第5章 立体自動倉庫ラックへの適用と地震応答観測
5.3 地震応答観測による適用効果の検討
5.3.4 制振ラックの応答評価
制振ラックの全観測記録を対象とし、床面の最大加速度に対する 5 段目の最大応答加速 度倍率(Y方向)を図5.14に示す。非制振ラック(耐震ラック)の5段目最大応答加速度は、
全観測記録を概観すると、観測波によりばらつきがあり約 1.4~6.3 倍に増幅していた。こ れに対し、制振ラックは約 0.8~4.6 倍となり、最大応答加速度を非制振ラックに比べて低 減している。制振ラックの最大加速度応答倍率は、リニアガイドのみの場合(RB)で約0.8
~4.0倍、リニアガイドとオイルダンパーの場合(RB+OD)で約2.2~4.6倍、リニアガイド とオイルダンパーと粘性ダンパーの場合(RB+OD+RD)で約 1.0~4.2倍となり、リニアガ イドのみの場合が最も小さい結果となった。この理由として、制振ラックが極めて稀に生 じる地震動に対して、自動搬送機との水平クリアランスを確保するために、制振ユニット の最大水平変位が±10cm以下となるようなダンパー量を設けており、入力レベルに対して ダンパーの減衰力が過度に働いたことなどが考えられる。
1 10 100
0 1 2 3 4 5 6
7 非制振
制 振(RB) 制 振(RB+OD) 制 振(RB+OD+RD)
最大加速度応答倍率 (5段目/倉庫床)
最大入力加速度 [cm/s
2]
図5.14 最大応答加速度倍率(Y方向)
5.3 地震応答観測による適用効果の検討
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計測震度4を観測した2例の地震〔5.5〕について、①2017年8月2日2時2分に発生した 茨城県北部地震の概要を図5.15に、②2017年8月2日7時16分に発生した茨城県南部地 震の概要を、図5.16に示す。
地震の発生日時 2017/8/2 2:02
震央地名 茨城県北部
緯度 北緯 36.8度
経度 東経 140.6度
深さ 9 km
マグニチュード M 5.5
地震の発生日時 2017/8/2 7:16
震央地名 茨城県南部
緯度 北緯 36.1度
経度 東経 140.0度
深さ 46 km
マグニチュード M 4.6 図5.15 震度4を観測した茨城県北部地震の概要〔5.5〕
~ 2017年8月2日 2時2分 発生 ~
図5.16 震度4を観測した茨城県南部地震の概要〔5.5〕
~ 2017年8月2日 7時16分 発生 ~
倉庫の位置
倉庫の位置
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制振ラック(RB+OD+RD)と非制振ラックの間口方向(Y 方向)応答の比較を図 5.17(茨城 県北部地震)および図 5.18(茨城県南部地震)に示す。なお、ラック振動系の主要動の範
囲である0.1Hzから20Hzに着目するためにバンドパスフィルター処理を施している。
図5.17(a)、(b)より床面で記録した最大加速度137.4cm/s2に対して、非制振ラック5段 目の最大応答加速度は228.6cm/s2、制振ラック5段目では219.5cm/s2となった。非制振ラッ クと制振ラックでは、積荷が全く同じではないことから直接的には比較できないが、5段目 の最大応答加速度に大きな差は見られない。
30 35 40 45 50 55 60 65 70
-300 -150 0 150 300
2 Acc[cm/s] 倉庫床t[s]
peak:137.4[cm/s2]
30 35 40 45 50 55 60 65 70
-300 -150 0 150 300
2 Acc[cm/s] 制 振(5段目,peak:219.5[cm/st[s]2]) 非制振(5段目,peak:228.6[cm/s2])
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0
30 60 90 120
150 Fourier Amplitude(Parz.=0.2Hz)
フーリエ振幅[cm/s]
周期[s]
制 振 5段目
非制振 5段目
倉庫床
図5.17 ①茨城県北部地震の観測結果(Y方向、計測震度4)
~ 2017年8月2日2時2分 発生 ~ (a)制振・非制振5段目の加速度時刻歴波形
(b) 倉庫床の加速度時刻歴波形
(c) フーリエスペクトル
5.3 地震応答観測による適用効果の検討
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図 5.18(a)、(b)より床面で記録した最大加速度149.8cm/s2に対して、非制振ラック5段 目の最大応答加速度は233.6cm/s2、制振ラック5段目では183.6cm/s2となった。非制振ラッ クと制振ラックでは、積荷の重量や配置条件が異なるが、5段目の最大応答加速度を比較す ると、制振ラックを導入することで、最大応答加速度は概ね 80%に低減していることがわ かる。なお、この時のラックの一次固有周期は、倉庫床に対する 5 段目の応答加速度のフ ーリエスペクトル比を求めて評価したところ、非制振ラックで 0.16秒程度、制振ラックで 0.29秒程度であった。図5.18(c)より、制振ラック5段目のフーリエ振幅は、制振ラックの 一次固有周期より短周期領域において非制振ラックよりも小さくなり、短周期側の加速度 応答に対して加速度応答の低減効果があることが確認できた。
図5.18 ②茨城県南部地震の観測結果(Y方向、計測震度4)
~ 2017年8月2日7時16分 発生 ~ (a)制振・非制振5段目の加速度時刻歴波形
(b) 倉庫床の加速度時刻歴波形
30 35 40 45 50 55 60
-300 -150 0 150 300
2 Acc[cm/s] 制 振(5段目,peak:183.6[cm/st[s]2]) 非制振(5段目,peak:233.6[cm/s2])
30 35 40 45 50 55 60
-300 -150 0 150 300
2 Acc[cm/s] 倉庫床t[s]
peak:149.8[cm/s2]
(c) フーリエスペクトル
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0
20 40 60 80 100
120 Fourier Amplitude(Parz.=0.2Hz)
フーリエ振幅[cm/s]
周期[s]
制 振 5段目
非制振 5段目
倉庫床
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