第2章 立体自動倉庫ラックを対象とした地震対策に関する解析的検討
2.2 ラック全体を対象とした制振ラック
2.2.4 TMD との制振効果の比較
本研究において提案する制振モデルの応答低減効果を確認するため、片持ち柱の頂部に 質点Bを設けた非制震モデル、従系の質量を総質量の10%としたTMDモデル、制振モデル
(本研究において提案)を対象とした地震応答解析を行った。解析モデルの内部粘性減衰は、
h1 = 0.01として1次の固有円振動数に比例すると仮定した。
入力地震動は、気象庁、および防災科学技術研究所の強震観測(K-NET)により得られた 表 2.1 に示す 3 波とした。解析に用いる入力波は、それぞれの地震で得られた水平方向の 最大加速度が大きい方向の成分とした。入力加速度レベルは、原波の1/5とした。減衰定数
がh = 0.01での入力地震波の速度応答スペクトルを図 2.18に示す。
地震名 観測点 計測震度
(震度)
最大加速度
(方向)
1995年1月17日 兵庫県南部地震 (Mj7.3)
神戸海洋気象台
(気象庁)
6.4
(6強)
818cm/s2 (NS) 2004年10月23日
新潟県中越地震 (Mj6.8)
新潟県小千谷市
城内(K-NET)
6.3
(6強)
898cm/s2 (EW) 2011年3月11日
東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)
福島県白河市 (K-NET)
6.1
(6強)
1295cm/s2 (NS)
0.1 1 10
0 100 200 300 400 500
h=0.01
神戸海洋気象台K-NET 小千谷
K-NET 白河
周期 [s]
速 度 応 答 ス ペ ク ト ル [c m /s ]
表 2.1 入力地震動の概要
図 2.18 入力地震動の速度応答スペクトル
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最大加速度および解析モデルのばねに発生した最大せん断力について解析結果の一覧を 表 2.2と図 2.19に示す。最大応答加速度については、制振モデルにおける質点B+Cおよび 質点Dは、非制振モデルに比べて24%~38%に低減できた。また、TMDモデルにおける主
系では34%~66%程度であった。最大せん断力については、制振モデルにおけるAB間およ
びCB間は非制震に比べて25%~47%に抑えられた。TMDモデルにおける主系では33%~
61%であった。制振モデルおよびTMDモデルともに、入力波の特性により制振効果に違い
が見られる。K-NET 白河は短周期成分を多く含むため、減衰を付加するだけの TMDモデ ルにおいても応答が大幅に低下している。神戸海洋気象台および K-NET 小千谷ではTMD モデルの最大加速度並びに最大せん断力ともに非制振モデルの60%程度の値となっている。
制振モデルでは、減衰の調整により共振点が見られなくなり、最大加速度は非制振モデル
の40%程度、最大せん断力は非制振モデルの45%程度となっている。
項目 入力波 制振モデル TMDモデル 非制振モデル
最大加速度 (cm/s2)
神戸海洋気象台 151 / 128
(38.4%) 261
(66.4%) 393
K-NET小千谷 119 / 107
(32.8%) 217
(59.8%) 363
K-NET白河 55 / 57
(23.8%) 81
(33.9%) 239
最大せん断力 (N)
神戸海洋気象台 1697 / 1451
(43.1%) 2391
(60.8%) 3932
K-NET小千谷 1686 / 1392
(46.5%) 2068
(57.0%) 3628
K-NET白河 608 / 539
(25.4%) 785
(32.8%) 2393
注)上段/下段:質点B+C/質点DまたはAB間/CD間 表 2.2 解析結果の一覧
神戸海洋気象台 K-NET小千谷 K-NET白河 0.0
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
非制振モデルに対する 最大加速度応答比
制振モデル(質点B+C) 制振モデル(質点D) TMDモデル
入 力 波
神戸海洋気象台 K-NET小千谷 K-NET白河 0.0
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
入 力 波 非制振モデルに対する 最大せん断力比
制振モデル(AB間) 制振モデル(CD間) TMDモデル
図 2.19 非制振モデルに対する制振モデルと TMD モデルの最大応答値の比率 (a) 最大加速度応答の比率 (b) 最大せん断力の比率
2.2 ラック全体を対象とした制振ラック
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制振モデルについて応答加速度とせん断力の時刻歴波形を図 2.20に示す。また、質点B および質点D における加速度についてフーリエスペクトル並びに入力加速度に対するフー リエスペクトル比を図 2.21並びに図 2.22に示す。加速度波形では質点B+Cと質点Dとの 間に、ばねに生じるせん断力の波形ではAB間とCD間にそれぞれ位相差が生じており、応 答を打ち消しあっていることが分かる。質点B+CでのフーリエスペクトルはT = 0.8~0.9s 付近で大きな振幅が見られるが、フーリエ振幅比を見ると2次固有周期付近のピークと1次 固有周期のピークの値は概ね等しく、意図したように二山を形成している。また、質点Dで の1次固有周期のピークの値もほぼ等しくなることがわかった。
図 2.20 応答加速度及びせん断力の時刻歴波形
~ 制振モデル、神戸海洋気象台、NS 成分 ~
30 32 34 36 38 40
-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0
30 32 34 36 38 40
-200 -100 0 100 200
t[s]
Q[kN] AB間 CD間
質点B+C 質点D
2 Acc[cm/s] t[s]
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0.1 1 10
0 50 100 150 200
質点B+C 神戸海洋気象台
K-NET 小千谷 K-NET 白河
周期[s]
フーリエ振幅[cm/s2 ]
0.1 1 10
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
神戸海洋気象台 K-NET 小千谷 K-NET 白河
周期[s]
フーリエ振幅比
0.1 1 10
0 50 100 150 200
質点D 神戸海洋気象台
K-NET 小千谷 K-NET 白河
周期[s]
フーリエ振幅[cm/s2 ]
0.1 1 10
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
神戸海洋気象台 K-NET 小千谷 K-NET 白河
周期[s]
フーリエ振幅比
図 2.21 フーリエ振幅およびフーリエ振幅比(質点 B+C)
図 2.22 フーリエ振幅およびフーリエ振幅比(質点 D)
(a) フーリエ振幅 (b) フーリエ振幅比
(a)フーリエ振幅 (b) フーリエ振幅比
2.2 ラック全体を対象とした制振ラック
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