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UNHCR の NGO への資金供与スキーム

ドキュメント内 平成18年度 外務省委嘱 (ページ 83-87)

2.7 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

2.7.4 UNHCR の NGO への資金供与スキーム

類のみである。現地UNHCRはNGOや政府機関等から提出されたサブ・プロジェクト計画 に基づき、IPとなるパートナーを選択する。しかし実際にはUNHCR側からNGOに対して 働きかけることも多く、UNHCRの内部報告においては費用対効果を高めるために積極的に そうした働きかけを行い、潜在的なIPを見つけることに努めるべきであるとしている157

① 対象となるNGO

国際NGOと現地NGOどちらであってもIPになることができる。またIPとなるには、必ず しもNGOである必要はなく、政府機関、学術・研究機関などもIPになることが出来る。実 際1995年にはIPへの支出の内40%が国際NGOに、28%が現地NGOへ、26%が政府機関に、

3%が国連機関へ、3%が国際移住機関(Internatinal Organization for Migration: IOM)に支 出された159

② 支払われる資金

支払われる資金はNGOの形態によって異なる。資金はオペレーショナル・コストとサポ ート・コストに分けられていて、どのNGOであってもオペレーショナル・コストは支払わ れる160が、サポート・コストは国際NGOにのみ支払われる。

・ オペレーショナル・コスト:現地における全ての費用

・ サポート・コスト:国際NGOの本部における、現地事務所を維持するための費用

オペレーショナル・コストは全額支払の対象となるが、サポート・コストはオペレーショ ナル・コストの 5%を上限として支払われる。これらは概算払いで支払われることが多く、

実費が概算払いよりも高い場合には、差額はIPによる事業への貢献とみなされる。ただし 逆に実費よりも概算払いの額が高くなってはならない。

サブ・プロジェクト契約締結時に第一回目の支払いがあり、残りは SPMR(Sub-Project Monitoring Report)-Part1(後述)が提出された際の年4回支払われる。ただしその前に支 払われた金額の残高が30%以下になっていない場合には新たな支払いは行われない。

③ 申請のための手続き

IPは現地UNHCRに以下の情報を盛り込んだサブ・プロジェクト計画を指定されたフォー

マット161によって提出する。

国家の行動計画への影響、期待される成果といったサブ・プロジェクトの位置付け、少な

159 UNHCR(1997)

160 どちらも計上不可能と明記されているコストは存在しない。しかし、「あくまでも常識 の範囲」内であること。

161 UNHCR(2003): AppendixB

くとも年代および性別によって区分された予測される受益、プロジェクトに関わるものの 責任、スケジュールなど実行者の関係、プロテクション・イシュー、優先政策事項への影 響、NGOの独自支出額や、同様の効果を持つ計画など関連する投入および計画、目的と算 出、予算、行動計画など。

ただし状況が変化した場合には追加契約(Supplementary Agreements)を用いて事業計 画を変更する。

④ 選定基準

IPとなるためには以下の要件が必須となる

・ 本部が所在する地域において、もしくは活動する地域において登記されていること。

・ 活動地域において銀行口座を持ち、独立した銀行口座と、できれば UNHCR の事業の ために用いるあらゆる支出の記録を維持できること。

・ 監査済みの財務諸表によって財政的自立を証明できること。

・ UNHCRの政策・規則・手続き、および活動国の法律を遵守すること。

一応のガイドラインは存在するが、上記の基準を満たしているならば、IPとなるNGOの 選定は現地事務所に一任されている。またそのガイドラインが適用される場合は決して多 いとはいえず、明確で拘束力のある選定基準を設けるべきであると指摘する内部報告もあ る162

現地事務所は活動内容・実績等の情報、現地事務所が管轄する地域における活動実績がな い場合は他地域での情報を参考にIPとなるNGOを選定する163

⑤ NGOによる義務

IPはSPMR-Part1とSPMR-Part2の2種類のレポートを提出する必要がある。

・ SPMR-Part1:財政モニタリングレポート

四半期に一度と最終精算2週間後に提出する。またUNHCRが求めた場合及びUNHCR からの資金が手元に30%以下になった場合には、期日ではなくても提出の必要が生じる。

・ SPMR-Part2:成果モニタリングレポート

半年に一度及びサブ・プロジェクト終了後に提出する。このレポートはSPMR-Part1に おいて提出された財政情報の意味を説明するものである。

表 2.7-1:UNHCRと実施契約を締結するパートナー(IP)の提出すべきレポートの種類と時期

162 UNHCR(1997):p.2

163 2007年2月に行われたUNHCRへの聞き取り調査による。なおIP契約を結んだNGO

の情報は本部のデータベースに集約され、他地域及び将来の活動の参考にすることが可能 だという。

レポートの種類 レポートの対象期間 締め切り

SPMR Part 1 3月31日 4月10日

SPMR Parts 1 and 2 6月30日 7月15日

SPMR Part 1 9月30日 7月15日

SPMR Parts 1 and 2 12月31日 2月15日

Final SPMR Parts 1 and 2 プロジェクトの最初から最 後まで

最終清算の2週間後

出所)UNHCR(1998)Strategy FOR ENHANCING NATIONAL NGO PARTNER EFFECTIVENESS(http://www.unhcr.org/partners/PARTNERS/3be16bb64.pdf)

SPMR-Part1 において委託された内容と支出に関して記されていなければならず、その

データを要約し、証明しなければならない。

その他IPは以下をに示す書類の保管が義務付けられる 164。ただしその提出は義務付けら れていない165

・ 契約とそれに付随した修正事項。

・ LOIに記載されているのと同様のサブ・プロジェクトのシンボル(認証番号)、支払い 相手、額、日付、目的が明確な支払い証明及び、その証拠となるあらゆる書類。

・ サブ・プロジェクトに関わる現金その他あらゆる信用形態によってなされた送金の証 拠書類。

・ サブ・プロジェクト予算に対する実際の支払いに関する定期的な検討。

・ サブ・プロジェクト実現のためになされた全ての財政的貢献の記録。

・ サブ・プロジェクトの会計と活動に関する会計監査官による記録。

可能であれば以下の記録も含むこと

・ 総勘定元帳会計システム。

・ 預金収支報告書及び調整表。

・ 金銭出納帳。

・ 現地購入によって生じた税と売上の個別会計。

・ 実際のスタッフを示した計画段階でのスタッフ表。

・ 完全な購入注文表。

・ 資産、在庫(食糧、非食糧含む)目録。

164 IP調達行動規約(FINANCIAL AND PROGRAMME ARRANGEMENTS Appendix to Sub-project Agreement)

165 ただし予算が10万米国ドルを超える場合には、サブ・プロジェクト契約締結以前にそ の調達行動がUNHCRのCommittee of Contractに承認され、調達のための事前許可を得 る必要がある。

・ 雇用契約。

・ 工事契約と下請け契約。

⑥ NGOのモニタリングと罰則

財政面に関しては、10 万米国ドル以上の事業の場合に外部監査が義務付けられており、

事業面に関しては、現地UNHCR職員の視察により行われる。その他UNHCRのモニタリ ングは財政・会計的な適切性を測る監査、現地UNHCRの運営と役割に関する弁務官によ

る査察、UNHCRの計画、実行、手続きについての外部団体などによる評価とが存在する。

こうしたモニタリングの結果が好ましくない場合、その発覚が事業の途中であれば「軌道 修正を支援するなど対策を講じるが、最悪の場合契約解消もありえる。また、不正を起こ したNGOが再雇用されることがないよう、その記録は蓄積される」166。しかしそうした罰 則は明文化されていない。

ドキュメント内 平成18年度 外務省委嘱 (ページ 83-87)