2.6 国連世界食糧計画(WFP)
2.6.6 NGO への資金供与事例 -WFP とワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)
の支払いに留められる。この点は罰則と考えることが出来るが、それ以外の罰則に関して は明示されていない。
その他、現地WFP、外部の有識者、実際に活動にあたったNGO、第三者のNGO、WFP 本部などによって事業の評価が行われる。ただし、そうした評価の扱いは明示されていな い。
(2) 南部スーダンにおけるプロジェクト概要
① 活動内容
WVJはジャパン・プラットフォーム(JPF)から資金供与を受けて2006年8月より南部 スーダンのアッパーナイル州において活動を行っており、1)7つの村において10個の浄 水装置の設置、2)3校の小学校、クリニックに5基のトイレ設置、3)水管理委員会の設 置、4)衛生教育を行った。また、コミュニティー参加を促進し、オーナーシップを育て るという観点から、事業対象となる村から労働力の提供を受け、その対価としてWFPの食 糧を提供する(フード・フォー・ワーク)という形で支援を行っている151。
② 活動開始と契約
WVJは他のWVの支援国事務所と協働して、WFPの「EMOP152」フェーズⅠから、CP
(Cooperating Partner)として、もっとも一般的な形態であるフィールド・レベル契約153
(Field Level Agreement: FLA)を結び、食糧を貯蔵、移送、分配している。WVは、被災 国に現地組織(今回の場合はWV Southern Sudan: WVSS)を設け、WVJ、WVアメリカ
(WVUS)、WVオーストラリアなどが共同でプロジェクトを運営するというユニークな形 態をとっており、事務所の運営費などを分担することで経費削減、事業の効率化を図って いる。プロポーザルはWVSSとWFPの現地事務所との協働で草稿し、レビューの段階でWV 各参加事務所がターゲットの変更など技術的なサポートを行い、最終的なプロポーザルを 作成する。WFPとの連携にはNGO側の貢献が必要となるが、WVの経験から最低でも
EMOP予算の10%(今回の場合、約200万ドル)の持ち出しがないと、EMOPの実施は困
難であるため、WV各参加事務所が自己資金から拠出し、1つのプロジェクトを実施してい る。アッパーナイル州の事業については、WVJの駐在スタッフがWFPの現地事務所にて、
JPFからの資金による事業との連携の可能性について協議した結果、WVは既にEMOPを実
施していたため、当該プロジェクトにEMOPで供与された食糧の一部を用いることで合意 した154。
151 同上
152 Emergency Operations (EMOP):WFPの支援カテゴリーの1つで、自然あるいは人的 災害に対する緊急支援。その他、「Relief and Rehabilitation」、「Development Projects」、
「Special Operations」がある。WFPのホームページより
(http://www.wfp.org/operations/introduction/index.asp?section=5&sub_section=1)
153 契約に伴うNGOの義務の詳細については2章を参照のこと。会計報告に関しては、現 場レベルでWFPに領収書等を提出する必要はないが、WFP(内外含む)による監査が求 められた際には速やかに関係書類を提出する必要があるため、領収書等は5年間保存する ことが求められている(2007年3月に行われたWVJへの聞き取り調査による)。
154 2007年3月に行われたWVJへの聞き取り調査による。
③ パートナー機関との関係構築
WVでは、3つのレベルにおいてパートナー機関との関係構築を重視している。第1に、
アドボカシー活動による政府との対話を通じた「ドナーレベル」での関係構築である。米 国はWFPのトップドナー155という背景もあり、WVUSは米国政府と政策的な対話を行って、
米国政府からWFPへの拠出に関しても間接的な影響力を持っている。第2に、「現地レベル」
での関係構築である。WVは 2006 年度WFPとUSAIDの食糧援助スキームにおいて、合計 62万3,000トン(約3億1,700万ドル分)の食糧を35カ国で配給しており、現地WFPと の関係を構築し連携しながら大規模な援助を行うキャパシティーがあるという証明となっ ている。また、食糧の「損失率」が0.5%の高水準であるとWFPから評価されたことからも 示されるように、WVとしてもハンドリングの技術向上の努力を行ってきた。第 3に、「本 部レベル」での関係構築に関しては、WV内部に食糧支援関係を調整するフード・リソース・
マネージメント・グループ(Food Resource Management Group)を設け、各国で起こった問 題と解決策を総括的に検討し、WFPローマ本部との間で情報と意見の交換を行っている。
このような3つのレベルにおける関係の強化を通して、互いの信用を確立し、よりよい連 携が可能となるよう配慮している156。
155 2004年において、アメリカ合衆国は10億ドルを超える資金をWFPに拠出しており、
全ドナーの中でもっとも大きな額を拠出している。
http://www.wfp.org/aboutwfp/funding/governments.asp?section=1&sub_section=7
156 2007年3月に行われたWVJへの聞き取り調査による。