.N=1,000 以降は,剛性の変化が見られず,繰返し数の増加に伴って残留たわみが累積 する傾向を示した.

  たわみ−繰返し数関係 b)

図2.2.20にC-3試験体の支間中央たわみと繰返し数の関係を示す.図中には,最大荷重時のたわみと除荷

後の残留たわみを示した.N=1における最大荷重時のたわみは3.55mmであり,試験終了時のN=2,000,000

には5.47mmに達した.たわみの急増は確認されなかったため,疲労破壊に至らなかったと判断した.

図2.2.19  荷重−支間中央たわみ関係 図2.2.20  支間中央たわみ−繰返し数関係

0 100 200 300 400 500

0 1 2 3 4 5 6

( kN )

支間中央たわみ(mm) C-1

C-3

N= 1

N= 1,000 N= 10,000

N= 1,000,000 N= 2,000,000

N= 100,000

3.55 4.02 4.12 4.19 4.82

5.47

0.52 0.42 0.46 0.52 0.92 1.43 0

2 4 6 8

1.E+00 1.E+02 1.E+04 1.E+06 1.E+08

間中央た(mm)

繰返し数 最大荷重時のたわみ 残留たわみ

  試験体のひび割れ状況 c)

図2.2.21に,C-3試験体(背面側)のひび割れ状況を示す.N=1の段階で支間中央付近に曲げひび割れが

生じ始め,繰返し数が増えるにつれてひび割れが徐々に進展していく傾向を示した.斜めひび割れ(せん断 ひび割れ)の発生は確認されなかった.図2.2.22に,切断面のひび割れ状況を示す.切断面に水平ひび割れ は形成されておらず,部分的な底鋼板の剥離のみが確認された.

(a) N=1

(b) N=1,000

(c) N=10,000

(d) N=100,000

(e) N=1,000,000

(f) N=2,000,000

(a) ライン1(ブロック4, 5, 6側)

(b) ライン3

図2.2.22  切断後のひび割れ状況(C-3試験体)

  鉄筋および底鋼板のひずみ d)

図2.2.23にC-3試験体の荷重−鉄筋ひずみ関係を図2.2.24に荷重−底鋼板ひずみ関係を示す.繰返し数の

増加に伴ってひずみ量が上昇するが,ミルシートから求めた降伏ひずみには達しないことが確認された.

図2.2.23  荷重−鉄筋ひずみ関係(Sd0) 図2.2.24  荷重−底鋼板ひずみ関係(Sb1)   相対ずれ変位−繰返し数関係

e)

C-3試験体の相対ずれ変位−繰返し数関係を図2.2.25に示す.図2.2.20と同様に,最大荷重時の相対ずれ 変位と残留ずれ変位の両方を示した.最大荷重時の相対ずれ変位と残留ずれ変位には差が見られず,除荷後 の相対ずれ変位の減少が限定的であることが示唆された.繰返し数が少ないうちは微小な相対ずれ変位しか 確認されないが,N=100,000から相対ずれ変位が増加し,N=2,000,000では相対ずれ変位が0.48mmに達する ことが確認された.

図2.2.25  相対ずれ変位−繰返し数関係 0

100 200 300 400 500

-2000 -1000 0

( kN )

ひずみ(μ) C-3 (Sd0平均)

ミルシート上の降伏ひずみ 1898μ (E=206000N/mm2)

0 100 200 300 400 500

0 1000 2000 3000 4000 5000

( kN )

ひずみ(μ)

C-3(Sb1)

ミルシート上の降伏ひずみ 1330μ (E=206000N/mm2)

0.0 0.2 0.4 0.6

1.E+00 1.E+02 1.E+04 1.E+06 1.E+08

(mm)

繰返し数 最大荷重時のずれ変位 残留ずれ変位

  断面のひずみ分布 f)

C-3 試験体の断面における高さ方向のひずみ分布を図 2.2.26 に示す.Sc0 は N=2,000,000 から,Sc1 は N=1,000,000から計測不良となったため,以降の計測値は図 2.2.26から除外している.N=1の段階からひず み分布の線形性が保たれておらず,鋼とコンクリートの一体性が失われていることが分かる.支間中央や支 間中央から175mmの位置では,特に溝形鋼上フランジのひずみ量の増加が顕著である.

(a) 支間中央 (b) 支間中央から175mm

(c) 支間中央から525mm (d) 支間中央から875mm 図2.2.26  断面のひずみ分布(C-3 試験体)

(4)   ずれ止め(孔あき鋼板ジベル,頭付きスタッド)

  孔あき鋼板ジベル a)

C-1からC-3試験体における孔あき鋼板のひずみ計測結果を図2.2.27から図2.2.29に示す.図中の(a)およ び(b)には,ひずみの計測位置とSp2における角度の定義を示した.C-1試験体のSp2-1では,荷重が1000kN に達した時点でひずみが計測できなくなった.図中の(g)に示した最大主応力の角度は,除荷直前の荷重およ び最大荷重のみをプロットしている.

孔あき鋼板のひずみ量は,載荷点から離れるほど大きくなる傾向を示す.図2.2.26に示したひずみ分布で は,載荷点に近いほど溝形鋼のひずみ量が大きかったため,一見矛盾するように思える.荷重増加に伴って 支間中央付近に曲げひび割れが生じ始め,これに伴って支間中央付近で溝形鋼の負担は増すが,孔あき鋼板 に生じるひずみは曲げひび割れの開口によって緩和されている可能性が考えられる.

0 50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

( mm )

ひずみ(μ)

C-3 N=1

N=1,000 N=10,000 N=100,000 N=1,000,000 N=2,000,000 Sc0

Sd0 Sfu0

Sc4

Sb0 0

50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

( mm )

ひずみ(μ)

C-3 N=1

N=1,000 N=10,000 N=100,000 N=1,000,000 N=2,000,000 Sc1

Sd1 Sfu1

Sc5 Sb1

0 50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

( mm )

ひずみ(μ)

C-3 N=1

N=1,000 N=10,000 N=100,000 N=1,000,000 N=2,000,000 Sc2

Sd2 Sfu2

Sc6

Sb2 0

50 100 150 200 250 300

-1000 -600 -200 200 600 1000

( mm )

ひずみ(μ)

C-3 N=1

N=1,000 N=10,000 N=100,000 N=1,000,000 N=2,000,000 Sc3

Sd3 Sfu3

Sc7 Sb3