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CIDA の NGO への資金供与スキーム

ドキュメント内 平成18年度 外務省委嘱 (ページ 35-40)

2.2 カナダ国際開発庁(CIDA)

2.2.4 CIDA の NGO への資金供与スキーム

CIDAがボランタリー組織 64を支援する理由として挙げられる重要な点は、CIDAがなぜ 途上国を援助するかの説明責任である。ボランタリー組織を開発援助のパートナーとして 取り入れる理由として65、①途上国NGOのキャパシティビルディング、②カナダNGOの政 策的な影響を途上国NGOに与えること、③カナダ国民の開発教育の3点が挙げられている。

途上国のニーズに対するアクセス等のNGO自身の資源や専門性を重視するとともに、ボラ ンタリー組織は地域社会の支援を得ていることから、ボランタリー組織への資金供与はカ ナダ国民に税金を途上国援助に投じることを理解してもらうためのツールのひとつとなっ ている 66。ボランティアを行う団体への支援はカナダ国民に浸透しており、カナダ国民の 多くは抵抗なくチャリティに参加している67

CPBの下で実施されているボランタリー組織に対する資金供与プログラムは、ボランタ リー・セクタープログラム(Voluntary Sector Program:VSP)、ボランタリー・セクター基 金(Voluntary Sector Fund :VSF)、大学・短大プログラム、イノベーション基金、スタン ド・アローン・パブリック・エンゲージメント基金、ボランティア協力プログラム、ユー スプログラムの7つがある。それぞれの資金供与スキームには、組織、プロポーザル評価、

財政の 3 点において、細かい基準が設けられている。中でも、大規模ボランタリー組織に 資金供与を行うスキームであるVSP、中小規模のボランタリー組織に対して資金供与を行 うスキームであるVSFが、使途を限定しない援助供与スキームになっており68、VSPとVSF は同時に申請できない。

その他に、CPB以外にCIDA Bilateral Programmeから資金供与を受ける場合もあり、

その場合は、民間企業との競合であったり、民間企業との連携による申請となる。

以下では、VSP、VSFの2つについて検討する。

64 カナダでは途上国で国際協力を行っている団体のことをボランタリーセクター (Voluntary Sector)と呼んでいる。

65 CIDAでは、NGOに資金供与を行う部署は、Canadian Partnership Branchの中に属 し、その中で、営利セクターとボランタリーセクターに部署が分かれている。

http://www.acdi-cida.gc.ca/CIDAWEB/acdicida.nsf/En/NIC-54115825-LR9

66 2007年2月に行われたCIDA(Voluntary Sector Programs Directorate)への聞き取り調 査による。

67 アイ・シー・ネット(2004)より。

68 2004年にプロジェクト・ベースであった、NGO Project Facility(NFP)、The Environment and Sustainable Development Program(ESPD)、Innovative Fundを Voluntary Sector Fund(VSF)として一つの窓口にした。

(1) ボランタリー・セクタープログラム(VSP)

VSP は、途上国のパートナーと連携しているカナダのボランタリー組織による持続可能 な海外開発プログラムの支援や、カナダの国際開発の担い手を支援することを目的とした スキームである。

① 対象となるNGO

カナダに拠点を持ち、カナダの法律あるいは州法によって、非営利団体として法人化され ている団体。

② 対象となる活動69

以下の点を満たす活動が対象となる。

・ プログラムが MDGs への関与、重点地域、ジェンダー、環境への配慮といった CIDA の指令の一つ以上に焦点を当てていること。

・ プログラムが、少なくとも一つ以上のVSPの目標を対象としていること。

・ 貧困層と社会的弱者への政策的影響を強めること。

・ 少なくとも一つの途上国のNGOと提携して行われること。

③ 支払われる資金

VSPによる財政支援プログラムは継続期間が通常最短3年で、予算も最低50万カナダド ルの供与をCIDAから受けるものでなければならない。

CIDAから当該組織への資金供与の割合は、CIDA:組織でみると、最大で3:1であり、

プロジェクトにかかる予算の4分の1は当該組織が拠出しなければならない。また直接費

の12%が間接費として認められる。資金の支払い方法に関しては、契約の際にCIDAとの

間で取り決められる(後述 ⑥参照)。

④ 申請のための手続き

申請は常時可能で、特に締め切りは設けられていない。CIDAにコンタクトを取り、当該組 織と可能であればプロジェクトの説明をCIDAに行った後で、指定されたフォーマット70に よってプロポーザルを電子ファイルかファックスでCIDAに送付する。

⑤ 選定基準

資金供与を受けるためにボランタリー組織は以下の要件を満たさなければならない。

69 詳しい地域や国は以下を参照のこと。

http://www.acdi-cida.gc.ca/index-e.htm

70 フォーマットでは、予算や提携する途上国のNGOの情報など、特に②や⑤に関わる情 報の記述が求められている。

・ 途上国パートナーと3年以上の協力関係を持ち、一カ国以上で広く国際開発を行い、指 導力有していること。

・ 明確な内部管理体制を有すること。

・ 2年以内に監査済みの財務諸表があり、最新のものが18ヶ月以内に完成していること。

上記を満たしたボランタリー組織に関して、CIDAは以下の観点から提出されたプロポー ザルを評価する。

・ 明確かつ現地に則した開発ニーズを特定し、そのニーズに対するアプローチおよび結果

71が明確かつ論理的に結びついているか。

・ 予想される資源の投入と効果の関係が妥当であり、かつカナダが新たに現地の効用を高 められると明確に予測されるか。

また、CIDAは予想される成果を当該組織が実現できるかどうかは、以下の観点から判断 する。

・ 現地において十分なオーナーシップ、パートナーシップ、結果に対するアカウンタビリ ティーを有しているか。

・ 対象となる部門、地理および運営に関する経験を十分に有しているか。

・ プロジェクト実行のための方法論における技術を十分に有しているか。

・ 前提条件およびリスクを把握していて、それらを提示しているか、またそうしたリスク の緩和戦略を有しているか。

・ その提案が組織の戦略計画に組み込まれていて、理事会から支持されているか72

上述の選定基準を満たし、現在進行中のVSPおよびVSFが1年以内に終了する場合は、

新規のVSPを申請することができる。

⑥ NGOによる義務

プロジェクトの実施に先立って、ボランタリー組織とCIDAはコントリビューション契約 を締結する。コントリビューション契約はおおまかに定まった形式があり、契約締結に際 して望ましい報告・モニタリングの方法およびスケジュールを両者の協議の上決定する。

ただし最低 1 回の会計および成果を明確にした中間報告と、最終報告の提出がボランタリ ー組織に義務付けられる73

71ただし結果は明確かつ現実的で、測定可能でなければならず、CIDAの関与が終了しても、

結果(効果)が持続する確証がなければならない。

72ただしもし当該団体がすでにVSPもしくはVSFから支援を受けている場合は、VSPか らの財政支援を受けられないが、Conference Secretariatや国際ユースインターンシッププ ロジェクトには例外規定が設けられていて、VSPを同時に受けることも可能である。

73 Treasury Board of Canada Secretariat(2000): p.16

コントリビューション契約では、成果をもとにして資金が支払われることになっている74 ため、ボランタリー組織は支払いの請求を行う際に会計状況と、企画書で計画された成果 に対して実際の成果を報告しなければならない。ただし、支払いの際に毎回報告を要求す ることが現実的でも、費用に対して効果的でもなく、かつ適切な目的に使われているとい う確証がある場合には、報告の頻度はより少なくてもよい。

⑦ NGOのモニタリングと罰則

CIDA はボランタリー組織が予め決められた条件に従っているかを監視する義務を有し、

ボランタリー組織から提出された報告および会計と評価の結果を精査し、必要な場合には 監査と助言、指導を行う。コントリビューション契約には、CIDAの監査権限が明記される。

また、必要な場合には第三者機関によるボランタリー組織の評価が行われる場合もある。

(2) ボランタリー・セクター基金(VSF)75

VSF は、カナダのボランタリー組織が途上国のパートナーと提携して行う持続可能な国 際開発プロジェクトを支援することを目的としている。

① 対象となるNGO(組織としての適正)

定期的に選出される理事会を持ち、カナダの法律もしくは州法で非営利団体として法人化 されている、カナダに拠点がある団体。

② 対象となる活動

途上国のパートナーと連携しているカナダのボランタリー組織によって提案された国際 開発プロジェクトであること。ただし、5つの優先分野(ジェンダーの視点を横断的なテー マとして、ガバナンス、保健、基礎教育、民間セクター開発、環境)のうち少なくとも一 つの分野に関する3年以内のプロジェクトでなければならない。

③ 支払われる資金

VSFは、(現地組織提供分ではなく)カナダ側が提供する資金全体の最大75%まで供与し

(つまりカナダのボランタリー組織は最低VSFの4分の1の資金を提供する)、CIDAは一 つのプロジェクトに対して最大50万カナダドル(最大3年間)を供与する。ただし一期に 供与を受けられる案件は最大3件である。

④ 申請のための手続き

申請時期に関して特段の取り決めはなく、事前にCIDAにコンタクトを取り、可能であれ

74 Treasury Board of Canada Secretariat(2000): p.12

75 年間2,000万カナダドルの予算が配分されている。

ドキュメント内 平成18年度 外務省委嘱 (ページ 35-40)