第 3 章 拘束状態および載荷方法が孔あき鋼板ジベルのせん断ずれ挙動に与える影響
3.5 ジベル孔のせん断破壊面の観察
3.5 ジベル孔のせん断破壊面の観察
表3.5.1 せん断破壊面の形状(C-ST-PUS-1〜3)
3.5.3 孔あき鋼板側の破壊状況(静的載荷)
C-ST-PUS-1
の孔あき鋼板側のせん断破壊面を写真3.5.2に示す.C-ST-PUS-1
の孔内には,粗骨材を含むコ ンクリートが残留しており,二面せん断破壊に近い損傷形態であることが確認された.孔あき鋼板に変状は 見られなかった.しかし,孔内コンクリートの下側は,手で触れたり,振動を与えたりすると容易に崩れ落 ちてしまう状態であった.また,湿式のコンクリートカッターで試験体を切断した際の水が浸み込んでいた.このことから,孔内コンクリートの下部に無数のマイクロクラックが進展したと予想された.本研究では,
この孔内コンクリートが容易に崩れてしまう状態に至ることを脆弱化と呼ぶ.一方,ジベル孔中心から上の コンクリートは,マイクロクラックが進展した形跡が見られなかった.
これまで,孔あき鋼板の板厚が
8mm
以下の場合は,一面せん断破壊が生じて孔内コンクリートが粉化する と考えられていた[21]
.しかし,本研究の結果から,孔あき鋼板の板厚が6.5mm
と薄い場合であっても,二 面せん断破壊となる可能性があることが確認された.このことから,板厚だけではなく,試験体の拘束状態 が破壊形態に影響を及ぼす可能性も考えられる.また,孔下部のコンクリートが脆弱化していたため,實田ら
[22]
の実験のように,孔上部が二面せん断破壊で下部が一面せん断破壊であったことも考えられる.写真3.5.2 孔内に残留したコンクリート(C-ST-PUS-1)
3.5.4 脆弱化する領域
孔内コンクリートが脆弱化する領域は,載荷方向と関係性が見られた.採取した孔内コンクリート
(C-ST-PUS-1〜3および
C-ST-REV)の写真を写真
3.5.3に示す.押抜き載荷したC-ST-PUS-1〜3
は,共通し て孔内コンクリートの下側が脆弱化していた.正負交番載荷したC-ST-REV
は,2
つのジベル孔とも上側が脆 弱化していた.ここまでの結果から判断すると,本研究のPBL
では,1)
二面破壊を呈した後に何らかの理由 で孔内コンクリートの下側が脆弱化した,2) 孔上部が二面せん断破壊で下部が一面せん断破壊であった,3)No. C-ST-PUS-1 C-ST-PUS-2 C-ST-PUS-3
1 凸形状 凹形状 凹形状
2 凹形状 凹形状 凹形状
3 凹形状 凹形状 凹形状
4 凹形状 凹形状 凹形状
と仮定している.側面拘束の影響や鉄筋によって,孔内コンクリートに生じたひび割れの開口が抑制される 場合,除荷・再載荷の荷重履歴を受けると,孔内コンクリートの下部が繰返しコンクリートブロックに接触 する.この繰返しによって,孔内コンクリートの下部にマイクロクラックが進展した結果,脆弱化に至ると 推測される.この脆弱化に至るメカニズムは,次章の
4.3.7
でさらに考察する.写真3.5.3 採取した孔内コンクリート
(C-ST-PUS-1〜3, C-ST-REV)
図3.5.2 押抜き載荷時のジベル孔の模式図
3.5.5 疲労載荷試験における破壊状況
C-FA-PUS-1
およびC-FA-PUS-2
のコンクリートブロック側のせん断破壊面を写真3.5.4に示す.N=467で 疲労破壊に至ったC-FA-PUS-1
は,ジベル孔の大部分が鏡面化しており,せん断破壊面の噛み合わせがほと んど失われていることが確認された.また,破壊された骨材が粉化し,それがせん断破壊面に圧着した痕跡 が認められた.2,000,000
回載荷しても疲労破壊に至らなかったC-FA-PUS-2
は,せん断破壊面の鏡面化が限 られた領域に留まっていた.また,せん断破壊面は凸形状であり,大きな凹凸が残存していた.これらのこ とから,こうした凹凸が完全に破壊されて,噛み合わせによるせん断抵抗が失われることにより,相対ずれ 変位が急増してPBL
が疲労破壊に至るのだと考えられる.写真3.5.4 せん断破壊面の観察結果(C-FA-PUS-1〜2)
繰返し接触を受ける領域 孔あき鋼板
孔内コンクリート マイクロクラックの進展 除荷・再載荷
繰返し